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    元スレP「伊織か?」伊織「お兄様!?」

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    451 = 1 :

    P「実は、ペンダントを拾ったのと同時に通ってた人に踏まれちゃって…。変な踏まれ方したかなとは思ったんですけどね。今になって痛み始めて…」

    ペンダントはしっかり守れたんだけど。

    麗華「一度見てもらった方がいいわね」

    ひかり「私もそう思います」

    P「ああ、わかったよ。心配してくれてありがとう」

    ひかりちゃんは徐々に顔を赤くして、俯いた。

    麗華はまた俺の右手を触って、俺の顔を確認して楽しんでいた。

    本当に悪趣味だなこいつ。

    女Pさんが止めてくれて助かった。

    しばらくすると、何やらちょっとしたオーラを纏わせたおじさんが二人こちらへ向かってくる。

    452 = 1 :

    今日はおちまい!
    場面の切り替わりがわかりづらくて、混乱された方には申し訳ない。

    このお話はもうちょっとだけ続きます。
    よろしければ最後までお付き合いください。

    気になることがあればどうぞ!
    ではまた明日。のし!

    455 :

    麗華様ドSすぎww
    まあ魔王エンジェルの中でどす黒いキャラみたいだし仕方ないがうっとりするなよww
    ロケットペンダントを探したりしてたメンバーは千早かあそこまでなったくらいだから中身気になったろうしお礼にやはり見せるんかな…
    中身はたぶんあの子の写真だろうが…

    456 :

    麗華はどさくさ紛れてPの手触れてうっとりしてると思った

    457 :

    高木「やあPくん!調子はどうかな?」

    P「高木さん!お久しぶりです!こっちは順調ですけど…社長はどうしてこちらへ?」

    高木「それはね、彼が入場券をくれてね…」

    高木社長が示した先には…。

    黒井「久しぶりだなへっぽこ!」

    P「黒井さん!?」

    P「しゃ、社長!?」

    女Pさんは頭を下げる。

    ひかりちゃんは誰?と首をひねっていたが、麗華は特に驚きも何もしない。

    麗華「あら、高木様に黒井様。ご無沙汰しております」

    とても丁寧に挨拶している。さすがは東豪寺、顔見知りのようだ。

    違うか。二人の人脈がすごいのか。

    高木「おぉ!君は確か東豪寺家の麗華ちゃんだね…」

    P「社長知ってるんですね」

    高木「ああ、人脈は大事にしていてねぇ…」

    黒井「ふんっ!その割にお前はコネクションというものを使わないのだからバカなのだっ!」

    高木社長は笑って流す。

    458 = 1 :

    黒井「それよりへっぽこ、貴様なぜ追い出されたとき私に連絡を入れなんだ。わざわざ貴様の家までスカウト…ではなく、まずい茶を飲みに行ってやったというのに!」

    P「すみません。連絡先分からなかったんです。それと、先に高木社長の方に連絡入れようって決めてましたので…」

    黒井「はっ!…まあいい。ところで女P」

    P「はい」

    黒井「今日のジュピターだが、まだまだ甘い!」

    P「申し訳ありません」

    結構厳しいんだな黒井さん。

    黒井「だがそこまで見れないものでもなかった。少しだけ評価しよう…」

    …と思ったがその様子はずいぶん満足そうだ。

    P「ありがとうございます」

    黒井「これから私のディナーに付いてくるだろう?」

    P「はい、是非」

    黒井「高木とへっぽこも来るだろう?」

    なんだ、奢ってくれるのか黒井さん。というよりへっぽこって俺のことかよ…。

    459 = 1 :

    高木「そうだね、うちのアイドルも連れていこうか」

    黒井「無論だ」

    P「あの、俺、病院に行くので…」

    黒井「なにぃ…?」

    P「ちょっと、今日はいろいろありまして怪我してしまったんです。それで…」

    高木「あー、そういえば君、前で如月くんのこととても応援していたね。素晴らしい応援っぷりだったよ」

    ぎゃあ!見られていたのか!!恥ずかしい…。

    千早「プロデューサー、挨拶は済みました。…社長?」

    ちょうど千早が戻ってくる。

    高木「久しぶりだねぇ…。今日は素晴らしいステージだったよ!最初はどうなるかと思ったけどねぇ」

    千早「…プロデューサーが助けてくれました。他のみんなも私を助けてくれました」

    千早は少し言い辛そうにしていたが言葉に出たのは、助けてくれたということ。

    千早「新幹少女のみんなが場を繋いでくれたり、魔王エンジェルのみんなは心配してくれてジュピターのみんなは励ましてくれて…」

    今日あった出来事を断片的に彼女の主観で話している。

    千早「それでも私は未熟で、結局プロデューサーがいないと何にもできませんでした」

    P「俺だって何もできないよ。…千早が頼ってくれなきゃ何にもできないただの木偶だよ」

    高木「うむ。君たちはアイドルとプロデューサー。どちらかが欠けていてはダメなんだ。これでお互いの絆が深まったのなら良しとしようじゃないか!」

    その通りだ。俺と千早の関係はより強固なものに修復したのだからそれでいい。

    460 = 1 :

