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    元スレ巌窟王「旅行先間違えた」 アンジー「神様ですか?」

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    301 = 1 :

    百田「だが夜時間に犯行が行われたとしたら、かなり問題だぜ」

    春川「ほとんどの人間は夜時間のアリバイなんてないわけだしね。全員寝静まっているだろうし」

    春川「部屋の中に自分以外の誰かがいる場合は別だけど、そんな危険なマネをするヤツなんて……」

    春川「……い、な、い……?」ガタガタ

    アンジー「あれ。魔姫ー。なんでこっち見て震えてるのー?」

    最原「……議論を進めて行けば見えてくるんじゃないかな。本当に夜時間に誰もアリバイがなかったのか」

    百田「何か心当たりでもあんのか?」

    最原「ひとまず巌窟王さんは夜時間の最中に死んだ。その前提で話を進めてみよう」

    最原「もしそうだったとしたら、逆に絶対に犯行現場になり得ないのは体育館だよね」

    最原「じゃあ巌窟王さんはどこで死んだんだろう?」

    宮寺「それ以前に、夜時間以降に死体を体育館に運ぶ方法があるかも疑問だヨ」

    最原「……」

    「俺の研究教室で犯行があったんじゃねーか?」

    最原「!」

    302 = 1 :

    「水槽の中に落ちていた手錠。あれは俺の研究教室にあったもんだ」

    「しかも、俺の研究教室と体育館には無視できない一つの関係性がある」

    入間「肉体関係か?」

    王馬「一生でいいから黙っててくれないかな」

    入間「ぴぎい!」

    最原「……単純に『近い』んだよね。もしもこの二つを繋げる方法があるとしたら……」

    最原「……そうだよ! 実際に繋がってたんじゃないかな!」

    赤松「繋がってた? それって、どういうふうに?」

    最原「これまでの痕跡から考えてみると……多分、星くんの研究教室と体育館はロープウェイで繋がってたはずだよ」

    春川「……ロープウェイ?」

    303 = 1 :

    最原「多分、犯人は星くんの研究教室に巌窟王さんを呼んだ後で、巌窟王さんを殴るなりして奇襲」

    最原「その後、星くんの研究教室にあった手錠を使って抵抗を弱め、溺死にでもさせたんだろうね」

    最原「その後、犯人はどうにかして体育館へと巌窟王さんの死体を運び込もうとするわけだけど……」

    最原「このとき、いくつか痕跡が残っているんだ。まず一つ目に、巌窟王さんが殺害現場に持ち込んだ、ある物が見逃せない証拠を作ったんだよ」

    赤松「ある物?」

    最原「巌窟王さんが倉庫で見繕って、犯人へと手渡そうとしたプレゼント……」

    最原「王馬くんの秘密道具の万年筆だよ!」

    王馬「えっ?」←初耳

    巌窟王「んっ?」←青天の霹靂

    304 = 1 :

    王馬「……巌窟王ちゃん? なんで俺の秘密基地から万年筆を持ってってるの?」

    巌窟王「待て。あそこは秘密基地だったのか? ただのガラクタ置き場かと……」

    巌窟王「それ以前に、待て最原! 何故お前がそれを知って……!」

    prrrrrr!

    巌窟王「なんだこんなときに」ピッ

    BB『ごめんなさーい! 私が教えちゃいましたー! 許してください!』キャピンッ

    巌窟王「」

    最原「え、ええと……多分電話口でネタ晴らしされたんだよね。うん、実はその人から聞いたんだ……」

    巌窟王「……」ズーン

    最原「その人がどうやってこの状況を見ているのか、興味は尽きないけど今は置いておこうかな」

    305 = 1 :

    白銀「巌窟王さんが誰かにプレゼントを渡そうとしてた? それって……」

    白銀「……女性相手なら尊いし、男性相手なら……」

    白銀「……」

    白銀「ブッ!」ゴバッ

    茶柱「急に鼻血吹き出しましたーーーッ!?」ガビーンッ

    白銀「なんだよ……結構(私の性癖に)当たんじゃねぇか……」

    白銀「止まるんじゃ……ねぇぞ……」キーボーオーノーハナー

    茶柱「そして死んだーーーッ!」ガビーンッ



    白銀は閉鎖空間のストレスから軽度に腐っていた

    306 = 1 :

    最原「その万年筆のインクが曲者でさ。一度どこかに付着したら三日間は洗い落とせないらしいんだ」

    最原「そのインクがどこについてたかっていうと……星くんの研究教室の窓付近の床なんだよ」

    最原「多分、犯人がそこから巌窟王さんの死体を運び出すときに、ポケットからうっかり万年筆が落ちて」

    王馬「万年筆が壊れて中身が全部出ちゃったんだね」

    王馬「……ん? じゃあ俺の万年筆って」

    東条「順当に考えれば今ごろどこかのゴミ箱の中でしょうね」

    王馬「酷いよおおおおおおおおおお!」ビャーッ

    最原「倉庫の中に秘密基地作った王馬くんも悪いと思うけど……」

    最原「えーと。それで痕跡は他にもあるんだ」

    最原「星くんの研究教室の窓枠にかかった負荷の痕跡。体育館の窓枠にかかった負荷の痕跡……」

    最原「そしてプールの倉庫に仕舞われてた浮き輪の取っ手にも同様に負荷がかかった痕」

    最原「……ピラニアの水槽を天井に釣り上げるのに使ったロープも不自然に位置が移動してた」

    最原「これらを全部加味して考えてみるに……やっぱり結論は一つだけなんじゃないかな」

    307 = 1 :

