元スレ武内P「大人の魅力、ですか」
SS+覧 / PC版 /みんなの評価 : ☆
51 = 40 :
卯月「私はー! ずっと養成所でレッスンをしていましたー!」
卯月「いつかアイドルになるんだって、夢見て頑張ってたんですー!」
アイドル達「知ってるー!」
武内P「……」
卯月「そんな私を見つけてくれたのが、プロデューサーさんでしたー!」
アイドル達「ヒュウウウウウ!」
武内P「!?」
52 = 40 :
卯月「プロデューサーさんはー! いつも私達を見守ってくれていますー!」
卯月「私がくじけそうになった時もー! 必死にはげましてくれましたー!」
アイドル達「わかるー!」
武内P「……///」
卯月「そんなプロデューサーさんにー!」
卯月「伝えたい事がありまーす!」
アイドル達「ヒュウウウウ!」
武内P「……!?」
・ ・ ・
坂本「え、何!? 告白!? マジで!?」
岡田「え、大丈夫? 放送出来るのこれ?」
53 = 40 :
卯月「プロデューサーさーん!」
卯月「……」
アイドル達「……」
武内P「!?……!?」
卯月「……」
アイドル達「がんばれー!」
武内P「!?」
卯月「島村卯月、頑張ります!」
・ ・ ・
坂本・岡田「……」
54 = 40 :
卯月「……プロデューサーさーん!」
アイドル達「……」
武内P「……」
卯月「反応に困るので、ポエムを言ってこないでくださーい!!」
・ ・ ・
坂本「え!? あの人あの顔でポエム言うの!?」
岡田「やべえ、めっちゃ聞きたいwwww」
・ ・ ・
武内P「……」
武内P「善処しまーす!」
卯月「それ、ダメな時の返しじゃないですかああ!!」
・ ・ ・
坂本「やめてやれよwwww」
岡田「聞きたくなるわ―」
ハハハハハッ!
55 = 40 :
・ ・ ・
坂本・岡田「こんにちは!」
みく「こんにちは!」
坂本「お名前は!」
みく「前川みくですにゃん♪」
岡田「岡田准一ですにゃん♪」
みく「!?」
坂本「お前もやるのか――坂本昌行ですにゃん♪」
みく「!?」
みく・坂本・岡田「……」
みく・坂本・岡田「にゃんにゃん♪」
坂本「なんだよこれwwww」
ハハハハッ!
56 = 40 :
本日の主張
『プロデューサーさんへ』
・ ・ ・
坂本「もう直接言えよwwww」
岡田「どれだけ距離が遠い関係なのwwww」
・ ・ ・
みく「にゃああああああ!」
アイドル達「にゃああああああ!」
武内P「……」
・ ・ ・
坂本・岡田「にゃああああああ!」
ハハハハハッ!
57 = 40 :
みく「Pチャーン! みくは、ずっと言えなかった事があるにゃー!」
アイドル達「なーにー!」
武内P「……」
みく「ずっと頑張ってきたけどー! もう限界にゃあああああ!」
アイドル達「にゃあああああ!」
武内P「……!」
・ ・ ・
坂本「俺、この子好きだわ―」
岡田「俺は別にそうでもないわ」
坂本「えっ?」
58 = 40 :
みく「みくはー! みくはー!」
アイドル達「……」
武内P「……」
みく「猫キャラだけど、お魚は嫌いにゃあああああ!」
アハハハハッ!
アイドル達「にゃああああああ!」
武内P「!?」
・ ・ ・
坂本「ダメじゃんwwww」
岡田「どうして魚嫌いなのに猫キャラ選んじゃったのwwww」
59 = 40 :
みく「もうホントきついから、お魚関係の仕事はやめてー!」
アイドル達「……」
武内P「……」
・ ・ ・
坂本「これは本気だね、『にゃあ』取れちゃってるもん」
岡田「さあ、どう返す!?」
・ ・ ・
武内P「……」
武内P「企画、検討中でーす!」
みく「まだお魚のお仕事続くのおおおおおお!?」
アイドル達「にゃあああああ!」
・ ・ ・
坂本「このプロデューサー、自分の主張曲げねえなwwww」
岡田「もうこの人に主張して貰う?」
ハハハハハッ!
