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    元スレ美希「デスノート」

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    751 :

    【二日後の夜・春香の自室】


    春香(黒井社長に『“L”の写真を961プロのホームページに載せろ』と指示する手紙を送ってから、今日で三日……)

    春香(どうなったかな……)

    春香(まあ、そんなに簡単にLの尻尾を掴めるとも思ってないけど……)カチッ

    (961プロのホームページ中、新人アイドル等の紹介ページを開く春香)

    春香「! ………」

    春香「『只今更新中です。今しばらくお待ちください』……」

    春香「…………」

    春香(このタイミングで、黒井社長がキラの指示とは無関係に、キラが『“L”の写真を載せろ』と指定したページをあえていじるはずが無い……)

    春香(つまりこれは……キラに対するメッセージ)

    春香(要するに……『まだ見つかっていないからもう少し待って下さい』……ということか)

    春香「…………」

    春香(どうする……? これまでの脅迫内容から、黒井社長は自分を脅迫している人物……つまりキラが765プロの中にいることには当然気付いているだろうけど……)

    春香(キラにいつ殺されてもおかしくない状況にある以上、それを第三者に対して口外しているはずはない……)

    春香(しかし今もなお生きている以上、いつか口外されてしまうリスクはゼロではない……このままLの正体を掴むことも出来ないのならもう用済みとも……だったら、今のうちに殺しておくべきか?)

    春香(これまで十分苦しめてきたし、“償い”としてももう十分……)

    春香(……いや、でもLが美希の部屋に監視カメラまで付けていたことを考えれば……前のプロデューサーさんの件から、同じ事務所の私もある程度疑われていてもおかしくない)

    春香(事故死や自殺で殺せば、キラによる殺人とはまず疑われないだろうけど……一連のアイドル事務所関係者殺しの件もあるし、一応、今新たにアイドル事務所関係者を殺すのは控えておいた方がいいか……)

    春香(もっとも、一連のアイドル事務所関係者殺しの件については、キラ事件とは無関係のものとして扱われているだろうから、そこまで気にしなくてもいいのかもしれないけど……まあ一応、念の為にね)

    春香「……よし!」

    レム「? 何だ? いきなり」

    春香「そうと決まれば、今は自分にできることをしよう」

    レム「?」

    春香「まずは、来月の定例ライブの振り付けの練習から。時間は一秒だって無駄にはできないからね」

    レム「ハルカ。もう遅いし、あんまり騒ぐとまた母親に怒られるぞ」

    春香「もー、レムってばカタいんだから。あ、何ならレムも一緒に踊る?」

    レム「……私はいいよ。お前を見ているだけでいい」

    春香「そう? じゃあそこで見てて! 天海春香のオンステージ! はい、サイリウム」サッ

    レム「…………」ポキッ

    春香「じゃあいくよ」

    レム「ああ、頑張れ。ハルカ」

    春香「…… GO MY WAY GO 前へ 頑張ってゆきましょう!」

    春香「一番大好きな 私になりたい!」

    752 = 751 :

    (またミキ出なかったけど)一旦ここまでなの

    753 :

    乙なの

    754 :

    UO折るレムとか想像しただけで吹いたわwwwwww

    755 :

    春香は1番大好きな自分になれるんだろうか

    758 :

    星井父は「星井」表記でいいんじゃないか?
    美希は美希だし、区別はつくだろう
    なんか他はみんな名字なのに星井父だけ星井父表記だから読む度違和感あるんだよな

    759 :

    >>758
    星井父については「捜査本部の一員だが、美希の父親でもある」という立場を示すためにあえて今の表記にしております(あと一応、星井母と区別するため、という理由もあります)。
    お見苦しいかもしれませんが、ご了承頂ければと思います。

    760 :

    これもう捜査本部いらないな(笑)

    761 :

    【一週間後・キラ対策捜査本部(都内のホテルの一室)】


    「…………」

    (天海春香と星井美希の双方、またはそのいずれか一方と接点があり、かつこちらが付け入る隙がありそうな者……)

    (そうなると、やはり現時点ではこのアイドルしか……星井美希とは違う事務所でありながら一度同じCMにコラボ出演しており、以来プライベートでも交流がある……)

    (それでいて、まだ星井美希達765プロ所属のアイドルほどには売れていない。これならこちらから接触するのもそう難しくはないだろう)

    (それに、このアイドルのファンサイトに書かれていた内容……)

    (念の為、ワタリに裏を取らせてみたが――……真実だった)

    「…………」

    (星井美希への接点……そしてキラとの関係性……そこに上手く付け入り、こちらに引き込めば……)