    最原「それに、僕の推理が正しければ、マジカルショーで急に巌窟王さんの死体が現れたことも説明が付くしね」

    百田「そうか。あの窓枠とピラニアの水槽は位置が近い。犯人はピラニアの水槽に巌窟王の死体を入れたのか」

    茶柱「えっ。待ってください。それだと巌窟王さんの死体がピラニアに……」

    宮寺「食べられないヨ。水槽の中に残ってた硝子の板で、ピラニアのいる部分と巌窟王さんの部分を仕切ってただろうからネ」

    獄原「……そっか。ピラニアさんと一緒に何か大きなものが落ちて来たと思ったけど、あれって……巌窟王さんの死体だったんだ」

    白銀「押し出されて密度が増したピラニアの影に隠れて、巌窟王さんの死体も見えなくなるだろうしね……」フラフラ

    茶柱「……後でレバ刺しでも食べましょうか……」

    最原「……」



    最原「犯人は星くんの研究教室と、体育館の間をロープウェイで移動したんだ!」

    「なるほど。俺の研究教室と体育館の窓だと、俺の研究教室の方が高いからな。一方通行だがトリックは成立させられる」

    百田「決まりだ! 犯人は巌窟王の死体を、星の研究教室から体育館まで直に運んだんだ!」

    アンジー「……」

    アンジー「うーん、本当にそうかなー?」

    最原「えっ?」

    308 = 1 :

    宮寺「おや? 夜長さんには、何か反論があるみたいだネ」

    アンジー「いや、痕跡は残っているから、トリックが使用されたという一点のみは賛成なんだけどさー……」

    アンジー「それ、かなり難しくないかなって思っただけなんだよねー」

    最原(難しい……?)

    巌窟王「……アンジー。余計なことを言うな」

    アンジー「おっと。ごめんなさい神様」

    春川「……前から訊きたかったんだけど、夜長はなんでソイツのことを神様って呼んでるの?」

    巌窟王「その説明は面倒だ! 省け!」ギンッ

    最原「……」

    巌窟王(……アイツはもう犯人の正体に目星はついている)

    巌窟王(今の段階でも犯人を指摘できるはずだ。何故それをしない?)

    最原(……待てよ。巌窟王さんを見て気付いたけど、アンジーさんが言った『難しい』の意味って……!)

    309 = 1 :

    最原「体格……?」

    巌窟王「!」ギクリ

    最原「そうか。手作りのロープウェイで、ただでさえ足場が不安定なのに、巌窟王さんの体を乗せた状態でロープウェイを使うのは……!」

    入間「犯人自身の体重も加わっていたはずだから、発車、走行中、停車のいずれにおいても危険度は高ぇーだろうな?」

    入間「言うなれば……夜の田舎道を全裸で歩くようなスリル……あぁん、想像しただけで……!」

    王馬「入間ちゃんって本当存在自体が不快だよね」

    入間「」

    アンジー「ちなみに神様の身長は185cm、体重は75kgだよー!」

    巌窟王「アンジー!」

    アンジー「……ごめんなさい」シュン

    最原(……? なんだ? 巌窟王さんのさっきからの態度……)

    最原(焦ってる?)

    百田「確かに不可能じゃないにしろ、かなり難しそうだな……」

    春川「そもそも、最原の推理が間違ってるって線は?」

    赤松「痕跡がこれだけ残っているんだから、今更その線を考えるのは難しいと思うんだけど……」

    巌窟王「どうでもいいではないか! 俺の死体はロープウェイで運ばれたのだ!」

    巌窟王「その点を加味するに、既に怪しい人物を指摘することすら可能なはずだが!?」

    最原「……」

    最原(やっぱりだ……巌窟王さんは何かを隠している!)

    最原(確かに今の段階でも犯人を指摘することは可能だけど……)

    最原(……?)

    最原(……そう、か! 巌窟王さんが隠したいのって、もしかして!)

    310 = 1 :

    休憩します!

    311 = 1 :

    アポクリの録画溜めてたことに今気づいた……ちょっとこっち消化してくるんで続きはかなり後!
    新オープニング楽しみだなぁ。

    こっちの続きは本編の方で見れるし別にいいよね!

    312 :

    まあそうおっしゃらずに
    最原くんの見せ場なんだから

    313 = 1 :

    最原「……事件の全貌が見えたかもしれない」

    茶柱「わかりました! やっぱり最原さんの推理が間違っていたんですね!」

    最原「違くてさ。そもそもの話、僕たちが星くんの研究教室に目を付けたのって、水槽の中に手錠が落ちていたからだよね?」

    最原「僕たちはさっきまで、巌窟王さんを溺死させるときに、抵抗を弱めるために手錠を付けたものだと思っていたけど……」

    最原「だとしたら、どうして手錠が水槽の中に落ちてたのかな? 溺死させた後でしまえばよかったのに」

    巌窟王「……」ギリッ

    東条「そう言われると不自然ね……単純に鍵が見つからなかった、という可能性は?」

    夢野「星に嫌疑をかけるため、あえて残しておいたとも考えられるのう」

    最原「多分これは犯人のちょっとした工作の副産物だよ」

    百田「ちょっとした工作、だと?」

    最原「……ひとまず、最初から考えてみよう」

    最原「巌窟王さんの、本当の『死因』からさ!」ズバァァァンッ!

    巌窟王「ぐぅっ……!」グサッ

    314 = 1 :

    入間「水の中にいたんだから溺死だろ? あったりまえじゃねーかダサイ原」

    最原「それなんだけど、モノクマファイルには巌窟王さんの死因が書かれてなかったんだよ」

    最原「というか全体的に、今回のモノクマファイルは当てにならないほど情報がなかったよね?」

    百田「死亡推定時刻すらわかんなかったからな……犯人のトリックの要なんだから当然だけどよ」

    キーボ「……この話運びからすると、最原クンにはもうわかっているんですね? 巌窟王さんの本当の死因が」

    巌窟王「……話を脱線させるな。もう犯人など決まっているだろう」

    最原「……」

    最原「巌窟王さんの本当の死因は『失血死』だ」

    巌窟王「ちぃっ……!」

    赤松「し、失血死? 溺死じゃなくって……?」

    最原「星くんの研究教室のシンクを調べた人ならわかると思うんだけど、あれって事件発覚後には過剰なほど洗浄されてたんだよ」

    百田「ああ。すっげー薬品臭かったな。多分アレは漂白剤、か?」

    最原「変だよね。ただの溺死なら、こんなにシンクを洗う必要なんかないのに」

    最原「逆に言うと、あのシンクは洗われる前は、なにか取り返しの付かない汚れがビッシリ付いてたんじゃないかな?」

    最原「つまり……巌窟王さんの血で汚れていたはずなんだ!」

    最原「いや、それどころじゃない。多分、巌窟王さんの血でシンクが満たされていたはずだ!」ズバァァン!

