元スレ巌窟王「旅行先間違えた」 アンジー「神様ですか?」
SS+覧 / PC版 /みんなの評価 :
1 :
ニューダンガンロンパV3とFGOのSSです!
ので! 両作品のネタバレ注意!
今度こそ! 短くなる! はずだ!
ぐだ男「おうち帰る」 マシュ「は?」
の番外です
SSWiki :http://ss.vip2ch.com/jmp/1506772669
2 = 1 :
BB「……あー……あーあーあー……!」カタカタ
BB「やばいですー。処理が追い付かないですー。あーあー」カタカタ
巌窟王「……ふむ。お前がそこまで追い詰められているとは。薄ら笑いはどうした、ムーンキャンサー」
BB「あ。巌窟王さん……」
BB「いやー。実は今度、マスターが一週間くらいガッツリ休日取って家に帰ることになったんですよ」
巌窟王「なに?」
BB「で、それについていきたいから申請と許可の偽造を頼む、と言っているサーヴァントがたくさんいて……」
BB「ひとまず清姫さん、静謐さん、頼光さんの三人は無理やり適当な時代にレイシフトさせて封印しましたが……」
BB「それ以外にも色々と処理があって、頭が痛くなりそうなんですよー」ウィンウィン
巌窟王「既に痛そうだが」
BB「あー……ひとまずジャックさんとかは一緒に行かせても大丈夫かなー……」ブツブツ
巌窟王(既に大分キテるな。よりによってあの童女を同行させようとするとは……)
巌窟王「……」
巌窟王「その旅行、俺も同行させろ」
3 = 1 :
才囚学園 デスロード入口
赤松「なんでっ……どうして!」
最原「わざと出口をチラつかせておいて、希望を与えておいてからそれを奪う……」
最原「わかりやすく僕たちを追い詰めてるね」
王馬「あーあ。ガッカリだよ。赤松ちゃんの言葉を信用して損したなー」
赤松「そんな……もうちょっと頑張ってみようよ! みんなの力を合わせればきっと……!」
天海「……それは……どうっすかね。もうみんなも体力の限界っす」
白銀「滋味に無駄、じゃないかな……」
百田「て、テメェら……それでも男かッ!」
茶柱「女子もいますがッ!? 自分の基準で物事判断しないでください! これだから男死は!」
ギャースカギャースカ
赤松「み、みんな! 落ち着いて! 喧嘩しちゃダメだよ!」
王馬「まあ大体赤松ちゃんのせいだけどさ」
赤松「……わ、私の……」
最原「……どうしたらいいんだろう。もうこれ以上は、どうしようも」
アンジー「ねえねえー! アンジーにいい考えがあるよー!」
最原「えっ」
アンジー「さっき図書館からこんなもの持ってきたんだー!」キラキラキラ
真宮寺「……えーと、何々?」
夢野「英霊……召喚……?」
4 :
仕事早ー先のは楽しく読ませて頂きました今回も楽しみにしてます
5 = 1 :
カルデア
巌窟王「クハハハハハハ!」
巌窟王「着替え! 準備完了!」シャキーンッ
巌窟王「お土産! とらやの羊羹!」バァーンッ!
巌窟王「パスポート! BBが偽造済み!」ジャジャーンッ!
巌窟王「その他色々と準備は万端だ! いつでも行けるぞ!」ギンッ!
BB「ふう。これで仕事の一つが片付きましたね」
BB「そうだ。ちょっとコフィンに入って貰えますか?」
巌窟王「コフィンに? 行くのは現代の日本だろう?」
BB「あー。いや。ちょこーっとコフィンを改造して、一つだけ単純な瞬間移動装置に変えておいたものがあるんですよ」
BB「これの動作が上手く行けば、もっと簡単に、申請と許可を偽造するまでもなくサーヴァントたちをセンパイに同行させられるので」
BB「一回、試してもらえませんか?」
巌窟王「いいだろう。ここまで世話を焼いてもらった借りもある。それを今この場で清算してやろう!」
BB「じゃ、まず荷物から……これ全部入るかなー」
巌窟王「俺の収納術を! 舐めるな!」ギュムギュム
巌窟王「よし入れた!」ガシャンッ
BB「じゃあ、行っちゃいますよー! それ」ポチリッ
バチバチバチッ!
