元スレP「伊織か?」伊織「お兄様!?」
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201 = 1 :
P「…私も黒井社長のこととかお聞きしたいところですから、そこのカフェでお話ししましょうか」
女P「はい、ぜひ!」
俺たちはおしゃれな雰囲気の漂うカフェに入った。
それぞれコーヒーを注文して席に着く。
女P「Pさんはどうやってアイドルの指導を?」
P「指導ですか?…私のは参考にならないと思いますけど…」
女P「そんなことはありません!765プロのアイドルの実力は本物ですよ。なんでまだくすぶってるのかわからないくらいです」
くすぶってるのはコネがないから。コネがないのは765プロの知名度が低いから。知名度が低いのは俺が無能だから。だと思う。
P「それはどうも。…指導はできる限り私が見てアドバイスするようにしています。トレーナーは雇えないのであとはセルフですね」
女P「え?トレーナーさんじゃなくてPさん本人が?」
P「ええ、まあ…」
202 = 1 :
女P「すごい!歌も踊りもですか!?」
P「はい。でもできる範囲でですよ?」
女P「それじゃあ、もともと歌や踊りの経験でも?」
P「いや、もともとではないです。この仕事をやるって決まってから必要だと思ったので…」
女P「たった数ヶ月で…」
P「ああ、違いますよ。765プロの設立は二年以上前に決まっていたので、その当時から始めました」
女P「ほえぇ…765プロの最初のメンバーなんですか。なんか羨ましいです…」
P「はは、羨ましいって…」
女P「憧れるんですよね。設立に携わって、どんな思い入れがあって、どんな風に仕事に取り組めるのか…」
P「…」
女P「考えるとちょっとワクワクします!」
P「……くくっ!…あははっ!」
女P「ええ!?急にどうしたんですか!?」
203 = 1 :
P「…いえ、失礼しました。可愛いこと言うなぁって思いまして…」
女P「なっ!…バカにしないでくださいっ!」
P「ああ、いや、本当にごめんなさい…」
女P「ま、まだニヤニヤしてます!ニヤニヤ禁止ですっ!!」
顔を真っ赤にしてプンプンと怒る女Pさんだった。
まあ初期メンバーって考えると、確かに魅かれるものがあるかもな。
P「バカにしてるわけじゃないんですよ…」
女P「本当ですか…?」
まだ疑いの目を向ける彼女を見据える。
P「今のこの時世、そんな素直でまっすぐな人はなかなか見ないんですけど…うちのアイドル達は全員素直なんですよ」
女P「…」
P「それと重なって、女Pさんが子供みたいに見えてしまったものですから…つい…」
女P「やっぱりバカにしてますよっ!」
P「そうかもしれませんね…」
うわーん、と喚く女Pさんはやっぱり子供っぽいのかも。
204 = 1 :
しばらくすると落ち着いて…。
女P「…Pさん」
P「はい?」
凛とした声で呼ばれたものなので、こちらの表情は強張ってしまったと思う。
女P「初めて、ちゃんと笑ったの見た気がします…」
P「…え?」
以前にも聞いたようなセリフ。
P「…双子と共演した時も笑ってたと思いますよ?」
女P「うーん。あれは営業スマイルのような…」
そうかなー…?
