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元スレ新ジャンル「仲間に魔王」

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101 :

大作の予感
だけどキャラ増えてきて二人がいちゃいちゃできなくなってるのが悲しい

102 = 101 :

マオたんもっと積極的に攻めないかなー
二人の関係発展してほしい

103 :

今北。なんという大作

105 = 96 :

 >>99の続き。

僧侶「買うもの買ったし、取りあえず後は明日出発するだけだな。」
混血「おやすみなさいッス~。」
魔王「ミッくん、翼が大きくなってからうつ伏せで寝るようになったよね。」
「仰向けだとゴリゴリ痛くて眠れないッスよ。」
「……ソレは、魔族のモノなんだよな?」
「そうッスね、爪とか髪とか歯とか…そう言うのも、人間より硬くて魔族寄りッス。」

「ミッくん前に、自分は“魔族の母と人間の父の子供だ”って言ってたけど、覚えてるの?」
「母親は覚えてないッスけど、3歳くらいまで父と暮らしてて説明されたッス。……少しして父が死んで、身寄りもなくてフラフラしてたトコをあの調教師に捕まってたッス。」
「じゃあ、10年もあのサーカスに居たのか…?」
「長いようで、割りと短かったッスよ。同じ檻小屋のに居た動物さんたちも善くしてくれてたッス。」
「動物って…話せるのか?」
「なんでか、オイラだけ話せるみたいッス。そのせいか、サーカス団員のみんなには余計に気味悪がられましたッスけど。」


「いいなぁ、あたしも動物と話せたら、迷子のあいだ寂しくなかったのかなぁ。」

106 = 96 :

 >>105の続き。

騎士長「やぁ、おはよう。」

僧侶「待たせたか、悪いな。」
「なに、私は待ち合わせ時間より早く来ないと気がすまなくてね、待つのには慣れてる。」
混血「そ、それじゃあコレからよろしくお願いしますッス~。」
魔王「よろしくねーっ。」
「ああ、よろしく。偏見や差別はしないつもりだから、仲良くしてほしい。」


「ねぇねぇ、これからどれくらい歩くの?」
「そうだな…、休憩するのも考えると、2日ぐらいは歩きどおしだ。」
「えぇ~!」
「明白にしんどそうな顔するなよ。」
「だってだって、2日もモンくんと一緒にお風呂入れないんでしょ!? この間から、もう5日も一緒に入ってないよぉー!!」
「まだ5日しか経ってない。…迷子になってた年月に比べれば、我慢できるだろ。」
「迷子になってた50年よりも、モンくんとお風呂に入れない5日間のほうが長いよぉー!!」


「だだこねるなって。……途中どこか休憩所みたいのが有るだろうから、せめてそこまでは我慢してくれ。」

107 = 96 :

 >>106の続き。

騎士長「コホン……あーその、実に言い辛いんだが……。」
僧侶「? なんだよ。」
「『少女趣味』、というのか? 兎に角なんだ、あまりマオくんとベタベタしすぎると、“そう言う目”で見られてしまうよ?」
「……べつに、否定する必要も感じないな。」
「…そうか。君達が構わないなら良いんだ、うん。」


「ラヴが足りない! ラヴが!!」
混血「や、薮からスティックッスね…。」
「あたしはこぉ──んなにモンくんをラヴしてるのに、モンくんってば『ラヴ』の一言も言ってくれないんだもんっ!」
「愛してると言ってくれ?」
「……それを伝えられて、俺はどうしたら良いんだ。愛してると言えばいいのか。」


「んっとねぇ、んっとねぇ……抱っこしてっ!!」

109 = 96 :

 >>107の続き。

僧侶「抱っこ? お姫さまのか?」
魔王「違うの違うの。こぅ、肩に乗るやつだよ。」
「肩に? …あぁ、肩車のことか。」
「そうそうっ、カバグルマ!」
「変わってる変わってる。……アレを抱っこと言っていいのか?」
「前にバーヤに頼んでやってもらったときは、バーヤの腰から変な音がして途中で止めちゃったの。」
「(腰って…確かに女性には辛いかも知れんが……いったい身体年齢いくつだアイツ…。)」
「だからねぇ…ダメ?」
「……だから、その眼で見られたら断れねぇって言ってるだろうが…。」
「わーいわーいわーいっ!!」


