元スレP「伊織か?」伊織「お兄様!?」
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601 = 1 :
千早「高槻さん。ほら、肩を貸すわ…着替えに行きましょう?」
やよい「千早さん…ありがとうございます」
亜美「あー疲れたぁ…」
真美「もー疲れたぁ…」
伊織「だらしないわね…」
真美「とか寝ながら言ってるいおりん」
亜美「あははは…!だっさー!…ださいおりん!」
伊織「なんですってぇ…」
真美「真美たちは自分の足で歩けるから、ださいおりんは、そこではいつくばっているがよーい!」
伊織「あーーーー…なんで動けないのよぉ…」
しかたないやつだな。
P「おい伊織、おぶってやるから乗れ…てか乗れるか?」
伊織「むりぃ…」
P「しかたねーな」
ていうか冷静に考えたらおんぶと抱っこを同時にやるのって俺だけじゃなく、二人にも負担だし無理だな。
肩に担ぐようにして二人を持ち上げた。
P「お前らは車で送ってやるから、着替えは後にして車に乗ってなさい」
そう言って車の後部座席に放り込んだ。
602 = 1 :
俺もちょっと汗の匂いが気になるが、事務所に戻るまで我慢することにした。
他に乗り込んでくるのは我那覇、四条、それに美希だ。
他のみんなは直帰、日も沈んで危ないからできるだけ複数で帰るようにしてもらう。
P「お疲れ様。気を付けてな」
亜美「ミキミキたちずるーい!」
真美「真美たちも連れてけー!」
P「こいつら送ったら事務所に戻るから、疲れて動きたくない子は事務所で待っててくれ。そうしたら送っていくから」
みんな、どうしようかー?とざわざわし始めたが、比較的体力のある真や千早、春香も先に帰るということになった。
響「自分たち疲れてないから、先に送ってあげて…」
そこで我那覇からの提案。
貴音「そうですね。私たちは事務所で待ってますので…」
美希「えー!?ハニーと一緒がよかったの…まあいいけど…」
P「いいのか?…悪いな」
律子「じゃあ私が彼女たちと一緒に行きますね」
P「おう、任せた律子」
結局、俺は伊織、雪歩、あずさ、やよい、双海姉妹を送っていくことになった。
全員送り届けるのに2時間もかかってしまった。
伊織の家の前ではどうしようかと思ったが、立てるくらいに回復していた伊織は最後は自分の足で帰っていった。
P「ヤバい待たせすぎてる…」
一応連絡はしたのだがすでに午後九時。
小鳥さんも事務所を閉められなくて困ってるに違いない。
603 = 1 :
ようやく事務所の前。
ドアを開ける。
P「ごめん。お待たせ」
美希「遅いのー!」
さっそくぶーぶー不満を垂れる。
P「ごめんって」
響「早くしないと動物たちのご飯が…」
P「それはまずいな…。じゃあさっそく仕事について説明するからよく聞いてくれ」
『プロジェクト・フェアリー』という俺が立てた企画について…。
今回765プロ初のユニットを結成し、彼女たちを中心にプロダクション名も同時に売り出す。
どちらかというとアイドルの資質うんぬんより、高いパフォーマンスで幅広い年齢層のファンを得るのをコンセプトとする。
もともとは美希、千早、真あたりで組む予定だったが…。
ユニットとして活動するイメージがわかなかったので保留にしていたところだった。
P「…そういうわけでユニットとして活動してもらう。明後日からレッスンは三人で行ってくれ。それと…」
そう言って三枚のCDを取り出し、それぞれに配る。
P「これがデビュー曲だ。カップリング曲も一緒に聞いて歌詞を憶えてくれ。歌詞カードは一緒に入ってる」
貴音「これは、『きす』…と『おーばー…ますたー』ですか?」
四条は英語がダメらしい。
歌になれば問題ないと思うけど…。
P「そう。『kiss』と『over master』な」
どっちもいい曲に仕上がっていると思う。
604 = 1 :
響「そっか。デビューできるんだ…」
今になって我那覇は実感がわいてきたらしい。
P「さて、遅くなって悪かったな。じゃあ帰ろうか…」
みんなも立ち上がって帰ろうとすると、なにやら寒気が…。
小鳥「プロデューサーさぁん…」
P「うわっ!いたんですか!?」
小鳥「酷いっ!!私だって早く帰りたかったのに!」
P「じゃあ先に帰ればよかったでしょう?」
