元スレ巌窟王「旅行先間違えた」 アンジー「神様ですか?」
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51 = 1 :
今日のところはこれまで!
52 :
乙
そういえばハルマキの声がダヴィンチちゃんだったり、是清がトータだったりするの、巌窟王的には何も感じないのかな
53 :
そもそもカルデア内だって声同じ人多いし自分と同じ人もいるし
54 :
食堂の外のテラス席
巌窟王「……ふむ。しまった。閉鎖空間内だとタバコが手に入らない」
巌窟王「残りの数を考えて吸う必要があるか……」スパー
獄原「あ。巌窟王さん」
巌窟王「獄原か。こんなところで何をしている?」スパー
獄原「ええっと、ゴン太は虫さんを探しているところだけど……」
獄原「アンジーさんは傍にいないんだね?」キョロキョロ
巌窟王「四六時中一緒にいるわけではないさ。アイツもアイツでプライベートはある」
獄原「そっか。プライベートは大事だよね。紳士を目指しているから少しはわかるよ」
獄原「……モノクマのタイムリミットのことは聞いた?」
巌窟王「難儀な状況に陥ったな。お前たちも」
獄原「うん。でもいざというときは、ゴン太がみんなを守るよ」
獄原「そのときは巌窟王さんも協力してくれるよね?」
巌窟王「……ふん……」
巌窟王(この問題は流石に誤魔化すことはできない、か)
巌窟王(今の状態で、アンジーだけを守ることだけは辛うじて可能だろう)
巌窟王(だが……全員を守る、となったら少し難しいかもしれない)
巌窟王(ならば攻めるか? なお難しいな。迂闊なことをして我がマスターのアンジーの責任問題にでもされたら終わりだ)
巌窟王(となれば、生徒たちが団結して『守る対象』から『共闘する駒』へ変化するのを期待するしかない)
巌窟王(果たして、どのような結果を産むか……残念なことにこれは時間が経たねばわかるまい)
巌窟王「待て、しかして希望せよ、だ」
獄原「?」
55 = 1 :
最原(各々、それぞれ思うことはありつつも時間は無常に過ぎていく)
最原(立ち向かう方法を模索する者。諦める者。状況をただ傍観する者……)
最原(僕は、立ち向かうことにした。勇気からではなく、何もしないことこそが怖かったからだ)
最原「この策が上手くいってくれれば……」
赤松「首謀者を捕まえることができるかもしれないね。凄いよ、最原くん!」
最原「……はは。ひたすら地味な小細工だけどね」
最原(あとは図書室で、首謀者が引っかかるのを待つだけだ……!)
最原(すべては図書室で決着する)
赤松「……」
その夜 アンジーの部屋
巌窟王「アンジー。一つ聞きたいのだが、図書室はどこにある?」
アンジー「んー? 地下ー! なんでー?」
巌窟王「……いや。なんでもない。まだな」
アンジー「?」
巌窟王(BBからの返事が来ない……大見得切ったが、断られる可能性を考えていなかったな)
巌窟王(その場合は独学でカメラの扱いを習得するか)
56 = 1 :
その翌日 午後九時三十分前後
最原(僕たちの立てた計画はこうだ。まず図書室に入間さん作成の隠しカメラを設置)
最原(首謀者はモノクマを大量生産するために、図書室の隠し部屋に必ず向かう、と仮定)
最原(隠し扉は本棚で隠されているので、その本棚が動いたタイミングで、僕の手元の防犯ブザーが鳴るように設定)
最原(隠しカメラと、センサー。その両方を使って二重に証拠を押さえ、首謀者を確保する)
最原(ひとまず地下室に続く階段傍の教室で、僕たちは身を潜める)
赤松「……最原くん。時間がありそうだから、一ついい?」
最原「ん?」
赤松「……巌窟王さんがさ。卒業アルバム作るって話、聞いた?」
最原「えっ」
赤松「外に出たときに、写真を見て『こんなこともあったな』って思い出にするんだってさ」
最原「それは……随分と悠長だね……」
赤松「うん。でも天海くんとかは乗り気みたい。あ、彼から又聞きしたんだけどね?」
赤松「……」
最原「……赤松さん?」
57 = 1 :
赤松「……あ、えーと、さ。なんだろ。その……こんなこと思っちゃいけないんだけどね?」
赤松「無力感……ってヤツ? そういうの感じちゃってさ」
赤松「まだ全然本調子じゃないんだって? 全然そんな感じしないよね。巌窟王さん」
最原「……もしかして、まだ気にしてるの? デスロードのこと」
赤松「気にしないって方が無理、だよね。だって……」
最原「強要されたって思ってないよ。僕は」
赤松「……無駄骨だったんだよ? 実質使えない出口に向かって頑張れって言ってたんだ。私」
赤松「だからさ。凄く嬉しかった。最原くんに『手伝って』って言われたときは」
最原「……もしかして、償いのために僕に協力を?」
赤松「はは。打算的すぎて失望させちゃったかな……」
最原「そんなことないよ! そんなことない、けど……」
最原「……そんなに気負わないでいいんじゃないかな」
最原「実はさ。巌窟王さんと会ってから、なんとなく気分が明るいんだ」
最原「『なんとかなるんじゃないか』って思えてきたんだよ」
赤松「え?」
最原「……実は図書室から、モンテ・クリスト伯を借りて来たんだ」
最原「結構面白くってさ。現実に起こったことなんだ、と思うとちょっと残酷なんだけど」
最原「この人と同一人物なんだ、って思うと、なんとなく心強く思えてきちゃって」
赤松「……」
最原「よかったら後で赤松さんにも」
赤松「そんな時間ないよ」
最原「え」
赤松「……」
最原(あれ……なにか気に障ること、言っちゃったかな……?)
