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元スレ新ジャンル「幼女980円(税)」七人目。
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「……」ギュッ
オレは無言で幼女を抱きしめた。
「ふぇ?」
「もう何も心配いらないから、今は……好きなだけ泣いていいよ」
「あ、ありがとう……ございます……うぅ、」
そうして大きな声をあげて泣き始めた。
オレは無言で幼女を抱きしめた。
「ふぇ?」
「もう何も心配いらないから、今は……好きなだけ泣いていいよ」
「あ、ありがとう……ございます……うぅ、」
そうして大きな声をあげて泣き始めた。
――30分後。
「……落ち着いたか?」
「はい」
「……名前、どうしようか?」
「ご主人様が決めて下さい」
「そうだな……シロ、なんてどうだ」
我ながら安直だとは思うが……正直とっさに思いつかなかった。
「シロ……ですか」
「ああ。 見た目もそうだが、中身も何も染まっていない、何色にも染まれる、ってことでな」
「シロ……いいですね、気に入りました」
「よかった。 それとオレのことは『ご主人様』じゃなくて泰彦と呼んでくれ」
「泰彦……さん?」
「そうだ」
「わかりました、これからお世話になります、泰彦さん」
「ああ、こちらこそよろしくな」
「……落ち着いたか?」
「はい」
「……名前、どうしようか?」
「ご主人様が決めて下さい」
「そうだな……シロ、なんてどうだ」
我ながら安直だとは思うが……正直とっさに思いつかなかった。
「シロ……ですか」
「ああ。 見た目もそうだが、中身も何も染まっていない、何色にも染まれる、ってことでな」
「シロ……いいですね、気に入りました」
「よかった。 それとオレのことは『ご主人様』じゃなくて泰彦と呼んでくれ」
「泰彦……さん?」
「そうだ」
「わかりました、これからお世話になります、泰彦さん」
「ああ、こちらこそよろしくな」
とりあえずここまで
書いてる途中で何度も二人の性格が変わってしまったのが反省点
あとは文章が冗長してしまったことか
指摘、感想お願いします
書いてる途中で何度も二人の性格が変わってしまったのが反省点
あとは文章が冗長してしまったことか
指摘、感想お願いします
実はさー、次のシーンでさー、索太の妹とさー、幼男をさー、出そうと思ったんだけどさー
幼男の名前を“ハク(白:三元牌)”に予定してたら上のでほぼモロ被りだから別の名前にするさー(`;ω;´)
幼男の名前を“ハク(白:三元牌)”に予定してたら上のでほぼモロ被りだから別の名前にするさー(`;ω;´)
>>908
マジかwそれはすまんかったww
マジかwそれはすまんかったww
>>909
いいのよいいのよ、全然いいのよ!
必死に考えて新しい名前決まったから!!
うん、実は元の名前に戻っただけだから!!
元の名前→ハク(白)→新しい名前 で、 元の名前=新しい名前 になったんだから!!
つーか俺必死すぎるから!!
いいのよいいのよ、全然いいのよ!
必死に考えて新しい名前決まったから!!
うん、実は元の名前に戻っただけだから!!
元の名前→ハク(白)→新しい名前 で、 元の名前=新しい名前 になったんだから!!
つーか俺必死すぎるから!!
幼「…くぅ」
女「…さてさて」
男「おう」
女「寝てしまったね」
男「どうして、俺の膝で」
女「疲れてたんだろうね。もう夜だしね」
男「あと、外に閉め出されたりな」
女「私も眠いよ。もう寝よ?」
男「いちいち発言が良いな。言ってて恥ずかしくないか?」
女「自分でも何言ってんだかって思うよ。もう開き直り」
男「じゃあ俺も開き直ろう。ぱっかーん」
女「おお、男くんの開き」
男「ぱっかーん、ぱっかーん」
女「おー」
男「ぱっかーんん!」
女「いやそんな推されても、やらないから」
男「腹もくくったし、家に連絡しようと思う」
女「あー泊まりのね。それはしたほうが良い」
男「ちょっと俺の携帯とってくれる?」
女「? 自分でとれば…」
男「ほら、膝にこいつがいるからさ」
女「…そうだったよね。でもこの辺には無いみたい」
男「おかしいな、ちょっと探してきて」
女「おやすみなさい」
男「いやーん!」
男「分かったよ。じゃ自分で探すから、せめて俺のにかけてくれよ」
女「…むぅ」
男「俺のに、かけて。」
女「わかったから」
男「俺のここに、お前の、いっぱいかけてぇ!」
女「おやすみなさい」
男「うおーい!」
女「…むぅ」
男「俺のに、かけて。」
女「わかったから」
男「俺のここに、お前の、いっぱいかけてぇ!」
女「おやすみなさい」
男「うおーい!」
男「ひどく、疲れた。」
女「いいえ、それは私の方です」
男「だから、お願い。僕のに、かけて」
女「…無限ループって怖いよね。耐久戦?」
男「ちょっとした悪ふざけですもうしませんごめんなさい」
女「…ちゃんと鳴るんだろうね」カチカチ
男「マナーにしてあるけど、多分大丈夫」
…ぶいいいいいいん
男「あ」
女「あ」
男「胸ポケットか」
女「だね」
幼「あばばばば」
男「…よしオッケー」パタン
女「どう説明したの?」
男「別に、友達に泊めてもらうって。だってそうだろう」
女「詮索とか、なかった?」
男「女の子?って言われた。馬鹿にしたように」
女「それでそれで?」
男「ちげーよ!女だよ!って」
女「はあ」
男「あーなんだ、女ちゃんね とさ」
女「切ねー。」
男「なんだかな」
女「…寝ようか」
男「そうだね」
女「妙なことはしないでね」
男「わかってるよ」
女「信頼してるからね」
男「はいはい」
女「…」
男「…酷なこと言ってるよなあ」
女「…やっぱりそうかなあ」
男「何か言ったか」
女「いんや」
ミクさんおつー
男の胸ポケットにかなちゃんの側頭部が当たってるんですね分かります!
次にミクさんは『当ててんのよ』と言う……!!
男の胸ポケットにかなちゃんの側頭部が当たってるんですね分かります!
次にミクさんは『当ててんのよ』と言う……!!
脳内ではうつ伏せに顔を埋めるかんじ
側頭部でも良さげですが、ちょっとなんか痛そう
側頭部でも良さげですが、ちょっとなんか痛そう
漢は黙って新作投下。
タイトルの「one-night stand」とは、
「一夜限りの演劇興行」とか
「一夜限りの情事」とか言う意味です。
タイトルの「one-night stand」とは、
「一夜限りの演劇興行」とか
「一夜限りの情事」とか言う意味です。
猫を飼うのが、夢だった。
しかしお袋が許してくれなかった。動物は好きなくせに絶対に飼おうとしなかったし、
猫を拾ってきたら俺ごと家から追い出して、捨ててくるまで絶対に家に入れてくれなかっ
た。それで真冬の一晩、飯抜きで猫を抱いて過ごしたこともある。
それでも結局はお袋に従うしかなく、猫を諦めるたび、逆に俺は猫を飼いたくなっていっ
た。そして俺はついに、就職を機に家を出た。お袋は猛反対したが、親父の説得で渋々、
実家から近いことと下宿先の合鍵を渡す条件で折れた。下宿先に選んだのはもちろん、ペッ
ト可のマンションだ。
そうして一人暮らしにも仕事にも慣れてきて、そろそろ猫を飼う余裕が出てきたかな、
と思い始めた頃、俺は彼女に出会ったのだ。
店員「お待たせしました、シャケ弁当のお客様、390円になります」
俺「70、80、90円、っと」
店員「390円ちょうどですね、ありがとうございました、またお越しくださいませー」
ウィーン
俺「……ったく、なんでミスした本人が定時に帰って、新入社員が尻拭いしてんだか」
俺「その上飯抜きで仕事してんのに、時間内に終わらなかったから休日出勤なんて」
俺「なーんか不条理だよなぁ……」グゥゥゥ
?「……」フンフン
俺「?」
?「……」フンフンフン
俺「猫? ……にしちゃ、何かでかそうな気配だなぁ」
?「……」フンフンフンフンフンフンフンフン
俺「うわっ!」
?「にゃっ!」
俺「って……幼女?」
幼「にゃー」
その幼女は見たところ、全裸で髪はぼさぼさ、首輪はない。恐らく野良だろう。そう言
えば、最近は野良幼女が増えていると近所の人から聞いた。要するにペットにもブームが
あって、飽きられると捨てられるのだ。犬猫にはよくある話だが、人間そっくりのペット
幼女も例外ではないらしい。
俺「……犬か猫なら拾ってやるところだけど、さすがに幼女はなぁ……」
俺「よし、見なかったことにしよう」
シャケ弁をしっかり持ち直し全力ダッシュ。すると幼女も走ってついてきた。振り切る
どころか、向こうの方が速いYO! しかも追い越せるはずの俺と並んで走り、視線はシャ
ケ弁にロックオン。俺のシャケ弁が狙われてる……orz
俺「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」
どう見ても走って撒くのは無理です、ありがとうございました。となると、ここは人類
の叡智で切り抜けるしか!
しかしお袋が許してくれなかった。動物は好きなくせに絶対に飼おうとしなかったし、
猫を拾ってきたら俺ごと家から追い出して、捨ててくるまで絶対に家に入れてくれなかっ
た。それで真冬の一晩、飯抜きで猫を抱いて過ごしたこともある。
それでも結局はお袋に従うしかなく、猫を諦めるたび、逆に俺は猫を飼いたくなっていっ
た。そして俺はついに、就職を機に家を出た。お袋は猛反対したが、親父の説得で渋々、
実家から近いことと下宿先の合鍵を渡す条件で折れた。下宿先に選んだのはもちろん、ペッ
ト可のマンションだ。
そうして一人暮らしにも仕事にも慣れてきて、そろそろ猫を飼う余裕が出てきたかな、
と思い始めた頃、俺は彼女に出会ったのだ。
店員「お待たせしました、シャケ弁当のお客様、390円になります」
俺「70、80、90円、っと」
店員「390円ちょうどですね、ありがとうございました、またお越しくださいませー」
ウィーン
俺「……ったく、なんでミスした本人が定時に帰って、新入社員が尻拭いしてんだか」
俺「その上飯抜きで仕事してんのに、時間内に終わらなかったから休日出勤なんて」
俺「なーんか不条理だよなぁ……」グゥゥゥ
?「……」フンフン
俺「?」
?「……」フンフンフン
俺「猫? ……にしちゃ、何かでかそうな気配だなぁ」
?「……」フンフンフンフンフンフンフンフン
俺「うわっ!」
?「にゃっ!」
俺「って……幼女?」
幼「にゃー」
その幼女は見たところ、全裸で髪はぼさぼさ、首輪はない。恐らく野良だろう。そう言
えば、最近は野良幼女が増えていると近所の人から聞いた。要するにペットにもブームが
あって、飽きられると捨てられるのだ。犬猫にはよくある話だが、人間そっくりのペット
幼女も例外ではないらしい。
俺「……犬か猫なら拾ってやるところだけど、さすがに幼女はなぁ……」
俺「よし、見なかったことにしよう」
シャケ弁をしっかり持ち直し全力ダッシュ。すると幼女も走ってついてきた。振り切る
どころか、向こうの方が速いYO! しかも追い越せるはずの俺と並んで走り、視線はシャ
ケ弁にロックオン。俺のシャケ弁が狙われてる……orz
俺「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」
どう見ても走って撒くのは無理です、ありがとうございました。となると、ここは人類
の叡智で切り抜けるしか!
