元スレP「伊織か?」伊織「お兄様!?」
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251 = 1 :
俺はやよいのレギュラーが決まってウキウキ気分だった。
事務所に着くと同時に律子が起きる。
たまにいるよね。目的地に着くとなぜか起きる人。
P「おはよう律子。お疲れ様」
律子「あ、おはようござい、あふぅ…」
美希かよ…。寝起きとか眠い時とかにはめっぽう弱いみたいだ。
律子「…プロデューサー、今までごめんなさい」
すぐにまたそんなことを言う。
P「ああ、俺はもう怒ってないって…。でもああいうのは俺と小鳥さんを通してからにしてくれ。これでもみんなのことを考えてスケジュールを組んでるんだ」
律子「…はい。ごめんなさい」
P「ああもう、謝んじゃねえ!いつまでもうじうじしてんな!」
律子はそれでも居心地悪そうな顔してる。
252 = 1 :
P「言っとくけどお前はもうアイドルクビだから」
律子「え?…そんな、待ってください!」
いきなりリストラされてさすがに慌てる律子。
P「勝手なことしといてお前に拒否権があると思うなよ。今日でアイドル業はおしまいだ」
律子「…あはは、そ、そうですよね。でも、最後に、プロデューサーのお仕事させてもらっただけでも…」
そこで彼女の言葉が詰まる。眼鏡の奥、瞳の端に光る滴が見える。
P「ああ、明日からプロデューサー業、頼んだぞ」
律子「…ふぇ?」
驚いたのか律子は顔を上げる。
P「だから俺たちはお前の意見を尊重する。明日から頑張ってくれ」
253 = 1 :
律子「…ぷ、ぷろでゅーさぁー…!」
ばっと俺にしがみつき声をあげて泣く律子。
律子「こ、こんにゃ、私が、いいんでしょうかっ!」
俺の体に顔を埋めたまま律子が叫ぶ。
やよい寝てるんだから静かにしてくれ。
P「ああ、たまたまミスもなかったし、運が良かったな」
律子「うぅ、ありがとう…ございましゅ!プロデューサー!」
噛み噛みだし俺にしがみついててかっこ悪いけど、こんな素直な彼女も悪くないなって思った。
やよい「良かったですね律子さん」
P「やよい…起きてたのか」
やよい「はい。二人とも言い合ってたので…」
やっぱり起こしちゃったか。
やよい「でも今日はいっぱい律子さんに助けてもらいましたし、アイドルもいいけどプロデューサーもいいかもしれません!」
律子「やよいぃ…ぐすっ…ありがとう…」
ぐすぐす泣きながら律子はやよいと目を合わせる。
254 = 1 :
P「さ、落ち着いたら事務所に戻ろう」
律子が落ち着いたところで事務所に戻る。
小鳥「お帰りなさい。お疲れ様です」
P「ええ、ただいま戻りました」
やよい「ただいまー!」
律子「小鳥さんお疲れ様です」
小鳥「どうでした?」
P「はい。おそらくレギュラーで決定です」
小鳥「わあ!やりましたね!今度パーティーしなくちゃ!」
やよい「パーティーですかっ!?」
やよいと小鳥さんはキャッキャッとはしゃいでいる。微笑ましい。
そして小鳥さんはふと思い出したように…。
小鳥「あ、律子さん。明日からよろしくお願いします」
律子「あ、はい。こちらこそ…。ご迷惑おかけするかもしれませんが…」
P「当たり前だ。もっと迷惑かけろ。たくさん失敗しろ。そうじゃなきゃ俺がつまらん」
255 = 1 :
律子「えー…」
呆れていた。けどそういう態度の方がいい。
P「これまでの失敗は活かせ。でもあまり気にすることもしなくていい」
律子「…本当、プロデューサーには助けてもらってばっかりです。前はだらしないって思ったりもしましたけど、今は素直に尊敬します」
そうは言ったが恥ずかしかったのか、もじもじと落ち着かない。
P「そっか、ありがとな。やよいもよく頑張った」
やよい「私、実はちょっと泣きそうになっちゃったりしました。でもプロデューサーと泣かないって約束したから最後まで頑張れました!」
