元スレ巌窟王「旅行先間違えた」 アンジー「神様ですか?」
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251 = 1 :
今日のところはここまで!
ハロウィン最後の追い込みしなきゃ……
252 :
食べられても蘇生出来るんだろうか
253 :
最原(……)
最原(気付いたら僕たちの目の前で、巌窟王さんが骨になっていた)
最原(ピラニアに体の大部分を食べられてしまった)
夢野「……はら……!」
最原(また始まってしまうのか……しかも今度は正真正銘、生徒同士での疑いあい)
最原(前回の赤松さんのときみたいに、必要に迫られて仕方なく起こったものではない……)
最原(言い訳が不可能の、コロシアイ……!)
夢野「……はら……最原……!」
夢野「最原ッ! しっかりするんじゃ!」
最原「ッ!」
夢野「……水槽のガラスを割るって話になっておるぞ。聞いておらんかったのか?」
最原「え……あ……ごめん」
最原(ショックのせいで棒立ちになっていたみたいだ。さっきまで何か喚いてた気がするけど、全然覚えてない)
茶柱「早く下がってください! 行きますよ! せーのっ!」
獄原「それっ!」
キーボ「ぐああっはーーー!?」ブンッ
ガシャアアアアンッ
254 = 1 :
東条「アンジーさん! これで準備は整ったわ!」
アンジー「ほい来たー!」
最原「えっ」
キィンッ
アンジー「令呪を持って我がサーヴァントに命ず。蘇って! 神様!」
最原「……」
最原(……流石に骨になったら、巌窟王さんでも……)
ポウッ
百田「あ。光はじめたぞ」
最原「えっ」
真宮寺「あ、遅いけど再生が始まったネ」
茶柱「なんか何とかなりそうですね」
天海「よかったよかった」
最原「ええっ!?」ガビーンッ!
255 = 1 :
最原「ほ、本当だ。確かに再生してる……!」
最原(巌窟王さん、不死身すぎるだろ……)
最原「ん?」
最原(なんだろう。巌窟王さんの骨……手足が酷いくらい折れてるな?)
最原「……」
最原(……もしかして……)
prrrr! prrrrr!
最原「……携帯の着信音?」
夢野「んあー。誰じゃ? マジカルショーのときにはマナーモードにするべきじゃろ」
白銀「いや、待って。この才囚学園で通信機器の類はほぼ全滅だったよね?」
東条「一つの例外を除いて、ね」
最原「あ。巌窟王さんの携帯……」
アンジー「神様の再生にはまだ時間がかかりそうだから代わりに誰か出ててー」
最原「ええー……」
256 = 1 :
ポチリッ
最原「……もしもし」
BB『あ! よかった! 出てくれましたね!』
BB『巌窟王さんは無事ですか!?』
最原(ん? なんか既に事情がわかってるみたいな口調だな)
最原(ていうか電話口の人って女の人だったのか)
最原「ええっと、令呪でどうにか復活しかけてるみたいですけど……」
BB『……よかった、と言っていいのやら何やら。おかしいですね。流石に彼にも許容できないダメージがあったら普通に復活不可なんですが』
最原「え?」
BB『まったくもう。女の子へのプレゼントだの何だの、ふざけたことにかまけてるから、こんな目に……』
最原「プレゼント?」
BB『おや。聞いてなかったのですか。彼は昨日、こちらに女性が喜ぶプレゼントとはなんぞやと電話かけてきたんですよ』
BB『てっきり生徒の方にも多少は相談しているものかと思いましたが……』
最原「……」
最原(女性へのプレゼント、か)
BB『……まあいいです。聞きたいことは聞きました。巌窟王さんにバレない内に電話を切りますね』
BB『このことはご内密に』
最原「……わかりました」
ブツリッ
257 = 1 :
夕ご飯の休憩!
258 = 1 :
ネウロレベルのガバ推理要素だけど最低限矛盾させないようにちょっとメモ整理してから再開します。
あとパールヴァティはうちには来なかった。ガチャは悪い文明
259 :
ナチュラルにロボの扱いが酷いww
サクラはまだサクランスロットが来ると信じてる
260 = 1 :
モノクマ「……今度こそ死んだよね? 死んだはずだよね?」
最原「うわっ! モノクマ!?」
モノクマ「……うん。大丈夫。すぐに生き返りそうだけど死んでる死んでる。じゃあ……」
ピンポンパンポーン!
アナウンス『死体が発見されました! 一定の自由時間の後、学級裁判を始めます!』
最原「……また始まるのか」
百田「二回目だからこの際聞きたいんだけどよ。被害者が生き返った場合でも学級裁判が始まるってのも変な話じゃねーか?」
モノクマ「あー。うん。そうだよね。そこ疑問に思うよね」
モノクマ「この点に関してボクもあんまり詳しいことは言えないんだけどさ」
モノクマ「『被害者が生き返った場合でも学級裁判の結果は無効にはならない』っていう規定がキチンとあるんだよ」
天海「なんすかそれ。まるで『人が生き返ることを想定していた』みたいな無茶苦茶な規定っすね」
モノクマ「……そうだね」
最原(歯切れが悪いな……?)