野良幼女の目当ては確実にシャケ弁。シャケ弁を囮に置いて、囮に釣られたところで撒
く。我ながら名案だ。問題は、俺の晩飯がコンビニおにぎりにランクダウンすること。不
条理な残業を文句ひとつ言わずに頑張った、上司には逆らえない悲しき新入社員の、自分
へのささやかなご褒美を、幼女一匹のために諦めろとは……世間とは無情だ……
意を決して俺は、近所のマンション(俺が住んでるところとは別)の敷地にある小さな
公園へ入り、シャケ弁の蓋を開けた。走ったおかげで少し崩れていたが、まだほのかにあ
たたかい。
ベンチにそっとシャケ弁を置くと、幼女の視線は俺からベンチへ移った。よし、今だ。
さようなら、俺のシャケ弁390円……
急いでベンチから離れ、マンションの敷地を出たところで振り返ると、幼女はベンチの
横で、じっと俺を見ていた。そして俺と目が合った瞬間、幼女はシャケ弁を振り返りつつ、
こっちへ駆け寄ってきた。マズい。全力で走ったが、すぐに追いつかれた。囮作戦失敗。
にゃーにゃー言ってるから動物並みかと思ったが、敵は予想以上に賢かった……ちなみに、
すぐに引き返して囮は回収した。お帰り、俺のシャケ弁。
俺「しょうがない、飼い主探してみるか……」
幼「にゃー」
幼女が部屋に上がりこんだ時点で、俺は観念した。囮作戦の後もフェイントや回り道を
してみたんだが、幼女は先回りして分かれ道で俺を待ち、俺がUターンするとすぐに俺を
追い越した。うちのマンションはペットが逃げないようオートロックだが、オートロック
もエレベータも玄関も、ただ開けただけでは入らないが、俺が入ろうと動いた瞬間、扉の
中に入り込むのだ。逆に俺が外に出ても、絶対に外には出ない。脇を抱え上げて無理やり
外へ出しても、俺が扉を開けた瞬間、無駄足に終わる。そんなわけで部屋に入れるつもり
はなかったんだが、外へ追い出す努力すら許されないまま、部屋へ入られてしまったわけ
だ。
俺「にしても思ったより汚れてないな、お前」
俺「……とりあえず、これでも着せとくか」
幼「にゃー、にゃー」
俺は洗濯かごから、洗う前のTシャツを一枚引っ張り出した。幼女が人間じゃないと言っ
ても見た目が人間そっくりな以上、裸で目の前をずっとうろつかれるのは何とも言えない
変な気分だし。
俺「いい子だからじっとしてろよ……はっ!」ガポッ
幼「……?」フンフンフン……ポイッ
俺「こら脱ぐな、腕通せ腕!」ガポッグイグイ
幼「に゛ゃー! に゛ゃー! に゛ゃー! に゛ゃー!」ポイッ
以下10分ほどループ。
俺「そんなに俺の汗が臭いかーっ!」
諦めた。
く。我ながら名案だ。問題は、俺の晩飯がコンビニおにぎりにランクダウンすること。不
条理な残業を文句ひとつ言わずに頑張った、上司には逆らえない悲しき新入社員の、自分
へのささやかなご褒美を、幼女一匹のために諦めろとは……世間とは無情だ……
意を決して俺は、近所のマンション(俺が住んでるところとは別)の敷地にある小さな
公園へ入り、シャケ弁の蓋を開けた。走ったおかげで少し崩れていたが、まだほのかにあ
たたかい。
ベンチにそっとシャケ弁を置くと、幼女の視線は俺からベンチへ移った。よし、今だ。
さようなら、俺のシャケ弁390円……
急いでベンチから離れ、マンションの敷地を出たところで振り返ると、幼女はベンチの
横で、じっと俺を見ていた。そして俺と目が合った瞬間、幼女はシャケ弁を振り返りつつ、
こっちへ駆け寄ってきた。マズい。全力で走ったが、すぐに追いつかれた。囮作戦失敗。
にゃーにゃー言ってるから動物並みかと思ったが、敵は予想以上に賢かった……ちなみに、
すぐに引き返して囮は回収した。お帰り、俺のシャケ弁。
俺「しょうがない、飼い主探してみるか……」
幼「にゃー」
幼女が部屋に上がりこんだ時点で、俺は観念した。囮作戦の後もフェイントや回り道を
してみたんだが、幼女は先回りして分かれ道で俺を待ち、俺がUターンするとすぐに俺を
追い越した。うちのマンションはペットが逃げないようオートロックだが、オートロック
もエレベータも玄関も、ただ開けただけでは入らないが、俺が入ろうと動いた瞬間、扉の
中に入り込むのだ。逆に俺が外に出ても、絶対に外には出ない。脇を抱え上げて無理やり
外へ出しても、俺が扉を開けた瞬間、無駄足に終わる。そんなわけで部屋に入れるつもり
はなかったんだが、外へ追い出す努力すら許されないまま、部屋へ入られてしまったわけ
だ。
俺「にしても思ったより汚れてないな、お前」
俺「……とりあえず、これでも着せとくか」
幼「にゃー、にゃー」
俺は洗濯かごから、洗う前のTシャツを一枚引っ張り出した。幼女が人間じゃないと言っ
ても見た目が人間そっくりな以上、裸で目の前をずっとうろつかれるのは何とも言えない
変な気分だし。
俺「いい子だからじっとしてろよ……はっ!」ガポッ
幼「……?」フンフンフン……ポイッ
俺「こら脱ぐな、腕通せ腕!」ガポッグイグイ
幼「に゛ゃー! に゛ゃー! に゛ゃー! に゛ゃー!」ポイッ
以下10分ほどループ。
俺「そんなに俺の汗が臭いかーっ!」
諦めた。
俺「晩飯はあるからいいとして、今日はシャワーにすっか。洗濯は……明日かなぁ」
幼「にゃー」
冷えたシャケ弁をレンジに突っ込み、ボイラーのスイッチを入れ、着替えのTシャツを用
意しPCを起動している間、幼女はにゃーにゃー言いながら俺の後をついて回った。そして
レンジをくんくん、風呂場でくんくん、準備したタオルや着替えをくんくん、PCや机をく
んくん。どうもこの幼女は臭いを嗅ぐのが好きらしい。
チーン
俺「そういや幼女にも何か食わさないと俺のシャケ弁が……って着てるし!」
幼「にゃー」
幼女はにこにこ顔で、嗅いでた着替えに腕を通していた。綺麗な服なら着るのかよorz
俺「洗濯物増やしやがって……ここの家賃結構高いんだぞ?」
幼「にゃー、にゃー」
実際、新入社員の安月給でやっていけてるのは、猫資金を稼ぐため、学生時代からやっ
てたバイトの貯金があるからだ。そのバイト先の先輩の中に一人世話好きな人がいて、そ
の人のおかげで、このマンションにも格安で入居できたわけで。これでも猫のためにいろ
いろ苦労してるのさ。
俺「まーしょうがないや、とりあえず何食うか調べないとな」グゥゥゥゥゥ
幼「にゃーにゃー」
あったかシャケ弁を確保したまま、さっそくググってみる。
>>幼女 飼育 に一致する日本語のページ 約 900,000 件中 1 - 10 件目 (0.28 秒)
こ、これが幼女ブームの力か!!
俺「えーと、幼女の餌は……人間と一緒でいいのか。だったらアレでいっか」
幼「にゃー」
残業が無かったら晩飯になるはずだった、作り置きの冷凍野菜炒めをあたためることに
した。スーパーの肉屋の店先に置いてある牛脂で炒めた、肉の風味がする肉なし野菜炒め
だ。作りたてのシャケ弁が俺にとって如何に贅沢か、おわかりいただけるだろうか。
チーン
俺「あつっ……このまま皿の上に広げるか」
幼「にゃー、にゃー」
包んでいたラップごと野菜炒めを皿に乗せて
俺「ほれ、食え」
目の前に置くが、幼女はただ湯気の立つ野菜炒めを見ているだけだ。
幼「にゃー」
冷えたシャケ弁をレンジに突っ込み、ボイラーのスイッチを入れ、着替えのTシャツを用
意しPCを起動している間、幼女はにゃーにゃー言いながら俺の後をついて回った。そして
レンジをくんくん、風呂場でくんくん、準備したタオルや着替えをくんくん、PCや机をく
んくん。どうもこの幼女は臭いを嗅ぐのが好きらしい。
チーン
俺「そういや幼女にも何か食わさないと俺のシャケ弁が……って着てるし!」
幼「にゃー」
幼女はにこにこ顔で、嗅いでた着替えに腕を通していた。綺麗な服なら着るのかよorz
俺「洗濯物増やしやがって……ここの家賃結構高いんだぞ?」
幼「にゃー、にゃー」
実際、新入社員の安月給でやっていけてるのは、猫資金を稼ぐため、学生時代からやっ
てたバイトの貯金があるからだ。そのバイト先の先輩の中に一人世話好きな人がいて、そ
の人のおかげで、このマンションにも格安で入居できたわけで。これでも猫のためにいろ
いろ苦労してるのさ。
俺「まーしょうがないや、とりあえず何食うか調べないとな」グゥゥゥゥゥ
幼「にゃーにゃー」
あったかシャケ弁を確保したまま、さっそくググってみる。
>>幼女 飼育 に一致する日本語のページ 約 900,000 件中 1 - 10 件目 (0.28 秒)
こ、これが幼女ブームの力か!!
