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    元スレP「伊織か?」伊織「お兄様!?」

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    51 :

    期待
    頑張ってくれ

    52 :

    お兄様というと、もうお兄様しか思い出せない

    53 :

    ぼちぼち投下します。
    この1週間、あまり書き溜められなかった…orz

    54 = 1 :

    さて、しばらくして如月が来たわけだ。

    P「忙しいところ悪いな」

    千早「いえ、暇でしたよ」

    そうかい。仕事がなくてごめんなさい。

    P「お前のアイドルになったきっかけを聞きたくてな」

    千早「なぜそれを?」

    P「そうだな。どういった仕事を中心に割り振ればいいのか検討中でな。だからみんなのことをもうちょい理解しようと思ったわけだ」

    如月のやりたいことは大体わかるが…まあ、率直に言えば歌だろ。

    千早「そうですね。でしたら私には歌を歌わせていただけませんか?」

    ほら。でもなんでか…そこを知っておきたい。

    P「それは心得た。でもなんで歌にこだわる?アイドルはそれだけじゃない」

    千早「それはわかっています。それでも歌うチャンスがあると思ったから、今こうしてアイドルをやっています」

    P「はぁ、なるほどね。歌以外はおまけって感じか」

    千早「そういうことになりますね。たまたま社長が私をスカウトしてくださったので…」

    P「それで、歌にこだわる理由は話してもらってないけど…」

    55 = 1 :

    千早「それは話す必要がありますか?」

    P「いや、言いたくないならいい。まあそのうち話してくれ。お前が困ったとき頼ってくれたら、助けてやるさ」

    千早「…ご理解していただけて助かります」

    P「でもな?お前はアイドルだ。歌を聴いてもらいたいなら、まずはみんなに好かれなきゃ聞く耳を持ってもらえないぞ?」

    千早「歌で好きになってくれればいいです」

    P「甘いよ。いくら歌が上手くても好感が持てなきゃそいつの歌なんか聴きたくない。冷静によく考えてみろ」

    千早「私の力量じゃ力不足だと…?」

    如月の表情が強張る。こりゃ頭に来てんな。

    P「いいや、確かに如月の歌は上手いさ。おまけに顔も可愛いし、美人でそこそこのことはそつなくこなす。しかしな、今のお前は『私の歌を聴け』って言ってるだけだ」

    彼女は黙って聞いている。表情は強張ったままだ。

    56 = 1 :

    P「でも本当のお前は違うんだろ?人には言えない事情があるほど歌にかけてるのに、言ってることはただの自己満足でしかないなんて…」

    千早「わかりました。そんな説教私には響きません。もう聞きたくありません。失礼します」

    そう言って立ち上がる如月。

    P「待て如月!お前は逃げるのか?」

    如月は背を向けたまま立ち尽くしていたかと思うと、くるりとこちらに向き直った。

    千早「いいえ、逃げるのではなく、無駄だと判断したまでです」

    俺も立ち上がり、如月の前まで歩く。

    P「俺はまだ大事なことを伝えてない。そんな態度だから余計に説教が増えるんだ」

    如月は、ふぅっとため息をつき俺から視線を外す。

    P「俺は言ったぞ、本当のお前は違うんじゃないかって…」

    少しハッとした様子の如月。うん、人の話はよく聞きましょう。

    P「いいか?お前はただ歌を聴いてほしいだけじゃないだろ?」

    如月が俺を見上げる。その表情に怒りの色は薄れ、別の色が浮かんでいるように見えた。

    57 = 1 :

    P「自分の歌を聴いてくれた人に感動を与えたいんじゃないのか?…だから俺は自惚れるなって言いたいんだ。歌で人を魅了する前に、他のことでまずは魅了させてみろ。アイドルの本分だ。そこで追い打ちをかけるように歌で魅了してやれ、そこして初めてお前の見たい世界が見えるんじゃねぇのか?」