BB「……ん? 成功したんですかね?」
6 = 1 :
真宮寺「……一応、興味はあるから魔法陣は僕が書いてみたヨ」
アンジー「おー! 凄い凄い! 是清やるねー!」
最原「うーん……無駄だとは思うんだけど……」
入間「召喚術、ねぇ……カルトブスに相応しいオカルティックな試みだな」
入間「どうせ何も起こらねぇだろうから、せいぜい大笑いしてやるぜ。ヒャーーッハッハッハ!」
王馬「入間ちゃん。お口臭い」
入間「」
獄原「なんか、段々わくわくしてきたよ! これが上手く行けば脱出できるんでしょ!?」ワクワク
東条「……魔法陣の掃除をするときは私に任せてちょうだい」
アンジー「じゃあ、行くよー!」
アンジー「――素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公……!」
最原(そう。このときの僕たちは、誰一人として思っていなかった)
最原(まさか、この召喚術がとんでもないものを喚んでしまうなんて……)
最原(まるで思っていなかったんだ)
赤松「……あれ。ねえ。なんか……魔法陣が光ってきてない?」
最原「えっ?」
7 = 1 :
ブワッ
アンジー「降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ!」
春川「……何これ。明らかに不自然な風が……?」
星「渦巻いて、纏まって……こいつァ、何かやべぇかもしんねぇぞ?」
キーボ「一度中止させた方がいいのでは!?」
真宮寺「いや。実に興味深い! このまま続けさせてみようヨ!」ワクワク
最原(アンジーさんは周囲の異変をまるで気に留めず、どんどん詠唱を完了させていく)
アンジー「……汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に」
アンジー「聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ!」
バチバチバチッ!
アンジー「汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ――!」
バチバチッ!
バシュウウウウウウウッ!
8 = 1 :
茶柱「ぎやーーー! 眩しいーーー! 目がー! 目がーーー!」ジタバタ
夢野「こ、これは……魔法か!? 魔法なのか!? ウチのアイデンティティがクライシスか!?」ガタガタ
最原「げほっ……砂埃が酷い……アンジーさんは!?」
アンジー「――」
最原「あ、よかった、無事……」
春川「いや、あれ無事? ある一点を見て固まってるみたいだけど」
最原「え? ある一点って、何を……」
???「クハハハハハハハハ!」
ブワァッ!
最原(再度大きな風が吹き、周囲を覆っていた砂埃が急激に晴れていく)
最原(その中心に立っていたのは、アンジーさんと、もう一人)
最原(明らかに僕たちとは年齢が違う、大人。しかし一目見ただけで何か異質だと感じる……)
最原(人間ではないナニカだった)
巌窟王「ついたぞ! ここが! 東京かッ!」
最原「……」
巌窟王「……」
巌窟王「……?」キョロキョロ
9 = 1 :
巌窟王「……東京ではないな! クハハハハハハ……」
巌窟王「間違えた!」ガビーンッ!
最原「何を!?」ガビビーンッ!
最原(これが出会いだった)
最原(そして、僕たちのロクでもない運命が、決定的に変わった瞬間だった)
最原(いや。その中でもひと際、変わった女子が一人)
アンジー「……」
アンジー「神様、ですか?」
巌窟王「……」
巌窟王「?」キョトン
最原(何を訊かれたのかわかってない顔してる……)
10 = 1 :
巌窟王「む。その本は……なるほど。タイミング良く瞬間移動装置と、魔術師の英霊召喚が混線したか」
巌窟王「クハハハハ! 不幸だな、女! 俺は! 貴様のサーヴァントではない!」
アンジー「神様だー!」
ダキッ
巌窟王「……」
巌窟王「?」キョトン
最原(アンジーさんに抱き着かれて、猶更状況がわからなくなったって顔だ……!)
巌窟王「待て。違う。放せ。俺は神などではない」
巌窟王「俺は……ふむ。なんと名乗ればわかりやすいか……」
巌窟王「……モンテ・クリスト伯が一番わかりやすいか?」
最原「モンテ・クリスト……?」
真宮寺「アレク・サンドル・デュマ・ペールの書いた小説だネ。日本では巌窟王の名でも有名だヨ」
真宮寺「しかしまさか……実在していたとは思わなかったけどネ」
白銀「待って。そのモンテ・クリストが目の前にいるってことは……!」
赤松「召喚は……成功!?」ガーンッ!
入間「んなわけあるか! なんかのトリックに決まってんだろ!」
入間「おいそこのチンコハット!」
巌窟王「よもや俺のことか?」
入間「テメェがマジで英霊だとかなんだとか、そんな存在だって言うんなら証拠でもなんでも見せてみろっつーんだよ!」
巌窟王「……」
入間「なんだ? できねぇーのか? そりゃそうだ。魔術なんてものがこの世に存在するわけが」
ボォゥッ!
チュウンッ! バキィンッ!
最原「入間さんのゴーグルの右目部分が謎の光弾によって割れたーーーッ!」ガビーンッ!