    高木「では、新幹少女の方々と魔王エンジェルの方々にもお礼を兼ねて食事にお誘いしてはどうかね?」

    黒井「私は構わんぞ」

    P「というわけなんだけど、どうかなひかりちゃん?」

    ひかり「私、みんなに言ってきます!」

    そう言ってすぐにメンバーのもとに戻って行った。

    P「麗華は?」

    麗華「そうね。ならお世話になるわ」

    彼女もまた報告に行った。

    そんな二人と入れ替わりでジュピターが戻ってくる。

    冬馬「はっはっは!今日もいいステージだったな!」

    北斗「冬馬が暴走しなきゃな…。アドリブでダンスを変更するのはやめてくれよ」

    翔太「だよねー」

    冬馬「まあお前らじゃなかったらそんな勝手なことしねーよ…あれ?おっさんじゃねーか」

    黒井「冬馬、なんだその口のきき方は…これからディナーに行こうと思ってたんだが冬馬は帰れ」

    子供か…。冬馬くんも失礼すぎるよ…。

    冬馬「マジで!?…悪かったって社長!俺も連れてってくれ!」

    なんだか情けないなぁ。

    黒井「ふんっ!冗談だ」

    翔太「クロちゃん相変わらずだねー」

    北斗「黒井社長、わざわざ見に来てくれたんですね」

    黒井「ここの入場券がもったいなかったからな」

    461 = 1 :

    高木「ははは…。素直じゃないなあ。大きな舞台で一番張り切っていたのは黒井だろう」

    黒井「高木ぃ、余計なことを言うんじゃない!」

    高木「あんな大荷物で私の分のサイリウムまで持ってきてくれたものだから助かったよ」

    黒井さんは平常運転らしい。

    出てくる言葉とは裏腹にアイドルのことを自分の子供のように接している。

    P「あの、高木社長。私のこと憶えてます?」

    そんな中、高木社長に話しかける女Pさん。

    高木「おや、久しぶりだねぇ。以前会ったのは君がまだ大学生だった頃かな?黒井が言っていた有能社員は君のことだったのか…」

    黒井「おい高木、私は決してそのように言った憶えはないが?」

    多分言ったんだろうなぁ。

    高木「そうだったかな?」

    P「あの時はお世話になりました」

    そういえば彼女も高木社長と知り合いだったっけ。

    雑談をしていると新幹少女、魔王エンジェルの二組が戻ってきた。

    462 = 1 :

    新幹P「おいおい。なんだPくんこの顔触れは…」

    P「あ、新幹Pさん。うちの社長と961プロの社長ですよ」

    新幹P「そりゃあわかるんだが…いいのか?俺たちもご一緒して」

    P「もちろんです!新幹少女が長引かせてくれなかったらもっと大変なことになってたかもしれませんから」

    新幹P「そうか、なら遠慮なく甘えることにしようかねぇ…」

    そう言って社長たちに挨拶に向かおうとする新幹Pさんだったが、立ち止まり俺に振り返る。

    新幹P「あ、そうだPくん。…よくやったな。いいもん見せてもらったよ」

    ニッと笑って俺に背中を向ける。

    P「はは…。やっぱかっこいいな…」

    つばめ「Pさんお疲れ様。…ちょっととっつきにくいところあるけどね」

    のぞみ「お疲れ様です。…無気力な感じが無ければいいんですけどね」

    酷評をする新幹少女のメンバー。

    P「お疲れ様、二人とも…。ありがとね」

    つばめ「やだなあPさん。ひかりの恩人なんだから遠慮しないでよ」

    のぞみ「そうですよ。カンペに、巻いて、って出たときはちょっと焦りましたけど…」

    気楽に答えるつばめちゃんと思い出して困ったように笑うのぞみちゃん。

    P「抱きしめたいくらい感謝してるよ」

    つばめ「セクハラは禁止です」

    のぞみ「そういうのはひかりにやってください」

    ひかり「のぞみ!な、何言ってんのよ!」

    ちょうど追いついたひかりちゃんは真っ赤な顔で、そう言っていた。

    P「やんないって…」

    463 = 1 :