    茶柱「み、満たされていたッ!?」ガビーンッ

    白銀「血液でッ!?」ガビーンッ!

    315 = 1 :

    宮寺「ククク……なるほどね。話が見えて来たヨ」

    宮寺「犯人は巌窟王さんの血液を抜き、体重をその分だけ削減した……最原くんはそう言いたいんだネ」

    宮寺「でも最原くん、その推理には穴があるヨ」

    最原「犯人は血を抜いて巌窟王さんの体重を軽くしたいのに、人体から血液を抜くと死んでしまう……って点なら解決できるよ」

    宮寺「え?」

    茶柱「えーっと……最原さんは当たり前のことを何しみじみと言っているんですか?」

    春川「医学的に、人体から血液をすべて抜くのはほぼ不可能って話だよ」

    春川「まず出血が起こるのは『心臓が動いている間のみ』だからね」

    百田「終一の推理は『巌窟王の死体を軽くするためには血液を抜く必要があるが、血液を抜くと血流が止まる』っつー矛盾があるわけか」

    最原「平気だよ。それでも人体はかなり軽くなるはずだ」

    最原「巌窟王さんが死にそうになる度に『蘇生』させればいいんだからさ!」

    巌窟王「よせ……その先は地獄だぞ」ギリィッ!

    316 = 1 :

    最原「星くんの研究教室には送球装置があったんだけどさ。それのコンセントが不自然に切断されていたんだよ」

    最原「多分、犯人は巌窟王さんの体を生きた状態でシンクに固定して、手首かどこかを切り裂いた後、水をためたシンクに手首を突っ込ませたんだ」

    最原「おそらくそのときの巌窟王さんの姿勢は、傷が心臓の位置より低くなるように、身をシンクの淵に寄りかからせる形になっていたはずだよ」

    最原「気絶させた巌窟王さんの死体から血液を抜いていく過程で、巌窟王さんが死にそうになったときに……」

    最原「犯人は切断したコンセントを使って巌窟王さんの体にショックを与えたんだ」

    入間「……は!? なんだその超原始的AED! マジで言ってんのか!?」ガビーンッ

    最原「乱暴でも後遺症が残ってもどうでもよかったはずだよ。だって、最終的には殺すんだからさ。いくら乱暴でも構わない」

    赤松「……ちょ、ちょっと待って。最原くん。何を言って……!」

    最原「こうやって犯人は、巌窟王さんの体から血を抜き、死にそうになったらショックで蘇生させ……」

    最原「また血を抜いて、死にそうになったらショックで蘇生させ……」

    最原「それを何度も何度も繰り返して……!」

    東条「待って。仮にそれで致死量を遥かに超える量の血を抜いたとしても、まだ彼の体はかなりの重さが残っていたはずよ?」

    東条「そんな工作をしたところで、気休めにしかならないわ」

    最原「……」

    最原「折りたたんだんだ」

    キーボ「は?」

    巌窟王「ッ!」

    317 = 1 :

    最原「巌窟王さんはマントを着こんでて、その体は水槽の中でもほとんど隠れてたけどさ」

    最原「そのときの巌窟王さんの五体は、果たして無事だったのかな?」

    白銀「ピラニアに食べられちゃったわけだから、地味に無事じゃないよね?」

    最原「その前は?」

    赤松「……ピラニアに食べられる前の、巌窟王さんの状態?」

    王馬「うーん、わからないなー……『誰かさん』がアンジーちゃんを急かして、巌窟王ちゃんをさっさと蘇生させちゃったからね」

    王馬「ほとんど検視はできなかったんだよねー。誰かさんのせいで!」

    最原「……」

    最原「僕は……覚えてるよ。巌窟王さんの骨、特に手足の関節や骨は、外れていたり折れていたり、酷い有様だった」

    アンジー「アンジーも覚えてるよー! 神様のことを一瞬たりとも見逃せないからねー!」キラキラキラ!

    アンジー「あ、なんならその光景を絵に描いたものを持ってきてるけど?」

    赤松「い、いい。見たらなんか気分悪くなりそうだから……」

    百田「……終一。折りたたんだって、まさか……!」

    最原「重さを軽減できたら、次は大きさだ。そのときの巌窟王さんの状態が無事だったとは思えない」

    最原「不自然に残ったあの手錠は、多分留め金の代わりに使われたんだ」

    最原「巌窟王さんの死体は、あの時点では『自分の胴体を自分の手足でがんじからめに縛り付け、それを手錠でロックする』ような姿勢だったはずだよ」

    赤松「えっ!?」

    天海「……それは……想像もしたくないっすね……」

    天海「だとすると、巌窟王さんがさっきから妙に焦っているのは、それを思い出したくないから?」

    春川(いつの間にか復活してた……)

    アンジー「神様には忘却補正があるから、元から何一つとして忘れないってー!」

    巌窟王「……」

    318 = 1 :

