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元スレ朋也「軽音部? うんたん?」2
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―――――――――――――――――――――
昨日同様、食べ終わると、練習に向かった。
春原「ふーい…なんか、やけに気合入ってるね、岡崎」
キョン「確かにな。昨日、いなくなって、戻ってきたあたりからずっとこの調子だもんな」
朋也「単に負けたくなくなっただけだよ」
春原「でもさ、二年から聞いたけど、秋山としっぽりしてたんだろ?」
春原「そん時なんかあったんじゃないの?」
朋也「なにもねぇよ」
春原「ふぅん…てっきり、平沢と二股かけてんじゃないかと思ったんだけどねぇ」
キョン「え? 岡崎って、平沢さんとそんな仲なのか?」
春原「まだそういうわけじゃないんだけどさ…」
春原「でも、両思い臭いんだよね、朝も一緒に登校して来てるみたいだし」
キョン「へぇ、あの岡崎がね…丸くなったもんだ」
朋也「キョン、こいつの言うことなんて、8割嘘だって知ってるだろ。話半分に聞いとけよ」
春原「でも、残り2割は事実だろ?」
昨日同様、食べ終わると、練習に向かった。
春原「ふーい…なんか、やけに気合入ってるね、岡崎」
キョン「確かにな。昨日、いなくなって、戻ってきたあたりからずっとこの調子だもんな」
朋也「単に負けたくなくなっただけだよ」
春原「でもさ、二年から聞いたけど、秋山としっぽりしてたんだろ?」
春原「そん時なんかあったんじゃないの?」
朋也「なにもねぇよ」
春原「ふぅん…てっきり、平沢と二股かけてんじゃないかと思ったんだけどねぇ」
キョン「え? 岡崎って、平沢さんとそんな仲なのか?」
春原「まだそういうわけじゃないんだけどさ…」
春原「でも、両思い臭いんだよね、朝も一緒に登校して来てるみたいだし」
キョン「へぇ、あの岡崎がね…丸くなったもんだ」
朋也「キョン、こいつの言うことなんて、8割嘘だって知ってるだろ。話半分に聞いとけよ」
春原「でも、残り2割は事実だろ?」
朋也「違う。現実逃避の妄想だ」
春原「それ、もう発言全てが妄言ですよねぇっ!」
キョン「ああ、そうだったな。危うくあっちの世界に連れてかれちまうとこだった」
春原「病人みたくいうなっ! こいつが平沢と登校して来てんのはマジだよっ」
朋也「あれ、また幻聴が聞える」
キョン「俺も、かすかに耳に残ってるわ、なんだろ」
春原「取り合ってももらえないんすかっ!?」
朋也「キョン、今、う○こって言ったか?」
キョン「まさか、そんなこと言うの、あいつくらいだろ、あの金髪の…」
キョン「誰だっけ?」
朋也「さぁ?」
春原「ほんと、おまえら最低のコンビっすねっ!」
春原「ちくしょう…これも、去年と変わんないのかよ」
キョン「ああ、悪かった、悪ノリしすぎたよ。つい、懐かしくなってな」
春原「つい、でやらないでほしんですけどねぇ…」
春原「それ、もう発言全てが妄言ですよねぇっ!」
キョン「ああ、そうだったな。危うくあっちの世界に連れてかれちまうとこだった」
春原「病人みたくいうなっ! こいつが平沢と登校して来てんのはマジだよっ」
朋也「あれ、また幻聴が聞える」
キョン「俺も、かすかに耳に残ってるわ、なんだろ」
春原「取り合ってももらえないんすかっ!?」
朋也「キョン、今、う○こって言ったか?」
キョン「まさか、そんなこと言うの、あいつくらいだろ、あの金髪の…」
キョン「誰だっけ?」
朋也「さぁ?」
春原「ほんと、おまえら最低のコンビっすねっ!」
春原「ちくしょう…これも、去年と変わんないのかよ」
キョン「ああ、悪かった、悪ノリしすぎたよ。つい、懐かしくなってな」
春原「つい、でやらないでほしんですけどねぇ…」
>>1乙 マジがんばれ
そう、いつも春原をいじめた後は、こいつがこうしてアフターケアに入っていたのだ。
この感じも久しぶりだったが、すぐに調子が戻ってきた。
朋也「おい、明日は勝つぞ。わざわざ俺たち三人、雁首揃えてるんだからな」
キョン「ああ、そうだな」
春原「…ま、そうだね」
朋也「春原の幻影も、どうやら納得したようだな」
春原「ここまできて、まだ僕の存在はおぼろげなのかよっ!?」
キョン「はははっ」
―――――――――――――――――――――
………。
―――――――――――――――――――――
放課後。
春原「なんなんだろうね、こんなとこで待機してろなんてさ」
朋也「さぁな」
キョン「あの人の考えは読み辛いからなぁ。突拍子もないことも割とするし」
さわ子さんに退室するよう言われ、男三人、部室の前でだべっていた。
この感じも久しぶりだったが、すぐに調子が戻ってきた。
朋也「おい、明日は勝つぞ。わざわざ俺たち三人、雁首揃えてるんだからな」
キョン「ああ、そうだな」
春原「…ま、そうだね」
朋也「春原の幻影も、どうやら納得したようだな」
春原「ここまできて、まだ僕の存在はおぼろげなのかよっ!?」
キョン「はははっ」
―――――――――――――――――――――
………。
―――――――――――――――――――――
放課後。
春原「なんなんだろうね、こんなとこで待機してろなんてさ」
朋也「さぁな」
キョン「あの人の考えは読み辛いからなぁ。突拍子もないことも割とするし」
さわ子さんに退室するよう言われ、男三人、部室の前でだべっていた。
がちゃり
さわ子「お待たせ~」
間の抜けた声を伴って、室内を一望できるほどに扉が広く開け放たれた。
さわ子「どう? この子たちは」
唯「いぇい、似合う?」
律「動きやす~」
紬「うん…ちょっと胸がきついかなぁ…」
澪「うぅ…」
梓「………」
見れば、全員チア服を着ていた。
限界まで短いスカート、ノースリーブの薄い服、動けばわかる、胸の揺れ…
目のやり場に困るその姿に、逆に俺たちは釘付けとなり、言葉を発せなかった。
さわ子「明日はこれで応援するのよ」
澪「先生、やっぱり、やめませんか、これ…」
梓「そ、そうですよ、恥ずかしいです…」
梓「それに、岡崎先輩とかが、いやらしい目でみてくると思うんです」
さわ子「お待たせ~」
間の抜けた声を伴って、室内を一望できるほどに扉が広く開け放たれた。
さわ子「どう? この子たちは」
唯「いぇい、似合う?」
律「動きやす~」
紬「うん…ちょっと胸がきついかなぁ…」
澪「うぅ…」
梓「………」
見れば、全員チア服を着ていた。
限界まで短いスカート、ノースリーブの薄い服、動けばわかる、胸の揺れ…
目のやり場に困るその姿に、逆に俺たちは釘付けとなり、言葉を発せなかった。
さわ子「明日はこれで応援するのよ」
澪「先生、やっぱり、やめませんか、これ…」
梓「そ、そうですよ、恥ずかしいです…」
梓「それに、岡崎先輩とかが、いやらしい目でみてくると思うんです」
なぜ俺限定なんだ…。
さわ子「あら、でもそういう衣装の方が、男は喜んで、力が発揮できるものなのよ?」
さわ子「そうでしょ?」
俺たちに振ってきた。
朋也「いや、まぁ…」
キョン「でも、これはさすがに…」
春原「さわちゃん、やっぱわかってるねっ」