    千早「プロデューサー、私…ごめんなさい。…そうね、今のままでは自分が歌いたいだけになってしまうもの…。そうじゃないの、わかってたのに…独りよがりで…」

    如月は嗚咽をもらし、きれいな瞳からは涙がこぼれはじめる。

    俺は如月の肩を掴み目線を合わせる。

    P「よかった。わかってくれたみたいで、思い出してくれたみたいで…」

    千早「…プロデューサー…ごめんなさい…私、酷いこと…」

    P「いやいいんだ。俺だって酷いこと言ったな。ごめんな」

    如月は俺の左肩に顔を埋めて、右腕と左肩をきゅっと握っていた。
    落ち着くまでしばらくそうしたままだった。

    千早「すみません。お見苦しいところを…」

    P「ううん。もっと頼ってくれ、今の俺の生き甲斐はお前たちなんだから」

    千早「はい!プロデューサーのおかげで目が覚めました。アイドルとしての仕事も頑張ります」

    58 = 1 :

    P「ああ、その意気だ。でも如月には歌の仕事を集めるつもりではあるから、ただ、歌を聴く人の気持ちを常に考えてくれ。な?」

    千早「はいっ!…それとプロデューサー」

    P「なんだ?」

    千早「千早…でいいです」

    何だそれ?天海のときといい、流行ってんのか?

    P「………気が向いたらな」

    千早「前向きに検討してください」

    わりと強引なのかも、まあ強情ではあるかもな。

    P「如月、悪いが次の子呼んできてくれ」

    千早「…」

    P「如月?」

    千早「…」

    P「おーい?」

    千早「…」

    え?なんで無言でじっと見てくんの?

    ………………嘘でしょ?強情どころか、頑固ちゃんじゃねーか。

    P「………千早、頼む」

    千早「はいっ!」

    すっげぇいい笑顔だった。月並みな表現だが、一瞬で花が咲いたみたいな…。

    それから如月は俺によく話しかけるようになった。

    59 = 1 :

    そのあとの子たちの動機と言えば単純なもので、

    菊地は女の子らしくなりたい。

    萩原は弱い自分を変えたい。

    双海姉妹は楽しそうだったから。

    秋月は本当は事務やプロデューサーをやりたいらしい。

    三浦は運命の人に会えると思って。

    高槻はちょっと特殊だけど、家計の足しにしたいと言っていた。

    P「へぇ、高槻は五人兄弟なのか、そのうえ一番おねえさんって大変だな」

    やよい「えへへっ、でもみんなも家のお手伝いやってくれるから、こうやってアイドルできてるんです!」

    P「いい家族だな」

    やよい「はいっ!…プロデューサーも伊織ちゃんのお兄さんなんですよね?」

    P「そうだな、今は一緒に暮らしてないけどな」

    やよい「なんかそれって悲しいです…」

    P「おいおい、なんでお前が泣くんだ?俺はもう大丈夫だし、伊織も慣れただろ?」

    やよい「でもぉ、伊織ちゃんプロデューサーの家族だから、離れ離れになって辛いと思います!」

    P「でもな、こうして普段から会ってるわけだし、心配ないって」

    でもぉ、でもぉ、となかなか引かない高槻がなんとなく新鮮な感じがした。

    俺は大丈夫の一点張りでその場を収めた。

    60 = 1 :

    P「つーわけなんだが、伊織、お前何か言ったか?」

    伊織「別に何も言ってないわよ?やよいは思いやりがありすぎるのよ」

    P「ふーん。そうか。いや、それは知ってたけどさ」

    最後の面談は一応、伊織。

    P「高槻があそこまで言うんだ。本当にお前が寂しがってるんじゃないかと思ってな」

    伊織「ば、ばか言わないでちょうだい!お兄様がいなくなって二年過ごしたのよ?今さら寂しく思うはずなんてないわ…」

    P「…」

    嘘だってわかった。俺のあげたぬいぐるみを今も大事に抱えてくれてるし、そのぬいぐるみを撫でるの、嘘をつく時の癖になってるって知ってる。

    P「はあ、誰もいないからさ、隣においでよ伊織」

    伊織「だから寂しくないって言ってるでしょ!?行かない、行きたくないわ…」

    言いながらぬいぐるみを撫でる。

    俺は立ち上がって、伊織の隣に腰掛ける。

    P「ほら、我慢は良くないだろ?」

    伊織「でも、そうしたら私…」

    P「ああ、今の俺はあくまでお前を妹としか見れねぇ、それはわかってくれ。でも俺はもう水瀬じゃないんだ。先のことなんてわかんないよ」

    伊織はぬいぐるみをぎゅっと抱きしめる。

    61 = 1 :

