元スレP「伊織か?」伊織「お兄様!?」
SS+覧 / PC版 /みんなの評価 : ☆
151 = 1 :
車まで着くと俺はキーを解除しドアを開けて二人に入るように示す。
まるで執事とお嬢様みたいな構図に感じた。
車を出すと間もなく二人は眠ってしまった。
よっぽど疲れたのだろう。お腹も満たして満足したのだろう。
P「お疲れ様でした…」
事務所についてからも眠っていた彼女たちにそう言って運転席を降り、後部座席のドアを開ける。
動かしたらかわいそうだろうか。
そんな考えが頭をよぎる。
しばらくまごついていると二人が寒がると思って、やっぱりドアは閉めた。
どうしようと悩んだが、トランクに毛布が入ってたことを思い出す。
引っ張り出したそれを持って再びドアを開け、二人仲良く掛けさせてやる。
寝ている姿が微笑ましくて、俺も自然と笑顔になった。
大分、起きそうにない。
さらりと頭を撫でる。
今日はよく頑張ったと思う。
そんな二人を見ていると抱きしめたい衝動に駆られたがぐっと堪える。
152 = 1 :
起こしたらかわいそうだ。
起こさないように車から出て、後ろ手でドアを閉め、そのままもたれかかる。
タバコなんて吸ってたらかっこいいんだろうな、なんてガキっぽく考える。
パッと空を見上げてみた。特にやることもなかったから。
都会でもわりと星って見えるんだな。目を凝らせばだけど。
15分ほどたっただろうか。双海姉妹はなかなか起きる気配がない。
外も寒いし。
P「いったん事務所に戻るかぁ…」
独り言を言ってすぐそばの階段を上った。
P「ただいま」
小鳥「あ、お帰りなさいプロデューサーさん!亜美ちゃんと真美ちゃん、どうでしたか?」
P「上出来じゃないでしょうか。今から放送が楽しみですよ」
小鳥「本当、待ち遠しいですね!」
小鳥さんのテンションが高い。彼女もアイドル達に対する思いは並ではないのだ。
小鳥「あれ?ところで亜美ちゃんと真美ちゃんは?」
153 = 1 :
P「ああ、二人なら車で寝てますよ。今日はこのまま送ってっちゃってもいいですよね?」
小鳥「そうですね。遅い時間ですし…親御さんに連絡入れときます」
P「ああ、助かります」
小鳥「ふふっ!プロデューサーさんもお疲れ様です」
P「小鳥さんこそこんな時間までお疲れ様です」
もう彼女一人だけだ。社長はあっちへこっちへ色々と忙しいのであまり顔を出せないようで、代わりに小鳥さんが事務所を守ってるみたいだ。
小鳥「ところでプロデューサーさん、亜美ちゃんと真美ちゃんのテレビ初出演のお祝いは後日やることになりました。録画したその番組を見ながらってことで」
がらりと話題が変わる。
それにしても、番組見ながらって恥ずかしくないか?まあいいけど…。
P「了解です。今日は俺ももう帰りますね」
小鳥「はい。戸締りはしておきます。また明日…」
今日はもうあがろう。俺も疲れたかも。
そうして事務所を後にした。
154 = 1 :
俺は双海姉妹を家まで送った。
家は意外と大きい。聞けば父親が医者らしい。
そんなお父様は家の外で寒いのを我慢して娘の帰りを待っていた。
とても心配していたようだ。
寝てる二人を、俺と双海パパとで運んで短く会話を交わした。
いつもお世話になってるだの、娘をよろしくだの、腰の低めな父親だった。
俺の医者のイメージがいい方に変わったりした。
双海家を発ち、家に着いた俺は倒れこむように眠った。
時は流れ。
パーティーセットに彩られた事務所では、今か今かとテレビを凝視しているアイドル達。
そわそわと待つ亜美と真美。
小鳥「そろそろ始めますよ!」
155 = 1 :
今日はおちまい!