俺「えーと、幼女の餌は……人間と一緒でいいのか。だったらアレでいっか」
幼「にゃー」
残業が無かったら晩飯になるはずだった、作り置きの冷凍野菜炒めをあたためることに
した。スーパーの肉屋の店先に置いてある牛脂で炒めた、肉の風味がする肉なし野菜炒め
だ。作りたてのシャケ弁が俺にとって如何に贅沢か、おわかりいただけるだろうか。
チーン
俺「あつっ……このまま皿の上に広げるか」
幼「にゃー、にゃー」
包んでいたラップごと野菜炒めを皿に乗せて
俺「ほれ、食え」
目の前に置くが、幼女はただ湯気の立つ野菜炒めを見ているだけだ。
俺「やっぱシャケか? ……しょうがないな、ちょっとだけだぞ」
ご飯の上のシャケを箸で少しだけ分け、野菜炒めの上に乗せてやった。……が、幼女は
やっぱり見ているだけ。
俺「ひょっとして熱いの駄目なのか?」
手で仰いで申し訳冷ましてみるが、相変わらず幼女が食べる素振りはない。
俺「……もうめんどくさいから先に食うぞ、いい加減腹減ってるし」
と弁当を持ち上げた瞬間、ご飯の上のシャケが消えた。
幼「……」ガツガツガツガツ
俺「なんで人が食おうとした瞬間に人のものかっさらうんだよ、こいつ~~~」
仕方ないのでシャケのないシャケ弁を置いて、幼女が無視した野菜炒め(シャケの欠片
入り)をご飯の上に移した。
俺「せっかくあっためたのに残すともったいないしな」グゥゥゥゥゥゥゥゥゥ
再び弁当を持ち上げ――電光石火の如く野菜炒めがシャケごと消えた。
幼「……」ガツガツガツガツ
俺「がーん」グゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ
幼「……」ガツガツガツガツ
俺「さっきは食わなかったのになんでだよ……」
幼「……」ガツガツガツガツ
俺が弁当を持ったまま呆然としてる間に、野菜炒めとご飯は幼女の腹に入っていった。
俺「俺の晩飯……orz」グゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ
幼「げぷー」
俺「まいったな……もう作り置きないし、コンビニ行ってくっか……」
作り置きのおかずは休日にまとめて、その週の分しか作らないので、あれが最後なのだ。
しかしこの幼女を一人残して部屋を出るのも不安だ。幸い、部屋は2LDKと一人暮らしにし
ちゃ無駄に広い。幼女の両脇を抱え、玄関すぐの使ってない部屋に押し込めた。
幼「?」
内開きで、外から鍵がかけられないので、念のため「邪魔になるから置いといて」と実
家から持ってこられた6人掛け座卓(和テーブル)を立てかけておく。
幼『にゃ~、にゃ~』カリカリ
閉じ込められたと気づいたらしく、扉のすぐ前で幼女の声がする。それを無視して俺は
急いでコンビニに出かけた。幼女が何か悪戯する前に帰ってこなくては!
ご飯の上のシャケを箸で少しだけ分け、野菜炒めの上に乗せてやった。……が、幼女は
やっぱり見ているだけ。
俺「ひょっとして熱いの駄目なのか?」
手で仰いで申し訳冷ましてみるが、相変わらず幼女が食べる素振りはない。
俺「……もうめんどくさいから先に食うぞ、いい加減腹減ってるし」
と弁当を持ち上げた瞬間、ご飯の上のシャケが消えた。
幼「……」ガツガツガツガツ
俺「なんで人が食おうとした瞬間に人のものかっさらうんだよ、こいつ~~~」
仕方ないのでシャケのないシャケ弁を置いて、幼女が無視した野菜炒め(シャケの欠片
入り)をご飯の上に移した。
俺「せっかくあっためたのに残すともったいないしな」グゥゥゥゥゥゥゥゥゥ
再び弁当を持ち上げ――電光石火の如く野菜炒めがシャケごと消えた。
幼「……」ガツガツガツガツ
俺「がーん」グゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ
幼「……」ガツガツガツガツ
俺「さっきは食わなかったのになんでだよ……」
幼「……」ガツガツガツガツ
俺が弁当を持ったまま呆然としてる間に、野菜炒めとご飯は幼女の腹に入っていった。
俺「俺の晩飯……orz」グゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ
幼「げぷー」
俺「まいったな……もう作り置きないし、コンビニ行ってくっか……」
作り置きのおかずは休日にまとめて、その週の分しか作らないので、あれが最後なのだ。
しかしこの幼女を一人残して部屋を出るのも不安だ。幸い、部屋は2LDKと一人暮らしにし
ちゃ無駄に広い。幼女の両脇を抱え、玄関すぐの使ってない部屋に押し込めた。
幼「?」
内開きで、外から鍵がかけられないので、念のため「邪魔になるから置いといて」と実
家から持ってこられた6人掛け座卓(和テーブル)を立てかけておく。
幼『にゃ~、にゃ~』カリカリ
閉じ込められたと気づいたらしく、扉のすぐ前で幼女の声がする。それを無視して俺は
急いでコンビニに出かけた。幼女が何か悪戯する前に帰ってこなくては!
俺「……ツナマヨ美味え」モグモグゴクゴク
俺は急いでおにぎり2個とペットボトル茶を買い、お茶でおにぎりを流し込みながら帰り
道も急いだ。考えてみれば昼飯を食ったきり、約10時間ぶりの食事だ。
俺「……そうか、先におにぎり買って幼女にやればよかったんだよな」
空きっ腹が満たされて、頭の回転も少しは良くなったらしい。次はそうしよう。次があ
るかどうかは分からないけど。幼女が部屋から出てないか心配で、俺はおにぎり1個目を
食い終えると、走って部屋まで戻った。しかし例の部屋の扉は閉まったままだった。
幼『! ……にゃ~?』
扉からカリカリ音が聞こえていたが、俺に気づいたらしく一瞬だけ音が止まる。
幼『に゛ゃ~、に゛ゃ~、に゛ゃ~、に゛ゃ~、に゛ゃ~!』カリカリカリカリカリ
俺「騒ぐな騒ぐな、今出してやるって」
邪魔な座卓をずらして扉を開けると、幼女は俺にしがみついた。
幼「に゛ゃ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!!!」ギュー
俺「こら泣くな泣くな、おにぎり買ってきたぞ」ペリペリムキムキ
幼「?」グズッ
俺「ほれ」
幼「……」フンフン「にゃー」
俺「なんだ、要らないのか。じゃー俺が食うぞ?」
流し込み用にペットボトルを開けた瞬間、幼女の手にペットボトルがあった。
幼「……」ゴクゴクゴク
俺「今度は飲み物か。ならそう言やいいのに――って、そう言やお前しゃべらないな」
幼「ぷはー」
俺「変な奴。お茶返せよな。ぁーほとんど飲んじまいやがって」モグモグ
幼「……」ギュー
俺「とりあえず座卓片付けないとな、ここ置きっぱなしじゃ邪魔だし」モグモグ
俺「よし食った、ちょっと離れててくれよ」ヒョイ
幼「……」ウルウル ギュー
俺「座卓邪魔だろ、中に入れるから邪魔しないでくれって」ヒョイ
幼「……」ウルウル ギュー
俺「まいったな……片付けるのは後でいっか」
幼「……」ギュー
俺「先にシャワーかな……もっかい着替え出さないと。離れろよ、歩きにくいだろ」ヒョイ
幼「……」ウルウル ギュー
俺「こら引っ張るな、シャツが伸びるし」
幼「……」ギュー
仕方ないので、俺はしがみつく幼女を抱き上げて着替えのTシャツを用意し、そのまま風
呂場へ向かった。風呂場と言ってもトイレと一体のユニットバスだけどな。
俺は急いでおにぎり2個とペットボトル茶を買い、お茶でおにぎりを流し込みながら帰り
道も急いだ。考えてみれば昼飯を食ったきり、約10時間ぶりの食事だ。
俺「……そうか、先におにぎり買って幼女にやればよかったんだよな」
空きっ腹が満たされて、頭の回転も少しは良くなったらしい。次はそうしよう。次があ
るかどうかは分からないけど。幼女が部屋から出てないか心配で、俺はおにぎり1個目を
食い終えると、走って部屋まで戻った。しかし例の部屋の扉は閉まったままだった。
幼『! ……にゃ~?』
扉からカリカリ音が聞こえていたが、俺に気づいたらしく一瞬だけ音が止まる。
幼『に゛ゃ~、に゛ゃ~、に゛ゃ~、に゛ゃ~、に゛ゃ~!』カリカリカリカリカリ
俺「騒ぐな騒ぐな、今出してやるって」
邪魔な座卓をずらして扉を開けると、幼女は俺にしがみついた。
幼「に゛ゃ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!!!」ギュー
俺「こら泣くな泣くな、おにぎり買ってきたぞ」ペリペリムキムキ
幼「?」グズッ
俺「ほれ」
幼「……」フンフン「にゃー」
俺「なんだ、要らないのか。じゃー俺が食うぞ?」
流し込み用にペットボトルを開けた瞬間、幼女の手にペットボトルがあった。
幼「……」ゴクゴクゴク
俺「今度は飲み物か。ならそう言やいいのに――って、そう言やお前しゃべらないな」
幼「ぷはー」
俺「変な奴。お茶返せよな。ぁーほとんど飲んじまいやがって」モグモグ
幼「……」ギュー
俺「とりあえず座卓片付けないとな、ここ置きっぱなしじゃ邪魔だし」モグモグ
俺「よし食った、ちょっと離れててくれよ」ヒョイ
幼「……」ウルウル ギュー
俺「座卓邪魔だろ、中に入れるから邪魔しないでくれって」ヒョイ
幼「……」ウルウル ギュー
俺「まいったな……片付けるのは後でいっか」
幼「……」ギュー
俺「先にシャワーかな……もっかい着替え出さないと。離れろよ、歩きにくいだろ」ヒョイ
幼「……」ウルウル ギュー
俺「こら引っ張るな、シャツが伸びるし」
幼「……」ギュー
仕方ないので、俺はしがみつく幼女を抱き上げて着替えのTシャツを用意し、そのまま風
呂場へ向かった。風呂場と言ってもトイレと一体のユニットバスだけどな。
幼「……!」
風呂場に入った途端、幼女は目を丸めた。何をそんなに驚いたのか、俺にしがみつく手
の力まで緩んでいる。その隙に
俺「ほれ、服脱ぐから降りろ」
俺は幼女をそっと降ろした。幼女はすぐに俺のシャツの裾を握ったが、まだ驚いてるら
しく力が無い。俺は幼女の指を外してシャツを脱ぎ、洗濯機へ放り込んだ。その間に幼女
は俺のズボンの脇を握ったが、そのままズボンを脱……ごうとして思いついた。
俺「ああ、先にお前洗った方がいいかな?」
俺は幼女のシャツを脱がせ、風呂桶に抱え入れるとシャワーの蛇口をひねった。
幼「!」ダッシュ!
