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    元スレ朋也「軽音部? うんたん?」2

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    みんなの評価 : ★★★×4
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    52 = 5 :

    「反省の色がみえねぇ~…」

    「やろうよ、みんなでさ、おめでと~って」

    「はいはい…」

    全員に配り終える。

    「それじゃ、改めて…」

    「おめでとぉ~」

    パンッ パンッ パンッ

    次々に祝砲が上がる。

    パンッ!

    朋也「うぉっ…」

    俺の横からクラッカーの紙ふぶきが飛んでくる。
    腕を上げてガードしたのは、モロに食らってからだった。

    「ちっ、火力が足りなかったか…」

    一人だけ武器として扱っている奴がいた。

    「梓ちゃん、人に向けて打ったらだめだよ」

    「だって…自然と発射口が岡崎先輩を向くんだもん」

    53 = 1 :

    「自動照準なんて機能、ついてないよ…」

    春原「ははっ、なんか知らないけど、おまえ、ナメられてるよね」

    朋也「目潰しっ!」

    パンッ!

    春原「ぎゃぁああああああ目がぁああ目がぁああああっ!!」

    両目を押さえながらもんどり打つ。

    春原「なにすんだよっ! つーか…なにすんだよっ!」

    朋也「二回言うな」

    春原「ちくしょう、僕が失明でもしたらどう…ヒック…ぅう…すんだよ」

    しゃっくりが出始めていた。

    春原「ヒック…あー、くそ、止まんね…ヒック…」

    朋也「ヒックヒックうるせぇな。心臓の動き止めろよ」

    春原「無茶言うなっ! ヒック…」

    「普段はこんな奴らなのになぁ。試合の時とは、ほんと別人だよ」

    「ふふ、そうね。でも、やる時はやる、って感じでかっこいいと思うな」

    54 = 5 :

    春原「え? ほんとに? ヒック…」

    春原がしゃっくりを交えながら目を輝かせて反応する。

    春原「ムギちゃん、僕のこと、そんなにかっこいいと思う? ヒック…」

    「うん、ちょっと耳障りかな、その心臓の痙攣」

    春原「暗に勘違いするなって言ってますか、それ!?」

    「わははは!」

    春原「うぅ…ショックでしゃっくり止まっちゃったよ…」

    「じゃあ、あと一押し足りなかったかな…」

    春原「息の根も止めるつもりだったんすかっ!?」

    「はは、おまえ、ムギに相手されてねぇんだって。諦めろよ」

    春原「んなことねぇってのっ」

    「変なとこで根性あるなぁ、こいつは…」

    がちゃり

    さわ子「おいすー」

    「あ、さわちゃんだ」

    55 = 1 :

    さわ子「あれ? なに、この散乱してる紙ふぶきは」

    さわ子「パーティーの中盤戦みたいになってるじゃない」

    歩を進めながら言って、空いている席に腰を下ろした。
    すかさず琴吹がティーカップをそばに置く。

    さわ子「ありがと、ムギちゃん」

    「いえいえ」

    再びもとの席におさまる琴吹。

    「試合が終わったから、おつかれさま会してたんだよ」

    さわ子「あら、もう試合してきたのね」

    「うん。でね、相手はバスケ部の人たちだったんだけど、それでも勝てたんだよっ」

    さわ子「へぇ、やるじゃない」

    春原「まぁね。楽勝だったよ」

    「ほんとに、すごかったんですよ」

    「途中、逆転されても、みんな、諦めないで頑張って…」

    「背だって、相手の方がずっと高くて、有利だったのに…」

    「それでも、最後には勝つことができたんです」

    56 = 5 :

    「私、すごく感動しました…」

    さわ子「ふぅん、このふたりにそんな男気があったとはねぇ…」

    春原「僕はもともと男気の塊みたいなもんでしょ」

    朋也「取れたら、嬉しいんだか、嬉しくなんだかで葛藤する、あの塊のことか」

    春原「それ、ミミクソの塊だろっ! 僕、どんな奴だよっ!?」

    「わははは!」

    さわ子「そういえば、キョンくんは、いないのね」

    さわ子「あの子も試合に出たんでしょ? 誘ってあげなかったの?」

    「いや、自分の部活があるからって、来なかったんだよ」

    さわ子「ああ、なるほどね。あのクラブに入ってたんだっけ、あの子は」

    あの、を強調して言った。
    この人は、あいつの部活のことを知っているんだろうか。
    そんな口ぶりだった。

    さわ子「でも、岡崎。あんた、肩…大丈夫だったの?」

    朋也「ああ…まぁ、なんとかな」

    「え? なに、肩?」

    57 = 1 :