小鳥「戸締りはどうするんですか!?」
P「俺がやっときますよ…。大体、美希たちが残ってるのに俺が戻らないわけないでしょ?」
小鳥さんは、気づいてなかったのかハッとした表情になる。
小鳥「…でもダメです!」
理不尽に否定する小鳥さん。
小鳥「これから飲みに行きましょう!」
P「ダメダメ、彼女たちを送らないと…」
小鳥「その後でいいですから!」
P「えー?」
まあその後ならいいか…。
P「しょうがないですね…」
そう言うと小鳥さんは、いえーい!…とはしゃぎ始める。
精神年齢が気になった。
605 = 1 :
とりあえず我那覇を送ることにした。
車の中で相変わらず上機嫌の小鳥さん。
響「プロデューサー、いぬ美たちにご飯あげた後、自分も食事行っていいかな?」
そんな中、我那覇はおずおずと尋ねた。
P「ん?別にいいけど、どうして?」
響「実は今日は料理作るの面倒になってきちゃって…」
P「あー、そういう日あるよなぁ…。酔っ払いが一人出来上がるけど、それでもいいなら行こうか」
響「ありがとうプロデューサー!」
美希「だったらミキも行くのー!」
お前寝てたんじゃねーのか。
P「そうか、親御さんに連絡しとけよ…」
続いてお腹の鳴る音が車内に響く。
貴音「おや、これは失礼しました。食事の話を聞いたらなんだか急に…」
お腹の音は止まない。
P「…四条も一緒に行くか?」
貴音「…ええ、ご一緒しましょう」
結局、この場にいるみんなで居酒屋に行くことになった。
606 = 1 :
さて、居酒屋に来たわけだが…。
P「今日は俺のおごりだから遠慮しないでいいよ」
小鳥「え?本当ですか?」
真っ先に反応するのが最年長の小鳥さん。
響「え?そんなの悪いぞ、自分はお金出してもらうつもりでついてきたわけじゃないから…」
P「我那覇は遠慮すんな、待たせたお詫びだ。小鳥さんはもっと遠慮しましょうね」
美希「ハニー、ありがとなのー!」
貴音「私も自分で出せますが、いいのでしょうか?」
P「いいって…。これはお詫びだからな」
貴音「それでは早速注文いたします」
P「おう、決めるの早いな。好きなの頼め」
早くも店員さんを呼ぶ四条。
貴音「ではこれと、これと、これと、これと…これと……これと………」
…ってどんだけ頼むんだよ!!
607 = 1 :
P「おいおい、頼み過ぎじゃないのか?」
貴音「だめでしたか?」
P「いやダメじゃないけどさ…食えるの?」
貴音「全部食するつもりですが…」
ふーんそう言うならいいけど…でも残すだろうから俺は何も頼まなくていいや。
美希「貴音、それはいくらなんでも頼み過ぎじゃないかなぁ…」
響「自分もそう思う…」
この二人が心配するレベルだ。
小鳥「とりなまっ!!」
この人は相変わらずだ。とりあえず生ビールを一杯飲むらしい。
各々注文は済み、やがて大量の料理がテーブルに並べられる。
これは俺、注文無しで正解だったかな。
それにしても四条のやつ容赦ないな…。
美希「貴音、ちょっとずつちょうだい!」
貴音「ええ、構いませんよ。なくなればまた頼めばいいだけのこと…」
P「俺ももらうぞ」
みんなで貴音の注文した料理をつついていく。
608 = 1 :
あんなに大量に注文したのに気づけばほとんどなくなっていた。
P「あれ?こんなに少ないんだ…」
響「自分ももっと多いと思った…。あんな量あったのにそんなにお腹いっぱいじゃないぞ…」
我那覇も美希も小鳥さんも意外だなぁといった風に驚いていた。
貴音「足りませんね…」
追加の注文。
先ほどの倍くらいの料理がテーブルに並ぶ。
俺たちは食べているとあることに気づいた。
P「四条、お前どれだけ食うの?」
貴音「はひ、なんでひょうか?」
P「口にものを含んで喋るんじゃない…」
明らかに四条の食べるペースがずば抜けていたのだ。
四条は俺たちの頼んだものには全く手を付けないから俺たちはすぐにお腹いっぱいになってしまった。
小鳥さんは相変わらず飲みまくってるが…。
美希「やっぱりあんな量は無茶だったの…」
響「自分たち三人でも貴音の最初の注文分の量はきついってことだったんだな…」
P「四条、俺たちのも食っていいぞ…」
貴音「いいのでしょうか?」
ああ、むしろ食べてほしいくらい。
というかどれだけ胃袋に入るの?