女P「でも…」
P「…?」
女P「さっきの笑顔、とても素敵でした」
P「…あ」
言葉が詰まる。
205 = 1 :
俺なんかじゃない。今の彼女の笑顔の方が比べものにならないほど素敵だ。
顔が熱くなっていく。こめかみが脈を打つのが明確にわかる。
P「…いいですよ。そんなお世辞は…」
女P「お世辞じゃないですよ…。あれ…?」
顔を合わせられない。冷めたコーヒーを一気に飲み干そうとする。
女P「もしかして…」
チラッと視線を戻すと上目遣いの女Pさん。
覗き込んでくるもんだから驚いてしまった。
P「げほっ!げほっ!ごほっ!」
むせてしまった。
女P「きゃっ!」
P「げほっ…し、失礼…しました…」
女P「あ、いえ、大丈夫ですか?」
206 = 1 :
P「だ、大丈夫です…」
女P「やっぱり、照れちゃってます?」
いたずらっぽい顔が思いのほか可愛い。
P「そんなことないですよ」
女P「えへへ…」
満足そうですね。
女P「なんだかPさんって隙がないのでこういう一面もあるんだなって…」
P「そりゃ、俺も人間ですから…」
女P「俺…」
やべぇ、やっちまった。俺の外面が剥がれかかってるんですが…。
P「ああ、いえ、失礼。…私も人間ですから」
女P「ふふっ…。別に『俺』でも構いませんよ?」
P「遠慮しときます」
女P「そうですか、残念…」
そう言ってまた嬉しそうに笑う。この一連のやり取りも楽しんでるようだった。
207 = 1 :
P「それはそうと、私もあなたのプロデュースとか黒井社長とのご関係とかいろいろ気になります」
女P「私なんて大したことないですよ。961プロのコネを使って仕事を取って来たり、レッスンもトレーナーさんに任せっきりですし…」
P「…」
女P「ただ、黒井社長にはお世話になってます。上京した時にたまたま、お会いしたんです。まだ右も左もわからなかった私にいろいろと教えてくださって感謝してます。口はあまり良くないですけど就職に困ったら来いとも言ってくださったんです」
P「へぇ、黒井社長に気に入られるなんてなかなかありませんよ。そのコネで、961プロに?」
女P「いえ、ちゃんと試験を受けて面接もやって採用していただきました」
P「…就職するの、かなり難しいって聞きましたけど…」
女P「…コネで入って無知のままで会社の足を引っ張るのは嫌だったんです」
P「すごい信念ですね」
女P「いえ、私なんて大したことありませんよ」
208 = 1 :
違う。この人は努力できる人間なんだ。
努力できる人ってのは、みんな等しく天才だ。
そもそも自分で頑張ったなんて言わない。
その人にとってそれが当たり前だから。
だから慢心もしない。
この人と比べれば俺の方がまだまだ未熟だ。
その後もいろいろ話し込み、気づけば三時間経っていた。
女P「わ、もうこんな時間…」
P「じゃあそろそろ出ますか?」
女P「そうですね。今日はお話聞けて良かったです」
P「こちらこそ。今後もよろしくお願いします」
女P「また連絡しますね?」
P「ぜひ。こっちからも連絡するかもしれません」
女P「はい、お誘いください」
そして解散の流れになった。
有意義な話が聞けたと思う。
P「あの努力の姿勢は見習いたいなぁ…」
つい独り言を漏らしてしまう、今日この頃であった。
209 = 1 :
本日はおちまい!
以下反省等。
ちょっと短かったかも。以上。
ご意見ご質問批判ダメ出しその他もろもろ何かあれば仰ってください。
次回の更新は遅くて2週間くらいになります。
210 :
つまり二日後かな?
211 :
おつおつ
212 = 191 :
女PもPもかわいい!
