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    元スレ美希「デスノート」

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    201 :

    全然関係ないけど>>151
    「皆さんにお渡しして」
    で笑点を思い浮かべた

    202 :

    【三週間後・キラ対策捜査本部(都内のホテルの一室)】


    「皆さん、過去一年分、日本全国の心臓麻痺死者の調査お疲れ様でした」

    「現時点で、我々が検知した該当の心臓麻痺死者――これには心不全、心筋梗塞、心臓発作などキラによる殺人と実質的に同視しうる死因により亡くなった者全てを含みますが――その数は15万2435人です」

    「毎年厚生労働省が発表している心臓麻痺等の死亡者の総数から推計するに、おそらく全量の7~8割方に相当するデータは収集できたものと思われます」

    「今後も残りのデータを収集する作業は継続しますが、もう既にこれだけの数のデータが集まっていますので、並行してこれらのデータの分析も行っていきたいと思います」

    「ここまで来れたのも、ひとえに皆さんの不断の努力の賜物です。本当にありがとうございます」

    総一郎「いや、竜崎……この短期間でここまでの量のデータが集められたのは、あなたの探偵としてのネットワークによるところが大きい。こちらこそ感謝する」

    相沢「L、コイル、ドヌーヴ……まさか世界の三大探偵といわれるこの三名が全員竜崎だったとはな」

    「私は元々持っていたものを利用したに過ぎません。ですが一応、私が他の名前も持っていることは秘密にしておいてください」

    松田「しかし、年代別、性別、地域別、職業別、死亡時期……可能な限りあらゆる項目でこれらの死亡者を類型化してみましたが、まだこれといって目立った共通項はありませんね」

    星井父「強いて言えば、そのほとんどが高翌齢者ってことか……まあある意味当然だが」

    総一郎「そうだな。だがまあこの数だ。後は竜崎の言うように、残りの2~3割の死亡者のデータを収集しつつ、既にあるデータについては地道に分析を重ねていくしかあるまい」

    「そうですね……キラ事件開始に近い時期に死亡した者達が何らかの共通した傾向を持っているなどということも、今のところは特に……ん?」

    相沢「? 竜崎?」

    204 = 202 :

    【翌日・765プロ事務所へ向かう道中】


    春香「おはよう、美希」

    美希「あっ、春香。おはようなの」

    春香「今日も寒いね」

    美希「うん。冬真っ盛りってカンジなの」

    春香「そして近づく受験の足音……」

    美希「うぅ……それは言わないでほしいの」

    春香「あはは。ごめんごめん。あ、そういえばこの前のテストはどうだったの?」

    美希「まあぼちぼちってカンジかな。一夜漬けで詰め込んだ割には」

    春香「そっか。志望校には手が届きそう?」

    美希「そうだね。元々ミキは家から近くてそんなに難しくないトコ受ける予定だったから、多分大丈夫なの」

    春香「そっかー。真や雪歩ももうすぐセンター試験だし、本当受験シーズン真っ只中って感じだね」

    美希「春になったら、入れ代わりで春香も受験生デビューだしね」

    春香「そうなんだよね……はあ、気が重いなあ」

    美希「そういえば、この前やよいに頼んでた家庭教師の話はどうなったの?」

    春香「ああ、多分やってもらえるって」

    美希「よかったの。これで春香も東大合格間違い無しなの」

    春香「東大て。どんだけハードル上げるのよ」

    美希「あはは。あ、着いたの」

    205 = 202 :

    【765プロ事務所】


    春香「おはようございます」

    美希「おはよーございますなの」

    「ああ、おはよう。春香。美希」

    春香「ん?」

    (事務所内に見知らぬスーツ姿の男性が2名立っており、社長、律子、小鳥と何か話している)

    春香「プロデューサーさん。そちらは……」

    「ああ、えっと……」

    (春香と美希に気付いた2名の男性が、スーツの内ポケットから黒い手帳のようなものを取り出す)

    総一郎「警察庁の朝日です」

    模木「模地です」

    春香「えっ」

    美希「け、警察?」

    社長「ああ、おはよう君達。ちょっと急なんだが、この刑事さん達が我々に聞きたいことがあるということでね。今日事務所に来た者から順に、一人ずつ話を聞いてもらうことになった」

    美希「!?」

    春香「そ、それって……何かの事件の捜査ってことですか?」

    社長「ああ、例のキラ事件の関係だそうだ」

    美希「! …………」

    春香「キラ事件って……それで何でうちに?」

    総一郎「詳しくは後ほどご説明いたしますが……キラ事件開始に近い時期に、こちらでプロデューサーをされていた方が心臓麻痺でお亡くなりになったとの情報を得たものでして。おそらくキラ事件とは無関係だろうとは思うのですが、念の為、お話をお聞かせ願いたいということです」

    春香「前のプロデューサーさんの……」

    美希「…………」

    「まあ、あくまで参考人としての事情聴取って位置付けだ。ちなみに俺と社長、律子、音無さんはもう話をした」

    美希「!」

    「もっとも俺は入れ代わりで入った身だから、前のプロデューサーについて話せることはほとんど無かったけどな」

    総一郎「そういう次第ですので、ご協力をお願いします。なおお話し頂いた内容の秘密は厳守しますので、その点はご安心下さい」

    春香「あ、はい。そういうことなら……」

    美希「…………」

    206 = 202 :

    美希(どういうことなの……? 何でいきなり警察が?)

    美希(まさかもうミキに辿り着いて……? いや違う、そんなことありえない)

    美希(証拠はノートしか無いんだから、ミキがキラだって分かるはずないの)

    美希(だからこれはさっき、朝日って人が言ってたように、前のプロデューサーがキラ事件開始の直前に心臓麻痺で死んだから……それで、念の為に話を聞きに来ただけ)

    美希(そう。ただそれだけのこと……別にミキを疑っているわけじゃない)

    美希(でもこの人達、キラ事件の捜査で来たってことは、パパと一緒に仕事してる人達ってことだよね)

    美希(ってことは当然、ミキがパパの子どもだってことも知っているはず)

    美希(パパはこのことを知っているの?)

