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    元スレ巌窟王「旅行先間違えた」 アンジー「神様ですか?」

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    601 :


    事件が起きてる時に姿が見えない状況だとダンロン2の彼を思い出すわ

    602 :

    超高校級のメイドの研究教室

    最原「……遅れてくれて逆に助かったけど……茶柱さん遅いな」

    東条「ここから中庭まではそこまで距離はないはずだけども……」

    最原(……仕込みは上々。あとはコレが役に立たないのを祈るばかりだ)

    最原「手は大丈夫?」

    東条「痛みはまったく引いてないけど大丈夫よ。治療自体は上手くいっているわ」

    最原(やっぱり大丈夫じゃないな……思ったより怪我が酷かったから当然か)

    最原(……血塗れの包帯、落とさないようにしないとな)



    ガシャァァアンッ!


    最原「!?」ビクゥッ

    巌窟王「しゃらくさい! ここからロープを下ろすから全力で登れ、天海!」

    天海「了解っす!」

    最原「巌窟王さんが窓ガラスを破壊してやってきたーーー!?」ガビーンッ!

    天海「すぐに行くっすよー! 東条さー……」


    ブチッ


    巌窟王「む。急に軽くなったな。下りたのか?」

    天海「わあー……」


    ベシャッ


    最原「落ちてるんだよッ!」ガビーンッ!


    天海は後で普通に階段からやってきた

    603 = 1 :

    午前一時四十分

    天海「なんだ。頭の怪我は既に最原くんが応急処置したんすか」

    天海「……適切っすね。これなら大丈夫っすよ。本当なら一度病院に突っ込んで検査とかさせたいところっすけど」

    最原「そっか。よかった」

    天海「俺は茶柱さんから『東条さんが誰かに襲われて凄い怪我してる』としか聞いてないんすけど……」

    天海「頭以外にどこか怪我はないっすか?」

    東条「……」チラッ

    東条「ないわ。どこにも。頭以外はいつも通りよ」

    巌窟王(……何故今、最原に視線を投げかけたのだ?)

    巌窟王「まあいい。最原を借りるぞ。後のことは天海に任せておけ」

    最原「え?」

    巌窟王「……アンジーが行方不明だ。これだけ言えばわかるか?」

    最原「!」

    最原「……うん」

    巌窟王「行くぞ!」

    604 = 1 :

    アンジー捜索道中

    最原「というか結局、なんで巌窟王さんは炎上中の研究教室なんかに突っ込んだの?」

    巌窟王「ことの発端は……ひとまずあまり言いたくはないのでボカすが」

    巌窟王「アンジーの作品が発端だ」

    最原「作品?」

    巌窟王「様々な要因が積み重なって、俺とアンジーは頻繁に別行動を取るようになっていた」

    巌窟王「ふと俺はアンジーに用ができてアンジーの研究教室へと向かったのだが……」

    巌窟王「どれだけ待ってもヤツがそこに現れることはなかった」

    最原「あれ。確かアンジーさんの門限って」

    巌窟王「夜時間。つまり十時だ」

    巌窟王「……だがヤツは創作活動に打ち込みたいと言うので条件付きで夜時間の延長を認めさせた」

    巌窟王「条件は二つ。創作しているときは鍵を閉めること。研究教室の鍵は俺に預けること、だ」

    巌窟王「創作途中での外出は……トイレなどもあるだろうから黙認せざるを得なかったが」

    巌窟王「もしかしたらどこかですれ違ったのかもしれないと考え、俺は一度寄宿舎に戻った」

    巌窟王「……そこであの火事だ」

    最原「なるほど……」

    最原(アンジーさんは巌窟王さんのことを徹夜で待ってたりしてたけど、巌窟王さんは堪え性なさそうだしな)

    最原「アンジーさんへの用って、出迎え以外でのことで?」

    巌窟王「……」

    最原「ああ、やっぱり出迎えだったんだ」

    巌窟王「それ以外にもあるぞ。関係ないので言うつもりはないがな」

    605 = 1 :