    さわ子「あら…てっきり、聞いてるのかと思ってたんだけど…」

    俺を見て、ばつが悪そうに表情を硬くする。
    俺が話す前に、自分が半ば打ち明けてしまったことを、悪く思っているんだろうか。
    今更こいつらに知られたところで、もうしこりが残るようなことでもないのに。

    朋也「俺、肩壊しててさ。右腕が、肩より上に上がらないんだよ」

    だから、俺の口からそう告げていた。

    さわ子「岡崎…」

    朋也「いいよ、平沢にはもう話してるしな」

    さわ子「…そう」

    事情を知っている者以外は、みな驚きの表情を浮かべていた。

    「そうだったのか…だから、練習中もシュート打ってなかったんだな…」

    朋也「ああ、まぁな」

    「じゃあ…逆転決めた、あんたの最後のシュートも、肩庇いながら…」

    朋也「ああ。それでかなり無様な格好になっちまったけどな」

    「そんなことないよっ、すごく格好良かったっ」

    朋也「そっか…サンキュな」

    58 = 5 :

    「ううん、本当に、そう思ったから…慰めなんかじゃないから」

    朋也「ああ…ありがとな」

    「うん…」

    さわ子「…あらあら? 岡崎にも、ようやく春が訪れたのかしら?」

    朋也「あん?」

    さわ子「あんた、あの、恋する乙女の眼差しに気づかないの?」

    「せ、せせ先生、なに言ってるんですかっ…」

    さわ子「でも、澪ちゃんが、あの岡崎になんて、意外だわ」

    さわ子「ああっ、でもそういう意外性もまた、若さの特権よねぇ…」

    しみじみという。
    この人もまだそんなに歳食ってもいないだろうに。多分。

    「ち、ちが…」

    「うわぁ、澪、顔真っ赤だなぁ」

    「な、う、うるさいっ」

    「で、実際どうなんだよ」

    「な、なにが…」

    59 = 1 :

    「いや、だから、岡崎だよ。アリかナシか」

    「そ、それは…」

    「ありゃ、即答しないな? ってことは…」

    「深読みするなっ」

    ぽかっ

    「あでっ」

    「殴って誤魔化すなよなぁ…」

    「おまえがへんなこと言うからだっ」

    「ああはいはい、すいませんでしたねぇ…」

    「って、しまった、また唯の元気がなくなってるし」

    「わ、私は元気だよ…いつも通りだよ…」

    「ゆ、唯、違うんだ、私は別に…」

    「な、なんで謝るのぉ、澪ちゃん。いいじゃん、岡崎くんと澪ちゃんのカップル」

    「どっちも、美形ですっごく似合ってるよっ」

    「ゆ、唯までそんな…」

    61 = 5 :

    「はは、唯、強がんなって、このこのぉ」

    首に腕を回し、ぐりぐりと平沢の頭に拳を当てた。

    「本心だよぉ…もうやめてぇ~りっちゃんっ」

    いじられ続ける平沢。
    しかし…
    女というのは、浮いた話に持っていくのが好きな生き物なんだろうか。
    なにかあると、すぐに冷やかされている気がする…。

    朋也(…ん?)

    俺の横の席、中野が何か両の手でくるくる回していた。
    そして、おもむろに俺の頬に触れてくる。

    朋也「…っだぁっつっ」

    その指先から、バチッ、とした痛みが走った。

    朋也「なにしやがった、こらっ」

    「静電気ですよ」

    朋也「はぁ? 静電気?」

    「この、『電気バチバチくん』を手の中でこねると、静電気がたまるんです」

    鉄製の棒のようなものに触れながら説明してくれた。

    62 = 1 :

    朋也(あぶねぇ…なんてもん持ってんだ…)