    美希(最近ほとんど帰って来ないし、帰って来ても夜遅くてミキとはすれ違いばっかだからまともに話せてないけど……)

    美希(もしパパが知っているとしたら……)

    美希「…………」

    社長「えー、天海君はこの後レッスンの予定だったな。刑事さん達もできる限り君達の都合を優先して下さるとのことなので、まずは星井君から頼む。天海君はレッスンの準備を」

    美希「!」

    春香「は、はい。じゃあ頑張ってね。美希」

    美希「う……うん」

    総一郎「では星井さん。こちらへお願いします」

    美希「…………」

    207 = 202 :

    【765プロ事務所/社長室】


    (社長室の中央部分にパイプ椅子が三つ置かれており、そのうちの一つに美希が、向かい合う残りの二つに総一郎達が腰掛ける)

    総一郎「星井美希さん、ですね」

    美希「は、はい……なの」

    総一郎「そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ。先ほどもお話ししたように、ちょっとお話をお聞きするだけなので」

    模木「知っていることだけをお話し頂ければ大丈夫ですので。また、言いたくないことは言わなくても結構です」

    美希「わかりました、なの」

    美希(パパのことは何も言ってこない……まさかミキがパパの子どもだってことを知らない? いや、そんなはずは……)

    美希(……まあ、いいの。今はこっちに集中しないと……)

    総一郎「では早速ですが、以前この事務所に務められていたプロデューサー……□□さんの事についてお聞きします」

    美希「! …………」

    総一郎「□□さんが亡くなられた時――○月×日の19時頃ですが――この時、あなたはどこで何をしていましたか?」

    美希「えっ。そ、それって」

    総一郎「ああ、別にあなたを何か疑っているとか、そういうわけではありません。この事務所の方全員にお聞きしていることですので」

    模木「ご容赦下さい」

    美希「……えっと、確か……普通に家……自分の部屋に居ました、なの」

    総一郎「部屋で何をしていたか、覚えていますか?」

    美希「うーん……あんまりよく覚えてないけど、多分漫画読んだり、スマホいじったり……そんな感じでゴロゴロしてたと思います、なの」

    総一郎「なるほど。ではそのことを証明できる方はいますか?」

    美希「多分マ……お母さんが家に居ました、なの。だからミキが家に居たことは聞いてもらえれば分かると思います、なの」

    総一郎「分かりました。では□□さんが亡くなったことを知ったのはいつですか?」

    美希「えっと……その次の日、朝事務所に来たときに社長から聞きました、なの」

    総一郎「ではそこで初めて知ったと」

    美希「はい、なの」

    総一郎「分かりました」

    美希「…………」

    208 = 202 :

    総一郎「では次に、この□□さんという方ですが……生前、どういう方でしたか?」

    美希「どういう、って?」

    総一郎「星井さんから見て、良い人だったか、それとも悪い人だったのか。何でも結構です。あなたの印象をお聞かせ下さい」

    美希「え、えっと……」

    模木「これは□□さんが亡くなったことがキラ事件と関係があるのかどうかを調べるために聞いているものです。あなたもキラ事件の事はご存知ですね?」

    美希「は、はい、なの。テレビでよくやってるし……」

    模木「テレビ等で報道されている通り、キラは現在、犯罪者を心臓麻痺で殺していると考えられます。そしてこの□□さんは犯罪者ではありませんが、キラ事件が始まる直前に心臓麻痺で亡くなっている」

    美希「…………」

    模木「なのでもし□□さんも犯罪者達と同じようにキラに殺されたのだとすれば、殺されるだけの何らかの理由があったと思われます。犯罪者ではないとしても、キラの標的になってしまうような理由が。それを知るための質問だとご理解下さい」

    美希「えっと、じゃあ前のプロデューサーが裏で悪いことをしてなかったかとか、そういうこと……?」

    総一郎「簡単に言えばそういうことです。たとえば、キラが犯罪者以外に不道徳な人間や人に迷惑を掛けるような人間も殺しているとすれば、そういった人達はこれまで『キラ事件の被害者』としては検知されていませんので」

    模木「つまり、これはキラの殺害対象がこれまでの我々警察の認識よりもっと広かったとすれば、という仮定の下での捜査です」

    美希「なんかちょっと難しいけど……要は前のプロデューサーがキラに殺されてもおかしくないような悪い人だったか、っていうことだよね」

    総一郎「そうです。何か心当たりはありませんか? どんな些細な事でも結構です」

    美希「…………」

    209 = 202 :

    美希(どうしよう……本当の事を言うべき?)

    美希(社長や律子、小鳥は前のプロデューサーがミキ達にセクハラしていたことは知らない……多分、正直に話したとしても『仕事の出来はあまり良くなかった』とかそんな程度のはず)

    美希(でも仮にここでミキがウソをついても、この後春香が同じ質問をされるんだろうし、さらにその後には他の皆も……)

    美希(そうなったら、もし皆が全部正直に話した場合、ミキだけが違うことを言っていたらかえって怪しまれる……)

    美希(そもそも他の皆が警察に対してウソをついたりするとは思えないし……『話した内容の秘密は守る』って言われてる以上、ウソをついてまで前のプロデューサーをかばう理由も無いの)

    美希(そうするとやっぱり……正直に言うしか……)

    美希(いや、大丈夫……前のプロデューサーにひどいことされたり言われたりしてたのはこの事務所のアイドル全員だし、ミキだけが特別疑われたりすることは無いはず)

    美希(直接身体を触られたりしてたのは、ミキ以外だと春香と雪歩くらいだったけど……それでも、ミキだけが前のプロデューサーを恨んでいたように思われることは無いはず……多分……)

    美希(…………)

    総一郎「星井さん?」

    美希「は、はいなの」

    総一郎「どうですか? 先ほどもご説明したように、ここで話して頂いたことの秘密は厳守します。他の方に言いにくいようなことでも、安心して話して頂いて構いませんよ」

    美希「は、はい……なの」

    総一郎「…………」

    模木「…………」

    210 :

    ヨツバは暗黙の了解でキラの裁きを認めてたからヤバいっちゃヤバい

    211 = 202 :

