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    元スレ美希「デスノート」

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    451 :

    >>449
    みんなと一緒にステージに立ちたい言うてるしそれはない・・・と思いたい

    452 :

    つまり2回目のステージは無い、と

    453 :

    美希「じゃあこれで春香は“765プロ潰し”計画の情報が一気に入手できて……って、あれ?」

    春香「ん?」

    美希「春香は、この黒井社長の側近の人の顔って知ってたの?」

    春香「ううん、知らなかったよ。ホームページに写真が載ってたのは黒井社長だけだったしね」

    美希「ってことは……」

    春香「うん。だからこの人の顔は直接確認するしかなかった」

    美希「直接って……961プロに行って、ってこと?」

    春香「まあそういうことだね。要は張り込みですよ。張り込み」

    美希「張り込みって、刑事ドラマとかでよく見る、あれ?」

    春香「そう、あれ。オフの日や仕事の合間の空き時間とかを使って、961プロ本社の正面玄関が見える位置でひたすら張り込みしてたんだ。目当ての人物が現れるまでね」

    美希「えっと……でも側近の人って、名前しか分からなかったんだよね? 春香は」

    春香「うん」

    美希「じゃあ実際にその人が現れても、その人がそうだって分からなかったんじゃない?」

    春香「そこでこれですよ。これ」

    (自分の目を指差す春香)

    美希「目……あっ」

    春香「そう。私は961プロへ張り込みをする前に、レムと目の取引をした」

    美希「! ………」

    455 :

    春香「まあそりゃそうだよね。いくらなんでも、デスノートを拾った人間が同じようなタイミングでそう何人も現れるはずないし」

    美希「…………」

    春香「でも、美希の口から直接聞けてスッキリしたよ。正直、まだ100%の確信までは無かったからね」

    美希「? そうなの?」

    春香「うん。動機から考えても、前のプロデューサーさんを殺したのは美希で間違い無いと思ってた。でも実はキラの方はそこまでの確信は無かったんだ」

    美希「…………」

    春香「なんというか、犯罪者を次々と裁く“キラ”のイメージと、いつものゆるゆるっとした“美希”のイメージが、どうしても上手く結びつかなくて」

    美希「あー……それはまあそうかもなの」

    春香「美希はキラなのか? それとも違うのか? この二か月間、私はずっとそれを考えてた」

    美希「…………」

    春香「あと、美希が目を持っているのかどうかも気になってた。もし持ってるなら当然私の事も気付いているはず。でも美希は何も言ってこない……」

    美希「ミキは目の取引もしてないし、デスノートの所有者の見分け方も、さっき春香に教えてもらうまで知らなかったの。だからまさか、春香もデスノートを持ってたなんて夢にも思わなかった」

    春香「そうなんだよね。おかげで私は独り相撲だったよ。美希がキラかどうか確かめようと思って、色々カマ掛けたりもしてたのに」

    美希「えっ。そうだったの?」

    春香「ほら。美希が犯罪者裁きを始めてからすぐの頃、皆で事務所から帰ってる時にさ」

    美希「……あっ」


    ――えっと、そういえば……プロデューサーさんの死因も『心臓麻痺』だった……よね。

    ――もしかして、プロデューサーさんも、キラに……。

    ――ま、それもそうか。それにもし仮にそうだとしたら、私達の中にキラがいるってことになっちゃうもんね。


    美希「……本当なの。ミキ、全然気づかなかったの」

    春香「あはは……まあ、それだけ信頼されてたってことかな」

    456 = 455 :

    春香「そんな感じで、多少想定外ではあったけど、とにかく前のプロデューサーさんが死んで……私は次に何をするべきか考えた」

    美希「えっと、ミキ達に害をなす人でまだ殺してないのって……黒井社長? あ、でもさっき“償い”がどうこうって……」

    春香「そう。いずれにせよ、黒井社長には私達への“償い”をしてもらうつもりでいたから、このタイミングで美希が前のプロデューサーさんを殺してくれたのは私にとってはむしろ好都合だった」

    美希「? 好都合?」

    春香「うん。まあもっともその後、美希が犯罪者裁きまで始めたのは完全に予想外だったけどね」

    美希「…………」

    春香「でもそれも大した問題じゃなかった。それにそのときはまだ美希が犯罪者裁きをしているっていう確証も無かったしね」

    春香「とにかく、美希にせよ他の誰かにせよ、犯罪者裁きが始まったのなら、それも当初の計画に組み込んでしまえばいいだけ……私はそう考えて、美希による犯罪者裁きが始まってから数日後、黒井社長宛てに一通の手紙を送った」

    美希「手紙?」

    春香「そう。今度は難しい工作は必要無い。指紋とかが付かないようにだけ注意して、後は普通に961プロダクション代表取締役社長・黒井崇男宛てに匿名で送るだけ」

    春香「ただその手紙の内容は、黒井社長にとっては絶対に無視できないものだけどね」

    美希「? どういうことなの?」

    春香「黒井社長の側近の人をデスノートで操って得た『961プロがこれまで行ってきた悪事』に関する情報……私はそのうちのいくつかを手紙に書いて、黒井社長を脅迫した」

    美希「あー。それでその情報を送らせてたの」

    457 = 455 :

    春香「そういうこと。そしてその情報の中には、もしそれらが表に出たら961プロが完全に社会的信用を失うであろうものもいくつかあった」

    美希「それで『これらの事をばらされたくなければ言うことを聞け』って言ったんだね」

    春香「うん。そしてこうも言った。『これまで複数のアイドル事務所関係者を事故死や自殺などに見せかけて殺してきたのは私です。今は犯罪者達を裁いています』ってね」

    美希「ああ、組み込むってそういう……」

    春香「そ。美希には悪いけど、勝手に使わせてもらっちゃった。もっとも、そのときはまだ裁きが始まってすぐの頃だったから、“キラ”っていう名前は浸透してなかったけどね」

    春香「それから手紙には続けてこう書いた。『私は離れている人の心を読むことができるしその人を自由な手段で殺すこともできます。ゆえにあなたの考えていること、これまで行ってきた悪事については全て分かっています。死にたくなければ、また過去の悪事をばらされたくなければ私の言うことに従って下さい』ってね」