赤松(……巌窟王さんが悪いわけじゃない。でも、私は……)
58 = 1 :
最原「……あ、あれっ? なにか教室の外が賑やかだな……?」
ガチャリンコ
最原「あれは……ゴン太くん、百田くん、春川さん、茶柱さん、アンジーさん、夢野さん、天海くん……」
最原「みんなしてどうしたんだろう? どんどん地下に向かってる」
赤松「なにかあるのかな?」
最原「ちょっと下に行って様子を見てくるね!」ダッ
赤松「あ! 最原くん!」
赤松「行っちゃった……」
巌窟王「……」スタスタ
赤松「……ッ! 巌窟王……さんも? 下に……」
巌窟王(写真術の本はあるだろうか)スタスタ
59 = 1 :
巌窟王「む? 最原。何をしている?」
最原「うわっ……!? 巌窟王さん!」
巌窟王「……賑やかだな? ゲームルームで何かやっているのか?」
最原「え、ええと……巌窟王さんは? 何をしに?」
巌窟王「野暮用だ!」ギンッ!
巌窟王「それで、質問に戻るが。お前、何をしている?」
最原「……」
最原「ちょっとね。大した用はないよ」スタスタ
巌窟王(……む。あの喧噪の中には入らないのか。上に戻っていく)
最原(ひとまず赤松さんのところに戻ろう)
巌窟王(まあいい。さっさと用を済ませてしまおう)スタスタ
60 = 1 :
階段脇の教室
最原「ふうっ……危なかった!」
赤松「あ、最原くん! 巌窟王さんとすれ違わなかった?」
最原「すれ違ったよ。バレそうになったけど、なんとか誤魔化した」
最原「あ。先に地下に行ったみんなのことなんだけど、どうもゲームルームに集まっているみたいで」
ビービーッ!
最原&赤松「!」
図書室の中
巌窟王「……? なんだ? これは。本棚が勝手に……」
巌窟王「隠し扉か? これは」
61 = 1 :
カシャッ
巌窟王「む? 今、本棚が光ったか?」
巌窟王「……!」
モノクマでもわかる写真術「」バァーーーンッ!
巌窟王「クハハハハハ! 見つけたぞ!」
巌窟王「む? 何故かカメラが設置されているな……まあいいか」
巌窟王「さて。早くこれを持ち帰って写真術を習得するとしよう」
グイグイ
巌窟王「むう。本と本の密度が強すぎて、無理に抜くと本を傷つけてしまいそうだ」
巌窟王「そーっと……そーっと」グイグイ
ガンッ!
62 = 1 :
休憩します!
63 = 1 :
ちょっと時間は遡る
最原「……誰かが本棚を動かしたんだ! すぐに行かないと!」ダッ
赤松「……」
赤松「……ごめんね」
ゴロンッ
地下
最原「……!?」
謎の音声『モンハナシャコのパンチ力はすさまじく、その勢いは水槽のガラスすら破るほどで』キィィンッ!
最原「うるさっ!? なにこれ! どこから……」
ギャースカギャースカ
最原「ゲームルーム……の奥の方のAVルーム?」
百田「おいゴン太! 音量がデカすぎる! ちょっとは下げろ!」
獄原「ご、ごめん! あ、でもなんか音量のツマミが壊されてて……!」
茶柱「じゃあ電源を落として……って、コンセントが機材の後ろのなんかゴチャッとした部分のあたりに隠れてよく見えないです!」
天海「最悪の場合は壊した方がいいかもしれないっすね」
茶柱「は!? 天海さん、なんて!?」
天海「ぶっ壊した方が! いいかもしれないっすねッ!」
茶柱「うるさーーーいッ!」バシーンッ!