    麗華「楽しそうねお兄様」

    続いて魔王エンジェルの面々だ。

    りん「Pさん、ナイスガッツでした!」

    意外と熱いコメントの朝比奈さん。

    ともみ「うん、すごかった…」

    抽象的な感想の三条さん。なんだか言葉にしにくいのだろう。

    P「ああ、君たちも最後のステージの盛り上がりがすごかったな」

    りん「当然です!…でも私もPさんみたいな熱い声援欲しかったなぁ」

    ともみ「千早がうらやましい…」

    麗華「まあ、それには同意するわ…」

    P「千早のフォローありがとう…」

    麗華「何にもしてないわ…。あなたが来るまで全く何も意味をなさなかったもの」

    P「そんなことはないよ」

    話もそこそこに黒井さんに呼ばれる。

    残った新幹少女と魔王エンジェルは雑談を続けていた。仲良さそうでよかった。

    黒井「では貴様を病院に送るぞ。それからディナーだ」

    高木「私たちは先に行っておくよ」

    黒井「ああ、いつもの場所に連絡を入れておいたからな」

    高木「わかった」

    そうして、祭りの後の打ち上げにみんなで行くのだった。

    464 = 1 :

    俺は黒井さんの運転する車の助手席に座っていた。

    黒井「おいへっぽこ」

    P「そのへっぽこって何なんですか?」

    黒井「へっぽこは、へっぽこだ」

    よくわかんない。哲学?

    黒井「貴様はまだまだ未熟だということだ」

    P「それは承知してますけど…」

    しばらくエンジンの駆動音のみが静かに聞こえてくる。

    黒井「…貴様がなぜ追い出されたのかは大体わかるが、反省はしたのか?」

    P「反省…ですか。どうなんでしょう。追い出されたときは確かに何もかもかなぐり捨てて高木社長のもとを訪ねました。実は、三日間くらい一人でどうしようか歩き回ってたんですけどね」

    黒井さんは珍しいことに黙って聞いてくれる。

    P「反省はしてます。…でも追い出されたことは後悔してません、むしろ良かったと思います。あそこにいても俺は成長してないと思います」

    黒井「そうか…。なら貴様の親父にもたまには顔を見せてやるといい」

    P「え?追い出した本人ですよ?」

    黒井「息子の成長を喜ばない親などいない」

    言い切る黒井さんに対して、親に会おうなんて考えてなかった俺は適当に返事をしてしまう。

    P「…もっと立派になったらそうしてみます」

    そうして病院に着いたのだが、検査結果はなんと右手の人差し指から小指まで骨折だった。

    どんな踏まれ方をしたのだろうか…。

    465 = 1 :

    その後みんなと合流。雰囲気のいい小さな店は高木社長と黒井さんのお気に入りで貸し切りだった。

    ご飯は見た目もよく美味しい。

    俺は利き手がダメになっているので、どうしようかと思っていたら…。

    P「はいPさん。あーん」

    隣に座っている女Pさんがわざわざ食べさせてくれている。

    P「ごめんなさいわざわざ…」

    P「いえいえ、いいんですよ。このくらい…」

    なんというか楽しそうというか…とにかくすごいニコニコ笑顔だった。

    千早「すみません私のせいでプロデューサー、こんな酷いことになってるのに…」

    P「いいのいいの!大丈夫だよ如月さん!私、世話焼くの好きだし!」

    千早「プロデューサー、事務所では私にお世話させてください…」

    本当に申し訳なさそうに言う千早。

    466 = 1 :