    王馬「にししっ! いやぁ、そうかそうか! わかっちゃった! 巌窟王ちゃんも優しいよねー!」

    王馬「ねえみんな! 仮に最原ちゃんの推理が本当だったとしたら、犯人はどんな人物だと思う?」

    茶柱「ど、どうって……」

    赤松「ここから出るためだからって、私たちを信じてくれていた巌窟王さんを拷問じみた手段で殺して……」

    赤松「しかも、殺した後も巌窟王さんの体をまるで物みたいに扱って……!」

    赤松「……」

    王馬「許せない。いや……そうは思ってないヤツも『怖い』とは思ったはずだよ」

    王馬「思い出してほしいんだけど、巌窟王ちゃんの理念は『全員揃っての脱出』でしょ?」

    王馬「だとしたら、間違っても言えないよねぇ……自分を殺した人間が、まさかそんな残酷なヤツだったなんて!」

    巌窟王「……」

    東条「確かに……ここまでの蛮行を犯した人間と、今まで通り接することができる人なんていないでしょうね」

    春川「今回のクロもどうせ巌窟王が助けるんだと思っていたけど、この分だと考え直した方がいいかもね」

    巌窟王「春川……」

    319 = 1 :

    百田「で? どうなんだ巌窟王! お前、本当にそんな酷ェ殺され方したってのかよ!」

    百田「それでもお前は黙ってるってのかよ!」

    巌窟王「……」

    赤松「巌窟王さん、答えて……! 全部覚えてるんでしょう? だったら……!」

    最原「……その献身は、間違ってるよ」

    巌窟王「何?」

    最原「いくら僕たちを助けるためだからって……自分のことをそこまで犠牲にするなんて」

    最原「自分の死の真相を隠そうとするなんて……!」

    最原「そんな献身なら、僕たちはいらないんだ!」

    巌窟王「――」

    巌窟王「くは……は……」

    巌窟王「クハハハハハハハハハハ」

    巌窟王「クハハハハハハハハハハハハハハ!」



    巌窟王「違う、違う違う!」反論!

    320 = 1 :

    巌窟王「献身……献身と宣ったか? よりにもよってこの俺にッ!」

    最原「えっ?」

    巌窟王「ならば答えてやろう。俺の死因は溺死だッ! それ以上でも以下でもない!」

    最原「う、嘘だ! それなら何で、さっきの巌窟王さんは焦ってたんだよ!」

    巌窟王「そんなことはどうでもいい! 被害者の俺自身が証人だ!」

    巌窟王「お前の推理は間違っているぞ! 一丁前に調停者を気取るな、探偵!」ギンッ!

    最原「……」

    最原「曲げる気はない」

    巌窟王「なにィ?」

    最原「僕は……僕自身のために、この主張を曲げる気はない」

    最原「真相を知らなきゃ、僕たちは前に進めない!」

    最原「どんな罪を犯したのか知らないと、僕たちは何も許せない!」

    最原「何よりも、あなたの名誉のためにも、この裁判は中途半端なところで終わらせちゃダメなんだッ!」

    巌窟王「……許すため、と来たか。俺には永遠にない発想だな」

    巌窟王「いいだろう。そこまで言うのならば覚悟を決めろ。俺は容赦はしない」

    巌窟王「貴様の推理で! 俺の反論を! 見事斬り伏せてみせろッ! 最原終一ィ!」ボウッ!

    321 = 1 :

    キーボ「……んっ?」

    入間「どした、キーボ」

    キーボ「いえ。何か……今まで視界に自分でも気づかないノイズがあったようなのですが」

    キーボ「それが急に晴れたような……」

    入間「は?」

    百田「……」

    赤松「最原くん……! 勝てるの?」

    最原「勝つ? 違う……真実はいつも、たった一つだけだ」

    最原「それをわかってもらう。巌窟王さんに」

    最原(そうだ。僕は……!)

    322 = 1 :

    休憩します!

    323 = 1 :

    反論ショーダウン真打!

    巌窟王「シンクが過剰に洗われていたからなんだ!?」

    巌窟王「送球装置の電源周りがどうした!?」

    巌窟王「それが俺の証言を撤回するに足る証拠か!?」

    巌窟王「弱い弱い弱い弱い……あまりにも!」

    巌窟王「俺の証言を崩すには、何一つとして足りていないぞ!」

    最原(引くわけに行かない!)

    最原「でも逆に、巌窟王さんの証言を証明する証拠もないよね?」

    最原「モノクマファイルにも死因は書いてなかったんだからさ!」

    巌窟王「ふん。俺とお前の立場が対等なつもりか?」

    巌窟王「俺は被害者で、お前は第三者だ」

    巌窟王「つまり! 『決定的な証拠がない』限りは被害者の俺の証言の方が有効だ!」




    最原「その言葉、斬らせてもらうッ!」ズバァァァッ!

    324 :

    なんかもうエドモンの病気が進行しすぎて婦長が次元の壁を突き破ってきそう

    325 = 1 :