貴音「真、美味です」
そうして四条もようやく食べ終わる。
609 = 1 :
小鳥「あっはははははは…!!!」
P「結局こうなるんだよなぁ…」
お酒を飲みまくった小鳥さんは俺の肩に寄りかかりながら大笑いしていた。
響「自分、恥ずかしいぞ…」
美希「小鳥は食事になるといっつもこうなの」
他人のフリをしたい我那覇と、呆れた様子の美希。
貴音「今日は満足のいくほどいただきました」
このレシートの長さにはビビった。
しかも居酒屋で四万超えるとは思わなかった…。
もう絶対連れてかないと心に誓う俺だった。
P「とにかく、帰ろうか…」
そうしてみんなを送ってく。
最後は小鳥さんにした。
どうせ帰って酔いつぶれたまんま寝るし、お世話しないといけないからな。
P「小鳥さん、家に着きましたよ」
小鳥「…うぅん…。…きもちわるいよぉ」
P「飲み過ぎです。せめて家のトイレで吐いてください」
俺は車を止め、肩を貸して家まで連れてく。
610 = 1 :
今日はおちまい!
小鳥さんの扱いが不憫だけど今だけですから…。
ご感想やご意見等、お待ちしてます!
次回の更新でこの話はおしまいです。
この次はサブ回。Pが魔王エンジェルのライブに行くお話です。
611 :
おつです
612 :
恐ろしい話だけど、コトリバコならぬコトリミソジ……
613 :
四万のレシートとか店員も驚いただろうな
614 :
居酒屋で四万って思わずマジかよ!?とリアル叫んでしまった…居酒屋で四万ってすげぇ
615 :
今日の夜、投下します。
深く考えてなかったんですけど、四万ってどのくらいなんでしょうかね?
メニュー二週くらい?
貴音がお腹いっぱいになるくらいを想定していますが…。
616 :
チェーンの居酒屋で何も考えず飲み食いしてたら2人で九千いったことはあったな
617 :
一人9千円だからまあ通常の倍くらい?