    そこに新幹少女と魔王エンジェルもやってきて…。

    つばめ「Pさーん。ひかりも超世話焼きだからさー。食べさせたいって!」

    ひかり「え!?私そんなこと…んむっ…!」

    ひかりちゃんの後ろから三条さんが口を押さえる。

    ともみ「今がチャンス…」

    ぐっとこぶしを握る三条さんを見てひかりちゃんはこくこくと頷いた。

    のぞみ「そういえば麗華ちゃんもPさんに食べてほしいものがあるって言ってましたよ?」

    りん「なんか美味しいから今日頑張ってたPさんにも食べてほしいんだってぇ」

    麗華「…あなたたち」

    こっちは三人で親指を立て合う。

    P「うん。じゃあもらおうかな」

    少しお酒も飲みつつ、みんなから一口いただく。

    ひかり「Pさん。あ、あーん…」

    恥ずかしそうにこちらを窺いながらお箸を近づけるひかりちゃん。

    俺はあむっと一口でいただく。

    ひかり「…どうですか?」

    上目づかいで見てくる彼女は可愛らしかった。

    P「美味しいよ。ありがとう」

    ひかりちゃんはさらに顔を紅潮させ、つばめちゃんや三条さんの方へ戻っていった。

    ひかり「今日来てよかったー!」

    二人はひかりちゃんをよしよしと撫でていた。

    467 = 1 :

    麗華「はい私も…」

    お次は麗華だ。

    P「あーん」

    と料理をもらおうとしたのだが、麗華は自分で食べてしまった。

    麗華「おいしー!」

    P「おい!自分で食べんな!」

    麗華「あらぁ?どうして口を開けて待っていたのかしら…?間抜けな人ね」

    このドSめ!

    P「もういいよ…」

    麗華「冗談よ。はい、あーん…」

    今度こそ料理をいただく。うん、美味しい。

    P「ありがとう」

    そう言ってやると満足そうな麗華だった。

    のぞみ「なんで自分で食べちゃうかなぁ」

    麗華「あのちょっと残念そうな顔がたまらないのよ…」

    りん「最低だわ…」

    彼女らも戻っていく。

    468 = 1 :

    最後に来たのはやはりというか…。

    翔太「お兄さん、大変そうだね」

    冬馬「俺のもやるよ」

    この二人だった。

    見るからに熱そうなビーフシチューをスプーンにすくって差し出してくる。

    P「おいおい。スプーンだったら自分でいけるんだけど?」

    冬馬「遠慮すんなよ」

    翔太「そうだよお兄さん。こんなべたべたなネタも悪くないと思うよ」

    ネタって言っちゃったよ。やっぱり芸人みたいな冬馬くんだった。

    冬馬「ほら、あーん」

    P「こら、冬馬!」

    無理やり口にねじ込んでくる冬馬くん。

    P「…!!」

    あっつ!!熱い!

    俺の舌は軽くやけどした。

    冬馬くんは笑って戻っていった。

    翔太くんはお冷を置いてくれた。

    469 = 1 :

    北斗「すいませんあのバカが余計なことを…」

    P「本当にね…」

    P「いえ、歳相応で安心しましたよ…」

    ちなみに北斗くんは二十歳だから俺たちと一緒にお酒を飲んでいる。

    北斗「やっぱモテますよねPさん」

    P「こんなん初めてなんだけどな…。それに北斗くんの方がモテるだろ」

    北斗「否定はしませんけどね」

    そう言って笑う北斗くん。笑い方も嫌味な感じがなく爽やかだ。

    新幹P「Pくんは大変になるぞ」

    口をはさむのは新幹Pさん。

    新幹P「さっきのやり取りなんて砂糖が出てきそうだったよ。女Pちゃんも頑張れよ。若いのよりは有利だと思うぜ」

    P「ななな何を仰ってるんでしょうか!?」

    北斗「プロデューサーはバレバレだから開き直れば?」

    P「何の話?」

    新幹P「君は鋭いのか鈍いのかよく分からんな」

    みんなで話しながらお酒を嗜む。

    470 = 1 :

    新幹Pさんと高木社長と黒井さんは運転があるのでノンアルコールだった。

    高木「いやぁ、それにしても今日は上手くいってよかった」

    黒井「あれで上手くいっただと?ははは…!笑わせるな高木!」

    P「まあ、確かに100パーセントかと言われれば、そうではないですけどね」

    新幹P「ああ、うちの子のトークなんか50点もあげられねーな」

    高木「私は楽しめたからいいのだよ。ところでPくんはいい友人たちを持ったものだね」

    P「友人…ですか?」

    俺は女Pさん、新幹Pさん、北斗くんと目を合わせる。

    北斗「もちろんですよ。こうやって飲むほどの仲じゃないですか」

    P「はい!とってもいいお友達です!」

    新幹P「そう思ってるのは俺だけか?」

    みんな好き好きに言葉を投げかけてくる。

    北斗「プロデューサーは友達のままじゃダメでしょう」

    P「今はいいの!」

    黒井「貴様らもライバルと呼べる人間や親友と呼べる人間を作っておくのだな」

    高木「おや。みんな、黒井からのありがたいお言葉だ」

    黒井「高木…いちいちうるさいぞ貴様…」

    そうしてお開きとなる。

    471 = 1 :