ということで亜美真美メインでした。
あとはこの話のエピローグ的なものがほんのちょっとだけあります。
>>128は無粋な質問でしたね申し訳ない。
好きなようにやります。
以下反省等。
読み返したがあんま面白くない。次回は頑張りたい。以上。
ご意見ご質問批判ダメ出しもろもろ受付中。
残りのアイドルのエピソードも書くつもり。
女Pとか出して嫌な人いるかもだけどご了承ください。
次回も早めの更新ができるように頑張ります!
156 = 126 :
俺は女Pはジョバちゃんだと思ってたから気にならなかったな
それにしても亜美真美はまだ小学生だったか、そりゃ親も心配するわな
特に父親なんか溺愛してる年頃だし目に入れても痛くないって感じなんだろうか
小学生なら亜美をあみ、真美をまみと言っちゃうか
違和感だったが納得だ
となるといおりんは中二か
157 :
ここの>>1の持ち味は丁寧な描写
省いて良いだろってとこまで丁寧に描くもんだから
少々冗長に思える展開の緩さも補えるほどである
あと個人的に下らない半カナを使わないのも良い
おう、続きあく書けよ
158 :
やめなされ…下らないとか無闇に
他のSSを貶めるような言動はやめなされ…
159 :
感じ方は人それぞれだけど半カナとかを下らないとかはさすがに言い過ぎだ
あれはあれで面白いと感じてる人もいるし作者なりに考えた結果なんだからそれをバカにするのはダメ絶対
160 :
ピピン板橋…
161 :
たしかに読んで激しく感情をあっちこっち動かされるような話ではないかもしれないけどそこがいいです!
ハードすぎたりリアルすぎたりする訳でもなく、自分的に一番丁度いいと感じるバランスなのでこのままがんばってくだちい
162 :
>>160
ごめんなさい。うろ覚えだったんだ…。
ちゃんと調べればよかった。
皆さんレスありがとうございます。
163 :
こんばんは
投下します
164 = 1 :
春香「うわぁ、楽しみ!ね、千早ちゃん!」
千早「そうね。二人ともどんな風に映るのかしら」
真「ついにうちからテレビに出るアイドルが…!くぅー!なんか感慨深いですね!」
P「そうだなぁ…みんなもこれから出てもらわないとね」
律子「おまけにうちじゃ最年少の亜美と真美でしょ?」
美希「先を越されちゃったの」
まあ美希は後輩にあたるけどな。
美希「ハニー?ミキもテレビ出たいな…」
いつもぐいぐい来るよな美希って…。
周りの視線が一気に集まるの怖いからやめてほしいんだけど。
今だって俺の袖をつかんでぶりっ子全開だ。
P「悪いな。今みんな売り込んでるからさ。後は先方次第ってことだ」
美希「そうなんだ。ハニーが頑張ってるのにミキ、デリカシー無かったの。ごめんねハニー?」
P「ああ、いいっていいって。いいから早く離れろ」
美希「ヤ!」
165 = 1 :
そしてこの一言である。
伊織「お兄様が困ってるでしょ!離れなさい美希!」
美希「やーん!デコちゃん怖ーい。助けてハニー?」
伊織「デコちゃん言うなぁ!」
P「美希、お前大丈夫だろうが。いいから離れなさい」
無理やり引き離す。なついてくれるのはいいんだけど、行き過ぎると確かに困るな。
美希は相変わらずのふくれっ面だ。
雪歩が苦笑いでこちらを見ていた。
P「ゆーきほっ!どうした?こっち見てたけど…」
雪歩「ええっ!?べべ別にどうもしてませんよぅ!プロデューサーこそ急にどうしたんですか?」
P「雪歩がこっち見てたからさ…」
熱出した時の一件以来、俺は雪歩によく絡むようになった。
雪歩「…そ、それは美希ちゃんのアプローチがすごいなぁって…」
166 = 1 :
美希「雪歩もミキを見習うといいの」
P「自分で言うセリフじゃないよな」
千早「美希、あんまりプロデューサーを困らせてはいけないわ」
美希「はーい。千早さんがそう言うなら仕方ないの…」
おいおい。俺は?…俺の意見は?