    朋也「つーか、今俺が攻撃された理由がわからん」

    「流れが気に食わなかっただけです」

    「モテ男みたいに扱われて、調子に乗られたら嫌ですから」

    朋也「思ってねぇよ、んなこと…」

    「あの、岡崎さん」

    朋也「うん? なんだ、憂ちゃん」

    「何か、困ったことがあったら、いつでも言ってきてくださいね」

    「私、力になりたいです」

    それは、俺の肩のことを気にかけていってくれてるんだろう。

    朋也「ああ、大丈夫。こんな肩でも、そこそこ不自由しないからさ」

    「そうですか…?」

    朋也「ああ」

    「憂、この人なら、頭が吹き飛んでても不自由しないから、ほっといてもいいよ」

    俺のアイデンティティが粉々にされていた。

    63 = 6 :

    梓と朋也のやり取りが面白いwwwwwww

    64 = 5 :

    「梓ちゃん、ほんと厳しいよね、岡崎さんに…」

    「憂が甘すぎるんだよ」

    朋也(っとにこいつは…生意気な野郎だ)

    勝利の宴は、日が暮れるまで続いていた。

    ―――――――――――――――――――――

    春原「うげぇえっぷ…ふぅ」

    「きったねぇな馬鹿野郎、勝手にすっきりしてんじゃねぇよ」

    春原「生理現象なんだから、しょうがないじゃん」

    「あんたが炭酸飲み過ぎなだけだろ」

    春原「いや、おまえのデコみたら、誘発されたんだけど」

    「ぬぁんだとぉ、この白髪染め野郎っ!」

    春原「脱色だってのっ! 白髪なんか一本もねぇよっ!」

    「嘘つけっ、白髪染め液のパッケージにおまえっぽいのいたもんっ」

    春原「別人だろっ! 似て非なるものだよっ!」

    春原「育毛剤のパッケージにおまえ本人がいるならわかるけどさっ」

    65 = 1 :

    「い、育毛剤だと!? こぉの野郎…」

    春原「ふん…やんのかい? お嬢ちゃん…」

      「きえぇえええええっ!」
    春原「ほおぁあああああっ!」

    何かの動物のような鳴き声と型を取って威嚇しあう。
    毎回のことなので、もう誰も止めようとしなくなっていた。

    「岡崎くん、今日はありがとね」

    ふたりが生む喧騒の外、秋山が俺に礼の言葉をくれた。

    朋也「いや、別に。結果的に勝てたし、俺もわりと気分よかったからな」

    「あ、そのこともなんだけど、もうひとつ…」

    朋也「ん?」

    「えっと…あの時、私に、正直になれって、後押ししてくれたこと」

    朋也「ああ…」

    「岡崎くんのおかげで、私、自分の気持ちがそのまま言えたんだ」

    「今まで、怖がって、仲のいい友達にしか本音を言えなかった私が、だよ」

    朋也「そっか。じゃあ、すっきりしただろ」

    66 = 5 :

    「うん、ちょっとね」

    言って、苦笑する。

    朋也「これからは本音だけで喋れよ」

    朋也「例えば、ブルドックを可愛いって言う人がいたとするだろ?」

    朋也「そしたら、正面から前蹴り食らったような顔面だ、って言ってやるんだ」

    「あはは、それは、難しいかなぁ」

    朋也「簡単だって」

    「それは、岡崎くんだからだよ」

    「岡崎くん、お世辞言いそうにないもんね」

    朋也「ああ、臭いものは臭いって言うし、春原には馬鹿って言うぞ」

    春原「聞えてるよっ!」

    「あははっ」

    ―――――――――――――――――――――

    各々が自分の帰路につき、俺と平沢姉妹だけが残った。
    三人で今朝も歩いてきた道をいく。

    「岡崎くん、澪ちゃんと仲良くなったよね」

    67 = 1 :

    朋也「そうか?」

    「うん。だって、いっぱい喋ってたし…」

    朋也「そんなでもないけど」

    「でも、あの恥ずかしがり屋の澪ちゃんが、平気で話してるし…」

    「それに、楽しそうに笑ってたし…」

    朋也「単に慣れただけなんじゃないのか」

    「そうなのかなぁ…」

    朋也「そうだろ」

    「う~ん…」

    「岡崎さんって話しやすいですもんね」

    「きっと、澪さんもそう思ったんじゃないかなぁ」

    朋也「そんなこと言ってくれるのは憂ちゃんぐらいだよ」

    言って、頭をなでる。
    憂ちゃんも、笑顔で返してくれた。

    「でもさぁ、岡崎くんもなんか楽しげだったよね」

    「やっぱり、澪ちゃんみたいな美人さんとお喋りするのは楽しい?」

    68 = 43 :