213 = 189 :
大人の女性()の小鳥さんは妄想ばっかしてないでこういう所を見習って欲しいですね
214 :
おつ、期待
215 :
>>213
見……見えないところで苦労してるから……
だから結期がうんぬん
217 = 1 :
休みの日から数日後。
先日は楽しかったと思いながら出勤。
P「みんなのCDも良かったし、これからが楽しみだなー!」
事務所の前で独り言を言ってからドアを開ける。
P「おはようございます」
小鳥「おはようございます」
P「早いですね」
小鳥「いつも通りですよ?」
そういえばそうだったな。
P「みんなのスケジュールはどうですか?」
小鳥「それでしたらホワイトボードに書いてあります。…やよいちゃんがテレビ出演ですね」
P「むっ!」
これは大事な仕事だ。
P「…実はこれ、やよいには内緒なんですけど、レギュラー化が期待できそうです」
小鳥「…なんとっ!?一世一代の大勝負ですか!?」
218 = 1 :
P「そんなおおげさじゃないですけど…この番組の平均視聴率よりもいい数字取れたらレギュラーのコーナーにしてもらえるそうです」
小鳥「これで定期的にうちのアイドルがテレビで拝めるわけですね…」
P「やよいなら行けます!」
小鳥「おお!すごい自信ですね」
俺が期待してるのには一応理由もある。
昼過ぎの情報番組のコーナーであるが、やよいが一日お手伝いさんとして一般家庭に訪問し、家事をするやよいを見るだけという内容。
一見しょぼそうに思えるが、まだ年端もいかない美少女が家事をこなす、ということに誰が心を打たれないだろうか。いや、打たれる。
昼間にテレビを見るだろうお婆様、お爺様からの支持はうなぎ登り(予定)!
これはいける。あとは運がいいかどうか。
律子「おはようございます」
P「あれ、律子早いな。どうした?」
219 = 1 :
律子「今日は、その早く来て小鳥さんのお手伝いでもと思いまして…」
小鳥「あら、助かるわ!」
P「ふーん。なんか最近、律子の仕事入ってないな」
律子「…」
小鳥「そういえば…」
P「すまないな。急にキャンセルされることが多いなとは思ったんだが、気が付けば仕事無しとは…俺のせいだ」
律子「………あ」
小鳥「律子さん?」
律子「ああ、いえ、仕事がないのは私に魅力が足りないからですよ!他のみんなが上手くいき始めてるから私も慢心してしまったみたいですね!」
律子が慢心?あり得るわけがない。
P「…」
なんか隠してる。今の態度で分かってしまった。彼女は嘘が下手だから。
220 = 1 :
P「いや、お前は頑張ってる。足りないのはお前の魅力を引き出せない俺の力だ」
律子「本当にそんなことありませんって!…それに、いいんですよ。私プロデューサーになりたいって思ってましたから」
P「そうだったの?」
俺は初めて聞いたけど。
小鳥さんとのアイコンタクトを試みる。
小鳥「ええ!?嘘っ!?…知らなかったわ」
こっち見てないな。でもあの様子じゃ知らなかったみたいだ。
P「なるほど。ドタキャンの理由が想像できた」
正確には仕事がキャンセルされてるわけではない。
律子へのオファーだったはずが他の子にチェンジ、ということになるのだ。
律子「…」
P「はぁ…。律子、お前なぁ、勝手に仕事断って他のアイドルに振ってただろ」
律子「…そ、それは」
歯切れが悪い。何をやってるんだかこいつは…。
小鳥さんも驚きを隠せない。
221 = 1 :
律子さん、何で…とか呟きながらそのまま妄想の世界に入って行ったようだ。
なにがトリガーだったのか…。頭の中でサスペンスの音楽でも流れてそうな顔をしてる。
それはそうとこいつときたら…。
P「お前なぁ。自分のやってることわかってんのか?」
律子「…」
律子は答えない。いや、答えられない。
P「てめえがやったことは先方の不信感を煽ることだろ?それに仕事を取ってきた俺への嫌がらせか?」
律子「そ、そんな…。私はただ…」
P「ただ…なんだ?…お前はなぁ、事務所の名前に泥を塗ってんだよ。これで765プロさんは信用できませんなんて言われてみろ。お前だけじゃなくて他の子はどうなる?」
律子「!…でも、私は…」
P「言い訳は聞きたくない。後先考えない勝手な行動…反省しろ」
律子「私は!…他の子の仕事が増えるならと、思って…」
P「それが後先考えてないって言ってんだろ!…お前がやってるのは欲求を満たすためだけのプロデュースごっこだ…」
律子「…あ」
222 = 1 :
律子はうつむき、肩を震わせる。
俺としても心苦しくないと言えば嘘だが、それよりも怒りが先行した。