    麗華たちは東豪寺プロのお迎えが来た。

    新幹少女は新幹Pさんの車で、961プロは黒井さんの車で、俺たちは高木社長の車で。

    それぞれ別れを惜しみつつ、挨拶をして帰っていく。

    765プロにたどり着く。

    高木「ではここでいいかな?私はやることがあるからねぇ…。まだ残るよ」

    P「はい。わざわざ送ってもらってありがとうございます」

    千早「ありがとうございます」

    俺と千早は頭を下げる。

    P「じゃあ家まで送っていくよ」

    千早「そんなの悪いです…」

    P「いや心配だからね。それに近いんだろ?」

    千早「はあ…。じゃあお願いします」

    俺たちは歩き出す。

    千早「プロデューサー」

    P「なんだ?」

    呼んできた千早は少しの間をおいて尋ねる。

    千早「…ロケットの中身見ました?」

    P「見てないよ」

    千早はそうですかと言ったばかり、再び沈黙が訪れる。

    472 = 1 :

    心もとない街灯が照らす路をひたすら歩いていたのだが、やがて千早は例のペンダントを取り出し、口を開く。

    千早「プロデューサーにはお話します…」

    P「…」

    千早のその雰囲気に俺は黙ったままでいる。

    ロケットを開くとそこには幼いころの千早と思われる女の子と仲良く寄り添って笑顔を見せる幼い男の子が写っている。

    P「この子は?」

    俺は聞かなきゃいけないと思った。

    千早「弟です」

    そうだろうとは思ったが、同時に悲しいとも思ってしまった。

    なぜなら…。

    千早「今はもういませんけど…」

    千早の表情がどんなものなのか想像してしまい、顔を見れない。

    473 = 1 :

    千早「弟は、優は事故で亡くなってしまったんです。…私はその時すぐに動けなかった。今でも後悔してます」

    大きくなった今だからこそ、その悔しさは膨れ上がるのだろうか…。

    千早「その優が私の歌を好きだと言ってくれたのが嬉しくて、いつも優のために歌を歌ってました」

    P「そうか、だから千早は歌にこだわっていたのか…」

    千早「ええ、だから私は優が亡くなってからも、私の中で優が消えないように歌い続けようって決めました」

    P「…」

    千早「でも私は間違ってたみたいです。…優はもっと多くの人に私の歌を聴いてほしいって言ってたのを思い出しました」

    俺たちはなおも歩き続ける。

    千早「私の中で優が消えることなんてない。私は優の願いのために、私の願いのために、みんなに感動を届けたい。…私の歌で」

    気が付けば千早のマンションの前だ。

    そこで俺に向き直る千早は涙を流しながら笑顔でこう聞くのだ。

    千早「私の願い、一緒に叶えてくれますか?」

    P「…ああ、もちろんだ」

    帰路についた俺はいつものように空を見上げる。

    今日は輝く星が多く見えた。

    ずっと見上げてると、星々はじんわりぼやけて、より輝いていた。

    474 = 1 :

    この話はこれでおちまいです!
    ああ、長かった…。
    あれやこれやと書き足してるうちにいつのまにね…。
    そしてついに書き溜めが無くなってしまいました。
    次のお話にホワイトデーを持って来ようと思ったんですけど、
    話がまとまらなくてボツになりました。…インスピレーションが足りない!
    キャラもどんどん増えていって空気にならないように動かすのが大変になってきました。
    …とまあ以上が反省です。
    書き溜め作業に入るのでしばらく更新はお休みです。

    気になる点やご感想があれば仰ってください!改善に役立てます!

    475 :

    黒ちゃんがツンデレかわいい

    476 :

    いい感じ

    477 = 455 :

    >>475に禿同するしかない
    このまま黒ちゃんはツンデレかわいい路線でいてほしいな

    478 :

    やっぱり酒飲める分女Pがリードしてるのかね
    おつおつ

    479 :

    おつー
    ひかりちゃん可愛いかよ

    480 :

    お酒飲めればキッセージジツも作り易いからね、ちかたないね

    481 :

    ひな祭りとか女の子の日だしアイディア出てこないっすかね?