ぱぁっと笑顔になるやよい。
やっぱりやよいは笑ってる顔が一番だ。
翌日。
P「やよいがお昼の番組のレギュラーに抜擢された。これを機に他のみんなにも仕事が増えるように頑張るよ」
みんなが揃った事務所で昨日の活躍を報告。
256 = 1 :
P「それと本日付で秋月律子がアイドルを辞職」
その場が固まる。アイドル達がざわめき始める。
真「確かに律子いないね…」
春香「律子さん、どうしちゃったんだろう…」
美希「いつも怒られるけど、なんだか寂しい気もするの…」
不安がる声がちらほらと聞こえる。
P「それと同時に新しくプロデューサーを雇うことにした」
雪歩「えっ、このタイミングでですか…?」
伊織「なんか複雑ね…」
律子の代わりで、というのが気に入らない子たちもいるようだ。
P「入ってきてどうぞ」
俺がそう声をかけると奥の扉から新人プロデューサーがやってきた。
『は?』
全員、目が点。
事情を知ってるのは俺と小鳥さんとやよいのみ。
257 = 1 :
それとこの場にはいないけど社長も…。
律子の異動の件として相談したらあっさりオーケーしてくれた。
P「じゃあ秋月プロデューサー、一言」
律子「はい。…おはようございます。本日付で765プロプロデューサーを務めさせていただきます秋月と申します。皆さんどうぞよろしくお願いします」
亜美真美『…って、りっちゃんじゃんかYO!!』
あずさ「あらあら~!律子さん、辞めてなくて本当に良かったわぁ…」
あずさは律子が辞めたと聞いたときひどく落ち込んでた。
本当に嬉しそうだ。
伊織「も~!紛らわしいわね!…どうせお兄様が考えたんでしょ!」
P「おお、よくわかったな」
千早「プロデューサーしかいないもの…」
千早も呆れ気味だ。
258 = 1 :
P「とにかく、今後はプロデューサー二人体制でいくから改めてよろしく」
重大発表と聞かされていたみんなは、なんだぁ…と肩透かしをくらっていた。
真「いつプロデューサーになるのかなぁって思ってたけどさ」
P「へ?何で?」
真「だって…」
春香「ねぇ…。仕事の話、律子さんが私が適任だって言ってたってスタッフの人が言ってましたし」
春香の言ってることなんかややこしいぞ?
雪歩「あ、私もこの前お仕事の話を受けた時、律子さんがどうのって言われましたぁ…。その時は気にしてなかったんですけど」
つまり、律子が自分に来た仕事を他の子に振ってたのはみんな知ってたらしい。
伊織「そう思えば、律子がアイドルよりプロデューサー志望だって想像つくわよね?」
千早「そうね」
いやお前ら早く俺に言えよ。
今度は俺が肩透かしをくらう番だった。
律子「へ?嘘…?」
それ以上に困惑してるやつがいたけど、もう何でもいいや。
ちなみに、やよいの家庭訪問はちらほらと話題を呼んで、気づけば検索ワード10位に引っかかっていた。
259 = 1 :
いったんおちまい!
今日の夜にまた投下します!
ご意見ご質問ご感想に、批判ダメ出し等あれば仰ってください!
できる範囲で改善に努めます!
律子、やよいのお話でした。
アイドルごとに話の長さに偏りがあるのはお許しください。
ご要望があれば指名のアイドルのお話をサブ形式で追加しますが、本筋の完結を優先します!
260 = 244 :
やよいもりっちゃんも可愛くてほっこりした
261 :
ヘイト集まるよって言ってる奴は居ても現状ヘイトが集まってないんだよな
書きたいように書きたい物を書いたらいいよ
263 = 1 :
皆さんレスありがとうございます!
Pは賛否両論あるみたいですね。
意見してくださった方々ありがとう!
さて、夜も更けてきたので再び更新します
しばしお待ちを…
マイナーアイドルもがっつり登場する予定です
皆さんのキャラのイメージと異なるかもしれませんが
それでもいいならぜひ読んでみてください!