261 = 1 :
最原(その内に生徒全員が体育館へと集まった。集まったんだけど……)
入間「……回復に時間がかかってるみてーだな。やっぱり巌窟王からの証言はアテにできそうにねーか?」
アンジー「うーん。学級裁判までには間に合うと思うんだけどー」
王馬「それにしても不幸だよね、巌窟王ちゃんも。二回も殺されちゃうなんてさ……」
王馬「いっそのこと、アンジーちゃんが生き返らせずに、そのまま眠らせていた方が幸せだったんじゃないの?」
キーボ「王馬クン。言い過ぎです」
王馬「修理すれば元通りのロボットにわかってもらおうなんて思ってないよ!」
キーボ「うぐうっ」
白銀「とにかく、これで全員揃ったわけだし……」
モノクマ「そだね。それじゃあ……モノクマファイルー!」テレテッテレー!
夢野「おお! これじゃこれじゃ! これがあれば事件も多少は楽に解決……」
モノクマファイル『被害者は巌窟王。死体発見現場は体育館。以上』
夢野「ざっつゥ!」ガビーンッ!
赤松「な、何コレ! 何一つとして新情報が書いてないよ!?」
モノクマ「文句しか垂れない生徒の口は嫌いだ。具体的に言うとウンコだと思ってる」
夢野「罵倒も雑いぞ! モノクマ! どういうことじゃ!」
モノクマ「悪いんだけど、生徒の公平さを欠くから、今回の事件に関してはそれだけしかモノクマファイルに書けないの!」
262 = 1 :
春川「……まあそれならそれでいいよ。私には最初からどうでもいいことだし」ザッ
百田「おいハルマキ! どこ行こうとしてんだよ!」
春川「……」ピタッ
最原「え? ハルマキ?」
春川「……その名前で呼ばないで。研究教室に戻るだけだよ」
春川「誰もあそこに入れたくないからさ」スタスタ
最原「行っちゃった」
最原「……百田くん。春川さんと仲良くなったの?」
百田「まあな。つっても昨日巌窟王に焚きつけられた勢いで、だが」
百田「……巌窟王……なんでこんな……」
最原「……」
百田「ま、過ぎちまったことは仕方ねぇ。後で巌窟王からの恨み言はいくらでも聞けるしな」ケロリ
最原「立ち直り早い」
百田「じゃ、一緒に捜査するとすっかー!」ガシッ
最原「うん! ……えっ? 一緒に?」
百田「じゃあこの周辺を調べるぞ最原!」
最原(……)
最原(気を使わせちゃったかな。確かにかなり陰鬱な気分だったけど)
最原(……やるしかないんだもんな)
最原(やるしかないんだ)
263 = 1 :
今日のところはここまで! 続きは明日!
264 :
最原(とにかく立ち止まるわけにはいかなかったので捜査はしっかりと行った)
夢野「ウチは使ってないけど、この水槽は上部横の部分がカパッて開いて階段のあたりにかくかくしかじか!」
夢野「ウチは使ってないけどな!」
最原「なるほど。水中脱出のトリックはこうなってたのか」
夢野「ウチは使ってないぞ!」
最原「……そうだ。夢野さん。夜遅くに招待状を星くんに渡したって聞いたけど、それっていつごろ?」
夢野「十時五十分くらいじゃったかの。ゴン太の昆虫で和もう会が終わった後すぐに招待状の制作にとりかかったんじゃが……」
夢野「結局二通しか作れんかったわい。来そうにないヤツ全員に配る予定だったんじゃが」
最原「……ところでその二通目って、誰に渡したの?」
夢野「春川じゃぞ。位置が割れておるから朝の七時のあたりに渡した」
夢野「他に聞きたいことがあればいくらでも聞けい。ウチのマジカルショーを台無しにしたツケは必ず支払わせるからの」
最原(凄まじい気合だ)
265 = 1 :
赤松さんの証言
最原「ところでその昆虫で和もう会って……」
赤松「おとーさんおとーさん! あそこに見えないのぉぉぉぉ!」マオオオオ!
最原「なんで急に魔王を唄い始めたの!?」ガビーンッ
赤松「……あ、ごめん。ちょっとトラウマが……!」ガタガタ
赤松「え、ええとね。昨日は王馬くんに騙されたゴン太くんが目に付いた生徒を片っ端から自分の研究教室に引きずり込んで……」
赤松「おとーさんおとーさん! 魔王が今、坊やを掴んで連れていくーーー!」マオオオオ!
最原「ごめん! 別の人に詳細聞くね! 思い出させてごめんなさい!」
最原(ひとまず結構な人間に、夜八時から夜時間の十時までのアリバイがあるらしかった)
最原(ザッと並べ立てると夢野さん、アンジーさん、赤松さん、真宮寺くん、キーボくん、茶柱さん、白銀さん……)
最原(それとホスト側のゴン太くん。王馬くんはしばらく研究教室に帰ってこなかったらしいけど……)
266 = 1 :
東条さんの証言
東条「大雑把にみんなからの証言を纏めてみたわ」
東条「巌窟王さんの目撃証言だったけど、一番新しいものは百田くんの午後九時の証言よ」
東条「夜時間に巌窟王さんを見た人は誰もいないみたいね」
最原「……」
最原(体育館は夜時間には封鎖されちゃうわけだから当たり前……なのかな?)