天海「理不尽ッ!」ドガシャアアアンッ!
最原(天海くんがAVルームの奥の方の扉を壊して吹っ飛んだ! 多分茶柱さんがぶん殴ったんだろうけど!)
天海「痛い。とても痛い」ピクピク
64 = 1 :
赤松「最原くん、早いって……ってうるさっ! 何これ!」
最原「ひとまずあっちは天海くんたちに任せよう! 僕たちは図書室へ!」
ガチャリンコッ!
隠し扉の本棚「」ゴゴゴゴゴ
最原「遅かった!? もう閉まってる!」ダッ
最原「……?」
最原「……え?」
赤松「あ……?」
赤松「巌窟王……さん……?」
最原(僕たちが図書室に飛び込んで、隠し扉の本棚に近づいたとき、背の低い本棚に隠れて見えなかった影を見つけた)
最原(それは……)
最原(特徴的な帽子とマント。絶対に死なないと思われた英霊。モンテ・クリスト伯爵の変わり果てた姿だった)
最原(頭をカチ割られて……無残に死んでいた……)
第一章
私と僕(と俺!)の学級裁判 非日常編
65 = 1 :
今日のところはここまで!
66 :
前作から流れてきました、めっちゃ面白い
マジで巌窟王さんイケメンすぎんよー
67 :
妙な力は使えるけど一応基礎は人間だから鉄球直撃ならダメージ食らうのかww
68 :
最原「……う……」
最原「うわあああああああああああっ!?」
ガチャリンコ
天海「ど、どうしたんすか! こっちから叫び声が聞こえたんすけど」チミドローッ
赤松「きゃあああああああああああ!?」ガビーンッ!
巌窟王「天海、どうした? 傷だらけだぞ。他人のことを心配する余裕などあるのか?」シニカケー
天海「ぎゃあああああああああああああ!?」ガビビーンッ!
巌窟王「やめろ。傷に響く。騒ぐな。さわ……」
バタリッ
巌窟王「」チーン
最原(そこから僕が何を喚き散らしたのか、僕自身も覚えていない)
最原(ただ、気付いたら僕の周りには生徒たちが全員揃っていた)
最原(……長かったような、短いような時間だった)
69 = 1 :
モノクマ「えー。ごほんごほん。いやー、長かったねー! 長かった! ここまでくるのにかなり時間かかった!」
モノクマ「かかったけど……」
巌窟王「……」
モノクマ「よりによって最初の犠牲者、コイツかよ……反応に困るんだけど」
モノクマ「まあいいや! それじゃあみんな! 最初に言った通り! これでリミットは解除だよ!」
モノクマ「そして! なんと! 彼を殺した人は初回特典で外に出ることができるのでーす!」ギンッ
巌窟王(初回特典?)ピクッ
最原(やっぱり彼、生きてるよね……?)
天海(都合がいいので黙っておくことにするっす)シラー
70 = 1 :
アンジー「あーあー。初回特典! 初回特典ねー!」キラキラキラ
アンジー「……」
アンジー「なんだっけそれ」
キーボ「忘れたんですか? 最初の殺人においてのみ学級裁判は行われず、クロは外に出ることができる権利のことです」
アンジー「へー。聞いてなかったよー」
赤松「つい最近はずっと巌窟王さんと訓練(とは名ばかりのじゃれあい)を繰り返してたもんね」
モノクマ「それじゃあ、今回の被害者、モンテ・クリスト伯爵を殺した人は手をあげてー!」
巌窟王「……」
生徒一同「……」
……
モノクマ「……あれ?」
最原(なんで……誰も名乗り上げないんだ?)ゾワッ
71 = 1 :
モノクマ「……初回特典を蹴られちゃった。仕方ないね」
百田「お、おい。ちょっと待てよ、モノクマ」
モノクマ「待つ! 待った! はいもう終わり!」
ピンポンパンポーン
アナウンス『死体が発見されました! 一定の自由時間の後、学級裁判を始めます!』
最原「そ、そんな……!?」
巌窟王「始まるのか……学級裁判が!」ギンッ
茶柱「そんな! 巌窟王さんを殺した犯人を、命懸けで見つけろと!? そんなの……」
茶柱「……」
茶柱「……ん? なんか今、変じゃありませんでした?」
夢野「何がじゃ?」
茶柱「いや……まあいいんですけど……?」
72 = 1 :
真宮寺(死んでなくない?)
白銀(死んでなくない?)
東条(死んでないわね?)