    P「どういう意味か分かるか?」

    伊織「全然わからないわ…」

    P「まあ、なんだ。甘えたいなら甘えりゃいいんだ。昔みたいにさ」

    伊織「今と昔は違うもの…」

    P「そんなうじうじして、伊織らしいのからしくないのか」

    伊織は普段は強気なくせに落ち込むときは情けなくうじうじする。
    そんなん、かまってあげたくなっちまう。

    P「わかった。じゃあ俺が甘える。いおりー」

    伊織を抱えて膝に乗せる。そして後ろからぎゅっと抱きしめる。

    伊織「きゃっ!?何よ!?ちょっと!お兄様!?変態!」

    P「お前、変態とは何だ!?」

    パッと離す。変態扱いされちゃ、たまんね…。

    伊織は後ろを振り向き、赤い顔で俺を睨む。…膝に乗ったまま。
    おい降りねーのかよ。

    62 = 1 :

    伊織「ふんっ!そんなに甘えたかったら甘えたらいいじゃない!」

    P「さっきと言ってること違う…」

    伊織「お兄様が急に変態になるからでしょ!?」

    P「変態とは心外だ!お前が素直に甘えてればよかっただろ!?」

    伊織「甘えたいなんて一言も言ってないわよ!」

    P「言ってなくてもわかるんだよ!俺はお前の考えてることがわかるんだ」

    伊織「なによそれ?」

    変なの、そう言って伊織が笑う。俺もつられて笑ってしまった。

    伊織「仕方ないわね。お兄様がそこまで言うんなら甘えてあげなくもないけど?」

    P「じゃあ別にいいや」

    伊織「なっ!甘えさせなさいよ!このっ…!」

    伊織が俺の首に腕を回して抱き付く。ちょうど座ったままお姫様抱っこしてる形になった。

    P「我慢は良くなかっただろ?」

    伊織「………そうね。しばらくこうしてていいかしら?」

    P「ああ、もちろん」

    伊織「あと、さっきみたいに後ろからぎゅってして?」

    P「注文が多いな」

    63 = 1 :

    伊織「私が甘えたりないお兄様に粋な計らいをしているのよ?」

    P「そうかい。ありがたき幸せですこと」

    伊織「そうよ、感謝しなさい?…にひひっ!」

    そういや何が聞きたかったんだっけ?
    そっか、アイドルになった動機か…。

    P「ところで伊織」

    伊織「なに?」

    P「なんでアイドルになろうと思ったんだ?」

    伊織「………家族の力なしで、自分の力だけでもやっていけることを証明したいのよ」

    P「どうしてだ?」

    伊織「お兄様に近づけるように」

    即答だった。

    P「何でそれが俺に近づくことになるんだ?」

    伊織「お兄様は家を追い出された日に何もかも失ったわ」

    P「そうだな。お坊ちゃまの俺は高木社長がいなかったら死んでたな」

    伊織「それでもお兄様は自分一人の力で生き抜いてこれたのでしょ?」

    P「自分一人じゃないよ。社長に助けられて音無さんに支えられて、その前だってお前や兄貴、親父と一緒に育ったさ」

    伊織「いいえ、お兄様が自分で考えて行動したことに変わりはないわ。私もそうしたかったの。お兄様の苦難を私も…。そう思って高木社長の申し出を受け入れた」

    64 = 1 :

