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    元スレ美希「デスノート」

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    301 = 294 :

    総一郎「確かにな。日中、家の外で殺しの行為をしておけば、後は夜になって犯罪者が勝手に死ぬだけということか」

    「ええ。ですから、明日以降はその可能性……日中、外で殺しの行為をされてしまう可能性を排斥して監視をする必要があります」

    総一郎「うむ。しかし具体的にはどうする気だ?」

    「夜神さん。明日以降、星井美希の監視を終えるまでの間……キラの裁きの対象となりうる凶悪犯の報道は21時以降に限定して行うよう、報道機関に要請してもらえますか?」

    総一郎「! …………」

    「キラの殺人には顔と名前が必要……仮に死の時間を操ることができるとしても、少なくとも殺しの行為をする際にはその二つの条件が備わっていることが必要だと考えられます」

    「そうであるとすれば、夜まで報道がされなかった犯罪者に対して、昼の間に殺しの行為をしておくことはできないはずです」

    総一郎「なるほどな。では、我々が監視している間に新たな犯罪者が報道された場合……」

    「はい。殺しの行為は、その後……つまり、我々が監視している状況下においてしかできないはず」

    総一郎「いやだが、星井美希が必ずしもその報道された情報を得るとは限らないのでは? 少なくとも昨日と今日、21時以降にニュース等は観ていなかったぞ」

    「それはそれで構いません。星井美希が報道された情報を得ず、そして報道された犯罪者が死ななければ、結果的に星井美希がキラであるという疑いが強まりますし……」

    「逆に、星井美希が報道された情報を得ていないにもかかわらず、報道された犯罪者が死ねば、星井美希以外の者がキラであるという可能性が高くなります」

    総一郎「なるほど……星井美希が報道された情報を得なければ、彼女がキラである可能性とそうでない可能性、そのいずれであってもある程度の確度をもって判断することができる。また彼女が報道された情報を得て、報道された犯罪者が死んだ場合、彼女がキラならその殺しの方法を観察できるかもしれない……ということか」

    「はい。お願いできますか? 夜神さん」

    総一郎「分かった。今回は前のような偽名での報道などに比べれば人道上の問題も少ない。早速、要請しよう」

    「ありがとうございます。助かります」

    「…………」

    (さあ、どう出る? キラ……)

    302 = 294 :

    一旦ここまでなの

    303 :

    乙なの

    304 :

    面白くなってきたの

    305 :

    おつなの

    306 :

    乙なの
    素晴らしいタイミングで春香さん連携してくれたの

    307 :

    菜緒『あっ。美希のCM』

    星井母『あら、ホント』

    美希『なんか未だにTVの中の自分を観るのは慣れないの』

    菜緒『ねぇ、この一緒に出てる子誰?』

    美希『海砂ちゃんなの』

    菜緒『ふーん。かわいいね』

    星井母『ミキミキとミサミサって、なんかダジャレみたいね』

    美希『それはちょっと失礼って思うな』

    「…………」

    総一郎「…………」

    「一家団欒、といった感じですね」

    総一郎「……うむ」

    「ところで、今日報道された犯罪者の中でキラの裁きの対象になりそうな者はいましたか?」

    総一郎「ああ。老夫婦を殺害し、金品を奪った強盗殺人犯が一名。これまで同様なら、おそらく本日中に裁かれるだろう」

    「キラの殺しの時間帯は平日は一貫して19時頃から22時頃……そろそろですかね。そちらの準備は大丈夫ですか?」

    総一郎「ああ。警察庁にいる部下に、キラによる裁きが行われたらすぐに私に一報を入れてもらうように頼んである。『キラの動きをリアルタイムで捕捉しておきたいから』と言うと二つ返事で快諾してくれた」

    「! 警察庁……もしかして、あの時の……?」

    総一郎「ああ。伊出と宇生田だ」

    「そうでしたか」

    総一郎「キラを追っている者はこの捜査本部の者だけではないからな。彼らも彼らで懸命にやってくれている」

    「……はい」

    309 = 307 :

    【翌日夜・キラ対策捜査本部/資料室(都内のホテルの一室)】


    (星井美希に対する監視・三日目)