欲望に忠実な変態が一匹。
さわ子「ふふ、まぁね。だてに二十数年生きてないわ」
さわ子「って、歳のこと言うなっ」
ぽかっ
春原「ってぇっ! 自分で言ったんでしょっ!」
さわ子「あら、そうだったわね、ごめんなさい」
春原「誰かさん並に理不尽だよ、この人…」
唯「ねぇねぇ、どう? 可愛くない? この服」
さわ子「あら、でもそういう衣装の方が、男は喜んで、力が発揮できるものなのよ?」
さわ子「そうでしょ?」
俺たちに振ってきた。
朋也「いや、まぁ…」
キョン「でも、これはさすがに…」
春原「さわちゃん、やっぱわかってるねっ」
欲望に忠実な変態が一匹。
さわ子「ふふ、まぁね。だてに二十数年生きてないわ」
さわ子「って、歳のこと言うなっ」
ぽかっ
春原「ってぇっ! 自分で言ったんでしょっ!」
さわ子「あら、そうだったわね、ごめんなさい」
春原「誰かさん並に理不尽だよ、この人…」
唯「ねぇねぇ、どう? 可愛くない? この服」
キョンって何気に良いキャラだよな。
人当たりというか世渡り上手というか……
人当たりというか世渡り上手というか……
言って、くるくると回った。
朋也「わ、馬鹿、おまえ、んな激しく動くなっ」
唯「え? なんで?」
朋也「いや、それは…」
梓「あーっ! この人、見たんですよ、絶対っ!」
唯「何を?」
梓「唯先輩の下着ですっ!」
唯「…いやん」
朋也「不可抗力だろっ」
梓「目をそらせばよかったじゃないですかっ! ガン見することないでしょっ!」
朋也「してねぇよ…」
梓「嘘つきっ! 目にしっかり焼き付けてましたっ!」
朋也「だぁーっ、なんなんだこいつはっ!」
キョン「先生、こういうことにならないためにも、チアはやめたほうが…」
さわ子「あら、そう?」
朋也「わ、馬鹿、おまえ、んな激しく動くなっ」
唯「え? なんで?」
朋也「いや、それは…」
梓「あーっ! この人、見たんですよ、絶対っ!」
唯「何を?」
梓「唯先輩の下着ですっ!」
唯「…いやん」
朋也「不可抗力だろっ」
梓「目をそらせばよかったじゃないですかっ! ガン見することないでしょっ!」
朋也「してねぇよ…」
梓「嘘つきっ! 目にしっかり焼き付けてましたっ!」
朋也「だぁーっ、なんなんだこいつはっ!」
キョン「先生、こういうことにならないためにも、チアはやめたほうが…」
さわ子「あら、そう?」
あずにゃんと一緒にハンバーガー食べたり猫とじゃれたりした日が懐かしいぜ…
春原「あ、てめぇキョン、余計なこと言うなよっ」
キョン「いや、でもだな…」
さわ子「じゃあ、バニーガールなんてどうかしら?」
キョン「ぶっ!」
春原「なに過剰反応してんだよ、むっつり野郎」
キョン「ち、違う、二年前のトラウマが蘇っただけだ…」
梓「先生、私もこの衣装を着るのはやめたほうがいいと思います」
梓「絶対、岡崎先輩が本能をむき出しにして、警察沙汰になると思いますから」
朋也「だから、なんで俺だけを槍玉に挙げるんだ…」
澪「私も、普通に応援したいです…」
唯「私はこれ着て応援したいな~」
朋也「いや、やめてくれ…」
唯「ええ? なんで?」
朋也「普通にしてくれてたほうが、いろいろと助かる」
唯「えぇ…なら、しょうがないかぁ…ちぇ」
キョン「いや、でもだな…」
さわ子「じゃあ、バニーガールなんてどうかしら?」
キョン「ぶっ!」
春原「なに過剰反応してんだよ、むっつり野郎」
キョン「ち、違う、二年前のトラウマが蘇っただけだ…」
梓「先生、私もこの衣装を着るのはやめたほうがいいと思います」
梓「絶対、岡崎先輩が本能をむき出しにして、警察沙汰になると思いますから」
朋也「だから、なんで俺だけを槍玉に挙げるんだ…」
澪「私も、普通に応援したいです…」
唯「私はこれ着て応援したいな~」
朋也「いや、やめてくれ…」
唯「ええ? なんで?」
朋也「普通にしてくれてたほうが、いろいろと助かる」
唯「えぇ…なら、しょうがないかぁ…ちぇ」
春原「ムギちゃんは、それ着てくれるよね? ていうか、もう普段着にしようよっ」
律「やらしいやっちゃなー、このエロ原め」
春原「っせぇよ、おまえは一年中ジャージでも着てろ」
律「おまえならジャージの上からでも欲情してきそうだけどな、こわいこわい」
春原「はっ、ジャージの上着をズボンにインしてる奴なんかにするかよ」
律「そんな着こなし方しねぇよっ、ヘタレっ!」
春原「ヘタレは今関係ないだろっ!」
一応ヘタレという自覚はあったらしい。
律「やらしいやっちゃなー、このエロ原め」
春原「っせぇよ、おまえは一年中ジャージでも着てろ」
律「おまえならジャージの上からでも欲情してきそうだけどな、こわいこわい」
春原「はっ、ジャージの上着をズボンにインしてる奴なんかにするかよ」
律「そんな着こなし方しねぇよっ、ヘタレっ!」
春原「ヘタレは今関係ないだろっ!」
一応ヘタレという自覚はあったらしい。
朋也「春原、落ち着つけ。まず自分の足元をよく見てみろ」
春原「あん? なんだよ…」
春原「って、なんで靴下にズボンがインされてるんだよっ!?」
朋也「いつも社会の窓がアウトしてる分、細かいところで取り戻しておこうと思って…」
春原「まずその前提がおかしいだろっ!」
律「わはは!」
この後、結局コスプレは取りやめとなった。
当日は普通に制服で応援してくれるらしい。
さわ子さんや平沢、春原なんかは不満そうにしていたが、これでよかったんだと思う。
…俺も、少しだけ名残惜しかったが。
―――――――――――――――――――――
春原「あん? なんだよ…」
春原「って、なんで靴下にズボンがインされてるんだよっ!?」
朋也「いつも社会の窓がアウトしてる分、細かいところで取り戻しておこうと思って…」
春原「まずその前提がおかしいだろっ!」
律「わはは!」
この後、結局コスプレは取りやめとなった。
当日は普通に制服で応援してくれるらしい。
さわ子さんや平沢、春原なんかは不満そうにしていたが、これでよかったんだと思う。
…俺も、少しだけ名残惜しかったが。
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4/24 土
試合当日。ついにこの日がやってきた。
向こうの話によれば、試合は放課後になってからすぐ行われるとのことだった。
昼食を摂ってからでは、バスケ部の練習に差し支えがあるらしい。
だが、試合時間自体は10分と短く、多少腹が減っていても問題なさそうだった。
春原「でも、ちょっと計算外だったよね」
春原「まさか、うちのバスケ部の、ほぼ全体を揃えてくるなんてさ」
朋也「ああ、そうだな」
つまり、その中には当然レギュラー陣も入っているわけで。
そいつらが出てくるなら、俺たちが勝てる可能性は限りなく低いだろう。
本当に、さわ子さんという保険があってよかった。つくづくそう思う。
春原「ま、僕たちが勝つことに変わりはないけどさ」
朋也「そうなりゃいいけどな」
春原「へっ、なるさ」
―――――――――――――――――――――
放課後。
メンバー全員で体育館に集まる。憂ちゃんも、少し遅れて駆けつけてくれた。
ふと、入り口から覗けた館内は、閑散として見えた。