    P「そうか。お前も自分の覚悟があったみたいだな」

    伊織「当たり前よ。でも、やっぱり私は何も失ってない。お兄様の状況とはずいぶんかけ離れているわ」

    P「やめとけ。近づこうとする必要がないってことなんだよ」

    伊織「私がそうしたいの、お兄様には関係ないでしょ?」

    P「そうだな。お前の意思をどうこうできないが、俺が関係ないなんて言うな。関係大有りだろ」

    伊織「…」

    P「とにかく、俺が知らない伊織のこと聞けて充分だ。面談はおしまいだ」

    伊織「あの、お兄様…」

    P「まだ何か?」

    伊織「もうちょっと、このままでもいい…?」

    伊織の懇願するような表情と甘い声に俺は声を出すことも動くこともできなくなる。

    P「…あとちょっとな」

    ようやく絞り出した言葉がそれだった。

    その後、今回の面談がみんなのモチベーションアップにも繋がったようで、仕事も順調に進みはじめた。

    それとなぜか、アイドル達が積極的に俺に構ってくるようにもなった。
    頼られるのは素直に嬉しいが、振り回されるのは勘弁してほしい。

    65 = 1 :

    それぞれのアイドルを売り出すことに一応は成功した『765プロダクション』

    設立からおよそ四ヶ月で全員に仕事が少しずつ入ってくるようになった。
    そして設立から半年が経ったとき、新たな仲間も加わった。

    『星井美希』

    社長がスカウトしてきた女の子だが、彼女がとんでもないやつだった。

    美希「ミキの名前はミキっていうの!なんか、アイドル?っていうの面白そうだからやってみることにしたの!みんなよろしくね!」

    俺の彼女への第一印象は自由なやつ、だった。

    いや、それはどうでもいい。何がとんでもないって…

    雪歩「美希ちゃんがまたいないよぉ!」

    さぼる。

    春香「ねえ美希、早く起きないとお仕事間に合わないよ?」

    真美「ミキミキー!早くしてよー!」

    寝る。

    律子「こらー!美希ー!スタッフの方に失礼の無いようにしなきゃダメじゃない!」

    美希「ミキ知らなーい」

    生意気。

    仕事で使ってもらえるものの、おかげで俺も頭を下げる回数が増えた。

    66 = 1 :

    今日はおちまい。
    また再来週。
    ご意見、質問あればどーぞ。

    67 :

    やよい兄Pの作者?

    68 :

    おつー
    なんというパフェコミュ連発ww

    70 = 69 :

    ごめん、誤爆った

    71 :

    いいね

    72 :

    乙、こういうの好き

    73 :

    >>67
    いいえ、違います。

    74 :

    響と貴音を出すとしたら765側961側どちらで出しますか?
    それと竜宮小町は出ますかね?

    75 :

    再来週とはなんだったのか…。
    今日中に投下していきます。

    >>74
    もちろん出ますが、しばらくは出ません。

    76 = 1 :

    だが俺は星井を叱るようなことはしなかった。
    たまに頭の血管が、本気で切れそうになったこともあるが、なんとか耐えた。

    みんなからはおかしいと言われるが、俺まで叱ってしまえばあいつの味方はいよいよいなくなる。それは避けたい。

    俺はあいつに可能性を感じているのだ。
    明らかに他よりも人の目を引く容姿。時折、垣間見せる天性の才能。

    さすが高木社長、磨けば輝く原石を連れてきたものだ。
    潰すには惜しい。

    P「星井はいる?」

    「あ、プロデューサー。美希ならそこで寝てますよ」

    P「よく寝るなぁ」

    菊地は意外にも星井に対して不平を言うことはない。
    本人曰く、頑張ってくれれば確かにいいんですけど、僕自身のことで精一杯ですから…とのこと。

    菊地もどうやら必死らしい。

    逆に秋月と如月、それに伊織はなかなか厳しいようだ。
    本人は聞く耳持たずといった感じだが…。

    P「星井?起きろ…」

    美希「ん~?なんなのプロデューサー?ミキ眠いんだけど…」

    こいつただのヤンキーじゃねぇの?ヤンキーミキーとか?…いや、寒いな。別に語感もよくないし、韻踏んでるだけ。

    77 = 1 :