264 = 1 :
そして月日は流れ。
本日バレンタインデー。
男性諸君はそわそわと落ち着かない気持ちになるが、それも学生までの話。
というか俺は男子校だったのでそういうイベントはあってないようなものだった。
それに忙しい社会人にとっても忘れ去られてしまう不要なイベント。
別にチョコ欲しくないし。…本当だぞ?
ここまで俺の価値観。
しかし世間はバレンタインとなると騒がしい。
そのおかげでうちでも萩原雪歩がバレンタインイベントに参加できることになった。
その内容は都内にある大きなショッピングモールのイベント会場で女性アイドルが男性アイドルにチョコをプレゼントするというもの。
もちろん、会場に足を運んだお客様にも人数に限りはあるが、チョコをプレゼントする予定だ。
265 = 1 :
参加アイドルは安定した人気を誇るサイネリア。
現在注目株の新幹少女。
そうそうたるメンツなのは間違いない。
そんな人気アイドルたちに紛れる。ド新人の萩原雪歩。
片や雑誌の表紙を飾り、片や雑誌の小スペースに入れてもらえるかの大きな差だ。
うちが入れてもらえたのは他でもない、ジュピターや女Pさん、ひいては961プロの推薦というわけだ。
つまりこの企画は961プロプレゼンツなのだ。
そこで765プロからはイメージに合った雪歩を選抜した。
しかし人気アイドルを巻き込んでのこの企画。
さすがは黒井社長。抜かりない。
人気アイドルと絡めば、ジュピターの認知度も増すことは間違いない。
マスコミもいくらか来るらしい。
ここで雪歩を大きく売り出すチャンスになる!
というわけで俺は今、ショッピングモールで雪歩待ち。
266 = 1 :
雪歩「プロデューサー!お待たせしました!…来るの早いんですね」
P「いや、俺も今来たとこ」
本当は集合の1時間前からいたけど。
スタッフさんたちはもっと早くいるし、俺も下見を兼ねて早めに来た。
P「雪歩も集合の30分前に来るなんて偉いじゃないか」
雪歩「えへへ…他のアイドルとの共演なので気合入れてきました!」
むんっと可愛らしく胸を張って、えへへ…と照れくさそうに微笑む雪歩。
かわいい。
雪歩「プロデューサー?」
P「はっ!…どうした?」
雪歩「あ、いえ、プロデューサー、ボーっとしてたので大丈夫かな?って…。また無理してませんか?」
どうやら心配をかけてしまったようだ。
267 = 1 :
雪歩「プロデューサー!お待たせしました!…来るの早いんですね」
P「いや、俺も今来たとこ」
本当は集合の1時間前からいたけど。
スタッフさんたちはもっと早くいるし、俺も下見を兼ねて早めに来た。
P「雪歩も集合の30分前に来るなんて偉いじゃないか」
雪歩「えへへ…他のアイドルとの共演なので気合入れてきました!」
むんっと可愛らしく胸を張って、えへへ…と照れくさそうに微笑む雪歩。
かわいい。
雪歩「プロデューサー?」
P「はっ!…どうした?」
雪歩「あ、いえ、プロデューサー、ボーっとしてたので大丈夫かな?って…。また無理してませんか?」
どうやら心配をかけてしまったようだ。
268 = 1 :
P「ああ、大丈夫。今は律子もいるし無理なんて、したくてもできねーよ」
雪歩「なら良かったぁ…ふふっ…」
P「あ~!もう!可愛いなぁ!」
つい持ち上げてしまうほど可愛い。
雪歩「ひぁっ!」
本当に持ち上げられて、困惑の表情を浮かべている。
雪歩「プロデューサー!…は、恥ずかしいぃ…!!」
俺は雪歩の必死な言葉に我に返って、持ち上げてた彼女を降ろす。
雪歩「や、やめてください…プロデューサー…」
消え入りそうな声の雪歩は顔を真っ赤にさせ、ちらちらと周りを見る。
どうやら周りの視線を気にしてるようだ。
幸い、周囲の人からは見えにくい位置だったのでそこまで注目されてなかった。
ここイベントのスペースの裏だし。
269 = 1 :
P「悪かった。…つい」
雪歩「つい、じゃありませんー!」
ちょっとだけ説教されました。
時間もまだあるので二人でモール内をうろうろする。