    最原「でもそれって火事を発見するに至った経緯であって、火事に突っ込んだ理由ではないよね?」

    巌窟王「……」

    最原「それも言いたくない?」

    巌窟王「……」

    最原(露骨に話を打ち切ってる……余程答えたくないのかな)

    最原(でもなんとなくわかった。巌窟王さんが研究教室に突っ込んだ理由)

    最原(アンジーさんの所在をさっきから異常に気にしてるって点を考えれば明らかだよな)

    最原「火事の中にアンジーさんのパーカーでも見えたの?」

    巌窟王「……似たようなものだ」

    最原(やっぱり)

    巌窟王「……無駄話はこれで終わりだ。早くヤツを探すぞ」

    巌窟王「死んではいない。死んではいない、はずだ」

    最原「……」

    最原(凄く不安そうだ。こんな巌窟王さん見たことない)

    最原(……早く見つけないと)

    606 = 1 :

    休憩します!

    607 :

    ガチャは悪い文明!

    608 = 1 :

    最原「……」

    最原(こうして眺めてみると……超高校級のメイドの研究教室から超高校級の美術部の研究教室までの道って)

    最原(ほぼ一直線だな。迷わない。普通の学校なら一階から二階、三階に上がるときは別の階段があったりするのに)

    最原(間には超高校級の昆虫博士の研究教室や、超高校級のテニスプレイヤーの研究教室もあったりして……)

    最原(……見通しがいいのに隠れやすい。隠れる人間には妙に優しいな)

    最原(あそこより奥の区画はまだ解放されていないわけだから、奥に何人いるかを予測するのも……工夫すればいくらでもできそうだな)

    最原(袋小路になっているわけだし……)

    最原(……)

    最原「超高校級の美術部の研究教室周辺に行こう」

    巌窟王「そこにアンジーがいるのか?」

    最原「可能性は高いと思う」

    最原(……間に合ってくれ!)

    609 = 1 :

    巌窟王「……ム。赤外線センサーがなくなっているな?」

    最原「赤外線センサー?」

    巌窟王「さっきこの階段の周辺にあったのだが……今はどうでもいいな」

    最原「……」

    最原「それってさ! 巌窟王さんがアンジーさんを出迎えしたときはあった!?」

    巌窟王「なかったな。俺には忘却補正があるからまず間違いないぞ。あったのは俺がここから寄宿舎に戻るときだけだ」

    最原(確定! アンジーさんはここより上にいる!)

    最原「急ごう!」

    610 = 1 :

    某所

    ウゾウゾ……ウゾウゾ


    アンジー「う……あ……?」

    アンジー(……気持ち、悪い……体中に何かが張り付いてる気がする……)

    アンジー(暗い……気持ち悪い。頭が……ふわふわする……)

    ギシッ

    アンジー(……よくわからないけど、体が動かない……?)

    アンジー(縛られてるの……?)

    ウゾ……ジュルッ……

    アンジー(やだ……離れてよ……)

    アンジー(怖い……)

    アンジー(……でも何か、助けを呼んだらいけない理由があったような……?)

    アンジー(そもそもどうしてこんなことになったんだっけ……?)

    611 = 1 :

    休憩します!

    612 :

    桜ちゃん思い出すわ…

    613 = 1 :

    後のことは大体本編の通り!
    今日のところはここまで!

    614 = 1 :

    巌窟王の影響をモロにうけてる生徒のログ

    最原
    本当は帽子を付けていたいが赤松にからかわれるので外している。人の視線に関しては気合で慣れた。
    アンジーのアタックに関して一番困ったことは巌窟王に目の敵にされたこと。割とショックだった
    本人は巌窟王の背中を追いかけているつもりだが、割と独自の方向に暴走しがち。気持ちは本物なので無自覚に味方を作る。

    夢野
    巌窟王に対して『お主にとっての魔法使いとは』と訊ねたことがあるが、そのときイリヤを連想した巌窟王が『作詞?』と答えたためたまに作詞している。赤松協賛。
    なおイリヤはネロとかエリザの歌の作詞とかしている。