巌窟王「これで証明になったか?」
入間「」
11 = 1 :
巌窟王「まあいい。こんなものは気まぐれに過ぎない。遊んで悪かったな、ショッキングピンクの女」
巌窟王「さて。それでは俺は帰らせてもらう。これから旅行だからな」
巌窟王「……」
巌窟王「いい加減放せ」
アンジー「はい」スッ
巌窟王「クハハハハハハハ……それでは俺は……」
巌窟王「……」
巌窟王「……どこに向かって帰ればいい?」ハテ
最原「知らないよ!?」ガビーンッ!
12 = 1 :
今日のところはここまで!
13 = 4 :
おつおつおっつしー
14 :
巌窟王「こういうときは……」ゴソゴソ
巌窟王「これだ!」
天海「携帯? でもここだと圏外のはずじゃあ……」
入間「俺様のゴーグル……俺様の万能ゴーグル……」ガタガタ
ピピーッ
BB『あ、どうでした? 東京につきましたか?』
巌窟王「トラブルが発生して変なところに出たぞ」
東条「……通信できてるようね?」
天海「えっ」
BB『あー……うーん……どうやら特異点に似て非なるどこかに飛んで行ってしまったようですねー』
BB『帰還のプログラムを組むのも難しそうです。しばらくそのまま適当にブラブラしておいてください』
巌窟王「しかし魔力供給がなければ近い内に消滅するぞ」
BB『供給? あ、確かにカルデアからの供給は途絶えてます……が……?』
BB『あれ。おかしいですね。巌窟王さんへ魔力が流れて行ってますよ?』
巌窟王「何? そんなバカな。マスターがこの場にいない上、カルデアからの供給もないのでは……」
アンジー「……?」ゴシゴシ
赤松「アンジーさん? 何してるの? 右手の甲こすって」
アンジー「いや、なんか……熱くって……」ゴシゴシ
巌窟王「……」
巌窟王「……!?」ガビーンッ!
15 = 1 :
シャキィィィンッ!
アンジー「あ、なんか出たー」
最原「何かの……紋章?」
巌窟王「……」
巌窟王「再びトラブル発生だ。どうもカルデアのマスターとは別の人間と契約を果たしてしまったようだ」
BB『まー。そういうこともありますって』
巌窟王「クハハ! あって! たまるかッ!」ギンッ!
巌窟王「……だが、まあいい! こうなってしまった以上、仕方がない!」
巌窟王「女! 名を告げるがいい! お前を我が仮初のマスターとして認めよう!」
巌窟王「契約に従い、我が炎をお前に預けよう。お前の敵の悉くを葬り去ってくれる!」
巌窟王「できるだけ短時間でな! こちらにも予定がある!」ギンッ!
アンジー「わーい! 神様に認められたよー!」キャピキャピ
アンジー「……こちらは、夜長アンジー! 超高校級の美術部なのだー!」
巌窟王「神ではない!」
最原(もう何がなにやら……)
16 = 1 :
かくかくしかじかとらやのようかん
巌窟王「なるほど……集められた超高校級の生徒……脱出不可能の檻……脱出のためのコロシアイ……」
巌窟王「事情はすべてわかった。わかった、が……」
巌窟王「聖杯戦争ではなかったのか。それなら誰も彼もを殺せばすぐに終わったものを」
最原(凄い物騒なこと言ってる)
巌窟王「しかしそれならば話は更に簡単になったな。アンジー。不幸だと言ったことを素直に訂正させてもらおう」
巌窟王「巌窟王は脱獄の英霊だ。この程度の牢獄を破壊することなど造作もない」
百田「マジか!」
巌窟王「さあ! 魔力を回せアンジー! 我が宝具でお前を縛ることごとくを破壊してみせよう!」
アンジー「うん!」
アンジー「……」
アンジー「魔力を回すってどうやるのー? ジャグリング?」
巌窟王「……」
巌窟王「計画は頓挫したな!」ギンッ
赤松「早ァッ!?」ガビーンッ!