「ほれ、しゃがんでる内に乗りな。」
「うんっ! …よっこいしょと。」
「コラコラコラ。前から乗ったら前が見えない上に、いかがわしい体勢になっちゃうだろうが。」
「ふぇ? バーヤにしてもらったときはこうしたよ?」
「いいからまずは降りろ。後ろから乗りなさい。」
「バーヤったら息が荒くてこそばゆかったんだぁ。」


「……変態…?」

110 = 96 :

 >>109の続き。

僧侶「よいしょ、っと。…そう言えばお前、スカートだったんだよな。」
魔王「うにゅ? ……──にゃあぁあぁぁぁっ!!」
「頼むから耳元で叫ばんでくれ。」
「み見ミみみ…見た!?」
「見てない。」
「見たでしょぉっ!!?」
「風呂からあがった時にも、故意にではないが見えてるぞ。」
「やっぱり見たんだぁー! ふわぁーんっ!!」
 ポカポカポカポカ
「痛い痛い。地味に痛くて脳震盪おこしそうだから止めてくれ。」
「見せるのと見られるのは違うんだよぉーっ!!」
「その二つの差異を3文字にまとめてくれないか。」
「恥・ず・い!!」
「おぉ、よくできました。」
 ポカポカポカポカ


騎士長「…ふふっ。」
混血「どうしたッスか?」
「いや、ああやって肩車をしてじゃれ合っている2人は、恋人と言うよりは親子のようにも見えてしまってね。」
「……ああ、わかりますッス。」


「…あれだけ仲が良いと言うのに、時は……時の流れは、いつかあの2人を引き裂いてしまうのだろうね…。」

111 = 96 :

 >>110の続き。

僧侶「…そろそろ陽が沈んできたな。」
混血「結構歩いたッスね……オイラ疲れたッス…。」
騎士長「辺りに人は居なかったし、たまに飛んで足を休ませるのも手だと思ったのだが。」
「……思いつかなかったッス。」

「休憩所が見えたぞー。」


「ぐはあぁ……もうダメッス、起き上がれないッス~…。」
「まったく、だらしが無いなぁっ。」
「マオたん様、ずっと師匠に乗っかってたじゃないッスかぁ。」
騎士長「重い荷物は私とモンクくんが持っていたからね、疲労は彼の方が有るだろう。」
「う、うにゅ? あたしモンくんに悪いことしちゃった…?」
「……いや、そうでも無いだろう。」
「そうッスね。マオたん様と話してる師匠、けっこう楽しそうッス。」
「……あれっ? そう言えばモンくんは?」
「ホールにいる他の人と、世間話してたみたいッスよ。」


「──ここはモンくんのお嫁さんとして、キチンと挨拶をしておくべきではっ!?」

112 = 96 :

 >>112の続き。

魔王「モっンくん、モっンくん…見つけたっ! モンく──ぅ?」
僧侶「…“神思し召せ、猛る哀れを圧し潰せ”。“神宿り帰せ、流る血潮を呼び戻せ”。“歌え、なお歌え。途切れる息は罪悪の欠片”……」

「……教、本…?」

「“詩え、いざ詩え。途切れる言は限界の鐘令”……ってのが一節だ。」
旅人A「ほっほぉ、邪神様を奉ってる説教を聴かせて貰えるとはのぉ、長生きはしてみるもんじゃい。」
旅人B「ありがたやありがたや。」
「邪神じゃねぇ、荒神だ。それとジィさん、破戒僧を拝むのは止めてくれよ。」
旅人C「一般人からしてみたら同じようなものじゃて。…ん? お嬢ちゃん、どうかしたかぃ?」
「──あ…その……。」
「マオ? どうしたそんな所で、コッチ来いよ。」
「あ……うん。」