    入間
    第一印象でこそ魔術に対して懐疑的だったが、今となっては全力で魔術を解析しにかかっている。伊達に発明家やってないので解析力は折り紙付き。
    巌窟王の見立てでは魔術回路の質と量は両方ともに『アンジーよりかなり下』くらい。

    天海
    アマデウスの仮面を外した後は全力で巌窟王のサポートに回る。
    才能を思い出せていないため他の生徒に対して引け目を感じているが、できることをしようと考え方を変えようとしている。
    アマデウスの仮面そのものを手放す気はない。

    獄原
    凄まじいトレーニングの結果、過労で倒れることとなった。
    未だに誰一人として知る由もないが、この後、彼は超ゴン太として復活を遂げることとなる。
    半分嘘である。

    アンジー
    段々『自分の感情』を表に出すようになってきている。だがそれを指摘すると仮に巌窟王が相手だったとしても否定する。
    それ自体が感情の証明になっているということに彼女が気付くことはない。
    『巌窟王に甘やかされている』という理由でカルデアの女神連中から目を付けられている。好奇の視線的な意味で。

    615 :


    東条はその枠に入らないのか

    616 = 1 :

    その内入る。
    寝る!

    617 :


    この中じゃアンジーが一番魔術回路のレベルが高いのかな?

    618 :

    超高校級の美術部の研究教室周辺

    最原「ここからは別行動を取ろう! ここまで絞り込めれば、本腰入れて探せば見つかるよ!」

    最原「身軽な巌窟王さんは超高校級の民俗学者の研究教室を調べてて! あっち広すぎるから!」

    巌窟王「了解した」

    最原(アンジーさんの研究教室は巌窟王さんがいたから除外)

    最原(残るは三つの空き部屋と、謎の超巨大な機械があったあの部屋のみ……)

    最原(……三つの空き部屋の方を調べよう! 確かあそこは床下にスペースがあったはずだ!)ダッ



    三つの空き部屋:中央

    最原「あれ……なんだろう。微かに何か燃えたような臭いがするような……?」

    最原「……それどころじゃないな。床板を剥がしてみよう!」

    最原「アンジーさん! いる!?」ガリッガリッ

    最原(……結構隙間なくピッチリ並べられているから爪が引っかからないと、いまいち剥がしにくいな……!)



    「む……ん……」



    最原「!」

    最原(……いた。いや、絶対にいる。微かな声だから聞き逃しそうだったけど)

    最原「……ッ!」ガリィッ

    最原(無理でもなんでもいい。とにかく自分の手が傷ついてでも、急いで床板を取っ払う)

    最原(だけど床下は思ったよりも遥かに薄暗かった)


    モゾッ


    最原(床下に何かが蠢いているということ以外は何も見えない)

    最原「……そうだ! 蝋燭! 燭台!」

    ガッ

    最原(そして僕は蝋燭で床下を照らして……)

    最原(照ら……して……?)

    最原「……え、あ、ひ……!?」

    619 = 1 :

    超高校級の民俗学者の研究教室

    巌窟王「……なんだこれは。アルミホイルの……破片?」

    巌窟王「何故こんなものがここに……」

    最原「うわあああああああああああああッ!?」

    巌窟王「!」



    中央の空き部屋

    最原「あ、あ、ああ……?」ガタガタ

    最原(僕が見ているものは現実か?)

    最原(……いや……夢なんかじゃない。この手に刻まれた傷が、痛みがそれを証明している)

    最原(床下に広がる光景は、明らかに常軌を逸していた)

    最原(……常軌を逸して、グロテスクだった)

    巌窟王「最原、ここかッ!?」ガララッ


    ズンズンズンッ


    バキィッ!