P「こう見ると店ん中もバレンタイン一色なんだな」
雪歩「バレンタインは女の子にとって大事な日ですから」
こういうイベントデーを大事にするところも雪歩選抜の要因だ。
春香やあずさと迷ったけど。
雪歩の乙女チックな感性は一般的なイメージに近いものがある。
そう思ったのが決め手となった。
雪歩「ところでプロデューサーはチョコ貰ったことありますか?」
P「いや、無いよ」
270 = 1 :
雪歩「伊織ちゃんからもですか?」
P「ああ、無いな」
雪歩「なんだか意外ですぅ」
P「そう?あいつはあんまり料理とかお菓子作りとかしないからな。俺としては意外ってほどでもないけど」
雪歩「そうは思えませんけど…」
P「そういう雪歩はどうなんだ?好きな人にあげたりとか…」
雪歩「いえ、私は男の人が苦手で…友達同士ならありますけど」
そういえば苦手だったな。
あんまり自然に会話してるもんだから忘れてた。
271 = 1 :
雪歩「あ、お父さんとお弟子さんたちにも渡したことがあるんですけど…」
そして雪歩はみるみるうちに顔面蒼白になっていく。
雪歩「男の人は怖いですぅ…」
どうやらいい思い出は無いみたいだ。
俺は深く言及しなかった。
雪歩「でも、それから毎年作ってます。みんな欲しそうにするから」
P「へー、評判いいんだな」
雪歩からのチョコなんて嬉しくないわけないもんな。
P「っと、そろそろ時間だ。戻るぞ」
雪歩「はい。もうちょっと回っていたかったですけど…ふふっ…」
口では残念と言いつつも、割と満足そうな雪歩だった。
会場に戻ると、すでに他のアイドルも揃ってるようだ。
272 = 1 :
P「ほら、挨拶に行くぞ」
雪歩「はい」
スタッフの人には来た時に済ませてあるので、一緒にステージに立つアイドルに挨拶をする。
雪歩「765プロの萩原雪歩です。よろしくお願いします」
まず挨拶した相手はサイネリア。
彩音「ええ、よろしく。サイネリアの鈴木彩音よ」
金髪のツインテール、そばかすが特徴的の小柄で可愛い女の子だ。
P「萩原にこのようなイベントは初めてでご迷惑をおかけするかもしれませんが、よろしくお願いします」
彩音「これはご丁寧に…。それにしても765プロ…伺ったことはありませんが」
P「設立して間もないもので、961プロさんのご厚意で参加させていただけることになりました」
彩音「そうでしたか…。961プロの推薦とあればきっと大丈夫ですよ。雪歩ちゃん、頑張りましょうね」
雪歩「は、はい!」
見た目とは違ってとても礼儀正しく、小さいのにお姉さんな感じがした。
サイネリアの別のメンバーにも挨拶をして一息つく。
273 = 1 :
P「良かったな雪歩。共演者がいい人そうで」
雪歩「はい。彩音さんとっても可愛かったですぅ」
P「じゃあ、次は新幹少女のみなさんだ」
そうして、こだまプロ所属の新幹少女に挨拶しに行く。
雪歩「765プロ所属の萩原雪歩です。よろしくお願いします」
テンプレになったご挨拶を丁寧に言う。
ひかり「ええ、よろしく。新幹少女のひかりよ」
つばめ「あたしはつばめ、よろしくね」
のぞみ「のぞみよ。よろしく」
簡単に自己紹介をして軽く握手を交わす。
P「萩原にこのようなイベントは初めてでご迷惑をおかけするかもしれませんが、よろしくお願いします」
ひかり「そんなこといいですよ。失敗は誰にでもあるもの」
つばめ「それにしても765プロって聞いたことある?」
のぞみ「ううん。初めて聞くわ」
274 = 1 :
P「うちはまだ設立して1年も経っていませんのであまり知られていないかと…」
ひかり「そうなんですか」
「ひかり、つばめ、のぞみ、10分後に打ち合わせだ。961プロさんもお見えになったから挨拶しとけよ」
高そうなスーツに身を包んだ初老の男が新幹少女にそう言った。
彼は新幹少女のプロデューサーだろうか。
P「初めまして、私765プロのプロデューサーをやっておりますこういう者でございます」
俺はすかさず挨拶をし、名刺を差し出した。