「どうしたね、このアンちゃんが恐くて震えとるのか?」
「殴んぞジィさん。…けどどうした、震えてンのは本当だぞ?」
「……カ……」
僧侶、旅人C「か?」


「……カッコよかったよぉー!! 真っ直ぐ立って本を見下ろす眼とか、淡々として澄んだ声色とか、カッコよすぎてしゃべり方忘れちゃってたよー!!」

113 = 101 :

こんなに素敵な展開にしてくれてありがとう
すっごく、いい!
マオちゃん可愛すぎる

114 :

 >>112の続き(安価ミスとか…シねばイイのに)。

旅人C「ほっほ、モテるのぉアンちゃん。」
僧侶「いや、モテると言うか…」
魔王「あうぅ~、モンくんモンくんモンくんっ!」
 ピョンピョンピョン
「嫁さんなもんで、一応。」
「ラヴ~!!」
「わかったから、少し落ち着いてくれ。」

旅人A「嫁さんとは……まだだいぶ年端も行かぬように見えるが…?」
「ただいま花嫁修業中ですっ!」
「…まぁ、見た目は12、3がいいトコだが、結婚は出来る歳なんだ。一応。」
「さっきから“一応一応”と、妙に引っかかるのぅ。」
「保護者や身内にまだ許してもらってないんだ。だから、一応。」
旅人B「ありがたやありがたや。」
「弱いのぅ。…男だったらこう、“コイツはワシのモンじゃきぃ、幸せにすっから安心してジョーブツせぇや!”くらい言ってみたら…ゴホッゴホ、ゲホゲホゲホー!!」
「何人だよ俺は。って言うか大丈夫か?」
「じ、持病の痔が…」


「なぜ痔で咳をするんだ。」

115 = 114 :

 >>114の続き。

魔王「ラヴラヴラ~ヴ~。」
旅人A「ほほほっ。本当にそのアンちゃんが好きなんじゃのぉ。」
「うん! あたし、モンくんのこと大好きっ!!」
僧侶「そんな照れもなく言うなよ……恥ずかしくないか?」
「うにゅ? なんで恥ずかしがるの?」
「いや、そりゃあ……」
旅人C「ふんっ、家族…嫁さんに好かれていることを恥ずかしがるとは、まだまだ青いのぅ。」
「あははは、前にモンくんが言ったのと同じこと言ってるっ。」
「……ちぇっ。」
「ありゃま、不貞腐れおった。」
「はははは、ほんに青い青いっ! ははははは!」
旅人B「はははははははっ!」

「あ、あれ? なんでみんな笑うの? も、モンくんのこと笑ったらダメだよっ?」
旅人一同「はははははっ!!」
「むぅ~、ダメだったらぁ!」
「マオ、気にするな。ジィさん達も悪気がある訳じゃあない。」
「で、でも…。」
「それよりも、そろそろ寝とかないとな。明日は今日よりキツい道程になる。」


「…はーいっ。」

116 = 114 :

 >>115の続き。

魔王「ただいまー……あれ?」

混血「Zzz…Zzz……。」
騎士長「Zzz…………Zzz……。」

「もう寝ちゃってる。」
僧侶「疲れたんだろう。ミックスは何だかんだでまだ子供だし、ウォリアも役職上、国から遠出したことがないと思うしな。」
「そっかぁ。」
「俺たちも寝るぞ。」
「うん。」


 ホーホーホー…
「……ねぇモンくん。」
「うん…?」
「もうちょっと、寄ってもいい?」
「そんなに広いベッドでもないだろ。」
「だから、もうちょっと。」
「……好きにしな。」
「わぁーい。」

「…なぁ、マオ。」
「なになに?」
「お前は……なんで俺のことそんなに好いてくれるんだ?」
「ふぇ?」
「最初はただ、一緒に旅をするだけのつもりだったはずだ。…なのになんで、“ラヴ”とか言ってくるようになったのか…気になったんだ。」
「う、うぅん……よくわかんない。」
「わからないって、深く考えてないって意味……じゃないよな?」