俺「こら逃げんな」グイグイ
幼「に゛ゃー! に゛ゃー!」ジタバタジタバタ
俺「あんま汚いと飼い主見つかんないぞ、お前」グイグイ
幼「に゛ゃー! に゛ゃー! に゛ゃー!」ジタバタジタバタ
俺「……俺が飼ってるわけじゃないし、そこまでしてやる義理もないか」
いい加減疲れるので、さっさと諦めて濡れた体を拭いてやり、さっき着てたTシャツをも
う一度着せる。
幼「……」フンフンフン……ポイッ
俺「またかよ、もう好きにしてくれ……」
諦めてズボンと下着を脱ぎ、洗濯機に投げ入れようとして幼女をちらっと見ると、なん
と2度目に用意したTシャツを着ていた。
俺「……お前洗い立ての服しか着ないのかよ……贅沢だな……」
もう好きにさせておこう。ただでさえ疲れてるのに、余計な荷物に気を回す余裕なんか
ない。飼い主が見つかるまで預けられる場所を探そうと思いつつ、俺は風呂桶に入った。
俺「なんか見られてると恥ずかしいな……カーテン閉めるか」シャーッ
幼『にゃ~、にゃ~』
俺「って寄って来てるし!」ジャッ
幼「……」ウルウル
俺「シャワー嫌なんじゃないのか? 浴びるか?」ヒョイ
幼「! に゛ゃー! に゛ゃー!」ジタバタジタバタ
俺「だったら邪魔になんないとこで大人しくしてろよ」ポイッ シャーッ
幼『にゃ~、にゃ~』
俺「……なんだよ、また俺がいなくなると思ってんのかよ」ジャッ
幼「……」ウルウル
そんなわけで、俺は幼女にじろじろ見られながらシャワーを浴びる羽目になった。どん
な羞恥プレイだよ……
風呂場に入った途端、幼女は目を丸めた。何をそんなに驚いたのか、俺にしがみつく手
の力まで緩んでいる。その隙に
俺「ほれ、服脱ぐから降りろ」
俺は幼女をそっと降ろした。幼女はすぐに俺のシャツの裾を握ったが、まだ驚いてるら
しく力が無い。俺は幼女の指を外してシャツを脱ぎ、洗濯機へ放り込んだ。その間に幼女
は俺のズボンの脇を握ったが、そのままズボンを脱……ごうとして思いついた。
俺「ああ、先にお前洗った方がいいかな?」
俺は幼女のシャツを脱がせ、風呂桶に抱え入れるとシャワーの蛇口をひねった。
幼「!」ダッシュ!
俺「こら逃げんな」グイグイ
幼「に゛ゃー! に゛ゃー!」ジタバタジタバタ
俺「あんま汚いと飼い主見つかんないぞ、お前」グイグイ
幼「に゛ゃー! に゛ゃー! に゛ゃー!」ジタバタジタバタ
俺「……俺が飼ってるわけじゃないし、そこまでしてやる義理もないか」
いい加減疲れるので、さっさと諦めて濡れた体を拭いてやり、さっき着てたTシャツをも
う一度着せる。
幼「……」フンフンフン……ポイッ
俺「またかよ、もう好きにしてくれ……」
諦めてズボンと下着を脱ぎ、洗濯機に投げ入れようとして幼女をちらっと見ると、なん
と2度目に用意したTシャツを着ていた。
俺「……お前洗い立ての服しか着ないのかよ……贅沢だな……」
もう好きにさせておこう。ただでさえ疲れてるのに、余計な荷物に気を回す余裕なんか
ない。飼い主が見つかるまで預けられる場所を探そうと思いつつ、俺は風呂桶に入った。
俺「なんか見られてると恥ずかしいな……カーテン閉めるか」シャーッ
幼『にゃ~、にゃ~』
俺「って寄って来てるし!」ジャッ
幼「……」ウルウル
俺「シャワー嫌なんじゃないのか? 浴びるか?」ヒョイ
幼「! に゛ゃー! に゛ゃー!」ジタバタジタバタ
俺「だったら邪魔になんないとこで大人しくしてろよ」ポイッ シャーッ
幼『にゃ~、にゃ~』
俺「……なんだよ、また俺がいなくなると思ってんのかよ」ジャッ
幼「……」ウルウル
そんなわけで、俺は幼女にじろじろ見られながらシャワーを浴びる羽目になった。どん
な羞恥プレイだよ……
恥ずかしいのでさっさとシャワーを終え、幼女が着てたTシャツに着替えた(だってまだ
そんなに汚れてないぞ?)俺は、さっそくPCに向かっていろいろ調べてみた。
俺「ふーん、幼女可のペットホテルか……うわ高ぇ」
ちなみに幼女は、俺の背中にしがみついて離れないものの、大人しくしている。飯を食
うまでしつこいくらいにゃーにゃー言って、Tシャツを着せるときやシャワーに入れるとき
の暴れっぷりが、嘘のようだった。
俺「このままずっと大人しけりゃ、飼い主が見つかるまでここに置いてもいいかな……」
ただ不安がないわけではない。俺がコンビニに行ってる間だけであれだけ泣いたのだか
ら、明日仕事に行ったらどうなるやら。しかし明日の休日出勤は避けられない。課長が頭
を下げてまで納期を伸ばしてもらったのだ。
俺「今から誰かに頼むか……?」
実家の親父とお袋は問題外だ。親父に頼めばもれなくお袋が付いてくる。猫を息子ごと
真冬の夜に家から追い出すお袋が。学生時代の友達は……試しにメールを打ってみたが、
返事は無い。あいつ今日夜勤だっけ? 懐痛いのを覚悟でペットホテルに預けるとしても、
営業開始時間まではこの部屋に放置するしかない。それに、今までの幼女の行動を考える
と、そもそも部屋から出たがらない=ペットホテルへ連れて行けない気もする。
幼「にゃー」モジモジ
俺「? なんだ、急に?」
幼「にゃー、にゃー」モジモジ
俺「静かにしろよ」
幼「にゃー、にゃー」モジモジ
俺「ったく……」ヒョイ
幼「にゃー、にゃー」モジモジ
俺は幼女を、さっき閉じ込めた部屋に連れて行って再び閉じ込めた。
俺「今度は静かにするまで出さないからな」
幼『にゃー、にゃー、にゃー』カリカリカリカリ
俺「? なんか足があったか……ぅわっ、もらしてる!」バタン ヒョイ
幼「……」シャシャー
俺は急いで幼女を抱え、トイレに駆け込んだ。その後、濡れたTシャツを脱がせて体を拭
いてやり、新しいTシャツを幼女に渡すと、トイレから部屋までのルート(ほぼ向かいなの
で被害は最小だが)を雑巾で掃除した。
俺「……そうか、お前、何か用事があるときだけにゃーにゃー言うんだな」
飯しかり、お茶しかり、トイレしかり。あ、あと俺の姿が見えないときもか。
俺「もしかしてお前、どっかの家で飼われてたのか?」
そんなに汚れてないぞ?)俺は、さっそくPCに向かっていろいろ調べてみた。
俺「ふーん、幼女可のペットホテルか……うわ高ぇ」
ちなみに幼女は、俺の背中にしがみついて離れないものの、大人しくしている。飯を食
うまでしつこいくらいにゃーにゃー言って、Tシャツを着せるときやシャワーに入れるとき
の暴れっぷりが、嘘のようだった。
俺「このままずっと大人しけりゃ、飼い主が見つかるまでここに置いてもいいかな……」
ただ不安がないわけではない。俺がコンビニに行ってる間だけであれだけ泣いたのだか
ら、明日仕事に行ったらどうなるやら。しかし明日の休日出勤は避けられない。課長が頭
を下げてまで納期を伸ばしてもらったのだ。
俺「今から誰かに頼むか……?」
実家の親父とお袋は問題外だ。親父に頼めばもれなくお袋が付いてくる。猫を息子ごと
真冬の夜に家から追い出すお袋が。学生時代の友達は……試しにメールを打ってみたが、
返事は無い。あいつ今日夜勤だっけ? 懐痛いのを覚悟でペットホテルに預けるとしても、
営業開始時間まではこの部屋に放置するしかない。それに、今までの幼女の行動を考える
と、そもそも部屋から出たがらない=ペットホテルへ連れて行けない気もする。
幼「にゃー」モジモジ
俺「? なんだ、急に?」
幼「にゃー、にゃー」モジモジ
俺「静かにしろよ」
幼「にゃー、にゃー」モジモジ
俺「ったく……」ヒョイ
幼「にゃー、にゃー」モジモジ
俺は幼女を、さっき閉じ込めた部屋に連れて行って再び閉じ込めた。
俺「今度は静かにするまで出さないからな」
幼『にゃー、にゃー、にゃー』カリカリカリカリ
俺「? なんか足があったか……ぅわっ、もらしてる!」バタン ヒョイ
幼「……」シャシャー
俺は急いで幼女を抱え、トイレに駆け込んだ。その後、濡れたTシャツを脱がせて体を拭
いてやり、新しいTシャツを幼女に渡すと、トイレから部屋までのルート(ほぼ向かいなの
で被害は最小だが)を雑巾で掃除した。
俺「……そうか、お前、何か用事があるときだけにゃーにゃー言うんだな」
飯しかり、お茶しかり、トイレしかり。あ、あと俺の姿が見えないときもか。
俺「もしかしてお前、どっかの家で飼われてたのか?」
飼われて、捨てられた幼女。そう口にした途端、突然、幼女の行動の全てに納得がいっ
た。
食べ物は、ただ置いただけでは食べなかった。シャケ弁をベンチに置いたときも、野菜
炒めを皿に広げたときも。幼女が食べたのはシャケ、野菜炒め、ごはん。全部、俺が手に
持った瞬間だったじゃないか。飲み物のお茶も、蓋を開けた瞬間だった。そうか、こいつ、
人間の手から貰った物しか飲み食いしないんだ。
着替えもそうだ。汚れた服はもちろん、一度脱いだ服は絶対に着ようとしない。
扉だって、俺が開ければ出入りするが、自分からは絶対に開けない。開けようと思えば
開けられるはずなのに。
第一、部屋の内側には入り込むが、外には絶対出ようとしなかったじゃないか。
俺「ここまでちゃんと躾けてるのに、何で捨てたんだよ、前の飼い主は……」
幼「にゃ~」フワァァァ
俺「眠いのか。そうだよな、もう11時半過ぎてるもんな」
布団は俺の分しかないが、布団なしでも普通に寝られる季節だ。俺の背中にしがみつい
たまま幼女がこっくりこっくり舟をこぎ始めたので、俺は幼女をそっと横に寝かして、掛
け布団をかけてやった。DKの床なのでフローリングだが、夏用のゴザを敷いた上に寝かせ
たのでたぶん大丈夫だろう。
俺「俺も今日は疲れてるし、さっさと寝るか」
廊下の邪魔な座卓を空き部屋へしまいこみ、朝食用に炊飯器のタイマーを仕込んだ(ち
なみにいつもは夜と翌朝の分をまとめて炊くんだが、今日は晩飯抜きで残業したから、ご
飯が炊けるまでの1時間を待つ気にならなくて弁当を買ってきたわけだ)。
俺「今日はいろいろ大変だったな……」
仕事のこと、残業のこと、幼女のこと。俺は寝室にしている和室の万年床で、横になっ
たまま考え、気づけば眠りに落ちていた。
……
幼『にゃ~、にゃ~』カリカリカリ
俺「……ん?」
携帯の時計を見ると、まだ夜中の12時半過ぎ。あれから1時間しか経ってない。
俺「起きたのか?」ガチャ
幼「に゛ゃ~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!!」ギュー
俺「そっか、起きたら俺が消えてたんだよな。悪かったな」ナデナデ
幼「……」グズッ
俺「しょうがねーな、一緒に寝るか。今掛け布団持ってきてやるからな」
幼女は布団の中でも俺にしがみついていたが、すぐに寝息を立て始めた。ここまで懐か
れると悪い気はしないが、残念ながら俺にロリ趣味はない。明日の仕事が終わったら、本
格的に飼い主を探さないと。
た。
食べ物は、ただ置いただけでは食べなかった。シャケ弁をベンチに置いたときも、野菜
炒めを皿に広げたときも。幼女が食べたのはシャケ、野菜炒め、ごはん。全部、俺が手に
持った瞬間だったじゃないか。飲み物のお茶も、蓋を開けた瞬間だった。そうか、こいつ、
人間の手から貰った物しか飲み食いしないんだ。
着替えもそうだ。汚れた服はもちろん、一度脱いだ服は絶対に着ようとしない。
扉だって、俺が開ければ出入りするが、自分からは絶対に開けない。開けようと思えば