新幹P「ああ、これはご丁寧にどうも…」
男も落ち着いた様子で名刺を取り出し、交換する。
新幹P「おや、水瀬グループの御曹司でいらっしゃいましたか。いつもお世話になっております」
P「いいえ、私は水瀬グループとは関係ありませんよ」
新幹P「ではそちらに所属している水瀬伊織とのご関係は?」
P「ええ、彼女は実の妹ですが私は恥ずかしながら勘当を受けまして…」
乾いた笑いが漏れてしまう。
この業界に入ってこういうのは割と多かったのですでに慣れている。
275 = 1 :
水瀬グループ。改めて強大な権力なんだと思い知らされる。少し惨めだ。
新幹P「それは大変でしたね…」
水瀬グループと関係無いとわかると、多少言葉は砕けていて話しやすい人だった。
P「それでは本日はよろしくお願いします」
新幹P「ええ、こちらこそ」
ひかり「じゃあまたあとで、雪歩」
つばめ「緊張しなくても大丈夫よ」
のぞみ「雪歩なら上手くやれるわ」
雪歩「あ、ありがとうございますぅ!」
こっちはこっちでなんか打ち解けてるみたい。
P「彼女たちもいい人たちみたいで良かったな」
雪歩「はい!私、今日は上手くいきそうな気がしてきました!」
おお!雪歩にこんなに自信をつけさせるなんて…。
ありがとう新幹少女!
今度のニューシングル買います!
276 = 1 :
最後は企画者961プロの所属、ジュピターだった。
P「ジュピターのみなさんお久しぶりです」
翔太「あ、765プロのお兄さん!やっほー!」
北斗「久しぶりですね」
冬馬「おう」
P「翔太くんに、北斗くんと………羅刹くん?」
冬馬「羅刹じゃねえ!お前まだそのネタ引きずってたのかよ!ちょっと間があったからそんな気はしたけどよ!」
P「あははは…!冗談だってば冬馬くん」
翔太「お兄さんも言うようになったね」
北斗「そうだな。最初の頃はあんなに丁寧だったから別人みたいですよ」
P「おっと、これは失礼しました」
北斗「嫌だな、やめてくださいよ。俺はどちらかというと砕けた方が好感持てますよ」
翔太「うん。僕もフランクな方が好きかな~」
277 = 1 :
P「そう言ってくれるとありがたいよ。外面の張りっぱなしは疲れるからね」
女P「Pさん、私にもフランクで結構なんですよ?」
P「あ、女Pさん。お久しぶりです」
女P「えー?お久しぶりって先日お会いしたじゃないですか」
翔太「そうなの?」
女P「ちょっとお食事に行っただけよ」
実はそういうこともあった。
俺から連絡を入れてお酒を少し嗜んだ。
北斗「二人で?」
女P「え?ええ、まあ」
冬馬「ホの字か?」
女P「は、はあ!?何わけわかんないこと言ってんの!?ただ食事に行っただけって言ってるじゃない!」
北斗「ちょっと落ち着いてくださいよ」
翔太「あはは…!」
961プロ劇場も始まったところで俺はそろそろ雪歩を紹介せねばと考える。
278 = 1 :
雪歩は俺の後ろに隠れて様子をうかがっていると思ったのだが、振り返ってみれば俺をガン見してた。
P「なんだ、どうした?」
雪歩「プロデューサーはあの女の人とどういう関係なんでしょうか…?」
P「もしかして、気になるのか?」
雪歩「やっぱり、そういう関係なんですか?」
P「雪歩の思ってることがどういう関係かは知らないけど、女Pさんは同じ仕事をしてる友達かな」
この歳の女の子が色恋沙汰に興味があるのはわかるけどね。
伊達にアイドルのプロデューサーやってないからな。
雪歩「そうですか」
一言そう言うと961プロの面々の様子をうかがい始めた。
279 = 1 :
いつまでもキョロキョロしてないで早く挨拶しなさい。
P「雪歩、挨拶」
雪歩にそっと話しかける。
おずおずと前に出ていく。
雪歩「あの…」
北斗「おや、これまた可愛らしいお嬢さんじゃありませんか」
北斗くんがまず声をかける。
翔太「お姉さん恥ずかしがり屋なの?さっきからお兄さんの後ろに隠れてたけど…」
と翔太くんが疑問を口にする。
雪歩「ひっ…!その…」
おろおろし始める雪歩。
雪歩「ぷ、ぷろでゅーさー…」