60 = 40 :
・ ・ ・
坂本・岡田「こんにちは!」
凛「こ、こんにちは」
坂本「どうしたー元気ないぞ―?」
岡田「こんにちは!!」
凛「こ、こんにちは!」
坂本「はい、お名前は!」
凛「渋谷凛です!」
岡田「あれ、君って敬語使えたんだ?」
凛「!?」
坂本「え、詳しいじゃん」
岡田「うん。それに、大声で挨拶するタイプじゃないよね?」
凛「なんでやらせたの!?」
ハハハハッ!
61 = 40 :
本日の主張
『プロデューサーさんへ』
・ ・ ・
坂本「また!?……またなの!?」
岡田「いやでも、俺あの人かなり好きになってきたから良いよ」
坂本「良いんだwwww」
・ ・ ・
凛「……」
アイドル達「いえええええい!」
武内P「……」
62 = 40 :
凛「私はー! プロデューサーにスカウトされてアイドルになりましたー!」
アイドル達「知ってるー!」
武内P「……」
・ ・ ・
坂本「敬語だね」
岡田「そっちでいくんだね」
・ ・ ・
凛「見た目が怖いから、捕まってるプロデューサーを何回か見てきました―!」
アイドル「私もー!」
武内P「!?」
・ ・ ・
坂本「皆見たことあるの!?」
岡田「俺も見て―wwwwww」
63 = 40 :
凛「けれどー! プロデューサーとか関っていく内にー!」
凛「怖いのは見た目だけだとわかりましたー!」
アイドル達「イエエエエイ!」
武内P「……」
凛「貴方のおかげでー! 毎日が輝いて見えまーす!」
凛「アイドルをやる意味もー! 見つかる気がしまーす!」
アイドル達「イエエエエイ!」
武内P「……」
・ ・ ・
坂本「良い話じゃなーい」
岡田「え、お金のためじゃないの」
坂本「……水差さないでくれない?」
ハハハッ!
64 = 40 :
凛「だからー! だからー!」
凛「もしも、アイドルをやる意味が見つかってー!」
凛「私がトップアイドルになって、引退した時にー!」
アイドル達「……」
武内P「……」
・ ・ ・
坂本・岡田「……!」
・ ・ ・
凛「っ……! 引退した時、お互い――」
武内P「善処しまーす!」
凛「逃げないでよー! そしてお断りなのかよー!」
・ ・ ・
坂本・岡田「アッハッハッハッハ!」
ハハハハハッ!
ナレ「続いてのコーナーは――」
おわり
65 = 40 :
今日は寝ます
またネタ拾って遊ぼうと思います
おやすみなさい
66 :
おつおつ
67 :
おつ
武内PのSS見てると、蒼い子や歩く{検閲済み}とかが迫ってきても武内Pは(突然裏切る可能性はあるけど)自分の味方になる他のアイドルがいるけど、恐らくまゆ専属ぽいまゆPはいつも逃げ場なさそうだな…
68 :
あれ、ウサミンの明らかに未成年じゃない主張は?
69 :
未成年じゃないから出させてもらえなかったんだろう
70 = 40 :
>>67
やってみよう
71 = 40 :
武内P「佐久間さん、お疲れ様です」
まゆ「お疲れ様です」
武内P「それでは早速ですが、成果の方はいかがでしたか?」
まゆ「うふ、貴方のおかげで、と~っても喜んでくれましたよぉ」
武内P「そうですか、それは、何よりです」
まゆ「やっぱり、CPのプロデューサーさんはとっても優秀ですねぇ」
武内P「……」
72 = 40 :
まゆ「貴方のおかげで、最近はとっても調子が良いんです」
武内P「はい。とても、良い笑顔だと私も思います」
まゆ「うふ、ダメですよぉ。まゆは、運命の紅い糸で結ばれた相手がいますから」
武内P「……そういう意味では」
まゆ「わかってますよぉ。冗談です」
武内P「……」
73 = 40 :
武内P「今回の件で何か問題はありましたか?」
まゆ「実は……」
武内P「また、ですか」
まゆ「はい……プロデューサーさんへの想いが止まらなくて」
武内P「佐久間さん、時には強引に押すことも必要でしょう」
武内P「ですが、彼はとても面倒見の良い男です」
まゆ「はい。だって、まゆの事をいつも見ててくれますから」
武内P「なので、焦る必要はありません。いいですね?」
まゆ「わかってはいるんですよぉ」
武内P「……」
74 = 40 :
武内P「それと、彼へのプレゼントに関する事で注意しておきたい点が」
まゆ「注意、ですかぁ?」
武内P「あまり、手作りの物を渡すのは控えた方が宜しいかと」
まゆ「えっ?」