    美希『…………』

    「今日は夕食後、風呂に入ってからはずっと勉強していますね」

    総一郎「アイドルといえど中学三年生だからな。受験勉強ってことだろう」

    「一応、天井と机に仕掛けたカメラからの映像を拡大したものをサブモニターに映していますが、ごく普通に問題集を解いているようです」

    総一郎「勉強している様子に特に不審な点は無し……と。やはりこの後の報道待ちか」

    「はい。お願いしていた通りにできそうですか?」

    総一郎「ああ。今日捕まった連続放火魔の報道が21時ちょうどに、同じく今朝起きた通り魔殺人の犯人の報道が21時30分に、それぞれ予定されている」

    「ありがとうございます。これで上手くいけば、星井美希が報道を観た場合と観なかった場合の両方のパターンを観察することができます」

    総一郎「うむ。まあ昨日と一昨日の様子からするとニュース自体観ないかもしれないが……」

    「そうですね。ただでさえ今は勉強中ですし」

    総一郎「だがそれならそれで、明日は報道の時間を夕食の時間帯にでもずらせばいいか。夕食時は家族でテレビを観ているようだしな」

    「ええ。そうしましょう」

    総一郎「……と。そろそろ時間だ」

    「では、サブモニターの一つをテレビ画面に切り替えます」ピッ

    TV『ニュースの時間です』

    「………」

    総一郎「…………」

    TV『本日、都内北部の民家五軒に相次いで放火し十三人を殺害した疑いで、白身正亜希容疑者が逮捕されました』

    「星井美希は……ずっと机に向かって勉強していますね」

    総一郎「ああ。携帯電話にも触れていない」

    「…………」

    (もしこのまま、今報道された者が死ねば……)

    310 = 307 :

     ピピピピッ

    総一郎「! もしもし」ピッ

    「! …………」

    総一郎「ああ、そうか。分かった。ありがとう」ピッ

    「夜神さん」

    総一郎「先ほど、21時のニュースで初めて報道された連続放火魔が心臓麻痺で死亡した」

    「! ということは……」

    総一郎「星井美希が報道された情報を得ていない間に、犯罪者が死んだということになるな……」

    「…………」

    総一郎「竜崎。これは……」

    「もうすぐ21時30分のニュースです。今はとりあえず監視を続けましょう」

    総一郎「うむ……」

    「! 星井が動いた」

    美希『…………』

    総一郎「ベッドの方へ……もう寝る気か?」

    美希『…………』

    総一郎「寝ている……」

    「…………」

    総一郎「竜崎。もう21時30分になるぞ」

    「……はい」

    311 = 307 :

    TV『今朝、都内路上で三人を殺傷した疑いで、南原海軽十容疑者が逮捕されました』

    美希『…………』

    「完全に寝ていますね」

    総一郎「うむ……」

    「…………」

    (顔は布団から出している……本当に睡眠しているかどうかまでは分からないが、少なくとも目を閉じていることは確か)

    (布団の中に何かを持ち込んだ形跡も無い)

    (先ほどの勉強中もそうだったが、この状態で報道された情報を得ているとは到底思えない)

    (しかし21時に報道された犯罪者は確かに死んだ)

    (これはつまり……)

     ピピピピッ

    総一郎「! もしもし」ピッ

    「…………」

    総一郎「ああ、分かった。何度もすまんな」ピッ

    「…………」

    総一郎「竜崎。21時30分のニュースで報道された通り魔も心臓麻痺で死亡したそうだ」

    「…………」

    総一郎「そしてニュースが報道される前から今までずっと、星井美希はベッドで寝ていた……」

    「…………」

    総一郎「竜崎。これはもう完全に白と言っていいのでは……」

    「……まだ三日です」

    総一郎「しかし」

    「明日は先ほど夜神さんが言っていたように、夕食の時間帯に合わせて報道を流します」

    総一郎「…………」

    312 = 307 :

    【翌日夜・キラ対策捜査本部/資料室(都内のホテルの一室)】


    (星井美希に対する監視・四日目)

    「…………」

    総一郎「竜崎……」

    「…………」

    (今日は星井家の夕食の時間帯に合わせて報道を流したが、結局、星井家はその時間はバラエティ番組を観ていたため、星井美希が報道された情報を得ることは無かった)

    (しかしそれにもかかわらず、夕食後……星井美希がシャワーを浴びている時に、彼女が情報を得ていない、報道されたばかりの犯罪者が心臓麻痺で死んだ)

    (もうこれで三人連続……いくらキラでも、顔も名前も知らない、それどころかその存在すら認知していない犯罪者を殺せるはずがない……)

    (星井美希はキラではない……もうそう考えるしか……)