    美希「正直に言うと……前のプロデューサーからは、よくセクハラをされていました……なの」

    総一郎「!」

    模木「セクハラ……ですか」

    美希「はい、なの」

    総一郎「どういうことをされていたのか、具体的にお聞かせ願えますか」

    美希「う、うん……。えっと、たとえば、事務所で二人きりのときとか、仕事先に向かう車の中とかで、いきなり肩や腰に触ってきたりとか……」

    総一郎「肩や腰……他には?」

    美希「……太ももやおしりも、時々……」

    総一郎「頻度……回数でいうと、どのくらいですか?」

    美希「えっと……毎日とかではなかったけど、週に3~4回はあったかな……」

    総一郎「なるほど」

    美希「…………」

    総一郎「あなた以外にも、セクハラ被害を受けていた人はいますか?」

    美希「うん。春香や雪歩も、ミキと同じように身体触られたってよく言ってたの」

    総一郎「天海さんと萩原さん……ですね」

    美希「うん。触られてるところを直接見たことはないけど」

    総一郎「他の方は、そういう被害には?」

    美希「身体触られたっていう話は聞いてないけど、言葉でセクハラっぽいこと言われたりとかは、多分うちのアイドルの子は全員……」

    総一郎「言葉でのセクハラ……それはどういう内容ですか?」

    美希「えっと……人によって違うと思うけど、たとえば『なんでそんなに胸がデカいんだ』とか、逆に『何でそんなに胸が無いんだ』とか……言われた相手が傷つくようなこと、いっぱい」

    総一郎「では、あなたが言われて嫌だったことにはどんなことがありますか?」

    美希「今言った『なんでそんなに胸がデカいんだ』とか、『胸に栄養がいってるから頭に栄養がいってない』とか……『いっそ俺が揉んでもっと大きくしてやろうか』とか……そういう感じ」

    総一郎「なるほど。でも先ほどのお話からすると、実際に胸を触られたことはなかったということですか?」

    美希「うん。それは流石にやばいって思ったんじゃないかな」

    総一郎「そうですか」

    美希「…………」

    212 = 199 :

    πタッチしなかっただけ前Pはお前らよりマシだな

    213 :

    こうしてみると恐らくキラじゃないのかってところまでは月のほうが簡単にいったけどそこから真相までは難しく
    美希の場合はキラじゃないのかって思われるまではなかなかたどりつかないがたどり着いたらわりと簡単に真相までたどりつきそう

    214 :

    なんでそん72

    215 :

    πタッチは雪歩以外にしないよ

    216 :

    「765プロ関係者の家に監視カメラと盗聴器を仕掛けましょう!」

    217 = 202 :

    総一郎「ありがとうございました」

    美希「いえいえ、なの」

    総一郎「ではすみませんが、もう少しだけ……」

    美希「…………」

    美希(まだあるの? もう嫌なの……)

    総一郎「□□さんが亡くなった日の一年前くらいから現在に至るまで、あなたの周囲で亡くなった方はいますか? 家族、友人、知人全て含めてです」

    美希「!」

    模木「これは心臓麻痺に限らず、死因は問いません」

    美希「えっと、それって……ミキを疑ってるってコト……?」

    総一郎「いえ、そうではありません。ただ□□さんがキラに殺されたのだとすれば、その他にも765プロさんの関係者の方が被害に遭っている可能性がありますので、念の為の確認です」

    美希「でもそれなら心臓麻痺で亡くなった人だけでいいんじゃ……?」

    総一郎「仰る通りです。ただキラの殺人の方法はまだ完全には特定できていませんので、これも念の為です」

    美希「…………」

    美希(まさか警察は『キラは心臓麻痺以外でも人を殺せる』ということまでもう掴んでいるの?)

    美希(いや、これは警察というよりLって人の考え?)

    美希(でもそれこそ、デスノートのルールを知らない限り絶対に分からないはず……ミキは心臓麻痺以外で誰かを殺したことはないし……)

    美希(いや今はそれより、この状況をどう切り抜けるかを考えないと……)

    美希(クラスメイトのAの件……でもここで言わないと流石に怪しまれる……)

    美希(当然だけど、少なくともパパはとっくに知ってるし……もしパパがもう既にこの人達に話しているとしたら、ミキが知らないって言った場合すぐにそれがウソと分かる)

    美希(もしパパがまだ言っていなくても、警察が調べればどうせすぐに分かるだろうし……)

    美希「…………」

    218 = 202 :

    美希(ならやっぱりもう正直に言うしか……でもこのことが分かったら、キラの容疑者ってもうミキ一人だけになる……?)

    美希(前のプロデューサーとA……どっちとも関わりがあるのは、ミキしかいないし……)

    美希(どうしよう? 最悪、今ここでこの刑事さん達を……ってバカ、そんなことしたら一層ミキが疑われるだけ)

    美希(それにノートは今持ってるこの鞄の中に入ってるけど、どのみちこの状況で二人分の名前を書けるわけもないし……)

    美希(じゃあやっぱりここは……もう……)

    リューク「……ミキ」

    美希「? (リューク?)」

    リューク「いつでも目の取引はできるからな。コンタクトを入れるのと変わらない。数秒で済む」

    美希「…………。(取引? 何でこのタイミングで?)」

    総一郎「星井さん?」

    美希「あっ、ご、ごめんなさいなの。(もう……今色々考えてるんだからちょっと黙っててほしいの!)」

    リューク「……ククッ」

    総一郎「どうですか? 特にいないようであれば……」

    美希「あ、えっと……い、います、なの」

    総一郎「! それはどなたですか?」

    美希「えっと……ミキと同じクラスだった、A君……」

    総一郎「亡くなったんですか?」

    美希「はい、なの」

    総一郎「死因は?」

    美希「……確か、心臓麻痺……」

    総一郎「! それはいつ頃ですか?」

    美希「えっと確か、前のプロデューサーが亡くなった日の……次の、次の日……かな」

    総一郎「! ………」

    模木「それは……」

    美希(……驚いてる? ってことは知らなかったの?)

    美希(じゃあパパは……Aの事、この人達には言ってなかった……?)