    巌窟王「ぐあああああ! 床板が抜け……違う! この部屋ではない! 隣か!」


    ガララッ


    巌窟王「最原! ここだな!? 何が……?」

    巌窟王「……アンジー?」

    620 = 1 :

    最原(巌窟王さんと共に深淵に目を奪われる。そこにいたアンジーさんは、着衣が乱れていた)

    最原(パーカーは限界まではだけ、ビキニはズレて、上履きも脱げて転がって裸足だ。いつもより露出度が上がっているように見える)

    最原(だけどそれを呑気に眺めていられる状況ではない)

    最原(アンジーさんの健康的な褐色の肌には、ところどころ『くっついていた』)

    最原(あれは……)

    巌窟王「ヒル、か……?」

    最原(そう。血を吸い上げ、丸々と太っているヒル)

    最原(……アンジーさんは荒縄で縛り上げられている状態だ。無抵抗に……血を吸われていた)

    最原(あまりにも酷い光景だった)

    621 :

    原作よりだいぶホラーだな
    キルミーは仕方ない所もあるが真宮寺はどうやったら許されるのか

    622 = 1 :

    休憩します!
    ……ここから非日常編スタートでもよかった気もする

    623 = 1 :

    巌窟王「……」

    巌窟王「獄原を呼ぶ必要があるな。こういうのはヤツの得意分野だろう」

    最原「今すぐ燃やすわけにはいかないの……?」

    巌窟王「……燃やしたところで傷口から延々と出血するだけだ」

    巌窟王「安心しろ。すぐに戻ってくる」グシャッ

    最原「……」

    最原(頭を乱暴に撫でられた……)

    最原「……巌窟王さん」

    最原(気付いたときには巌窟王さんは消えていた)

    最原「……僕は……やっぱり無力なのかなぁ……」

    最原「うっ……ううっ……!」

    アンジー「……む……ん……?」

    最原「!」

    最原(アンジーさんの目が薄く開いた。薄暗くて今一判別しづらいけど、視線がこちらに向いている気がする)

    最原「アンジーさん!」

    アンジー「む……んん……」ギシッ

    最原「あ……口になにかハメられてるの?」

    624 = 1 :

    最原「待ってて、今それは解くから……体の方は……」

    最原「ごめん。ヒルを毟り取られたら出血が酷くなるだけだから、今は我慢して」ガタガタッ

    最原(床板を更に剥がす。一枚、二枚剥がれれば、後は簡単にどかすことができた)

    最原「……随分と本格的な猿ぐつわだな……」

    最原(口の中に丸めた布を突っ込んでから、それを吐き出させないようにぐるりと布で口周辺を巻くタイプだ)

    最原(口の中に含ませる布の量によっては、これだけで体力が消耗する)

    アンジー「……ぷ……は……しゅう……いち……」

    最原「アンジーさ……!?」

    最原(酒臭ッ!?)

    最原(猿ぐつわを解いた瞬間に充満する酒の臭いに、思わずむせ返りそうになる)

    最原(……いや、気付いてなかっただけで、もう既に臭っていたのかもしれないが、それにしても凄まじいアルコール臭だ)

    最原(一番酷い臭いの元は)

    最原「……猿ぐつわの布に……何か沁み込ませてあるな。これはワイン?」

    アンジー「あ……うう……」

    最原「……」

    最原(泣いている場合じゃなくなったかもしれない)

    最原(なんだか次は凄く……)

    最原「腹が立ってきた」

    625 = 1 :

    最原(何かの間違いで鼻が詰まってたら窒息死していたかもしれない。布を誤飲してもやっぱり窒息)

    最原(……仲間のことをなんだと思ってるんだ……!)

    アンジー「終、一……お願いが、ある、の……」

    最原「なに? 口の周りがベトつくんなら、ハンカチがあるから……」

    アンジー「そうじゃ、なくって……令呪……!」

    最原「……ん?」

    アンジー「令呪、あげるから……アンジーの替わりに……神様を、守って……」ポロッ

    アンジー「アンジーがいなくなっても、令呪を引き継いだ誰かがいれば、神様は消えないから……ひっく……!」ポロポロッ

    最原「……」

    最原「大丈夫。アンジーさんは死なないから」

    最原「もう僕が見つけたから」

    最原「すぐに巌窟王さんがゴン太くんを連れて来るよ。そうしたら助かるから」

    アンジー「えうっ……アンジーは……ひっく……アンジーは……」ポロポロッ

    最原「……」

    最原「泣いちゃダメだよ。水分は大事だからさ。今は」スッ

    最原「僕がいるから、もう怖くないよ」

    626 = 1 :