広さに対して、居る人間の数が少ないからだ。
集まったのは、俺たちと、バスケ部、それと、ファンクラブの連中のみだった。
試合当日。ついにこの日がやってきた。
向こうの話によれば、試合は放課後になってからすぐ行われるとのことだった。
昼食を摂ってからでは、バスケ部の練習に差し支えがあるらしい。
だが、試合時間自体は10分と短く、多少腹が減っていても問題なさそうだった。
春原「でも、ちょっと計算外だったよね」
春原「まさか、うちのバスケ部の、ほぼ全体を揃えてくるなんてさ」
朋也「ああ、そうだな」
つまり、その中には当然レギュラー陣も入っているわけで。
そいつらが出てくるなら、俺たちが勝てる可能性は限りなく低いだろう。
本当に、さわ子さんという保険があってよかった。つくづくそう思う。
春原「ま、僕たちが勝つことに変わりはないけどさ」
朋也「そうなりゃいいけどな」
春原「へっ、なるさ」
―――――――――――――――――――――
放課後。
メンバー全員で体育館に集まる。憂ちゃんも、少し遅れて駆けつけてくれた。
ふと、入り口から覗けた館内は、閑散として見えた。
広さに対して、居る人間の数が少ないからだ。
集まったのは、俺たちと、バスケ部、それと、ファンクラブの連中のみだった。
他に体育館を使うクラブの姿はない。
この時間は本来、大多数の生徒にとって、昼休憩になっているはずだからだろう。
男子生徒「ああ、来た?」
体育館に足を踏み入れると、すぐにファンクラブの男がやってきた。
この試合の段取りを組んだ奴だ。
薄々思っていたが、やっぱり、こいつが現代表なんだろう。
春原「おう、来てやったぜ」
男子生徒「絶対あの約束は守れよ」
春原「わかってるっての。おまえらこそ、破んなよ」
男子生徒「そんなことしないよ。そこは安心してくれ」
自信たっぷりに言って、また仲間の輪に戻っていった。
律「マジで頼んだぞ、おまえら。あんなのに調子乗らせたくないからな」
春原「任せとけって」
キョン「やれるだけの全力は尽くすよ」
俺も口を開こうとした時、向こうから、ボールの跳ねる音がした。
見れば、相手のバスケ部がアップを始めていた。
定位置からシュートをする者、ドリブルをして、動きを確かめる者…様々だった。
…懐かしい風景。
俺もかつてはその中の一人だったのだ。
この時間は本来、大多数の生徒にとって、昼休憩になっているはずだからだろう。
男子生徒「ああ、来た?」
体育館に足を踏み入れると、すぐにファンクラブの男がやってきた。
この試合の段取りを組んだ奴だ。
薄々思っていたが、やっぱり、こいつが現代表なんだろう。
春原「おう、来てやったぜ」
男子生徒「絶対あの約束は守れよ」
春原「わかってるっての。おまえらこそ、破んなよ」
男子生徒「そんなことしないよ。そこは安心してくれ」
自信たっぷりに言って、また仲間の輪に戻っていった。
律「マジで頼んだぞ、おまえら。あんなのに調子乗らせたくないからな」
春原「任せとけって」
キョン「やれるだけの全力は尽くすよ」
俺も口を開こうとした時、向こうから、ボールの跳ねる音がした。
見れば、相手のバスケ部がアップを始めていた。
定位置からシュートをする者、ドリブルをして、動きを確かめる者…様々だった。
…懐かしい風景。
俺もかつてはその中の一人だったのだ。
けど、今は…
俺は自分の体を見下ろす。
制服のままの格好。
こんな姿で、かつて情熱を燃やしていたバスケをやるなんて、皮肉だ。滑稽すぎる。
唯「…なんか、緊張してきた」
朋也「おまえがかよ。でも、今となっては、遊びの延長だぞ」
律「む、遊びとはなんだ、遊びとはっ! 真剣にやれっ!」
春原「そうだぞ。おまえ、奴らにバカ呼ばわりされたままで悔しくないのかよっ」
朋也「それはおまえだけだろ」
春原「僕がバカにされたら、おまえがバカにされたも同然なんだよっ」
春原「一人はみんなのために、みんなは一人のためにだっ」
こいつの背負う業が重過ぎて、輪に入れられた俺が一方的に損していた。
唯「でも、バスケ部の人たちと試合するんだから、それはやっぱりすごいことなんだよね」
唯「ほら、みんなすごく上手だし」
聞かれていたら、怒られそうなことを言う。
唯「こうやって毎日練習してるんだよね」
梓「私たちも、あれくらい真面目にやりたいです…」
俺は自分の体を見下ろす。
制服のままの格好。
こんな姿で、かつて情熱を燃やしていたバスケをやるなんて、皮肉だ。滑稽すぎる。
唯「…なんか、緊張してきた」
朋也「おまえがかよ。でも、今となっては、遊びの延長だぞ」
律「む、遊びとはなんだ、遊びとはっ! 真剣にやれっ!」
春原「そうだぞ。おまえ、奴らにバカ呼ばわりされたままで悔しくないのかよっ」
朋也「それはおまえだけだろ」
春原「僕がバカにされたら、おまえがバカにされたも同然なんだよっ」
春原「一人はみんなのために、みんなは一人のためにだっ」
こいつの背負う業が重過ぎて、輪に入れられた俺が一方的に損していた。
唯「でも、バスケ部の人たちと試合するんだから、それはやっぱりすごいことなんだよね」
唯「ほら、みんなすごく上手だし」
聞かれていたら、怒られそうなことを言う。
唯「こうやって毎日練習してるんだよね」
梓「私たちも、あれくらい真面目にやりたいです…」
澪「わかるぞ、その気持ち」
唯「まぁまぁ、今はそれは置いといて…」
手でどけるようなジェスチャーを入れる。
唯「そんな人たちと、集まったばっかりの私たちが戦うんだよ」
唯「今まで違う道を歩いてきた、私たちがね」
唯「もし勝てたとしたら…」
唯「この短い時間の中で、バスケ部の人たちよりも固い絆で結ばれたってことだよね」
唯「だとしたら、すごいことだよ」
唯「いつもは、まったりしてる私たち軽音部…時々、そのことで怒られちゃうこともあるよね」
唯「それと…不器用に、皆から離れていっちゃった、岡崎くんと春原くん」
唯「そのふたりと、今は仲良しだけど、出会う前は接点がまったくなかった、キョンくん」
唯「こんなにも、ばらばらで…みんなが一緒に、ひとつの目標に向かってるわけでもなくて…」
唯「もしかしたら、話すことさえなかったかもしれない私たちだけど…」
唯「それでも、力を合わせれば、頑張ってる人たちとだって、同じことが出来るってことだよね」
唯「普段は、ちょっと真剣さが足りない私たちでも、ね」
唯「まぁまぁ、今はそれは置いといて…」
手でどけるようなジェスチャーを入れる。
唯「そんな人たちと、集まったばっかりの私たちが戦うんだよ」
唯「今まで違う道を歩いてきた、私たちがね」
唯「もし勝てたとしたら…」
唯「この短い時間の中で、バスケ部の人たちよりも固い絆で結ばれたってことだよね」
唯「だとしたら、すごいことだよ」
唯「いつもは、まったりしてる私たち軽音部…時々、そのことで怒られちゃうこともあるよね」
唯「それと…不器用に、皆から離れていっちゃった、岡崎くんと春原くん」
唯「そのふたりと、今は仲良しだけど、出会う前は接点がまったくなかった、キョンくん」
唯「こんなにも、ばらばらで…みんなが一緒に、ひとつの目標に向かってるわけでもなくて…」
唯「もしかしたら、話すことさえなかったかもしれない私たちだけど…」