「違うの、“理解できない”んじゃなくて、“気がついたら好きになってた”の。…だから、わかんない。」

117 = 114 :

 >>116の続き。

僧侶「そうか……ありがとな。」
魔王「んっ…。」
 ナデナデ

「…前にも話した通り、俺って孤児だった訳だが。」
「う、うん。」
「戦災で死んだって聞かされるまで、“親に捨てられたんだ”と思い込んでてな。」
「そんなっ…。」
「まぁすぐに自分の事は教えてもらえたんだけど、周りの孤児の中には確かにそう言う奴も居たんだ。」
「………。」
「そうしたら、段々と頭ん中で“愛”ってヤツを疑いはじめちまってな。…愛のカタチとして産まれたであろう自分の子供を捨てる、そんなモロい“愛”なんてモノを、信じていいのかわからなくなったんだ。」
「違うよモンくん、それは…」


「そんな考えを持ってたから司教…孤児院長に、破門なんかされちまってよ。『元僧侶見習い』に探せる仕事なんかなくって、結局元の宗教の敵に当たる荒神なんてのを崇めて、やりたい放題に殴り合いしまくってた。」

118 = 114 :

 >>117の続き。

魔王「……モンくん、もういいよ、無理して話さないで?」
僧侶「無理なんかしてないさ。…で、そんな俺なんかをお前は…マオは、好きだって言ってくれるんだろ?」
「うん、好きだよ。大好き。」
「……なんでだろうな。」
「…?」
「なんであんなに疑ってばっかだったモノが、言葉が。……こんなに、嬉しいんだろうな…。」

 …ギュウウゥゥ
「泣かないで、モンくん。あたしは、モンくんに泣いてほしくて好きだって言ってるんじゃないの。…迷子になってる間、あたしは寂しかったよ。寂しくて、悲しくて、あと2年でも迷子になってたら、泣きすぎて死んじゃってたかも知れない。」
「………。」
「モンくんは、あたしを怖がらなかったよね? 迷子になってる間も話しかけて来た人はいたけど、あたしが『魔王』って名乗ると、みんな怒るか笑うかしていなくなっちゃうのが殆どだった。」
「…怖がらなかったのは、マオが子供の姿してたからだよ。」


「そうなんだ? それじゃあ、子供っぽいのも悪くなかったのかな。…それで、あたしと話して一緒に旅をするなんて言われたときは、意外すぎて嬉しすぎて、ちょっとだけ泣いちゃった。」

119 = 114 :

 >>118の続き。

僧侶「アレにしたって、俺はマオを泣かせるつもりは無かったんだぜ?」
魔王「……あたしは、モンくんが好き。たぶん出逢った瞬間から、あたしはモンくんを好きになってたんだと思うの。」
「またそんな真面目な顔で面と向かって言うなよな……恥ずかしくないのかよ…。」
「恥ずかしくなんてないよ。モンくんを好きなことはあたしの誇りだし、あたしの幸せだから。」
「………。」
「あははっ、耳真っ赤っ。」

「……マオ。」
「なぁに? ラヴって言ってほしい、それともギュッてしてほしい? モンくんが“愛”を信じられるようになるまで、いつでも好きなことしてあげるからねっ…」
「好きだ。」

「…………う、うにゅにゅ? ごごごごめんね、もう一回言ってくれる?」
「好きだ、マオ。」
「……え…えっとぉ……鼻血出そうです。」
「正直、いまでも“愛すること”は怖い。…けど、俺はマオの“ラヴ”に応えたい。」
 ギュゥゥゥ
「モ…モンくんダメ……のぼせちゃ…。」
「マオが俺を嫌いになる瞬間までせめて、一緒に居てくれないか?」
「の、望むところで……」
 カクンッ


「……マオ? どうしたマオ? …またかマオっ!?」

120 :

マオ……

121 :

あれもラヴこれもラヴ

122 :

合言葉はラヴというフレーズを思い出した俺は天テレ世代

123 :

魔王を倒すとは…
僧侶、恐ろしい子っ!