    寄宿舎

    巌窟王「獄原! 悪いが緊急事態だ! 今すぐ俺と共に来い!」ドンドンッ

    巌窟王「……ええい、時間も惜しい。ドアを破壊してでも連れて……!」

    ガチャリンコ

    巌窟王「?」

    巌窟王(ドアの鍵が開いている?)

    巌窟王「獄原?」

    獄原「……むにゃ……」スヤァ

    巌窟王「……無事だな」

    巌窟王(しかし、枕元に置かれているこの大量の炭酸飲料はなんだ? いくつか飲みさしだが……)

    巌窟王(……)

    巌窟王「王馬の見舞いか。なるほど。鍵をかけるのを面倒臭がったな?」

    627 = 1 :

    獄原「……ふあ……ん? 誰かに担がれて……る……?」

    巌窟王「我が征くはアンジーの傍ら!」ズダダダダダッ

    獄原「……」

    獄原「なんだ夢か!」

    巌窟王「夢ではない! ひとまず事情を今から説明する!」

    巌窟王「このまま俺に身を任せていろ! そうら、すぐに到着だぞ!」ギンッ

    獄原「え、え? 何っ……ええっ!?」ガビーンッ

    628 = 1 :

    中央の空き部屋

    ガララッ

    巌窟王「連れて来たぞ! 最っ……!」

    アンジー「終一。好き。本当に好き……大好き……」

    最原「……最初からそう言っていれば……」

    最原「あっ」←巌窟王と目があった

    巌窟王「……最初からそう言っていれば……?」

    巌窟王「何だと言うのだ? なんだと……」ガクリッ

    バターンッ

    巌窟王「」チーン

    最原「魔力不足から来る体力不足と心労のダブルパンチで倒れちゃったーーーッ!?」ガビーンッ

    獄原「ごめん! 巌窟王さん! 今はそれどころじゃないから放置させてもらうよ!」

    獄原「すぐにヒルさんをアンジーさんから離すね!」ダッ

    629 = 1 :

    今日のところはここまで!

    630 :

    果たして終一とアンジーの運命は…乙

    631 :

    乙乙

    とりあえず大量の塩を買い占めておいたからここ置いときますね

    632 :

    1人の女子をヒルに食わせて、1人の女子をロッカーに詰め込んで……
    まさかかごのこはまた別の女子に使うつもりだったのか
    何人殺そうとしてたんだあいつ

    633 :

    午前二時

    獄原「……ひとまずヒルさんをアンジーさんから離して、ヒルさんの抗凝固作用を持った唾液を分解する酵素も投与したから大丈夫……」

    獄原「……って言いたいんだけど、ちょっとコレ手遅れだったね」

    最原「は?」

    巌窟王「……アンジーはまだ生きているぞ?」

    獄原「うん! わかる! それはわかるんだけど……! いや、ハッキリ言って助かる余地はあるんだけど」

    最原「逆に言えば『助かる余地が多少はあるって程度』には消耗してるってこと?」

    巌窟王「……」

    巌窟王「待て、しかして――」ポワッ

    アンジー「うぐっ……!」

    巌窟王「……ダメだな。この消耗状態では、本末転倒になりかねない」

    最原「何しようとしたの?」

    巌窟王「回復宝具を使おうとした……が、無理だった。仕方がないな」ポチポチ

    634 = 1 :