    総一郎「どうする? 竜崎……」

    「…………」

    総一郎「私はもう、これ以上監視を続けても結果は同じ……それどころかむしろ、星井美希がキラでない可能性が裏付けられていくだけのように思えるが……」

    「そうですね……」

    総一郎「…………」

    「ですがあと三日……あと三日だけ観させてください。それでも同じなら、速やかにカメラと盗聴器を外します」

    総一郎「……分かった……」

    「…………」

    313 = 307 :

    【三日後の夜・キラ対策捜査本部/資料室(都内のホテルの一室)】


    (星井美希に対する監視・七日目)

    「…………」

    総一郎「竜崎……」

    「…………」

    (この三日間、報道を流す時間帯を色々変えてみたが……)

    (結局、星井美希が報道された情報を得たのは監視を始めて六日目の夜……姉が大学の飲み会でおらず、母親と二人きりとなった夕食の時のみ)

    (それは地方公務員でもある母親が『たまにはニュースでも観なさい』と言ってテレビのチャンネルを変えてくれたおかげだが……)

    (しかし結果的には、その時報道された犯罪者も、他の日にそうであったのと同様、星井美希が夕食後にシャワーを浴びている時に心臓麻痺で死亡した)

    (その際も、星井美希の挙動や表情に何ら変化は見られず……他の日と全く同じようにシャワーを浴び、身体を洗っているようにしか見えなかった)

    (そして五日目と七日目は、いずれも星井美希が報道された情報を得ていない間に、報道された犯罪者が心臓麻痺で死亡した)

    (これでは『星井美希が報道された情報を得ていようが得ていまいが、彼女とは全く無関係にキラが犯罪者を裁いている』と判断するほかない……)

    総一郎「竜崎。これでもう星井美希に対する監視は……」

    「……分かっています。明日にでも、カメラと盗聴器は全て外します」

    総一郎「ああ、よろしく頼む。しかしこれでまた振り出しか……」

    「…………」

    314 :

    偶然の産物なんだろうけどなんとも都合のいいタイミングで春閣下と連携したな

    315 = 307 :

    【翌日夜・美希の自室】


    リューク「おいミキ。やっぱりカメラ取れてるぞ。全部だ全部」

    美希「! …………」

    リューク「おいミキ。聞いてるのか?」

    美希「…………」トントン

    (自分の耳を軽く指差す美希)

    リューク「ああ、そうか。まだ盗聴器は付いてるかもしれないのか」

    美希「…………」コクッ

    リューク「じゃあ早速、明日にでも探知機買ってきて調べようぜ」

    美希「…………」コクッ

    リューク「そして盗聴器も無いことが分かったら……その時は頼むぜ、例のヤツ」

    美希「…………」コクッ

    316 :

    あ、そうなるのね
    早とちりすみませんでした

    317 :

    【翌々日・765プロ事務所】


    リューク「しかし盗聴器も無いことが分かってスッキリしたな」

    美希「まあね」

    リューク「これも全部あの子のおかげだな」

    美希「……まあね」

     ガチャッ

    美希「おはよーございますなの」

    「おう。おはよう、美希」

    小鳥「おはよう、美希ちゃん」

    春香「……おはよ、美希」

    美希「! …………」

    「? どうした? 美希」

    小鳥「まだ寝ぼけ眼なのかしら?」

    美希「えっ、ううん。違うの」

    春香「…………」

    318 = 317 :

    美希「……ねぇ、春香」

    春香「ん?」

    美希「あのね、ミキ……」

    春香「…………」

    美希「今日、久しぶりにぐっすり眠れたの! あはっ」

    春香「! ……そう。良かったね。美希」

    美希「はいなの!」

    「?」

    小鳥「睡眠報告……?」

    春香「さて、じゃあ私はレッスンに行ってきまーす!」

    「おう、行ってらっしゃい」

    小鳥「頑張ってね」

    春香「はーい」

    美希「春香」

    春香「ん?」

    美希「……また、後でね」

    春香「……うん。また後で」

     ガチャッ バタン

    「おーい美希。お前もすぐCM撮影に向かうから、準備しとけよー」

    美希「はいなの! すぐ支度するの!」

    美希「…………」

    美希「……ありがとうなの。春香」

    「? 何か言ったか?」

    美希「んーん。何でもないの!」

    「?」

    319 = 317 :

    一旦ここまでなの

    320 :

    早とちり?
    しかしよくカメラに気づけたな流石だわ

    321 :

    リュークファインプレー?