    P「お前アイドル面白そうって言ってたのにつまんなくなっちゃったのか?」

    美希「お前じゃなくてミキはミキだよ?…うーん思ったより楽しくないかも…」

    P「やめたいか?」

    美希「どうしよっかなーって感じ?律子もうるさいし、やめちゃおっかな…。うん、ミキやめたいかも!」

    秋月がちょっと不憫だな。

    P「なら俺から条件がある」

    美希「条件?」

    P「最後くらいうちに貢献してくれ」

    美希「そしたらミキやめてもいいの?」

    P「ああ、やめてもいい。お前は自由だ」

    最初からお前は自由奔放だったけどな。

    美希「それで、条件って何?」

    P「まあ、最後の思い出づくりみたいなもんだ。小さな会場とったからソロでライブ。そこでお客さんを満足させてくれ。できるな?」

    美希「別にいいけど、お客さん来るの?」

    P「そこは心配するな。俺が満員にしてやるから、華々しく引退できるさ」

    美希「ふーん」

    興味なさげで態度は素っ気ない。

    78 = 1 :

    P「8曲ほど用意しとくから歌とダンス練習しといてくれよ?」

    美希「ぶー…練習は嫌なのー…」

    P「頑張ってくれ。これで最後なんだからさ」

    美希「しょうがないなぁ。成功させるために歌とダンス覚えるの」

    P「ああ、頼んだぞ」

    よし、これであとは俺の客集めだな。

    一か月でどうにかしねーと。

    79 = 1 :

    星井のライブまで残り一週間。

    律子「プロデューサー、最近美希がちょっと頑張ってるみたいなんですけど、一体どんな魔法使ったんですか?」

    P「……………………………………ん?どうした秋月?」

    律子「なるほど、黒魔術を使ったのね…」

    小鳥「不自然なほどラグがありましたね」

    伊織「律子、冗談言ってないで…お兄様、相当やばいわよ?」

    律子「そうね。明らかに美希の頑張りに反比例してプロデューサーの体調が蝕まれてるわ」

    小鳥「美希ちゃんに事情を聞いてみますか?」

    伊織「そうは言ってもお兄様は美希のことは今は放っといてやれって…。あの子が絡んでるのは間違いないけど…」

    律子「プロデューサーがそう言ってる限り下手に聞き出せないわね」

    伊織「そういうこと」

    春香「プロデューサーさん…大丈夫ですか?あのぉ、パウンドケーキ焼いてきたので良かったらどうぞ…健康のことも気遣って野菜を使ってみました。…雪歩ー!」

    雪歩「おまたせ春香ちゃん。プロデューサー、お茶もどうぞ…」

    P「…………………………………んあ、助かる」

    雪歩「プロデューサーが死んじゃいますぅ!」

    「落ち着いて雪歩!きっと大丈夫だよ」

    亜美「重症ですなー」

    真美「亜美、そんなのんきなこと言ってられなくない!?」

    あずさ「そうねー。心配だわ…」

    やよい「プロデューサーの顔色わるいです…」

    80 = 1 :

    P「……………大丈夫だ!!!!!」

    雪歩「ひぅっ!!」

    春香「きゃあっ!!」

    「うわぁっ!!」

    律子「急に勢いよく立ち上がって、何が大丈夫なんですか!?」

    P「いいんだみんな!心配しなくても!今は!俺のことは!放っておいて!自分のことに!集中!するんだ!あははははははははははははっ!!!!」

    みんな絶句した。彼の異常な笑い声だけが部屋中に響いていた。

    「伊織…伊織のお兄さんでしょ?なんとかしてよ…」

    伊織「私もこんなお兄様見たことないわ…泣きそうよ…」

    千早「プロデューサー!プロデューサー!こんなにおかしくなってしまって!美希のせいね!?」

    春香「千早ちゃん落ち着いて!!」

    P「ちはやーーー!!」

    千早「きゃっ!?」

    P「あはははははっ!」

    自分でもわからないがあの時は確実に頭が狂っていたようだ。

    如月を持ち上げてぐるぐるとまわったのは、喜びを表現したかったのかも。

    それからというもの暴れに暴れたらしい。

    81 = 1 :

    双子を持ち上げては下ろし、高槻を持ち上げては下ろし、さらに伊織も持ち上げては下ろしたらしい。

    萩原と天海とは肩を組み、その後で脇に抱えて走り回ったり、戻ってきたかと思えば菊地をお姫様抱っこで抱き上げ狂喜乱舞していたということ。

    さらに、三浦には正面から抱き付きながら耳に息を吹きかけ、

    椅子に座ってる音無さんには後ろから抱き付き耳を甘噛みし、

    秋月にも後ろから抱き付いて首にキスマークをつけた後なぜか髪をほどいて、そのヘアゴムを机に置き、爽やかな笑顔でお疲れ様でしたと言って帰ったらしい。

    真昼間だったにもかかわらず。

    82 = 1 :