開けられるはずなのに。
第一、部屋の内側には入り込むが、外には絶対出ようとしなかったじゃないか。
俺「ここまでちゃんと躾けてるのに、何で捨てたんだよ、前の飼い主は……」
幼「にゃ~」フワァァァ
俺「眠いのか。そうだよな、もう11時半過ぎてるもんな」
布団は俺の分しかないが、布団なしでも普通に寝られる季節だ。俺の背中にしがみつい
たまま幼女がこっくりこっくり舟をこぎ始めたので、俺は幼女をそっと横に寝かして、掛
け布団をかけてやった。DKの床なのでフローリングだが、夏用のゴザを敷いた上に寝かせ
たのでたぶん大丈夫だろう。
俺「俺も今日は疲れてるし、さっさと寝るか」
廊下の邪魔な座卓を空き部屋へしまいこみ、朝食用に炊飯器のタイマーを仕込んだ(ち
なみにいつもは夜と翌朝の分をまとめて炊くんだが、今日は晩飯抜きで残業したから、ご
飯が炊けるまでの1時間を待つ気にならなくて弁当を買ってきたわけだ)。
俺「今日はいろいろ大変だったな……」
仕事のこと、残業のこと、幼女のこと。俺は寝室にしている和室の万年床で、横になっ
たまま考え、気づけば眠りに落ちていた。
……
幼『にゃ~、にゃ~』カリカリカリ
俺「……ん?」
携帯の時計を見ると、まだ夜中の12時半過ぎ。あれから1時間しか経ってない。
俺「起きたのか?」ガチャ
幼「に゛ゃ~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!!」ギュー
俺「そっか、起きたら俺が消えてたんだよな。悪かったな」ナデナデ
幼「……」グズッ
俺「しょうがねーな、一緒に寝るか。今掛け布団持ってきてやるからな」
幼女は布団の中でも俺にしがみついていたが、すぐに寝息を立て始めた。ここまで懐か
れると悪い気はしないが、残念ながら俺にロリ趣味はない。明日の仕事が終わったら、本
格的に飼い主を探さないと。
翌朝。なんとなく要領の分かってきた俺は、ご飯を乗せた皿を手に持ち、幼女に飯を食
わせた。手がしびれてきて皿を置くと、その皿からご飯を取るようになったので、どうや
ら「そこから飯を取って食った容器」は手の代わりになるらしい。同じ方法でインスタン
トの味噌汁とお茶を飲ませながら、俺も朝飯にした。
俺「これなら昼飯は、置いとけば勝手に食いそうだな。コンビニで何か買って置いとくか」
幼「にゃー」
俺「ん、飯は食ったし茶は飲んだし、トイレか?」
試しにトイレへ連れて行くと予想通り用を足した。うん、なんか幼女の行動がだんだん
分かってきたぞ。
俺「さて、着替えてコンビニ行ってくっか」
ちなみに、幼女に飯食わすのに時間がかかると思って早起きしたんだが、思ったより大
人しくスムーズに食ってくれたので、時間はそれなりに余裕がある。俺が仕事着(と言っ
てもただのジーンズだが)に着替えると、どうも俺が出かけると気づいたらしく、急にま
たにゃーにゃー言いだした。
俺「一緒に行くか?」
幼「にゃ~」
玄関を開けたまましばらく待ってみるが、やっぱり幼女は外には出ようとしない。
俺「んじゃ行ってくるぞ。大丈夫、すぐ帰ってくるよ」
幼「にゃ~」
バタン
幼『にゃ~、にゃ~、にゃ~』カリカリカリ
俺は例によって、ダッシュでマンションとコンビニを往復し帰ってきた。玄関開けたら
また抱きついて泣くだろうな、と思いつつ。そして玄関を開けた瞬間、予想通り
幼「に゛ゃ~~~~~~~~~っ!」ギュー
俺「よしよし、いい加減慣れろよ」ナデナデ
幼「……」グズッ
手土産はツナマヨおにぎりだが、ちゃんと腹が減ったら食ってくれるだろうか。とりあ
えず風呂場に飯用の折りたたみテーブルを置き、ビニールを剥いたおにぎりをご飯皿に乗
せ、お茶も注いで置いた。ここならお茶をこぼしても困らないし、トイレも目の前にある。
俺がトイレの蓋を開ける間に、幼女はおにぎりを嗅いだが、それっきり見向きもしなかっ
た。飯を食ったばかりだから、今は食べ物に興味ないんだろう。
俺「それじゃ行って来るからな、大人しくしてろよ」バタン
幼『にゃ~』カリカリ
幼女は自分で扉を開けようとしないので、風呂場の扉の前には何も置かなかった。しか
し念のため、玄関の鍵をしっかり確かめて俺は会社へ向かった。
わせた。手がしびれてきて皿を置くと、その皿からご飯を取るようになったので、どうや
ら「そこから飯を取って食った容器」は手の代わりになるらしい。同じ方法でインスタン
トの味噌汁とお茶を飲ませながら、俺も朝飯にした。
俺「これなら昼飯は、置いとけば勝手に食いそうだな。コンビニで何か買って置いとくか」
幼「にゃー」
俺「ん、飯は食ったし茶は飲んだし、トイレか?」
試しにトイレへ連れて行くと予想通り用を足した。うん、なんか幼女の行動がだんだん
分かってきたぞ。
俺「さて、着替えてコンビニ行ってくっか」
ちなみに、幼女に飯食わすのに時間がかかると思って早起きしたんだが、思ったより大
人しくスムーズに食ってくれたので、時間はそれなりに余裕がある。俺が仕事着(と言っ
てもただのジーンズだが)に着替えると、どうも俺が出かけると気づいたらしく、急にま
たにゃーにゃー言いだした。
俺「一緒に行くか?」
幼「にゃ~」
玄関を開けたまましばらく待ってみるが、やっぱり幼女は外には出ようとしない。
俺「んじゃ行ってくるぞ。大丈夫、すぐ帰ってくるよ」
幼「にゃ~」
バタン
幼『にゃ~、にゃ~、にゃ~』カリカリカリ
俺は例によって、ダッシュでマンションとコンビニを往復し帰ってきた。玄関開けたら
また抱きついて泣くだろうな、と思いつつ。そして玄関を開けた瞬間、予想通り
幼「に゛ゃ~~~~~~~~~っ!」ギュー
俺「よしよし、いい加減慣れろよ」ナデナデ
幼「……」グズッ
手土産はツナマヨおにぎりだが、ちゃんと腹が減ったら食ってくれるだろうか。とりあ
えず風呂場に飯用の折りたたみテーブルを置き、ビニールを剥いたおにぎりをご飯皿に乗
せ、お茶も注いで置いた。ここならお茶をこぼしても困らないし、トイレも目の前にある。
俺がトイレの蓋を開ける間に、幼女はおにぎりを嗅いだが、それっきり見向きもしなかっ
た。飯を食ったばかりだから、今は食べ物に興味ないんだろう。
俺「それじゃ行って来るからな、大人しくしてろよ」バタン
幼『にゃ~』カリカリ
幼女は自分で扉を開けようとしないので、風呂場の扉の前には何も置かなかった。しか
し念のため、玄関の鍵をしっかり確かめて俺は会社へ向かった。
俺「あ、おはようございます、M島さん」
M「おはよう。今日は済まんな、本当なら残業も休日出勤もまだ駄目なんだけど」
俺「いえ、それはもうしょうがないっすから」
M「課長が代休取れるよう手続きしてくれるから、来週好きな日に休んでいいからな」
俺「ありがとうございます」
俺たちの仕事は工程毎に班分けされていて、M島さんは俺たちの班のリーダーだ。
俺「それでK野さんは?」
仕事場をざっと見回しても、今日の休日出勤の原因は姿が無い。
M「ああ、あいつは誰か親戚の葬式だと。まぁいつものことだから気にすんな」
俺「いつものことっすか……」
M「それに、あいつがいない方がミスがないから、課長も出て来いって言わないんだよ」
M「だから今日は俺たちしかいないけど、ゆっくりでいいからミスしないようにな」
俺「はいっ」
PRRRRRRRRRRRRRRRRRRRR
俺「ん、お袋からか……」ピッ「何だよ?」
母『男、起きた?』
俺「起きてるよ、何だよこんな朝っぱらから」
母『あんた今日仕事休みでしょ? 今日は天気がいいから、記念公園に遊びに行かない?』
俺「無理だよ、今日休日出勤だし」
母『じゃあ晩御飯うちに食べに来なさいな。晩御飯用意するの面倒でしょ』
俺「パス。夜も用事があるし」
まさか幼女が待ってるなんて言えない。
母『もう、たまにはお母さんに顔見せてくれたっていいじゃない』
俺「用はそんだけ? だったらもう仕事始まるから切るよ」ピッ
用も無いくせに、二日に一度は電話してくる。いい加減子離れしてほしいもんだ。
M「またお袋さんか。たまには実家に帰って来いって?」
俺「そうっすよ、俺が何のために一人暮らししてるのか、全然分かってないんすから」
M「確か猫飼いたいって言ってたよな。お袋さん、猫嫌いなのか?」
俺「全然逆っすよ。でも何の生き物でも飼うのだけは絶対許してくれなくて」
M「ふーん」
そんな話をしながら、俺とM島さんは早速仕事にかかった。仕事の内容やら何やらは省
略して、話は昼休みまで飛ぶ。
M「おはよう。今日は済まんな、本当なら残業も休日出勤もまだ駄目なんだけど」
俺「いえ、それはもうしょうがないっすから」
M「課長が代休取れるよう手続きしてくれるから、来週好きな日に休んでいいからな」
俺「ありがとうございます」
俺たちの仕事は工程毎に班分けされていて、M島さんは俺たちの班のリーダーだ。
俺「それでK野さんは?」
仕事場をざっと見回しても、今日の休日出勤の原因は姿が無い。
M「ああ、あいつは誰か親戚の葬式だと。まぁいつものことだから気にすんな」
俺「いつものことっすか……」
M「それに、あいつがいない方がミスがないから、課長も出て来いって言わないんだよ」
M「だから今日は俺たちしかいないけど、ゆっくりでいいからミスしないようにな」
俺「はいっ」
PRRRRRRRRRRRRRRRRRRRR
俺「ん、お袋からか……」ピッ「何だよ?」
母『男、起きた?』
俺「起きてるよ、何だよこんな朝っぱらから」
母『あんた今日仕事休みでしょ? 今日は天気がいいから、記念公園に遊びに行かない?』
俺「無理だよ、今日休日出勤だし」
母『じゃあ晩御飯うちに食べに来なさいな。晩御飯用意するの面倒でしょ』
俺「パス。夜も用事があるし」
まさか幼女が待ってるなんて言えない。
母『もう、たまにはお母さんに顔見せてくれたっていいじゃない』
俺「用はそんだけ? だったらもう仕事始まるから切るよ」ピッ
用も無いくせに、二日に一度は電話してくる。いい加減子離れしてほしいもんだ。
M「またお袋さんか。たまには実家に帰って来いって?」
俺「そうっすよ、俺が何のために一人暮らししてるのか、全然分かってないんすから」
M「確か猫飼いたいって言ってたよな。お袋さん、猫嫌いなのか?」
俺「全然逆っすよ。でも何の生き物でも飼うのだけは絶対許してくれなくて」
M「ふーん」
そんな話をしながら、俺とM島さんは早速仕事にかかった。仕事の内容やら何やらは省
略して、話は昼休みまで飛ぶ。
俺「そう言やM島さん家、確か幼女飼ってましたよね?」
昼休み、今朝コンビニで買ってきた弁当を食いながら、俺はM島さんに聞いてみた。
M「いるけど、急にどうした?」
俺「いえ、夕べ帰りに野良幼女が家まで付いてきて、そのまま居着かれちゃったんすよ」
M「へぇ……どんな幼女だ?」
俺「それが全然しゃべんないし、シャワーは嫌がるわ、服は洗い立てしか着ないわ、」
俺「閉じ込められたら扉をカリカリ引っかくわ、とにかく変な幼女なんすよ」
M「ふぅん」
俺「こっちがああしろこうしろ言っても全然言うこと聞かないし、」
俺「そのくせ腹が減るとにゃーにゃー騒ぐし、」
俺「俺の姿が見えなくなるとすぐ泣き出すし、すんっげーわがままで面倒臭くって」
俺が溜息をついてM島さんを見ると、表情が少し強張ってた。俺、何か変なこと言ったっ
け?