    数百レスかいてきて岡崎と春原のキャラがここまでぶれないのはすごい

    69 :

    ハーレムルートならマジ勘弁

    70 = 5 :

    朋也「まぁ…そうだな」

    容姿がよければ、大抵の男はそうだろうと思う。

    「そうだよね…あはは…」

    朋也「でも、俺の好みとしては、美人系よりかは、可愛らしい方がいいけどな」

    「じゃあ…ムギちゃんとか?」

    朋也「琴吹は、そうかもしれないけど、ちょっと大人っぽいしな」

    朋也「だから、俺の中じゃ、きりっとしたイメージがあるんだよな」

    「じゃあ、あずにゃんとか」

    朋也「あいつはガキっぽすぎるっていうか…」

    それ以前の問題な気がする。

    朋也「まぁ、軽音部の中で言うなら…おまえが、一番近いよ」

    71 = 1 :

    「え…あう…わた、私…?」

    朋也「ああ…まぁ、な…」

    「それは…ご期待に添えられて、よかったです…」

    朋也「いや…別になにも要求してないけどな…」

    「そ、そうだったね…あははっ」

    「岡崎さん、お姉ちゃんを末永くよろしくお願いしますね」

    朋也「って、それ、どういう意味だ」

    「さぁ? うふふ」

    「う、憂っ、今日の晩御飯なに?」

    「ん? 今日はねぇ、若鶏のグリルと…」

    晩飯の話題で盛り上がる平沢姉妹。
    俺はずっと横でそれを聞いていた。
    いつしか俺は、こんな日々がずっと続いてくれればいいと…
    そう、願うようになっていた。

    ―――――――――――――――――――――

    72 = 1 :

    4/25 日

    朋也「ふぁ…ん」

    早い時間、自然と目が覚める。
    体に重さを覚えることもなく、寝直す気にもならない。
    ここ数日、バスケの試合に向けて体調を管理していたおかげだろう。
    まぁ、それも、単に体が疲れて早めに床についていただけの事だったが。
    ともかく、生活サイクルが朝方に戻ってきたのは確かだった。
    疲労とは、人の意思だけでは、どうにも抗い難いものだ。
    休みたいという欲求が、平常時の思考を簡単に上回る。
    まるで、本能のようにだ。
    そのせいで、春原の部屋を出ていく時間が早まり、何度か親父と顔を合わせていた。
    その瞬間はたまらなく嫌だったが、すぐに不快感は薄れ、意識はベッドへ向いていた。
    俺のこだわっていた、つまらない意地なんて、現実的な負荷の前では無意味なものだ。
    そういえば…前にも似たようなことを思ったことがある。
    そう、芳野祐介の手伝いをした時だ。

    朋也(とっとと中退して、働きでもしたら、やる気出るのかな…)

    本当に出るだろうか…。
    いや、とてもそうなるとは思えない。
    まだ、何も考えずに授業を受けていたほうが楽な気がする。
    食うために働き続ける…。
    そんな歯車にはまってしまえば、自分が哀れに思えても、放棄することもできなくなってしまうのだろう。
    考えただけでも、ぞっとする。

    朋也(でも、もう後一年なんだよな…)

    ………。

    73 = 13 :

    溜めて見るべきか、同時進行で見るべきか…
    とにかくがんがれ

    74 = 5 :

    やめだ。こんな重苦しいこと、朝っぱらから考えていたら、気分が滅入る。

    朋也(いくか…)

    重い気分を振り払うように、勢いをつけて体を起こした。

    ―――――――――――――――――――――

    春原「ん…うひひ…」

    朋也(まだ寝てやがる…)

    春原の部屋。
    ベッドの中で、幸せそうに寝息を立てていた。
    こいつも、朝錬なんかしていたくらいだから、もう起きているだろうと見込んでいたのだが…。

    春原「うひ…ひひ…」

    どんな夢を見ているんだろう。
    布団の端を掴んで、口の中でもごもごさせていた。

    朋也(なにか他のものを入れてみよう)

    俺は台所に向かった。
    冷蔵庫を漁る。
    いくつか適当に調味料を手に取って、また戻ってくる。

    朋也(よし、まずはこれだ)

    マヨネーズを口に近づけてみる。

    75 = 1 :

    春原「う…む…」

    吸い出していた。

    朋也(じゃあ、次は…)

    コショウを近づける。
    だが、さすがに非流動体では口で吸えないようだった。

    朋也(だめか…ん?)