最原(なにか引っかかる。そもそも『時間による制限』がかけられてる体育館で殺人を犯すメリットなんて……)
アンジーさんの証言
アンジー「昨日、アンジーは……神様が帰ってこなくって……」
アンジー「ずっと寄宿舎の自分の部屋の前で……」
アンジー「……スヤァ」
最原「後で聞くよ」
体育館の水槽周辺のなんやかんや
最原「手錠とか落ちてるな」
百田「ガラスの板とかも落ちてるぜ?」
百田「あと体育館の上部の窓になんか……凄い負荷がかかったみてーな痕があんぞ」
真宮寺「あれ? 水槽を釣り上げるときに使ったロープが見つからないネ……」
真宮寺「あ、あった。けど……なんでこんなところに」
267 = 1 :
星「む……この手錠、見覚えがあるぞ」
最原「えっ?」
星「……興味があったら俺の研究教室に来な。面白いモンが見れるかもしれないぜ?」
スタスタ
百田「だってよ。どうする?」
最原「……行くしかないよ。もうここには証拠はないみたいだし」
百田「だな!」
赤松「あ、私もついてくよ!」
スタスタ……
キュインッ
巌窟王「クハハハハハハ! 戻ったぞ!」
茶柱「あ。復活しましたね」
巌窟王「さて! 我がマスター、夜長アンジーはどこか!?」キョロキョロ
真宮寺「そこでぶっ倒れてるけど」
アンジー「スヤァ」
巌窟王「そうか! クハハハハハハ!」
巌窟王「……マントを貸してやろう……硬い床では寝心地も最悪であろうからな」ファサッ
キーボ「服まで再生してるんですね……魔術というものはつくづく不思議です」
268 = 1 :
星への研究教室に向かう道中
王馬「ママーーー! 俺の万年筆がどこかに行っちゃっだヴぇうヴぁうあああううんっっっ!」ビャーッ
東条「学級裁判の後で探してあげるわ」
王馬「倉庫に作った俺の秘密基地に隠しておいたはずなのにぃいんヴぁすっ」ビャーッ
東条「……飴をあげるわ」
王馬「わーい」
百田「何やってんだテメェーら」
赤松「ていうか倉庫に秘密基地なんて作ってたんだ……気付かなかった……」
王馬「あ。みんなも見つけたら報告してね。俺の秘密道具の万年筆」
王馬「一度どこかに付着したら三日間は絶対に洗い落とせない特殊インク使用だからすぐわかるよ」
百田「クソ迷惑すぎるインクだな……」
百田「……ん? 倉庫?」
百田「そういえば巌窟王も……」
最原「え?」
269 = 1 :
星の研究教室 囚人の方
最原「……うっ!?」
赤松「何この臭い……!?」
百田「塩素系の漂白剤か? テニスウェアとか使うんなら、たまに世話になることもあるかもな?」
星「妙だな。前に来たときはこんな臭いはなかったはずなんだが……」
星「まあいい。とにかくあの手錠はこの研究教室から持っていったものだろう。調査するなら好きにしろ」
最原「ん……こっちの窓枠にも、なんか負荷がかかったような跡があるな」
最原(それに、この周辺の床にぶちまけられてるのってインク……?)
最原「……向こう側は……体育館の窓か」ズイッ
バキッ
最原「んっ?」
最原(窓枠に手をかけて少しだけ身を乗り出したとき、枠が少しだけ壊れてバランスを崩した)
最原「う、わっ……!」
最原(ただ壊れたのはあくまで少しだけだったので、すぐに体勢は整えることができたんだけど)
ヒラリッ
最原「あー……」
最原(帽子はプールへと落下した。あの分だとズブ濡れだろうな……)
270 = 1 :
アフロと化した百田「おお。最原。あぶねーところだったな」
最原「う、うん。なんか異常に劣化してるね、この窓枠も……」
最原「……?」
最原「なんでアフロになってるの?」
赤松「さっき何故か感電して……」
最原「え? なんで?」
百田「テニスの送球装置のコードとコンセントが不自然に壊れてやがった。ここの調査も終わったんならさっさと次に行こうぜ」
星「おい。待て。その前に一つだけ教えたいことがある」
百田「あ?」
星「実はシンク周りだけじゃなくってな。テニス選手の研究教室の方にも一つ、漂白剤の臭いがするものがあるんだよ」
最原「それは?」
星「ウェイト可変式のダンベルだ」
最原「だ、ダンベル……?」
星「分解してみたらジョイント部分に、微かだが血液が残ってた」
最原「!」
星「……あのダンベルのデザインは見事だからな。まさか犯人も分解できる品物だなんて思いもしなかったんだろう」
星「これは奴さんの致命的なミスってヤツだろうな」
百田「……星……」
星「なんだ? キラキラした目で見つめやがって……俺はただ、お節介なお前さんたちに多少は報いようとしただけ……」
星「それだけだ……」
赤松「……最原くん。帽子を取りに行こう?」ニコニコ
最原「……うん。じゃあ僕たちは行くね。星くん」
星「おう」
271 = 1 :
プール
最原「……」
最原「プールの方には特に目立つ証拠はない、かな?」