    美希「あはっ。春香ったら嘘八百なの」

    春香「まあね。でもこれくらい書いてもばれっこないし、本当に殺されるかは別にしても、どのみちばらされたくない秘密がある以上黒井社長は従うしかない」

    美希「確かにね」

    春香「まあでも結果的には美希がやってくれてた犯罪者裁きにかなり助けられたかもね。私がやってたアイドル事務所関係者殺しの方だけだと、偶然性を完全には否定しきれず、脅迫材料としては少し弱いかな、って思ってたから。実際、世間的には偶然に見せかけるために死因を事故死や自殺にしてたわけだしね」

    春香「そういう意味で、『今現在、犯罪者だけが次々と心臓麻痺で死んでいっている』という事実は、黒井社長をして私が手紙に書いた指示内容に従わせるのに十分だった」

    美希(春香がまた悪い顔になってるの)

    458 :

    きてたか

    459 = 455 :

    美希「で、春香は黒井社長になんて指示したの?」

    春香「えっと、まず『あなたの弱者をいたぶる姿勢は正義として見過ごせません。今後はあなたの命を賭して、これまであなたが踏み付けてきた弱者に贖罪をしなさい』と」

    美希「へえ」

    春香「それから『まず手始めに、あなたが長年痛めつけてきた765プロダクションに対し、今あなたの下で働いている○○というプロデューサーを移籍させなさい』って」

    美希「えっ! それって……」

    春香「うん。そういうこと」

    美希「春香が……移籍させたんだ。今のプロデューサーを、961プロから。……でも、何で?」

    春香「今のプロデューサーさんとは、前に一度、歌番組の収録でジュピターと共演した時に会ったことがあってね。現場での対応力を見る限り有能そうだったし、当時彼が担当していたジュピターの人気ぶりを見るに、その実力も申し分無いだろうと思って」

    美希「そうだったんだ」

    春香「それにさっきも少し言ったけど、今のプロデューサーさんは961プロが行ってきた過去の悪事にも絡んでいないようだったしね」

    美希「でも、春香。流石にそれってちょっとあからさま過ぎない? 黒井社長に『765プロの中にキラがいます』って言ってるようなものなの」

    春香「別にそう思われてもいいんだよ。いずれにせよ黒井社長は手紙の内容は絶対に口外できないし、もし少しでも不審な動きを見せたらデスノートで殺せばいいだけ」

    美希「…………」

    春香「いい? 美希。私達が捕まる証拠があるとしたらこの『デスノート』しか無いんだよ。これを直接押さえられでもしない限り、絶対に捕まりっこないんだから」

    美希「それはまあ、そうだけど……」

    リューク「ククッ。どっかで聞いたことのあるセリフだな。ミキ」

    美希「…………」

    460 :

    春香さんが月だったのかー

    461 = 458 :

    美希が春香をどう見るか・・・

    462 = 455 :

    春香「まあでも、流石に最低限のカモフラージュはするように指示したよ。移籍させるプロデューサーさんに対しても高木社長に対しても、絶対に脅迫されていることを悟られないように、極力自然な形で話を切り出せってね」

    美希「それだけ? もっと具体的に指示しなかったの?」

    春香「うん。そこはもう黒井社長の判断に任せた方がいいかなって」

    美希「でもプロデューサーの方はともかく、うちの社長は絶対警戒すると思うんだけど……前のプロデューサー自体、黒井社長が送り込んだスパイだったわけだし」

    春香「まあね。でも元々、黒井社長は高木社長とは旧知の仲だったから、どういう言い方をすれば自然に受け取られるかも熟知しているだろうし、何より黒井社長は自分の命と会社の社会的信用がかかっているからね。まず下手を打つようなことはしないだろうと思ってた」

    美希「なるほど。じゃあ結果的には上手くいったってこと?」

    春香「うん。今のプロデューサーさんがうちに来てから、あくまでも元々一連の事情を知っていた立場として、社長さんに話を聞いたんだけど……黒井社長は、“765プロ潰し”計画に関与していたアイドル事務所の関係者達と、うちの前のプロデューサーさんが相次いで死んでいったのを見て、『765プロを潰そうとしていたから天罰が下った』と思ったんだってさ」

    美希「へぇ。一応それっぽい理由なの」

    春香「でしょ? それで、黒井社長はこれまでの経緯も全て認め、謝罪し、そのお詫びとしてプロデューサーさんをうちに移籍させることを申し出たってさ。さらにこれまで例の投資会社を通じて行っていた出資も継続するし、これまでの妨害工作でうちに発生した損害も全部補填するとまで言ったらしいよ」

    美希「へー。そこまで言ったんだ」

    463 = 455 :

    春香「もちろん、事情を知らない他の皆の前では、社長さんも、『黒井社長がかつての仕事仲間だった高木社長を助けてくれたらしい』っていう形にして説明してたけどね」

    美希「ああ、確かにそんなこと言ってたね。今のプロデューサーがうちに来た日に。でも実際のところ、この件はそれでもうおさまったの?」

    春香「うん。黒井社長がそこまで言えば、後は我らが高木社長だからね。全てを信じて、水に流すことにしたってさ」

    美希「そっか。実に社長らしいの」

    春香「まあ実際、アイドル事務所関係者がもう九人も死んでる上、犯罪者裁きまで始まってたからね。黒井社長の立場上、『次は自分の番だ』と思ってもおかしくないし、その黒井社長の言葉を社長さんが信じても不自然じゃないよ」

    美希「確かにね。で、他には何か指示したの? 黒井社長に」

    春香「他には……そうだ。『自分の息のかかった事務所にも、これまでのように弱者をいたぶるような真似はさせず、自由で公平な競争をさせるように』みたいなことも書いたね。要は961プロと裏でつながってる事務所にも、弱小事務所いじめをさせるなってことだけど」