    最原「巌窟王さんの証言を撤回させる決定的な証拠ならあるよ」

    最原「星くんの研究教室にあったダンベルだッ!」

    巌窟王「ぐうううう……っ!」

    赤松「えっと、あの分解できるダンベルがどうかしたの?」

    最原「犯人はシンクに巌窟王さんの身を乗り出させる形で、血を流させた」

    最原「でもそれって、最低限手首の部分だけはシンクの底付近に固定しないとダメなんだよ」

    最原「じゃあ、犯人は一体そのとき、どんな道具を使ったんだと思う? どんな方法で?」

    百田「ロープでシンクに固定……いやダメだな。胴体はともかくとして、手首はシンクの底に固定しねぇとなわけだし」

    百田「……あ、あああああっ! そうか! それでダンベルか!」

    百田「ダンベルに巌窟王の手首を括りつけた状態でシンクの底に沈めれば……!」

    最原「テグス。ロープ。ガムテープ……括りつけるときに使うものは、処分が簡単なものでいい」

    最原「更に、蘇生させたときに巌窟王さんの意識が覚醒したとしても、そのときはダンベルを持ち上げられないくらい衰弱してるはずだから問題ない!」

    巌窟王「……バカな。ダンベルが使われた痕跡があるのか?」

    最原「あるよ。アレも漂白剤臭かった」

    巌窟王「く、クハハハハハハ! 血の痕が残ってたわけではあるまいに、それでは何の証明にも……!」

    赤松「いや、待って。あったよ、血の痕なら!」

    巌窟王「な、にィ……!?」

    赤松「あれってウェイト可変式だったから、分解ができるんだよ」

    赤松「実際に星くんが私たちの目の前で分解したとき、ジョイント部分には間違いなく血の痕があった!」

    赤松「なんであんなところに血の痕ができるのか、ずっと疑問だったけど……」

    赤松「今わかったよ。血が溜められたシンクに丸ごと沈んでいたときに、ジョイント部分に血が沁み込んだんだ!」

    巌窟王「ぐああああああっ……!?」

    百田「巌窟王。もうお終いだ。ここまでの議論でハッキリわかった」

    百田「……真実に近いのは終一の方だ! お前の優しい嘘じゃねぇ!」

    最原「!」

    326 = 1 :

    巌窟王「……そうか。なるほど。それが……お前たちの出した答えか……」

    巌窟王「……」

    巌窟王「で?」

    最原「え?」

    巌窟王「その証明に、一体どんな意味があったというのだ?」

    百田「何って……お前の死因がわかったんだぞ。議論が発展したってことだ」

    巌窟王「クハハハハ! 百田! お前は何も気づいていなかったようだな……!」

    巌窟王「いいか! 先ほど東条が言ったように、そんなものは気休めにすぎない!」

    巌窟王「つまり犯人がやったということを証明したところで、本筋とは何の関係もないのだ!」

    巌窟王「第一、その漂白剤の臭いをお前たちは正しく認識していたのか?」

    巌窟王「シンク周り……それだけではなかったはずだ」

    最原「そうだね。今から考えると、多分あのインク周りも漂白剤で洗われていたはずだ」

    巌窟王「犯人が漂白剤を使って現場を掃除した……それだけの証明でよかったのだ」

    巌窟王「お前たちがやったことは、必要のない残酷な真実を無邪気に暴いただけに過ぎない!」

    巌窟王「……それがどんな意味を持つかも知らずに、な」

    327 = 1 :

    王馬「そだねー。最原ちゃんは今の推理で完全に暴いちゃったわけだ」

    王馬「犯人が、自分の計画を成就させるためにはどんなことでもやる悪魔みたいなヤツだってね」ニヤァ

    最原「……」

    巌窟王「この時代に産まれた人間にはわかりづらいか? 無理もない。人口は七十億を超えたらしいからな」

    巌窟王「いいか! いかに俺に強大な力があろうと! お前に! どれだけの才能と知性があろうと!」

    巌窟王「絶対に曲げられない現実というものがある!」

    巌窟王「『孤独こそが死、そのもの』。これは極限状態であれば絶対に誤魔化せない法則だ!」

    「……孤独が……死、か……」

    巌窟王「許す。ハッ、それもいいだろう。やりたければやればいい」

    巌窟王「だがお前一人の許し程度では、何も変えることはできないのだ」

    巌窟王「何一つとして……何一つとして、なァ!」ギンッ

    最原「……」

    最原(僕のやったことは、間違いだったのか……?)

    最原(僕は……!)

    百田「……違ェな。巌窟王。一人じゃねぇ」

    最原「!」

    巌窟王「……?」

    百田「俺も許してやるよ。終一が許すっつーんなら……俺もコイツの考えに乗ってやらァ!」

    百田「前の学級裁判で言わなかったか? テメェに吠え面かかせてやるってよ!」

    最原「……百田くん?」

    巌窟王「……クハハ……」

    328 = 1 :

    巌窟王「クハハハハハハ! 一人、二人、まだだな。まだ足りないぞ!」

    巌窟王「まだ……まったく……!」

    赤松「さ、三人なら、どう!?」

    最原「赤松さん!」

    赤松「……ねえ。もう、いいよ。巌窟王さん。見てられない」

    赤松「もう見てられないよ……巌窟王さんが自分を責めるのを見るの……やだ……!」

    巌窟王「……」

    巌窟王「好きにしろ。もう呆れて物も言えん」

    巌窟王「……若いとは恐ろしいものだな。お前たちは何も知らないのだ」

    巌窟王「人間の残酷さも。酷薄さも」

    巌窟王「……知らないままで良かったのだ」

    アンジー「……神様……」

    最原「……」

    最原「もう、犯人はわかってるよ。多分、トドメも刺せると思う」

    最原「巌窟王さん。僕たちは絶対にそんなものに負けたりしないよ」

    最原「……絶対にだ!」

    巌窟王「……」

    329 = 1 :

    休憩します!

    330 :

    突っ込むのは野暮かもしれないが、体重75キロなら血液は約6リットルで、
    綺麗に全部抜けたとしても
    70キロ近い体重なら流石に落っこちると思う。真っ二つに切断して二往復した方が確実のような

    331 = 1 :

    最原「……」

    最原(と言っても決定的な証拠がないんだよな)

    最原(議論の中で口を滑らせてくれることを期待したけど、それもなかったし)

    最原(……間違ってはいないと思うんだよな……)

    最原(……仕方ない。ちょっとだけカマをかけるか)

    最原「あのぶちまけられたインク……わずかだけど飛び散った先で不自然に途切れてたんだ」

    赤松(あれ? そうだったっけ?)