星(死んでねーじゃねーか)
獄原(あー、無事でよかったー!)キラキラキラ
モノクマ(なんかいまいち絶望感が足りないな……? まあいいや)
モノクマ「それじゃあ、オマエラ頑張ってー! 巌窟王さんを殺した犯人をバンバン見つけちゃってくださーい!」
最原「そ、そんなこと……僕には……!」
巌窟王「――諦めるのか?」ザッ
モノクマ「……」
モノクマ「えっ」
73 = 1 :
巌窟王「それもいいだろう。つまらないが、結末は結末だ」
巌窟王「だがもしも! 貴様の心の中に恩讐の牙が残っているのであれば!」
巌窟王「俺はお前たちの手を取ろう! さあ! 血塗られたパズルを解き明かすのだ!」
最原「巌窟王さん……!」
アンジー「よーっし! 犯人をみんなで捕まえよー!」
生徒一同「おー!」
モノクマ「えっ。待って。待って。ねえ。誰が被害者だっけ? あれっ!?」
モノクマ「オマエなんで生きてるの!?」ガビーンッ
巌窟王「HPがギリギリ一桁くらいは残った」フラフラ
アンジー「令呪で回復させるねー」キンッ
モノクマ「」
巌窟王「……クハハハハハハ! 戻ったぞ!」シャキーンッ!
74 = 1 :
東条「……被害者が生きていた場合も学級裁判は行われるのかしら?」
モノクマ「い、いや。待って! 待って! ありえなくない!? 絶対に死んだはずなのに!」
モノクマ「……まあいいや! 悪いんだけど、被害者が生き返ったとしても学級裁判は行われるよ!」
モノクマ「こっちにもこっちの事情があるからね!」
巌窟王「いいだろう! このまま引き続いて貴様の傲慢さをこそぎ取ってやる!」
巌窟王「せいぜい足掻いてみろよ? 暖簾に腕押しではこちらもつまらないからなァ!」ギンッ
巌窟王(……しかし、一度死んだはず、か?)
巌窟王(妙だな。サーヴァントだからその程度の奇跡や偶然はあってもおかしくないが……)
巌窟王(なぜ、頭を強く打っただけで死にかけた?)
巌窟王(サーヴァントに神秘性の薄い攻撃は効きが薄いはず……)
巌窟王(……学級裁判の後で考察するべきだな)
75 = 1 :
休憩します!
76 = 1 :
モノクマ「なんか既にかなり吹っ飛んでる展開だけど……とりあえず渡しておくね」
モノクマ「ザ・モノクマファイルー!」テレレテッテレー!
赤松「何、これ?」
モノクマ「捜査に関してズブの素人のオマエラに対する救済処置」
モノクマ「死体に関する情報がつらつら書かれてるよ。読んでね!」
モノクマ「……アンジーさんが傷を回復させちゃった副作用として、もう『死体を調べる』ってことができないしね」
最原「あっ」
百田「巌窟王本人に聞けばいいんだから別にいいだろ」
百田「ていうか、巌窟王が生きてるんだから、今回の犯人はもうわかったも同然じゃねーか!」
巌窟王「見ていないぞ。死角から頭を打ちぬかれたようでな。残念なことだ」
百田「……」
春川「死人に口なし。あったとしても役には立たなそうだね」
77 = 1 :
砲丸「」ゴロッ
巌窟王「なるほど。この砲丸で頭を打ちぬかれたのか」
巌窟王「……妙だな。やはり何一つとして魔力的要素を感じない」
巌窟王「これで一体どうやって俺の頭を砕けるというのか……」
巌窟王「む? 砲丸に何かついているな?」
最原「巌窟王さん。その血塗れの砲丸がどうかした?」
巌窟王「いや……何か、繊維のようなものがついていてな」
最原「繊維? あ、本当だ」
巌窟王「この色合い、どこかで見たことがあるような」
最原「……」
巌窟王「……」
最原&巌窟王「あっ」
アンジー「神様ー! そのいかにも凶器な砲丸がどうかしたかー?」キラキラキラ
最原「わーーー!?」アタフタ
巌窟王「……」
巌窟王「クハハハハハハ! 不愉快だ! 消え失せろ砲丸!」ボオオオオッ!
夢野「巌窟王が砲丸を燃やしおったーーーッ!?」ガビーンッ!