    美希「あー……それは、ミキが海砂ちゃんと例のCMにコラボ出演できたことに関係ありそうな気がするの」

    春香「? どういうこと?」

    美希「えっと、今のプロデューサーがね。そのCMのコラボ出演の件、うちの方からヨシダプロにお願いしたって言ってたの。でも元々、ヨシダプロの社長さんが黒井社長と裏でつながってたのなら……」

    春香「ああ、そうだね。確かに、以前ならそういう話も黒井社長の指示で確実に断られていたと思う」

    美希「ってことは……ミキが海砂ちゃんと共演できたのは春香のおかげだったんだね。どうもありがとうなの」ペコリ

    春香「あはは……どういたしまして」

    464 = 455 :

    春香「で、こんな具合に、私は黒井社長に対しては最大限の脅迫をしつつ、今後もまた利用できそうな場面があればいつでも利用できるようにしてるってわけ」

    美希「なるほど。それでずっと殺さずにおいてるんだね」

    春香「うん。“償い”はまだ終わってないからね。まあ、終わりがあるのかどうかも分からないけど」

    美希「…………」

    春香「でも、いくら脅迫したりするにしても、黒井社長がやってたみたいに、他のアイドル事務所を実力以外の力で蹴落とすような真似だけは絶対にしないよ。それをしたら黒井社長と同じになっちゃうし」

    美希「うん。そうだね」

    春香「ただ961プロ時代にプロデューサーさんが担当していたジュピターに対してだけは、ちょっと悪いことしちゃったかなって思わないでもないけど……まあでも961プロの資金力なら、すぐに有能な人を雇えると思うし。実際、人気も落ちてないしね」

    美希「むしろ前より人気出てるような気もするの」

    春香「ともあれ、そんな感じでようやく、私も美希のことは気になりつつも、“765プロ潰し”の危機が事実上去ったことから、とりあえずはまたアイドルの本業に集中しようと思い始めた。そんな矢先だった」

    春香「今から一週間前……突然、二人組の刑事さんがキラ事件の捜査でうちの事務所に来た」

    美希「! …………」

    春香「警察手帳を出されたとき、目を持つ私にはすぐにそれが偽名だと分かった」

    美希「えっ! あれ偽名だったんだ。二人とも?」

    春香「うん。流石にちょっと考えたよ。こんな物まで用意してるってことは、警察は既にキラの殺しの条件がある程度分かってるんじゃないかって」

    美希「…………」

    春香「それに何より、警察がうちの事務所に来た……この事実は大きい。確かに前のプロデューサーさんの死因と死亡時期を考えたら、たとえ一応でも確認しようとするのは分かるけど」

    美希「…………」

    465 = 455 :

    春香「でも一方で、これはチャンスかとも思った。美希がキラなのかどうかを確かめられるかもしれないと思ったから」

    美希「! …………」

    春香「そして実際、先に聞き取りを終えた美希の顔を見てほぼ確信したよ。『ああ、やっぱり美希がキラだったんだ』って。美希は一見、平静を装っているように見えたけど、明らかに普通の様子じゃなかったからね」

    美希「…………」

    春香「まあ、それでも美希自身の口から聞いていない以上、99%ってとこだったけどね。そして残りの1%が今日やっと埋まったって感じ」

    美希「じゃあ、それがさっきの……」

    春香「うん。そういうこと。で、その後に自分の聞き取りがあったんだけど、正直もう美希のことが気になって気になって仕方なかったよ。とにかく怪しまれないようにすることだけを考えて、無難に答えて終わったけど」

    美希「…………」

    春香「それで、その日の帰りになっても美希の様子がおかしいままだったから、もういっそ何もかも全部話そうか、って思ってご飯に誘ってみたんだけど、あっさり断られちゃって」

    美希「あー……うん。ごめんなさいなの。あの日はもうそれどころじゃなくて……」

    春香「ううん、いいの。気にしないで。でもそれからというもの、美希は日に日に憔悴していっているように見えた。私はもう、いつ言おうか、いつ言おうかということばかり考えていたんだけど、いざ言おうとするとなかなかタイミングが無くて」

    春香「でも、昨日。いよいよ思い詰めたような表情を浮かべていた美希を見て、『もう四の五の言っていられない。美希がキラであろうとそうでなかろうと、自分の秘密を全部話して、美希の話も全部聞こう。そのうえで、私にできることがあれば何が何でも協力しよう』……そう思った」

    美希「……春香……」

    春香「それで今日、自分のノートを持参して美希に話しかけ、今に至る……ってわけ」

    美希「そうだったんだ。……でも、春香」

    春香「ん?」

    466 = 455 :

    美希「なんで……そこまでしてくれるの?」

    春香「なんで、って?」

    美希「さっき春香も言っていたように、デスノートによる殺人は、ノートそれ自体を押さえられない限り証拠は出ない」

    春香「うん」

    美希「でももし、デスノートを持っていることを他の人に知られてしまったら、当然、知られた方は不利になる」

    春香「…………」

    美希「つまり、今日ミキにデスノートの所有者であることを話してしまったことで、春香は……」

    春香「……バカだなあ、美希は」

    美希「えっ?」

    春香「そんなこと、いちいち考えてるわけないじゃん。それに私は、美希も既に目を持ってて、とっくに私がノートを持ってる事に気付いてるっていう可能性も考えていたわけだし」

    美希「…………」

    春香「まあでも、そんな理屈じゃなくて……私が美希の力になろうと思った理由は、ただ一つ」

    美希「…………」

    春香「仲間だから、だよ」

    美希「……仲間……」

    春香「ずっと前から言ってるでしょ? 私達765プロはずっと仲間だって。それはノートを持っていようが持っていまいが一緒だよ」

    美希「春香」

    春香「それに私の目指す先は、あくまでも『765プロの皆と一緒に』トップアイドルになることなんだから。もし誰か一人でも欠けてしまったら……そこには絶対たどり着けない。それは美希も同じなんだよ」

    美希「…………」

    春香「だから……美希」

    美希「…………」

    春香「私は、もし美希が困っていたら必ず助ける。そしてもし美希が誰かに捕まえられそうになっていたら全力で阻止する。たとえこのデスノートを使ってでも……ね」

    美希「……春香……」

    467 = 455 :

    一旦ここまでですよ! ここまで!