M「で、その幼女飼うのか?」
俺「まさか。これが猫だったら飼いますけど、さすがに幼女じゃ――」
M「ロリコンみたいで嫌か? それとも、言うこと聞かない奴の世話なんかしたくない?」
俺「ん~、両方っすかね。もうちっと言うこと聞いてくれれば飼ってもいいんすけど」
M「幼女は言うこと聞かなくてわがままだから飼いたくないのに、猫は飼いたいのか」
俺「……M島さん?」
口調は変わらないが、M島さんが怒っているのが分かった。
M「いいか、男くん」
M「ペットって言うと、人間が上で猫が下みたいに思うだろうし、」
M「実際犬は自分の中で上下関係を決めてるけどな」
M「猫は人間が上で猫が下なんて思わない」
M「同じテリトリーで暮らしてる共同生活者で、対等の立場なんだ」
M「だから、一緒に暮らすためのルールを決めて教えれば守るようになるけど、」
M「一から十まで言うことを聞く操り人形には絶対にならない」
M「猫だけじゃない、幼女だってそうだし、人間だって、そうだろ?」
M「男くんだって子供の頃、親の言うこと聞かなかったことあるだろ?」
M「うちの子供だってそうさ。大人から見れば馬鹿馬鹿しい理由かもしれないけど」
M「本人は本人なりに、ちゃんと考えて行動してるんだ」
俺「……」
M「それを無視して、手前の都合だけで一方的に言うこと聞かせようとしといて、」
M「言うことを聞かないわがままな奴ってか?」
M「お前、何様のつもりだ?」
俺「……すいません、俺、そこまで考えたことなかったっす」
と、M島さんの表情が緩んだ。
M「はい、説教はここまで」
昼休み、今朝コンビニで買ってきた弁当を食いながら、俺はM島さんに聞いてみた。
M「いるけど、急にどうした?」
俺「いえ、夕べ帰りに野良幼女が家まで付いてきて、そのまま居着かれちゃったんすよ」
M「へぇ……どんな幼女だ?」
俺「それが全然しゃべんないし、シャワーは嫌がるわ、服は洗い立てしか着ないわ、」
俺「閉じ込められたら扉をカリカリ引っかくわ、とにかく変な幼女なんすよ」
M「ふぅん」
俺「こっちがああしろこうしろ言っても全然言うこと聞かないし、」
俺「そのくせ腹が減るとにゃーにゃー騒ぐし、」
俺「俺の姿が見えなくなるとすぐ泣き出すし、すんっげーわがままで面倒臭くって」
俺が溜息をついてM島さんを見ると、表情が少し強張ってた。俺、何か変なこと言ったっ
け?
M「で、その幼女飼うのか?」
俺「まさか。これが猫だったら飼いますけど、さすがに幼女じゃ――」
M「ロリコンみたいで嫌か? それとも、言うこと聞かない奴の世話なんかしたくない?」
俺「ん~、両方っすかね。もうちっと言うこと聞いてくれれば飼ってもいいんすけど」
M「幼女は言うこと聞かなくてわがままだから飼いたくないのに、猫は飼いたいのか」
俺「……M島さん?」
口調は変わらないが、M島さんが怒っているのが分かった。
M「いいか、男くん」
M「ペットって言うと、人間が上で猫が下みたいに思うだろうし、」
M「実際犬は自分の中で上下関係を決めてるけどな」
M「猫は人間が上で猫が下なんて思わない」
M「同じテリトリーで暮らしてる共同生活者で、対等の立場なんだ」
M「だから、一緒に暮らすためのルールを決めて教えれば守るようになるけど、」
M「一から十まで言うことを聞く操り人形には絶対にならない」
M「猫だけじゃない、幼女だってそうだし、人間だって、そうだろ?」
M「男くんだって子供の頃、親の言うこと聞かなかったことあるだろ?」
M「うちの子供だってそうさ。大人から見れば馬鹿馬鹿しい理由かもしれないけど」
M「本人は本人なりに、ちゃんと考えて行動してるんだ」
俺「……」
M「それを無視して、手前の都合だけで一方的に言うこと聞かせようとしといて、」
M「言うことを聞かないわがままな奴ってか?」
M「お前、何様のつもりだ?」
俺「……すいません、俺、そこまで考えたことなかったっす」
と、M島さんの表情が緩んだ。
M「はい、説教はここまで」
M「要するに、わがままで面倒臭いのは、猫でも幼女でも子供でも一緒ってことさ」
M「子供や幼女は言葉が通じる分まだ楽だけど、猫は言葉通じないしな」
俺「そりゃそうっすけど、あの幼女は言葉わかんないみたいで……」
M「だったらそれこそ、猫と一緒じゃないか」
俺「――!」
言われてみればあの幼女、水に濡れるのを嫌がったり扉を爪で引っかいたり……第一、
にゃーにゃーしか言わないところが猫みたいじゃないか。
俺「でも、でも、男の一人暮らしで幼女飼うなんて、どう考えても変態じゃないっすか!」
M「まー確かにな。でも一度飼い始めたら、幼女かどうかなんて気にならなくなるぞ」
M「うちのは死んだ爺さんの形見みたいなもんだけど、息子がえらく気に入ってな」
M「一緒に遊んだりおやつ作ってやったり、いろいろ面倒見てくれて助かったんだけど」
M「さすがに一緒に学校行くって言い出したときは参ったな……」
俺「が、学校っすか!?」
M「いや、流石に学校は無理だぞ。でもそのくらい人間と変わらないってことさ」
M「ちゃんと教えれば、飯も作るし掃除洗濯もやってくれるようになるぞ」
M「一人暮らしにはちょうどいいんじゃないか?」
俺「やってくれるっすかねぇ……」
M「猫だって、躾けるときは猫が覚えるまで辛抱強く繰り返さなきゃいけないんだ」
M「そう思えば幼女の方が覚えが早いかもしれないぞ」
俺「……」
その後俺は、仕事が終わるまでずっと幼女のことを考えていた。もちろん、変なことじゃ
なく、飼うかどうかだ。
M「男くん、そろそろ上がろうか。あとちょっとだけど、残りは俺が済ませとくから」
俺「……M島さん、やっぱ俺、あの幼女飼うことにしました」
M「そうか。だったらオプーナ社ってとこの、初めての幼女の飼い方って本がいいぞ」
俺「M島さん……ありがとうございます」
俺はM島さんの厚意に甘えることにした。たぶん今も、あの幼女は扉をカリカリ引っか
きながら、俺の帰りを待ってるはずだ。本屋に寄ったら急いで帰らないと。
PRRRRRRRRRRRR
俺「ん、S谷か」ピッ「もしもし」
S『悪ぃ悪ぃ、夕べ夜勤でメールに気が付かなくてさ。で、幼女のことだけど』
俺「ああ、済まん、やっぱ俺、その幼女飼うことにしたわ」
S『へぇ……お前がねぇ……』
S『いや、お前そういうの趣味じゃないと思ってたけど』
俺「別に趣味じゃねぇよ、ほら、一人暮らし始めたから家事でもできればいいかと思って」
S『ま、確かにそういう飼い方もアリだけど……本当にそれだけか?』
俺「本当にそれだけだよ。んじゃ……あ、お前明日休みか?」
俺「何か要りそうなもん買うの手伝ってほしいんだけど」
S『ほいほい、そんならうちの幼女の使い古しで良けりゃ、適当に持ってくよ』
俺「おお、助かるわ。じゃ明日、いつもの時間な」ピッ
俺は走って電車に飛び乗り、電車に揺られながら幼女の名前を考えていた。
M「子供や幼女は言葉が通じる分まだ楽だけど、猫は言葉通じないしな」
俺「そりゃそうっすけど、あの幼女は言葉わかんないみたいで……」
M「だったらそれこそ、猫と一緒じゃないか」
俺「――!」
言われてみればあの幼女、水に濡れるのを嫌がったり扉を爪で引っかいたり……第一、
にゃーにゃーしか言わないところが猫みたいじゃないか。
俺「でも、でも、男の一人暮らしで幼女飼うなんて、どう考えても変態じゃないっすか!」
M「まー確かにな。でも一度飼い始めたら、幼女かどうかなんて気にならなくなるぞ」
M「うちのは死んだ爺さんの形見みたいなもんだけど、息子がえらく気に入ってな」
M「一緒に遊んだりおやつ作ってやったり、いろいろ面倒見てくれて助かったんだけど」
M「さすがに一緒に学校行くって言い出したときは参ったな……」
俺「が、学校っすか!?」
M「いや、流石に学校は無理だぞ。でもそのくらい人間と変わらないってことさ」
M「ちゃんと教えれば、飯も作るし掃除洗濯もやってくれるようになるぞ」
M「一人暮らしにはちょうどいいんじゃないか?」
俺「やってくれるっすかねぇ……」
M「猫だって、躾けるときは猫が覚えるまで辛抱強く繰り返さなきゃいけないんだ」
M「そう思えば幼女の方が覚えが早いかもしれないぞ」
俺「……」
その後俺は、仕事が終わるまでずっと幼女のことを考えていた。もちろん、変なことじゃ
なく、飼うかどうかだ。
M「男くん、そろそろ上がろうか。あとちょっとだけど、残りは俺が済ませとくから」
俺「……M島さん、やっぱ俺、あの幼女飼うことにしました」
M「そうか。だったらオプーナ社ってとこの、初めての幼女の飼い方って本がいいぞ」
俺「M島さん……ありがとうございます」
俺はM島さんの厚意に甘えることにした。たぶん今も、あの幼女は扉をカリカリ引っか
きながら、俺の帰りを待ってるはずだ。本屋に寄ったら急いで帰らないと。
PRRRRRRRRRRRR
俺「ん、S谷か」ピッ「もしもし」
S『悪ぃ悪ぃ、夕べ夜勤でメールに気が付かなくてさ。で、幼女のことだけど』
俺「ああ、済まん、やっぱ俺、その幼女飼うことにしたわ」
S『へぇ……お前がねぇ……』
S『いや、お前そういうの趣味じゃないと思ってたけど』
俺「別に趣味じゃねぇよ、ほら、一人暮らし始めたから家事でもできればいいかと思って」
S『ま、確かにそういう飼い方もアリだけど……本当にそれだけか?』
俺「本当にそれだけだよ。んじゃ……あ、お前明日休みか?」
俺「何か要りそうなもん買うの手伝ってほしいんだけど」
S『ほいほい、そんならうちの幼女の使い古しで良けりゃ、適当に持ってくよ』
俺「おお、助かるわ。じゃ明日、いつもの時間な」ピッ
俺は走って電車に飛び乗り、電車に揺られながら幼女の名前を考えていた。
俺「……カレン、うん、カレンだ」
本当は飼おうと思っていた猫につける予定の名前だった。オスならヒューゴ、メスなら
カレン、と。この名前をあの幼女につけることは、俺にとってあの幼女を飼う決意にも似
ていた。
電車が駅に到着し、俺は扉が開くのももどかしいほど急いで改札を出ると、駅前の本屋
に飛び込んだ。早速ペット飼育本のコーナーで、M島さんが言ってたオプーナ社の幼女本
を探し、レジへ持っていった。
店員「980円(税)になります」
店員が差し出した本と20円とレシートを奪い取る勢いで、俺はマンションへ走った。そ
して部屋の前で一息ついて、気づいた。部屋の中から音らしい音は聞こえない。
俺「待ちくたびれて寝てるのかな……あれ? 鍵が回らねぇ……開いてる!?」
今朝部屋を出るとき、確かに鍵をかけたはずなのに。我ながら、顔から血の気が引いて
いくのが奇妙なくらい冷静に分かった。
俺「カレン!?」ガチャッ!