    (もっとも、今のところ天海春香とは接点が無いようだが……まあそれは仕方が無い)

    (天海春香に対する接触の仕方はまた改めて考えるとして……まずはこのアイドルに近付き、そこから星井美希との接点を作る……)

    (だが問題は……誰がそれをするか)

    (今の捜査本部のメンバーでは……)

    (星井係長は言うまでもなく、既に顔の割れている二人……夜神局長と模木も当然除外。そうすると……後は相沢、松田……そして、私)

    (この中でアイドルと最も自然に接点を作れそうなのは松田だが……実際、アイドル全般に対するファンのようだし……)

    (しかし、最終的にキラ容疑者である星井美希と接触することを考えると……松田では些か不安が……)

    (アイドルと自然に接点を作ることができ、かついざという時に的確な状況判断ができる者……)

    (この際、その条件を充たす者であれば、捜査本部外の者でも……)

    「…………」

    763 = 761 :

    松田「竜崎。まだ迷ってるんですか? こちらから接触する相手を誰にするか」

    「……ええ、まあ……下手をしたら死にますから」

    松田「それはそうですけど……でもこんなのやってみないと分からないところもあるし、とりあえず出たとこ勝負でも」

    総一郎「まあ松田の言うことも一理ある。いきなりキラ容疑者と直接接触するわけではないのだしな」

    「……そうですね……」

    (本当はもう接触する相手は決まっているが……流石にここで『あなた達にその役を担わせるのは不安です』と言うのも……)

    松田「まあ、たまには気分転換にテレビでも観ましょうよ」ピッ

    相沢「松田。お前な……」

    松田「す、すみません!」

    総一郎「まあたまにはよかろう。確かに気分転換も必要だからな」

    松田「ほら!」

    相沢「…………」

    TV『……本日、東応大学の前期日程試験の合格発表が行われ……』

    松田「あ、今日東大の合格発表だったんですね。局長の息子さん、どうでした?」

    総一郎「ああ、合格したそうだ。さっき妻からメールがあった」

    松田「おめでとうございます! というか、えらくあっさりしてますね」

    相沢「前に聞いていた話だと落ちる方が難しいレベルだろ。センター試験全科目満点だぞ」

    松田「それはまあ……そうですね」

    「…………」

    (夜神局長の息子……そういえば以前、ここでの会話で……)


    ――局長の息子さんって……確か、過去に何件かの事件に助言して解決に導いたこともあるんですよね。

    ――ああ、去年あった保険金殺人事件とかな。勉強の方も、さぞかし優秀なんだろうな。


    「…………」

    相沢「どうした? 竜崎。ボーッとして」

    「……いえ、何でもないです」

    「…………」

    764 = 761 :

    【一ヶ月後・都内某公立高校/入学式当日】


    リューク「ミキも高校生か……。何かこう……感無量だな」

    美希「…………」

    リューク「? どうした? 折角の入学式なのに浮かない顔して」

    美希「ん……別に。なんでもないの」

    美希「…………」

    美希(監視カメラの設置以降……今日まで特に大きな動きは無かった)

    美希(春香も黒井社長を脅してLの正体を明かさせようとしているけど……特に進展は無いみたいだし……)

    美希(まあでも、これならこれでいいのかな)

    美希(穏やかに過ぎゆく時間の中でも、犯罪者裁きは変わらず続けているし……犯罪の発生率はキラ出現前に比べて激減している)

    美希(ネットではもう大分前からキラ賛成派の方が多数派だし……最近はテレビでも、キラ支持を掲げる有名人が増えつつある)

    美希(こうやって緩やかに……でも確実に……世界は変わっていくのかな)

    美希(そしてそれは……ミキが望んだこと)

    美希(ミキがそうしようと、決めたこと)

    美希(だからこのまま、少しずつ世界が良い方向に変わっていくのなら、それで……)

    美希「…………」

    (保護者に付き添われた他の新入生達を眺める美希)

    リューク「寂しいのか? ミキ」

    美希「……どうしたの? リューク。さっきからそんなことばっかり言って」

    リューク「いや……他の新入生は皆、父親や母親に付き添われているのに、お前に憑いているのは死神が一匹だけ……流石にちょっとかわいそうに思えてな」

    美希「かわいそう? ミキが?」

    リューク「ああ」

    美希「もう。冗談きついの。リュークってば」

    リューク「…………」

    美希「別に、パパとママがお仕事忙しくて学校行事に来られないことなんて、うちでは昔からよくあることだし。それに……」

    リューク「……それに?」

    美希「ミキはね。ノートを拾ってこの能力を得た事を不幸だなんて一度も思ったことはないの」

    リューク「…………」

    美希「この能力を得たミキは最高に幸せなの。そしてみんなが笑って過ごすことのできる……最高の世界をつくるの」

    リューク「……ノートを持った事でミキが幸せになろうが不幸になろうが、そんなこと俺はどうでもいい。ただ……」

    美希「ただ?」

    リューク「普通は……死神に憑かれた人間は不幸になるらしい」

    美希「……だったら、リュークは普通じゃない方のパターンを見れるって思うな」

    リューク「ククッ。それはありがたい」

    765 = 761 :