    322 :

    乙乙
    原作でもリュークにカメラ盗聴器調べさせてたしね。とりま危機は去った!

    323 :

    この二人のタッグならあまりボロを出さなそうだからLの出方が見物だな

    324 :

    いざという時の精神力には定評のある春香さん

    325 :

    撮られなれてるからカメラから出てる極微細な電磁波を感じ取ったとか…ないよな

    326 :


    リュークになって美希に憑きたい

    327 :

    恋してすぐ死にそう

    328 :

    死神に恋させれば捕まりそうになったときの盾にはなるんだよな
    その後は死神が憑かずに快適な生活を送れるし

    まず美希はリュークを落とそうか

    329 :

    もういっそのことLを落とせばいいんじゃないかなって

    330 :


    美希のシャワーシーン普通に見てるんだよなぁL…その映像を寄越せええええええええ

    331 :

    月もLもリュークも、皆美希のライブでサイリウム振ってればいいの

    332 :

    【同日夕刻・765プロ事務所近くの公園】


    (隣り合う二つのブランコに並んで腰を下ろしている春香と美希)

    春香「じゃあ本当にカメラは全部取れてたんだね? それと盗聴器も」

    美希「うん」

    春香「そっか……良かった。本当に」

    美希「これも春香のおかげなの」

    春香「私は別に何も……あ、じゃあこれ返しとくね」スッ

    (美希にデスノートを渡す春香)

    美希「……うん。ありがとうなの。春香」

    春香「どういたしまして。美希」

    美希「でも、やっぱり不思議な感じなの」

    春香「不思議って?」

    美希「だってまだあれから……十二日しか経ってないのに、ミキ達、十二日前までとはまるで違う関係になってるの」

    春香「そうだね」

    美希「十二日前までは、同じ事務所のアイドル仲間で、仲の良い普通の友達だったのに。今は……」

    春香「……うん。本当にね」

    美希「十二日前は夢にも思わなかったの。まさか春香と、こんなことを話すようになるなんて――……」

    333 = 332 :





    ――――遡ること、十二日前。





    【十二日前・765プロ事務所からの帰路】


    春香「美希って、さ」

    春香「いつデスノートを拾ったの?」

    美希「…………え?」

    春香「…………」

    美希「は、春香? 今、なんて……?」

    春香「……ああ、そっか。やっぱり美希は目を持ってないんだね」

    美希「え?」

    春香「そっか、そっか。そういうことね。いや、もしかしたらって思ってさ」

    美希「…………」

    春香「もし美希もそうなら、私のことも当然気付いてて、その上で黙ってるんだろうなーって。まあでも持ってないなら分かりっこないもんね。うんうん」

    美希「は、春香? さっきから、一体何を言ってるの?」

    春香「まあそういうことなら、見せた方が早いよね」

    美希「え?」

    春香「えっと……」キョロキョロ

    (周囲を見渡し、他に人がいないことを確認する春香)

    春香「よし。今なら大丈夫そう。美希。これ」スッ

    美希「えっ……」

    春香「触って。あ、でも絶対大きな声とか出さないでね。まあ初めてじゃないから大丈夫だろうとは思うけど」

    美希「これって……」

    美希(デス……ノート? でもこの表紙の文字は……何語?)

    春香「ほら美希。早く早く。人来ちゃうよ」

    美希「えっ、ええっと……」

    春香「美希」

    美希「わ、分かったの」サッ

    美希「!」

    (美希が春香の持つノートに触れた瞬間、春香の背後に白い化け物が姿を現した)

    美希「きゃ……」

    春香「ダメッ!」バッ

    (素早く両手で美希の口を塞ぐ春香)

    美希「…………!」ムグムグ

    春香「もう。だから言ったのに」

    334 = 332 :

    美希「…………」

    春香「もう大丈夫かな?」

    美希「…………」コクコク

    春香「よし」パッ

    美希「…………」

    春香「えっと……じゃあとりあえず、レム。自己紹介」

    「……名乗らせるなら先に名前言うなよ」

    春香「あっ。ごめんごめん。ついうっかり」

    「まったく……」

    美希「…………」

    美希(黒いノート……触ったら化け物が見えた……これはもう間違い無く……)

    「私は死神のレム。この子が持っているノートの落とし主だ」

    美希「…………!」

    美希(やっぱり、死神……! ということは……)

    美希「じゃあ、そのノートは……」

    春香「うん。デスノートだよ」

    美希「…………!」

    美希(春香が、デスノートの所有者……! でも、な、何で……?)