    219 = 202 :

    総一郎「前のプロデューサーが亡くなった日の……翌々日……か」

    模木「ちょうど、ぎりぎり前回の調査範囲外ですね」

    総一郎「うむ……」

    美希「? (調査範囲外……?)」

    総一郎「ああ、失礼しました。ではそのA君の事についていくつか質問させて下さい」

    美希「は、はい……なの」

    総一郎「まず、そのA君というのはどういう子でしたか?」

    美希「えっと……特にどうってことは……別に不良とかでもなくて、普通の子だったの」

    総一郎「では性格でいうと、大人しい方ですか?」

    美希「ううん、どっちかというと結構騒がしいタイプ……かな」

    総一郎「なるほど。ではA君が他のクラスメイトに迷惑を掛けたりしていたことなどはありましたか?」

    美希「え、えっと……」

    美希(どうしよう……本当の事を言うと、ますます……でももしこの刑事さん達がミキのクラスの他のコ達にも聞き取りしたら……)

    美希(ダメなの。ここでウソをついても結局どこかでボロが出る)

    美希(もうここは賭けに出るしか……)

    美希「迷惑っていうか……ちょくちょく、女子にセクハラっぽい事を言って困らせたりしてたことはあったかな……」

    総一郎「セクハラ……具体的には?」

    美希「えっと、たとえば、『昨日休んでたのは生理か?』とか『スカートもっと短くしたらどうだ』とか……そんな感じの、色々」

    総一郎「なるほど。ではあなたもそういうことを言われたことはあったんですか?」

    美希「まあ……ミキはアイドルもやってたから、その関係で時々……」

    総一郎「どんなことを言われたんですか?」

    美希「えっと、『もっと際どい水着着て写真集出せよ』とか『雑誌で見る方が胸デカく見えるけど、何か入れてるのか』とか……」

    総一郎「そうですか。ではそれ以外には? 言葉以外に、身体を触られたりとかはありましたか? あなた自身でも、あなた以外の生徒でも」

    美希「そういうのは無かったの。他の子にも、多分してなかったと思う」

    総一郎「分かりました。では次に、A君が亡くなった当日の事について教えて下さい」

    美希「はい……なの」

    220 = 216 :

    ミキミキの家は私が監視します
    念のためお風呂やトイレにも重点的に

    221 = 199 :

    お前一人じゃしんどいだろ
    美希の部屋とトイレとお風呂は俺がきっちり見張ってるから休んどけ

    222 = 202 :

    総一郎「A君が亡くなったのは……○月△日でよろしいですか」

    美希「うん」

    総一郎「時間で言うと、何時頃ですか? それと、亡くなった場所は?」

    美希「えっと……二限の始まる前だったから……朝の10時前くらいかな。場所は教室」

    総一郎「A君が亡くなった時、あなたも教室にいましたか?」

    美希「う、うん……いました、なの」

    総一郎「ではその時の状況について教えて下さい」

    美希「えっと……確か、急に何人かの男子が騒ぎ出して、何事かと思って近付いてみたら、A君が床に倒れてて……」

    総一郎「そのまま亡くなった、と」

    美希「多分……その後先生が来て、すぐに救急隊員の人を呼んで、そのまま運ばれて行ったから……それからどうなったのかまでは分からないけど」

    総一郎「なるほど。ちなみにこの日、あなたはA君と何か話したりはしましたか?」

    美希「確か……朝、始業前にミキのところに来て何か言ってきたような気はするけど……いつものことかと思って、適当にあしらったから……内容までは覚えてないの」

    総一郎「そうですか」

    美希「はい、なの。(一応、これくらいは言っとかないと後で矛盾出てきそうだし……)」

    総一郎「分かりました。模地、他に何かあるか?」

    模木「いえ。私の方からは特に」

    総一郎「それでは、今日はこのへんで。長時間にわたり、ご協力ありがとうございました」

    美希「今日は、ってことは……またあるの?」

    総一郎「ええ。今後の捜査の状況次第では、またお話をお伺いさせて頂くかもしれません。そのときはまたよろしくお願いします」

    模木「よろしくお願いします」

    美希「……わかりました、なの」

    223 = 202 :

    【765プロ事務所/執務室】


    春香「あっ。美希」

    美希「春香」

    春香「どうだった?」

    美希「んー。別にフツーだったの。ただ知ってることを話しただけ」

    春香「そっか。お疲れ様」

    美希「ありがとうなの」」

    総一郎「えー、では次、天海さん。お願いします」

    春香「はーい。じゃあ行ってくるね」

    美希「うん。行ってらっしゃいなの」

    (総一郎に促され、社長室へと入っていく春香)

    美希「…………」

    リューク「ククッ。大ピンチってやつじゃないのか? コレ」

    美希(確かに……このままだと……)

    「美希? 大丈夫か? 少し顔色がすぐれないようだが……」

    美希「ん? ううん、大丈夫なの。ただちょっと慣れないことだったから、疲れちゃっただけ」

    「はは。まあそうだよな。俺も初めてだよ、こんなの」

    美希「あはっ。……さてと、じゃあミキ、レッスン行くね」

    「ああ。でも疲れてるようなら、少し休憩してからでもいいぞ。一応、先生には事情を言ってあるから」

    美希「ありがとう、プロデューサー。でも大丈夫なの」

    「そうか。じゃあ頑張って来い」

    美希「はーいなの」

     ガチャッ バタン

    美希「…………」

    224 = 202 :

    【同日夕刻・765プロ事務所からの帰路】


    「いやー、でもびっくりしたなあ。まさかいきなり警察の人が来るなんて」

    雪歩「私、あんな近い距離で男の人二人から色々質問されたから、すごく気疲れしちゃった……」

    「はは、確かに雪歩には別の意味で辛かったかもね」

    雪歩「でも警察の人も大変だよね。こんな風に、心臓麻痺で亡くなった人を一人ずつ、順々に調べてるのかな……」

    「うーん、どうなんだろ? 少なくとも前のプロデューサーの場合は、たまたま亡くなった日がキラ事件の時期に近かったからだと思うけど。確か、あの朝日って刑事さんが最初にそう言ってたし」