    美希「…………」

    美希(そう、ミキは最高に幸せ……デスノートの力を使って、悪い人達の居ない、心優しい人間だけの世界をつくるの)

    美希(そして春香や他の皆と一緒に力を合わせて、トップアイドルにもなって……)

    美希(…………)

    美希(でも)

    美希(何だろう? この……心の奥に潜む不安は)

    美希(確かに……いつかLに、あるいはパパに――……捕まってしまうかもしれない。……そういう恐怖はある)

    美希(でも、本当にそれだけなのかな?)

    美希(もっと違う、何か……)

    美希(まるで、今まで当たり前のようにあったものが、少しずつ失われていくような……)

    「みーきっ!」

    美希「!?」クルッ

    菜緒「やっほ」

    美希「お姉……ちゃん? なんで? 今日はサークルの人達とお花見のはずじゃ……」

    菜緒「バッカだなー。そんなの、可愛い妹の入学式を優先するに決まってるじゃん」

    美希「…………!」

    菜緒「ま、本当は家から一緒に行ってあげても良かったんだけどさ。こっちの方がサプライズになって良いかなーって思って」

    美希「…………」

    菜緒「? どうしたの? 美希」

    美希「お姉ちゃん!」ダキッ

    菜緒「うおっ!?」

    美希「…………!」ギュー

    766 = 761 :

    菜緒「ど、どうしたの美希……もしかして、パパもママも来れなかったから寂しかったの?」

    美希「…………」フルフル

    菜緒「美希」

    美希「違うの。そうじゃないの。ただね、ミキ……」

    菜緒「…………」

    美希「今日、お姉ちゃんが来てくれて……それがすっごく、嬉しかったの!」

    菜緒「……そっか。そう思ってもらえたなら……お花見サボって来た甲斐があったってもんだよ」

    美希「…………」

    美希(ああ……そうか)

    美希(デスノートを拾って……死神に出会って……裁きを始めて……)

    美希(ミキの中で、それまでの『日常』が少しずつ『非日常』に変わっていって)

    美希(そしていつか、今まで当たり前のようにあった『日常』が影も形も無くなってしまうんじゃないかって……そんな気がして、不安だったんだ)

    美希(でも……違った)

    美希(ミキがデスノートを拾っても。死神に出会っても。裁きを始めても……)

    美希(それまでと何一つ変わらない、確かな『日常』が……ちゃんとここにあったんだ)

    美希「……いこっ。お姉ちゃん! もう入学式始まっちゃうの」

    菜緒「はいはい。そんなに急がなくても入学式は逃げないって」

    美希「あはっ」

    菜緒「あはは」


















    【同時刻・東応大学/入学式式場】


    『新入生 挨拶』

    『新入生代表 夜神 月』


    「―――はい」

    767 = 761 :

    一旦ここまでなの

    次回から第二部なの

    768 :

    乙。ここの月は綺麗なんだろうか

    769 :

    月が綺麗かどうかで全てが分かれるな

    770 :

    ミキミキ受験してたんだな乙

    771 :

    えるしっているか
    金髪毛虫は
    おにぎりしかたべない

    772 :

    普通に考えれば綺麗な月だが、美希側に加担する月の方が断然面白そう
    月がLと手を組んだらもうゲームオーバー間違いなし

    773 :

    かといって月が美希側についたらいつもと変わらん気もするな
    まあ>>1のやりたいように書くのが一番いいさ

    775 :

    とくに主要人物が欠けることなく第2部に入るのか
    こっからどうなる

    776 :

    >>774
    個人的意見だが全能力を数値化したとして
    合計値は僅差でL、人心掌握等に必要な能力は月が少し上だと思ってる

    777 :

    >>774
    白月なら人道とか道徳を重んじるから若干Lの方が上
    黒月ならなりふり構わないから情報操作で若干月の方が上

    778 :

    完結までのストーリーってもう考えてる?
    長く追ってるだけに、途中で失踪しないか不安

    779 :

    月が美希(キラ)の思想に同調したとしても自分がキラになり替わろうとする可能性もある、というか高確率でやりそう
    それで月の頭脳で策を練られれば美希では対抗できまい