    468 :

    おつおつ
    春香怖いな…美希は春香を殺せるのかね

    469 :

    おつおつ
    こうやって美希への心象を良くするまでが計算の可能性があるからなぁ……
    閣下流石ですorz

    470 :

    「他人を蹴落とすためには使わない」しかし「ジェラスのためにはトップに立たなきゃ報われない」
    と2つの枷を自分に課してるから、千早以上の無理をして体を壊しそうなのも不安
    レムか美希か、春香を救えるのはどちらだろう……

    471 :

    はるるん死神の目が持ってるなら聞き取りの前にミキミキがキラって事はすでに判断つくんじゃないかな?

    472 :

    >>471
    それ俺も思った、確か眼は人間の名前と寿命が見えるはず
    で、デスノート持ってる人間は寿命が見えないはず
    原作でもミサはそうやって月がキラだとわかったし

    473 :

    >>471
    二つ目のデスノートが存在することがわかった訳だし美希以外にも三つ目、四つ目のノートを拾った奴がいるかもしれない、そいつがキラかもしれないって思ったんじゃない?

    474 :

    >>455で春香が美希がキラだとは普段とのギャップの所為で確信できなかったって説明してんだろうが

    475 :

    それでも春香を信用出来ない……

    476 :

    うっかりしてて手紙に髪の毛がついちゃってましたとかやりかねんけどね

    477 :

    まあお互い利用することはあっても[ピーーー]ことはまずないだろう
    こうなった以上はデメリットの方が大きい

    478 :

    これ黒井とLが繋がったらアウトだな

    479 :

    いろいろ手の込んだことしてるから春香の方から足つきそう

    480 :

    わた春香さんは美希の仲間ですよ、仲間!
    裏切る訳無いです!(のヮの)

    481 :

    最初は二人とも信頼しあって協力するんだろうけどある時を堺にギスギスした関係になりそう

    482 :

    仲間ってのはね、僕の思い通りに動いてくれる人のことさ

    483 :

    あとは美希が監視されることをどうやってあらかじめ知ったかだが

    484 :

    美希「で、春香は黒井社長になんて指示したの?」

    春香「えっと、まず『あなたの弱者をいたぶる姿勢は正義として見過ごせません。今後はあなたの命を賭して、これまであなたが踏み付けてきた弱者に贖罪をしなさい』と」

    美希「へえ」

    春香「それから『まず手始めに、あなたが長年痛めつけてきた765プロダクションに対し、今あなたの下で働いている○○というプロデューサーを移籍させなさい』って」

    美希「えっ! それって……」

    春香「うん。そういうこと」

    美希「春香が……移籍させたんだ。今のプロデューサーを、961プロから。……でも、何で?」

    春香「今のプロデューサーさんとは、前に一度、歌番組の収録でジュピターと共演した時に会ったことがあってね。現場での対応力を見る限り有能そうだったし、当時彼が担当していたジュピターの人気ぶりをみるに、その実力も申し分無いだろうと思って」

    美希「そうだったんだ」

    春香「それにさっきも少し言ったけど、今のプロデューサーさんは961プロが行ってきた過去の悪事にも絡んでいないようだったしね」

    美希「でも、春香。流石にそれってちょっとあからさま過ぎない? 黒井社長に『765プロの中にキラがいます』って言ってるようなものなの」

    春香「別にそう思われてもいいんだよ。いずれにせよ黒井社長は手紙の内容は絶対に口外できないし、もし少しでも不審な動きを見せたらデスノートで殺せばいいだけ」

    美希「…………」

    春香「いい? 美希。私達が捕まる証拠があるとしたらこの『デスノート』しか無いんだよ。これを直接押さえられでもしない限り、絶対に捕まりっこないんだから」

    美希「それはまあ、そうだけど……」

    リューク「ククッ。どっかで聞いたことのあるセリフだな。ミキ」

    美希「…………」

    485 = 484 :

    美希「なんで……そこまでしてくれるの?」

    春香「なんで、って?」

    美希「さっき春香も言っていたように、デスノートによる殺人は、ノートそれ自体を押さえられない限り証拠は出ない」

    春香「うん」

    美希「でももし、デスノートを持っていることを他の人に知られてしまったら、当然、知られた方は不利になる」

    春香「…………」

    美希「つまり、今日ミキにデスノートの所有者であることを話してしまったことで、春香は……」

    春香「……バカだなあ、美希は」

    美希「えっ?」

    春香「そんなこと、いちいち考えてるわけないじゃん。それに私は、美希も既に目を持ってて、とっくに私がノートを持ってる事に気付いてるっていう可能性も考えていたわけだし」

    美希「…………」

    春香「まあでも、そんな理屈じゃなくて……私が美希の力になろうと思った理由は、ただ一つ」

    美希「…………」

    春香「仲間だから、だよ」

    美希「……仲間……」

    春香「ずっと前から言ってるでしょ? 私達765プロはずっと仲間だって。それはノートを持っていようが持っていまいが一緒だよ」

    美希「春香」

    春香「それに私の目指す先は、あくまでも『765プロの皆と一緒に』トップアイドルになることなんだから。もし誰か一人でも欠けてしまったら……そこには絶対たどり着けない。それは美希も同じなんだよ」

    美希「! …………」

    春香「だから……美希」

    美希「…………」

    春香「私は、もし美希が困っていたら必ず助ける。そしてもし美希が誰かに捕まえられそうになっていたら全力で阻止する。たとえこのデスノートを使ってでも……ね」

    美希「……春香……」

    487 = 484 :

    春香「ただまあそうは言っても、実際のところ、現時点で美希がそこまで疑われてるとは思えないけどね」

    美希「! …………」

    春香「確かに、前のプロデューサーさんの死因が心臓麻痺で、死亡時期がキラが裁きを始める直前だったから……前のプロデューサーさんの死がキラ事件と何か関係があるんじゃないか、と思われても仕方の無いところではあるけど……」