裏切られたような虚無感が抜けない。
律子「…ごめんなさい」
微かに聞こえる彼女の声。
冷静になった俺は言いすぎたと思い、後悔の念に襲われる。
別に問題になるようなことは起きてないから別にいいじゃないか…。
いや、そういうわけにも…。
P「ああ、もう!」
大声を出して、律子はびくっと跳ねる。
P「わかった。説教は終わり!…お前プロデューサーになりたいんだろ?」
律子は小さくうなずく。
P「じゃあ今日ついてこい。やよいの現場だ」
律子「…で、でも、私、とんでも、ないことを…」
P「それに関しちゃもういい。お前なりの気遣いだったんだろう。俺も強く言い過ぎた。実際なんも起きてないし、律子がまだ若すぎたんだ。今のうちに失敗しておけ」
223 = 1 :
律子「…プロデューサー…うっ、私、うぅ…ごめんなさい…」
律子はとうとう声をあげて泣き出した。
P「いや、こっちこそ気づいてあげられなくてすまなかった」
律子「!!」
俺は律子を抱き寄せ、安心してもらえるよう努めた。
女性の涙で感情がひっくり返ってしまう自分なんか嫌いだ。
でも、他にどうしろってんだ。
小鳥さんも我に返って見守っていたが、やがて口を開く。
小鳥「そんなことが…。律子さん。私からは特に言うこともありません。プロデューサーさんが全部言ってくれましたから」
律子「小鳥さん…」
小鳥「私も気づいてあげられなくてごめんなさい…」
律子「そ、そんな…謝られるのが、一番……辛いです…。プロデューサーも、謝らないでください…」
P「ああ、俺ももう謝るつもりはねぇ。今回で終わりだ」
律子「…」
律子はこっちをまじまじと見つめる。どこか悲しそうな表情がうかがえた。
224 = 1 :
そして彼女はうつむく。次に上げたその顔は何かを決意したようなものだった。
P「そろそろやよいが来る。化粧直してこい」
律子「はい…!」
律子はメガネを外し、目じりに浮かんだ涙を拭って洗面台に向かった。
小鳥「プロデューサーさん、それでいいんですか?」
P「そうですね。律子は本当のアイドルの魅力に憑りつかれてしまったみたいです」
小鳥「はあ…。律子さん、十分やっていけると思うんですけどね…」
P「いや、彼女は目立つこと、人前に立つってことをあまり好まないようでしたから、俺が早めにそういう決断をするべきだったんですよ」
小鳥「あまり自分を責めないで…」
P「いや、責めずにはいられません。俺はプロデューサー失格です。俺も彼女のアイドルとしての魅力に憑りつかれて、ちゃんとした判断ができなかった」
なんだこれは…懺悔してるつもりなのか?……俺は愚かだ。
不意に目頭が熱くなった。
本当に愚かな自分。
225 = 1 :
これじゃあ変わらないんだ。
無理強いさせて何になる。
親父と変わらねぇ。
いや、もう親じゃなかった。
違うな。親だからかもな。
親だから、根本では変わらないのかもしれない。
嫌気がさした。一瞬で気持ち悪い感情が俺を埋め尽くす。
俺はあいつとは違う。
いや、同じだろ。
矛盾する思考がぐるぐると頭の中をかき乱す。
P「…ちょっと、仕事に備えて仮眠を取ります」
それ以上何か言おうものなら、泣いてしまいそうだった。
小鳥さんはこちらを振り向くと、目を見開いたように見えたが、俺はすぐに空いている椅子へ腰かけ、そのまま目を閉じた。
226 = 1 :
やよい「プロデューサー?」
しばらくして、声をかけられた。
今日の主役であるやよいは心配そうにこちらを見ている。
P「やあ、やよい。おはよう」
やよい「あっ、おはようございます」
思い出したかのように言うやよい。
おいおい、向こうでそんなんじゃ困るぞ。
やよい「あの、起こしちゃってごめんなさい…」
P「気にすんな、仕事に遅れたら元も子も無いだろ?むしろ起こしてもらって悪いな…」
やよい「…」
どうやら心配そうな表情のままだ。
P「困ったな。これから仕事なのにそんな顔じゃあ良いお仕事できないぞ?」
努めて明るい調子で言った。
やよい「あの…」
P「どうした?」
227 = 1 :
やよい「なんでプロデューサー、泣いてるんですか…?」
P「は?」
やよいは俺の声を聞いて少し、びくっとした。
やってしまった。
今のは自分でも、どすのきいた声だと思ったからだ。
そんなつもりは全くなかったのに。
そのせいでやよいはオロオロしている。
P「あ、いや、ごめん。怖い夢でも見ちまったのかもな。本当にごめんな、怖い声だったよな」
必死に弁解して謝ってたら、やよいは安心していったようだ。
でも、なんで涙が…?