    482 :

    >>481
    雛祭り+ひかり、女P、麗華様で三人官女の衣装着てPに見せて褒めて貰おうとする展開ですね

    483 :

    ひな祭りならあれだ、ちらし寿司対決だな

    484 :

    >>483
    ちらし(意味深)寿司か…
    一体ナニを散らすのか
    あとsageような

    485 :

    次のメインの話を書いていたら
    急にサブの話の内容がまとまり始めました。

    なので今日の夜、サブのお話を更新します。

    486 :

    期待して舞ってる

    487 :

    お、いいね

    488 :

    いおりん影薄くて草

    489 = 1 :

    皆さんレスありがとうございます。

    >>488
    そろそろ言われると思いました
    アイドルの中では絡ませてる方だと思うんですが…
    まだ影薄くてもいいですか?

    490 = 1 :

    雛祭りから数日。

    日本ではバレンタインは女性から男性に愛を伝えるためチョコレートを贈る日、とされているのだが、そんなものはもともと伝統には無かった。

    売り上げの向上を図るための、とある製菓会社の策略らしい。

    何とも姑息なものであるか、と思わなくもないが、俺は素直に上手いことをするもんだと思った。

    まあそのおかげでうちのアイドルも日の目を見るきっかけになったりしたので嫌いでもない。

    だがバレンタインにあやかってその一か月後にできたホワイトデーとは何事なのか…。

    やや腹立たしく思うが、確かにもらってばかりというのも申し訳ない。

    というわけで右手を骨折しつつもクッキーを作ってみた。

    俺は何でも卒なくこなせる人間ではない。

    何度も失敗したし、自分が納得いくまで作り直した。

    三日かけてようやくあのサクサク感が出せるようになった。

    もちろん仕事もしている。

    そういえば、女性アイドルもバレンタインにファンからチョコを受け取るのだろうか…?

    先月のイベントではジュピターに贈る女性も多かったような。

    逆に男性から女性アイドルに渡したのは見たことないな…。

    でもそういうファンもいるんだろうな、と思いながら箱や袋に詰めたクッキーを紙袋に入れて持っていく。

    491 = 1 :

    P「おはようございまーす」

    小鳥「おはようございます」

    高木「おはよう」

    律子「おはようございます。…あら?その紙袋は何ですか?」

    さっそく俺の持っている紙袋にツッコミが入る。

    特に隠すこともないので、俺はその中から一つクッキーの袋を取り出し律子に渡した。

    P「はい。今日は何の日?」

    律子「…あー、そういうことですね。ありがとうございます」

    小鳥さんが無言で私のもありますよね…と言わんばかりの謎の圧力を感じる。

    P「小鳥さんにも…どうぞ」

    そう言って手渡す。

    少しだけお互いの手が触れたのが気になった。

    小鳥「ありがとうございます!」

    ぽわぽわと嬉しそうな雰囲気が伝わってくる。

    492 = 1 :

    P「…社長もどうぞ」

    高木「私に気を遣うことはなかったのに」

    P「いえ、いつもお世話になっているので…。ホワイトデーとは関係なく、ということで」

    高木「そうか、ではありがたくもらうことにするよ」

    社長にも渡す。

    高木「おや、私のは包みが違うんだね。…なるほど先月貰った人の分と区別しているわけだね」

    P「さすがです。社長の仰る通りです」

    高木「いやいや、素晴らしい配慮じゃないか!…律子君も音無君も嬉しいと思うよ」

    小鳥「そうですね…。特別な感じがしていいです!」

    律子「私と小鳥さんのも違うんですね…」

    P「先月もらった人のお返しは全部違う入れ物にしてるんだ」

    律子「何かこだわりでも?」

    P「別に…。まあ、みんな一緒だとなんか特別な感じしないだろ?」

    律子「プロデューサーからいただけるなら一緒でもよかったですけどね」

    そうでしたか。男って変なところに気合入れて空回りする生き物なんだなーって思った。

    律子「でもこっちの方が嬉しいです」

    空回りってことでもないんだな。

    493 = 1 :