    780 :

    Lの強味って本人の推理力もだけど、金も人脈も情報も持ってて、非合法手段や非現実的な罠をその権力で実現できるとこ(この強引さはラッキーマンっぽい)
    そういうのを持ってない月は機会利用者として行動することになる。それを補ってあまりあるノートというチートな存在でLと対抗できてたけど
    その存在が周知されてアドバンテージを失うと、ニアメロのL式の強引なやり方に後手後手になりがち
    天才マンと勝利マンって同格なんだけど、天才マンは名前の割には秀才タイプで、発想の飛躍ができる勝利マンの方が活躍してた
    月が2人いて、片方がキラで片方がLだとしたら、原作ほど月はキラを追い詰められないと思う

    781 :

    現状詰めきれないでいるLを応援したくなる気持ちも

    782 :

    >>780
    これだな
    Lは環境も含めての実力だからな
    その点でノート持ちの月と均衡していた
    月が勝てたのはLが後手だったから
    ニアメロが勝てたのは月が後手だったから
    それでも最後ニアメロが勝てたのは魅上のせいみたいなもんだから月L>ニア+メロ>>>>ニア、メロは確実

    783 :

    【一ヶ月後・都内某公立高校/入学式当日】


    リューク「ミキも高校生か……。何かこう……感無量だな」

    美希「…………」

    リューク「? どうした? 折角の入学式なのに浮かない顔して」

    美希「ん……別に。なんでもないの」

    美希「…………」

    美希(監視カメラの設置以降……今日まで特に大きな動きは無かった)

    美希(春香も黒井社長を脅してLの正体を明かさせようとしているけど……特に進展は無いみたいだし……)

    美希(まあでも、これならこれでいいのかな)

    美希(穏やかに過ぎゆく時間の中でも、犯罪者裁きは変わらず続けているし……犯罪の発生率はキラ出現前に比べて激減している)

    美希(ネットではもう大分前からキラ賛成派の方が多数派だし……最近はテレビでも、キラ支持を掲げる有名人が増えつつある)

    美希(こうやって緩やかに……でも確実に……世界は変わっていくのかな)

    美希(そしてそれは……ミキが望んだこと)

    美希(ミキがそうしようと、決めたこと)

    美希(だからこのまま、少しずつ世界が良い方向に変わっていくのなら、それで……)

    美希「…………」

    (保護者に付き添われた他の新入生達を眺める美希)

    リューク「寂しいのか? ミキ」

    美希「……どうしたの? リューク。さっきからそんなことばっかり言って」

    リューク「いや……他の新入生は皆、父親や母親に付き添われているのに、お前に憑いているのは死神が一匹だけ……流石にちょっとかわいそうに思えてな」

    美希「かわいそう? ミキが?」

    リューク「ああ」

    美希「もう。冗談きついの。リュークってば」

    リューク「…………」

    美希「別に、パパとママがお仕事忙しくて学校行事に来られないことなんて、うちでは昔からよくあることだし。それに……」

    リューク「……それに?」

    美希「ミキはね。ノートを拾ってこの能力を得た事を不幸だなんて一度も思ったことはないの」

    リューク「…………」

    美希「この能力を得たミキは最高に幸せなの。そして皆が笑って過ごすことのできる……最高の世界をつくるの」

    リューク「……ノートを持った事でミキが幸せになろうが不幸になろうが、そんなこと俺はどうでもいい。ただ……」

    美希「ただ?」

    リューク「普通は……死神に憑かれた人間は不幸になるらしい」

    美希「……だったら、リュークは普通じゃない方のパターンを見れるって思うな」

    リューク「ククッ。それはありがたい」

    785 = 783 :

    【一時間後・東応大学キャンパス】


    (入学式を終え、式場の外に出る月)

    「さて、と……この後はクラスで懇親会か」

    「……夜神月くんですね?」

    「? はい」クルッ

    「…………?」

    「…………」

    (月が振り返った先には、長袖の白いシャツとブルージーンズを身に着けた男が立っていた)

    (男はくたびれたスニーカーを裸足に直接履いており、その顔にはひょっとこのような面を着けている)

    「そうですが……あなたは?」

    (何だこいつ? 演劇サークルか何かの勧誘か?)

    「私はLです」

    「!?」

    「…………」

    「L……だと?」

    「はい。私はLです」

    「…………」

    「推理してもらえますか」

    「……何?」

    「今ここであなたに『Lです』と名乗った、私の正体を推理してもらえますか」

    「…………」

    (なんなんだ突然こいつ……相手にしない方が良いのか?)