やよい「よかったです…。プロデューサー、わたしのこと、ぐすっ…、嫌いに、ぐすっ…、なっちゃたかと…思ってぇ…」
今度はやよいが泣いちゃった。自分が思ったより迫力があったみたいだ。
P「全然そんなことないよ。やよいのこと嫌いになったりするもんかよ。むしろ俺、やよいのこと大好きだからさ。あんな声、出すつもりなかったんだよ。本当にごめんな」
228 = 1 :
やよいはしばらく、ぐすぐすと泣いていた。
ああ、俺かっこ悪ぃよ。
最悪だよ。やつあたりかよ。最低だよ。もう今日の午前だけで女の子二人も泣かして何やってんだよ。
とにかく、頭を撫でて落ち着かせる。
P「…もう大丈夫か?すまなかったな…」
やよい「はい。…私もしゅん、ってなっちゃってごめんなさい。プロデューサー、全然そんなつもりなかったのに…」
P「いいんだ。悪いのは全部俺だから」
やよい「プロデューサーは悪くないです」
やよいは本当に優しい子だ。
P「…やよい、今日のお仕事、頑張ろうな」
やよい「はい!」
よかった。調子を取り戻しつつある。
やよい「プロデューサー」
P「ん?なんだ?」
229 = 1 :
やよい「何か嫌なことでもあったんですか?」
P「…なんにもないよ。どうして?」
やよい「さっき…」
P「…よくわからないんだ。なんで泣いてたのか自分でもよくわからない」
やよい「プロデューサーが悲しかったら、私も悲しいです」
P「心配してくれてありがとう。俺は君たちがいるから悲しくないよ」
やよい「…」
P「とにかく、やよいがお仕事頑張ってくれたら、悲しいのを忘れるくらいに嬉しいからさ…」
やよい「じゃあ、私すっごく頑張ります!」
P「うん。その意気だ。あと笑ってくれた方が俺も元気になる!」
やよい「本当ですか?」
P「本当だ!あと、テレビを見てるみんなも元気になる!」
やよい「はわっ!」
そんなにですか!?とでも言いたげな驚き方だった。
230 = 1 :
P「だから…やよいが悲しむならもう泣くのは止めにするよ。俺はもう泣いたりなんてしないから安心して」
やよい「…はい。私も…泣かないようにします」
P「まあ、どうしても我慢できなくなったらいいけどさ」
やよい「私、もう泣きません。私、お姉ちゃんだから!」
やよいは長女だ。
それも6人兄弟の一番上。
弟たちの面倒を見て、家事をこなして…。
だから彼女は自覚し始めている。姉として強くあらねばならないと。
俺のやよいに対する印象はよく泣く子。
ちょっと感情が揺さぶられるとすぐ泣いてしまう子だと思ってた。
情緒豊かなのだろうと思って気にしてなかったけど、彼女自身は気にしていたのかも。
涙を見せてしまうような弱い自分をどこかでよしとしなかったに違いない。
今、俺はきっかけを与えたのだろうか?