    美希「…………」

    春香「でも、流石にこの一件だけをもってキラ事件との関連性を見出すのは無理があるし、仮に強引にそう決めつけたとしても、容疑者はせいぜい私達765プロ全員だよ。美希一人を疑えるはずがない」

    美希「…………」

    春香「だから、美希。不安な気持ちになるのは分かるけど、もう少し落ち着いて……」

    美希「……違うの。春香」

    春香「えっ?」

    美希「……ミキが犯罪者以外で殺したのは……前のプロデューサーだけじゃないの」

    春香「! …………」

    美希「…………」

    春香「じゃあ、美希。誰を……?」

    美希「……ミキの、クラスメイトの男子」

    春香「! それ……いつ?」

    美希「前のプロデューサーを殺した日の……翌々日」

    春香「! …………」

    488 = 484 :

    春香「美希。それは、何で……?」

    美希「えっと……デスノートを拾って、すぐに前のプロデューサーの名前を書いて……そしたらその次の日に、心臓麻痺で死んだって聞いて……」

    春香「…………」

    美希「でもその時はまだ、ノートが本物かどうか分かってなくて」

    美希「たまたまその日、新宿の通り魔が人質を取って保育園にたてこもってたから……試してみる意味で、そいつの名前もノートに書いたの」

    美希「そしたらその通り魔も死んで……もうノートが本物だって、その時点でほぼ確信したの」

    美希「それで、その日は一睡もできずに一晩過ごして……翌日。学校で、朝、その男子にからかわれて……」

    春香「…………」

    美希「いつもなら適当にあしらうんだけど、その時はもう精神的に大分参ってたのもあって、すごくイライラして……もうどうでもいいや、って投げやりな気持ちになっちゃって……」

    春香「……書いたんだ」

    美希「うん。デスノート、家に置いておくのが怖くて学校に持って来てたから、つい……」

    春香「……そっか」

    美希「…………」

    春香「この事、刑事さん達には?」

    美希「一週間前の聞き取りの時に話したよ。警察が調べたらいずれ分かることだし、それにパパはもう知ってたから……」

    春香「パパ……? あっ、そうか。美希のお父さんって……」

    美希「うん。警察官。しかも……少し前まで、キラ事件の捜査本部に入ってた」

    春香「!」

    489 = 484 :

    春香「キラ事件の捜査本部に……? 美希はその事を知ってたの?」

    美希「うん。『学校の友達とかには言っちゃだめ』って言われてたから、事務所の皆には言ってなかったけどね」

    春香「そうだったんだ……。でも、『少し前まで』ってことは、今は違うってこと?」

    美希「多分……。刑事さん達がうちの事務所に来た日の夜に、パパにその事を話したんだけど、『今は別の仕事をやってる』ってことだけ言われて……。結局、パパはそれ以上何も言わなかったし、ミキにも何も聞いてこなかったの」

    春香「…………」

    美希「その時、なんとなく、パパが何か隠してるようにも思えたんだけど……」

    春香「…………」

    春香(もしかして、警察はもう美希をかなりの程度まで疑っている……? だからこそ、美希のお父さんはその事を美希に言えなかった……?)

    春香(いや、今美希から聞いた話を前提にすれば、むしろ……)

    春香「……キラ事件の開始とほぼ同じタイミングで、美希と接点のある人間が心臓麻痺で死亡……それが一人だけならまだしも、二人」

    美希「…………」

    春香「そして当然、二人とも犯罪者ではない……」

    美希「…………」

    春香「ねぇ、美希。この二人の両方と接点があるのは……おそらく美希だけだよね」

    美希「うん。多分……」

    春香「…………」

    490 = 484 :

    春香「だとしたら……はっきり言って、警察が美希をキラとして疑っている可能性はかなり高いと思う」

    美希「! …………」

    春香「美希」

    美希「な、何? 春香」

    春香「リュークが美希の前に姿を現したのはいつ頃?」

    美希「? リューク?」

    春香「うん」

    美希「えっと……確か、そのクラスメイトの名前を書いた日の夜……かな。時間的には、前のプロデューサーのお通夜の後くらい」

    春香「前のプロデューサーさんのお通夜の後……つまり、私が美希がデスノートの所有者だと知った直後ってことだね」

    美希「うん。そういうことになると思う」

    レム「確かに、あの通夜の時点ではリュークはまだミキに憑いていなかった。ハルカの言うとおり、ノート自体は既に持っていたようだが」

    春香「……リューク」

    リューク「? 何だ?」

    春香「あなた……何で、美希にノートを渡してからすぐに姿を現さなかったの?」

    リューク「え?」

    春香「あなたがすぐに美希の前に姿を現していれば、美希は何ら疑うことなくノートを本物だと信じただろうし、結果、身近な人間を二人も殺すことはなかった。そうでしょう?」

    美希「春香……」

    リューク「いや、そんなことを言われてもな……。そもそも人間にノートを渡した場合、すぐに姿を現さないといけないなんて掟は無いし……そうだよな? レム」

    レム「ああ。死神は通常、人間がノートを使った日から39日以内に使った者の前に姿を現すものとされている」

    リューク「ほら。俺なんてミキがノートを使ってから二日だぜ? むしろ褒めてもらいたいくらいだ」

    春香「…………チッ」

    リューク(舌打ち!?)