    「…………」

    (しかし何だ? こいつのこの雰囲気は……)

    (なぜか無視することを許さないような、妙な威圧感がある……)

    (まあいい。僕に危害を加えるつもりがあるわけでもなさそうだし、少しだけ付き合ってやろう……退屈しのぎにはちょうどいい)

    「そうだな……“L”……そう聞いて、普通はまずあのリンド・L・テイラーを思い浮かべるだろう」

    「…………」

    「犯罪者だけが次々と心臓麻痺で死んでいく奇怪な事件……世に言う『キラ事件』。あの事件が起こった当初、全世界同時生中継で顔を晒した“L”こと、自称『全世界の警察を動かせる唯一の人間』……リンド・L・テイラー」

    「…………」

    786 = 783 :

    「だが……あなたは彼ではない」

    「……なぜ、そう思いますか?」

    「まず、いくら面で素顔を隠しているとはいえ、ぱっと見た感じの全体的な雰囲気がまるで違うし……」

    「…………」

    「もしあなたがリンド・L・テイラーなら、堂々と素顔を晒し、それをもって自らの証明とするはずだ。リンド・L・テイラーの顔は既に全世界に公開されているのだから、それが最も確実な証明手段となる」

    「…………」

    「だがあなたはそれをせずに面を被り、顔を隠している……ゆえにあなたはリンド・L・テイラーではない」

    「もちろん、その面を取ってあの顔が出て来るのなら、今述べたこの推理は引っ込めるが……」

    「……正解です。私はリンド・L・テイラーではありません」

    「…………」

    「そしてまた、この場でこの面を取ることもできません」

    「! …………」

    「さて、夜神月くん。私が今述べた内容をもとに、さらに私の正体を推理できますか?」

    「…………」

    「そうだな……あなたはリンド・L・テイラーではないが……『本物のL』かもしれない」

    「……『本物のL』?」

    「ああ」

    「どういうことですか?」

    「……そもそも、あのリンド・L・テイラーの公開生中継は、当初……『キラがテレビ局の電波をジャックして行った自作自演の映像』などと言われていた。いわゆる『L=キラ』を唱える二重人格説ってやつだが……しかし結局、リンド・L・テイラーが登場した中継はあの日放送されたものだけとなったことから、今ではあの中継は『警察がキラをおびき出すために“L”なる架空の人物をでっち上げて放送したもの』……そういう見方が大多数となっている」

    「…………」

    787 :

    最強タッグ

    788 = 783 :

    「そして僕も……“L”自体の実在性はさておくとしても……あの中継はリンド・L・テイラーではなく、あの中継には映っていなかった、もっと別の者の意思によって行われたものだと考えている」

    「それはなぜですか?」

    「あの生中継の目的……つまりあの中継を行った人物は、それによって一体何をしようとしていたのか……それを考えれば、答えはすぐに分かる」

    「…………」

    「リンド・L・テイラーが生中継を通じて呼び掛けた相手はキラ……犯罪者だけを狙って心臓麻痺で殺す殺人鬼……しかしその殺人の手段は不明……」

    「そこまで分かっていながら、リンド・L・テイラーは自らの名前と顔を晒した上で、キラを『悪』と断じ、挑発した……まるで『私を殺せるものなら殺してみろ』と言わんばかりに」

    「もしリンド・L・テイラーが本当に『全世界の警察を動かせる唯一の人間』なら、そんな無謀な事をするはずがない……下手をすれば自殺行為だ」

    「つまりリンド・L・テイラーは……警察か、または警察を従えるほどの力を持った何者かによって、何らかの目的の下、あの生中継に出演させられ……定められた台詞を読まされただけの者に過ぎないと考えられる。そしてその目的とは……」

    「…………」

    「―――生中継を観ているキラに、リンド・L・テイラーを殺させる……それによってキラの存在を証明し、さらにあわよくば殺人の方法を暴くこと」

    「! …………」

    「正体不明の殺人鬼を相手に、あそこまでの挑発をする理由は他には無い。つまりリンド・L・テイラーはいわば……『偽のL』」

    「今度は『偽のL』……ですか?」

    「ああ。ここでなぜ今、僕はリンド・L・テイラーのことを『偽のL』と呼んだのか……」

    「これも答えは簡単だ。常識的に考えて、生きている人間を殺人の証明の道具に使うなんて非人道的な真似……『警察』がするはずがない」

    「…………」

    「とすれば、あの中継を行った主体は『警察』ではなく『警察を従えるほどの力を持った何者か』ということになる……」

    「それはつまり、リンド・L・テイラーが自称していた『全世界の警察を動かせる唯一の人間』なる人物が実在することを強く推認させる」

    「その者を仮に『L』とするなら……まさしくリンド・L・テイラーは『偽物のL』ということになる」

    「……そして、私がその『本物のL』かもしれない、と?」

    「ああ」

    789 = 783 :