    美希(しかも……これまでの会話からして、ミキが所有者だってことも知っている……?)

    美希(何で? どうして?)

    美希(何が何だか分からないの……)

    美希「…………」

    春香「ありゃりゃ。流石の美希も固まっちゃったか」

    レム「まあ仕方無いだろう。この様子だと、今まで全く気付いてなかったみたいだしな。お前のこと」

    春香「そうみたいだね。でもそうすると一から説明しないといけないからちょっと時間かかるな……ここだと人目につきそうだし……」

    美希「…………」

    春香「よし、美希。とりあえず公園行こう」グイッ

    美希「え? あっ、あの……」

    春香「大丈夫大丈夫」

    美希「な、何が大丈夫なの……」

    春香「全部話してあげるから」

    美希「……全部……?」

    春香「そ。ぜーんぶ、ね」

    美希「…………」

    335 = 332 :

    【765プロ事務所近くの公園】


    (隣り合う二つのブランコに並んで腰を下ろしている春香と美希)

    春香「とは言ったものの、一体どこから話そうか……」

    美希「………」

    レム「やっぱり最初から順を追って話してやった方がいいんじゃないか?」

    春香「まあそうか。そうだよね。うん。じゃあ美希……」

    美希「は、春香!」

    春香「ん? 何?」

    美希「えっと……春香がデスノートを持ってて、その死神……」

    レム「レムだ」

    美希「……レムが、そのノートの落とし主……」

    レム「そうだ」

    美希「ってことは……今は春香がそのデスノートの所有者で……それでレムが憑いてるってことだよね?」

    春香「そうだよ。流石美希。飲み込みが早いね」

    美希「じゃあ……何で春香がデスノートを持ってるのかってことも気になるんだけど、それより先に……」

    春香「?」

    美希「何で、ミキもデスノートを持ってるって分かったの?」

    春香「ああ、その事。そっかそっか、それも知らなかったんだね」

    美希「え?」

    春香「えっとね。死神の目を持つと他の人の寿命と名前を見る事ができるようになるんだけど、ノートを持ってる人だけは寿命の方が見えないの」

    美希「そ……そうなの?」

    春香「そうなんだよ。その理由は……何だっけ? レム」

    レム「……デスノートを持った人間は命を取られる側から取る側になる為、殺す人間の寿命だけが見えていればいいからだ。ゆえに死神の目を持った人間は、自分を含め、他のデスノートを持った人間の寿命は見る事ができない」

    春香「そうそう、そういうこと」

    美希「なるほど……って!」

    春香「? どうしたの? 美希」

    美希「じゃあ春香……目の取引したってことなの!?」

    春香「うん。したよ」

    美希「! ……じゃあ、それと引き換えに残りの寿命の半分を……」

    春香「うん。まあそういうことになるかな」

    美希「! ……何で、そんなこと……」

    春香「それは……後で、詳しく話すよ」

    美希「…………」

    336 = 332 :

    春香「それよりさ、美希はいつからデスノートを持ってたの?」

    美希「え?」

    春香「いやほら、前のプロデューサーさんが心臓麻痺で亡くなったって聞いた時にさ、私はすぐに『これはきっとデスノートだ』って思ったんだよね」

    美希「! …………」

    春香「で、もしそうだとしたら、絶対765プロの皆の中に他のデスノートの所有者がいるって思ったの。前に他の皆との話でも出てたけど、あの人の悪い一面を知ってるのは私達だけだったからね」

    春香「それで、レムに他のノートの所有者を見分ける方法は無いかって聞いたら、さっきの方法を教えてもらえて」

    美希「じゃあ、それで目の取引を……?」

    春香「ううん。目自体はもっと前から持ってたの。ただその見分け方は知らなかったってだけで」

    美希「……そうなんだ……」

    春香「それでその翌々日、前のプロデューサーさんのお通夜で美希に会ってすぐに分かったよ。寿命が見えなかったからね」

    美希「じゃあ、あの時から気付いてたんだ……」

    春香「うん。でも実際のところ、美希がいつからノートを持っていたのかまでは分からなくて。ほら、毎日何十人何百人って人の名前と寿命が見えてたし、寿命が見えない人もいるなんて知らなかったから、そこまでちゃんと意識して見てなかったんだよね」