武内P「佐久間さん、貴女はまだ16歳で、アイドルとしても階段を登っている最中です」
まゆ「でも……」
武内P「そんな貴女が、自分のために時間をかなり割いていると思っている」
まゆ「うふ、まゆの想いの強さがわかって貰えますね」
武内P「それもありますが、それ以上に彼は悩むでしょう」
まゆ「……悩む?」
武内P「はい」
75 = 40 :
武内P「彼は、貴女に慕われる事を嫌がってはいないと思います」
まゆ「だったら、悩む事はないですよねぇ?」
武内P「そうですね、一人の男性としてはそうかもしれません」
まゆ「だったら……」
武内P「しかし、彼もまた、プロデューサーなのです」
まゆ「……」
武内P「プロデューサーの自分が、アイドルである貴女の妨げになっているのかもしれない」
まゆ「そんな事は!」
武内P「貴女の事を大切に思っている彼ならば、きっとこう考えるでしょう」
まゆ「……」
76 = 40 :
まゆ「まゆの事が大切だから、ですか」
武内P「はい」
まゆ「……」
武内P「なので、手作りは重要なイベントの時に合わせていきましょう」
まゆ「でも、他は既製品になっちゃいますよぉ?」
武内P「緩急をつける事も大切です」
まゆ「緩急?」
武内P「手作りには思いの強さが篭っています」
武内P「ですが、それが続いてはそれに慣れてしまいますから」
まゆ「……なるほど」
77 = 40 :
武内P「そうですね……差し当たっては、クリスマスですか」
まゆ「はい、と~っても楽しみです」
武内P「佐久間さん、これは、一つの賭けになりますが」
まゆ「賭け、ですかぁ?」
武内P「クリスマスには、何もプレゼントを用意しない、という手もあります」
まゆ「!?」
武内P「続けても?」
まゆ「……聞かせてもらえますか?」
78 = 40 :
武内P「佐久間さんには、クリスマスまで今までより精力的に仕事に取り組んでもらいます」
まゆ「まゆは、いつも頑張ってますよぉ?」
武内P「今まで、彼のために使っていた時間も使用して、です」
まゆ「それは……」
武内P「そうする事により、彼はそれまでの悩みから開放され、心に余裕が生まれます」
まゆ「……それで?」
武内P「彼はこう思うはずです。――『まゆはとても頑張っているな』」
武内P「『やっと、アイドルとして一緒に、真剣に頑張ってくれるようになった』」
武内P「『せっかくのクリスマスだし、今までのお返しも込めて』――」
まゆ「ご褒美……!?」
武内P「その通りです」
79 = 40 :
武内P「しかし、彼のプレゼントに対して、貴女は何も用意していない……」
まゆ「つまり、大きなリボンを買って、私をラッピングすれば……!?」
武内P「佐久間さん、それは用意している内に入ります」
まゆ「……」
武内P「ですが、佐久間さんに限らず、女性は武器を持っています」
まゆ「武器? 女の武器と言えば……涙?」
武内P「そうです。それを最大限に活かしていきましょう」
まゆ「でも、プロデューサーさんからのクリスマスプレゼントを貰ったら悲しくなんて――」
武内P「――嬉し泣き、という物があるのはご存知ですね?」
まゆ「!」
80 = 40 :
まゆ「……うふ、確かにそれまでの我慢で嬉し泣きしちゃいそうですねぇ」
武内P「世の男性は、女性の涙に弱いものです」
まゆ「それで、プロデューサーさんはまゆの涙を拭って――」
武内P「――しかし、それだけでは足りません」
まゆ「まだ……ですかぁ?」
武内P「佐久間さん、貴女と彼の関係は、アイドルとプロデューサーですね?」
まゆ「うふ、そうですねぇ、運命の紅い糸で結ばれた、ですけど」
武内P「貴女は、女の武器ともう一つ、アイドルとしての武器も持っています」
まゆ「それは……?」
武内P「笑顔です」
81 = 40 :
武内P「アイドルの貴女の笑顔は、女性の武器にも匹敵する強力なものです」
武内P「これを活用しない手はありません」
まゆ「……どうやって?」
武内P「嬉し泣きからの――笑顔です」
まゆ「そんなにうまくいきますか?」
武内P「まず、間違いないでしょう」
まゆ「……言い切りますね」
武内P「一緒に努力を重ねてきたアイドルが、涙と共に笑顔を浮かべている」
武内P「……プロデューサーは、笑顔に弱いのですよ」
まゆ「……うふ、さすがですねぇ」
82 = 40 :