    491 = 484 :

    春香「まあ今更過ぎたことを言っても仕方無いか。とりあえず現状を正確に把握した上で、次にどんな対策を取るべきかを考えよう。……美希」

    美希「! は、はいなの」

    春香「さっき、お父さんが少し前までキラ事件の捜査本部に入ってたって言ってたけど……何か具体的な捜査情報とかを聞いたことはあった?」

    美希「う、うん。えっと……」

    春香「…………」

    美希「春香。ミキが裁きを始めてすぐの頃、テレビの生中継に“L”って名乗ってた人が出てたの覚えてる? あのイケメンの……」

    春香「ああ、覚えてるよ。確か……通称“L”、リンド・L・テイラーって人だったよね。あの後、結局出てこなくなっちゃったけど」

    美希「うん。あの人ね、実は替え玉だったんだって。本物の“L”の」

    春香「……替え玉?」

    美希「うん。そうらしいよ」

    春香「ってことは……“L”は自分の身代わりをテレビに出演させて、キラがその身代わりを殺すかどうかを見ようとしてた……ってこと?」

    美希「うん。多分……」

    春香「何てやつ……! 人の命を何だと思ってるんだろう」

    美希「…………」

    春香「? どうかした?」

    美希「ううん。なんでもないの」

    春香「じゃあ……そのLって人が警察を動かしてるっていうのは本当なの? 確か、あのときの中継ではそう言ってたと思うけど」

    美希「うん。それは多分本当。パパが、その替え玉の生中継も、警察はほとんど関わってなくてLが独断でやったって言ってたし」

    春香「なるほど。確かにそこまでの事ができるとすれば、警察を自由に動かせる……いや、警察を従えられる人でないと無理だろうね。つまり捜査本部の実質的トップ……か」

    美希「あと、Lの推理が捜査本部に伝えられたりしたこともあったみたい」

    春香「Lの推理? どんなの?」

    美希「えっと……裁きが行われている時間帯が遅い日でも夜10時までだったから、キラは子どもじゃないかって推理してたみたい。で、これは実際当たってたの」

    春香「……一体何者なの? そのLって」

    美希「さあ……パパは探偵って言ってたけど」

    春香「探偵……」

    492 = 484 :

    春香「じゃあ、今一番気を付けないといけないのは警察よりもそのLって人かもね。今聞いた話からすると、Lが実質的にキラ事件の捜査指揮を執っている可能性が高そうだし」

    美希「そうだね。ただ、ミキがパパから聞けてた情報はそれくらいで……Lについて、それ以上詳しいことは分からないの」

    春香「…………」

    春香(しかし、いくらなんでも自分の身代わりをテレビ出演させて殺させようとするなんて普通じゃない……)

    春香(目的の為なら手段を選ばないタイプか……厄介だな)

    春香(それに一週間前に事務所に来た刑事さん達が偽名を使っていたことを考えると……少なくとも、『キラの殺しには名前が必要』ということはばれていると考えた方が良い)

    春香(また普通に考えて『顔が分からない人間でも殺せる』というのは無理がある……殺す対象として特定しようがない)

    春香(ならばもう『キラの殺しには顔と名前の両方が必要』というところまでばれていると考えるべき)

    春香(でも『顔と名前だけで人を殺せる』……そんな人間がいたとして、一体どうやって確保する?)

    春香(もし私がLの立場なら……名前が知られなければ殺されない、ならば顔は見られても構わないと考え、直接相対して確保する?)

    春香(いや……別に顔だって、フルフェイスのヘルメットでも被ればそう簡単には見られない。ましてや警察の装備が使えるならそんな手段はいくらでもあるはず……)

    春香(しかし実際には美希は確保されていない。だとすれば……)

    春香(Lは、たとえ美希がキラだと分かっていても、確保するのはその証拠を挙げた上で……と考えている?)

    春香(Lは仮にも探偵……もし彼が、パズルを解くようにこの事件の謎を解き明かそうとしているのであれば、あるいは……)

    春香(そしてもしそうなら……Lが次に考えることは、美希からキラとしての殺しの証拠を挙げる事)

    春香(しかし『顔と名前が必要』という殺人の条件は分かっているとしても、具体的な殺人の方法については何も分かっていないはず)

    春香(それは当たり前……『ノートに名前を書くだけで人が死ぬ』なんて、想像できるわけがない)

    春香(そんな状況の下、キラとしての殺しの証拠を確実に挙げるには……美希が実際に殺しをしている現場を押さえるしかない)

    春香(ならばまず、今この場で確認すべきことは……)

    493 = 484 :

    春香「……レム」

    レム「? 何だ? ハルカ」

    春香「今、美希を尾行している人が周囲にいないかどうか……少し上の方から、ぐるっと見渡して確認してみてくれる?」

    美希「!?」

    レム「……ああ。いいだろう」バサッ

    美希「び……尾行?」

    春香「うん。もしLが美希の殺しの現場を押さえる気でいるなら、それくらいはしていてもおかしくはないかな、と」

    美希「あー。なるほどなの」

    春香「…………」

    春香(正直な所、美希はほぼ無防備と言っていい……今の反応からしても、自分が尾行される可能性なんて考えてもいなかっただろうし、実際に尾行されていたとしてもまず気付かないだろう)

    春香(もっとも、尾行の可能性に気付いたとしても……『尾行されていないかどうかを確認する』という素振りを見せただけで、本当に尾行されていた場合、それはそれで結局怪しまれてしまうから……実際できることなんて何も無いんだけどね)

    春香(ただでもそれはあくまで……死神なんかが憑いていない、普通の人間の場合の話)

    春香(この点、死神のレムなら……上空をどれほど飛び回り周囲を見渡そうが、絶対に誰にも気付かれない。つまり本当に尾行者がいたとしても、何の支障も無くその存在を確知できる)

    レム「……少なくとも周囲100メートルほどの範囲にはそれらしき奴はいないな」バサッ

    春香「分かった。ありがとう。レム」

    美希「一安心なの」

    494 = 484 :

    春香「…………」

    春香(とすれば後、考えられる『証拠を押さえる為の手段』としては……)

    春香(考えろ。もし私がLなら……キラを追う者なら……)

    美希「? 春香?」

    春香「…………」

    春香(キラは顔と名前だけで人を殺せる……としても、もし自分の意思で選べるなら、普通は他に誰もいない状況で殺しを行うだろう。というより、あえて人前でそれをする必然性が無い)

    春香(つまりキラが殺しを行う場所として、一番考えられるのは自分の家の中……より正確に言えば、自室)

    春香(そしてLは目的の為なら手段を選ばない性格……だとすれば……)