唯「それでも、力を合わせれば、頑張ってる人たちとだって、同じことが出来るってことだよね」
唯「普段は、ちょっと真剣さが足りない私たちでも、ね」
朋也「ああ…そうだな」
平沢の言いたいことはよくわかる。
俺も、春原もそんなふうに生きてきたから。
キョンの奴だって、きっと似たような感情を持ったことがあるはずだ。
所属している部のことを聞くたび、俺たちに近かったことがわかっていったから。
けど…現実はそんなに甘くない。
気持ちだけでは超えられない壁も、確かにあるのだ。
バスケ部員「話は聞いてるけど…おまえらが相手?」
ひとりのバスケ部員がやってくる。
春原「ああ、そうだよ」
バスケ部員「俺たち、もう始めたいんだけど」
春原「準備運動するから、ちょっと待っててくれよ」
バスケ部員「早くしろよ。さっさと終わらせて、飯にしたいんだからな」
機嫌悪く言い放ち、戻っていく。
春原「ちっ、感じ悪ぃな…」
朋也「昼飯前に駆り出されてんだ、気が立ってるんだろ」
屈伸しながら言う。
春原「だからってさぁ…言い方ってもんがあるだろ」
平沢の言いたいことはよくわかる。
俺も、春原もそんなふうに生きてきたから。
キョンの奴だって、きっと似たような感情を持ったことがあるはずだ。
所属している部のことを聞くたび、俺たちに近かったことがわかっていったから。
けど…現実はそんなに甘くない。
気持ちだけでは超えられない壁も、確かにあるのだ。
バスケ部員「話は聞いてるけど…おまえらが相手?」
ひとりのバスケ部員がやってくる。
春原「ああ、そうだよ」
バスケ部員「俺たち、もう始めたいんだけど」
春原「準備運動するから、ちょっと待っててくれよ」
バスケ部員「早くしろよ。さっさと終わらせて、飯にしたいんだからな」
機嫌悪く言い放ち、戻っていく。
春原「ちっ、感じ悪ぃな…」
朋也「昼飯前に駆り出されてんだ、気が立ってるんだろ」
屈伸しながら言う。
春原「だからってさぁ…言い方ってもんがあるだろ」
キョン「試合でその鬱憤を晴らすってのはどうだ?」
腕を伸ばしながら、ついでのように助言する。
春原「ま…そうだね」
春原も、手首、足首とひねりを加えてほぐしていた。
三人とも、好きなように柔軟をしている。
決まった順序なんかない。全員で同じ動きを強要することもない。
そんな無秩序さが、実に俺たちらしかった。
ひいては、軽音部の連中を含めた、このチーム全体の有りようを表しているようだった。
朋也「いくか」
キョン「おう」
春原「うしっ」
気合十分でコートに踏み入っていく。
向こうは、すでに三人揃っていた。
軽く体を動かしたりしている。
バスケ部員「ハーフコートじゃなくて、全面使うからな」
審判を務めるらしい部員が、ボールを持ったままそう伝えてきた。
朋也「ああ、わかった」
バスケ部員「ジャンプボールだ。そっちは誰がやるんだ」
腕を伸ばしながら、ついでのように助言する。
春原「ま…そうだね」
春原も、手首、足首とひねりを加えてほぐしていた。
三人とも、好きなように柔軟をしている。
決まった順序なんかない。全員で同じ動きを強要することもない。
そんな無秩序さが、実に俺たちらしかった。
ひいては、軽音部の連中を含めた、このチーム全体の有りようを表しているようだった。
朋也「いくか」
キョン「おう」
春原「うしっ」
気合十分でコートに踏み入っていく。
向こうは、すでに三人揃っていた。
軽く体を動かしたりしている。
バスケ部員「ハーフコートじゃなくて、全面使うからな」
審判を務めるらしい部員が、ボールを持ったままそう伝えてきた。
朋也「ああ、わかった」
バスケ部員「ジャンプボールだ。そっちは誰がやるんだ」
朋也「キョン、頼む」
キョン「俺か?」
朋也「ああ。俺は無理だし、春原は背が低い。おまえが適任だ」
キョン「そうか。わかった」
センターサークルの中に両者陣取る。
そして、ボールが高く放られた。
キョン「岡崎っ」
最高到達点に達したところで、キョンがボールを叩き落とした。
俺の前に落ちてくる。
すぐさま拾い、そのままドリブルで切り込んでいく。
俺のマークはスピードで振り切ることができた。
だが、相手も一人ディフェンスに戻っていて、ゴール前で膠着する。
春原の姿を探す。反対サイドから走りこんでいるのが見えた。
それも、フリーで。
俺は一度ドリブルで突破するような素振りを見せ、パスを出した。
春原が受け取る。
春原「庶民シューっ!」
二、三歩ほどドリブルで距離をつめ、レイアップを決めていた。
キョン「ナイッシュ」
律「いいぞぉーっ、春原ぁ!」
キョン「俺か?」
朋也「ああ。俺は無理だし、春原は背が低い。おまえが適任だ」
キョン「そうか。わかった」
センターサークルの中に両者陣取る。
そして、ボールが高く放られた。
キョン「岡崎っ」
最高到達点に達したところで、キョンがボールを叩き落とした。
俺の前に落ちてくる。
すぐさま拾い、そのままドリブルで切り込んでいく。
俺のマークはスピードで振り切ることができた。
だが、相手も一人ディフェンスに戻っていて、ゴール前で膠着する。
春原の姿を探す。反対サイドから走りこんでいるのが見えた。
それも、フリーで。
俺は一度ドリブルで突破するような素振りを見せ、パスを出した。
春原が受け取る。
春原「庶民シューっ!」
二、三歩ほどドリブルで距離をつめ、レイアップを決めていた。
キョン「ナイッシュ」
律「いいぞぉーっ、春原ぁ!」
唯「すごぉい、春原くんっ」
憂「春原さん、かっこいいですっ」
紬「ナイスシュートっ」
澪「先取点だよっ」
春原「へへ…」
にやついた表情を浮かべる春原。
その横から、ボールを持った敵がドリブルで抜き去っていった。
春原「あ、やべ…」
朋也「余所見すんなっ、この馬鹿っ」
律「死ねーっ、春原ーっ!」
唯「最悪だよぉ、もう」
春原「おまえら、てのひら返すの早すぎだろっ!」
紬「…はぁ…マジで、はぁ…」
春原「ムギちゃんまでっすかっ!? つーか、キャラまで変わってるしっ」
朋也「春原、いいから戻れっ」
春原「わかってるよっ」
憂「春原さん、かっこいいですっ」
紬「ナイスシュートっ」
澪「先取点だよっ」
春原「へへ…」
にやついた表情を浮かべる春原。
その横から、ボールを持った敵がドリブルで抜き去っていった。
春原「あ、やべ…」
朋也「余所見すんなっ、この馬鹿っ」
律「死ねーっ、春原ーっ!」
唯「最悪だよぉ、もう」
春原「おまえら、てのひら返すの早すぎだろっ!」
紬「…はぁ…マジで、はぁ…」
春原「ムギちゃんまでっすかっ!? つーか、キャラまで変わってるしっ」
朋也「春原、いいから戻れっ」
春原「わかってるよっ」
3対2の状況も、春原が戻ったことで、やっとイーブンに戻った。
敵全員に俺たちのマークがつく。
キョン「っと…」
キョンがパスカット。
すぐに走り出す俺と春原。
カウンターの速攻だ。
キョン「いくぞっ」
キョンは一度春原の方を向いてフェイントを入れ、俺にロングパスを出した。
相手のコート、ツーポイントエリアで拾う。
俺がいるのは左サイド。
ここからレイアップに持っていきたいが、マークがしつこい。