    その翌日。

    P「すみません。あのぉ、体調が優れなくて…」

    律子『はあ!?昨日、散々好き放題しておいて何ですか!?仮病使って逃げようったってそうはいきませんよ!!あと、首の跡どうしてくれるんですか!!』

    …大声やめろ…頭いてぇ……。

    P「………秋月か…大声出すんじゃねえよ」

    律子『だから仮病は…』

    P「あー、わかったわかった。とにかく今日は休むから、じゃあな」

    律子『昨日のことを…って電話切らないでくだ』

    切った。苦しさあまりに電話を放り投げる。そして倒れるようにベッドに寝転がり布団を被る。

    投げた電話がすごい音を発したが、気にせず眠った。

    何だよ昨日のことって、なんかあったか?

    なぜだかここ最近の記憶があやふやなんだよな…。

    後で熱を測ったら40度越えという大記録を出していた。

    ちなみにさっきの話は熱を出してから二日目にお見舞いに来てくれた伊織が教えてくれた。

    その時の俺を殺してやりたいと心底思う。

    覚えてないと言ったら呆れた顔で伊織におでこを叩かれた。

    なぜそんな奇行に走ったのかは自分でもわからないのだが、星井のミニライブチケットが完売したのを認めたのは覚えている。

    83 = 1 :

    星井のライブまで残り三日。

    P「うぃーす………」

    今は12月。
    病み上がりということもあって、俺はもこもことした防寒マックスの装備だった。もちろんマスクも着用だ。

    小鳥「あ!プロデューサーさん!!」

    あずさ「え?プロデューサーさん?」

    律子「やっと復帰しましたねプロデューサー!…って何ですか、そのフル装備は?」

    P「まだ体の芯が冷えるので…うぅぅ…さっむ!」

    あずさ「ちゃんとお食事取りました?」

    P「うん。とった」

    あずさ「本当ですか?」

    P「…とった!…うぅ」

    ぶるぶるっと身震いしてしまう。誰かが俺の噂を…。

    あずさ「小鳥さん。なんとなくですけど…ちょっとプロデューサーさん可愛くないですか?」

    小鳥「やっぱりあずささんもそう思います?私もなんか今のプロデューサーさんに尽くしたいって思っちゃいました」

    なんか音無さんと三浦がひそひそ話してる。けど、この体調じゃ、あまり気にならない。
    ……ぶるぶるっと身震いする。誰かが俺の噂を…。

    84 = 1 :

    雪歩「おはようございます」

    「おはようございまーす!」

    雪歩「あっ!ぷろでゅ………そこのもこもこの人、プロデューサーですか?」

    P「………いかにも…ごほっ…」

    咳も出てしまう。ちょっと苦しいな…。

    「あはは…。でもここに来るとき雪歩とちょうどプロデューサーの話してたから」

    おや、これは…寒気がしたとき誰かが俺の噂をしてる説が有力に…?

    雪歩「うん。でもプロデューサー大丈夫なんですか?」

    P「見ての通り、万全だ…」

    「あー、うん、対策の方はそうみたいだね」

    雪歩「今さら、予防しても意味ないんじゃ…」

    P「うるさいよぅ…寒いんだよぅ…」

    「ダメそうなのは火を見るより明らかですね」

    律子「そうなのよね…」

    P「ねぇ、萩原、お茶頂戴?」

    雪歩「はぅ…!ちょ、ちょっと待っててくださいね」

    「どうしたの、雪歩?」

    雪歩「…ううん。何でもないよ、真ちゃん」

    85 = 1 :

    雪歩(まさかプロデューサーがこんなに愛らしく感じるなんて…確かにもこもこした服着てて可愛いし…でもそれだけじゃないような…)