    「……なぜ、そう思われますか? 仮に、リンド・L・テイラーとは別に『全世界の警察を動かせる唯一の人間』である『本物のL』なる者が存在するとしても……私が単に『Lです』と名乗っただけでは、私がその『本物のL』であるとは断定できないのでは?」

    「ああ、そうだな。確かにまだこの時点では、あなたが『本物のL』である可能性と、『本物のLではないが、何らかの理由により『Lです』と名乗った者』である可能性とが併存している」

    「だがいずれの場合であれ言えることは、あなたは『本物のLが存在していることを知っている者』だということだ。そうでなければ『Lです』などとは名乗らない……いや、名乗れない」

    「『本物のL』が存在することを知らない者なら、『“L”=リンド・L・テイラー』という認識しかないはず……そんな者が、リンド・L・テイラーの名を一切出すことなく、単に『Lです』とだけ名乗るのは不自然だ」

    「……確かに」

    「では次に、『本物のLが存在していることを知っている者』とはどういう者か……まあざっと考えつくのは、①『本物のL』その者、②『本物のL』の配下の者、③警察関係者……こんなところだろうか」

    「①と②は分かりますが……③はなぜですか?」

    「『本物のL』は『全世界の警察を動かせる唯一の人間』だからだ。一般にはその存在を認知されていなくとも、実際に警察を動かせるほどの力を持った人物なら、当然警察の……少なくともその上層部には存在を知られているはずだろう」

    「なるほど」

    「ではこの①②③のうち、あなたがどれに当てはまるかだが……少なくとも③ではない」

    「なぜそう思いますか?」

    「もしあなたが警察関係者なら、刑事局長・夜神総一郎の名は当然知っているはず……」

    「…………」

    「そしてあなたはさっき、僕に『夜神月くんですね?』と話し掛けてきた」

    「もしあなたが刑事局長・夜神総一郎の名を知る警察関係者なら……夜神総一郎とは全く無関係の者として『夜神月』の名を認識しているはずがない。つまりこの仮定の下なら、あなたは――……」

    「初めから僕が刑事局長・夜神総一郎の息子であることを知った上で、僕に対し、その妙な面を着けて『私はLです』と名乗ってきた……ということになる」

    「…………」

    「しかし常識的に考えて……警察関係者が、刑事局長・夜神総一郎の息子である僕に対してこんな奇矯な行動を取るはずがない。よってあなたは警察関係者ではない」

    「もちろん警察関係者であっても、『全世界の警察を動かせる唯一の人間』である『本物のL』の指示によりこのような行動を取っているという可能性は残るが……その場合はむしろ、②の『本物のL』の配下の者と同視できると考えられるので……ここでは一旦除外して考える」

    「……ここまでで、何か異論はあるか?」

    「いえ、ありません。あなたの言うとおり、私は警察関係者ではありません」

    790 = 783 :

    「では、あなたは①『本物のL』その者か、または②『本物のL』の配下の者であると考えられる」

    「…………」

    「そして次に、あなたがその①②のいずれであるかを推理する――……が、その前に……」

    「? 何ですか?」

    「あなたは……僕がキラであるという可能性を考えている」

    「! ……なぜそう思うのですか?」

    「言うまでもない。あなたがその面を着けているからだ」

    「…………」

    「『本物のL』は、あの公開生中継において、『偽のL』ことリンド・L・テイラーを自分の身代わりとしてキラの前に差し出し、キラが彼を殺すかどうかを見ようとした……」

    「…………」

    「ここまでの事をしている以上、当然、『本物のL』はキラ事件を捜査しているものと考えられる」

    「『本物のL』が日本の警察と一緒に捜査をしているのか、あるいは独立して捜査をしているのか……僕にはそこまでは分からないが、いずれにせよ、『本物のL』がキラ事件の捜査をしており、キラを追っていることは間違い無い」

    「そんな『本物のL』、またはその配下の者が面をして素顔を隠し、その上で特定の相手に『Lです』と名乗る……」

    「なぜそんなことをするのか? ……答えは一つしかない」

    「それは名乗った相手がキラであるという可能性……つまり、素顔を晒して『Lです』と名乗れば自分が殺される可能性があると考えているからだ」

    「…………」

    「もし『Lです』と名乗った相手が、今まさに僕がしてみせたような推理をすれば……『本物のL』の存在と、その『本物のL』がキラを追っているということは容易に推測できる」