ユニットバスの中にカレンの姿はなかった。折りたたみテーブルの上には、コンビニお
にぎりとお茶が手付かずで残っている。と、俺の足元に脱ぎ捨てられたTシャツがあった。
俺「カレン、どこだ!?」
夕べ閉じ込めた玄関すぐの部屋、PCを置いているDK、寝室にしている和室。どこにもカ
レンの姿はなかった。もちろん、カレンが隠れられるほどの荷物もない。
俺「まさか……俺を追っかけて部屋を出た?」
俺の前ではやらなかっただけで、カレンは扉を開けようと思えば開けられたんじゃない
のか? カレンが自分から扉を開けないと思って、油断してた。でも駅からこの部屋まで、
カレンらしい姿を見た覚えはない。後は……夕べカレンを捲こうとして、わざわざ遠回り
した駅前のほか弁屋までの道か?
俺は急いで、覚えている限りの道順を逆に辿ってみたが、やっぱりカレンの姿はない。
俺「せめて、誰か見た人がいればな……そうだ、S谷!」
俺はさっそくS谷に電話し、事情を話すと、S谷は「うちで一番鼻が利く」幼女を連れ
てきた。カレンが脱ぎ捨てたTシャツ手がかりに、S谷の幼女はカレンのにおいを追いかけ
たが、そのにおいはマンションの前の道路で途切れたらしい。
幼「ここ、金属と排気ガスの臭いも残ってますね。車に乗せられたのかも知れません」
幼「流石の私でも車の臭いを追うのは無理です、これ以上は……」
カレンが部屋から出たのを見つけた誰かが、車で連れていった? 前の飼い主か? 幼
女を飼いたかった奴か? それとも、野良幼女を狩って露店で売ったり臓器移植や実験動
物に使ったりしてる連中? 何にしても、カレンのことは諦めるしかなさそうだった。
本当は飼おうと思っていた猫につける予定の名前だった。オスならヒューゴ、メスなら
カレン、と。この名前をあの幼女につけることは、俺にとってあの幼女を飼う決意にも似
ていた。
電車が駅に到着し、俺は扉が開くのももどかしいほど急いで改札を出ると、駅前の本屋
に飛び込んだ。早速ペット飼育本のコーナーで、M島さんが言ってたオプーナ社の幼女本
を探し、レジへ持っていった。
店員「980円(税)になります」
店員が差し出した本と20円とレシートを奪い取る勢いで、俺はマンションへ走った。そ
して部屋の前で一息ついて、気づいた。部屋の中から音らしい音は聞こえない。
俺「待ちくたびれて寝てるのかな……あれ? 鍵が回らねぇ……開いてる!?」
今朝部屋を出るとき、確かに鍵をかけたはずなのに。我ながら、顔から血の気が引いて
いくのが奇妙なくらい冷静に分かった。
俺「カレン!?」ガチャッ!
ユニットバスの中にカレンの姿はなかった。折りたたみテーブルの上には、コンビニお
にぎりとお茶が手付かずで残っている。と、俺の足元に脱ぎ捨てられたTシャツがあった。
俺「カレン、どこだ!?」
夕べ閉じ込めた玄関すぐの部屋、PCを置いているDK、寝室にしている和室。どこにもカ
レンの姿はなかった。もちろん、カレンが隠れられるほどの荷物もない。
俺「まさか……俺を追っかけて部屋を出た?」
俺の前ではやらなかっただけで、カレンは扉を開けようと思えば開けられたんじゃない
のか? カレンが自分から扉を開けないと思って、油断してた。でも駅からこの部屋まで、
カレンらしい姿を見た覚えはない。後は……夕べカレンを捲こうとして、わざわざ遠回り
した駅前のほか弁屋までの道か?
俺は急いで、覚えている限りの道順を逆に辿ってみたが、やっぱりカレンの姿はない。
俺「せめて、誰か見た人がいればな……そうだ、S谷!」
俺はさっそくS谷に電話し、事情を話すと、S谷は「うちで一番鼻が利く」幼女を連れ
てきた。カレンが脱ぎ捨てたTシャツ手がかりに、S谷の幼女はカレンのにおいを追いかけ
たが、そのにおいはマンションの前の道路で途切れたらしい。
幼「ここ、金属と排気ガスの臭いも残ってますね。車に乗せられたのかも知れません」
幼「流石の私でも車の臭いを追うのは無理です、これ以上は……」
カレンが部屋から出たのを見つけた誰かが、車で連れていった? 前の飼い主か? 幼
女を飼いたかった奴か? それとも、野良幼女を狩って露店で売ったり臓器移植や実験動
物に使ったりしてる連中? 何にしても、カレンのことは諦めるしかなさそうだった。
その晩、俺は部屋に戻って何をやったか、まるで覚えていない。あれほど悩んでやっと
飼おうと決意したのに、肝心のカレンがいなくなって、心にぽっかり穴が空いていた。
翌日も、せっかくの日曜を、俺は何もせずぼんやり過ごしていた。洗濯に買い物、今週
分の晩のおかず作りなど、やることは山のようにあるのに、何も手につかなかった。
目の前にあるのは、カレンが最後に着ていたTシャツと、カレンが丸まって眠った毛布、
そして封をしたままの本屋の袋。中身はM島さんに勧められて買った、幼女飼育本だ。
俺「カレン……」
部屋に入られたときは、この上なく厄介な荷物だと思ったのに。飯や風呂を用意してい
るとピッタリついて来たときは、付きまとって鬱陶しいと思ったのに。新しいTシャツを着
たときは、余計な洗濯物を増やしてくれたと思ったのに。シャケ弁や野菜炒めを食べたと
きは、人が腹減ってるのに人の飯を盗りやがってと思ったのに。おにぎりを買ってコンビ
ニから帰ってきたときは、せいぜい10分離れたくらいで泣きやがってと思ったのに。シャ
ワーを嫌がったときは、汚いまま部屋をうろつかれると困ると思ったのに。漏らしたとき
は、そのくらい喋って教えろよと思ったのに。
嫌だな。厄介だな。面倒だな。そう思っていたカレンの行動の全てが、カレンの気持ち
を無視した俺の身勝手さだとM島さんに指摘されて、もっとちゃんとカレンの気持ちを分
かってやらなきゃ、カレンだけじゃなく猫を飼う資格もないんだな、と思ったのに。
我慢できなかった。俺は泣いた。俺がもっとちゃんとカレンのことを分かっていれば、
カレンは部屋から出ず、車で連れて行かれることもなかったのかも知れないのに。
S「何なら、うちの幼女を1匹世話してみるか?」
よっぽど俺が落ち込んでいたのだろう、S谷はそう言ってくれたが、俺は断った。今は
カレン以外の幼女なんて、とてもじゃないけど考えられない。
月曜。M島さんは俺の話を聞いて一言、「そうか、つらいな」それだけだった。でも、
K「つらいことは、早く忘れてしまった方がいいですよ」
K野さんのように、理解っていないのに理解ったようなことを言われるよりは、ずっと
ありがたかった。
M「あ、そうだ男くん、土曜の代休、いつがいい?」
俺「いつでも構いませんけど……」
M「じゃ今度の金曜にしとくか? 三連休になるけど」
俺「いつでも構いませんけど……」
今の俺は、とても仕事を休む気にはなれなかった。仕事をしている間は、カレンのこと
を考えずに済むからだ。そんなわけでM島さんに言われるまま、代休は金曜に決まった。
週末に仕事の納期が集中することも多いので、金曜はそう簡単に休めないんだけど、たぶ
んM島さんなりの俺への気遣いだったんだろう。
飼おうと決意したのに、肝心のカレンがいなくなって、心にぽっかり穴が空いていた。
翌日も、せっかくの日曜を、俺は何もせずぼんやり過ごしていた。洗濯に買い物、今週
分の晩のおかず作りなど、やることは山のようにあるのに、何も手につかなかった。
目の前にあるのは、カレンが最後に着ていたTシャツと、カレンが丸まって眠った毛布、
そして封をしたままの本屋の袋。中身はM島さんに勧められて買った、幼女飼育本だ。
俺「カレン……」
部屋に入られたときは、この上なく厄介な荷物だと思ったのに。飯や風呂を用意してい
るとピッタリついて来たときは、付きまとって鬱陶しいと思ったのに。新しいTシャツを着
たときは、余計な洗濯物を増やしてくれたと思ったのに。シャケ弁や野菜炒めを食べたと
きは、人が腹減ってるのに人の飯を盗りやがってと思ったのに。おにぎりを買ってコンビ
ニから帰ってきたときは、せいぜい10分離れたくらいで泣きやがってと思ったのに。シャ
ワーを嫌がったときは、汚いまま部屋をうろつかれると困ると思ったのに。漏らしたとき
は、そのくらい喋って教えろよと思ったのに。
嫌だな。厄介だな。面倒だな。そう思っていたカレンの行動の全てが、カレンの気持ち
を無視した俺の身勝手さだとM島さんに指摘されて、もっとちゃんとカレンの気持ちを分
かってやらなきゃ、カレンだけじゃなく猫を飼う資格もないんだな、と思ったのに。
我慢できなかった。俺は泣いた。俺がもっとちゃんとカレンのことを分かっていれば、
カレンは部屋から出ず、車で連れて行かれることもなかったのかも知れないのに。
S「何なら、うちの幼女を1匹世話してみるか?」
よっぽど俺が落ち込んでいたのだろう、S谷はそう言ってくれたが、俺は断った。今は
カレン以外の幼女なんて、とてもじゃないけど考えられない。
月曜。M島さんは俺の話を聞いて一言、「そうか、つらいな」それだけだった。でも、