17 = 1 :
巌窟王「待て。まだ最終手段が残っていたな」
巌窟王「確かここに」ゴソゴソ
真宮寺「……確かに彼が魔術の神秘の塊って点に関しては、もう疑いようがないんだろうけどさ」
真宮寺「なんか段々グダグダになってきたネ」
最原(思ったより使えないぞ、この人……)
巌窟王「あった。これだ!」
東条「羊羹と……水筒?」
巌窟王「本来なら旅行の手土産にするつもりだったのだが、致し方あるまい」
巌窟王「アンジー。これをやろう。そして健やかに育つのだ」
巌窟王「あとは訓練をこなせば、いつかは我が宝具で牢獄を打ち破ることもできるだろう」
アンジー「何日後くらいにー?」
巌窟王「クハハ! 気が早いな! 一流の魔術師になりたいのであれば、どんなに努力しようと数年はかかるであろうさ!」
白銀「地味に気が長いよ」
巌窟王「俺も不本意だ!」ギンッ
王馬「結局閉じ込められた人が一人増えただけだったね」
18 = 1 :
赤松「い、いやでも! 戦力が一人増えたんだよ! これならあのデスロードを攻略できるかも、だし……!」
茶柱「巌窟王さんが男死って時点で既に望み薄なんですが」
巌窟王「……ふむ。あの出口、と書かれた看板の向こう側に行けばいいのか?」
巌窟王「ちょっと待っていろ。ひとまずアンジーと俺だけで充分だ」
夢野「んあ? いやそれはそれで危険すぎじゃろ……」
巌窟王「まあ見ておくがいい。アンジー、ついて来い」スタスタ
アンジー「はーい!」スタスタ
最原「あ……行っちゃった……」
ドカァァァンッ!
ドゴォォォォンッ!
王馬「……なんか順調に進んでるみたいだね」
真宮寺「これなら意外と行けるかも、ネ?」
19 = 1 :
数時間後
巌窟王「クハハハハハハ! デスロードは攻略したぞ! 攻略! できたが!」
アンジー「電子的なロックがされてる大きな扉が最深部にあって、攻略したとしても先に進めないよー」
赤松「そ、それって……」
巌窟王「無駄骨だったな」
春川「……ま、その情報は収穫だよ。だってもう赤松に強要されることもなくなるわけだしさ」
赤松「……」
王馬「はいはーい! 解散解散! お疲れさまでしたー! 続きはまた来週ー!」
天海「続けたところで希望がなくなっちゃったんすけどね」
赤松(無駄……? そんな)
赤松(私は……)
最原「赤松さん……」
巌窟王「……」
20 = 1 :
休憩します!
21 :
パトラさんも来る?
22 :
乙乙
溶岩水泳部の3人が行ったレイシフト先大丈夫かな…
23 = 1 :
モノクマ「やっほーーーう! オマエラ、元気ー?」
モノクマ「みんな揃って疲れているだろうから、栄養ドリンクの訪問販売に来たよー!」
モノクマ「飲むと二分の一の確率で永遠に嗅覚が失われる可能性があるから注意が必要だけど!」
百田「どんなドリンクだよ」
モノクマ「……あれ? あれあれ……なんか思ったより元気だね。一体どうし……?」
巌窟王「……?」
モノクマ&巌窟王(なんだコイツ……)
星「おい。よくわからないものが、よくわからないものに出会ったぞ」
白銀「モノクマ。この人は巌窟王さん。アンジーさんの召喚術で出てきたの」
モノクマ「へー……召喚術……へー……」
モノクマ「??????」
最原「まったく理解できてない……いや確かに理解しろという方が不可能だけど」
24 = 1 :
巌窟王「おいアンジー。これはなんだ?」
アンジー「モノクマ。アンジーたちにコロシアイを強要している謎のクマだよー」
巌窟王「なるほど。コイツが……コイツが……?」
巌窟王「??????」
赤松「こっちもこっちで混乱してるね」
真宮寺「確かに一瞬思考が止まるようなトンチキさだけどネ……」
茶柱「よくよく考えてみると、こんなのにコロシアイを強要されている転子たちが心底情けなく思えてきます」
モノクマ「ま、いいや。別にいても」
モノクマ「ただ、この学園の中にいる以上は、暫定的に校則を適用するよ」
モノクマ「殺すのも殺されるのも生徒と同じ処理だからね」
巌窟王「アンジーが望まない限りは元より何をする気もない」
モノクマ「あれ? それってアンジーさんが望めば人を殺すってこと?」
赤松「えっ!?」
巌窟王「……それを望むような人間と誰が契約するか」
アンジー「そうだよー! アンジーは神様が望まない限りは人を殺したいと思わないってー!」
赤松「……」
25 = 1 :
モノクマ「……うぷぷ。本当にそうかな? オマエラもこんなのを簡単に信じちゃっていいの?」
東条「それは……」
百田「確かに急に現れた、俺たちの知らない別の法則を持つ誰かを簡単に信じろって方が無理だろうな」
アンジー「……解斗?」
百田「だから俺たちは、コイツを知る必要があるんだ。そうだな? 最原!」
最原「……えっ。僕?」
百田「コイツの尋問はお前に任せたぜ! 超高校級の探偵なんだから調査くらいお手の物だろ!」ニカッ
最原「えっ」
真宮寺「じゃ、後のことは任せたよ。僕はもう寄宿舎に行って寝るからネ」スタスタ
最原「えっえっ……」
最原「……」
最原「え、えっと。尋問とか専門外だから、僕もこれで……」
ガシッ
巌窟王「いいだろう! 全力でオマエタチの信用を勝ち取ってやろうではないか!」ギンッ!