    百田(そうだったのか? まったく気づかなかったぜ)

    最原(嘘だけど)

    最原「犯人は浮き輪をカゴの代わりにしたロープウェイで巌窟王さんを運んだ」

    最原「だとしたらさ。犯人はそのとき、足はどうしてたんだろうね」

    夢野「んあ? 足、じゃと?」

    最原「犯人はおそらくヒールの高い、尖った靴を履いてたはずだ」

    最原「だとしたら靴は星くんの研究教室側に置いておくしかない。そんな靴で浮き輪に乗って穴が開いたら取り返しが付かないんだから」

    最原「どうせロープの回収のときに星くんの研究教室に寄ることになるわけだし、放置のデメリットは最初から無いも同然だ」

    最原「……巌窟王さんの万年筆が落ちて壊れてインクがぶちまけられるなんて夢にも思ってないはずだし」

    最原「……この中でヒールの高い靴を履いてたのは……誰?」

    入間「……お?」

    入間「お、お、おおおお!? 俺様ッ!」ガビーンッ

    最原「あ、入間さんも履いてたね。そういえば」

    入間「ひぎい!? 忘れられてた!?」

    百田「ん? 入間じゃなかったのか? じゃあ他にヒールが尖った危険性の高い靴を履いてんのは……」

    「……」





    「おい東条。呼ばれているみたいだぜ?」

    東条「……」

    332 = 1 :

    東条「私が怪しいのかしら?」

    東条「……そう。なら、私の靴を心行くまで調べてもいいわよ。何も出ないでしょうけど」

    最原「うん。それじゃあちょっと脱いでもらっても構わないかな?」

    ゴソゴソ

    東条「はい。どうぞ」

    最原(……体温が残ってて無駄にぬくいな……)

    最原(でも確かにインクの痕は残ってない)

    最原(ただ……やっぱりだな)

    最原「綺麗な靴だね」

    最原(不自然なくらいに)

    最原「うん。じゃあ返すよ。ごめんね、こんなことして」

    東条「いいのよ。みんなのためですもの」

    最原「じゃあ改めて」

    最原「東条さん。なんで巌窟王さんを殺したの?」

    東条「……」ピクッ

    333 = 1 :

    東条「……まだ疑っているのかしら? 私を?」

    最原「いや、まあ……大きさと重さを軽減したって言っても、人体の総重量に対する血液の量なんてたかが知れてるからさ」

    最原「さっき入間さんが言ったように不可能ではないにしろ、難しいんだよ。巌窟王さんを運ぶのって」

    最原「東条さんも言ってたでしょ? 気休めにしかならないってさ」

    最原「こんな難しい犯罪を成立させるには、東条さんみたいな完璧なメイドでもないと無理じゃないかなって」

    東条「……それだけかしら?」

    最原(まだある。まだあるけど、どの情報をどの程度出すかを考えてるところなんだ)

    最原(……やっぱりアレだよな)

    最原「東条さん。今日、マジカルショーに遅刻してきたけどさ。なんで?」

    東条「……」

    東条「目覚まし時計の電池がたまたま今日切れたのよ。それで起きれなかったの」

    最原「百田くん。朝は東条さんと一緒だったよね? 何か気付かなかった?」

    百田「あ? いや、別に、いつも通りだったぜ? 強いて言うなら……なんかいい匂いがしてたかもな?」

    百田「風呂あがりみてーな?」

    春川「なんかイヤだね。百田が女子の匂い云々言うのって」

    茶柱「死んでください(絶望)」

    百田「なんでだよっ!」ガビーンッ!

    334 = 1 :

    最原「じゃあ次。アンジーさん。昨日のことを教えてほしいんだ」

    アンジー「ほよ? 昨日? 昨日って言ったら……」

    アンジー「あっ」

    夢野「ん? なんじゃ今の『あっ』は。何かおかしなものでも見たのか?」

    アンジー「……いや。見てないよー?」

    夢野「なんじゃ。紛らわしいのう」

    アンジー「……見てないのが問題なんだよ」

    茶柱「は?」

    アンジー「アンジー、昨日、斬美の姿を見てない」



    裁判場全体「!」ドヨッ

    335 = 1 :

    最原(最初から東条さんのことを疑っていたわけじゃない。むしろ、最初に僕が疑っていたのは春川さんだった)

    最原(でも捜査を進めて行く内に『あれっ』て思ったんだ)

    最原「アンジーさんが言ってる『昨日』ってさ。巌窟王さんを心配して、外に出てたあの夜のことだよね?」

    アンジー「うん。色々あってゴン太の昆虫で和もう会が終わってねー、その後」

    アンジー「すぐに思ったんだよ。『大変だー! 門限過ぎてるー! 神様に怒られるー!』って」

    赤松「ああ。そんなこと言ってたね……青い顔で」

    宮寺「完璧に子供扱いだよネ」

    アンジー「で。アンジーの部屋に帰ったんだけど神様がいなくってー!」

    夢野「んあ? アンジーの部屋なんじゃから巌窟王がいなくて当たり前……」

    夢野「……」

    夢野「一緒に住んでおったのか?」




    裁判場全体「!?」ザワザワッ

    336 = 1 :

    巌窟王「……む? なんだ? 何故全員こちらを見る?」

    茶柱「念のために訊いておきますが、手は出してませんよね?」

    巌窟王「……は?」

    白銀「あ、この反応は大丈夫だよ。何を訊かれたのかまるでわかってなさそうだし」

    茶柱「どっちにしろ巌窟王さんは後で転子が処刑しますが、まあそれは置いといて……」

    茶柱「そう、か。そうですね。アンジーさんは徹夜で寄宿舎の自分の部屋の前にいたんでした」

    茶柱「八時より前に起きて、体育館もしくは食堂に向かった人たちは全員彼女の姿を見ていますよね?」

    赤松「そ、そうか! じゃあアンジーさんって、もしかして!」

    最原「証明困難な夜時間のアリバイを証明できる唯一の人間ってことになるんだ」

    東条「それはどうかしら? 夜長さん自身が犯人である可能性だって……」

    最原「ないよ」

    東条「……!?」

    最原「絶対にない」

    337 = 1 :