K「つらいことは、早く忘れてしまった方がいいですよ」
K野さんのように、理解っていないのに理解ったようなことを言われるよりは、ずっと
ありがたかった。
M「あ、そうだ男くん、土曜の代休、いつがいい?」
俺「いつでも構いませんけど……」
M「じゃ今度の金曜にしとくか? 三連休になるけど」
俺「いつでも構いませんけど……」
今の俺は、とても仕事を休む気にはなれなかった。仕事をしている間は、カレンのこと
を考えずに済むからだ。そんなわけでM島さんに言われるまま、代休は金曜に決まった。
週末に仕事の納期が集中することも多いので、金曜はそう簡単に休めないんだけど、たぶ
んM島さんなりの俺への気遣いだったんだろう。
そうして、あっと言う間に金曜日。俺は相変わらず、カレンが消えたショックから立ち
直れないまま、ぼんやり部屋で寝ていた。
ガチャ
俺「……?」
玄関の鍵が開く音が聞こえた。誰だ?と思った瞬間、玄関から声がした。
母「ちょっと男、あんた今日仕事じゃないの?」
俺「お袋!?」
俺は急いで玄関へ行った。
俺「何だよ、何しに来たんだよ」
母「何だよじゃないでしょ、それより仕事どうしたの!」
俺「休みだよ、先週の休日出勤の代休」
母「そんな話、お母さん聞いてないわよ」
俺「何でいちいちお袋に報告しなきゃいけないんだよ。それより何しに来たんだよ」
母「何しに来たんだじゃありません、お母さんの言うことが聞けないの?」
俺「家にいるときならしょうがないけどさ」
俺「何で家を出て一人暮らししてるのに、お袋にあれこれ言われなきゃいけないんだよ」
母「あんたが心配だからに決まってるでしょ」
俺「それが余計な世話だってんだよ。俺だってもう子供じゃないんだからさ」
母「大人だったら、お母さんに黙って勝手に部屋に幼女連れ込んでいいって言うの?」
俺「……今、何て言った?」
母「幼女よ、幼女。あんな汚いの、どうせ拾ってきた野良でしょ」
母「変な病気でも持ってたらどうするつもりだったのよ」
母「だいたいあんたは昔から、飽きっぽいくせにすぐ犬とか猫とか拾ってくるんだから」
母「どうせ世話なんてできっこないくせに」
俺「……」
『次のニュースです。今日午前、S県U市で53歳の女性がマンション5階のベランダから転
落する事故があり、女性は病院に搬送されましたが全身を強く打っており、まもなく死亡
しました。現場は女性の息子23歳が住むマンションの一室で、事故当時、女性の息子が居
合わせており、警察は息子に任意の事情聴取を始めました……』
<<<< Concluded. >>>>
直れないまま、ぼんやり部屋で寝ていた。
ガチャ
俺「……?」
玄関の鍵が開く音が聞こえた。誰だ?と思った瞬間、玄関から声がした。
母「ちょっと男、あんた今日仕事じゃないの?」
俺「お袋!?」
俺は急いで玄関へ行った。
俺「何だよ、何しに来たんだよ」
母「何だよじゃないでしょ、それより仕事どうしたの!」
俺「休みだよ、先週の休日出勤の代休」
母「そんな話、お母さん聞いてないわよ」
俺「何でいちいちお袋に報告しなきゃいけないんだよ。それより何しに来たんだよ」
母「何しに来たんだじゃありません、お母さんの言うことが聞けないの?」
俺「家にいるときならしょうがないけどさ」
俺「何で家を出て一人暮らししてるのに、お袋にあれこれ言われなきゃいけないんだよ」
母「あんたが心配だからに決まってるでしょ」
俺「それが余計な世話だってんだよ。俺だってもう子供じゃないんだからさ」
母「大人だったら、お母さんに黙って勝手に部屋に幼女連れ込んでいいって言うの?」
俺「……今、何て言った?」
母「幼女よ、幼女。あんな汚いの、どうせ拾ってきた野良でしょ」
母「変な病気でも持ってたらどうするつもりだったのよ」
母「だいたいあんたは昔から、飽きっぽいくせにすぐ犬とか猫とか拾ってくるんだから」
母「どうせ世話なんてできっこないくせに」
俺「……」
『次のニュースです。今日午前、S県U市で53歳の女性がマンション5階のベランダから転
落する事故があり、女性は病院に搬送されましたが全身を強く打っており、まもなく死亡
しました。現場は女性の息子23歳が住むマンションの一室で、事故当時、女性の息子が居
合わせており、警察は息子に任意の事情聴取を始めました……』
<<<< Concluded. >>>>
あ、皆さんお久しぶりです(ずっとROMってはいたんだけどね。
「最後のひととき」の執筆が進まないので、
気分転換に中編くらいの長さのを書いてみました。
(実はもう一編、書きかけのがあると言う・・・
久々の投下ですが、ご堪能いただければ幸いです。
「最後のひととき」の執筆が進まないので、
気分転換に中編くらいの長さのを書いてみました。
(実はもう一編、書きかけのがあると言う・・・
久々の投下ですが、ご堪能いただければ幸いです。
電車を降りると、にわかに目の前に見馴れた風景が広がった。
ホームはすでに暗闇に覆われていて、何かの慰めみたいに灯された蛍光灯には
羽虫が飛び交っていた。
吹き抜ける風はこれ以上無いくらいに冷たい。
しかしこうして歩いていると
たちまち冷汗が粒になって額に浮かんでくる。
胃の中身が込み上げてくる感触がある。
そろそろ限界だろうと思った。
色々なことが、限界に達していた。
このまま結論を後回しにし続けることにも、ミクが隣にいないことにも。
これ以上続けては、だめになる。
不安定な均衡は、きっと音をたてて崩壊してしまう。
俺を取り巻く事柄が、変わり始める頃にあった。
ホームはすでに暗闇に覆われていて、何かの慰めみたいに灯された蛍光灯には
羽虫が飛び交っていた。
吹き抜ける風はこれ以上無いくらいに冷たい。
しかしこうして歩いていると
たちまち冷汗が粒になって額に浮かんでくる。
胃の中身が込み上げてくる感触がある。
そろそろ限界だろうと思った。
色々なことが、限界に達していた。
このまま結論を後回しにし続けることにも、ミクが隣にいないことにも。
これ以上続けては、だめになる。
不安定な均衡は、きっと音をたてて崩壊してしまう。
俺を取り巻く事柄が、変わり始める頃にあった。
だから俺は、とうとうこの場所に来た。
ずいぶん間をおいての帰郷だが、そこに感慨は無い。
全てが始まり、そしてこれから収束するはずの場所だった。
…ミクの姿を、一番多く見た街だった。
機械のような手順で改札をパスして出口へと歩き出す。
遠くで次の電車の到着を知らせるアナウンスが聞こえる。
それぞれの方向に歩き出した人々の無言が聞こえる。
俺はわざと大通りから外れた脇道を選ぶ。
街灯が無いので、他に人の姿はなくなる。
ずいぶん間をおいての帰郷だが、そこに感慨は無い。
全てが始まり、そしてこれから収束するはずの場所だった。
…ミクの姿を、一番多く見た街だった。
機械のような手順で改札をパスして出口へと歩き出す。
遠くで次の電車の到着を知らせるアナウンスが聞こえる。
それぞれの方向に歩き出した人々の無言が聞こえる。
俺はわざと大通りから外れた脇道を選ぶ。
街灯が無いので、他に人の姿はなくなる。
道はひっそりとしていた。
俺はコートに身を埋め、息を白くしながら歩を進めた。
寒さで耳がじんじんと痛んだ。
無意識の内に歩みは早くなってゆく。
不意に目の前の靄がぱっと散ったような気がした。
次の瞬間、その光景は唐突に広がった。
俺は往来に一人立ったまま、長いあいだそれを見ていた。
ここを出る前にこれから毎年見ようと約束した、あの桜並木。
どの樹木も葉はぜんぶ落ちてしまっていて、まして
花など残っているはずもない。
それでも力強い幹が暗闇に凛と浮ぶその風貌には、一種の
威厳のようなものが感じられた。
俺はコートに身を埋め、息を白くしながら歩を進めた。
寒さで耳がじんじんと痛んだ。
無意識の内に歩みは早くなってゆく。
不意に目の前の靄がぱっと散ったような気がした。
次の瞬間、その光景は唐突に広がった。
俺は往来に一人立ったまま、長いあいだそれを見ていた。
ここを出る前にこれから毎年見ようと約束した、あの桜並木。
どの樹木も葉はぜんぶ落ちてしまっていて、まして
花など残っているはずもない。
それでも力強い幹が暗闇に凛と浮ぶその風貌には、一種の
威厳のようなものが感じられた。
彼女が密かにこの街に帰っていたとしたら…と、俺は想像する。
この桜並木を、見に来ただろうか。
…きっと、見ただろう。
そこに花がないことなど気にもとめず、彼女は
心にいつかの風景を描き出し、この景色と照らしたに違いない。
思えば桜など、一度も見たことが無かった。
半年前こうして木を目の前にした時でさえ、
俺は決してこの力強い幹を捉えていなかった。
なのに今は彼女のことを思うだけで、
こんなにも胸がつまる。
直ぐこの場で頭を抱えて、崩れ落ちてしまいそうになる。
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