そんなに無茶な値段でもないかと
格安チェーン店とかなら3倍くらいかね
619 :
アルコール類を飲んでるのが一人だけだから、けっこうあれだと思う
620 :
未成年アイドル連れて入れるようなとこなら、「いかにも酒飲むとこです!」ってノリのチェーンより割烹とか料亭に近いノリなんじゃないかしら
五人で4万自体はそこまですごい数字じゃないけど、5人中4人が女の子で酒飲んだのが一人と考えるとそこそこ結構な金額だと思う
621 = 1 :
皆さんくだらん質問に付き合っていただいてありがとうございます。
ということは一人当たり三千円として、
小鳥さんはお酒飲んでたから六千円、
残りは貴音ってことにしましょう。
投下します。
622 = 1 :
鍵を小鳥さんの鞄から勝手に取り出し家にあがる。
あまり躊躇はない。
電気をつけると意外にも整理された部屋で、女の子らしくはないが俺は好きだと思った。
P「早くお手洗いに…」
小鳥「はいぃ…」
すぐにトイレのドアを開け、小鳥さんの背をさすりながら様子を見る。
そしてここからは彼女の名誉のため割愛。
その後ふらふらの小鳥さんにうがいをさせ、歯も磨いてあげる。
寝てるのかわからないが、質問した時によくわからない返事をしたので多分起きてるんだろう。
P「早く口ゆすいで着替えて寝てください。お風呂は明日の朝でいいでしょう?」
小鳥「ふぁい…」
そして着替え始めたかと思ったら、そのまま背中からベッドに倒れこんだ。
P「もー!世話が焼けるなぁ…!」
ちょっとイラッとしながらも、取り出したパジャマに着替えさせるため、服を脱がす。
夜で眠いのと、少しイライラしてたのとで彼女の下着姿も特に気にならなかった。
623 = 1 :
P「はい!これでちゃんと寝てください!」
小鳥「ふぁーい…」
また倒れこむように寝たので布団がぐちゃぐちゃになった。
P「はあ…」
深くため息をつき、小鳥さんをちゃんと寝かせる。
寝ながら戻すとかないよな…。
とも思ったが、先ほどのアレを見れば胃の中は空っぽのはずだ。
P「じゃあ俺も帰りますよ…」
小鳥「待ってぇ…」
がっしと俺の腕をつかむ。
小鳥「寂しいから行かないでぇ…」
弱弱しく言う小鳥さんが心配になり、俺は一晩残ってしまった。
夜が明ける。
小鳥「…何でパジャマ?…うっ、頭が痛ーい…」
起きて早々、二日酔いに苦しむ小鳥。
624 = 1 :
小鳥「…え?何でプロデューサーさん?」
どうやら昨日の記憶は完全に飛んでいるようだった。
小鳥はプチパニックを起こす。
小鳥「もしかして私、プロデューサーさんと一線を…!?」
小鳥は記憶が無いのを悔しく思いながら自分の股間に手を伸ばした。
この女起きて早々淫乱極まりないのだがナニをするわけではなく自分の膜を確認しているだけだ。
小鳥「………ある。なーんだ!やっちゃったかと思ったわ!…へたれプロデューサーさんめ!」
P「誰がへたれですか。この淫乱クソビッチ…朝っぱらから股間に手ぇ突っ込んでんじゃねぇよ…」
小鳥「ぴよぉ…その言いぐさはあんまりだと思います…」
P「反省してください。お酒はしばらく禁止です。俺はすぐ帰りますから…」
小鳥「ちょっと、何があったのか詳しく説明を…!」
ドアを閉める。
俺は急いで帰って支度を済ませ、出勤した。
小鳥さんはやっぱり遅れて来たのだった。
625 = 1 :
二週間後。
ついにフェアリーの初ステージとなった。
雛祭りに続き、イベントでのライブだ。
彼女たちはわずか二週間で歌とダンスを仕上げてくれた。
見込んだ通りとはいえ、のみこみの速さに驚きを隠せない。
それなりの数のメディアが集まっているところを見ると注目度は高いらしい。
新しいアイドル発掘の場として名高いのも今回のイベントの特徴だったりする。
魔王エンジェルや新幹少女も、この舞台に立ったと聞いている。
P「準備はいいか?」
美希「いつでもオッケーなの!」
P「響と貴音は?」
響「うぅ…緊張してきた」
貴音「大丈夫ですよ響…」