    あずさ「雪歩ちゃんもなのね?」

    小鳥「こっちへいらっしゃい?」

    雪歩「あずささん…小鳥さん…」

    あずさ「あなたもプロデューサーの隠れた魅力に気付いてしまったの…」

    小鳥「そう。弱ってるプロデューサーさんは…可愛い!…なんていうか、いつもは守ってほしいのに今は守ってあげたくなるような…」

    雪歩「確かに…。よくわかりませんけど、母性っていうんでしょうか?」

    あずさ「まさにそんな感じよね~」

    …またしても、ぶるぶるっと身震いしてしまった。

    P「…ふふっ。また誰かが俺の噂を…」

    「プロデューサー、頭大丈夫ですか?」

    P「菊地、お前たまにさらっと酷いこと言うよな」

    「だってプロデューサーが急にニヤッとするから…」

    P「…そうだったか、なら気を付けよう」

    雪歩「はい、プロデューサー、お茶淹れてきました」

    P「お、ありがとー………あちっ!」

    いや熱いの知ってたけど、知っててもこうなっちゃうよね。

    86 = 1 :

    雪歩「だ、大丈夫ですか!?すいません、熱いの注意するべきでした」

    P「知ってたんだけど俺の舌じゃ耐えられなかったよ…」

    雪歩「ど、どうしよう?」

    P「はぎわらー、冷ましてー」

    雪歩「えぇっ!?」

    「プロデューサーかっこ悪いですよ…」

    律子「甘えないの!!」

    P「ちぇー…ごほっ…」

    律子「自分でふーふーして冷ましてください」

    P「ふーっ…ふーっ…!…ごほごほっ…!」

    「わっ!咳するときは湯呑から口離してくださいよ」

    律子「わざとやってるんじゃないでしょうね…?」

    P「あー、ごめん。その、わざとじゃないんだ」

    油断してるとたまになっちゃうよね…。

    87 = 1 :

    律子「大体、先日もあんなにみんなに迷惑かけておきながら…」

    話聞いてないし…。
    そしてくどくどと秋月のお説教が続く。俺、病人だよ?ああ、泣きそう。

    「律子、言い過ぎ!プロデューサー泣いてるよ!!」

    律子「へ?きゃぁっ!…そ、そんなに泣くほどのことですか?」

    なんかわからんが、とにかく悲しい気持ちがものすごい勢いであふれてくる!

    P「わがんね…」

    「東北なまりっぽく言われても…」

    P「秋月はだめだぁ!はぎわらー!おれに優しくしてください!」

    雪歩「は、はいぃ!」

    律子「ダメって何ですか!?失礼な!」

    あずさ「律子さん。今はやめときましょう?」

    小鳥「あずささんの言う通りですよ。最近のプロデューサー無理ばかりしてましたから」

    雪歩「よしよし…プロデューサーはよく頑張りました」

    P「はぎわらー…」

    「はぁ…ダメだなこりゃ。ボク、仕事に行く前にダンスしてきますね」

    小鳥「ええわかったわ、行ってらっしゃい真ちゃん」

    88 = 1 :

    律子「プロデューサー…何調子に乗って雪歩に抱き付いてるんですか?…セクハラですよ?」

    雪歩「私は別に…」

    あずさ「まあまあ、律子さん今日は大目に見てあげましょう?今回は前みたいに暴走してるわけじゃないもの」

    P「温かいよぉ。萩原の心が温かいよぉ…」

    律子「しかたないですね。今日は二人に免じて許しましょう。でも次はありませんよ!」

    P「……すぅ…すぅ…」

    あずさ「…寝てますね」

    律子「ほんとっ、今日のこの人は子供ですか!?」

    小鳥「とりあえず、寝かせてあげましょうか」

    雪歩「私はどうすればー!?」

    89 = 1 :

    今日はおちまい。
    ご質問、ご意見、ダメ出し等あればどーぞ。
    次回は再来週の予定。

    以下ちょっと反省点。
    Pを暴走させすぎた。
    以上。

    90 :

    乙です
    極限状態ならちかたないね

    91 :

    今回すごく良かった

    92 = 74 :

    美希でこれなら響貴音が765に入った場合どうなるのだ…

    93 :

    いいよーいいよー
    次も待ってるぜ!

    94 :

    つづきまだ?