巌窟王「さあ! 尋問を開始しろ! 最原ァ!」
最原(名前覚えられちゃったよ!)ガビーンッ!
26 = 1 :
食堂
最原「……モンテ・クリスト伯爵」
最原「十九世紀半ば、無実の罪で収監された元船乗り」
最原「地獄のような酷い環境だったシャトー・ディフに十四年もの歳月囚われた後、紆余曲折あって脱獄」
最原「同じく無実の罪で投獄されていたファリア神父から託された財宝を手にし、復讐を開始」
最原「本名、エドモン・ダンテス。復讐の最後の最後において愛と人間性を取り戻した男……」
最原「ここまでで何か間違っていることは?」
巌窟王「俺はエドモンではない!」
最原「え。モンテ・クリスト伯爵なのに?」
巌窟王「モンテ・クリストだからこそだ! 最後の最後に愛を得た男ではなく、この身は永遠の復讐者」
巌窟王「なればこそ、俺は間違ってもエドモン・ダンテスなどではない!」
最原(妙なこだわりだな……)
巌窟王「……コーヒーが冷めるぞ。話が長くなるようなら先に飲んでおけ」
最原「あ、う、うん」
最原(おいしい……)
27 = 1 :
最原「あなたの人となりはある程度、モンテ・クリストの小説の方を読めばわかるとして……」
最原「じゃあ次はサーヴァントの法則について聞いておこうかな」
巌窟王「マスターがいなくなれば魔力の供給がなくなり現界が保てなくなり消滅」
巌窟王「召喚術の中では最上級に位置するので、ソースがある限り威力が段違いの魔術が使い放題」
巌窟王「令呪を持っているマスターの補助があれば更なる出力が可能」
巌窟王「その他、切り離せない要素として聖杯などがあるが……」
巌窟王「考えるだけ無駄だな。今回の召喚には事故と例外が多すぎる」
巌窟王「この場における我がマスターの名は……もう言わずともわかるだろう?」
最原「超高校級の美術部である夜長アンジーさん、だよね?」
最原「サーヴァントとしての巌窟王さんのスタンスを教えてくれないかな?」
巌窟王「……理不尽な現実に立ち向かおうとするアイツは興味深いな」
巌窟王「ただ、その点においては貴様らも同様か」ニヤァ
最原(……楽しまれても……なあ……)
28 = 1 :
最原「そういえばさっきどこかに電話してたけど」
巌窟王「アレか。外に連絡できるかも、などとくだらないことを考えるなよ」
巌窟王「お前たちにとっては死後の世界と同じくらい分厚い隔たりのある世界に通じているだけだからな」
最原「相変わらず助けは期待できない、か」
最原「……巌窟王さんは僕たちに協力してくれるんだよね?」
巌窟王「まさか。再度言っておくが、俺は夜長アンジーのサーヴァントだ」
巌窟王「アイツの意思がオマエタチへの協力を示すのであれば、もちろん協力するが……」
巌窟王「当然、それは正確にはオマエタチへの協力ではない。アンジーへの協力だ」
最原「……」
巌窟王「……これ以上話せることはこちらには特にないと思うが」
最原「こっちもなんちゃって尋問だから聞けることほぼないよ……」
巌窟王「クハハ! そうか!」
巌窟王「ならば最後に教えておいてやろう。俺の目的はこの場からの脱出だ」
巌窟王「それの邪魔をするものは主に二つ。アンジーとの契約。そして物理的に俺を閉じ込める果ての壁」
巌窟王「俺たちとお前たちの利害関係はほぼ一致していると言っていいだろう!」
最原(もうアンジーさんのことを自分の仲間だと思ってるよ。『俺たち』って……)
巌窟王「これからよろしく頼むぞ? 最原!」
29 = 1 :
休憩します!
30 = 1 :
巌窟王「最原。こちらからも問いを投げかけよう」
最原「……え?」
巌窟王「何故こちらを見ない?」
最原「ッ!」
巌窟王「……いや。答える必要はない。気になっただけだ」
最原「……」
最原(……鋭いな、この人は)
巌窟王(魔力量に大した不満はないのだが、宝具を撃つには不安が残る……)
巌窟王(さて。脱出は一体いつになるだろうな)
ガチャリンコ
アンジー「終一ー! もう尋問終わったー?」
最原「あ、アンジーさん。うん、もういいよ」
アンジー「じゃあ神様! 行こう! 行こう!」グイグイ
巌窟王「あまり引っ張るな。マントが伸びる」
最原(なんかもう仲良しだな?)