P「まあ、待ってても時間はやってくるから、それまでに心の準備をしておけ…」
しばらくすると出番が回ってくる。
響「ああ…どうしよう…どうしよう!」
P「響、落ち着けって!」
626 = 1 :
美希「響、大丈夫だよ!ミキに任せればいいって思うな」
P「そうだ、とりあえず行って来い。そうしたら何とかなる」
貴音「響、参りましょう」
「765プロさーん!お願いしまーす!」
響はここにきてイヤイヤと言い始める。
そんな響の背中を押すのが俺の役目だ。
P「大丈夫だよ。もう一人じゃないだろ?」
響「あ…」
周囲を見渡す響。
その表情はみるみる穏やかになっていく。
響「えへへ…そうだった…」
美希「じゃあ行くのー!ハニー!ちゃんと見ててね!」
P「任せとけ」
登場と共に拍手が聞こえる。
中には美希を呼ぶ声も…。
いつぞやのライブでファンになった人たちだろうか…。
美希「あ!ミキのために来てくれてありがとうなの!」
その一団に向かって手を振る美希。
貴音「真、楽しそうですね」
響「美希って結構すごいんだな…」
美希「今日はね、ミキの新しい仲間を紹介するの!」
おい。お前もそんな有名じゃないだろ。
627 = 1 :
見えるところからジェスチャーで自己紹介をするように促す。
美希「あ、ミキの自己紹介がまだだったの!」
響「ええ!?美希って誰でも知ってるくらい有名だと思ったぞ…」
自己紹介も無しにメンバーの紹介なんてしようとするから、身内まで混乱してる。
美希「ミキの名前は星井美希!今日はね、なんかユニットを組んで初めてのライブなの!」
なんかってなんだ。
美希「それでね、美希と一緒に歌ってくれるメンバーを紹介するの!はい、じゃあ貴音!」
貴音「私からですか…」
貴音は一つ咳払いして自己紹介を始める。
気品漂うその風貌と美しい容姿から客席は静まり返る。
貴音「初めまして、四条貴音と申します」
響「終わり!?」
貴音「ええ」
美希「貴音、もっと他に言いたいこととかないの?」
貴音「ありませんが…」
美希「ふーん。じゃあ次、響」
628 = 1 :
響「ええっ!?そんなんでいいの…!?」
美希「うん」
響「…えと、は、初めまして…。じ…私、我那覇響って言います…。えと、よろしくお願いします」
美希「響は他に言いたいことある?」
響「私も特にない…です」
美希「つまんないの…」
響「な、何だよそれぇ!!」
美希「何か響ってば緊張しちゃってるみたいなの。事務所にいるときはそんな丁寧に喋ったりしないんだよ?自分のことも自分って呼ぶし…挨拶も『はいさーい!』って言いながらやってくるの!」
響「うわぁ!やめてよ美希!」
会場からくすくすと笑い声が聞こえる。
嘲笑という感じではなく、好意的な笑いだ。
美希「もっと貴音を見習うの!貴音は初めてでもこんなに堂々としてて響とは大違いなの」
響「見習って口数減らしたんじゃないか!」
美希「…だって。貴音からも何か言ってよ」
貴音「私ですか…はて、お腹がすきましたね…」
響「自由っ!いいの貴音!?そんなに自由でいいの!?」
美希「問題ないってミキは思うな。ミキも眠いの…あふぅ」
629 = 1 :
響「自分こんなユニットでやっていけるのか不安になってきたぞ…」
ていうか何だこいつら、漫才始めやがった。
客席からは普通に笑い声をあげる人もいる。
美希「というより、響も緊張が解けてきたんじゃない?」
響「そう言われるとなんだか緊張してくるぞ…」
美希「とりあえずもう一度自己紹介をするの!」
響「えー!?もういいよ…」
美希は強引にマイクを響に手渡した。
貴音「響、今こそ開放するのです!」
響「何をっ!?貴音までなんなのそのノリ…」
響はうんうんと唸っていたが、再び自己紹介を始めた。
響「はいさーい!自分、我那覇響だぞ!沖縄出身で動物が大好きなんだ!家にもたくさん動物がいて、みんな大事な友達なんだ!」
開き直ったようだった。
響「ど、どう…?」
貴音と美希に振り返る。
貴音「響らしさが出ていいと思いますよ…?」
無難なコメントの貴音。