124 :

この大作を読んでる奴らに一言。

お代はラヴで結構

125 :

ラヴで何故か聖剣LOMを思い出した

126 :

 >>119の続き。(済みません、風邪が……。)

混血「マオたん様、おはようッス。」
魔王「んむむ……うにゃ?」
「朝ッスよ、起きてくださいッス。」
「う…うぅん……モンくんはぁ…?」
騎士長「少し外の様子を見ているよ。近くに居るだろうから、よかったら探してみるといい。」
「…うん…。」


 ガチャ
「モンくー……。」
僧侶「…ん、マオか。どうした?」
「……モンくん、コレ…なに?」

「そうか、見たことないって言ってたもんな。」
「冷たくて…すぐ溶けて……ねぇねぇ、コレなぁにっ?」
「この間言ったろ、“雪”だよ“雪”。」
「…コレが…“ゆき”、なんだ…。」
「簡単に言うなら、寒すぎて雨粒が凍ったモンだ。」
「綺麗…! すごく綺麗だよモンくんっ!!」
「おっと、あまりはしゃぐなよ? これからこの雪の積もった道を進まなくちゃいけないんだからよ。」


「綺麗綺麗っ! あたし、こんなに綺麗なモノを知らなかったのが少し悔しいよっ!! あははは…!」

127 :

>>1おかえり
wktkしてるが
あまり無理しちゃダメだぞー

128 :

わっふるわっふる


お大事に。

130 = 126 :

混血「ううぅ…寒いッス寒いッス~!」
僧侶「言えば言うほど寒くかんじるぞー。」

 ヒュウゥゥゥ…
騎士長「しかし……いきなり吹雪いてくるとは、思っていた以上に天候が変わりやすいね。」
「もう俺たちは北の国の領土に入ってるからな。北の国は年中雪の見られるから、吹雪も頻繁に起こるんだろ。」

魔王「モンくん、手ぇ冷たいね。」
「マオの手が温かすぎるだろ。むしろ熱く感じるぞ。」

「師匠ぉー、あとどれくらいで着くッスかねー。」
「そうだな…このペースなら陽が沈む頃にゃ着くと思うぜー。」
「陽が沈む…ね。昼過ぎだと言うのに、雲に覆われて太陽の光がろくに見えないよ。」
「心配するな、道は間違っちゃいないからよ。」
「…モンくん大丈夫?」
「問題無ぇ。マオの手が温かいから、この程度の雪なんざ楽勝だ。」


「…ふふ、よかった……。」

131 = 126 :

 >>130の続き。

僧侶「……よし、見えてきたぞっ!」
混血「ほ、本当ッスか…? オイラもうクタクタもいい所ッスよぉ…。」
騎士長「しっかりしたまえ、暖かいベッドや料理はすぐそこだ。」


「あったぞ、宿屋だ。」
「よかった、早く入るとしよう。」

 …カランコロンカランコロン
店員「…い、いらっしゃいませー?」
「あっ、南と東と中央と西の宿に居たのと同じ顔ッスー。」
「ふむ、ココはメイド服が制服なのか。」
「可愛いッス、オイラこう言うの好きッスよ。」
「……なぁアンタ、いくらなんでも歳ってモンを考え…」
 ドスッ!
「4名様ですね、コチラの御席へドゾー!?」
「痛い痛い、メニューが鳩尾入ってる。」


「…いまの店員とは知り合いなのかい?」
「……いや、そう言う訳でもない、多分。」
「容量を得ない答えだな。」
「気にするな。……ところでマオ、さっきから机に突っ伏したままでどうした、そんなに疲れたなら部屋に移るか──」


魔王「ハァ、ハァ、ハァ……大丈…夫、だよ。」

132 = 126 :

 >>131の続き。

僧侶「──店員っ!!」
店員「はい、何の御用でしょう……!!?」
「部屋を借りるぞ! ミックス、ウォリア、悪いが宿の手続きを頼むっ!!」
混血「わ、わかったッス。」
騎士長「まさかマオくんの体調が悪くなっていたなんて……。」
「それから、」
混血、騎士長「?」

「手続きが済んだら、暫くココで待っていてくれ。」


魔王「ハァ…ハァ…ハァ…。」
「…“店員さん”、マオの具合はどうなんだ…?」
「……風邪、です。それも、至極普通の“人間のかかる程度の風邪”。」
「そうなのか? …よかった、それなら大した事ない──」

 ──ガシッ!