    美希「…………」

    「ねえ。美希は何か知らないの?」

    美希「えっ」

    「いや、美希のお父さんって警察官だったよね? だから何か聞いてないかなって」

    美希「えっと……ちょっとわかんないの。最近、パパあんまり帰って来てないし……」

    「そっか。残念」

    美希「…………」

    雪歩「でもこれって、私達の中にキラがいるかも、って思われてるってことなのかな……」

    美希「!」

    「いやー、流石にそれはないと思うけど」

    雪歩「でも前にも同じような話したと思うけど、前のプロデューサー、外面だけは良かったから、あの人の悪いところを知ってるのは多分私達だけだって……」

    春香「……ねぇ、もうやめない? そういう話するの」

    「! 春香」

    雪歩「春香ちゃん」

    225 = 202 :

    春香「警察の人達がどういう考えのもとで私達に聞き取りをしたのかなんて、私達がいくら考えても分かるわけないんだし……大体私達の中にキラがいるはずないんだから、考えても仕方ないよ」

    「でも春香、前に『前のプロデューサーはキラに殺されたのかも』って言ってなかった?」

    春香「あ、あの時はだって、まさかこんな風に本当に刑事さんが来たりするなんて思ってもみなかったし……なんていうか、実際にこういうことになると、考え過ぎるとかえって良くないかなって」

    「まあ、それもそうだね。ボク達が考えてどうにかなることでもないし」

    雪歩「そうだね。それに私達の場合、キラ事件よりもっと大事な事が目の前に迫ってるし……ね。真ちゃん」

    「もちろん分かってるよ、雪歩。もう10日切ったもんね」

    春香「ああ、センター試験だね」

    雪歩「うん。これから二人で一緒にファミレスで追い込みする予定なんだ」

    春香「そっか。頑張ってね」

    「ありがとう。じゃあそういうわけで、ボク達こっちだから。また明日ね、春香。美希」

    雪歩「バイバイ、春香ちゃん。美希ちゃん」

    春香「うん。またね」

    美希「…………」

    「美希?」

    美希「えっ。ああ、うん……またね、なの。真くん、雪歩」

    「大丈夫? なんか疲れてない? 美希」

    美希「ううん。へーきなの」

    「そう? ならいいけど。じゃ、またね」

    美希「うん。また明日」

    (ファミレスの方に向かって歩いて行く真と雪歩)

    春香「どうする? 美希。私達もどっかで晩ごはん食べてく?」

    美希「あー、今日はやめとくの。ミキも一応受験生だし、帰って勉強しないと」

    春香「そっか、了解。美希も頑張ってね」

    美希「うん。ありがとうなの、春香」

    美希(…………)

    226 = 202 :

    【同日夜・星井家】


    美希「…………」

    美希(まさかこのドアを開けたらパパがミキを待ってて、『美希、お前を逮捕する』とか……)

    美希(な……ないない! そんなことあるはずないの!)

    美希(大体こんな風に家の前で立ち止まってるところを誰かに見られた方が怪しまれるの)

     ガチャッ

    美希「……ただいま、なの」

    星井父「おー、お帰り。美希」

    美希「!」

    星井父「ん? どうした? 面食らった顔して」

    美希「あ、え、ええと……パパがこんな時間に家に帰って来てるのって久しぶりだから、ちょっとびっくりしたの」

    星井父「はは、それもそうだな。すまんすまん。たまたま仕事を早く切り上げられてな」

    美希「そ、そうなの」

    星井母「美希、もうこの後すぐにごはんでいい? 今ちょうどできたところなんだけど」

    美希「うん」

    星井母「じゃあちょっと待っててね」

    美希「お姉ちゃんは?」

    星井母「今日は大学のサークルの飲み会だって」

    美希「そう」

    星井父「…………」

    美希「…………」

    227 = 202 :

    美希(パパは何も言ってこない……)

    美希(どうして? まさか知らないの? 今日あの刑事さん達がうちの事務所に来たこと……)

    美希(もしかして、パパ、キラ事件の担当から外れたのかな……?)

    美希(でももしパパが知っているとしたら……ミキがそれを言わずに黙っているのは……)

    美希(…………)

    美希「ね、ねえ……パパ」

    星井父「ん?」

    美希「えっと、今日ね。ミキの事務所に刑事さん達が来たの」

    星井父「!」

    美希「確か、朝日さんって人と、模地さんって人。前のプロデューサーの事とか、色々聞かれて。パパ、何か知ってる?」

    星井父「……いや、パパ、今ちょっと別の仕事をやっててな」

    美希「え? そうなの? じゃあもうキラ事件の担当じゃないの?」

    星井父「んー、まあそんな感じかな。ハハ……」

    美希「……ふぅん……」

    美希(パパ……なんか隠してる……? でもここでミキが深く突っ込むのもおかしいし……)

    星井父「…………」

    星井父(今の捜査状況……765プロに比重を置いた捜査がされている事は美希には話せない……局長達がどこまで美希に話したのかも分からないし……)

    星井父(本当は『お前が疑われているわけじゃないから安心しろ』と言ってやりたいが……しかし俺がそれを言うと、俺が捜査状況を知っていることが美希にばれてしまう……)

    星井父(どのみち話せないのなら、知らないふりをしておいた方が良い……中途半端に情報を与えると、かえって不安を煽ることになりかねない……)

    星井父(……すまん、美希……)

    星井母「はい、お待たせ。どうしたの? 二人とも押し黙っちゃって」

    美希「え? んーん、なんでもないの。いただきまーす!」

    星井父「はは。落ち着いて食べろよ。美希」

    星井母「なんか久しぶりね。こうして親子で食卓を囲むの」

    美希「お姉ちゃんがいないけどね」

    星井父「じゃあ今度は菜緒もいるときに帰って来るようにするよ」

    美希「本当? パパ」

    星井父「ああ、約束する」

    星井母「大丈夫なの? 気軽にそんなこと言っちゃって」

    星井父「ああ。前よりは仕事も落ち着いてきたからな」

    星井母「そうなの? それならいいけど」

    美希「…………」

    228 = 202 :