630 = 1 :
美希「みんなー!どうだった?」
客席に聞く美希に響は顔を真っ赤にして慌てる。
響の慌てっぷりとは裏腹に、会場からは拍手という形で響は評価された。
まあ、悪くないよってことだ。
響「…え?あ、う…ありがと…ごじゃいましゅ…」
そこかしこでハートを打ち抜く音が聞こえたような気がした。
貴音「響、可愛らしいです…」
美希「よかったね、響!これからは人見知りはやめて、いつもの響でいくの!」
響「人見知りって言うなぁ!」
初ステージ、美希がリーダーの本領を発揮し全体を引っ張っていく。
美希が響をいじることで、響の本来の姿を取り戻していく。
そして貴音にもここぞというときに話を振って響にツッコませることで絶妙に息が合う。
お客さんも笑顔が絶えない。
会話も弾んできたところで、歌の披露となる。
『では二曲連続でどうぞ!』
トークとパフォーマンスとのギャップはお客さんに衝撃を与える。
631 = 1 :
一曲目『kiss』
愛されなくても愛の形さえあればいいという歪んだ恋愛観を歌った曲で、どことなく切ない曲だ。
二曲目『over master』
普通の男性には興味を持たない、恋愛経験が豊富な女性の危険な恋愛観を歌った曲で、歌詞の内容はまさに女王を彷彿とさせる。
俺はどっちも好きだけど、『kiss』の方がどちらかというと好きかな。
歌に踊りに、かなり仕上がったパフォーマンスだった。
そして曲が終わると今までのアイドルよりも一段と大きな拍手が…。
美希「あ、私たちフェアリーって言うユニットなの!」
響「今さら!?」
貴音「ぜひ憶えてください」
響「憶えてほしいぞ!」
『765プロから、フェアリーのみなさんでしたー!』
632 = 1 :
舞台裏にて…。
P「お疲れ様…。どうだったよ初めての舞台は…」
響「うん、すっごく楽しかった!」
貴音「ええ、大変に素晴らしいものでした」
P「じゃあこれからもよろしくな」
響「どんどん仕事こなしていくさー!」
貴音「私も早くぐるめのお仕事がしたいです…」
P「貴音は食いたいだけじゃねーか…。まあ、そういうのあったら貴音に担当させてやるけど…」
貴音「こう見えても私、味覚には自信がありますので適任かと…」
はいはいわかった。
響「プロデューサー!自分、アイドルやってて良かった!何度も辞めようって思ったことあるけどやってて良かった!」
ああ、俺はそういう顔が見たかったんだ。
プロデューサーを始めてから、この感動を味わうのがたまらなく好きになってたんだ。
響「これからもよろしくね!」
貴音「これからもお世話になります」
こうして765プロにも新しい仲間が増えました。
ちなみにフェアリーのデビューシングル『kiss』の売り上げも良好で、重版ができるほどだった。
633 = 1 :
おちまいです。
今日は短いですかね?
まあ、いいでしょう。
ご意見やご感想等あればぜひお願いします!
634 :
ピヨちゃんが残念美人すぎるけど面白いからいいや
635 = 1 :
やっぱり短い気がするので、ちょっと次のお話の冒頭だけ投下します。
636 = 1 :
ある日765プロに、いや、俺あてに一枚の封筒が届いた。
小鳥「この封筒、プロデューサーさん宛に届いてますけど…」
P「え?アイドルにじゃなくてですか?」
小鳥「はい、ここちゃんとP様って書かれてますよ」
P「本当ですね」
開けてみるのが早いかと思い、はさみを取り出して封筒を開封する。
中から出てきたのは一枚の招待状と一枚のチケット。
P「なんだ?」
先に招待状を読んでみる。
P「拝啓P様。先日はお会いできたことを大変嬉しく思います。よろしければ今度のライブ、特別席で御招待しますのでぜひいらしてください。…東豪寺麗華」
小鳥「ええ!?東豪寺麗華って魔王エンジェルの!?そして特別席って!」
P「そんなに驚いてどうかしました?まあ俺もこんなこと初めてで驚きましたが…」
小鳥「魔王エンジェルのライブってチケットを入手するだけでも困難なのに、特等席ですよ!?S級ですよ!?」