赤松「あれ……?」
最原「どうかした? 赤松さん」
赤松「えっと……道具置き場の浮き輪の取っ手部分に何か、激しく擦ったみたいな跡があって」
百田「お。マジだ。何か微妙に歪んでるような気もするな?」
最原「……」
最原(なんだ? 超高校級の囚人の研究教室と、体育館の窓枠に負荷がかかったような痕)
最原(その間にあるプールの浮き輪の取っ手部分にはやっぱり負荷がかかった痕)
最原(……そうか。トリックが見えて来たかもしれない)
最原「そうだ。どうにかして帽子を取らないと……」
赤松「……」
赤松「最原くんさ。もうこっちのことを見るのに、あんまり躊躇しなくなったよね?」
最原「えっ」
赤松「なんでまだ帽子を被ってるの?」
最原「!」
百田「?」
272 = 1 :
最原「ええと、それは……」
百田「前に『帽子の意味が変わった』だのなんだの言ってたよな? それと関係あんのか?」
最原「ッ!」
赤松「帽子の意味が変わった……?」
赤松(……そういえば巌窟王さんも帽子被ってたっけ……ああ、そういうこと)
赤松「へぇー」ニヤニヤ
最原「な、何、赤松さん。その笑顔」
赤松「最原くんって意外にわかりやすいなって思って! あははっ!」
赤松「いや、わかるよ。巌窟王さん恰好いいもんね」
最原「……ああ、もう!」
百田「???」
273 = 1 :
帽子回収後
最原「……やっぱりビッチョビチョだ」
百田「これもう今日の学級裁判では付けられねーだろ」
最原「……仕方ないから帽子はどこかに放置していくよ……」
最原「そうだ。そろそろ巌窟王さんが復活してるかもしれないから、体育館に行こうか」
体育館
最原「戻ってきた……のはいいけど」
最原「巌窟王さんは?」
獄原「えっと、アマデウス斎藤に会ってくるって言って、どこかに行っちゃった」
最原「天海くん?」
天海「……」サッ
最原(目を逸らされた。どうも言う機会逃したみたいだな)
最原(多分今日も訓練できない、って義理堅く言うつもりで行ったんだろうからなぁ)
最原「で。アンジーさんは……やっぱりまだ寝てるんだね」
アンジー「スヤァ」
百田「これ巌窟王のマントじゃねーか」
茶柱「あの人、本当にアンジーさんには甘いですね……」
274 = 1 :
中庭
巌窟王「……いないな。やはりこういうときの鼻は利くらしいな」
巌窟王「アマデウス斎藤……食えないヤツだ」フッ
ピンポンパンポーン
アナウンス『えー! ではでは! そろそろ捜査も一段落したようですので!』
アナウンス『良い子のみんな、集まってー! 学級裁判の時間だよー!』
巌窟王「……」
巌窟王(……今回の事件……俺はどういうスタンスでいるべきだ?)
巌窟王(……)
巌窟王(……ふん。こんなことに心を砕くなどバカらしいな)
巌窟王(俺はただ、俺のやりたいようにやるだけだ)
275 = 1 :
体育館
百田「……んじゃあ、いっちょぶちかましてくるか」
赤松「……最原くんさ。やっぱり帽子取った方が恰好いいよ?」
最原「はは。でも、その……やっぱりさ……」
最原「……被っていたいんだ。いざってときこそ猶更」
赤松「うーん。やっぱり初回特典蹴ってて正解だったな」
赤松「……まだ心配だよ。最原くん」
最原(……確かに。僕は巌窟王さんほどには頼もしくない)
最原(でもだからこそ、少しでもマネしていたかったんだ)
最原(……これじゃあアマデウス斎藤になってた天海くんにどうこう言えないな)
最原「裁判場に行こう」
赤松「うん!」
最原(裁判が、始まる……!)
茶柱「アンジーさーん。起きてくださーい。裁判が始まりますよー」ユサユサ
アンジー「あと五分ー」
最原「……」
最原(始まるッ!)ギンッ
赤松「最原くん。無理にシメようとしなくってもいいんだよ」
百田「しまらねぇな……本当……」
276 = 1 :
今日のところはここまで!
277 :
赤い扉の中
巌窟王「……来たか。遅いぞ」
百田「そう言うなって。色々収穫はあったんだからよ」
百田「今回もお前を殺した犯人をバシッと捕まえてやるぜ。楽しみにしてな!」
巌窟王「……」ニヤ
最原(なんか上機嫌そうだ……割と相性いいのかな、この二人)
巌窟王「む。最原。帽子を取ったのか」
最原「うん。なんか事故っちゃって」
巌窟王「……」
巌窟王「……『悪意の在処』を見誤るなよ」コソッ
最原「……」
最原(悪意の在処……?)
茶柱「巌窟王さん。アンジーさんが起きないのでおんぶで連れてきたんですけど」
巌窟王「起きろアンジー。そろそろ正念場だぞ」
アンジー「ふああー……い」
夢野「ゆるゆるじゃのう。これから命懸けの頭脳戦だと言うに」
天海「ははっ。でもまあ気楽でいいじゃないっすか」
巌窟王「行くぞッ!」ギンッ
278 = 1 :
学級裁判 開廷!