    【二時間後・美希の自室】


    美希「…………」

    リューク「あれ? ミキ。今日の裁きはお休みか?」

    美希「…………」

    リューク「まあ、今の状況だと下手に動かない方が良いか」

    美希「……ううん。裁きはするよ」パラッ

    リューク「お、するのか」

    美希「だって『765プロの関係者に聞き取りした直後に裁きが止まった』なんてことになったら、ますます疑われるの」

    リューク「ククッ。確かにな。じゃあ同じ理由であの刑事達も殺さないってことか」

    美希「そうだよ。そんなことしたら、うちの事務所の中にキラがいるって言ってるようなものなの」

    リューク「なるほどな。まあでもどのみち……」

    美希「?」

    リューク「おっと、なんでもない。危うく口が滑るところだったぜ。ククッ」

    美希「? なんなの? リューク」

    リューク「いや、本当に何でもない。忘れてくれ。あ、それよりお前もリンゴ食うか? 美味いぞ」シャクシャク

    美希「いらないの。死神の食べかけなんて」

    リューク「……ああ、そう……」

    美希「…………」

    (ネットのニュース記事を読む美希)

    美希「実子を窒息死させた疑いで逮捕……皮梨響子……」

    美希「……皮……梨……」プルプル

    リューク「おいおいミキ。手が震えてるぞ?」

    美希「う、うるさいの!」

    リューク「ククッ。今日の一件で相当動揺しているようだな。まあ無理も無いか」

    美希「…………」

    美希(今、警察はどこまでミキを疑っているの……?)

    美希(前のプロデューサーの件、Aの件……おそらくもうどちらもLに伝わった)

    美希(でもこれだけではまだミキ=キラっていう証拠にはならないはず)

    美希(このデスノートが押さえられない限りは……)

    美希「……隣人をナイフでめった刺しにして殺害……柾原省吾……」

    229 = 202 :

    一旦ここまでなの

    230 :

    おつ

    231 = 200 :

    どのみちってことはまさか……

    232 :

    もうアレが仕掛け終わった後だったりしてな

    233 :

    どのみちってどういう意味なんだろ…
    3つくらい予想できるけどそろそろ怖くなってきたな

    234 :

    カメラかな…

    235 :

    偽名だからどのみち殺せないってことでは

    236 :

    あぁなるほど
    どのみち寿命で死ぬから美希が疑われるのは時間の問題ってことかと思った

    237 :

    まあ>>235だろ
    まだ対象しぼれてないからカメラしかけるには早すぎる 今回の美希自身の証言でしぼられる気もするが

    238 :

    【一週間後・キラ対策捜査本部(都内のホテルの一室)】


    「……皆さん、ご報告ありがとうございました」

    総一郎「…………」

    相沢「…………」

    模木「…………」

    松田「…………」

    星井父「…………」

    「…………」

    (アイドル事務所関係者については……既に報道されている者以外で、ニュースになっていたアイドル事務所関係者連続死亡事案に関連しそうな死亡者はいなかった。また765プロダクションの前任のプロデューサーの死亡以降、新たに亡くなった者もいない)

    (そして、765プロダクションの方は……)

    (心臓麻痺で亡くなった前任のプロデューサー……社長、事務員、同僚の女性プロデューサーからは一様にその仕事能力を疑問視する声が……しかしコネで入社したがゆえに誰も彼に注意が出来なかったという実態)

    (そして所属アイドルからは……その全員から、彼による何らかのセクハラ被害を受けていたとの証言が得られた。無配慮な言動によるものがほとんどのようだが、その中で身体への接触までされていたのが……星井美希、天海春香、萩原雪歩の三名)

    (以上のことから、強弱はあれど、一応、当時在籍していた765プロダクションの関係者全員に前任のプロデューサーを殺害する動機はあったといえる)

    (もう一点、765プロダクション関係者の周辺での死亡事案については……)

    (近親の高齢者の死亡など、特段キラと無関係と思われるものが大半だったが……ただ、一人だけ)

    (何の予兆も前触れも無く、ある日突然、心臓麻痺で死亡した者がいる。しかもキラ事件の開始とほぼ同じタイミング……新宿の通り魔が殺された日の翌日に)

    (その人物は区立△△中学校三年の男子生徒……765プロ所属アイドル・星井美希のクラスメイト)

    (またその男子生徒は、普段から性的な言動で女子生徒をからかうことが多く、星井美希もその対象となることが間々あった)

    (この事実は星井美希自身の供述に加え、他のクラスメイト数名への後日の聞き取り調査からも裏付けられたとのこと)

    (これらの事実が意味するのは……)

    「…………」

    星井父「…………」

    239 = 238 :

    「……星井さん」

    星井父「…………」

    「美希さんのクラスメイトの件、あなたは知っていましたね」

    星井父「ああ。妻から聞いていた」

    「だがあえて今まで言わなかった……」

    星井父「前任のプロデューサーの件もあったし、娘に変にバイアスを掛けられたくなかったからな。それにいずれ分かることだろうとも思っていた」

    「そうですね。捜査官としての立場を別にすれば、一般的な父親の心理としてはそれが自然だと思います」

    星井父「…………」

    「しかし実際どう思われますか?」

    星井父「どう、とは?」

    「765プロダクションの前任のプロデューサー、新宿の通り魔、そして区立△△中学の男子生徒。この三名の死亡日は全て連続しています。そしてその死因は全て心臓麻痺です」

    星井父「…………」

    「新宿の通り魔は別にしても、765プロダクションの前任のプロデューサーと区立△△中学の男子生徒。この両名と接点があったのは星井美希さんただ一人」

    「さらにいずれの人物に対しても、美希さんが少なくとも好意的な感情は持っていなかったであろうことが推測されます」

    星井父「…………」

    「これらの事実を踏まえて、どう思われますか」

    星井父「だからどう、というのは」

    「娘さんがキラであるという可能性についてどう思われますか、という意味です」

    星井父「! …………」

    240 = 238 :