31 = 1 :
寄宿舎
春川(はあ……変なことに巻き込まれちゃったな)
春川(もしも私の本当の才能がバレたりしたら、真っ先に狙われたりするのかな……)
春川(……やめよう。考えれば考えるだけ不安になる)
春川(一旦外に出て考えよう)ガチャリンコ
アンジー「神様ー! こっちこっち! こっちがアンジーの部屋ー!」グイグイ
巌窟王「ふむ。悪くはないな?」
春川「……」
春川「……!?」ガビーンッ!
巌窟王とアンジーが同じ部屋に入る様を目撃した春川はしばらく様子を見ていたが、どちらも朝になるまで出てこなかった。
二人が一体何をしていたのか。それを考えて余計に不安に陥ったが、相談する相手がいなかったのでストレスは溜まる一方だった。
32 = 1 :
巌窟王「……さて。我が仮初のマスター、夜長アンジーよ。俺とお前の契約はひとまず『脱出が完了するまで』のものだ」
巌窟王「こちらにも既にマスターがいるのでな。二人分の面倒を見るのは骨が折れる」
巌窟王「そこだけは勘違いをするな。俺とお前の関係は絶対に長続きしない」
アンジー「いいよいいよー! 仮に傍から離れても、アンジーは勝手に祈ってるだけだからねー!」
巌窟王「……その祈り、というヤツだが。アンジー。そもそも神をどのように定義している?」
アンジー「指針。羅針盤。北極星、のような誰か」
巌窟王「……なるほどな」
巌窟王(それなら、このごっこ遊びにつきあってやるのも一興か?)
巌窟王「……いいだろう。お前の願い、この俺が受け取った。こうなった以上、最後まで導いてやる」
巌窟王「もちろん、その願いの先に何があるのかまでは保証しかねるがなァ!」
アンジー「……願い?」ピクッ
巌窟王「む? なんだ?」
アンジー「アンジーは願わないよ? むしろ神様がアンジーに願うんでしょ?」
巌窟王「……なにィ?」
アンジー「ずっとアンジーはそうしてきたよ。神様の言う通り、何もかも」
アンジー「月曜日と水曜日のイケニエは欠かしたことはないし、神様の言う通り何日も何日も踊りあかしたりもしたよ?」
アンジー「だから神様に祈ったりはするけど、願ったりはしない。神様が人間に願うから。逆だったらおかしいでしょ?」
巌窟王「――」
33 = 1 :
巌窟王「それは……」
巌窟王(……正気で言っているのか、などと。こんなことを言う義理などない、な)
巌窟王「……まあいい。今日はもう遅い。ゆっくりと休むがいい」
巌窟王「歯磨きは決して忘れるなよ! 虫歯になると怖くて赤い婦長がやってくるからなァ!」ギンッ!
アンジー「はーい!」セッセッ
巌窟王「絵本の読み聞かせは必要か? マッチ売りの少女(著:アンデルセン)や醜いアヒルの子(著:アンデルセン)があるぞ?」
アンジー「おやすみなさーい!」スヤァ
巌窟王「……」
巌窟王「……」←手のかからないマスターでちょっと寂しい
34 = 1 :
翌日
最原「ふあーあ……昨日は色んなことが起こりすぎて疲れたな……」
百田「おう! 最原! 昨日の尋問はどうだった?」
最原「あ、百田くん。うん、あの調子なら……ひとまず信用してもいいと思う」
最原「少なくとも今すぐにどうこう、っていう意思は一切感じられなかったかな」
百田「そうか。ならひとまずはそれを信じた方がいいかもしんねぇな」
百田「おう! 信じるぜ! お前の尋問をな!」
最原(いや、そんな信用されても……)
百田「じゃ、さっさと食堂に行こうぜ。東条が何か用意してるはずだ」
最原「うん」
食堂
ドカァァァァァンッ!
夢野「ぐぎゃああああああああ!」ジュッ
百田「食堂の中で何か爆発が起こったと思ったら夢野が吹っ飛んできたーーーッ!?」ガビーンッ!
最原「夢野さーーーんっ!?」ガビーンッ!
巌窟王「見たか。これこそが我が身を焦がす毒炎!」
巌窟王「俺が俺である所以! 我が宝具、巌窟王(モンテ・クリスト・ミトロジー)である!」ギンッ!
百田「最原! アイツ何もしないって言ってたよな!? 最原ァ!」
最原「えっ? えっ? えっ……あれぇーーー!?」ガビーンッ!