    春香「美希」

    美希「! は、はいなの」

    春香「もし私がLなら……美希の部屋に監視カメラを付ける、くらいの事はすると思う」

    美希「えっ! か、監視カメラ!?」

    春香「いや、それだけじゃない。殺しの手段が何なのか、全く見当もつかないとすると……たとえば呪文か何かを唱えて殺す可能性などもあると考えて……盗聴器も仕掛ける」

    美希「盗聴器!?」

    春香「まあ、あくまで可能性だけどね。でもそれくらいの事はしないと、キラとしての証拠は挙げられないと思う」

    美希「で、でもそういうのって犯罪じゃないの? プライバシーの侵害っていうか……」

    春香「自分の身代わりを殺させようとする人に、そんな当たり前の理屈が通じるとは思えないけど」

    美希「そ、それは、まあ……。でもパパが同じ捜査本部にいるのにそんな事……」

    春香「でも多分、もう外れてるんでしょ?」

    美希「……そうだったの」

    495 = 484 :

    春香「そして、美希のクラスメイトの件がLにも伝わっているとしたら……もう今頃、仕掛けられているとしてもおかしくはないね」

    美希「えっ!」

    春香「現時点で尾行が無いのなら、なおさらそっちでケリをつけるつもりなのかも……」

    美希「そ、そんな……」

    春香「ねぇ、美希。美希が最後に裁きをしたのはいつ、どこで?」

    美希「昨日の夜……普通に、自分の部屋でしたの」

    春香「ならもしもうカメラが付けられているとしたら、それは当然Lに観られていたことになるね」

    美希「!」

    春香「ただもしそうなら、今頃美希は捕まっていてもおかしくないはず……」

    美希「あっ。それは確かにそうなの。じゃあまだ……」

    春香「いや、何日か様子を見てから……ということも考えられるし、安心はできないよ」

    美希「そっか……」

    春香「まあそうは言っても、もしもう観られていたとしたら仕方無い。その場合は今更どうしようもないから、考えるだけ無駄」

    美希「…………」

    春香「だから考えるなら、『まだ』付けられていない可能性の方で考えるべきだよ」

    美希「そ、そうだね。春香」

    春香「で……美希。たとえば今日、美希の家の人が全員家に居ない時間帯ってあった?」

    美希「えっ、うん。うち共働きだし、お姉ちゃんも大学生だから、今日に限らず、基本的に平日の昼は誰も家に居ないの」

    春香「そっか。じゃあもう今日の昼には付けられている……最悪のパターンを想定するなら、今からその前提で動いた方が良いね」

    美希「!」

    春香「まあ本当の最悪のパターンは昨日以前に付けられていて、もう美希の裁きの場面もばっちり撮られているってことだけど」

    美希「…………」

    496 = 484 :

    春香「じゃあとりあえず、今日からしばらくの間、犯罪者裁きは私が代わりにやるよ」

    美希「えっ」

    春香「だってカメラの可能性を考えたら、当然美希の家ではできないでしょ? かといって家の外じゃ、夜に報道された犯罪者を翌日以降にしか裁けなくなり、今までと裁きの傾向が変わってしまう」

    美希「……なるほどなの。でも、いいの? 春香」

    春香「もちろん。言ったでしょ? 美希が困っていたら必ず助けるって。しかもこれでもし本当にカメラが付けられていたとしたら、美希が何もしていないことが明白な状況で、犯罪者裁きが起きることになる。つまり美希を捕まえるために仕掛けられたカメラによって、逆に美希の身の潔白が証明されることになる」

    美希「! ……春香……」

    春香「そういうわけで当面の間、裁きは私が代行する。それでいいね? 美希」

    美希「……もちろんなの。ありがとう。春香」

    春香「どういたしまして。あと、美希のデスノートも一旦預からせてもらっていいかな? もしカメラが付けられていた場合、うっかり映っちゃうかもしれないし」

    美希「なるほどなの。こんな黒いノート、見るからに怪しいもんね」

    春香「そういうこと。あ、ちなみにレム。私がノートを預かるだけなら、美希の所有権に影響は無いよね?」

    レム「ああ。その場合はミキのノートの隠し場所がハルカってことにしかならない」

    春香「だってさ。じゃあ、美希」

    美希「分かったの。はい、春香。よろしくお願いしますなの」スッ

    春香「うん。あ、でも……」

    美希「?」

    春香「…………」ピリリ

    (美希のデスノートから、その1ページ分をきれいに切り離す春香)

    春香「はい、これ。一応持ってて」

    美希「? なんで?」

    春香「この先何があるか分からないから、念の為に。それに、これならもしカメラに映っても怪しまれないでしょ。切り取ったノートの1ページ分くらい」

    美希「でも、春香。これって普通にデスノートとして使えるの? もうノートから完全に切り離されちゃってるのに」

    春香「……切り取ったページや切れ端でも全て、デスノートの特性は有効だよ」

    美希「そうなんだ。知らなかったの。へー」

    春香「…………」ジロッ

    リューク「いや、そんな風に睨まれても……。別に死神には全てのルールを人間に教える義務は無いし……」

    497 = 484 :

    春香「ただそれでも、『カメラが付いているかもしれない』という状態でずっと過ごすわけにもいかないよね。あるならある、無いなら無いとはっきりさせておいた方が良いに決まってる」

    美希「それは……そうなの。『誰かに観られてるかもしれない』って思いながらじゃ、くつろごうにもくつろげないし」

    春香「盗聴器だけなら、それを探す探知機を買ってくれば探せるけど……カメラが付けられている可能性がある以上、カメラ自体は勿論、盗聴器もカメラの有無を確かめない限りは探せない」

    美希「そっか。探してること自体が観られちゃうと、それだけで怪しまれちゃうもんね」

    春香「そういうこと。カメラに映らないように探すことができればいいけど、でもそのためにはカメラの位置が分かっていないといけないわけで、これじゃ堂々巡りに……ん?」

    美希「? 春香?」

    春香「カメラに映らないように探す……そうか、それだよ」

    美希「え?」

    春香「さっき、私がレムにしてもらったことをすればいいんだ」

    美希「?」

    春香「……リューク」

    リューク「ん?」

    春香「今日帰ったら、美希の部屋にカメラが仕掛けられていないか、確認してみてくれない?」

    リューク「……はあ? 何で俺がそんなことをしないといけないんだ?」

    春香「だってリュークなら、どんなに探し回っても絶対カメラには映らないでしょ?」

    美希「ああ、なるほどなの」

    リューク「……あのな、ハルカ。俺は明らかにお前の味方をしているレムとは違って、別にミキの味方ってわけじゃないんだ。だからそんな、あるかどうかも分からないカメラを探すなんて面倒な手伝いはしない」