百田「うおおおおお! 大事な証拠になにやってんだテメェーーーッ!」
巌窟王「もう調べ終わった後だ。詳細を聞きたければ俺かもしくは最原に聞け!」
巌窟王「『特に怪しいものはなかった』と言う他ないがな!」ギンッ
最原「が、巌窟王さん!?」
巌窟王「……」
巌窟王「『アイツ』は……ここではないどこかを調べに行ったか」
巌窟王「最原。顔を貸せ。上の教室がいいだろう」
最原「……うん」
78 = 1 :
地上一階 階段脇の教室
巌窟王「さて。俺は事態のすべてを見通したわけではないが、先ほどの砲丸の調査のせいで犯人がいち早くわかってしまった」
巌窟王「探偵の力を持っているお前ならば、猶更すべてが見通せただろう」
巌窟王「気分はどうだ? ああ、いや。いい。答えなくていい。どちらにせよお前は進むしかないのだ」
巌窟王「死にたいというのなら別だが?」
最原「……なんで……どうして彼女が巌窟王さんを……」
巌窟王「さて、な。それを知りたいのなら、やはり最後の最後まで真実を求めるしかなかろうさ」
巌窟王「……事件の全貌は掴めたのだろう?」
最原「うん。それは問題ないと思う」
巌窟王「ならば、お前がこれからやるべきことは一つ。倒叙法の推理小説を読んだことは当然あるだろう?」
巌窟王「それと同じく、ヤツのミスを調べることだ」
巌窟王「ひいてはそれが、ヤツの『殺意の行方』を知ることになるだろう」
最原「殺意の……行方?」
巌窟王「……喋り過ぎたな。さて。写真の現像が終わるまで、俺は地下に戻ることにする」
最原「え? 写真の現像?」
巌窟王「ああ。お前が呆然自失としている間に、赤松がカメラのすべてを回収していたぞ」
巌窟王「現像はモノクマに任せているそうだ」
巌窟王「……どうせ俺の予測通りのものしか映っていないだろうがな」
最原「……」
最原(殺意の行方……か)
79 = 1 :
最原(その後、色々なゴタゴタはありつつも捜査は滞りなく進んだ)
地下一階
入間「おっしゃー! ドモーンでの空撮、完了だぜ!」
白銀「ドローンね」
入間「ん? んー……本棚が階段状になってるぞ?」
白銀「えっ?」
ゲームルーム
百田「俺たちはモノクマに対抗できるように、戦えそうなヤツで集まって作戦会議をしようと思ったんだが……」
春川「その途中あたりで、自分は役に立てそうにないからってそうそうにAVルームに引きこもった獄原が映像を見始めたんだよ」
春川「大爆音で」
獄原「え、ええっと……なんか、トレイには既にブルーレイが設置されてて、映写機から何から何まで待機状態だったんだ」
獄原「トレイの方を親指で押せば自動で映像が流れるようになってた、ってことなんだけど」
獄原「いきなり大音量でモンハナシャコさんの映像が始まるし、電源スイッチやら取り出しスイッチやらが壊されてて操作できないし焦ったよ」
獄原「しかもリモコンもどこにも見つからなかったし……どこ行っちゃったんだろう」
天海「最終的には勝手に止まったっすよね。なんか」
モノクマ「ああ、ボクが止めたんだよ! うるさかったから! 予備のリモコン持ってたし!」ジャジャーンッ
80 = 1 :
最原(大体が予定調和だった)
倉庫
モノクマ「はい! 現像終了! これがあのカメラに収まってた写真だよ!」
百田「おーっし! これで巌窟王を襲った犯人の姿が見えるぜ! ……見え……?」
春川「……巌窟王が一人で図書室に入る写真」
春川「巌窟王の背後で隠し扉の本棚が動いて、巌窟王が目を丸くしてる写真」
春川「巌窟王が何故か上機嫌で本棚の隠しカメラの方に寄っている写真」
春川「その他は私たちが図書室へと入る写真とか、赤松がカメラを取り外す写真とか……」
入間「肝心の犯行の写真がねーじゃねーかよッ!?」ガビーンッ
巌窟王(やはりか……)
赤松「あれ? 最原くんは?」
入間「ダサイ原なら『ちょっと実験したいことがある』っつって地下室に残ってたぜ?」
巌窟王「俺が呼びに行こう」スタスタ
81 = 1 :
階段脇の教室
最原「……」
最原「聞こえる……足音や自分の呼吸音で、かき消されちゃいそうなほどに小さい音だけど」
ガララッ
巌窟王「最原。ここにいたか。何をしている?」
モノクマ「実験だって!」
巌窟王「モノクマとか? 随分と酔狂なマネをする」
最原「……好きでやっているわけじゃない」
最原「あと第一段階ですぐに実験は終了だしね。モノクマ」
モノクマ「はいはい! これが件のリモコンですよ!」ポイッ
最原「……停止ボタンは、これか……」ポチリッ
最原「……」ポチリッポチリッ
最原「……」ポチポチポチッ
最原「……止まった。やっぱりギリギリ届くんだな」
モノクマ「無駄に高性能にしたからね! でもまさか、ここからも届くなんてボク自身ビックリだよ!」
巌窟王「?」
最原「……そうだ。巌窟王さん。後でアンジーさんに言い聞かせておいた方がいいよ」
最原「未成年でタバコはダメだって」
巌窟王「何ィ?」
モノクマ「あ! そうだ! 言い忘れてた!」
モノクマ「昨日、アンジーさんに『神様がタバコを欲しがってるんだー』って言われたから渋々アンジーさんにタバコを渡したんだけどね?」
モノクマ「何を思ったのか、アンジーさんその場でタバコに火を付けようとしたんだよ!」
巌窟王「!?」ガビーンッ!