春原もマンツーマンでつかれていた。
仮に今、俺についたこのディフェンスを突破できても、すぐにヘルプがくるだろう。
それくらいゴールに近い位置での攻防だった。
だがこれは、チャンスでもある。ヘルプが来たら、春原がフリーになるのだ。
そこで上手くパスを回せればいいが…
ここまで走ってきた疲労もあって、体がいうことを聞いてくれるかどうか自信が持てない。
朋也(キョンは…)
敵に背を向けて確認すると、自陣から上がってきているのが見えた。
ドリブルでキープしたまま、3対3の状況になるのを待つ。
これで、少し息も整えることができるだろう。
朋也(よし…)
敵全員に俺たちのマークがつく。
キョン「っと…」
キョンがパスカット。
すぐに走り出す俺と春原。
カウンターの速攻だ。
キョン「いくぞっ」
キョンは一度春原の方を向いてフェイントを入れ、俺にロングパスを出した。
相手のコート、ツーポイントエリアで拾う。
俺がいるのは左サイド。
ここからレイアップに持っていきたいが、マークがしつこい。
春原もマンツーマンでつかれていた。
仮に今、俺についたこのディフェンスを突破できても、すぐにヘルプがくるだろう。
それくらいゴールに近い位置での攻防だった。
だがこれは、チャンスでもある。ヘルプが来たら、春原がフリーになるのだ。
そこで上手くパスを回せればいいが…
ここまで走ってきた疲労もあって、体がいうことを聞いてくれるかどうか自信が持てない。
朋也(キョンは…)
敵に背を向けて確認すると、自陣から上がってきているのが見えた。
ドリブルでキープしたまま、3対3の状況になるのを待つ。
これで、少し息も整えることができるだろう。
朋也(よし…)
どうでも良いけど
CLANNAD×ヒトリノ夜のMADを思い出した
CLANNAD×ヒトリノ夜のMADを思い出した
その時が来て、まず一人、俺のマークをドリブルで抜き去った。
案の定、すぐにヘルプが来る。
俺は近くにいた春原にパスを出した。
が、今度はキョンについていたマークが春原をチェックしに来た。
必然的に、キョンはフリーになる。
春原「おし、キョン、いけっ」
春原がワンバンさせてパスを回す。
キョンはそれをしっかりと胸で受け取った。
スリーポイントラインの、外側で。
その位置から、ゴールに向けてボールを放つ。
綺麗な放物線を描き、ゴールに吸い込まれていった。
得点表がめくられる。
3点だ。
春原「うっしゃっ、ナイッシュゥ、キョンっ」
朋也「ナイッシュ。押してるぞ、俺たち」
キョン「おう」
ハイタッチを交わす三人。
律「うおー、すげーっ!」
唯「あんな遠い所からだからかな、3点も入ってたよっ」
憂「お姉ちゃん、スリーポイントっていうのがあるんだよ」
案の定、すぐにヘルプが来る。
俺は近くにいた春原にパスを出した。
が、今度はキョンについていたマークが春原をチェックしに来た。
必然的に、キョンはフリーになる。
春原「おし、キョン、いけっ」
春原がワンバンさせてパスを回す。
キョンはそれをしっかりと胸で受け取った。
スリーポイントラインの、外側で。
その位置から、ゴールに向けてボールを放つ。
綺麗な放物線を描き、ゴールに吸い込まれていった。
得点表がめくられる。
3点だ。
春原「うっしゃっ、ナイッシュゥ、キョンっ」
朋也「ナイッシュ。押してるぞ、俺たち」
キョン「おう」
ハイタッチを交わす三人。
律「うおー、すげーっ!」
唯「あんな遠い所からだからかな、3点も入ってたよっ」
憂「お姉ちゃん、スリーポイントっていうのがあるんだよ」
唯「え? そうなの? すごいシステムだねっ」
外野からは、のんきなやり取りが聞えてきていた。
バスケ部員「………」
対照的に、コート内はそう穏やかじゃなかった。
今のプレイで、部員たちの目の色が変わっていた。
おそらく、今まではキョンの動きを見て、素人に近いと踏んでいたんだろう。
だから、スリーポイントなんか、端から警戒していなかったのだ。
実際、キョンは、ドリブルやパスはそこまで上手くない。
だが、シュートには素質が感じられた。練習も、シュートを重点的にやっていた。
その成果が、今のスリーポイントだ。
プレッシャーのかかっていないドフリーからのシュートとはいえ、上出来だった。
しかし、これからはシュートもあると、相手も警戒してくるだろう。
まぁ、それを逆手に取ることも、もちろんできるのだが。
朋也(奇襲はもうやれないか…)
朋也(ま、なんとかなるか…)
朋也(こいつら、レギュラーってわけでもなさそうだしな…)
俺の予想はおそらく当たっているはずだ。
ここまでの試合運びが、楽にいきすぎている。
それは、あの二人も肌で感じていることだろう。
出し惜しみしているのか知らないが、このままいけば十分勝機はある。
朋也(よし…いくか)
外野からは、のんきなやり取りが聞えてきていた。
バスケ部員「………」
対照的に、コート内はそう穏やかじゃなかった。
今のプレイで、部員たちの目の色が変わっていた。
おそらく、今まではキョンの動きを見て、素人に近いと踏んでいたんだろう。
だから、スリーポイントなんか、端から警戒していなかったのだ。
実際、キョンは、ドリブルやパスはそこまで上手くない。
だが、シュートには素質が感じられた。練習も、シュートを重点的にやっていた。
その成果が、今のスリーポイントだ。
プレッシャーのかかっていないドフリーからのシュートとはいえ、上出来だった。
しかし、これからはシュートもあると、相手も警戒してくるだろう。
まぁ、それを逆手に取ることも、もちろんできるのだが。
朋也(奇襲はもうやれないか…)
朋也(ま、なんとかなるか…)
朋也(こいつら、レギュラーってわけでもなさそうだしな…)
俺の予想はおそらく当たっているはずだ。
ここまでの試合運びが、楽にいきすぎている。
それは、あの二人も肌で感じていることだろう。
出し惜しみしているのか知らないが、このままいけば十分勝機はある。
朋也(よし…いくか)
その後も、パス回しからの連携や、春原の個人技、キョンのシュートなどで得点を重ねていった。
俺も、左からのレイアップのみだったが、なんとか得点に貢献できていた。
こっちもそれなりに失点していたが、まだまだ優勢だ。
バスケ部員「メンバーチェンジ!」
ボールがコート外に出たとき、タイムを入れて、そう宣言された。
選手が総入れ替えになる。身長が軒並み上がっていた。
ガタイも、ずいぶんとよくなっている。
春原「おいおい、あいつらってさ、やっぱ…」
キョン「だろうな…」
朋也「ああ…レギュラー陣だ」
春原「ちっ、ここにきてか」
キョン「後半分だ。やれないことはないさ」
春原「へっ、そうだね…」
しかし、そう楽観的にもみていられない。
あっちはスタミナが満タンな上に、技量も体格も上だ。
対して、こっちは消耗が激しく、素人が二人に、肩が壊れている男が一人。
ここまではなんとかやってこれたが、この後どこまでやれるか…。
朋也(とにかく、今はこっちボールだ)
朋也(攻めていくか…)
俺も、左からのレイアップのみだったが、なんとか得点に貢献できていた。
こっちもそれなりに失点していたが、まだまだ優勢だ。