モノクマ「えー! ではでは! 最初に学級裁判の簡単な説明から行いましょう!」
モノクマ「学級裁判では、誰が犯人かを議論し、その結果はオマエラの投票により決定されます!」
モノクマ「正しいクロを指摘できればクロだけがおしおき。だけど、もし間違った人物をクロとしてしまった場合は……」
モノクマ「クロ以外の全員がおしおきされ、生き残ったクロだけに、晴れてこの才囚学園からの卒業の権利が与えられるのです!」
モノクマ「……なお。闖入者の巌窟王さんもこのルールが暫定的に適応されているのをお忘れなく」
春川「巌窟王が自殺だった場合は、ってこと? その可能性は……」
最原「ほぼ最初から除外していいと思う。万が一、アンジーさんが復活させなかった場合はそのまま死亡なわけだし」
最原「何より、あそこまで肉体を損傷した上で生き残れるなんて巌窟王さん自身も知らなかったはずだよ」
星「根拠があるみてーだな。聞かせてもらおうじゃねーか」
最原「……口止めされてたけど、この際言うよ。巌窟王さんの携帯電話に出たんだ」
巌窟王「何ィ?」
巌窟王「……何か吹き込まれなかったか? 正気を保てているか? 誰にも明かしていないはずの秘密を握られて脅されたりしていないだろうな?」
最原「そんなに危険な人だったの!?」ガビーンッ
最原「だ、大丈夫だったよ。それより電話の内容だったんだけどさ」
最原「巌窟王さんが復活不可避の損傷を負ったはずなのに、令呪で蘇ったことに意外そうな反応をしてたんだ」
最原「つまり厳密に言うと、巌窟王さんは復活できるはずがない。なのに、復活した。原理不明なままにね」
百田「仮にアンジーに対して絶対の信用を置いてたとしても、原理不明の仕掛けに命をかけるほど巌窟王もバカじゃねーってことか」
279 = 1 :
王馬「電話口のその人が嘘を吐いてる可能性は? 唯一、ホームとの連絡がつく巌窟王ちゃんの仲間でしょ?」
王馬「つまり生き残るのが一人だけっていうルールの範疇の外の存在だよ? 信じていいと思う?」
最原「仮に巌窟王さんが自殺するとして、ここまで大がかりなことをする必要があったのかな?」
最原「もうちょっとコンパクトかつ楽な方法があったような気がするけど……」
アンジー「もし仮に神様がクロになるんだとしたら、自分自身じゃなくってアンジーを真っ先に殺すと思うけどね」
巌窟王「……」
百田「おい。否定しろよ巌窟王」
巌窟王「無理だな。俺をこの空間に縛っているものの中には、確かにアンジーとの契約がカウントされているのだ」
巌窟王「まだその気になっていないだけで、脱出するだけならアンジーを殺した方が早い」
巌窟王「……まだな」
赤松「そんな気ないくせに、無駄に悪ぶるよね。巌窟王さん」
巌窟王「ふん」
最原「つまり巌窟王さんの合理性に照らし合わせるなら、いくらなんでも自殺なんて方法は取らないんだよ」
天海「そもそもイメージにあわないって理由で弾いていい可能性ではあったと思うんすけどね」
東条「一応、これで足場は固まったと見ていいわ。無駄ではないでしょう」
280 = 1 :
真宮寺「それじゃあ、次は何について話せばいいかな?」
白銀「うーん。モノクマファイル、今回は新情報がないからね……死因、死亡推定時刻、死体の細かな状態……」
白銀「前回は書かれていたことがスッポリ抜け落ちてる。これじゃあわからないことだらけだよ」
夢野「少なくとも、巌窟王がピラニアに食われた時点では、巌窟王は間違いなく死んでいたはずじゃぞ」
夢野「あのピラニアは死肉しか食らわんからのう」
茶柱「えっ? そうなんですか!?」
ポンッ
夢野「ここに比較的腹が膨れていないピラニアが一匹入った水槽がある」
茶柱「いつの間にッ!?」ガビーンッ
王馬「うわー。忘れたころにマジシャン設定をぶち込んで来るよね」
夢野「魔法じゃ魔法。で、この水槽にウチが手を入れても」チャポンッ
夢野「御覧の通りじゃ。まったく反応せん」
百田「っつーことはつまり、巌窟王が死んでいたのは相当前ってことだな」
赤松「私は夢野さんの手伝いに叩き起こされて、体育館のドアが開くまでずっとドアの前に立ってたんだ」
赤松「だから……巌窟王さんが死んだとしたら……」
天海「昨日の夜時間より前ってことになるはずっすよね」
巌窟王「……?」
王馬「それじゃあ、その線で議論を進めてみようか! 昨日の巌窟王ちゃんを最後に目撃したのは……?」
百田「俺だ!」
王馬「嘘……だろ……? 百田ちゃんっ、なんで巌窟王ちゃんを殺したんだよぉ!」ブワッ
百田「殺してねぇーよッ! 目撃したかって話だっただろッ!」ガビーンッ!
281 = 1 :
百田「俺は昨日の午後九時前後に、巌窟王が星の研究教室近くにいるのを見かけたぜ!」
百田「っつーことは巌窟王の死亡推定時刻は」
東条「午後九時から午後十時の夜時間までの間に限定されている、ということになるわ」
東条「もちろん、これは百田くんの証言を信じるならば、の話になるけど」
王馬「でも『生き残るのはクロ一人か、シロ全員か』ってルールがある以上、共犯はほぼ成立しないよね?」
王馬「つまり百田ちゃんの目撃証言より前の目撃証言は、いよいよ信用していいと思うよ?」
百田「俺の証言を信用されねーのは甚だ不満だが、俺より前に巌窟王を見たのは……」
白銀「あ。私だね。最後にゴン太くんに捕まった私が、巌窟王さんを倉庫で見てるよ」
白銀「あれは大体七時だったけど……そういえば、何か探していたみたいだったけど。何を探してたの?」
巌窟王「……言う必要があるか?」
白銀「ナイデスゴメンナサイ」ガタガタ
夢野「怖がりすぎじゃ怖がり過ぎ。これでも結構愛嬌あるぞ?」
282 = 1 :
夕ご飯の休憩!