    と思ったら、鼻の呼吸で吸い込み始めていた。

    春原「ん…ぶはぁっ!」

    荒々しく目覚める。

    春原「げほっ…んだよ、マヨネーズ…?」

    朋也「おはよう」

    春原「うおっ、岡崎っ」

    朋也「俺が来てやったんだから、もう起きろ」

    春原「いや、まずどうやって入ってきたんだよ、鍵は…」

    朋也「不用心にもかかってなかったぞ。しっかりしろよ」

    朋也「まぁ、俺が昨日、閉めずに出たんだけどさ」

    76 :

    ハーレムルートならマジ支援

    77 = 5 :

    春原「なら、偉そうに注意促すなっ!」

    朋也「んなマヨネーズみたいな感じで言われてもな…」

    春原「僕の意思じゃねぇよ…起きたら、いきなりこんなんだったんだよ」

    春原「昨日、無意識にマヨネーズで一杯やって寝ちゃったのかな…」

    朋也「心配するな。そんな情けない宅飲みはしてないぞ」

    朋也「俺が今、直接そそいでただけだからな。すっきり起きられるようにさ」

    マヨネーズとコショウを手に持ってみせる。

    春原「普通に起こせよっ! しかも、なんだよ、そんなに色々持ってきやがって…」

    テーブルの上に置かれた様々な調味料に気づいたようだ。

    春原「ワサビまであるしさ…」

    朋也「おまえの体内で、全く新しい調味料を調合しようと思ったんだ」

    春原「変な探究心燃やすなっ!」

    ―――――――――――――――――――――

    春原「くそぅ、昼まで寝てようと思ってたのによ…」

    着替えを済ませても、まだぶつぶつと文句を垂れ流していた。

    78 = 31 :

    このSS勃起はするけどそれで抜くことはできない…

    79 = 1 :

    朋也「せっかくの日曜なんだから、もっと有意義に過ごせよ」

    春原「めちゃ脱力してうつ伏せになってるあんたに言われたくないんですけどっ」

    朋也「ま、それはそれとしてだ…」

    上体だけ起こす。

    朋也「朝飯食いに行こうぜ。俺まだ食ってないし」

    春原「いいけどさ。どこいくの」

    朋也「朝定食があるとこ」

    春原「じゃあ、近くにある適当な定食屋でいいよね」

    朋也「この辺のはあんまり好きじゃないんだけど」

    春原「なら、繁華街の方まで出る?」

    朋也「遠い」

    春原「マジでわがままっすね…」

    朋也「やっぱ、宅配ピザ頼もうぜ」

    朋也「それで、手がギトギトになって、部屋中油まみれにしよう」

    春原「絶対外食にするからなっ!」

    80 = 5 :

    朋也「なんでも否定するな、おまえ。そんなに世の中に不満があるのか」

    春原「あんたがめちゃくちゃなこと言うからでしょっ!」

    春原「つーか、マジでどうすんの。そろそろ決めてよ」

    朋也「そうだな、じゃあ、駅前に出るか」

    朋也「琴吹がバイトしてるファストフードの店があるんだけど、そこにしよう」

    春原「え!? ムギちゃん、バイトなんかしてんの?」

    朋也「ああ、この前みかけたぞ。クーポンももらったしな」

    春原「へぇ、偉いなぁ、お嬢様なのに。やっぱ、いい子だよ」

    春原「うしっ、そうと決まれば、早くいこうぜっ」

    朋也「そういきりたつなよ。俺の動く気が失せちゃうじゃん」

    朋也「前日までテンション高かったのに、当日になって萎える感じでさ」

    春原「あんた、面倒くさいぐらい繊細っすねっ!」

    ―――――――――――――――――――――

    「ありゃ、岡崎に春原じゃん」

    駅前まで出てくると、偶然部長と鉢合わせた。

    81 = 1 :