バスケ部員「メンバーチェンジ!」
ボールがコート外に出たとき、タイムを入れて、そう宣言された。
選手が総入れ替えになる。身長が軒並み上がっていた。
ガタイも、ずいぶんとよくなっている。
春原「おいおい、あいつらってさ、やっぱ…」
キョン「だろうな…」
朋也「ああ…レギュラー陣だ」
春原「ちっ、ここにきてか」
キョン「後半分だ。やれないことはないさ」
春原「へっ、そうだね…」
しかし、そう楽観的にもみていられない。
あっちはスタミナが満タンな上に、技量も体格も上だ。
対して、こっちは消耗が激しく、素人が二人に、肩が壊れている男が一人。
ここまではなんとかやってこれたが、この後どこまでやれるか…。
朋也(とにかく、今はこっちボールだ)
朋也(攻めていくか…)
思いとは裏腹に、ボールをコートに戻すことさえそう簡単にさせてもらえない。
俊敏な動きでぴったりとつかれていた。
俺は苦し紛れにボールを投げ放ったが、すぐにカットされてしまった。
そのままの勢いで、一気に押し込まれ、得点を許してしまっていた。
朋也「わりぃ…」
キョン「いや、しょうがないさ。ああも、くっつかれちゃな…」
春原「まだ2点返されたただけじゃん。余裕だって」
朋也「すまん…」
キョン「謝らなくていい。いくぞ」
ぱんっと肩を叩かれる。
春原「おまえが謝るとか、らしくねぇっての」
朋也「ああ…そうだな」
再び気を奮い立たせる。
俺も、春原も、キョンも、必死になって食らいついていった。
朋也(くそ、俺に左からのレイアップしかないことがわかってやがる…)
相手には、俺たちの攻撃パターンも、ほぼ読まれていた。
それでも、レギュラー陣相手に、同等以上の戦いを演じて見せた。
だが、それも、終盤に差し掛かってから、かげりが見え始める。
俊敏な動きでぴったりとつかれていた。
俺は苦し紛れにボールを投げ放ったが、すぐにカットされてしまった。
そのままの勢いで、一気に押し込まれ、得点を許してしまっていた。
朋也「わりぃ…」
キョン「いや、しょうがないさ。ああも、くっつかれちゃな…」
春原「まだ2点返されたただけじゃん。余裕だって」
朋也「すまん…」
キョン「謝らなくていい。いくぞ」
ぱんっと肩を叩かれる。
春原「おまえが謝るとか、らしくねぇっての」
朋也「ああ…そうだな」
再び気を奮い立たせる。
俺も、春原も、キョンも、必死になって食らいついていった。
朋也(くそ、俺に左からのレイアップしかないことがわかってやがる…)
相手には、俺たちの攻撃パターンも、ほぼ読まれていた。
それでも、レギュラー陣相手に、同等以上の戦いを演じて見せた。
だが、それも、終盤に差し掛かってから、かげりが見え始める。
春原「あ…ぐっ…はぁ…はぁ…」
キョン「はぁー…はぁ、っく…はぁ…」
二人の体力が底をつき始めていた。
それは、俺にしても同じことだったが…。
朋也「大丈夫か?」
春原「ああ、余裕すぎて、なんか眠いよ」
朋也「それ、死にかけてるからな」
朋也「キョンは?」
キョン「ああ…まだ、いけるぞ」
朋也「そうか…」
とてもそうは見えない。
肩で息をしていた。
強がりだということが、すぐにわかる。
朋也「残り30秒で、こっちボールだ。もう、このワンプレイで終わるぞ」
得点差は一点のみ。
俺たちが負けていた。
春原「泣いても笑っても、最後ってわけね…」
キョン「はぁー…はぁ、っく…はぁ…」
二人の体力が底をつき始めていた。
それは、俺にしても同じことだったが…。
朋也「大丈夫か?」
春原「ああ、余裕すぎて、なんか眠いよ」
朋也「それ、死にかけてるからな」
朋也「キョンは?」
キョン「ああ…まだ、いけるぞ」
朋也「そうか…」
とてもそうは見えない。
肩で息をしていた。
強がりだということが、すぐにわかる。
朋也「残り30秒で、こっちボールだ。もう、このワンプレイで終わるぞ」
得点差は一点のみ。
俺たちが負けていた。
春原「泣いても笑っても、最後ってわけね…」
キョン「どうする? もう、パターンだいぶ読まれてるぞ…」
バスケ部員「おまえら、早く始めろよっ!」
怒声が届く。
朋也「ああ、すぐ始める」
そう冷静に返した。
朋也「いいか、ふたりとも」
俺は二人を抱き寄せて、最後の指示を出す。
キョン「了解」
春原「うまくいくといいけどねぇ」
コートに散る。
最初のパスでカットされればそれでゲームオーバー。
相手もそれがわかっているから、今まで以上に必死のディフェンスだ。
ぐるぐるとめまぐるしく変わる陣形…。
俺はボールを投げ入れた。
キョンの手に渡る。
不意に取られないよう、囲まれる前に俺に戻した。
ドリブルで中央に割って入る。
相手は意表を突かれた形になった。
俺は今まで左サイドからしかゴール下に入ることはなかったからだ。
一、二…
レイアップ! …の振りだけしてみせる。
バスケ部員「おまえら、早く始めろよっ!」
怒声が届く。
朋也「ああ、すぐ始める」
そう冷静に返した。
朋也「いいか、ふたりとも」
俺は二人を抱き寄せて、最後の指示を出す。
キョン「了解」
春原「うまくいくといいけどねぇ」
コートに散る。
最初のパスでカットされればそれでゲームオーバー。
相手もそれがわかっているから、今まで以上に必死のディフェンスだ。
ぐるぐるとめまぐるしく変わる陣形…。
俺はボールを投げ入れた。
キョンの手に渡る。
不意に取られないよう、囲まれる前に俺に戻した。
ドリブルで中央に割って入る。
相手は意表を突かれた形になった。
俺は今まで左サイドからしかゴール下に入ることはなかったからだ。
一、二…
レイアップ! …の振りだけしてみせる。
思惑通り、目の前に影がよぎった。
俺は胸の前でボールを左手に移した。
そして、背後にいるのが春原だと信じてボールを浮かせる。
春原「よし、きたぁぁっ!」
春原の声。
振り返ると、ボールを両手に掴んだ春原が着地したところだった。
それに、春原についていたディフェンスが覆い被さる。
フェイントで振った後、ボールを床に打ちつけた。
高くバウンドしたボール。
助走と共に拾っていたのはキョン。
自分についたディフェンスを振り切って、そして…
ゴールとは反対方向にボールを投げていた。
ゴール正面のフリースローポイント。
そこで俺はボールを受け取っていた。
すべてのディフェンスを振り切って。
コートに立つ全員が俺を振り返っていた。
相手の、唖然とした顔が滑稽だった。
俺は胸の前でボールを左手に移した。
そして、背後にいるのが春原だと信じてボールを浮かせる。
春原「よし、きたぁぁっ!」
春原の声。
振り返ると、ボールを両手に掴んだ春原が着地したところだった。
それに、春原についていたディフェンスが覆い被さる。
フェイントで振った後、ボールを床に打ちつけた。
高くバウンドしたボール。
助走と共に拾っていたのはキョン。
自分についたディフェンスを振り切って、そして…
ゴールとは反対方向にボールを投げていた。
ゴール正面のフリースローポイント。
そこで俺はボールを受け取っていた。
すべてのディフェンスを振り切って。
コートに立つ全員が俺を振り返っていた。
相手の、唖然とした顔が滑稽だった。
唯「岡崎くん、シュートだよっ」