    BB『はーい! いつもニコニコあなたの傍に寄り添う後輩、BBちゃんでーっす!』

    巌窟王「我がマスターが死にそうだ。助けてくれ」

    BB『……え。あの。いつものクソ迂遠な言い回しと、チクチク責めて来るハイテンションな嫌味はどうしました?』

    巌窟王「頼む」

    BB『……』

    BB『わかりました。おふざけなしで行きますよ。何が必要です?』

    巌窟王「泥酔した状態で出血している。水分と輸血の設備だ」

    BB『はいはいっと……あー。カルデアの礼装の類は転送できませんよ。アレに手を付けたら本気でデリートされちゃいます』

    BB『カルデアに縁のある人間しか使えませんしね』

    巌窟王「わかった」

    635 = 1 :

    巌窟王「治療設備が届く。今度は気合を入れて俺の近くに転送されるように手配するようだ」

    最原「……助かるかな?」

    巌窟王「死ぬと思っているのか? 俺のマスターだぞ?」

    巌窟王「俺が死なせない」

    最原「……」

    最原(ピンチのときに巌窟王さんほど頼りになる人はいないよな……本当になんとかなる気がしてきた)

    BB『はい! 転送しましたよー! あんまり大量には送れないのですが!』

    巌窟王「あるだけマシだ。さあ! どこに転送されて」

    ヒュンッ

    グシャッ


    巌窟王「ぐああああああああああ!?」

    最原「巌窟王さんが設備の下敷きにーーーッ!」ガビーンッ!

    636 = 1 :

    巌窟王「ぐううううう……!」

    巌窟王「クハハハハハハ! 幸運だった! 俺が下敷きになったお陰で機材と輸血パックは一切無事だぞ!」

    最原「凄くポジティブ!」

    BB『私が指示しますので、ひとまずテキパキやっちゃってくださーい』

    獄原「アンジーさん! 助かるよ! 巌窟王さんが助けてくれるよ!」

    アンジー「……うん……」




    最原(こうして混沌の内に始まった夜は、ひとまずの終わりを告げた)

    最原(でも……アンジーさんはまだ助かっていない)

    最原(これからどう転ぶかも不明瞭だ)

    最原(そして……この状況を心の底から面白がっているヤツが一人いた)

    最原(……半分くらいの確率で乗ってくるとは思っていたけど)



    モノクマ「うぷぷ……これだね……全員生き残っちゃったお陰で用意した動機がパァになっちゃってたけど」

    モノクマ「……これを動機にしちゃお。それを望んでいる人もたくさんいるみたいだしね……」

    モノクマ「うぷぷ……うぷぷぷぷぷ……」

    637 = 1 :

    休憩します!

    638 :

    機材に潰されるという不幸と引き換えに機材と輸血パックを無傷で手に入れるという幸運を引き寄せるなんて
    やはり彼は希望だよ!

    639 :

    こんにちは! 私、マスター!
    こっちは宝具2の武蔵ちゃんの前でうっかり召喚されちゃって心臓麻痺寸前の過呼吸な刑部姫!
    そして今日の更新は夕方な予定なの!

    640 :

    >>639
    うるせえぞこの!乙!
    俺なんか頼光さん目当てで引いたら出なくて柳生さん宝具5になったんだからな!

    641 :

    午前二時十分

    巌窟王「……」

    巌窟王「顔色が良くならないぞ」

    BB『ああーっ……コレ、現実的な治療の範囲だと危ないかも……!』

    巌窟王「何……?」

    BB『本当に消耗しきってるっていうか……バイタルは機械越しにモニタできてるので治療に全力は尽くしますけど』

    BB『助かるかどうかは五分五分と言う他に……なさそうです』

    最原「そんな!」

    獄原「な、なんとかならないの!? 巌窟王さんの友達なら、魔術でもなんでも使うとかさ!」

    巌窟王「友達ではない。そしてそれは不可能だ」

    巌窟王「……そういうモノを送ったとして、使える人間がいない」

    BB『ただコレは現状は、の話です。他に味方に付けられそうな人とか設備とかありませんか?』

    巌窟王「……」

    巌窟王「モノクマ……しかいないだろうな」

    最原「最悪な着地点だ……!」

    642 = 1 :

    モノクマ「はいはーい! お呼びしましたかー!」ボヨーンッ

    獄原「うわっ! 出た!」

    モノクマ「で? なに? 用があるの?」

    巌窟王「アンジーを助けろ」

    モノクマ「いいよ!」グッ

    巌窟王「これでよし」

    最原「……」

    最原「は?」

    最原「はあ!?」ガビーンッ!