やっぱ小鳥さんってアイドルに詳しいんだな。
637 = 1 :
P「へえ」
社長が、騒々しいのを気にかけてやって来る。
高木「そんな大きな声を出してどうしたんだい音無君?」
小鳥「それが…」
小鳥さんは事情を話した。
高木「そうか。それは確かにすごいことじゃないか!」
俺は貴重なものをもらったらしい。
高木「よぉし!君はその日は仕事を休んで存分に楽しんできなさい。…ああ、サイリウムを忘れてはいけないよ」
P「はぁ…わかりました。それでは存分に楽しんできます」
そして当日。
P「ここアリーナか。でっけえ…」
首都圏のアリーナ。
638 = 1 :
このハコで入手困難のチケットとか…。
魔王エンジェルのすごさがよくわかる。
サイリウムもバッチリ用意してきた。
麗華と朝比奈さん、三條さんのイメージカラーを選んで持ってきた。
物販は長蛇の列で、売り切れでーす、とスタッフの声が聞こえてくる。
もう売り切れ出てるのか…。今は朝の十時だぞ。
販売開始は九時からだから、もう目ぼしいグッズは購入できないだろう。
こんな大きなライブは初めて来たからこれが普通なのかいささか疑問に思った。
物販に足を運ぶつもりはなかったので特に悔しい思いもしない。
ところでライブは4時開場の5時開始だ。
俺がこんなに早く来たのはもちろん麗華たちに会うため。
招待状があれば特別に楽屋に入れるらしい。
いつも最初から舞台裏なのでこういうのは新鮮だ。
ちなみに観客席も千早の雛祭りライブをカウントしなければ今回初めて。
639 = 1 :
P「あー、なんだか緊張するなぁ…」
一人でいると独り言もつい多くなる。
花束を三つ抱えているので周りのファンの方から奇異の視線を向けられる。
しかしそれを軽く流して関係者出入り口の前まで到着する。
警備員に招待状を見せて、関係者専用通路に足を踏み入れた。
祝儀の花がずらりと並んでいる。
あちゃー…花束要らなかったなこれ…。
しかたない。とりあえず、魔王エンジェルはどこかなー。
さすがはアリーナ、舞台裏もやっぱり広い。
しかし見つけるのに時間はかからなかった。
P「けっこう目立つようにしてあるんだな」
ドアをノックする。
P「おはようございます。765プロのPと申します。魔王エンジェルのみなさん、失礼してもよろしいですか?」
ドア越しに挨拶をして相手の返事を待つのは当然だ。
部屋から顔を覗かせたのは魔王エンジェルのメンバーではなく、スタッフと思わしき女性だった。
640 = 1 :
割りとタイプで、ちょっとスカウトしたいな、と思ったのは内緒だ。
「765プロさんですか?…あの、今衣装合わせをしてるので後ほどまた来ていただけますか?」
P「そうでしたか。これは失礼しました。では東豪寺麗華様にどこで待っていればいいのか伺ってもらってもいいでしょうか」
「…わかりました。お名前は?」
俺は自分の名前を告げる。
「少々お待ちください」
女性スタッフは扉を閉めて部屋に引っ込んだ。
しばらくして同じ人が顔を出す。
「お待たせしました。あのー、麗華ちゃんは12時頃にまたこちらへ来るように…だそうです」
P「そうですか、わざわざありがとうございます」
「いえ。…それとお暇潰しでしたらアリーナ周辺の観光や、通りの食べ歩きとかおすすめですよ」
とても気の利く方だ。
時間が空いてしまうのを考慮して時間の潰し方を提案してくれた。
P「楽しそうですね。行ってみますね」
相手の方の優しさに自然と笑みがこぼれてしまう。
やっぱり人は親切にしたりされたりするべきなんだなと思った。
女性スタッフも頬を赤く染め、にこりと笑いを返してくれた。
あー、すごくタイプ、好きになりそう。
とか思っても、お近づきになるわけにはいかないので、お辞儀をしてさっさとその場を離れた。
641 = 1 :
じゃあ、今日はこの辺でおちまいってことで…。
次回は早めの投稿を目指します。
大体、三日以内には投稿したいですね。
改めてご意見やご感想等あればぜひ!