    「そしてその名乗った相手がキラだった場合……『Lまたはその配下の者』、つまりキラを追っている者と認識されれば……たとえ犯罪者でなくとも殺される可能性は十分にある。キラとしては、捕まれば自分が死刑になるわけだからね」

    「だからキラかもしれない相手に『Lです』と名乗るなら、必然的に、そうしたとしても殺されないようにする為の工夫が必要となる……そう考えれば、その面はまさにその為に着けている物と考えるのが自然」

    「『キラに顔を見られたら殺されるかもしれない』……そう考えているからこそ、あなたはその面を着けている」

    「……つまりあなたは、キラは『顔を見るだけで人を殺せる能力』を持っている可能性がある……そう考えているということですか?」

    「そういうことになる。もっとも、これまでも僕は報道された情報をもとに、独自にキラ事件を追っていたが……今までは、殺された犯罪者の報道のされ方から『キラの殺人には顔と名前が必要』としか考えていなかった」

    「しかしもし本当にそうなら……あなたが今ここで面をしている理由が無い」

    「…………」

    「つまり僕に対し『Lです』と名乗ったあなたが面を着けている……この事実だけで『キラは顔だけで人を殺せる』可能性があること、および『あなたが僕がキラである可能性を考えている』ことが推理できる」

    「……なるほど」

    791 = 783 :

    「ではそのことを前提に、話を元に戻すと……あなたが①『本物のL』その者、または②『本物のL』の配下の者のいずれであるかという点だが……最初に述べたとおり、おそらくあなたは①『本物のL』その者だ」

    「……なぜそう思われますか?」

    「『本物のL』はキラを追っている……つまり『本物のL』としては、キラの正体が掴めるなら当然掴みたいと思っている」

    「…………」

    「もしあなたが『本物のL』の配下の者であり、『本物のL』が何らかの意図の下、配下であるあなたをキラである可能性のある僕に会わせたのだとしたら……『本物のL』はあなたに最初から面など着けさせずに会わせるか、あるいは後からでも外させ、どこか遠くの安全な場所から見ているはずだ」

    「それはなぜか? ……それによって観察できるからだ」

    「僕が『本物のL』の配下の者―――つまりあなたを殺すかどうか。リンド・L・テイラーの時のようにね」

    「! …………」

    「そこで僕があなたを―――『本物のL』の配下の者を殺せばキラ確定……リンド・L・テイラーを身代わりにした『本物のL』がそれをしない理由は無い」

    「よってそれをしない、いやできないのは……あなたが『本物のL』の配下の者などではなく、『本物のL』本人だからだ」

    「そしてそのことを証明するかのように、あなたはさっき僕に『この面は取れない』と言った」

    「…………」

    「以上より、あなたは『全世界の警察を動かせる唯一の人間』である『本物のL』その者である可能性が高いと推理できる」

    「……お見事です。夜神月くん」

    「…………」

    「仰る通り、私は『全世界の警察を動かせる唯一の人間』である『本物のL』その者です」

    792 :

    「では、最後にもう一つだけ……」

    「まだ何かあるのか?」

    「“L”である私が、なぜあなたに声を掛けたと思いますか?」

    「……そうだな……」

    「…………」

    「さっきも言ったが、あなたは僕がキラである可能性があると考えている」

    「…………」

    「にもかかわらず配下の者ではなく、あえてL本人であるあなたが危険を承知の上で僕に接触を図った……」

    「それはなぜか? ……単に僕がキラであるかどうかを確かめるというためだけなら……さっきも言ったように、配下の者を自分の身代わりとして僕の前に出し、僕がその者を殺すかどうかを観察すれば済む」

    「だがそうしなかったのは……L本人であるあなたが、キラである可能性がある僕と直接相対しなければならなかったのは……そうしないといけないだけの理由があったからだ」

    「…………」

    「その理由とは……今まさにあなたが僕にしていることだ」

    「! …………」

    「あなたは僕に『自分の正体を推理しろ』と言った」

    「…………」

    「つまり……あなたは僕にどれほどの推理力があるのかを確かめようとした」

    「では、なぜそんなことをしようとしたのか?」

    「…………」

    「キラ事件を追っているLが、自らの命の危険を冒してまで、キラであるかもしれない相手の推理力を確かめる理由……そんなもの、一つしか考えられない」

    「僕の推理力が確かなら自分の協力者として迎え入れ、共にキラ事件の捜査をしようと持ち掛ける……つまり今から、あなたが僕に言うであろうことだ」

    「! …………」

    「また、いくら僕が刑事局長の息子であり、東応大学の首席入学者であるといっても……そのことだけで、『全世界の警察を動かせる唯一の人間』である『本物のL』がこんな話を持ち掛けてくるとは思えない」