「大した事あるに決まっているでしょう!! …マオ様はいまだ目醒めていないとは言え『魔王』なんですよ? 『魔族の王』なんですよ!? それほどの方が、人間風情の病気に病むなんて本来は有り得ない事なんです!!」
「………。」


「……いえ、別に貴方を責めている訳では有りません。…怒鳴ったりして済みませんでした。」

133 = 126 :

 >>132の続き。

僧侶「“まだ目醒めてない”って、どう言う意味だ?」
店員「なんでも有りません、失言でした。忘れてください。」
「…マオに関係有る話しを無視しろってか?」
「いま貴方に御話したとしても、マオ様の風邪が治る訳ではないですから。」
「そうやって俺を蚊帳の外に置くな! 俺はマオと“ずっと一緒に居る”って約束した。少しは話してくれたって、俺をマオに近付けさせてくれたって良いだろうが!!」

魔王「……モン…くん…?」

僧侶、店員「!」

「モンくん……どうしたの…?」
「いや…なんでもない。それより大丈夫か? マオ、風邪引いてるんだぞ?」
「風邪…? ……よくわかんないけど…熱くて、寒くて……モンくん、苦しいよぉ…。」
「大丈夫だ。こうやって寝てればすぐに治るからな、大人しくするんだぞ?」
「うん……おやすみなさい…。」


「(……マオ様…そんなに素直に人間の言うことを…。)」

134 = 126 :

 >>133の続き。

僧侶「……それで、どうすればいい。」
店員「なにがです。」
「だから…マオの風邪を治す為にはどうしたら良いのか…」
「有りませんよ、治し方なんて。」
「……なんだと?」

「マオ様が人間の風邪を病んでしまったのは、他ならぬマオ様自身のせいです。」
「どう言うことだ、ちゃんとわかるように説明しろっ!」
「……マオ様は、私の言いつけで人間しか食べないのを御存知で?」
「ああ。“純粋な魔王で有る為”とか話してたけど…それがどうした。」


「──貴方がそれほど望むのなら、話して差し上げましょう。何故彼女が『魔王』と呼ばれ、怪物兇魔達を統べることが許されるのか。」

135 = 126 :

 >>134の続き。

僧侶「……『マオの能力』か。」
店員「そう、正確にはマオ様だけではなく、“魔王の血統”のみに備わった『最上の能力』。」
「…なんだよ。」

「『吸収』です。ただ単純に、食べたモノを我が物とする。それだけのチカラ。」
「我が物にってのは……例えば、火を吹く魔族を食えば火を吹けるようになる、ってことか?」
「はい。別に魔族に限らず、頭の良い者を食せばそれだけの知識が手に入りますし、走るのが速い者を食せばある程度足が速くなったりもします。」
「……最強じゃねぇか。」
「そうですね。チカラを得る事に溺れ、『四天王』に強い魔族や人間を用意させてソレを食せば、『何人も敵わぬ魔王様』なんてすぐに出来上がります。」
「…待てよ、なんだその具体的な例は。……まさか…!」


「貴方、意外に頭が良いんですね。…御察しの通り、マオ様の兄オウ様の事ですよ。」

136 :

そろそろ佳境か?
つーか終わりがわからん

137 = 126 :