    643 = 1 :

    最原「いやいやいや! 巌窟王さん! 何もよくないけど!?」

    最原「モノクマ! 確かお前、生徒同士のコロシアイには関知しないって校則で……!」

    モノクマ「あー。うん。それはそうなんだけどさ……」

    モノクマ「オマエラがコロシアイを成立させる前に見つけちゃったから、もうコロシアイに関しては『破綻した』とみなしたよ」

    最原「校則に関してはそれで納得するとして、だ!」

    最原「何を企んでる!? 怪しすぎるぞ!」

    モノクマ「あ。バレた。いや、アンジーさんの体の中に謎の改造を施そうとか考えてませんよ?」

    巌窟王「……そんなことをしたら確実に貴様を燃やすぞ」

    モノクマ「まあ大丈夫! アンジーさんは一〇〇%治すから!」

    モノクマ「ただし……最原くんが察した通り、タダで、とはいかないなぁ……?」ニヤァ

    最原「……!」

    644 = 1 :

    モノクマ「そこまで理不尽なことを要求する気はないよ。むしろ、オマエラの利になることかもね……?」

    巌窟王「言ってみろ」

    モノクマ「アンジーさんを殺そうとした『未遂犯』を議論すること。これがボクの提示する条件だよ」

    最原「……議論? えっと、それって……」

    獄原「学級裁判みたいに、ってこと?」

    モノクマ「エサクタ!」

    モノクマ「もちろん未遂だから正しい犯人を指摘したとしてもおしおきはなし」

    モノクマ「間違った人間を犯人扱いしても、これまたおしおきはなし」

    モノクマ「ただし……多数決によって選ばれた生徒が、犯人かそうでないのか、の成否の確認のみは通常の学級裁判と同様」

    モノクマ「つまり『一〇〇%公正に』行われるよ」

    モノクマ「謂わば疑似学級裁判だね」

    最原「疑似……」

    645 = 1 :

    最原「……これがお前にとって、どんな得になるんだ?」

    モノクマ「あらら。凄い疑り深いね。人生損するタイプ」

    モノクマ「……これがボクの提示する新たな動機だから、とだけ言っておくよ」

    最原「!」

    モノクマ「トリックが破綻しちゃった犯人にとっては『やり直し』のチャンスだしね。コレ」

    巌窟王「……確かに、このままアンジーがズルズル死にかけの状態のままだと……」

    最原「そうか。アンジーさんの口から犯人の名前が漏れるんだ。もしかしたらトリックも全部喋られるかも」

    最原「そのまま死んじゃったら学級裁判は盛り上がらない。だからモノクマはアンジーさんの治療を申し出たんだな?」

    最原「……治療するって名目で隔離して、アンジーさんの記憶に『何か』するために」

    巌窟王「生徒たちの記憶を奪ったモノクマだ。再度記憶を封印すること程度、容易いだろうな?」

    モノクマ「うぷぷ」

    646 = 1 :

    モノクマ「そこまでわかっているんなら、ボクの提示する条件の前提もわかってるよね」

    巌窟王「アンジーに『誰にやられたのか』を訊ねるのもアウト。そういうことだろう」

    モノクマ「イグザクトリー!」

    モノクマ「アンジーさんの声で、誰が犯人かを聞いた人間が一人でも出た場合、この取引はナシだよ」

    モノクマ「すべて白紙に戻してもらう」

    モノクマ「……それでもいいかもね? 助かる確率はゼロじゃないんでしょ?」

    BB『コイツ……』

    巌窟王「飲もう。アンジーは連れていけ」

    最原「巌窟王さん!」

    巌窟王「……ただし。助かったアンジーの身に、何か余計な付録でも付いていたら……わかるな?」

    モノクマ「うぷぷ。大丈夫だよ! ボクは殺人ドクターの異名を持つからね!」

    最原「殺しちゃってるじゃないか!」

    最原「いや、それ以前に……!」

    巌窟王「文句は受け付けない。犬にでも食わせておけ」

    最原「……」

    獄原「ええーっと。で、どういうことになったの?」

    モノクマ「こういうことになったの!」


    ピンポンパンポーン!