    春原「げっ、部長」

    「なんだよ、その反応はっ」

    「こんな美少女に出会えたこと、神に感謝しろよっ」

    春原「するかよ。むしろ、謝って欲しいぐらいだね」

    春原「今からせっかくムギちゃんのバイト先に行こうってとこだったのにさ」

    春原「はぁ…台無しだよ」

    「あん? なに、あんたらもあそこのハンバーガー食いに来てんの?」

    春原「も…ってことは、おまえもかよ」

    「私はそうだけど…かぁ、なんだよ、目的地一緒なのか…」

    春原「嫌なら、雀荘にでも入り浸ってろよ」

    「なんで雀荘なんだよっ! おまえがパチ屋にでも行ってろよっ!」

    「私の方が先に行くって決めてたんだからなっ!」

    春原「いいや、僕だっ!」

    「私だっ!」

    春原「………」
      「………」

    82 = 5 :

    だっ、と店まで駆けていくふたり。

    朋也(そういう速さを競うのかよ…)

    俺もその後を追う。

    ―――――――――――――――――――――

    「いらっしゃいませ~…」

    「あら…」

    春原「いやぁ、いらしゃっちゃった」

    「割り込みすんなっ、アホっ」

    春原「僕のが早かったってのっ!」

    「あのぉ…」

    春原「すみませんね、このデコがうるさくて」

    「なんだと、こらっ」

    春原「あ、注文いいですか」

    「はい。どうぞ」

    春原「じゃあ…君の体を一晩…なんてね」

    83 = 1 :

    「ご注文は、廃棄ピクルスが一点、以上でよろしいですか?」

    春原「死ねってことっすかっ!?」

    「ぶっ、うくくく…」

    ―――――――――――――――――――――

    注文と会計を終え、テーブルにつく。

    春原「ったく、なんでおまえが一緒に座ってんだよ」

    「しょうがねぇじゃん、他に席が空いてないんだからさ」

    春原「他人の席に勝手に相席してウザがられてくればいいじゃん」

    「そんなの私のキャラじゃないしぃ」

    「おまえのが似合ってるぞ、普段からウザがられてるしな」

    春原「あんだと?」

    「事実だろぉ?」

    「お待たせしましたぁ」

    琴吹が大きめの盆に注文の品を載せ、運んできてくれる。
    またレジと代わってもらったんだろう。

    春原「お、ムギちゃん直々に持ってきてくれるんだね」

    84 = 51 :

    両津「げっ、部長」

    85 = 5 :

    「センキュー、ムギ」

    「これがお仕事だからねぇ。はい、どうぞ」

    言って、テーブルに盆を置いた。

    「今日は、三人で遊んでるの?」

    「違うよ、たまたま会っただけだって」

    春原「そうそう。僕がわざわざこいつと遊ぶなんて、ありえないよ」

    「そりゃ、こっちのセリフだってのっ」

    「まぁまぁ、ふたりとも。仲良くしなきゃ」

    「無・理」

    「りっちゃん…もう、これからは部室でお菓子出せなくなるかも…」

    「え、なんでさ!? そんなことしたら軽音部じゃなくなるじゃん!」

    それもどうかと思うが。

    「だって…ふたりが喧嘩してるところをみるなんて、私、悲しくて…」

    「そのショックで自我が保てなくなりそうなんだもの…」

    「んな、オーバーな…」

    86 = 1 :

    「だから、仲良くして?」

    「…わかったよ。でも、ちょっとだけだぞ」

    「春原くんも、ね?」

    春原「まぁ、ムギちゃんがそう言うなら、僕も少しぐらいは…」

    「よかったぁ。それじゃ、握手しましょ」

    春原と部長の手を取って、握らせる。

    春原「………」
     「………」

    「わぁ、ぱちぱちぱち~」

    ひとりで拍手を送っていた。

    「じゃあ、岡崎くん、このふたりをよろしくね」

    朋也「ん、ああ…」

    「では、ごゆっくり~」

    最後は店員の職務に戻り、恭しく下がっていった。

    朋也(よろしくったってなぁ…)

    87 :

    朝からずーっと書いてて大丈夫なのかな?