平沢の声だけが、一際大きく聞えた気がした。
ああ…了解。
俺は上がらない肩もお構いなしに打った。
バスケ経験者とはほど遠い、不恰好な姿勢で。
それがすべてを象徴していた。
不恰好に暮らしてきた俺たち。
そんな奴らでも、辿り着くことができる。
道は違っても… 同じ高みに。
ぱすっ、と音がして、ネットが揺れていた。
一瞬の静けさ…
直後、割れんばかりの大歓声が起きた。
春原「よくやった、岡崎!」
キョン「岡崎ぃ、すごいじゃないかっ!」
律「やるじゃん、岡崎っ」
平沢の声だけが、一際大きく聞えた気がした。
ああ…了解。
俺は上がらない肩もお構いなしに打った。
バスケ経験者とはほど遠い、不恰好な姿勢で。
それがすべてを象徴していた。
不恰好に暮らしてきた俺たち。
そんな奴らでも、辿り着くことができる。
道は違っても… 同じ高みに。
ぱすっ、と音がして、ネットが揺れていた。
一瞬の静けさ…
直後、割れんばかりの大歓声が起きた。
春原「よくやった、岡崎!」
キョン「岡崎ぃ、すごいじゃないかっ!」
律「やるじゃん、岡崎っ」
唯「岡崎くん、MVP賞受賞だよっ!」
憂「岡崎さんっ」
澪「岡崎くん…すごいよっ、ほんとに…」
紬「やったね、逆転よっ」
梓「まぁ…認めます。おめでとうございます」
みんなが駆け寄ってくる。
澪「みんな…すごいよ」
澪「唯が言ってた通り…力を合わせれば、こんなこともできるんだって…」
澪「わだし…ぐす…感動だよ…」
朋也「泣くな。これくらいのことで」
春原「そうそう。当然のこと」
キョン「ははっ、だな」
しばし、みんなで喜びを分かち合う。
俺たちとやりあっていたバスケ部員たちは、仲間に非難され始めていた。
そいつらも、手でバツを作ったり、首を横に振ったりして、抵抗を示しているようだった。
だが、そんな中にも、俺たちに拍手を送ってくれる奴らもいた。
本気で戦っていたことを、本物たちに認められたようで、それが少しうれしかった。
憂「岡崎さんっ」
澪「岡崎くん…すごいよっ、ほんとに…」
紬「やったね、逆転よっ」
梓「まぁ…認めます。おめでとうございます」
みんなが駆け寄ってくる。
澪「みんな…すごいよ」
澪「唯が言ってた通り…力を合わせれば、こんなこともできるんだって…」
澪「わだし…ぐす…感動だよ…」
朋也「泣くな。これくらいのことで」
春原「そうそう。当然のこと」
キョン「ははっ、だな」
しばし、みんなで喜びを分かち合う。
俺たちとやりあっていたバスケ部員たちは、仲間に非難され始めていた。
そいつらも、手でバツを作ったり、首を横に振ったりして、抵抗を示しているようだった。
だが、そんな中にも、俺たちに拍手を送ってくれる奴らもいた。
本気で戦っていたことを、本物たちに認められたようで、それが少しうれしかった。
朋也「じゃあ、本題に移るか」
朋也「おい、つっ立ってないで、こっちこい」
ファンクラブの男を呼びつける。
しぶりながらもやってきた。
朋也「これで、文句ねぇだろ」
男子生徒「…文句っていうかさ…澪ちゃんは別に迷惑してなかったからいいだろ」
澪「え…」
男子生徒「そうだったじゃん。そんな嫌でもなかったんでしょ?」
春原「てめぇな、このごに及んで、なに言って…」
朋也「春原…」
手で制す。
春原「あん? なんだよ」
朋也「いいから、ちょっと黙ってろ」
春原「なんなんだよ…」
朋也「秋山、おまえはどうなんだ」
途中で止められ、怒りのやり場を失った春原をよそに、秋山にそう訊いた。
朋也「おい、つっ立ってないで、こっちこい」
ファンクラブの男を呼びつける。
しぶりながらもやってきた。
朋也「これで、文句ねぇだろ」
男子生徒「…文句っていうかさ…澪ちゃんは別に迷惑してなかったからいいだろ」
澪「え…」
男子生徒「そうだったじゃん。そんな嫌でもなかったんでしょ?」
春原「てめぇな、このごに及んで、なに言って…」
朋也「春原…」
手で制す。
春原「あん? なんだよ」
朋也「いいから、ちょっと黙ってろ」
春原「なんなんだよ…」
朋也「秋山、おまえはどうなんだ」
途中で止められ、怒りのやり場を失った春原をよそに、秋山にそう訊いた。
澪「そ、それは…」
朋也「嫌だったんだろ。はっきり言ってやれ」
澪「………」
男子生徒「おまえが言わそうとしてるだけだろどうみても。馬鹿か」
朋也「正直に言え。なにを言ったって、俺たちがついてるから」
俺は男の暴言に言い返すことはしなかった。
じっと、秋山の答えを待った。
澪「……です…」
男子生徒「え?」
澪「嫌です。もう、私に…」
澪「私に…」
澪「………」
澪「軽音部のみんなに、近づかないで」
最後には顔を上げ、しっかりと相手の目を見据え、はっきりと言った。
男子生徒「………」
男子生徒「ビッチすぎだろ…」
朋也「嫌だったんだろ。はっきり言ってやれ」
澪「………」
男子生徒「おまえが言わそうとしてるだけだろどうみても。馬鹿か」
朋也「正直に言え。なにを言ったって、俺たちがついてるから」
俺は男の暴言に言い返すことはしなかった。
じっと、秋山の答えを待った。
澪「……です…」
男子生徒「え?」
澪「嫌です。もう、私に…」
澪「私に…」
澪「………」
澪「軽音部のみんなに、近づかないで」
最後には顔を上げ、しっかりと相手の目を見据え、はっきりと言った。
男子生徒「………」
男子生徒「ビッチすぎだろ…」
捨て台詞を吐き、残していた仲間と共に体育館から出ていく。
春原「ったく、拒否られたからって、最後に変なこと言っていきやがってよ」
朋也「あんな奴の言うことなんて、気にするな」
澪「う、うん…」
春原「今度見かけたら、ぶっ飛ばしといてやるよ」
澪「そ、それはダメだよ」
春原「遠慮すんなって」
澪「気持ちだけ、受け取っておくよ。ありがとう」
春原「…ま、いいけどね」
キョン「おまえは喧嘩したかっただけだろ」
春原「ちがわい」
律「いやぁ、でも、驚いたわ。あの澪が、あんなはっきり断り入れるなんてな」
律「幼馴染のあたしでも、今までみたことなかったのにさ」
澪「岡崎くんが、背を押してくれたから…」
俺を一瞬だけ見て、顔を伏せる。
俺も、あんな恥ずかしいセリフを吐いてしまった手前、なにか気恥ずかしかった。
春原「ったく、拒否られたからって、最後に変なこと言っていきやがってよ」
朋也「あんな奴の言うことなんて、気にするな」
澪「う、うん…」
春原「今度見かけたら、ぶっ飛ばしといてやるよ」
澪「そ、それはダメだよ」
春原「遠慮すんなって」
澪「気持ちだけ、受け取っておくよ。ありがとう」
春原「…ま、いいけどね」
キョン「おまえは喧嘩したかっただけだろ」
春原「ちがわい」
律「いやぁ、でも、驚いたわ。あの澪が、あんなはっきり断り入れるなんてな」
律「幼馴染のあたしでも、今までみたことなかったのにさ」
澪「岡崎くんが、背を押してくれたから…」
俺を一瞬だけ見て、顔を伏せる。
俺も、あんな恥ずかしいセリフを吐いてしまった手前、なにか気恥ずかしかった。
勝って気分がよくなっていたとはいえ…猛省。
春原「おお? なに、いい雰囲気?」
律「初々しいねぇ、おふたりさん」
澪「え? ちちち、ちが…」