36 = 1 :
巌窟王「……さて。食事の時間が遅れたな。東条、手間をかけさせた。もう持ってきてもいいぞ」パチンッ
東条「食堂ではもう二度と暴れないと約束してくれない限りは料理は出さないわ」
巌窟王「!?」ガビーンッ!
王馬「ぷぷーっ! 巌窟王ちゃんってば東条ちゃんの尻に敷かれてやんのー!」
真宮寺「まあ……食堂全体が焦げ臭くなってて、料理の味が半減してるからネ。この程度の叱責はあって当然だヨ」
巌窟王「……約束しよう」
茶柱「一体何を食べたらあんな……手から炎とか……凄く恰好いい……」ブツブツ
茶柱「……ネオ合気道に取り込みたいですね……」ブツブツ
最原「なんか凄い馴染んでる! 昨日の今日なのに!」ガビーンッ!
37 = 1 :
休憩します!
38 :
おつ
こっちもおもしろいな
39 :
続きが気になる
40 :
キーボ「……人間じゃないのに食事をとるのですか」
巌窟王「あった方がモチベーションが高まる。元人間の性だ。許せ」
巌窟王「なによりも、魔力供給元のアンジーが心もとないからな。外部からの供給があるのなら、それに越したことはない」
最原「あ、あれ。そういえばアンジーさんは?」
アンジー「ここにいるけどー?」ヒョコッ
百田「巌窟王のマントの後ろ部分から出てきやがった!」ガビーンッ!
最原「二人羽織!?」
アンジー「距離が近い方が魔力の供給っていいのかなーって思って、実験中ー!」
巌窟王「ほぼ意味がないことがついさっきわかったがな!」
最原(じゃあなんで今もやってるの? とか訊かない方がいいのかな……)
41 = 1 :
巌窟王「さて。こちらもできる限り短期間で脱出したかったのだが、どうも長丁場になりそうだ」
巌窟王「改めてよろしく頼むぞ。才囚学園生徒一同!」ギンッ
百田「……確かに信用してもよさそうだな。あの素敵笑顔を見るに」
最原「毎度毎度いい笑顔だね……」
巌窟王「食事をとった後はアンジーの訓練に入る。せいぜい上手く行くように祈っておくがいい」
アンジー「祈ってー!」キラキラキラ!
東条「ラタトゥイユよ」コトリ
巌窟王「クハハハハハハ……ハハハ……」シュン
最原「あれ。フランス料理なのに露骨にテンション下がった……」
巌窟王「……閉鎖空間……閉鎖空間でラタトゥイユ……か」モソモソ
最原「?」
42 = 1 :
休憩します!
43 = 1 :
BB『え? どうやったらサーヴァントが強くなるか、ですか?』
BB『そうですねー。場所によっては魂の改竄とかもできたのでしょうが……』
BB『ふむ。ひとまずド単純に言って、サーヴァントとマスターの絆を深めることが、そのままズバリ出力の上昇に寄与します』
BB『種火? QP? マネーイズパワーシステム? 時空によってサーヴァントの強化方法が違うのでなんとも言えません』
BB『現時点で巌窟王さんがいまいち全力を出せない理由として考えられるのは……』
BB『……』
BBの回想
クソしっちゃかめっちゃか宗教野郎「神! 最高ーーー!」ズガァァァンッ!
可哀想な星の触覚「ガトオオオオオオオオ!(怒)」
BBの回想終了
BB『……アレですね。マスターがサーヴァントの力を正しく認識できていない場合は酷いステータスダウンを引き起こします』
BB『そういう意味でも、絆を深めることは決してバカにできない修行方法になるかと』
44 = 1 :
中庭
巌窟王「……理解したぞ。つまり……こういうことだな!?」シャキイイイン
アンジー「たかーい!」ワーイ
赤松「……何してるの? アンジーさんを肩車して」
巌窟王「魔術の修行だ!」ギンッ
アンジー「修行なんだってー!」ニコニコ
赤松「えっ? これが?」
巌窟王「我が征くは恩讐の彼方!」ダッ
アンジー「はやーい!」ワーイ
赤松「えっえっ……質問する前に行っちゃった……」
45 = 1 :
最原「あ。赤松さん」
赤松「最原くん、何か用?」
最原「いや……ちょっと相談したいことがあって」
赤松「?」
最原「一緒に図書室まで来てくれるかな?」
赤松「う、うん……」スタスタ
巌窟王「クハハハハハハ! どうだ! 俺の力を理解できたか!」
アンジー「わかんない!」キラキラキラ
巌窟王「そうか! クハハハハハハ!」
巌窟王「失敗だ!」ギンッ!