    88 :

    書き溜めてあるんだろうけど
    書きこむ労力がスゴイよな

    89 :

    岡崎と春原のかけあい上手いなあ…

    90 = 5 :

    春原「……こっのっ…」

    「…くのっ…くのっ…」

    握手から指相撲に移行していた。

    朋也(どうしようもねぇだろ…)

    ―――――――――――――――――――――

    春原「ムギちゃんが言うから、仕方なくちょっとだけ遊んでやるんだからな」

    「まんま私の事情だからな、それ」

    差し当たって俺はこのふたりにゲーセンで遊ぶよう提案していた。
    すると、どちらもゲーセン自体は好きだったようで、了承を得ることができていた。

    春原「はっ、言ってろよ。でもな、馴れ合うつもりはないからな」

    春原「男らしく、対戦できるゲームで勝負しろっ」

    「私は女だっつーのっ!」

    最初からこんなんで、大丈夫だろうか…。

    ―――――――――――――――――――――

    春原「うりゃりゃりゃっ!!」

    「ヴォルカニックヴァイパァーっ!!」

    91 = 1 :

    最初に選んだのは、オーソドックスに格闘ゲームだった。
    画面の中で激しくコンボが交錯する。
    俺はその様子を春原側の筐体から見ていた。

    朋也(しっかし…)

    同キャラ対戦だからなのかもしれないが、立ち回り方も大体似ているというか…
    こいつら、やっぱり、ほんとは気が合うんじゃないだろうか。

    春原「だぁ、くっそ…」

    KOの文字がでかでかと表示されていた。
    春原が負けたようだ。

    春原「あっ、あの野郎…」

    死体となった春原のキャラに、超必殺技が繰り出されていた。

    春原「てめぇ、悪質だろっ!」

    立ち上がり、向かい側にいる部長に噛み付く。

    「はーっはっは! 勝利者の特権だっ。悔しかったら勝つことだなっ」

    向こうも筐体の上から顔を覗かせて、言い返してくる。

    春原「ちきしょー、連コインだっ!」

    「オウ、きなさい、ボクチン」

    92 = 5 :

    結局、4連戦し、2勝2敗で引き分けていた。

    ―――――――――――――――――――――

    春原「次はレースで勝負だっ」

    「のぞむところだっ!」

    春原「岡崎、おまえも混じれよ」

    朋也「ああ、いいけど」

    ―――――――――――――――――――――

    運転席を模した筐体の中に乗り込み、硬貨を入れる。
    コースと使用する車種を選ぶと、レースが始まった。

    春原「うらぁああっ!」

    「あ、なぁにすんだよ!」

    春原の車が一直線に部長車めがけて突っ込んでいった。
    摩擦で煙を立てながら壁に押し付けられている。

    「くっそぉぉっ!」

    アクセルを全開にして窮地を脱する部長の車。
    今度は部長が春原のケツにつき、追突していた。

    春原「てめぇっ!」

    93 = 1 :

    「おりゃりゃっ!」

    格闘ゲームのノリを引きずったまま、激突しあう。
    俺が安全運転で一周してきても、まだ同じ場所で争っていた。
    ふたりをその場に残し、周回を重ねるべく過ぎ去っていく俺。

    春原「うわぁっ」

    「ひゃあっ」

    朋也(なんだ?)

    俺の画面に煙のグラフィックが立ち込めていた。
    見れば、春原の車と部長の車が爆発して炎上していた。

    朋也(なにやってんだよ…)

    「あーも、おまえがいっぱいぶつかるからぁ」

    春原「おまえの車がもろいのが悪いんだよっ」

    「なにぃ?」

    ゲーム内どころか、プレイヤー同士でも争いが起き始めていた。
    その間もレースは進んでいく。
    そして、常に安全運転を心がけていた俺が順当に1位を取っていた。

    春原「あ、てめぇ、岡崎、ずりぃぞっ」

    「漁夫の利か、この野郎っ!」

    94 = 1 :

    言いがかりをつけ始められていた。
    こんな時だけは結託する奴らだった。

    ―――――――――――――――――――――

    朋也「なぁ、発想を変えて、協力プレイができるやつにしたらどうだ」

    朋也「仲良くするっていうのが、一応の建前だろ」

    春原「まぁ、そうだけどさ…」

    「協力かぁ…」

    顔を見合わせる。

    春原「はぁ…」
      「はぁ…」

    同時にため息を吐いていた。

    朋也「シューティングゲームでもやってみろよ」

    朋也「ほら、あのテロリストを鎮圧する奴とかさ」

    春原「…まぁいいけど」

    ―――――――――――――――――――――

    春原「おまえ、けっこうやるじゃん」

    95 = 13 :