    最原「確かに巌窟王さんが夜時間の内に死んだってことになって、それ以前のアリバイは重要ではなくなったけど」

    最原「それにしたって限度はあるんだ。だって体育館に仕込みをする時間が犯人には必要だからね」

    春川「ピラニアの水槽への細工。体育館の窓枠への仕込み……確かにこれは夜時間以前にやらないとダメだね」

    最原「夢野さんとずっと一緒に行動してたアンジーさんには不可能だよ」

    夢野「……そうじゃな。いくら何でもアンジーがウチの近くでそんなマネしたら気付くわい」

    夢野「アンジーは犯人ではないとウチが証明してやろう」

    最原「更に、アンジーさんはそのまま夢野さんと一緒に、夜時間になるまで昆虫で和もう会に監禁されてたんだ」

    最原「……絶対にないんだよ。アンジーさんが犯人である可能性はさ!」

    東条「……なるほどね」

    338 = 1 :

    最原「その潔白のアンジーさんの証言なら、ほぼ完全に信用してもいいと思うよ」

    東条「……」

    アンジー「ちなみにー! アンジーが昆虫で和もう会から解放されたのが十時十分くらいでー」

    アンジー「その後、全力疾走で寄宿舎に戻ったからー、帰還は十時十五分くらい!」

    アンジー「確か斬美は夜時間になるまで小吉と追いかけっこしてたんだっけー?」

    アンジー「……じゃあ、夜時間に入ってから、アンジーが帰ってくる十五分の間に斬美は自分の部屋に入って眠ったんだよね?」

    アンジー「……そうじゃなかったらなんなの?」ギロリ

    東条「それは……」

    339 = 1 :

    東条「いえ。夜長さんが私の姿を見ていないことは問題ではないはずよ」

    東条「私は間違いなく夜長さんの言う通り、その十五分の間に自分の部屋に帰って寝る支度を整えたのだから」

    東条「本当に重要なのは……」

    春川「……他に見ていない生徒がいないか、ってことでしょ。わかってたよ、こういう展開になることは」

    アンジー「そだねー。大体みんな夜時間になってからはー、素直に寄宿舎に帰っておねんねしてたねー」

    王馬「その理屈で言うと、夜時間以前のアリバイはほぼ東条ちゃん頼りだった俺は、夜時間以降のアリバイは完璧だよね!」

    王馬「だって校舎ではゴン太とずっと一緒で、寄宿舎に帰るときもそうだったからさ……」

    王馬「……虫嫌い」ボソッ

    獄原「え。王馬くん、今なんて?」

    王馬「虫大好きーーー!」

    獄原「ゴン太も大好きだよ!」

    アンジー「えっとねー。他に見てない生徒はー……」

    アンジー「うん! 魔姫だね! それだけだよー!」

    春川「……」

    340 = 1 :

    王馬「つまり、犯人はこの二人に限定されたってことだね! いやー、お手柄だよ最原ちゃん!」

    春川「……ッ!」

    最原「いや。春川さんは犯人じゃないよ」

    春川「え?」

    百田「そうだ! ハルマキは犯人なんかじゃねー! コイツの目を見ろ! 綺麗じゃねーか!」

    春川「バカでしょ」

    最原「いや、そんな理由じゃなくってさ……」

    最原「夢野さん」

    夢野「んあ? ウチか?」

    最原「春川さんに招待状を渡したとき、何か変なことはなかった?」

    夢野「変なこと? いや、特に何もなかったが」

    最原「本当に? 絶対に?」

    夢野「……しつこいぞ。一体ウチに何を言わせたいんじゃ?」

    最原「……」

    夢野「……なかった。いつも通りの仏頂面で、招待状も迷惑そうに受け取っておったぞ」

    夢野「来なかったがの」

    春川「仕方ないじゃん……研究教室、離れたくなかったし……」

    最原「じゃあやっぱり春川さんは犯人じゃないよ」

    東条「何を言っているの? 一体、何の根拠があって……!」

    最原「臭い」

    東条「ぐぅ!」グサッ!

    341 = 1 :

    最原「塩素系漂白剤の匂いって、一度付いたらしばらく取れないんだよ」

    最原「特に、人体についた塩素系漂白剤の匂いは、短時間で落とすのならそれなりの準備が必要なんだ!」

    最原「あんなに大がかりに漂白剤を使った掃除をしたら、使った本人もかなり臭ったはずだよ!」

    最原「でも、春川さんに会った夢野さんは、そんな臭いを嗅いだの?」

    夢野「いや? 別に、そんな臭いはしなかったぞ?」

    最原「……そもそも夢野さんが春川さんに会えたこと自体がおかしいんだよ」

    最原「だって、そんな臭いをさせているところを誰かに見られでもしたら一瞬でお終いだ!」

    最原「それが取れるまでは絶対に、どこかに身を隠すはずだよ!」

    東条「事件が起こったのはシャワールームだったのでしょう?」

    東条「更に、寄宿舎でなくとも、私の研究教室には洗濯機があるわ。服の臭いもそちらで処理できる」

    東条「わざわざ私室に戻らなくっても……!」

    最原「そんなことをしている最中を見られたら、いよいよ終わりじゃないか!」

    最原「間違いないよ! 犯人の私室には、体に付いた臭いを落とす準備が一式、全部用意されていたはずだ!」

    342 = 1 :