283 = 1 :
最原(……巌窟王さんが倉庫にいた理由。多分、電話口の女の人の言う通り『女性へのプレゼント』を物色してたんだろうな)
最原(その途中で王馬くんの秘密基地を見つけて……秘密基地だとは知らずに万年筆を持っていったんだろう)
最原(待ち合わせの女性……まず間違いなくあの人だろうけど……)
最原(まだ決め手が足りないな。巌窟王さんの死亡推定時刻について異論はあるけど、このまま議論を進めよう)
最原(これが犯人の退路を断つ布石になるはずだ……!)
巌窟王「……」
巌窟王(俺が死んだのは夜時間の最中だ。そのことにあの探偵が気付かないはずがない)
巌窟王(何を考えている……?)
284 = 1 :
最原「ひとまず議論を進めてみよう。余程の矛盾が出ない限り、百田くんの証言は信用する方向で」
百田「最原……!」
最原「だって、百田くんの証言が本当だとすると謎が一気に簡単になるからね」
獄原「そっか。昆虫で和もう会に参加してた人たちは……」
キーボ「八時から十時までは完璧なアリバイができています」
キーボ「なお、アレのことを知らない人たちに説明しておくと、昆虫で和もう会そのものが始まった時間は八時ですが」
キーボ「ゴン太くんによる生徒の収集が始まったのは六時からです。早い人はそこからのアリバイがあることになりますね」
真宮寺「ひとまずそこは面倒だネ。今は省こう。昆虫で和もう会の参加メンバーは……」
赤松「夢野さん、アンジーさん、真宮寺くん、キーボくん、茶柱さん、白銀さん、あと私……」
赤松「最後にゴン太くん……あと一人の王馬くんは、動機ビデオを取りに行っちゃったからアリバイはほぼないんだ」
巌窟王「昆虫で和もう会……」
最原「?」
巌窟王「和めたか? アンジー」
アンジー「和めたよー!」キラキラキラ
巌窟王「獄原ァ!」ギンッ
獄原「えっ、な、何?」
巌窟王「……後でモンテ・クリストの財宝の一部をやろう」
獄原「え? 本当? やったぁ!」
茶柱「そんなおじいちゃんのお年玉感覚でェ!?」ガビーンッ!
最原(悔しいけど凄く興味ある!)ウズウズ
白銀「……議論を元に戻そう? 他にアリバイがあるのって誰?」
285 = 1 :
十分後
ゴン太は黄金律(E-)を手に入れた!
獄原「わーい」
最原「えーと、整理するね。昆虫で和もう会で完璧なアリバイができているのが八人」
最原「東条さんは午後八時からは王馬くんと追いかけっこしてたから、百田くんの証言が真実だとするとアリバイがある」
最原「僕と入間さんはずっと研究教室に引きこもってたから、こっちは白銀さんの証言がある限りはやっぱり完璧なアリバイ」
最原「次に――」
百田「巌窟王に焚きつけられた直後に、俺がハルマキのところに遊びに行ったんだよ」
百田「巌窟王と別れてから十分も経ってねぇ話だ。巌窟王の死体を体育館に仕込むのはちょっと無理がねぇか?」
春川「……そのときは大迷惑だと思ったけど、今からしてみると結構ラッキーだったのかな」
春川「バカとハサミは使いようってヤツ?」
百田「誰がハサミだ!」
春川「バカの方でしょ。どう考えても」
最原「これで十四人のアリバイがある。あとは……」
星「俺と天海のアリバイの確認……の番ってわけか」
天海「……!」
286 = 1 :
星「残念だが、俺にはこれと言ったアリバイはねぇな……少し妙なモンをずっと眺めてたからよ」
キーボ「妙なもの……ですか?」
星「信じられねーかもしれないが……見たことのない高校生が中庭で妙な動きをしてやがったんだ」
星「なんか変な仮面被ってハイテンションでボーダーのシャツの下にサルエルパンツを着込んだ天海っぽい印象を与える高校生だ」
最原「アマデウス斎藤じゃんッ!」ガビーンッ!
獄原「星くんもアマデウス斎藤に会ってたの?」
星「会ってたってのは違うな。九時前後の時間に、星でも見て気分転換しようと思ったら……いたんだよ」
星「月の光で仮面を輝かせながら妙な色香を纏った男子高校生……ありゃ只者じゃねぇ……!」
星「アマデウス斎藤っつーのか。一体、何者なんだ。ヤツは」
最原「天海くんだけどッ!?」ガビーンッ
裁判場全体「……」
裁判場全体「えっ?」
最原「えっ?」
287 = 1 :
巌窟王「最原。アマデウス斎藤の正体が、天海蘭太郎だと言ったか?」
巌窟王「……その根拠はあるのだろうな?」
最原「えっ」
獄原「そ、そうだよ! アマデウス斎藤が天海くん? どうしてそう思ったの?」
最原「えっ。えっ」
白銀「うーん……確かにアマデウス斎藤と天海くんは……一致している部分もなきにしもあらずな感じだけど……?」
白銀「最原くん。地味に発想が飛躍しすぎじゃないかな?」
最原「いや天海くんで間違いないし、なんでみんなわからないんだよッ!」
最原「ね! 天海くん!」
天海「えっ。何のことっすか?」
最原「!?」ガビーンッ
アンジー「終一ー」
最原「あ、アンジーさん……!」
アンジー「たまには推理が外れることも、あるぞ?」
最原「」
288 :
謎パワーを感じる
289 = 1 :
最原(そこからの議論はほぼ不毛な流れだった)
議論スクラム!