    春香「だから私が気付いてなかっただけで、本当はもっと前から美希はノートを持ってたのかなって思って。それでさっき、最初にその質問をしたってわけ」

    美希「ミキがノートを拾ったのは……ミキが前のプロデューサーの名前を書いたその日だよ」

    春香「そうなんだ。じゃあ結局、私は美希がノートを持ってからほとんどすぐ後に気付いてたってことだね」

    美希「うん。でもその時から気付いてたなら、何で今までずっと黙ってたの? そして何で今になって言う気になったの? 春香」

    春香「それは……」

    美希「…………」

    春香「うん。じゃあ……そのことも含めて、改めて今から全部話すよ」

    美希「! …………」

    春香「私がデスノートを拾った経緯、目を持った理由、これまでデスノートを使ってしてきたこと……そして、今になって美希に全てを打ち明けようと思った理由。その、全部を」

    美希「…………」

    337 = 332 :

    一旦ここまでですよ!ここまで!

    338 :

    乙ー
    終わりのアナウンスが春香になってる
    ここから流れが変わるのかな?

    339 :

    おつー

    いいとこで切るのう

    340 :

    さぁさぁ複雑になって参りました


    ところでL、アイドルの入浴シーン盗撮とはいい度胸だ
    コピーよこせ

    341 :


    これを読むのが最近の楽しみだったりする

    「計画通り」とかの顔芸は、やっぱり閣下の方が似合うと思う

    342 :

    乙乙
    やっぱ春香がミサミサポジについたかあ

    343 :

    >>1の時点で既に春香が動いてるのか

    344 :

    春香「それよりさ、美希はいつからデスノートを持ってたの?」

    美希「え?」

    春香「いやほら、前のプロデューサーさんが心臓麻痺で亡くなったって聞いた時にさ、私はすぐに『これはきっとデスノートだ』って思ったんだよね」

    美希「! …………」

    春香「で、もしそうだとしたら、絶対765プロの皆の中に他のデスノートの所有者がいるって思ったの。前に他の皆との話でも出てたけど、あの人の悪い一面を知ってるのは私達だけだったからね」

    春香「それで、レムに他のノートの所有者を見分ける方法は無いかって聞いたら、さっきの方法を教えてもらえて」

    美希「じゃあ、それで目の取引を……?」

    春香「ううん。目自体はもっと前から持ってたの。ただその見分け方は知らなかったってだけで」

    美希「……そうなんだ……」

    春香「それでその翌々日、前のプロデューサーさんのお通夜で美希に会ってすぐに分かったよ。寿命が見えなかったからね」

    美希「じゃあ、あの時から気付いてたんだ……」

    春香「うん。でも実際のところ、美希がいつからノートを持っていたのかまでは分からなくて。ほら、毎日何十人何百人って人の名前と寿命が見えてたし、寿命が見えない人もいるなんて知らなかったから、そこまでちゃんと意識して見てなかったんだよね」

    春香「だから私が気付いてなかっただけで、本当はもっと前から美希はノートを持ってたのかなって思って。それでさっき、最初にその質問をしたってわけ」

    美希「ミキがノートを拾ったのは……ミキが前のプロデューサーの名前を書いたその日だよ」

    春香「そうなんだ。ちなみにそのときって、死の日時指定とかってした?」

    美希「ううん。ただ名前を書いただけ」

    春香「そっか。じゃあ結局、私は美希がノートを持ってからほとんどすぐ後に気付いてたってことだね」

    美希「うん。でもその時から気付いてたなら、何で今までずっと黙ってたの? そして何で今になって言う気になったの? 春香」

    春香「それは……」

    美希「…………」

    春香「うん。じゃあ……そのことも含めて、改めて今から全部話すよ」

    美希「! …………」

    春香「私がデスノートを拾った経緯、目を持った理由、これまでデスノートを使ってしてきたこと……そして、今になって美希に全てを打ち明けようと思った理由。その、全部を」

    美希「…………」

    345 = 344 :

    春香「あ、でもその前に」

    美希「?」

    春香「美希に憑いてる死神さんも私に見せて」

    美希「……わかったの」スッ

    春香「へー。英語でタイトル書いてあるんだ。なんかかっこいいね。でも美希、いつもこれ持ち歩いてるの?」

    美希「うん」

    春香「なんか危なくない? それ……」

    美希「ミキの場合、家の中に置いてる方がアブナイの。お姉ちゃんとかに触られちゃいそうで」

    春香「なるほどね。では早速……」サッ

    (春香が美希のノートに触れた瞬間、美希の背後にいるリュークが春香にも視認可能となった)