    647 = 1 :

    モノクマ『死体が発見されまし……あ、ごめん! 誤報です!』

    モノクマ『死体は発見されませんでしたが、これより、一定の捜査時間を設けます!』

    モノクマ『疑似学級裁判に関する資料をすぐに全員に配りますので、詳細はそこを参照してくださーい!』


    ブツンッ


    最原「……モノクマ」

    モノクマ「なぁに?」

    最原「いつまでもお前の思い通りになると思うなよ」

    最原「こんなところ、いつか絶対に抜け出してやる」

    最原「……絶対にだ!」

    モノクマ「……うぷぷ。無理なのになぁ……! オマエラはどこまで行っても、ボクの肉球の上で踊ってるだけなんだよ」

    モノクマ「うぷぷぷぷぷ……あーっはっはっはっはっは!」

    648 = 1 :

    休憩します!

    649 = 1 :

    疑似学級裁判概要

    ・正しいクロを指摘してもおしおきは行われません。
    ・間違った生徒をクロと指摘した場合においてもおしおきは行われません。
    ・上記のルールの都合上、間違ったクロを指摘した場合はクロが誰なのか周知されません。
    ・ただし、多数決によって指摘された人物がクロだった場合は『正解である』と必ず周知されます。
    ・なお、被害者である夜長アンジーさんの発言権は確実に制限されます。ご了承ください。


    最原「……シロにとっては危険人物を知るチャンスで、クロにとってはやり直すチャンス、か……」

    最原(ミスリードだな。実際のところ、これでせっかく沈静化してた生徒間の軋轢が更に深く、強くなる)

    最原(……でも、乗らないわけにもいかないよな)

    最原「調査を始めるよ。ひとまず、今夜何があったのかを一から調べなおす」

    最原(いや……今から考えると、遡る時間が一夜で済むかどうか疑問だな……)

    モノクマ「それじゃあ、さっそくアンジーさんを集中治療室へ――!」

    最原「待って。アンジーさんの体でまだ調べられてないことがある」

    最原「それが終わるまではここで治療して」

    モノクマ「薄い本みたいに?」

    最原「うるさい!」

    巌窟王「……最原」

    最原「ん?」

    巌窟王「変な気を起こすなよ……」ゴゴゴゴゴゴゴ

    最原「大丈夫! 大丈夫だから!」アタフタ

    650 = 1 :

    数分後

    最原「頭の出血痕は打撃によるものだな。それと、口の中が荒れ放題だ。何か棒みたいなものを入れられて引っ掻き回されたような」

    最原「……あとやっぱり酒臭い。未成年にしてはありえないレベルだ」

    モノクマ「これも消耗の理由だね。ただ出血しただけなら、ここまで危険なことにならないよ!」

    BB『大分強いお酒をガバガバ飲まない限りはこうはなりませんよ。血中アルコール濃度もアホみたいに高いです』

    最原「猿ぐつわに沁み込ませてあったワインは……どう考えてもダメ押しだな」

    最原「これに沁み込ませた量だけじゃ、どうしたって足りない」

    巌窟王「……」

    最原「……巌窟王さん?」

    巌窟王「もういいか?」

    最原「あ、ご、ごめん! もう大丈夫だよ! モノクマ!」

    モノクマ「オーキードーキー!」

    アンジー「……神、様……」

    巌窟王「もう何も喋るな。次に会うときまでにすべて片付けておいてやる」

    アンジー「……」コクリ

    最原(アンジーさんはモノクマに連れられて、どこかに行ってしまった)

    最原(巌窟王さんの脅しもある。多分、大丈夫だ。そう信じるしかない)


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