最原「あれを邪魔しないようにこっそり行こう」
赤松「うん」
46 = 1 :
翌日
巌窟王「俺には魔力の自己回復スキルがある。微量なのでこっちに頼るにしてもやはり心もとないが……」
アンジー「……?」ニコニコ
巌窟王「何一つとして理解できてないな」
アンジー「うん!」
巌窟王「失敗だ! 次!」ギンッ!
翌々日
巌窟王「微量の魔力をやりくりして、なんとか分身体を一体作ることができたぞ!」
巌窟王2「これを大量に作り出すことこそが、我が宝具の到達地点の一つだ!」
アンジー「なるほどー。ところで神様?」
巌窟王「なんだ?」
アンジー「なんか凄く疲れて来たんだけどー……」ゼェハァ
巌窟王「無理をさせたな! 失敗だ! 次!」ギンッ
翌々々日
巌窟王「アンジーよ。適当な五桁の数字を言え」
アンジー「37564ー!」
巌窟王「クハハ! 覚えたぞ! この俺には忘却補正というスキルがある!」
巌窟王「恨みを忘れないためのスキルだが……ひとまずこういう応用も可能だ」
巌窟王「数時間後にこの数字を言って見せよう。しょうもない活用方法だが、証明にはなる」
アンジー「あ、ごめん神様。こっちが先に忘れちゃった……」シュン
巌窟王「気にするな! 人間は多くを忘れる生き物だからな! 次だ!」ギンッ!
星「魔術だなんだとかは俺にはさっぱりわからんが」
天海「少なくとも巌窟王さんのやり口が引くほど甘いことだけは伝わってくるっす」
星「凄まじくポジティブだな、あの男……」
47 :
根は心優しい青年だもんな
48 = 1 :
天海「きっとあの二人には膝をつくって概念がそもそも存在しないんでしょうね」
星「ああ。ネタ抜きで尊敬するぜ。そこのところだけはな」
巌窟王「クハハハハハハ! 安心しろ! まだ時間は……」
prrr
巌窟王「む? メッセージか?」
BBからのメール『センパイがサーヴァント五騎を連れて旅行へと出発しちゃいました。お疲れ様です』
巌窟王「!?」ガクーンッ!
天海「膝をついたーーー!?」ガビーンッ!
星「あの巌窟王の膝をつかせるとは……どんな絶望的なメールだったんだ……?」
巌窟王「……いや……まだだ! これならば、猶更時間ができたと言えるだろう!」
星「ねーよ。そんなもん」
巌窟王「なに?」
天海「最近はアンジーさんにかかりっきりだった上に、モノクマが生徒だけしか集まってないときを見計らって言ったので無理ないっすけど」
天海「タイムリミットができたんすよ」
天海「……明日の夜十時までにコロシアイが起こらない場合は、俺たちは全員死亡するんす」
巌窟王「……アンジー? 本当か?」
アンジー「言い忘れちゃった。ごめんねー」
巌窟王「そうか」
天海「やっぱりなんか甘くないっすか?」
49 = 1 :
巌窟王「……あの計画を始動させる必要があるかもしれないな」
天海「なにか考えでも?」
星「ふっ。聞かせてもらおうじゃねーか」
巌窟王「卒業アルバムを作る」
星「……」
星「ふっ。聞かせてもらおうじゃねーか」
天海「星くん。なかったことにしても始まらないっす」
巌窟王「俺はマスターにこう言った。確かにこの状況は地獄だが、多少の楽しみはあってもいい、と」
アンジー「だからアンジーは神様に提案したんだよー! なら卒業アルバムを作ろうって!」
アンジー「脱出した後で写真を眺めてさー! こんなこともあったなーって、みんなで笑いあうんだよー!」キラキラキラ
星「……なるほどな。外に出た後の希望、か」
天海「赤松さんの『外に出たらみんな友達に』と並ぶ、新たな目標っすね」
天海「でも誰が写真を撮るんすか?」
巌窟王「安心しろ。俺にアテがある。黄金律にすべてを任せるがいい!」ギンッ
アンジー「いえーい!」
天海「……ふふっ。やっぱ、退屈しないっすね。みんな」
星「ああ。こんな状況でなければ、確かに友達になれたかもしんねーな」
巌窟王「……」
50 = 1 :
カルデア
BB「……やっぱりこれ、私が観測していない間は妙に時空間が乱れていますね」
BB「いや、私が観測していない間に乱れるのは納得できるとして」
BB「『観測者が現れた途端に時空が安定する』のは一体どういう仕組みなんでしょうか」
BB「……『固有結界』? いや、まさかね……」
BB「……まあ、巌窟王さんなら大丈夫でしょう」
才囚学園
巌窟王「BBにメールだな。ゲオルギウスがいれば万事解決だろう」メルメル
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