    春香「…………」

    498 = 484 :

    リューク「それに今お前が言った通り、俺はカメラがあったとしても絶対にそれには映らないからな。何も気にすることなく、いつものようにのんびりリンゴでも食いながら、高みの見物を決め込ませてもらうぜ」

    春香「……リンゴ?」

    レム「リンゴは死神にとっての嗜好品……人間でいう、酒や煙草みたいなものだ。私はあまり食べないがね」

    春香「リュークはリンゴをよく食べるの? 美希」

    美希「そうだね。毎日ってわけじゃないけど、それなりによく食べてるの」

    春香「…………」

    美希「?」

    春香「ねぇ、リューク」

    リューク「ん?」

    春香「もし美希の部屋にカメラが付けられていた場合……リュークがリンゴを食べている様子はどう映るの?」

    リューク「……あっ」

    美希「?」

    リューク「確かに……俺の口の中に入ってしまえばリンゴは見えなくなるが……手に持っている間は宙に浮いているように見えるな……」

    春香「いくらなんでも、そんなB級ホラーじみた映像をLに見せるわけにはいかないってことくらいわかるよね? 今のこの状況で」

    リューク「ちょ、ちょっと待て。じゃあ俺にリンゴ食うなって言うのか? ハルカ」

    春香「じゃあ逆に聞くけど、もしリュークがリンゴを食べなかったらどうなるの? 」

    リューク「……俺が長時間リンゴを食べなかった場合……体をひねったり、逆立ちしたりとか……人間でいう禁断症状が出るな」

    春香「なるほどね。まあそれはそれで面白そうだけど」

    リューク「…………」

    春香「でも、要はカメラさえ無ければ安心して食べられるわけだから、食べる前に確認すればいいんだよ。美希の部屋にカメラが付けられていないかどうか」

    リューク「何?」

    春香「リュークなら問題無くできるはずだよ。だって絶対にカメラに映らないんだから」

    リューク「そ、そうか……確かに俺なら絶対にカメラには映らない。つまりリンゴが食いたくなったら、事前にミキの部屋を一通りチェックして……カメラが付けられていないことさえ確認できればそれでいいってわけか」

    春香「そういうこと。流石リューク。理解が速いね」

    リューク「ククッ。ならそうさせてもらうぜ。……って、あれ? 何か騙されてるような……?」

    美希(春香って、案外詐欺師とかに向いてそうな気がするの)

    499 = 484 :

    春香「さて……そういうわけで、美希」

    美希「はいなの」

    春香「とりあえず、当面の間は最悪の事態……『今もう既に美希の部屋にはカメラと盗聴器が付けられている』という前提で行動するように。いいね」

    美希「うん。分かったの」

    春香「とはいっても、別に特別なことをする必要は無いし、むしろ何もしない方が良い」

    美希「…………」

    春香「あくまでも自然に、ノートを拾う前と全く同じように生活をする」

    美希「うん」

    春香「リュークはその場に居ない者として扱い、家の中では一言たりとも会話をしない」

    美希「うん」

    リューク「…………」

    春香「そしてもし……リュークによって本当にカメラが発見されたら、その時はできるだけ早く私に教えてね」

    美希「分かった。すぐ言うようにするの」

    春香「あ、でもメールや電話は無しね。そんなの、その気になれば後からいくらでも履歴とか調べられちゃうから。あくまでも事務所で会ったときに、口頭で」

    美希「うん、分かったの。本当に色々ありがとう。春香」

    春香「いえいえ。どういたしまして」

    500 = 484 :

    春香「あ。ところで……美希」

    美希「? 何? 春香」

    春香「まだ肝心な事を聞いてなかったんだけど……」

    美希「?」

    春香「……何で美希は、犯罪者裁きをしようと思ったの?」

    美希「! …………」

    春香「どうして美希は、“キラ”になったの?」

    美希「…………」

    春香「…………」

    美希「……最初は、ね」

    春香「…………」

    美希「ただただ、前のプロデューサーが憎くて、嫌いで……『死んじゃえばいいのに』って思ってて……」

    美希「そんな時に、偶然デスノートを拾って……何の気無しに、そのノートに名前を書いた」

    春香「…………」

    美希「もちろん、本当に効果があるなんて思ってなかったけど……でも現実に、前のプロデューサーは死んだ」

    美希「そして、その次の日に名前を書いた新宿の通り魔も死に……」

    美希「さらにその次の日に、半ばやけになって名前を書いたクラスメイトの男子も……死んだ」

    美希「このノートは間違い無く本物……ミキはそう確信するとともに」

    美希「自分がこの手で、三人もの人を殺してしまったという現実……正直もう、自分でもどうしていいのか分からなくなった」

    春香「…………」

    美希「でも」

    美希「それは本当に間違っていることなのかな、とも思った」

    美希「『人を殺すのはいけないこと』……そんなことは分かってる。でも現実には、『死んだ方が良い』人間も確実にいる……」

    春香「…………」

    美希「確かに、新宿の通り魔に比べれば、前のプロデューサーやクラスメイトの男子は、死刑になるほどの悪人じゃなかったかもしれない」

    美希「でも彼らが死んだことで、救われた人は確実にいる」

    美希「前のプロデューサーに散々セクハラされていた765プロの皆。彼のいい加減な仕事ぶりに頭を抱えていた社長や小鳥、律子」

    美希「クラスメイトのAに性的な言動でからかわれていた女子たち」

    美希「彼らが死んだことで……皆、心のどこかでほっとしたに違いないの」

    春香「…………」


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