武内P「この流れで、ほぼ間違いなく彼は貴女への好意を意識するでしょう」
まゆ「やっと、プロデューサーさんと結ばれる事が出来ます」
武内P「佐久間さん、焦ってはいけません」
まゆ「?」
武内P「この場合は……そうですね、頬にキスが限度でしょうか」
まゆ「それだけ……?」
武内P「十分です。今後の展開も含めて考えると、それがベストだと私は考えます」
まゆ「今後……?」
武内P「はい」
まゆ「……」
武内P「続けても?」
まゆ「お願いします」
83 = 40 :
武内P「彼は、あくまでもアイドルとプロデューサーという関係でいようとするでしょう」
武内P「なので、一気にそこから逸脱するような行動はあまりよろしくありません」
武内P「だからこその、頬にキスです」
まゆ「……」
武内P「プレゼントを用意しなかった事も、ここで活きてきます」
武内P「アイドルとして頑張ってきて、お返しを用意する暇も無かった」
武内P「そんな貴女が、アイドルとしてお返し出来る精一杯」
まゆ「それで、頬にキス……ですかぁ」
武内P「頬にキスした後、照れ笑いも浮かべれば……はい、間違いないですね」
まゆ「……素晴らしいです」
84 = 40 :
まゆ「でも、そんなに上手くいくでしょうか?」
武内P「それを何とかするのが、プロデューサーの役目ですから」
まゆ「あの……」
武内P「はい、何かありましたか?」
まゆ「プレゼントに、指輪を贈ってもらう事は可能ですか?」
武内P「それは……少し、難しいでしょうね」
まゆ「……そうですかぁ」
武内P「ですが、アクセサリーの類を送るように、それとなく話をふっておきます」
まゆ「うふ、ありがとうございます」
85 = 40 :
武内P「それでは、確認をさせて頂きます」
まゆ「はぁい」
武内P「佐久間さんは、クリスマスまで手作りの贈り物を控えてください」
武内P「これは、貴女が趣味に時間を費やすのを控えてまで努力した、という演出にもなります」
武内P「料理の差し入れ等はそうですね……二回までなら良いでしょう」
まゆ「それだけですかぁ?」
武内P「はい。全てはクリスマスで、最大の結果を得るためと自重してください」
武内P「そして、アイドルとしての活動にも一層励んでください」
武内P「努力に応じて、アクセサリーのランクが上下するのはおわかりですね?」
まゆ「もちろん」
86 = 40 :
武内P「あと、ご協力頂きたい事が」
まゆ「許可?」
武内P「仕事の合間の世間話では、十分に時間が取れません」
武内P「なので……そうですね、クリスマスまでに二回、彼と飲みに行きたいのです」
まゆ「二回、ですか」
武内P「一回では恐らく時間がたりませんので」
まゆ「わかりました。まゆから、CPの皆にはそれとなく許すように言っておきますねぇ」
武内P「ありがとうございます」
まゆ「うふ、こちらこそ、ありがとうございます」
87 = 40 :
武内P「……それでは、私は午後の仕事がありますので、これで」
まゆ「まゆもレッスンがありますから」
武内P「はい、頑張ってください」
まゆ「本当、思い切って相談してみて良かったです」
武内P「担当は違えど、アイドルの悩みを解決するのはプロデューサーの役目ですから」
まゆ「CPのプロデューサーさんは、とっても優秀なんですねぇ」
武内P「……こうでもしないと、飲みに行く自由すらありませんが」
まゆ「うふ、でも……まゆのプロデューサーさんもとっても優秀なんですよ」
武内P「? はい、それは良く知っていますが……?」
まゆ「CPは人数が多いから大変でしょうけど、頑張ってくださいね♪」
おわり
88 :
相談屋まゆP
89 :
…と、同じことをまゆPにも言ってそうな武内P
90 = 40 :
なんだか甘い話が書きたくなったので書きます
91 = 40 :
ある、男と女の話をしようか。
その男は、とても誠実だが、とても不器用な男だ。
背は高く、顔も厳しい。
男の顔を突然見せられた少女が気絶した事もある位ね。
そして女は、とても神秘的だが、とても親しみの持てる女だ。
美しい容姿はいつでも人を惹き付け、魅了する。
まさしく、本の中から出てきたお姫様といった具合だね。
私は、一見何の共通点も無い彼らが少し似ていると思っているのだよ。
ん? どこがかって? っと、その前に煙草に火を付けてもいいかな?