    午後になってアイドル達も徐々にやってくる。

    P「おう春香。これ先月のお返し」

    春香「わぁ!ありがとうございます!」

    P「そういや、春香のだけチョコじゃなくて普通のカップケーキだったな。気ぃ遣ってくれてありがとな」

    春香「えへへ…」

    春香はそういうところに意外と気づく。

    みんなチョコを持ってくるので俺が飽きてしまわないようにあえてチョコ以外のものをプレゼントしてくれたのだ。

    P「ほら千早も」

    千早「ありがとうございますプロデューサー」

    P「そだ、千早のCDの売り上げも出だし好調で、歌番組のオファーも来たんだけどもちろん引き受けるよな?」

    千早「本当ですか!?やります!!」

    前のめりに話を聞く千早。興味津々というか、嬉しそうだ。

    春香「よかったね千早ちゃん!」

    千早「ありがとう春香!」

    P「春香、ごめんな。春香もすぐにいろんな番組出してやるから…」

    春香「いいえ、いいんです。私今のお仕事だけでも十分楽しいですから!」

    そう言ってくれると本当に助かる。

    しかし春香のことだからまた気を遣ってるんじゃないかと疑ってしまう。

    いや、もちろんテレビにも出たいだろうし雑誌の表紙だって飾りたいはずなのだ。

    P「じゃあ春香がもっと楽しめるように頑張るよ」

    だったら俺は期待に応えるしかない。

    春香「楽しみですっ!」

    この子の笑顔は日本中に届けるべきなんだ。

    そう思わせるものだった。

    494 = 1 :

    しばらくすると真に雪歩、やよいと双海姉妹もやってきた。

    みんなで挨拶を揃えて楽しんでいる。

    P「おはよう。学校か?」

    「そうですよー」

    雪歩「真ちゃんバレンタインがすごかったから大変だったよね」

    微笑む雪歩とげんなりした様子の真。

    「なんで僕だけ二回も作っていかなきゃいけないんですかね…」

    P「別にホワイトデーは作らなくても良かったんじゃないか?」

    「ボクもそう思ってたんですけど、なんか校内で期待の声がちらほらと…」

    やよい「噂になっちゃったんですよね?」

    「そうだよ。そうしたらもうボクも作っていくしかないじゃないですかー!」

    P「はははっ!そんなやつらほっとけよ」

    真美「兄ちゃん、酷いこと言うね…」

    P「そうか?」

    亜美「そうだよ。せっかくみんながまこちんからのお返しを期待してるのにほっといたらまこちんがバッシングだよ!」

    P「ふーん。女ってわからんな。真が返したい相手にだけ返せばいいじゃん」

    495 = 1 :

    雪歩「女の子の世界って複雑なんですよ…」

    影を帯びた雪歩がしんみりと言った。

    何かわかんないけど、言葉に重みがあるな。

    P「まあいいや、俺には縁のなさそうな話だし」

    「酷いなぁ、プロデューサー」

    P「そんな君たちに朗報だ。なんと俺もお返しを持ってきたんだ」

    やよい「本当ですかー!?」

    P「ほい、やよい」

    やよい「うっうー!ありがとうございます!」

    やよいをはじめ、全員に配る。

    真美「みんな違うの?」

    亜美「兄ちゃんすごーい!」

    P「違うのは見た目だけだ。中身は同じ」

    雪歩「どうして包みは変えたんですか?」

    P「なんか特別っぽいだろ?」

    「今のでなんだか特別感消えましたけど…」

    P「…うるさいな。レッスン終わったら食え」

    彼女たちは雪歩が淹れたお茶を飲み終えると、レッスンへ向かった。

    496 = 1 :

    俺は仕事を続ける。

    そういえば、新幹少女って事務所に行けば会えるのかな…。

    バレンタインではひかりちゃんにもチョコをいただいてるし、雛祭りではクッキーも貰ってる。

    ファンからは嫉妬間違いなしの超優遇だ。

    会うなら新幹Pさんに連絡入れてみようか…。

    思い立ったがなんとやら。

    早速メールで連絡してみた。

    彼は俺よりも当然忙しいので夕方ぐらいに返信が来ればいいかなーっと思っていると、外でやや騒がしい会話が…。

    美希「やっぱりデコちゃんはさっさと兄離れすればいいって思うな」

    伊織「誰がデコちゃんよ!…あんたこそお兄様の邪魔ばっかして……離れなさいよ!」

    美希「いやん!あずさーブラコンのデコちゃんが怖いのー」

    あずさ「あらあら~」

    伊織「あずさも甘やかしてないで何とか言ってやってよ!」

    あずさ「そうねー。美希ちゃん?プロデューサーさんに迷惑かけちゃダメよ?」

    美希「はーいなの!」

    伊織「何で言うこと聞くのよ!」

    美希「あずさはお姉ちゃんみたいだからかも…。お姉ちゃんと違って胸がおっきいけど!」

    あずさ「きゃっ!美希ちゃんったら、触っちゃいけません…!」

    美希「デコちゃんとは大違いなの…」

    伊織「うるっさい!!」

    P「うるさいのはお前らだ!!」

    そう言うと三人はちょっとしゅんとした。

    497 = 1 :