律「こぉのフラグ立て夫がぁ。略して立て夫がぁ」
俺を肘でつついてくる。
朋也「なにが立て夫だ…っ、あでででっ」
何者かに太ももをつねられる。
梓「………」
何食わぬ顔で中野が横に立っていた。
朋也「って、やっぱおまえかっ! なにすんだ、こらっ」
梓「すみません、ぎょう虫がいたもので、つい」
そんなのケツにしかいない。
律「あ~、立て夫が澪に優しくするもんだから…」
唯「ほらぁ、唯が元気なくしちゃってるじゃん」
春原「おお? なに、いい雰囲気?」
律「初々しいねぇ、おふたりさん」
澪「え? ちちち、ちが…」
律「こぉのフラグ立て夫がぁ。略して立て夫がぁ」
俺を肘でつついてくる。
朋也「なにが立て夫だ…っ、あでででっ」
何者かに太ももをつねられる。
梓「………」
何食わぬ顔で中野が横に立っていた。
朋也「って、やっぱおまえかっ! なにすんだ、こらっ」
梓「すみません、ぎょう虫がいたもので、つい」
そんなのケツにしかいない。
律「あ~、立て夫が澪に優しくするもんだから…」
唯「ほらぁ、唯が元気なくしちゃってるじゃん」
めっちゃおもろい
けどぶっ続けだろ少し休めよ
保守ならみんなやるで多分
けどぶっ続けだろ少し休めよ
保守ならみんなやるで多分
唯「そ、そんなことないよぉ…ないよ…」
紬「ふふ、唯ちゃん可愛い」
憂「お姉ちゃん頑張ってっ」
唯「え、ええ? なんのことか、わかんないっ」
律「はは、まぁいいや。とにかく、祝勝会だっ」
律「部室行くぞぉ」
がし、っと秋山の肩に手を回した。
澪「あ、こら律、歩きにくいっ」
律「細かいことは気にすんなっ」
―――――――――――――――――――――
キョン「じゃ、俺はここで」
体育館から直接旧校舎の一階までやってくると、そう言った。
朋也「おまえ、こないのか」
キョン「ああ、バスケ終わるまでって、言ってあるからな」
春原「いいじゃん、ちょっとくらい」
紬「ふふ、唯ちゃん可愛い」
憂「お姉ちゃん頑張ってっ」
唯「え、ええ? なんのことか、わかんないっ」
律「はは、まぁいいや。とにかく、祝勝会だっ」
律「部室行くぞぉ」
がし、っと秋山の肩に手を回した。
澪「あ、こら律、歩きにくいっ」
律「細かいことは気にすんなっ」
―――――――――――――――――――――
キョン「じゃ、俺はここで」
体育館から直接旧校舎の一階までやってくると、そう言った。
朋也「おまえ、こないのか」
キョン「ああ、バスケ終わるまでって、言ってあるからな」
春原「いいじゃん、ちょっとくらい」
キョン「そのちょっとが許されてたら、苦労してないんだけどな」
朋也「なんか、大変そうだな、おまえも」
あの日、文芸部室から出てきた時のこいつの顔を思い出す。
眉間にしわを寄せ、難しそうな顔をしていた。
いろいと複雑な環境なんだろう、きっと。
キョン「ああ、まぁな。でも…」
言いかけて、やめる。
キョン「…いや、なんでもない」
キョン「それじゃ」
唯「キョンくん、いつでも軽音部に遊びに来てね」
キョン「ありがたいけど…多分、顔を出すことはないと思う」
キョン「俺の居場所は、なんだかんだいって、あそこだからな」
親指で文芸部室をさす。
唯「そっか…そうなんだね」
キョン「ああ」
朋也「悪かったな、なにも見返りがなくて」
朋也「なんか、大変そうだな、おまえも」
あの日、文芸部室から出てきた時のこいつの顔を思い出す。
眉間にしわを寄せ、難しそうな顔をしていた。
いろいと複雑な環境なんだろう、きっと。
キョン「ああ、まぁな。でも…」
言いかけて、やめる。
キョン「…いや、なんでもない」
キョン「それじゃ」
唯「キョンくん、いつでも軽音部に遊びに来てね」
キョン「ありがたいけど…多分、顔を出すことはないと思う」
キョン「俺の居場所は、なんだかんだいって、あそこだからな」
親指で文芸部室をさす。
唯「そっか…そうなんだね」
キョン「ああ」
朋也「悪かったな、なにも見返りがなくて」
キョン「あったさ。久しぶりにおまえらとつるんで馬鹿やれたっていうな」
春原「うれしいこと言ってくれるじゃん」
朋也「ちょっと臭いけどな」
キョン「はは、最後までキツいな、岡崎は」
キョン「まぁ、それが、らしくていいよ。それじゃな。また機会があれば」
朋也「ああ、またな」
春原「じゃあね」
唯「ありがとう、キョンくん」
律「おつかれさん」
紬「ありがとう。おつかれさま」
澪「ありがとう、一緒に頑張ってくれて」
梓「ありがとうございました」
憂「おつかれさまでした」
俺たちの言葉を聞き終えると、部室に入っていった。
ドア越しに、また女と言い争うような声が聞えてくる。
だが、その声色に怒気は含まれていなかった。
どころか、生き生きとしているような印象さえ受けた。
春原「うれしいこと言ってくれるじゃん」
朋也「ちょっと臭いけどな」
キョン「はは、最後までキツいな、岡崎は」
キョン「まぁ、それが、らしくていいよ。それじゃな。また機会があれば」
朋也「ああ、またな」
春原「じゃあね」
唯「ありがとう、キョンくん」
律「おつかれさん」
紬「ありがとう。おつかれさま」
澪「ありがとう、一緒に頑張ってくれて」
梓「ありがとうございました」
憂「おつかれさまでした」
俺たちの言葉を聞き終えると、部室に入っていった。
ドア越しに、また女と言い争うような声が聞えてくる。
だが、その声色に怒気は含まれていなかった。
どころか、生き生きとしているような印象さえ受けた。
俺も詳しくは知らないが、それだけでわかった。
あそこが、あいつの収まるべき場所なんだろう、と。
―――――――――――――――――――――
律「かんぱ~い」
唯「いぇい、かんぱ~い」
中央にティーカップを寄せ集め、チンッ、と軽く触れ合わせた。
律「しっかし、本業のバスケ部相手に…」
唯「えいっ」
パンッ!
律「っいっつ…って、なぁにすんだよ、唯っ」
唯「このクラッカー、試合中に使おうと思ってたんだけど、使い時がわからなくて…」
まだ持っていたのか…。
唯「それで、今使ってみました」
律「今もタイミングずれてるってのっ! 私のトークが始まろうとしてただろがっ」
律「しかも、こんな近くで放ちやがって…」
唯「えへへ、ごめんね。みんなの分もあるよ?」
あそこが、あいつの収まるべき場所なんだろう、と。
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律「かんぱ~い」
唯「いぇい、かんぱ~い」
中央にティーカップを寄せ集め、チンッ、と軽く触れ合わせた。
律「しっかし、本業のバスケ部相手に…」
唯「えいっ」
パンッ!
律「っいっつ…って、なぁにすんだよ、唯っ」
唯「このクラッカー、試合中に使おうと思ってたんだけど、使い時がわからなくて…」
まだ持っていたのか…。
唯「それで、今使ってみました」
律「今もタイミングずれてるってのっ! 私のトークが始まろうとしてただろがっ」
律「しかも、こんな近くで放ちやがって…」
唯「えへへ、ごめんね。みんなの分もあるよ?」
>>47
容量いっぱいになったんだろ
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