    王馬「なるほどねー。俺も無駄な時間は使いたくなかったから東条ちゃんの私室までは入らなかったし」

    王馬「全然気付かなかったや。そんな準備してたんだね、東条ちゃん」

    赤松「あ、そっか。東条さんは自分の動機ビデオを持ってたからピッキングの必要がなかったんだね」

    赤松「その理屈で言うと、私がなんで昆虫で和もう会に巻き込まれたのか疑問だけど……」

    王馬「お題目上仕方なかったんだよ。みんなの虫さんを殺す気を無くそうって企画だったんだからさ」

    最原「……」

    最原「東条さん。巌窟王さんは『女性へのプレゼント』を倉庫で見繕ってたんだ」

    最原「それって巌窟王さんが『女性と待ち合わせしていた』ってことだよね?」

    最原「百田くん以外の全員の夜時間以前のアリバイが証明されたのは、キミにとって最大の不幸だったはずだ」

    最原「だって百田くんは女性じゃないんだ! 巌窟王さんと待ち合わせしてないんだよ!」

    宮寺「逆に、その待ち合わせしていた女生徒が、事件と関係ない可能性は……」

    宮寺「ククク。あるわけないか。だって事件に関係なかったら、今ごろとっくに『待ち合わせしていたのに来なかったんだ』って証言してるからネ」

    東条「……くぅっ!」

    343 = 1 :

    最原「あるいは、平穏無事に自分の部屋に戻って、滞りなく臭いを除去することさえできたら、そう証言していたのかも」

    最原「でもそれはできなかった。アンジーさんがずっと、翌朝の八時になるまで自室の前にいたから!」

    最原「自分の身の潔白のためには『自室でずっと寝ていたんだ』って証言するしかない!」

    最原「そうだよね! 東条さん!」

    東条「私は……!」

    東条「……」

    東条「すべて……状況証拠だわ」

    最原「決定的な証拠はない。そう言うつもり?」

    最原「……」




    最原(実はその通りなんだよなぁ。どうしよう)

    344 = 1 :

    最原(僕が東条さんを疑うに至ったきっかけはたった一つ)

    最原(東条さんが巌窟王さんと約束していた女生徒だったのはほとんど間違いないのに、その証言をしなかったから)

    最原(昨日、巌窟王さんは何か紙のようなものを持ってたけど、多分あれが手紙だったんだろう)

    最原(アレを誰にも気づかれずに渡せるのは、食事を配膳してた東条さんだけ。その他に巌窟王さんに何かを渡した素振りを見せた女生徒はいない)

    最原(でもこれは僕の勝手な予測だし、手紙も当然処分されてるだろうしな……)

    最原(あと一歩……足りない! なにか、決め手が……!)

    「なあ。東条。さっきの最原の言葉、覚えてるか?」

    「犯人はロープウェイを使ったとき、靴を脱いでたんだぜ?」

    「万が一、靴をプールに落としたら終わりだから持ち歩きもしてなかったはずだ」

    「犯人はわずかな重量すらも潔癖に削減しかかってたことは犯行手順を振り返れば明らかだしな」

    東条「……!」

    「だとしたらその道中、足は無事だったんだろうな?」

    「いや……急いでいたからおそらく無事では済まなかったはずだ」

    最原「えっ」

    「……裸足になってみろ。ちょっとでも荒れていたら終わりだ」

    東条「……ううっ!」

    最原「え? 嘘……あるの!? 傷が!」ガビーンッ!

    345 = 1 :

    東条「うう……うううううう……!」ダラダラ

    「……ふっ。美味しいところをうっかり持っていっちまった。悪いな、最原」

    最原「い、いいんだよ。まごついてた僕が悪いし……」

    最原「……」

    最原「ありがとう、星くん」

    「いいさ。それに……ヤツを孤独にはさせないんだろ?」

    「その覚悟があるのなら……充分だ」

    最原「……」

    最原「東条さん。終わりにしよう」

    最原「最後に僕が事件を振り返って……全貌を明らかにして……!」

    最原「それでハッキリさせるんだ」

    最原「『悪意の在処』……その正体を!」

    346 = 1 :

    残りはクライマックスだけだけど、寝ます!

    347 :

    バカな……heaven's feelが満席……!?
    どうしても見たいとなったら終電逃す……だと!?

    ここまで来て引き下がれないだろ……! 劇場限定礼装まで貰っちまったんだからよォ!

    348 :

    神は言いました、初日はやめとけと

    349 :

    CM

    クレオパトラ「くっ……うおおおおおおおお!(HFのチケットを買いながら)」

    映画館職員「はい。今日の午後十一時から上映となります。チケットのキャンセルはできないのでご注意ください」

    白銀「なっ……何やってるんですか……クレオパトラさぁん!」

    クレオパトラ「なんて声ェ……出してるんですの。白銀ェ……!」

    白銀「だって……だってぇ……!」

    クレオパトラ「私は……最後のファラオ……クレオパトラなのですよ……この程度の夜更かし……(美容には)なんてことない!」

    クレオパトラ「行きますわよ……映画が……待ってるんです……!」

    クレオパトラ「それに……!」

    クレオパトラ(わかったのです。英霊には睡眠時間など不要。終電を逃すのも……まあ漫画喫茶とかに泊まればなんとか……)

    クレオパトラ(え? 漫画喫茶にスパの類はない? 枕も布団も申し訳程度の薄さ? そんな!)

    クレオパトラ(……まあ! なんとかなります!)

    クレオパトラ(止まらない限り……映画は見れます!)

    クレオパトラ(だから……!)


    上映中


    クレオパトラ「止まるんじゃあ……ないですわよ……」スヤァ

    白銀「だから言ったのにーーー!」ガビーンッ


    上映中の寝落ちは多大な損失を産みます。


    劇場版Fate/staynight Heaven's feel
    大好評上映中

    クレオパトラ「劇場限定礼装も……忘れちゃあ……ダメですよ……」スヤァ

    クレオパトラ「あと青少年は東京都青少年の健全な育成に関する条例によって深夜の映画館立ちよりは禁止されてます……」

    白銀(地味に寝言が酷いな……)←本当は入っちゃダメ

    350 = 1 :

    ヒャア! 我慢できねぇ初日だァ!
    ってことで今日のところはこれまで。

    ……なんとかなる。終電なくっても死には……しない……はず……


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