アマデウス斎藤の正体は?
天海だ!
最原
赤松
百田
春川
王馬
入間
キーボ
真宮寺
天海じゃない!
アンジー
夢野
獄原
白銀
星
東条
茶柱
天海
最原(これまでの人生で経験したことのない不毛さだった)
巌窟王「モノクマ! 俺も議論に参加させろ! 天海じゃない派の方だ!」ギンッ
モノクマ「ダメ」
最原陣営「これが僕(俺様)(私)(俺)たちの答えだッ!」
290 = 1 :
最原(しかも不毛なだけでなく滅茶苦茶長かった)
理論武装!
天海「どうして俺がアマデウス斎藤だと思ったんすか?」ブワァァーッ!
最原「くそっ! しかも無駄に難易度高い!」
最原(そしてすべてが決着に辿り着くころには……)
クライマックス推理!
割愛!
最原「これで証明できたはずだ……何か反論があるなら言ってみてよ」
最原「"超高校級のミステリアス"! アマデウス斎藤! ……いや、天海蘭太郎くん!」
バキバキバキッ!
ガシャァァァァンッ!
COMPLETE!
天海「ぐああああああああああ!」
最原(議論は三時間経過していた。モノクマは寝ていた)
モノクマ「ぐー」スヤァ
291 = 1 :
アンジー「そ、そんな……!」
巌窟王「バカな……バカな……!」
巌窟王「天海、お前が……アマデウス斎藤だと……!?」ワナワナ
最原「はあっ……はあっ……! あー、長かった! みんな、納得してくれた!? 天海くんがアマデウス斎藤なんだよ!」
巌窟王「黙れッ!」
最原「!?」ビクゥッ
巌窟王「……少し……時間をよこせ……!」クッ
夢野「うっ……うっ……」エグエグ
最原「ええーーーッ!? そこまでショックだった!?」ガビーンッ!
292 = 1 :
巌窟王「天海。答えてみろ。お前の口から直接聞きたい」
巌窟王「何故身分を偽ったりした? お前の手腕は確かだったのだぞ?」
巌窟王「……素顔でも、充分俺たちは受け入れたはずだ」
天海「……」
天海「自信が……なかったんす……!」
天海「二人の隣に立つ能力が、俺には欠如してたから……だからッ!」
アンジー「……蘭太郎ー」
アンジー「じゃあ、これからは素顔で一緒にいていいよー」
天海「えっ?」
アンジー「アンジーも、神様も、蘭太郎のことを全部許すよ」
アンジー「だからもう、泣かないで。これからもずっと私たちの傍にいてよ」
アンジー「……ダメ?」
天海「……うっ……」
天海「ううううう……!」ポロポロ
夢野「よかったのう! 天海! よかったのう!」
巌窟王「……アンジー。それでは事前に練習した通り、これを付けろ」ポイッ
アンジー「あいさー」パシッ
天海&夢野「えっ」
293 = 1 :
巌窟王「クハハハハハ! アンジーは許すと言ったな!」
巌窟王「悪いが俺にそんな気はない! 復讐者だからな!」
アンジー「じゃあちょっと蘭太郎ー。動かないでねー!」ガシッ
天海「えっ。アンジーさん。なんで俺を羽交い絞めに?」
天海「ていうかそのガスマスクはなんなんすかッ!?」ガビーンッ!
巌窟王「地獄の底へと滑落していけ……」
巌窟王「くしゃみでッ!」ギンッ
天海「ちょ、その手に持ってるの、まさか」
巌窟王「疑似宝具、展開!」
巌窟王「粉よ、延々と降り注げ(オレフル・コショー・フル)!」パッパッ
天海「こしょうびんんんんぎゃあああああああああああ!」
茶柱「きゃあああああああ! くだらないけど超エグいーーーッ!」ガビーンッ
天海「あぎ、がああああ……ぐじょんっ……ぐじょんっ……!」
天海「息がっ、息ができなああああああっぐじょんっっっ!」
天海「あああああああああ……!」
最原「……」
最原「イヤな……事件だったね」
百田「現実逃避すんな」
春川「まだ終わってないしね。事件」
294 = 1 :
今日のところはここまで!
295 :
天海「……ぐじゅんっ……ぐじゅんっ……」ビクンビクン
最原「あそこまで徹底的におしおきする必要あったのかな」
巌窟王「十七人目の高校生などと、一歩間違えれば場を混沌の渦に陥れかねない嘘を吐いた罪は重い」
赤松「まあ……一歩間違えたら取り返しが付かないかな……」
最原(というか混沌の権化みたいな巌窟王さんがそれ言うんだ……)
最原「えーっと、じゃあこれで……アリバイがあるのは……」
王馬「全員だよね。ただし、百田ちゃんの証言を信じるならば、の話だけど」
王馬「逆に言えば、百田ちゃんの証言が嘘だった場合は消去法で確実に百田ちゃんが犯人なんだけどね!」
百田「ああ!? な、なんだとっ!?」
最原「確かに、他の人のアリバイは実質完全に証明されたようなものだからね」
最原「だって、百田くんの証言が本当だった場合は昆虫で和もう会に参加してた人たちのアリバイは完璧だし」
最原「百田くんの証言が嘘だった場合は、百田くんが犯人ってことだから、その他の人間はどっちみち全員シロになっちゃう」
最原「……ただし。僕は百田くんが犯人だとはとても思えないんだ」
最原「最後の目撃者が怪しいって展開になることは誰にだってわかったはずだよ?」
最原「それにも関わらず百田くんは証言した。逆説的に百田くんの証言は真実味があるんだよ」
百田「最原……テメェ……」
王馬「探偵の最原ちゃんがそこまで無駄に先読みすることすら計算の内だったとしたら?」ニヤァ
最原「……」
最原(巌窟王さん自身が証言してくれればいいんだけど、果たして彼はそこまでしてくれるかな……?)