>>634
ありがとうございます。励みになります!
643 :
女P成分が足りないなー(チラッ
アイドルイベントだから視察ってことで来てないかなー(チラッチラッ
すんません調子に乗りました>>1の好きなように進めて下さい
644 = 614 :
響にハートを射抜かれました。
これは責任取って結婚してもらわなきゃ…(混乱)
響は弄られると輝くと再確認できた
小鳥さんは真面目なのも好きだが今回みたくちょっとダメな残念美人枠が似合うから困る
麗華様から告白される展開はないですよね
今回ライヴに誘ったのは自分の魅力を魅せ付けてメロメロにして相手から告白させようと企んでるとかないよね
新幹少女のひかりがどっかから麗華様が自分達のライヴにPを誘ったと噂で聞いて功を焦る展開ありますよね?(チラッ)
645 :
やっと追い付いた
気になって見たら凄く面白かったのでこれからも期待
646 :
妹ものかと思ったらまさかのハーレムだったww
期待
647 :
おばさんお酒飲み過ぎだから一人で1万円ぐらい担当かもしれない
648 :
皆さんレスありがとうございます!
レスを拝見しているとサブキャラの支持率が意外と高い感じですか?
>>645
かなり長くなってきたから新しく読む人はいないかなって思ってました…。
本当、目を通していただきありがとうございます。
ここまでの文の長さはなかなか大変だったと思います。
見てくださってる皆さん、付き合っていただいてご意見やご感想もくださって
ありがとうございます。おかげで頑張れます。
>>646
最初は妹ものになるつもりでした。
他のアイドルにも焦点を当てたいと思って書いてるうちにこんなことに…。
どうしてこうなったと言わざるを得ません。
では投下します。
649 = 1 :
さて、言われた通り観光や食べ歩きを楽しんだのだが、時間はそんなに無かったので、まだまだ回りたいところはあったがお土産を買ってまた戻る。
それにしても荷物が多すぎる。
お土産、花束、サイリウムや応援グッズの入ったリュック。
特に花束が目立つ。
道行く人の注目を浴びる。
大荷物であることに徐々に恥ずかしさを感じながらも、先程のアリーナ、そして楽屋まで戻ってきた。
ノックしてもう一度挨拶をする。
さっき対応してくれた女性が再びドアを開けた。
「あら、さきほどの765プロのPさんでしたよね?」
P「ええ、そうです。麗華…じゃなくて東豪寺麗華様にお会いしに来ました」
「少々お待ちください」
部屋に戻って数秒。
女性はすぐに顔を出す。
「どうぞお入りください」
案内されて部屋に入る。
650 = 1 :
ジャージ姿の三人が椅子に座ってこちらを見る。
P「おはようございます。朝からお疲れさまです」
麗華「おはよう。伊織のお兄様」
ともみ「おはよ」
りん「おはよー!Pさんってば堅いんだから…。もっとため口でいいのにさ」
P「いいの?最近はため口の方がなにかと楽だったりするんだ」
ともみ「うん。そっちの方がいい」
P「そう?ありがとね。とりあえずこれをどうぞ」
手に持ってる花束を差し出す。
P「ごめんね。アリーナ内にあんなにあると思わなくて、花束なんか貧相かもしんないけど…」
麗華「いいえ、お兄様からいただければ何でも嬉しいわ。センスもけっこういいじゃない」
ともみ「麗華が赤で、りんが黄色、私は青」
P「うん。俺のイメージだけど、それぞれに合いそうな色の基調で花束つくってもらったんだ」
りん「こうやって直接、花束をくれる人はあんまりいないから嬉しいな」
P「とにかく喜んでもらえて良かったよ」
迷惑なんじゃないかと内心ドキドキしていた。
麗華「…ところでこれから私たちお昼ご飯をいただくのだけれど、あなたも一緒にどうかしら?」
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