    >>68
    けいおんはもともと男出てこないからな、こういうキャラでもちゃんとイメージできる
    クラナドの世界観はすげえうまく表現してる

    96 = 5 :

    「へへっ、おまえもな」

    やはり相性がいいのか、序盤は上手く連携し、なんなく突破していた。
    このまま何事もなくいってくれればいいのだが…

    春原「うわっ、なにすんだよっ」

    「あ、わり」

    部長の放ったロケットランチャーの爆風に春原が巻き込まれていた。

    春原「ちっ、今後は気ぃつけろよ」

    「感じ悪ぃなぁ…あんたが変な位置に居るのも悪いんだろ…」

    フレンドリーファイアで少し空気が悪くなっていた。
    お互い、単独プレイも目立ちだす。

    「あ、今のアイテム私が狙ってたのにぃ」

    春原「早いもん勝ちだろ」

    「むむ……」

    徐々に亀裂が大きくなっていく。
    そんな時、事件は起きた。

    「あーっ、おまえ、私撃ったなっ!」

    春原「わり、ミスった」

    97 = 1 :

    「嘘つけ、アイテム欲しさに消そうとしたんだろっ」

    「殺られるまえに殺ってやるっ」

    春原に向けてマシンガンを放つ部長。
    画面が血で染まっていく。

    春原「てめぇ、やりやがったなっ!」

    春原も火炎放射やロケットランチャーで応戦していた。
    ふたりとも、ボス戦に備えて温存しておいたであろう武器を躊躇なく使っていく。
    ステージも破壊しつくされ、ボロボロになっている。
    敵テロリストも真っ青の破壊活動だった。

    ―――――――――――――――――――――

    「やっぱ、協力はダメだな。勝負しなきゃ」

    「音ゲーで決着つけようぜ」

    春原「ふん、のぞむところだ」

    朋也「おまえに不利なんじゃないのか。相手は軽音部部長だぞ」

    春原「関係ないね。僕の天性のセンスさえあれば」

    朋也「あ、そ」

    ―――――――――――――――――――――

    98 :

    >>84
    俺も思った

    99 = 5 :

    「…ふぅ」

    最後に一発、たんっ、と叩き終える。
    部長が選んだのは、ドラム型の筐体だった。
    その実力は、思わずプレイに見入ってしまう程のものだった。
    この類のゲームをやったことのない素人の俺でも、だ。
    恐ろしいスピードで迫ってくるシンボルをほぼ逃すことなく叩いていた。
    あんなのに反応できるなんて、正直考えられない。

    春原「…な、なかなかやるじゃん」

    動揺を隠せていなかった。
    GREAT!と表示された画面を見て固まっている。

    「次はあんたな。あたしより高得点出してみなよ」

    春原「ふん、やってやるさ…」

    硬貨を投入する。
    そして、曲の選択が始まった。
    どんどん下にスクロールしていく。

    春原「ボンバヘッ入ってないとか、イカれてんな、これ…」

    そんなのが入っているほうがおかしい。バグの領域だ。

    春原「ま、いいや、これで」

    選曲が終わり、ゲームが開始される。
    ノリのいいヒップホップのリズムが流れてきた。

    100 = 1 :

    春原「YO! YO!」

    MISS! MISS! MISS!

    ガシャーンッ!

    春原「…あ」

    金網の閉じられるような音と共に、画面にはゲームオーバーの文字が躍る。
    つでにブーイングも聞えてきた。

    朋也(だせぇ…)

    春原「なんだよこの機械っ! 僕のビートがわからないのかよっ!」

    「はっは、画面に八つ当たりするなよな」

    春原「こんなポンコツで勝負しても意味ねぇってのっ」

    春原「ボンバヘッも入ってないしよ…無効試合だっ!」

    「んとに、ガキだなぁ、おまえは…」

    ―――――――――――――――――――――

    春原「だぁ、なにやってんだよ、ゼスホウカイっ!」

    春原「おまえの単勝1点買いだったんだぞっ」

    「はは、馬鹿め、オッズに目が眩んだようだな」


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