    春香「へえー。死神っていってもレムとは全然違うタイプなんだね。あっ、名前だけは聞いてるよ。リューク。これからよろしくね」

    リューク「ああ、よろしく」

    美希(春香とリュークが普通に会話してる……なんかすごい光景なの)

    春香「じゃあ改めて……えっと、最初は……」

    レム「最初のくだりは私から話そう」

    春香「レム」

    レム「いいね? ハルカ」

    春香「うん。じゃあお願い」

    レム「あれは今から一年と少し前……死神界にジェラスという死神がいた」

    美希「…………」

    リューク「…………」

    レム「ジェラスは死神界からずっと一人の少女を眺めていた」

    レム「最初、私はジェラスがその子に恋をしているのだと思った。今の死神界じゃ大笑いされることだがありえない話ではないからな」

    レム「しかしジェラスを見ているうち、私は、ジェラスがその少女に抱いている感情はいわゆる『恋愛感情』と呼ばれる類のものとは少し性質が異なるのではないか、と思うようになってきた」

    346 = 344 :

    美希「? 恋じゃなかったってこと?」

    レム「まあ広い意味では『恋』といえるのかもしれないが……分かりやすく言うと、ジェラスはその子のファンになっていた」

    美希「ファン?」

    レム「そう。その子は当時、デビューして間もない、いわゆる新人アイドルってやつだった。まだ名も売れておらず、自分のCDを手売りで販売したりしていた」

    レム「ジェラスに詳しく話を聞いてみると、元々は、殺す人間を適当に探している時に、偶然その子を見つけたらしい。最初はなんとなく見ていた程度だったらしいが、その子が健気に、前向きにアイドル活動を頑張る姿を見ているうち、段々と情が湧いてきて……気が付けば、寝ても覚めても彼女の事を考えてしまうようになっていたそうだ」

    美希「へー。でもそれはやっぱり恋っていえそうな気もするの」

    レム「まあそうだったのかもな。だがジェラスとしても人間にそのような感情を抱くこと自体初めてだっただろうから、自分の感情が何に分類されるものなのか、おそらくはっきりとは自覚できていなかったのだろうと思う」

    美希「なるほどなの」

    春香「……………」

    レム「だが確かにその少女は、メスの私から見ても魅力的だった」

    美希(レムってメスだったんだ。っていうか、死神に性別ってあったんだ……)

    レム「何より明るく、元気が良くてね。少しドジなところもあったが、そこもまた魅力だった」

    春香「ちょ、ちょっとレム。そのへんの話は今別にいいんじゃない?」

    レム「そうか? だがジェラスの話をする上では結構重要な部分だと思うが……」

    春香「うー……でもやっぱりちょっと恥ずかしいよ……」

    美希「? 何で春香が……って、あ! もしかして……」

    レム「そう。ジェラスがファンになっていた、当時まだデビューして間もない新人アイドルだったのがこの子……天海春香というわけだ」

    美希「! 春香の、ファン……」

    春香「……………」

    347 = 344 :

    レム「日を追うごとに、ジェラスはよりハルカの虜となっていった。最初は死神界から眺めているだけだったんだが、いつしかそれに飽き足らず、ハルカの出演するイベントがある日にははるばる人間界に降りて、実際にそのイベントに参加するようにまでなった」

    美希「えっ! そんなことしていいの? 死神が」

    レム「まあ本当はダメなんだがね。ただ死神界の掟で、『ノートを渡す人間を物色する目的なら、一定時間人間界に居てもいい』というものがあってね。ジェラスはこれを理由に死神大王を騙し、しばしば人間界に降りてはハルカの出演するイベントに参加していた」

    美希「すごい根性なの」

    リューク「ククッ。まさか人間のためにそこまでする死神がいたとはな」

    美希「少なくともリュークは絶対しなさそうなの」

    リューク「まあな」

    レム「そうしてジェラスは、ハルカが出演するミニライブはもちろん、村祭りイベントや芸能事務所対抗大運動会など、765プロ全体が参加するイベントにも可能な限り足を運んでいた」

    美希「えっ! 来てたの? あの村祭りや運動会に」

    レム「ああ。ちなみに私も、ジェラスに付き合ってそれらのイベントに同行していた」

    美希「! そ、そうだったんだ……」

    レム「私もジェラスほどの入れ込みではなかったが、死神界から長い間眺めているうち、ハルカに対して陰ながら応援してやりたいという気持ちは芽生えていたからね」

    美希「へー。死神を二人もファンにしちゃうなんて、やっぱり春香はすごいの」

    春香「うぅ、恥ずかしい……ていうか本当にこのくだり必要なの?」

    348 = 344 :