何? ダメ? アイドルの前で煙草は駄目か……そうか…・・。
せっかく喫煙所の設置を取り付けたんだがねぇ……。
92 = 40 :
君達は、年に一回開かれる事務所のパーティーには参加した事があるかな。
ああ、そうだね、もうそんなに経つか。
だったら、詳しい話はせずとも平気だね。
しかしまあ、せっかくだから聞いてくれたまえよ。
346プロでは、年に一回パーティーが開かれる。
社員やアイドルに関係なく、とても盛大に、華やかに。
これは昔からの伝統でね、プロの楽団を招きもするし、毎年大いに盛り上がる。
私はこれがとても楽しみでねぇ!
皆が見せる、普段見たことの無い表情がとても新鮮で、出る酒もまた美味い!
あんなに高価なワインをタダで飲めるんだ、楽しみにしない訳がないさ!
……ああ、すまない、また脱線してしまった。
っとと、そんなに怒らないでくれたまえよ!
ゴホン!
これは、先に言った誠実な男と、神秘的な女の、不器用で、親しみの持てる話さ。
93 = 40 :
パーティー会場には、多くの人が集まっていた。
赤や黄色、青にピンクにオレンジと、色とりどりのドレスを纏ったお姫様――もとい、アイドル達も沢山。
それはとても華やかで、私はここで働いていて良かったと思ったね。
だってそうだろう? こんな仕事をしても居ない限り、年頃の娘さんと接する機会なんて無いからね。
……っと、話を戻そうか。
会場にはとても陽気な音楽が流れ、参加者は皆、それぞれ楽しんでいた。
仲の良い者同士で談笑する者、普段関わることの無い者同士で交流する者。
会話よりも食べることに集中する者や、中にはひたすらメガネを布教している者もいたね。
皆、それぞれが自由に、とてもいい笑顔で笑っていた。
しかし、男の顔には笑顔はなかった。
いつもの事?
いやいや! 男が表情を出すのが苦手だから笑顔では無かったのではないよ!
男はね、とても緊張していたんだ。
94 = 40 :
男は、いつものスーツの上下では無かった。
それは当然だね、何せパーティーだから。
黒いタキシードを着こなし、髪を整えた姿は、まあ、様になっていたね。
背が高いせいで調達に苦労したようだが、その甲斐はあるだけの見栄えだった。
そんな男の姿を見て、担当のアイドル達はとても色々な反応をしていたねぇ。
素直に褒める声や、普段からそうしていろという声。
悪くないかな、という素直ではない声を聴いた時は私も笑ってしまったよ!
女は、いつものアイドルとしてのドレスでは無かった。
それも当然だ、何せパーティーだから。
新緑のパーティー用のドレスは彼女の美しさを際立たせ、ある種、近寄りがたい神秘性を感じたね。
細身な彼女のために仕立てられたドレスを纏った彼女は、まるで女神のようだったよ。
そんな女の周りには、とても色鮮やかな花達が一緒に居た。
しかし、普段とは違う女の様子を心配する声がほとんど。
最初は私も何事かと思っていたんだが、すぐに納得したよ。
陽気な音楽が、優美なワルツに切り替わる前に、男が女の方へ歩み寄っていったのを見てね。
95 = 40 :
着飾っているとは言え、男の風貌はとても恐ろしいものだ。
男の事をよく知らない人間は、自然と彼に道を譲っていった。
だから、男は真っ直ぐ、曲がることなく、女の元へ向かっていった。
そう、まるで花道のようだったね。
男が近づいてくるのを見た女の周りの花達は、
何かを察したように、あとは任せたと言わんばかりに女の元を離れていった。
陽気な音楽が終盤に差し掛かった時、男は女の元へたどり着いた。
男の恐ろしげな容姿と、女の美しい容姿は、とても並び立つようなものではない。
それなのにね、まるで、一枚の絵画の様に美しい光景だと私は思ったよ。
男は真っ直ぐに女を見つめ、言った。
「私と、踊っいただだっ――……すみません」
ハッハッハ! 肝心な場面でこれだよ! 傑作だろう?