最原(頼むだけ頼んでみる、か?)
296 = 1 :
最原(……いや。まだだな。最後の最後に確認すべきことが残ってる)
最原「ねえ。ゴン太くん。アンジーさんを捕まえたタイミングと、そのときの詳しい状況を教えてほしいんだけど」
獄原「えっ? なんで?」
最原「ごめん。今のうちに確認しておかなきゃいけない気がするんだ」
王馬「……ねえ。何のつもり? 話を逸らそうとしているの?」
最原「確認が済んだら、すぐに本筋に戻るよ」
獄原「え、ええと……」
獄原「アンジーさんは夢野さんと一緒に、体育館で捕まえたよ。一番最初だったから午後六時のことだったかな?」
獄原「場所がわかっていたから一番簡単だったんだ」
最原(マジカルショーの準備で頑張ってたからな、二人とも……)
最原(これで充分か)
最原「ありがとうゴン太くん。じゃあそろそろ百田くんの証言が本当かどうか確認しようか」
王馬「どうやって?」
最原「……巌窟王さんに聞くんだよ」
王馬「……教えてくれるかなー?」
巌窟王「……」
巌窟王「さっきから話を聞いていれば、お前たちは何を無駄なことをやっている?」
赤松「えっ?」
巌窟王「俺が死んだのは夜時間だぞ? 何故よりにもよって夜時間以前のアリバイを必死に証明している?」
百田「……」
百田「は?」
裁判場全体「はあああああああああっ!?」ガビーンッ
297 = 1 :
モノクマ「……むにゃ……あ、そうだ。寝る前に忘れてたことあった」
モノクマ「巌窟王さん。自分の死亡推定時刻についての情報はもったいぶってね」
巌窟王「何ィ?」
モノクマ「だって今回のモノクマファイルの情報に死亡推定時刻に関する項目は入れてないんだ」
モノクマ「生徒同士の公平性を保つためにね」
巌窟王「つまり、今まで生徒たちが夜時間以前のアリバイの話題しか口にしていなかったのは……」
モノクマ「うん。犯人の偽装工作か、偶然の産物かはこの際置いておくけど、そういうふうに見えていたからなんだ」
モノクマ「だから裁判を盛り上げるためにも、この情報はあんまりみだりに出さないでね。もちろん巌窟王さんの協力次第だけど」
巌窟王「もう言ったぞ」
モノクマ「あ、遅かった。うぷぷぷぷ」
巌窟王「クハハハハハハハハ」
百田「テメェら実は仲いいだろッ!?」ガビーンッ
赤松「じゃあ、今までの議論は全部……!」
東条「すべて無意味だったようね」
最原(……)
最原(それはどうかな?)
298 = 1 :
休憩します!
299 = 1 :
最原「ところで巌窟王さん。もしも『自分の死亡推定時刻が最大の謎だった』っていう事実を事前に知ってたら」
最原「……百田くんの目撃証言について訊かれたとき、どう答えてた?」
巌窟王「答えるわけがあるまい! それが犯人の偽装工作ならば、被害者の俺が答えるのは筋違いにもほどがある!」
巌窟王「後悔……義憤……怨恨……それらマイナスの感情はすべて俺の力の糧だが」
巌窟王「この場においては必ずしも当てはまらないのだからな!」ギンッ
百田「わかるように言え! 巌窟王!」
巌窟王「穴があったら入りたい」
白銀「あ、恥ずかしいんだ……」
巌窟王「犯人に対して非常に申し訳ないと思う」
茶柱「被害者なのに!?」ガビーンッ
アンジー「神様ファイトー! おー!」
300 = 1 :
巌窟王「……遺憾だが、この場においては俺もモノクマと同じスタンスだ」
巌窟王「裁判の結果は、俺の行動を決める指針となるだろう」
巌窟王「一応言っておくが、アンジーの現状の魔力供給では、この場にいる全員を救うのにはとても足りない」
巌窟王「そして、犯人を救うかどうかはアンジーと俺の裁量一つだ」
入間「正しいクロを指摘できなければクロ以外の全員おしおきのルールが適応されたら……」
王馬「俺たちはみんな仲良くおしまい。ちゃんちゃん!」
入間「うええー。死にたくねぇー……」
王馬「でもそれって『生き残るだけ』ならクロ側が異常に有利なゲームだよね」
王馬「だって、もし仮にしくじっても巌窟王ちゃんが助けてくれるんだからさ……」
王馬「……おっとごめん。犯人の百田ちゃん! 気を悪くした?」
百田「だから俺は犯人じゃねーって言ってんだろッ!」
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