モノクマ「流石に学園長として放っておけないから止めようとしたんだけど、逃げに逃げられて、三時間も鬼ごっこするハメになったよ!」プンプン
巌窟王「く、クハハハハハハ……」
巌窟王「……言葉もない。後でアンジーには言い含める」シュン
モノクマ「よろしくね!」プンスカ
82 = 1 :
最原「……」
最原「何かの間違いであってほしいって、思った」
巌窟王「……」
最原「でも調べれば調べるほど、出てくるのは無実の証拠じゃなくって、やったっていう証拠だ」
最原「しかも、この計画から感じられるのは」
巌窟王「圧倒的な殺意。そして覚悟。ここまでの計画性は、初めてでは中々できない」
巌窟王「流石は超高校級と言ったところか?」
最原「……モノクマの言うおしおきは、処刑だ。もしも真相を突きつけたら……!」
最原「そんなこと僕には、とてもできない」
巌窟王「……」
巌窟王「真相を突き止めなければ、ヤツの思いを踏みにじることになるとしてもか?」
最原「……」
巌窟王「……最原。お前はもう少し、前を見るべきだな」
巌窟王「自分の都合のいい方向に考える、という意味でも」
最原「僕は……!」
モノクマ『えー! ではでは! そろそろ始めちゃっていいっすかー?』
巌窟王「む?」
最原「あ、あれ。モノクマ?」
最原「……あっ! いない! いつの間にか消えてる!」
モノクマ『みなさんお待ちかね! 学級裁判の時間ですよーーーッ!』
巌窟王「……待て。しかして希望せよ、だ」
最原「!」
巌窟王「もしもお前が真相に辿り着いたそのときには、我が恩讐の炎を目の当たりにすることになるだろう」
巌窟王「その結果なにが起こるかは……お楽しみだな?」ギンッ
最原「……」
最原「信じるよ。巌窟王さん」
巌窟王「任せろ。と言っても、結局のところはアンジー次第だが?」
83 = 1 :
今日のところはここまで!
84 :
ブラックジャック先生なら『脳さえ生きていればいい!』って言って生き返らせるから偏屈王もカルデア式礼呪あれば毎日殺せる
85 :
今年新規ハロウィンやんないのかな……それは置いといてしばらくしたら書きます
86 :
10月31日にハロウィンイベ開始したらセーフとか考えてそう
いやそれでもいいから新エリちゃんください
87 = 1 :
モノクマ『それではみなさん! 中庭にある赤い扉へとお集まりください!』
モノクマ『裁判場が待ってるよ……うぷぷぷぷ』
巌窟王「さて。ヤツが呼んでいる。お望み通り姿を現して……」
巌窟王「……」
巌窟王「先に行っていろ、最原。俺は地下に用がある」
最原「え」
巌窟王「そんなに時間はかからない。早く行け」
最原「う、うん」スタスタ
巌窟王(誰もいない内に写真術の本を改めて回収するか)スタスタ
88 :
剣豪のあとにやるのでは
89 = 1 :
図書室
巌窟王「さて。改めて写真術の本を」
王馬「あっ」
巌窟王「む? 王馬? そこで何をして……」
モノクマでもわかる写真術「」メラメラメラ
巌窟王「……」
王馬「聞いてくれ巌窟王ちゃん! ちょっとしたお茶目のつもりだったんだ!」
王馬「巌窟王ちゃんがここに帰ってきたときに、この本が燃えてたらどんな顔するかなーって思っただけなんだ!」
王馬「ギチギチに詰まった本棚の中でこの本だけが不自然に中途半端に引き出された状態になってたからもしかしてって思って!」
王馬「その反応を見ると、やっぱり巌窟王ちゃんはこの本が欲しかったんだね! いやあ最後の最後に捜査に協力できて俺、満足!」シャキーンッ
巌窟王「うぐおうあああああああああああああッ!」orz
ショックのあまりしばらく立てなかった
90 = 1 :
十分後
赤い扉の向こう側
巌窟王「……」ズーン
赤松「巌窟王さんの顔が死んでない……?」
王馬「一体何があったんだろうねー」ケラケラ
アンジー「神様ー。神様ー。元気出そうー」ナデナデ
最原(ひたすらアンジーさんに背中を撫でられる巌窟王さん……悪いけどなんか笑えて来るな……)
最原(……)
最原「本当に……この中に犯人が……」
最原(いや、いるんだよな。僕はもうそれを知ってる)
最原(……前を向け、か。巌窟王さん、僕は……!)