    「…………」

    星井父「確かに、美希が現時点でそのような疑惑を掛けられるのは仕方がないことだとは思う」

    総一郎「星井君……」

    松田「係長……」

    星井父「俺は前任のプロデューサーの件も、美希のクラスメイトの件もいずれも知っていた。しかしたまたま時期と死因が重なっただけで、キラ事件には到底結びつくはずが無いと思っていたし、仮に結びついたとしても、美希とは全く無関係だろうと思っていた」

    「だから知っていたけどあえて言わなかった。そういうことですね?」

    星井父「そうだ。いずれの人物に対しても、美希には殺す動機なんて無いと思っていたからな。……今日の、局長達の報告を聞くまでは」

    総一郎「星井君……」

    「では、今は考えが変わった……と?」

    星井父「いや……それでも美希が人殺しなんてするはずがない。そう思っていることに変わりは無い。だが……」

    「? だが?」

    星井父「俺は美希が前任のプロデューサーにセクハラされていたことも……クラスの男子からそんなからかいをされていたことも全く知らなかった。今までずっと、誰よりも美希の事を理解していたつもりだったのに……だ」

    「…………」

    星井父「だから、もし俺もまだ知らないような美希の別の一面があるとすれば、あるいは……。さっきからずっと、そんな考えが頭の中をよぎっているのは事実だ」

    松田「そ、そんなことないっすよ! 係長!」

    星井父「松田」

    松田「ミキミ……美希ちゃんがキラなんて、そんなことあるわけないじゃないっすか!」

    星井父「……しかし……」

    松田「しっかりして下さいよ! 父親が娘を信じないでどうするんですか!」

    星井父「松田。気持ちは嬉しいが、俺は美希の父親である前に一人の警察官であり、このキラ対策捜査本部の捜査員だ」

    松田「係長……」

    星井父「だから……竜崎。どうかあなたの気の済むまで、娘を捜査してほしい」

    松田「! 係長」

    総一郎「星井君」

    「…………」

    241 :

    やっぱり原作月のようにL抹殺に動かなければいずれ詰むよな。
    それでもLに勝てるかはかなり難しいが。

    242 = 238 :

    相沢「まあ、そうだな……。係長の娘さんとはいえ、嫌疑がある以上、捜査は捜査として、しないわけにはいかないだろう」

    総一郎「うむ……」

    「そうですね……ただ現状ではまだ状況証拠しかありませんし、単に相対的にみて、美希さんが一番疑わしいだけというレベルに過ぎません」

    星井父「竜崎」

    「前任のプロデューサーだけなら、少なくとも身体を触られていた天海春香や萩原雪歩と同程度の動機ということになるでしょうし……男子生徒の方も、美希さんだけが被害に遭っていたというわけでもなく、またそのからかいの程度も殺意まで生じさせるレベルであったかというと正直疑問です」

    「ただ現状で美希さんが一番疑わしいのは今言った通りですので……とりあえず、もう少し彼女の身辺を洗うことにします」

    「そういうわけですので、模木さんは引き続き、美希さんのクラスメイトの残り全員に対する聞き取りをお願いします」

    模木「はい」

    「相沢さんと松田さんは、美希さんの周囲で死亡した者が他にいないか、可能な限り過去に遡って調べて下さい」

    相沢「分かった」

    松田「やりましょう。係長の為にも」

    星井父「松田……」

    「夜神さんは、美希さんと天海春香、萩原雪歩の三名に少し比重を置きつつ、当時在籍していた765プロダクションの関係者全員と前任のプロデューサーとの間の人間関係についてもう少し詳しく調べて下さい」

    総一郎「……ああ、分かった」

    「そして星井さんは……」

    星井「分かってる。引き続き、残りの心臓麻痺死者のデータ収集と、アイドル事務所関係者以外の心臓麻痺死者間における共通項の有無の分析……だろう。俺が自分の娘の捜査をするわけにはいかないからな」

    「はい。申し訳ありませんがよろしくお願いいたします」

    「私も、美希さんだけにこだわらず、キラへの手がかりが他に無いかを横断的に調べてみます。では今日はこれで解散とします。お疲れ様でした」

    総一郎「…………」

    243 = 238 :

    【キラ対策捜査本部のあるホテルからほど近くの路上】


     ピピピピ……

    総一郎「? 非通知の着信?」

    総一郎「はい」ピッ

    『もしもし。竜崎です。朝日さんですか』

    総一郎「ああ、朝日だ。どうした?」

    『今、お一人ですか?』

    総一郎「ああ、一人だが?」

    『では大変申し訳ありませんが、今すぐ誰にも言わずに一人で捜査本部に戻って来て下さい。朝日さんにだけお話ししたいことがあります』

    総一郎「……分かった。実は私もあなたに話したいことがあったんだ」

    『そうですか。ではすみませんがよろしくお願いいたします』

    総一郎「ああ。すぐに行く」ピッ

    244 = 238 :

    【キラ対策捜査本部(都内のホテルの一室)】


    総一郎「竜崎」

    「お手間を取らせてしまいすみません。夜神さん」

    総一郎「いや、いい。それより話とは」

    「夜神さんの方から先にどうぞ」

    総一郎「……分かった。端的に言って、今はやはり星井君の娘さん……星井美希を徹底的に調べるべきだと思う」

    「…………」

    総一郎「竜崎も言っていたが、彼女と接点のある人物が二人も、しかもそのいずれもがキラ事件開始とほぼ同じタイミングで心臓麻痺死なんて怪し過ぎる」

    総一郎「先ほど、あなたは私に765プロの関係者全員と前任のプロデューサーとの間の人間関係の精査を指示したが、今はそれより星井美希に絞って捜査した方が……私も彼女の身辺に限定した捜査を行った方が良いと思う」

    「……夜神さん」

    総一郎「? 何だ? 竜崎」

    「素晴らしいです」

    総一郎「え?」

    「私が夜神さんにお話ししようとしていたことは、今夜神さんが私に仰ったこととほぼ同じです」

    総一郎「! では竜崎。あなたも……」

    「はい。私も今は可能な限り星井美希に焦点を絞って捜査すべきと考えています。彼女は現時点において限りなく黒に近いグレーです」

    総一郎「そうだったのか。では、先ほどの私への指示は……」

    「はい。あれは他の捜査員の方の目を逸らすために出したダミーの指示です。本当の指示は今からお伝えします」

    総一郎「……分かった。では頼む」

    245 = 238 :