    あずさ「ごめんなさい…。私一番お姉さんなのに…」

    美希「ごめんなさいなの…」

    うん。わかったうえで次から静かにしてくれればいいんだ。

    P「伊織は?」

    伊織「……だって美希が」

    P「あー。言い訳すんのか?」

    伊織「言い訳なんて…」

    P「ちょっとおいで伊織」

    伊織は少し怯えながらも素直に来た。

    P「ご近所の方もいるんだから静かにしなきゃダメだろ?」

    伊織「それは、わかってるけど…」

    P「わかってないから怒ってるんだけど?」

    でもそこまで怒ってるわけじゃない。おこ!…くらいだ。

    伊織「…ごめんなさい」

    P「そうだよ。苦情が来てなきゃそれでおしまいなんだから、今度からはしっかり頼むよ。これでも信頼してるんだ」

    俺は伊織にだけ聞こえるように最後の言葉を言った。

    伊織はパッと顔を上げる。

    498 = 1 :

    伊織「うん。お兄様が正しいわ。お兄様が私を信頼してくれてるなら私も大人にならなくちゃいけなかったわね…」

    P「わかってくれて助かるよ」

    そこで紙袋から包みを一個取り出して伊織に渡す。

    伊織「これは?」

    P「バレンタインのお返しだ。お前、慣れないお菓子作りよく頑張ったな」

    そう言って頭を撫でてやる。

    伊織は顔を赤くしふいっと向こうを向いてしまったが、鏡にばっちりとその嬉しさを抑えきれない顔がうつりこんでいた。

    美希「ねえハニー、何な話してたの?…秘密なんてずるいの!」

    P「いや秘密じゃないよ…。美希にもあるからさ。あとあずさも」

    あずさ「なんでしょうか?」

    P「はいこれ、バレンタインのお返し」

    二人にもやっぱり違うデザインの包み渡す。

    あずさ「あらあら~。ありがとうございます」

    美希「早速食べていい?」

    P「待て、帰ってからゆっくり食べなさい」

    美希「はーい、わかった」

    P「さて、あなたたちもレッスンに行ってきなさい」

    そうして三人も事務所を後にした。

    499 = 1 :

    業務も終わりただいまは午後の5時。

    今日はもう帰れるが、その前にメールをチェック。

    新幹Pさんから返信が来ていた。

    今日は特に活動は無く、レッスンのみ。

    終了時刻が大体7時になるからそれまでに来てくれれば会えるということだった。

    俺はさらに業務をこなして、レッスン終了の一時間前くらいに事務所を出る。

    P「お疲れ様です。アイドル達によろしく言っといてください」

    小鳥「はい。お疲れ様です」

    高木「お疲れ。今日もご苦労様」

    出て、近くに止めておいた車に乗り込む。

    今日はこだまプロへ向かうため、歩きではなく車で来たのだった。

    骨は折ってるが握れれば問題ない。いや、確かに危ないは危ないのだが…。

    それにしても、新幹少女が収録なしとは…。

    本人がいなければ受付にでも渡してしまえばいいと思ってたのだが運がいい。

    30分程で目的地に着いた。

    新幹Pさんは受付に話を通していたようで、俺はすんなりと通された。

    P「えーと、レッスン場は…4階か。それにしてもレッスン場あんのか、このビル…」

    感心しつつも階段を上る。

    500 = 1 :

    途中で何人かとすれ違い、その度に挨拶する。

    しかし、その人たちは当然こだまプロの関係者であり、俺のことも知らないはずなのだが、明らかに俺の方を見てひそひそと話してたりしている。

    どういうことなの?と疑問に思っているとレッスン場だ。

    ドアの窓から覗いてみると新幹少女の三人がトレーナーの監督のもとダンスをしている。

    彼女たちの表情は真剣ながらも楽しさを忘れていない。

    しばらく覗いていたが、やっぱり向こうの方でひそひそと噂されてるようだ。

    P「なんなんだ?」

    と思ってちらりと見てみると、ひそひそ話は止まり、新幹Pさんが奥からやってきた。

    新幹P「よぉPくん」

    片手を上げて気だるそうにする。

    P「こんばんは。わざわざ受付に話を通してもらってありがとうございます」

    新幹P「そんなんいいよいいよ」

    P「…ところで、なんか俺って変でしょうか?」

    新幹P「うん?…確かに君は変だがどうかした?」

    P「変ですか…」

    なら納得せざるを得ないのだが一応聞いておく。


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