    「おそらくあなたは、僕が過去に警察に対し、数件の事件について助言をし、解決に導いたことを知り……僕を捜査協力者として迎え入れることを思いついた」

    「だが実際に僕の推理力がどれほどのものなのかは自分の目で確かめてみる必要があった……だからこうして、面で顔を隠してまで僕の前に姿を現し、僕の推理力を試した……違うか?」

    「……素晴らしいです。夜神くん。すべてそのとおりです」

    「…………」

    793 :

    白月だった 勝ったな

    794 = 792 :

    「私はあなたにキラを追うに足るだけの能力があるかどうかを確かめていました」

    「また、今こうして面を着けている理由も夜神くんの推理の通り……夜神くんがキラであるという可能性を一応考えてのことです」

    「…………」

    「ですが、それは夜神くんがキラであるということを100%否定する根拠は無いからというだけのことです」

    「実際のところ、夜神くんがキラである可能性は0.01%未満……正直言って、今そのへんを歩いている他の東大生と同程度の可能性に過ぎません」

    「あくまでも私が『L』と名乗るための必要やむを得ない措置だとご認識下さい」

    「ああ、別に構わないよ。むしろ自分の推理が当たっていて誇らしい気持ちですらある」

    「そうですか。それならよかったです」

    「では改めて……夜神月くん」

    「…………」

    「私の見込み通り、あなたの推理力は大変素晴らしいものがありました。是非、キラ事件への捜査協力をお願いしたいと思います」

    「…………」

    「ただ、そうは言っても夜神くんは大学生になったばかりの身ですから……気の向いたときに私の所へ来て頂き、知恵を貸してもらえるだけで十分です」

    「……配慮してくれてありがとう、L。だが申し訳無いが……現時点では『こちらこそお願いします』などと言う気にはなれないな」

    「えっ」

    「いくらあなたが『本物のL』でも……自分の素顔も見せないような奴は正直信用できない。そもそも警察と一緒に捜査しているのかどうかすらも分からないしね」

    「……分かりました。今ここで私の素顔を見せるのは無理ですが……これで信用してもらえませんか?」

    「?」

    796 = 792 :

    (携帯電話をズボンのポケットから取り出すL)

    「…………」ピッ

    「……朝日さんですか? 竜崎です」

    「?」

    「今、息子さんと一緒にいます」

    「!?」

    「今から捜査本部に連れて行きたいのですが……え? ああ、すみません、そのへんの説明はまた後で……」

    「…………」

    「ええ、はい。どうもまだ私の事を信用して頂けていないようなので……朝日さんからも、一言言って頂けませんか?」

    「ええ……別に難しいことではありません。今から電話を代わりますので、私の事を『彼が本物のLだ』とでも言って頂ければそれでいいです」

    「! …………」

    「はい。どうぞ」サッ

    「…………」

    (Lから携帯電話を受け取り、耳に当てる月)

    「…………」

    総一郎『……ライトか?』

    「! 父さん」

    総一郎『! ……ライト……そうか、本当に……』

    「父さん……じゃあ今、父さんに電話を掛けた、この男は……」

    総一郎『ああ……そうだ。彼がLだ。本物のLだ』

    「! ……『本物のL』……じゃあ、本当に……」

    総一郎『ああ。今お前の傍にいるその人物が、間違い無く本物のLだ』

    「……そして、父さんがそのことを知っているということは……父さんはずっと、このLと……?」

    総一郎『そうだ。私と……数名の部下が、今日までずっと、彼と一緒にキラ事件を捜査してきた』

    「! …………」

    総一郎『だが、ライト。りゅうざ……Lから何を言われたのか分からんが、この捜査には危険も伴う。大学に入ったばかりのお前がこの捜査本部になんて来る必要は……』

    「……心配してくれてありがとう。父さん」

    総一郎『ライト?』

    「父さんのおかげで決心がついた。……Lを信じる決心がね」

    総一郎『ライト? お前、何を……』

    「じゃあまた後でね。父さん」ピッ

    「…………」

    「では、私の事を信用し、ついて来て頂ける……ということでよろしいですね? 夜神くん」

    「ああ……信用しよう。ついていくよ。L」

    「ありがとうございます。なお、これから私のことは……」

    「?」

    「……竜崎、と呼んで下さい」

    797 = 792 :

    (ミキ出なかったけど)一旦ここまでなの

    798 :

    おつー
    白月だったか……美希春香終わったな。

    799 :

    しかしこの月が重度のドルヲタではるみきに寝返る可能性が

    800 :

    アイマスss的には白ライトだと負けなんだよなぁ


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