モノクマ「それじゃあ! 裁判場に案内するよー! エレベーターに乗ってー!」
最原(覚悟を決めなければならない。そうでなければ僕たちは……ここで終わる……!)
91 = 1 :
夕飯の時間なので休憩!
92 :
チーンッ
真宮寺「凄まじく深いところに裁判場を作ってるんだネ」
夢野「トイレはどこじゃ?」
茶柱「あっちに見えますね。一緒に行きましょうか?」
モノクマ「みんなー! 待ってたよー! じゃあ巌窟王さん以外の全員は自分の名前の書かれた席についてー!」
巌窟王「予測できていたことではあったが、俺の席はないのか」
モノクマ「仕方がないからモノクマーズを組体操させて即席の椅子作ったからそっち座っていいよ」
モノクマ「ずっと練習していたんだ……! ボクの息子たちを褒めておくれよ!」
モノクマー椅子「……」プルプル
巌窟王「……」
巌窟王「いいセンスだッ!」ギンッ!
最原「褒めるのド下手だね」
93 = 1 :
最原(……巌窟王さん……)
最原(事故だったとはいえ、一方的に呼んでしまった僕たちに対して文句を言うでもなく、ずっと付き合ってくれていた大人)
最原(その巌窟王さんを、あんな方法で殺した人が……!)
最原(この中に、いる……!)
94 = 1 :
学級裁判 開廷!
モノクマ「まずは、学級裁判の簡単な説明から始めましょう!」
モノクマ「学級裁判では、誰が犯人かを議論し、その結果はオマエラの投票により決定されます」
モノクマ「正しいクロを指摘できればクロだけがおしおきですが、もし間違った人物をクロとしてしまった場合は……」
モノクマ「クロ以外の全員がおしおきされ、生き残ったクロのみに晴れて卒業の権利が与えられます!」
モノクマ「……ただし、巌窟王さんの処理をどうするかまでは、まだ考えてないんだよね」
モノクマ「投票権も用意してないしなー」
巌窟王「構わん。どうせ俺はアンジーのサーヴァントだ。彼女の意思に寄り添おう」
モノクマ「あ、じゃあアンジーさんの投票のみ『二票分』としてカウントするから、よろしくね!」
百田「ちょっと待て! さらっと決められたが、その処理はかなり重要じゃねーか!?」ガビーンッ!
王馬「万が一、アンジーちゃんが犯人だった場合は、二人分の票で裁判の結果がひっくり返る場合もあるよね?」
巌窟王「仮にそうだったとしても、重要な決定において俺を動かすものは原則としてアンジーの意思のみだ」
巌窟王「少なくとも、この空間においてはな」
赤松「そこまで言うってことは、巌窟王さんはアンジーさんを信じてるってことだよね」
赤松「……容疑者から外していいのかな?」
95 = 1 :
春川「その点に関しては後で話せば? 議論を進めないと何とも言えないでしょ」
東条「そうね。ひとまず被害者である巌窟王さんの、事件前の行動から振り返ってみましょう」
東条「これは巌窟王さん本人に聞けばわかるから、普通の殺人事件よりは遥かに早く終わるはずよ」
巌窟王「その点に関し、俺から最初に言うことがある」
巌窟王「俺はお前たちの議論に本格的に参加するつもりは一切ない」
星「なに?」ピクッ
巌窟王「これはお前たちの議論であり、戦いだ。俺は俺の目的のために動く」
巌窟王「気まぐれに口を挟むことはあるかもしれんが、それだけだ」
天海「何のつもりっすか、巌窟王さん。被害者が生きている殺人事件なんて簡単だ、ってこっちは楽観してたんすけど」
巌窟王「タイムリミットの話を聞いたとき、俺は思っていた。お前たちは共に戦うに足る相手なのか、と」
巌窟王「アンジーに関しては、いい。俺のマスターだ。それ以外の選択肢など元から与えられていない」
巌窟王「ではお前たちは? 俺の力を貸すメリット……最低限でも足手纏いにならないだけの器はあるのか」
獄原「それは……!」
茶柱「確かに、転子たちは巌窟王さんと比べたら遥かに非力です」
茶柱「いえ、それどころかモノクマにすら負けているからこそ、コロシアイから抜け出すことができていないわけですしね……」
巌窟王「だから見極める必要があるのだ」
巌窟王「足掻いて見せろ。真相に辿り着け。その結果をもって、俺はお前たちを測ろう」
百田「へっ。なんてヤツだよ。こんな状況に陥ってまで俺たちを試そうってわけか」
百田「……いいぜ! 余裕ぶっこいたテメェに吠え面かかせてやる!」ニカッ
96 = 1 :
赤松「事件直前の巌窟王さんの行動……」