96 = 40 :
男は何事も無かったかのように――とは行かなかったが、もう一度女に言った。
「私と、踊って頂けませんか?」
男の真っ直ぐな誘いに、女は問いで返した。
「どうして、私をお誘いに?」
女は、もう枯れた私から見てもとても魅力的な女性だ。
その問いは、我々男性からしたらなんとも意味の無いものだ。
魅力的な女性をエスコートしたい、それだけで十分なのさ。
しかし、男の答えは普通とは違っていた。
「私がプロデューサーで、貴女がアイドルですので」
失礼な答えだと思うかね?
……だが、その答えを聞いた女は、とても満足そうに微笑んだのさ。
97 = 40 :
「まあ、貴方がプロデューサーで、私がアイドルだからダンスのお誘いを?」
「はい」
楽しそうに微笑む女に、男は真っ直ぐに返した。
「今日の貴女が履いているヒールでは、ダンスの相手に困るだろうと思いまして」
「確かにそうですね。私、女にしては背が高くて可愛げがないですから」
「い、いえ! そのようなことは、決して!」
「ふふっ、冗談です」
焦る男を見た女は、綻ぶ様な笑顔を浮かべていたね。
「……貴女は、とても素晴らしいアイドルです」
「はい、ありがとうございます」
「そんな貴女が、せっかくの舞台で壁の花になるのは見過ごせませんから」
「まあ、とても情熱的なお誘いをする、仕事熱心なプロデューサーさんですね」
男は無言で女へ手を出しだし、女はその手をとり、笑った。
その笑顔は、私にはアイドルとしての笑顔ではなく、ただの女の子の笑顔に見えたがね。
98 = 40 :
誤)男は無言で女へ手を出しだし、女はその手をとり、笑った。
正)男は無言で女へ手を差し出し、女はその手をとり、笑った。
99 = 40 :
――あとは、君達も見ていただろう?
二人のダンスはとても素晴らしいもので、君達も盛大に拍手をしていたじゃないか。
他に何か? そうだねぇ……。
ああ、少しだけ話を補足しておこうか。
一見無趣味に見える男はね、ある時期になるとダンス教室に通うんだよ。
それに加えて、うちの事務所のトレーナーに何やら協力をお願いしているみたいだ。
職権乱用? ああいや、違う違う! トレーナー達も楽しんでいるみたいだよ。
無口な馬車が、必死になって頑張ろうとしているのは、応援してたくなるものじゃないか。
女が、普段とどう様子が違ったのかって?
そんなのは簡単だよ。
私でもつい飲みすぎてしまうようないい酒を前にして、彼女が一滴も飲んでいなかったからさ。
ああそれに、あんなに高いヒールを履いているのもパーティーの時だけだね。
まるで『美女と野獣』?
いやいや、あれはとんでもなく甘いラブ・ストーリーじゃないか。
言うなれば、あれは三角関係だね。
男と、女と、そして、仕事の。
とても不器用で、親しみが持てるだろう?
100 = 40 :
さあ、話はおしまいだ。
気になっていた謎は解けたかな?
いやいや、これ以上私から話す事は何もないよ。
これ以上は、本人の口から聞くべきだ。
さ、もう行きなさい。
私はこれから至福の時間を過ごすんだから。
必死になって勝ち取った、この喫煙所!
ん、そういえば、君達ならわかるかな。
彼女が言っていたんだけどね、私には意味がサッパリわからなかったんだよ。
何だったかな……ああ、そうそう!
ハイヒールを履いて、はい、ヒール。
――だったかな。
ああっ!? もうこんな時間じゃないか!
……やれやれ、煙草を吸いそびれてしまったよ。
私の癒やしの時間が。
おわり
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