    「はい。他の捜査員の方には黙って、星井美希の部屋……いえ、星井係長の自宅全体に監視カメラと盗聴器を設置します。夜神さんには私と共にその監視をして頂きたい」

    総一郎「! か……監視カメラと盗聴器!?」

    「はい」

    総一郎「い……いくらなんでもそれは無理だ。竜崎。もしばれたら人権侵害どころか完全に犯罪……」

    「絶対にばれないように取り付けます」

    総一郎「し、しかし……」

    「先ほども言いましたが、今一番キラとして疑わしい者が星井美希であることは間違いありません」

    「そして仮に星井美希がキラであるとした場合、彼女は以前リンド・L・テイラーの挑発をかわしている」

    「つまりこちらがいくら罠を張っても、それには乗ってこない可能性が高い。そうすると、現状と同様の捜査を続けて状況証拠だけを積み重ねていっても、おそらく決定的な証拠は掴めないままでしょう」

    「ならばもう殺人の現場……今彼女がキラとして裁きを行っている場面を直接押さえる他ありません」

    総一郎「理屈は理解できるが……しかしそれならせめて、星井君の了承を……」

    「いえ。それは無理です」

    総一郎「無理?」

    246 = 238 :

    「はい。星井さんは優れた捜査官ですが……自分の娘の事となると明らかに私情を優先させています。現に彼は、前任のプロデューサーの件も、娘のクラスメイトの件も、いずれも知っていたのに我々には伝えていなかった」

    「伝えれば娘に確実に嫌疑が掛かる。いずれ知られることだとしても、それを少しでも先延ばしにしたい……あわよくば、我々が見落とすことを期待していたものと考えられます」

    総一郎「…………」

    「しかしそれは娘を想う一人の父親の感情としては極自然なものだと思います。ですので私はこのことで特に彼を咎めようとは思っていません」

    「ただ捜査については話が別です。我々の目的はキラを捕まえること。その為には常に最善の一手を打っておく必要がある」

    「星井さんは先ほど『気の済むまで娘を捜査してくれ』と言っていましたが……だからといって、年頃の娘の私生活を、赤の他人である私達に24時間監視されることを呑むとは到底思えません。また仮に一度は呑んだとしても、監視が続く中で『もうやめてくれ』などと言い出さないとも限らないですし、耐え切れなくなって星井美希本人に事実を打ち明けてしまう可能性すらあります」

    総一郎「…………」

    「そんな形で、キラの殺人の証拠を押さえるチャンスをみすみす棒に振ることだけは絶対に避けたい」

    「また他の捜査員の方も、星井さんに同情してこの捜査には反対する可能性が高い。だから夜神さん。あなただけにお伝えしました」

    「あなただけは、私情を排して真の正義のために最善の行動を選択して頂けるものと確信しているからです」

    総一郎「…………」

    247 :

    私も私情を挟まず監視できます

    248 :

    アカン詰む

    249 = 238 :

    総一郎「竜崎」

    「はい」

    総一郎「本当にばれないように設置できるんだな?」

    「はい。絶対にばれません」

    総一郎「設置の期間は?」

    「そうですね……とりあえず七日間としますが、状況により早く撤去することも延長することもありえます」

    「そしてカメラを撤去する場合はあわせて必ず盗聴器も撤去することとし、盗聴器だけをこっそり残すようなことは絶対にしません。これでどうですか?」

    総一郎「……分かった。あなたを信じよう。竜崎」

    「ありがとうございます。夜神さん。……ワタリ」

    ワタリ「はい」

    「盗聴器、カメラ、モニターの準備にどれくらいかかる?」

    ワタリ「明日以降であれば……家人全員の不在時間が分かればいつでも取り付けられます」

    「分かった。星井さんは言うまでもなくこの捜査本部に常駐……母親は地方公務員、姉は大学生、そして星井美希本人は中学生でありアイドル事務所にも通っている……この状況ならほとんど苦労なく付けられるでしょう」

    「ただ流石にこの部屋にモニターを置くわけにはいきませんので……資料室という名目で別の部屋を借りてそこにモニターを置き、我々はそこで監視をするようにしましょう」

    「また監視カメラの映像データと盗聴器が拾う音声は自動でこの捜査本部外にあるワタリのPCにも転送されるようにしておき、我々が監視できないときはワタリに監視してもらうようにします」

    総一郎「……分かった」

    「ご理解頂き、ありがとうございます」

    総一郎「…………」

    250 = 238 :

    【同時刻・765プロ事務所からの帰路】


    美希「…………」

    リューク「大丈夫か? ミキ。ここ最近、目に見えてやつれてきてるぞ」

    美希「…………」

    リューク「あらら。無視かよ。こりゃ重症だな」

    美希「…………」

    美希(一週間前のあの日から、不安が日に日に膨らんでいく)

    美希(あの後はこれといってミキの周りで大きな動きは無い。裁きも今までと同じペースで続けてる……)

    美希(パパにはあれから何も聞けてない。家に居る時間は前より増えたけど、もうキラ事件には関わっていないようなことを言っていたから、ミキからそれ以上には聞けない)

    美希(いや、でももうどのみち、パパから情報を得るとかどうとかいうレベルの話でもないか)

    美希(前のプロデューサーとクラスメイトのA……この両方と接点があるのがミキしかいない以上、遅かれ早かれ……)

    美希(いや、でもデスノート……デスノートを押さえられない限り、証拠は……)

    美希(ああ……だめなの。最近もうずっと同じ思考が頭の中をぐるぐる回ってて、吐きそう)

    春香「みーきっ!」ドンッ

    美希「うひゃあ!」

    春香「わっ! びっくりした」

    美希「は……春香? もう、驚かせないでなの……」

    春香「あはは。ごめんごめん。ちょっとびっくりさせようと思ったら、勢いつき過ぎちゃった」

    美希「もー……」

    春香「……怒った?」

    美希「ううん。怒ってないの」

    春香「そう、良かった。じゃあ一緒に帰ろ」

    美希「うん」


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