赤松「首謀者の確保計画を立てていた最原くんは、階段を下りる巌窟王さんと鉢合わせしたんだよね?」
最原「うん。そのときには確か、百田くんたち……作戦会議に集まった七人の生徒がゲームルームに固まっていたんだ」
最原「僕は計画が誰かに漏れる可能性を恐れて、早々に巌窟王さんと別れて赤松さんのいる上の階の教室へ戻った」
最原「その後の巌窟王さんの行動は、隠しカメラを見る限りでは……」
最原「多分、すぐに図書室に向かったんだろうね。なんでかはまだわからないけど」
夢野「んあー……なんかキナ臭いのう。赤松から聞いたが、図書室には隠し扉があったんじゃろ?」
夢野「巌窟王が何故、その図書室に向かったのか。ウチにはどうも引っかかる」
茶柱「ハッ! わかりました! 実は巌窟王さんは首謀者で、赤松さんたちの予測通り、あの扉に入るために図書室に向かったのでは!?」
最原「それは違う、と言える根拠があるよ。モノクマが現像した写真を見てほしいんだけどさ」
最原「……ほら。あの本棚が開いて、隠し扉が露出したのは間違いないんだけど」
最原「そのときの巌窟王さんは本棚に背を向けてるよね」
茶柱「それが?」
春川「隠し扉の本棚を動かすには、当然本棚を直接いじる必要がある」
春川「それにしては巌窟王と本棚の位置関係がおかしい……ってことでしょ」
最原「それに、このときの巌窟王さんの顔を見て欲しいんだけど……どう見ても、動いた本棚に対して驚いてるよね」
白銀「驚いてる演技、とかじゃないの?」
真宮寺「『隠しカメラ』なんだヨ? どこに向かって演技するんだい?」
白銀「あ、そっか。カメラがしかけられているって発想に至る方がそもそも無理なんだ」
97 = 1 :
キーボ「いえ。ちょっと待ってください。だとしたら猶更おかしいでしょう」
キーボ「巌窟王さんが一切本棚に触っていないのなら、何故本棚が勝手に動いたんですか?」
最原「……」
最原「首謀者が内側から開けた……そうは考えられないかな?」
赤松「えっ? そ、それって……!」
最原「僕たちが隠しカメラをセットしても無駄だった、ってことになるかな」
最原「だってもう、アレが機能しはじめたときには首謀者は中にいたんだからね」
赤松「……」
巌窟王「ふむ。ここから先は当事者ではないお前たちに解け、という方が無理な話だから補足だ」
巌窟王「本棚は確かに勝手に開いたが、その向こうにある扉は開かなかったぞ」
巌窟王「少なくとも、俺が目にした範囲では、な。開けられたのは本棚の部分のみだ」
最原「あ、じゃあつまり今の推理って……」
百田「正解ってことで間違いなさそうだな」
巌窟王「クハハ」
98 = 1 :
天海「何故本棚が開いたのか。その点に関して俺に心当たりがあるっすけど、ひとまずそれは置いといて」
天海「事件直前の巌窟王さんの行動を最後まで推測してみましょうか」
天海「隠しカメラの写真を見る限り、巌窟王さんは何故か隠しカメラの方に嬉々として寄って行ってます」
天海「これは巌窟王さんが頭をカチ割られて倒れていた位置とほぼ一致する……で、いいんすよね? 第一発見者の二人とも」
最原「うん。それで間違いないよ」
天海「そこから先の写真は、少なくとも隠し扉に向いているカメラには、ない」
天海「何が起こったのかは不明っすけど、この後で巌窟王さんは頭を砲丸で叩かれて、この学級裁判が始まった」
真宮寺「犯人が初回特典を蹴ったことによって、ネ」
真宮寺「……不可解だネ。今回の事件は謎が多すぎる。初回特典狙いの殺人なら、ただ後ろから不意打ちで襲い掛かるだけで済むのに」
真宮寺「これは明らかに『バレないため』の工作が多く施された殺人事件だヨ。最初から初回特典なんてないものとして考えてたような」
王馬「よっぽど俺たちを殺したかったのかなー? 酷いヤツもいたもんだよ、まったく!」
99 = 1 :
赤松「……」
赤松「ねえ。天海くん。さっき心当たりがあるって言ってたけどさ」
赤松「それってもしかして、犯人が首謀者である可能性のこと?」
最原「!」
天海「……鋭いっすね。その通りっすよ」
最原「……」
最原(犯人が首謀者、か)
最原(……だったら、ある意味救われてたんだけど)ハァ
100 = 1 :
休憩します!
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