また俺の後ろに隠れてしまう。うん。雪歩にしては頑張ったよ。
280 = 1 :
P「あはは…。ごめんね君たち。雪歩は男の人がちょっと苦手なんだ」
冬馬「今のでちょっとかよ!?」
雪歩「ご、ごめんなさい…」
北斗「まあまあ、冬馬もそう声を荒げるなよ」
翔太「僕はてっきり双子ちゃんが来ると思ったんだけどね」
女P「ええ、私も。唯一面識あるの彼女たちだけだもの」
P「バレンタインのイメージに一番近いのが彼女だったんですよ」
冬馬「でも本番でもそれじゃあ失敗しちまうぞ」
確かに。せっかく新幹少女から自信をもらったのに…。
P「ほら雪歩、握手」
手を差し出す。
雪歩はいたって自然に俺の手を取った。
P「俺だって男だぞ」
雪歩「そうですけど、プロデューサーは大丈夫なんです」
281 = 1 :
P「慣れなのかもなぁ」
翔太「ねえ雪歩お姉ちゃん」
雪歩「きゃっ!」
いつの間に近くに来ていた翔太くん。突然声をかけられて驚く雪歩。
馴れ馴れしいと思うかもしれないが、相手に合わせて対応を変えるのが翔太くんだ。
これも雪歩と仲良くなるための対応の仕方なのだろう。
翔太「あ、その反応酷いなー。まあいいや、僕は御手洗翔太。今日のイベントよろしくね?」
と言うと翔太くんは俺に目配せをする。
P「ほら雪歩」
雪歩「あ、あの、萩原雪歩です。こちらこそ…よろしくお願い、します」
翔太「はい、握手!」
笑顔で握手を求める翔太くんはまさに理想の弟という感じだった。
雪歩は戸惑いつつも勢いに押されて差し出された手をきゅっと握る。
282 = 1 :
以前であれば、ちょんっと触れて終わりだったろうに、身近な男である俺と過ごしたおかげかしっかりと握手できている。
雪歩の表情も険しいものから徐々に笑顔に変わっていく。
弟的な接しやすさがあるのかもしれない。雪歩に弟はいなかったと思うけど。
北斗「俺は伊集院北斗。よろしくね雪歩ちゃん」
冬馬「天ケ瀬冬馬だ。よろしく頼むよ萩原」
翔太くんを皮切りに北斗くん、冬馬くんと続く。
雪歩は翔太くんで警戒心が大分解けたようで、あとの二人もすんなりと挨拶を交わせた。
女P「私は女Pと申します。よろしければ名刺をどうぞ」
最後に女Pさん。
雪歩「はい。こちらこそよろしくお願いします」
何事もなく終わると思ったのだが。
雪歩「あの、女Pさんはプロデューサーとどういったご関係ですか?」
ひそひそと秘密の会話が始まってしまった。
283 = 1 :
P「おい、ゆき…」
北斗「まあまあ、Pさん。レディには男に聞かれたくない話もあるんですよ」
何の話をしてるのか尋ねようと思ったら、北斗くんに止められてしまった。
むっ…。そう言われると確かに野暮ったいかもな…。
翔太「ほら冬馬くんも女の子同士の会話に水差しちゃダメだよ!」
冬馬「おい!まだ挨拶すんでねーだろ!?」
北斗「冬馬…時間はまだまだあるんだからさ。もちょっと余裕を持ちなよ」
苦笑いで諭す北斗くん。
さすがというべきか、北斗くんが言うことには説得力があるな。
女性にだらしないと思ってたけど、全く逆っぽい。
翔太「そういえば双子ちゃんは元気?」
P「そりゃもちろん」
元気すぎるくらい。
北斗「へえ、彼女たち以外にもまだアイドルはいるんですよね?」
284 = 1 :
P「まあ、そうだけど…テレビに出れる子はまだ少なくてね…」
こちらはこちらで会話が弾んできたころ…。
女P「…ど、どんな関係って言われましても…。同じ職種のお友達…かな?」
雪歩「お二人で食事に行ったりするんですか?」
女P「ええ、まあ…」
雪歩「それはプロデューサーから誘われたんでしょうか?」
女P「そ、そうですね。でも私からお誘いすることもありますよ?」
雪歩「そ、そうなんですか…。仲良しなんですね…」
女P「ええ!?いや、まだあって日も浅いし、仲良しとまでは…。Pさんも私には遠慮がちな部分ありますし。そもそもまだ敬語使われてますし…」
テンパってちょっと早口になる女Pさん。
女P(Pさん助けてくださいっ!)