    95 :

    危ない。
    もう再来週終わっちゃう。

    なので本日21:00頃に投下予定です。

    96 :

    舞ってる

    97 = 1 :

    30分くらいで起きました。さっきより割と楽になったかな。
    さて、復帰したてのお仕事タイムだ。

    P「今日は秋月と三浦が雑誌の撮影で、菊地と萩原がラジオの収録だったかな?」

    小鳥「さすがですプロデューサーさん」

    宣材写真のときの三浦と秋月のツーショットが先方の目に留まったらしい。
    小さいだろうけど二人で撮影して雑誌に載せてもらえるようだ。

    ラジオの方は昼収録の深夜放送だ。しかもローカル。ちいさいけれど大した一歩だと思う。

    P「うちもそこそこお仕事増えてきて嬉しいなー。嬉しいなー」

    律子「本当、大丈夫ですか?今日のプロデューサーやばいんじゃないですか?」

    P「いつも通りっしょ」

    雪歩「絶対、熱のせいで変なテンションになってますぅ…」

    P「心配するなって………いっきし!……なんともないし」

    律子「くしゃみした後では説得力がまるでありませんね」

    あずさ「熱は何度あったんですか?」

    P「平熱だから大丈夫…」

    律子「答えになってません。だから熱は何度ですか?」

    P「大丈夫!」

    小鳥「頑なですね…」

    あずさ「じゃあ、測ってみましょう。体温計見つけてきました」

    P「…」

    雪歩「測りましょう?プロデューサー?」

    P「…はい」

    しかたなく体温計を受け取り、もこもこフル装備を解除して脇の汗を拭く。俺は意を決して体温計をわきに挟んだ。

    98 = 1 :

    しばらくしてピピピッと音が鳴る。

    P「…」

    やば。俺は数字を見るなり必死で言い訳を考えた。

    小鳥「ちょっと見せてください」

    俺、体温計を隠す。

    小鳥「大丈夫なんですよね?」

    笑顔のまま引かない音無さん。
    俺は精一杯、懇願するようにじっと音無さんの顔を見つめる。つまりアイコンタクトを試みた。

    小鳥『ダメですよ』

    失敗。いや、アイコンタクトは成功してたっぽい。

    観念して体温計を手渡す。
    そしていそいそと、もこもこのフル装備に。…落ち着く。

    小鳥「38度4分…もあります」

    律子「はぁ!?プロデューサー、どこが平熱ですって?」

    P「俺の平熱は38度だ。問題ない」

    律子「嘘つけ!」

    雪歩「さすがに無理がありますぅ…」

    あずさ「あらあら~、プロデューサーさん今日はやっぱりお休みになった方がいいのではないでしょうか?」

    99 = 1 :

    P「やることあるし、今さら休めないっての………ごほっ…」

    小鳥「お言葉ですがプロデューサーさん…他の子にうつしたらどう責任を取るおつもりですか?」

    律子「小鳥さん…」

    そう言われるとその通りだ。
    他の子たちは仕事が入ってる。俺の風邪かどうかわからないが、とにかくうつしたら大変なことになる。

    音無さんもそれを危惧してるから語調が強いんだ。
    周りが見えてなかったのは俺の方だ。ここは帰るのが正解のはず…。

    …でも、星井のことがある。

    一人の少女のアイドル人生がかかってる。ここで成功しなきゃ、彼女とはもう…。

    P「……………わかりました。早退します」

    俺は引くことを選んだ。

    P「…でも、お願いがあります」

    引き替えに…。

    100 = 1 :

    自宅に戻る。
    しばらくして伊織がお見舞いに来てくれた。ご苦労様です。

    伊織「お兄様、まだ熱引いてないのに事務所に行ったんですって?」

    P「うん。でも追い返されちゃった。音無さんが珍しく怒ってさ」

    伊織「それなら律子やあずさから聞いたわ。お兄様がまた泣くんじゃないかって冷や冷やしたそうよ?」

    P「あはは…まいったな」

    伊織「それで今も懲りずに仕事?…無理はしないでって言ったじゃない」

    P「あと三日だから、やらせてくれ……ごほっ…」

    伊織「はぁ…わかったわ。何かあったら連絡してちょうだい」

    P「ああ、助かるよ」


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