彼女が変われるきっかけを…。
だとしたら、それは嬉しいことだな。
231 = 1 :
やよい「プロデューサー?」
P「いや、なんでもない。今日は頑張ろうな」
やよいは元気に返事をした。
さて、俺は律子とやよいを連れて局へと訪れたわけである。
P「律子」
律子「はい…」
まだ落ち込み気味の律子。
P「俺、今日何もしないから一人でできるとこまでやってみて」
律子「ええっ!?」
落ち込んでいたとしても、やはりこれには驚いたようだ。
律子「あの、いきなりなんて…」
P「安心しろ。俺もゼロからスタートだから」
しばらくオロオロと慌てていたが、不安そうにしながらも律子は承諾した。
232 = 1 :
P「挨拶くらいは一緒に回ろうか」
やよい、律子とともにスタッフたちに挨拶をする。
一通り終わるとやよいと今日のことの確認をして準備に臨む。
P「律子、やよい、質問とかはいいか?」
律子「ええ、不安ですが…今のところは大丈夫だと思います」
不安な返事。後ろ向きだなぁ。
P「自信もっていいぞ。今回、やよいの番組のレギュラー化が俺たちの目的で、そうなれば成功だと考えろ」
律子「…はい」
P「やよいは?」
やよい「大丈夫です!今日も笑顔で頑張りまーす!!」
P「うん。いい笑顔。期待してるよ」
かくして本番に向かう。
233 = 1 :
スタッフ「秋月さん。やよいちゃんの準備できましたか?」
律子「はい、やよいは準備オーケーです」
スタッフ「では10分後に本番入りますので、スタンバイお願いします」
律子「わかりました」
すでに今回、訪問するお宅へと到着してる。
スタッフたちはゆとりをもって準備を進めていた。
いいスタッフさんたちだ。
P「律子」
律子「はい。なんですか?」
P「やよいのフォローは任せた」
律子「ええ、任せてください!」
さっきとは裏腹に頼もしい返事だった。
234 = 1 :
今日はここまでにしとこうかな!
おちまいです!
以下反省等
りっちゃんしっかりしてー!
あとみんな泣きすぎ
以上
以下お詫びと訂正
1週間後と1日後は紙一重と申しましたが、1日と7日に大きな差があるのは明確な事実です
不適切過ぎる発言をここでお詫びいたします
ご意見ご質問批判ダメ出し等ありましたらズバズバ仰ってください!
ではまた明日。
235 :
乙乙
236 :
アイドルに暴言吐いたり泣かせたり終いには泣き出したり未熟すぎて草
どこかでこういう部分フォローできる展開ないとPにヘイト集まるよ
238 :
りっちゃんは未熟かわいい!
239 = 1 :
>>236
ご意見ありがとうございます
ではしばらく反省しつつ今後の展開について考えてみます!
まあやりすぎた感はあったけどせっかく書き溜めたからいいやーって思って投下しました(言い訳)
とにかく不快に感じられたのなら自分が未熟でした。申し訳ない
240 :
りっちゃんかわいい!
よかれと思ったのに裏目に出て涙目になるりっちゃんかわいい!
241 :
俺はこういうP好きだよ
真面目だけど決して有能じゃないいつでもパーフェクトコミュニケーションが取れるわけじゃない人間くさいところがあっていいじゃない
242 :
>>241に同意
俺もよくある万能で何でもそつなくこなすPよりアニマスの羽根Pやこの伊織兄(P)みたいな良くも悪くも人間臭い方が好感持てる
>頭の中でサスペンスの音楽でも流れてそうな顔をしてる。
チャララチャララチャーラー!音無小鳥サスペンス劇場って小鳥さんの脳内では再生されてたのか…
243 :
乙です
自分も問題ないと思った
話に山もなくいきなり律子がプロデューサーになりましたーとかより全然良いかと
244 :
妄想の世界に瞬時に入れるのは一つの才能だよね
245 :
さて今から投下っ!
皆さん、ご感想ありがとうございます!