 >>135の続き。

僧侶「……嘘だろ?」
店員「いまの状況で、わたしが嘘を吐くような者に思えるのなら好きに解釈してください。」
「…マジかよ……やっとお前さんの“した事”の意味がわかってきたぜ…。」
「その理解力と思考力の速さは素晴らしいですね。少し見直しました。」
「どう言う訳かは知らないが、お前さんはマオに人間だけを吸収させて、“マオを人間”にしたかったんだな?」
「えぇ。…それがどれ程愚かしい事かなんて、よくわかっています。けど、わたしはマオ様を…ただの殺戮人形にしたくなかったんです。……わたしを、対等に扱って下さったマオ様を…。」

「……人形ってなんだ。」
「…言葉通り、本能に衝き動かされるままにチカラを求めてしまう殺戮の人形。それが、歴代の魔王様の果てです。」
「本能って…。」


「不意に現れ思考を支配して、体が命ずるままに動く…。強大なチカラを手に入れた代わりに、全ての魔族が苦しまされる『本能』。魔王様の血統は、ソレが他に比べて強いと聞きます。」

138 = 126 :

 >>137の続き。

僧侶「……その『本能』がマオを支配する前に、人間にして本能から遠避けたかった…のか。」
店員「…わたしが知っていて御話し出来るのは、コレくらいです。いまマオ様が病んでいる風邪は“人間になる為の過程”なので、マオ様御自身の力で治していただかなければなりません。」
「そうか……ありがとうな、話してくれて。」
「べっ、別に貴方の為に話したのではなく、『マオ様の一番近くに居る者』が最低限知っておかなければいけない事を話しただけです。…へ、変な勘違いなんてしないで下さいね!」
「なんだよ、変な勘違いって。」
「……わ、わたしは宿の仕事に戻らせてもらいます。マオ様に変化が有れば、教えて下さい。」
「ああ、わかったよ。」
「マオ様に変な事したら八つ裂きにしますからねっ?」
「しないしない。……あ、そう言やバーヤさん。」
「はい?」
「メイド服、エロくてよく似合ってるぜ。」
「──!!」
 バタンッ!


「ははははは、可愛いところ有るじゃないか。」

140 :

何故ここでツンデレなんだwwwwwwwwwwwwww

141 :

ツンデレキャラwwwwwwwwww

毎回楽しませてもらってます
無理しないでくださいね

142 :

お大事に

長く続いてほしいです
ずっと読んでたい

143 :

書き手も人間になりつつあるのか

144 :

いや、神になりつつあるんだろ

145 :

 >>138の続き。

混血「………。」
騎士長「………。」
「……マオたん様、大丈夫ッスかねぇ…。」
「さっきモンクくんと一緒に二階に行った店員が下りて来たろう。多分いまは、見守りながら看病する事しか出来ないんじゃないかな。」
「ハァ……無力な自分が情けないッス。」
「私も同じだよ。君だけ孤独を感じる必要は無いさ。」
「うぅ…ウォリアさーん!」

「ふむ。何か食べて、気持ちと暇を紛らわすとしようか。」


僧侶「…結局、この風邪はいつまで続くんだ? あまり長引くと体がもたないじゃ…」
魔王「……モン…くん…。」
「! どうした?」
「…ごめんね…心配させて……。」
「心配って…そんな気をまわすより、ゆっくり眠って体を休ませろって。」
「迷惑かけたくないのに……ごめんなさい…。」
「泣くな泣くな、いまは体と気持ちが弱ってんだから、余計なことは考えるな。」
「ごめんなさい…ごめんなさい…あたし“こんな”のはじめてで、怖くて仕方無くて……。」


「安心しろ。俺は側に居る、マオが怖いと思うモノ全部から守ってやるから。」

146 = 145 :