    レム「だがもちろん、どんなに近くで応援していてもジェラスの姿はハルカからは見えない。まあ当然だがね。しかしそれでもジェラスは満足だった。『好きなアイドルを間近で応援できる』……ただそれだけで、ジェラスの心は満たされていたんだ」

    美希「ファンの鑑ってカンジなの」

    レム「しかしそこまでジェラスが入れ込んでいた理由は、ハルカのアイドルとしての魅力以外にもう一つあった」

    美希「? 何なの?」

    レム「ジェラスがハルカを見つけたとき、ハルカの寿命はもうあとわずか……およそ一年ほどしか残っていなかったんだ」

    美希「!」

    春香「…………」

    レム「デビューからわずか一年余りでの死……その予定された運命の儚さが、そんなことは知る由も無いままひたむきに頑張るハルカの魅力をより一層引き立たせ、またジェラスの心を惹きつけてやまなかった」

    美希「…………」

    レム「またハルカを観察しているうち、ジェラスの胸の内には様々な感情が生まれていた。たとえば、ハルカが前任のプロデューサーから受けていた度重なるセクハラ被害……お前もハルカ自身から聞いて知っていると思うが、ハルカはその男から日常的に身体を触られるなどしており、精神的にも相当参っているようだった」

    美希「…………」

    レム「その男に身体を触られ、辛そうな表情を浮かべるハルカを見るたび、ジェラスは何度も自分のノートにその男の名前を書こうとした。しかし結局、ジェラスはその男を殺さなかった」

    春香「…………」

    レム「自分はあくまで一ファンであり傍観者……ハルカの人生に直接介入すべきではないと考えていたからだ」

    美希「そうだったんだ……」

    レム「いずれにせよハルカの寿命はもうあとわずか。ならば自分がファンとして出来ることは、彼女がその人生を全うするまで見守ることのみ……ジェラスはそう決意し、胸の内に押し寄せる様々な感情を押し留めてハルカの応援をし続けた」

    レム「そしてついにハルカの寿命の日が来た。奇しくもその日は、今から五か月ほど前……765プロファーストライブの日だった」

    美希「!」

    349 = 344 :

    (回想)765プロファーストライブの日/ライブ会場】


    レム「まさかファーストライブの日が寿命の日とはね」

    ジェラス「……なんで、よりによって今日なんだろう……」

    レム「人の元々の寿命は我々が決めるものではないからな……こればかりはどうしようもない」

    ジェラス「…………」

    レム「まあいずれにせよ、今日がハルカの最後のステージだ。精一杯、悔いの無いよう応援してやりなよ」

    ジェラス「……うん……あっ」

    レム「? どうした?」

    ジェラス「あそこに居るの……あの子がまだ駆け出しだった頃からずっと応援してるファンだ。今まであったほとんどのイベントで見かけたから覚えてる」

    レム「そうか……。そいつはまだハルカの運命なんて知らないだろうが、知ったらさぞ悲しむだろうな」

    ジェラス「……うん……」

    レム「お、もうそろそろ始まる頃だな」

    ジェラス「…………」

    350 = 344 :

    【数時間後・ライブ会場の外】


    レム「良いライブだったな」

    ジェラス「うん」

    レム「竜宮小町が遅れると聞いたときはどうなることかと思ったが……ハルカはじめ、他のアイドル達が上手くカバーしていた」

    ジェラス「うん」

    レム「今日のライブを皮切りに、竜宮小町以外のアイドル達のファンも増えるかもしれないな」

    ジェラス「でも、もう、あの子は……」

    レム「……ああ。そうだな。しかし今日はもう後残り何時間も無いが……これからどう死ぬんだろうな……」

    ジェラス「…………」

    レム「今日のライブの様子を見る限り病気とかではなさそうだったし……普通に考えれば事故か何かか。かわいそうではあるが……」

    ジェラス「……レム」

    レム「ん?」

    ジェラス「……本当はこのまま死神界に帰ってあの子の最期を見届けるつもりだったけど……やっぱり最後は、この目で直接見届けてやりたい。……だめかな?」

    レム「ああ、お前ならそう言うだろうと思っていたよ。幸い、あと数時間ならまだこのまま人間界に居ても大丈夫だ。私も一緒に見届けよう」

    ジェラス「……ありがとう。レム」


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