だらだらと続けてるのに、ここまで見てくださってるだけでも感謝です!
246 = 1 :
合図があり、やよいとスタッフ少数がお宅へお邪魔する。
やよい「うっうー!高槻やよいの家庭訪問!第一回でーす!」
元気よくタイトルコールをするやよい。
実にシンプルなタイトルだ。
やよい「今日お邪魔するおうちはこちらですっ!」
こうして始まりは特に何事もなく過ぎていく。
「あまり使ってない部屋のお片づけをお願いしてもいいかしら?」
やよい「はい!任せてくださいっ!ピッカピカにしちゃいます!」
こうして依頼を受けるのだが…。
しばらくして…。
やよい「うぅ…」
どうやら必要なものか不要なものか決めあぐねているようだった。
明らかにいらなそうなものだが、やよいにはその判断がつかないみたいだ。
律子「やよいちゃん。奥様に聞いてみたら?」
247 = 1 :
お、律子ナイスフォロー。
ちゃんと編集で使えるように、馴れ馴れしくないのも細かい気配りみたいだ。
やよいはハッとした様子で依頼者の奥さんに聞きに行く。
どうするか答えてもらい、やよいはほっとしたようだ。
その一連の流れが可愛い。
とても応援してあげたくなる。
その後も荷物の整理、部屋の掃除、簡単な模様替えのお手伝いをした。
律子も上手くフォローをして、無事収録終了となった。
「助かったわぁ。ありがとう。やよいちゃんとっても可愛いし、私もこんな娘が欲しかったわ」
と依頼主の評価も高い。
やよい「ありがとうございます!私も楽しかったです!」
「やよいちゃん。これお礼よ」
と渡したのはお菓子の詰め合わせ。
248 = 1 :
やよい「はわっ!?ダメです!お仕事で来たのに受け取れません…」
それでも欲しいのか自分の中で葛藤をしてるであろうやよい。
その手を伸ばそうとしては引っ込め、伸ばそうとしては引っ込め…。
「いいのよ。これはお仕事で来たやよいちゃんにじゃなくて、お手伝いしてくれたやよいちゃんへの感謝の気持ちよ?」
やよい「でも…」
やよいがこちらを見る。
ああ、許可がなければダメだと思ってるのか。
それとも俺から断ってほしいのか。
どちらにせよ俺から言えるのはやよいの背中を押してあげることだ。
P「やよい。これはね、感謝の気持ちなんだ。やよいは自分の感謝の気持ちをいりませんって言われたらどう思う?」
やよいは、むぅっと考えて…。
やよい「そうなったら…うーってなって、しゅんってなっちゃいます」
つまりどういうことだ?
わかんないけど、負の感情であることは確からしい。
249 = 1 :
P「じゃあこちらのお母様の感謝の気持ちはどうしたらいいかわかるよな?」
やよい「プロデューサー…」
やよいは依頼主に振り返る。
やよい「ありがとうございます!弟たちもきっと喜ぶと思います!」
「ありがとう。家族思いでいい子なのね」
やよい「えへへ…」
スタッフ「お疲れ様です。とてもいい映像が取れました!」
P「それはよかったです」
スタッフ「俺もやよいちゃんのファンになっちゃいました。あはは…!」
最初はここにいるほとんどの人がアイドル高槻やよいを知らなかったのだが、今ではスタッフさんたちも認める立派なアイドルだ。
250 = 1 :
スタッフ「視聴率関係なしに次もよろしくお願いします」
ということはレギュラー決定。
P「こちらこそ高槻がお世話になります!」
隣にいた律子も慌てて頭を下げる。
律子「お願いします!」
スタッフ「そっちの新人さんもナイスフォローだったよ」
律子「あ、ありがとうございます!」
スタッフさんたちは機材を回収してその場は解散。
俺たちは事務所に戻ることにした。
すでに夕方。
俺の運転する車の助手席では律子が後部座席ではやよいが気持ちよさそうに眠っていた。
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