心の中で思うもPは助けるはずもなく。
向こうでボーイズトークに花を咲かせていた。
285 = 1 :
雪歩「やっぱり、好き、なんですか?」
雪歩の質問は止まらなかった。というより、ようやく核心に迫っていた。
女P「す、すすす好きってな、何でしょう?…別っ、別に私はそんなことありませんよっ!」
思いっきり動揺したのだが、間をおいて心を落ち着かせる。
女P「…た、確かに同業者として尊敬していますけどそういう恋愛感情はありません。雪歩ちゃんくらいの歳の子が色恋沙汰が好きなのはわかりますけど、あんまり大人をからかうもんじゃありませんよ」
ちょっと説教臭くなってしまったなと後悔しつつ、雪歩の方を窺ってみると…。
めちゃくちゃ慈愛に満ちた聖母様のような顔をしていた。
雪歩「そうですよね。からかうつもりはなかったんですけど…ごめんなさい。女Pさんとお話しできて良かったです!…うふふふ…!」
雪歩はルンルン気分が目に見えてわかるほどの上機嫌でPの方へ戻って行った。
女P「もう…イヤ…」
墓穴を掘りに掘って取り残された彼女はがっくりとうなだれるしかないのであった。
286 = 1 :
雪歩「プロデューサー、お話済みました」
P「お、もういいのか。どうだった?」
雪歩「女Pさんってとっても可愛らしい人だと思いました!」
P「あはは…!やっぱりそう思うよなぁ」
冬馬「嘘だろ?あいつは言うことやること鬼畜だぜ」
北斗「それは冬馬のせいだろ…」
翔太「冬馬くんは反省しようね」
冬馬「なっ!お前ら…」
冬馬くんは納得いかない様子だった。
P「ちょっと俺も女Pさんに挨拶しないと…」
雪歩「あ、はい。行ってらっしゃいプロデューサー」
P「?」
なんか雪歩がマリア様みたいに見えるんだけど…。これはクリスマスイブに生まれた影響?
なんてバカなこと考えながらも、女Pさんに話しかけようとしたのだが…。
287 = 1 :
P「どうしました?」
まだイベント前なのに疲れ切った様子の女Pさん。
女P「きゃあっ!…Pさん!?」
P「わっ、ごめんなさい。驚かせてしまったようで…」
女P「あ、いえ、これは違うの…」
P「ところで雪歩どうでした?」
女Pさんの表情が固まる。
女P「雪歩ちゃんってぐいぐい来るんですね…」
はい?雪歩がぐいぐい?一体何があったんだ…。
P「へぇ、珍しいこともあるんですね」
雪歩に視線を移す。
彼女はジュピターにビクつきながらもちゃんと会話できてるようだ。
288 = 1 :
翔太くんには多少心を開いてるみたいだ。
雪歩からしたら弟に近い感覚なんだろう。
こうして見ても特に変わった様子はないけど。
女P「…」
そこで俺は視線に気づく。
女Pさんが俺の顔をまじまじと見ていた。
どうしました?と視線を合わせてみると、彼女の顔は紅潮しそっぽを向いて眼鏡の位置を整えた。
P「どうかしましたか?」
女P「いいえ!今日はよろしくお願いします…」
尋ねてみると、ちょっと慌てながらもぺこりとお辞儀する。
P「ええ、こちらこそよろしくお願いします。あと雪歩が迷惑をかけたならすいません」
女P「…そんなことはありませんよ。でも自分を見つめ直すきっかけはくれたかも」
P「何ですか、それ?」
女P「うーん…何でしょう?」
少し沈黙。お互いに吹き出して笑ってしまう。
しばらくして落ち着いたのでその場を後にする。
P「…ではまた後で」
女P「はい、また後で…」
そう言った彼女の、少し寂しそうな笑顔が印象的だった。
289 = 1 :
はい、おちまい!