 >>145の続き。

魔王「……ありがとう…。」
僧侶「礼なんていいから、無理に喋るな。」
「う、うん……。」
 フルフルフル…
「…? マオ、もしかして寒いのか?」
「……す、少し…だけ。」
「──早く言えって…。」
 バサッ…モゾモゾ
「モ、モンくん…?」
「汗かいて体が冷えたんだろう。…着替えさせてやるから、あまり動くなよ。」
 モゾモゾ…ムニュ
「ぁん…!」
「……ココがボタンで、こうやって脱がせば…。」
 ムニュムニュムニュ
「ひぁ…んん……モンく…くすぐった…やんっ!」
「一気に冷えるから布団を剥ぐのはどうかと思ったんだが……上手くパッと出来ないもんだな。」
 モゾモゾ
「あ、そうだったんだ……てっきり、弱ったのをいいことにアンナコトやソンナコトをされちゃうのかと想ったよ……。」
「俺はそんなにセコくないぞ? ヤるときは真正面から襲う。……嫌だったら、布団剥いでパパッとやるけど良いか?」
「だっ、ダメ! 止めちゃやだ…!!」


「……言っておくが、俺は純粋に着替えをさせたいんだからな?」

147 = 145 :

 >>146の続き。

魔王「はぁ…はぁ…はぁ……。」
僧侶「…よし、俺の肌着だから少し大きいと思うが、汗吸った服よりはまし…だと思う。」
「う、うん……ありがとう…。」
「無理させちまったか…ごめんな。」
「そんなこと……。」
 …フルフル…フルフル…
「…まだ寒いのか?」
「だ、大丈夫…はくちっ!」
「………。」
「モンくん…? きゃわっ…!!」
 バサァッ……ギュゥ
「一緒に寝てりゃあ、少しは寒くなくなるかな。」
「あ…ありがとう……えへへへ。」
 ギュウゥゥゥ…!


「(……この様をバーヤに見せたりしたら、俺殺されんのかな。)」

148 = 145 :

 >>147の続き。

 ワイワイガヤガヤ
混血「だいだい師匠もウォリアさんも強すぎるッスよ! オイラだってハーフッスから、普通の人間よりは強いはずッス!」
騎士長「ははは、私は言うほど強くはないよ。それとミックスくん、おいそれと自分の事を叫ぶのは止めよう。」
「お二人の陰に隠れているしか出来ないオイラなんて、このカラアゲに添えて有るパセリ、ステーキにのってるタマネギでしかないッス! 脇役ッス!!」
「コラコラ。カラアゲに添えてあるパセリは食せば口内を清涼できるし、ステーキにのっているタマネギは肉を柔らかくし旨味を増すのに重要な役割がある。脇役と言えども、物語を進める上で決して無視できる存在ではないよ。」
「うぅ…。」
「君は弱くない。例えいまは必要とされる場面が少なかったとしても、君が未来に何を求められるかは解りはしない。…いまは精進し、未来に備える時期なのだと私は思うよ。」
「言っている意味が難しくてよくわかんないッスよー! わぁーん!」
「ほらほら、他の客人の迷惑になってしまうから泣くのは止めたまえ。……モンクくん達の隣にもう一つ部屋を取って、今日は我々も休むとしよう。」


「…はいッス……グスッ。」

149 :

ホモフラグたったな

150 = 145 :

 >>148の続き。

魔王「…う…うぅん…。」
 チュンチュン、チュンチュン
「もぅ朝なんだ……モンくん…?」
僧侶「Zzz…Zzz…。」
「あは、まだ寝てる。…昨日はあたしのせいで大変だったもんね……ごめんね、モンくん。」
「Zzz……ん…。」
「わっ…。」
 ギュゥゥゥ…
「Zzz…Zzz…。」
「…モンくん、あったかいなぁ……。」

 おなかすいたなぁ。
「──誰…!?」
 どうしてこんなに“強そうな”、“美味しそうな”モノがめのまえにあるのに、食べようとしないのかしら。
「だ、誰よぉ…!! モンくんは美味しそうなんかじゃ……ないもん…!!」
 おなかがすいた。
 チがのみたい、ニクがたべたい、ツヨくなりたい。
「お…おなかは空いてるけど、モンくんは……モンくん…は……。」
 だいすきなヒトといっしょになれるのよ。
 キラわれることなんてエイエンにない。
 ずっとアイして、アイされていられる。
「モンくん…と……ずっと…いっしょに……。」
 さぁ、ゴハンをはじめましょう?


 イタダキマスと──。


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