以下反省点。
見返してみると表現が単調にならないようにしてはいるのですがなかなか難しいですね。
繰り返しの表現はコメディとしてはある種の武器になりますけど
大抵はしつこく汚いだけだったりして、どこまでがそう思われないのか線引きしづらい…。
あと単語の意味はその場面で使っても誤りではないかどうかも一応調べています。
逆ができれば困らないのですが…。
皆さんが飽きないように善処します!
まあ二次創作だから気にしすぎだとは思いますけどね!
以上、たまには真面目な反省でした。
ご意見ご感想ご質問ご要望、批判ダメ出し等あれば仰ってください!
290 = 1 :
すみません。訂正個所を発見しました。
>>285の6行目のこの部分
『ちょっと説教臭くなってしまったなと後悔しつつ、雪歩の方を窺ってみると…。』
『ちょっと説教臭くなってしまったなと女Pさんは後悔しつつ、雪歩の方を窺ってみると…。』
でお願いします。
女Pの視点に切り替わったわけではありませんので主語抜けが気持ち悪かっただけです。
あくまでPのモノローグということで…。
当事者でないP視点でのモノローグというのも気持ち悪いですけど、許してください。
文章自体が破綻してました…。不快に感じられた方、申し訳ない!
292 :
おつ
293 = 244 :
女Pがメガネ属性なので俺の中で一気に株が上がった
295 :
女Pさん眼鏡かけてたのかサイネリアってこんなキャラなの?
サイネリアは涼VS絵理ちゃんSSのようなイメージだった…
このSSは優しい世界でよかった
黒ちゃんの登場が楽しみだ
296 :
おっつおっつ!
強いて言うなら、先回りで自作品の駄目なトコを解説しない方がいいと思うよ
せっかく気づかず楽しんでたのに、「作者はああいうけどそうなんだろうか」とあら探しするようになったり、好きな作品をけなされてる気分になったりするかもしれない
297 :
良いか良く聞け!!
・・・・・・・今回、良かったぞ
298 :
皆さんレスありがとうございます!
>>296
わかりました。今後気を付けます!
>>295
実はどんなキャラなのか自分もよく知らないのです。
ここではコミック版の性格とは違うということで納得していただけると助かります。
今から投下!
299 = 1 :
イベント開始時刻。
ショッピングモールのひらけたスペースでそれは始まった。
先着でスタッフたちがお客さんを仕切りの中に通す。
新幹少女にサイネリアもいるのでおよそ定員100人の先着はすぐにいっぱいになった。
もちろんあぶれてしまった人もいるわけで、その人たちは仕切りの外、もしくは会場の一つ上の階から眺めることにしたようだ。
そして俺たちは他のアイドルやスタッフさんとともに設営されたステージの裏にいる。
雪歩「す、すごい人数ですぅ…」
ちらりと外を覗いた雪歩は呆気にとられていた。
モール内の一つのスペースにこれだけの人が集まれば、確かにとても多く感じる。
P「大丈夫だって。流れは頭に入ってるだろ?」
300 = 1 :
雪歩「はい、なんとか…。でもぉ…」
P「なあ、雪歩は俺のこと信じてる?」
雪歩「?…はい、もちろん信じてますけど」
P「じゃあ大丈夫だ!」
雪歩「え?」
P「雪歩の信じる俺が言ってんだから大丈夫だよ。自信持てって」
とんでもない暴論だけど雪歩は一応は納得してくれたみたいだ。
雪歩「ありがとうございます、プロデューサー。そんなに心配かけてごめんなさい」
P「いいんだ。もっと心配させろ」
雪歩「あはは…イヤですよぅ…」
嬉しそうに笑う雪歩はそれでも不安を拭えていない様子だった。
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