ところで千早にも美希は頭が上がらなかったりする。
それは純粋に美希が千早のことを尊敬しているからなのだ。
美希「ねえねえハニー!もっとそっち詰めてよぉ!」
こいつ、またか!!さっき注意されたばかりなのに…。
俺はもう端っこにいるだろうが!
P「無理だ。ていうか、美希の方がスペースに余裕あるじゃねえか!」
167 = 1 :
伊織「アンタねぇ!お兄様から離れなさいよぉ!」
千早「いい加減にしなさい美希!」
割って入ってくる伊織と千早。
二人もあんまりくっついてくるんじゃない!
春香「うわぁ…」
真「大変だなぁ…プロデューサー」
P「雪歩、助けて!」
雪歩「ええっ!?」
律子「もう!うるっさいわねぇ!」
亜美「亜美もー!」
事務所内がごちゃごちゃとしてきて…。
やよい「みなさん、もう始まりますよ!静かにしてくださいっ!」
しまいに普段は温厚なやよいに怒られてしまった。
168 = 1 :
意外な人物からの注意と意外にも大きな声にみんなはぴしゃりと黙る。
彼女はしっかり者だから、みんな逆らえなかったりする。
もしかすると、みんなが一番言うことを聞く人物がやよいなのかもしれない。
でもやよいも亜美と真美のことを考えて怒っているに違いない。
そういう気遣いができる子だ。
P「ああ、悪い」
千早「高槻さんに怒られた…」
美希「千早さんしっかりするの…」
なんやかんやしてるうちに収録が流れ始めた。
みんなも目を輝かせて見ていた。
司会の方が上手く話を振ったりしてもちろん面白いのだが、
亜美と真美とジュピターの掛け合いも、なかなか面白い。
特に冬馬くんが。
何あのツッコミ、あれで初めての出演だっていうんだから驚きなんだけど。
169 = 1 :
P「いやぁ、やっぱ冬馬くん面白いよね」
真「アイドルとして大丈夫なんですか?」
P「いやダメだろ。でも面白ければ生き残れるし、彼にはおそらくピンでも仕事入ってくるんじゃないか?」
黒井社長の売り出し方とはだいぶ違うと思うけど、別にそんなこと気にする人じゃないしな。どっちかって言うと結果を出せばいいって人だし。
あずさ「けっこう絶賛なんですねぇ」
P「まあな。やっぱ961プロはすごいと思うよ」
ツッコミの練習はさせてないと思うけど。社長の見る目があるってことで。
あずさ「961プロって言うと…黒井社長の?」
律子「高木社長と因縁の仲だって聞きましたけど?」
P「ああ、二人は良きライバルってことさ。お互いの方針は違えども実力は認め合っているはずだよ」
あずさ「そうなんですか」
律子「そういう関係ってなんだか憧れちゃいますねー」
律子も少年みたいなこと言うんだな。
170 = 1 :
でも確かに憧れはあるかなぁ。
高めあえる相手がいるってのは人を豊かにすると思う。
P「冬馬くんはこんな感じだけど、実は歌も踊りもファンサービスもすごいんだ」
律子「へえ…」
まじまじと画面を見る律子。そんな風には見えないと訝しんでる様子だった。
亜美「今んとこ最高だったっしょ!?」
真「思いっきり滑ってるんだけど…」
伊織「そうね。司会に苦笑いされてるわよ。しかも頑張って拾ってもらってるわね」
春香「でも笑いに繋げるあたりがさすがだよねー」
おお、ちゃんと映像を見て分析してるみたいだ。亜美は自画自賛やめような。
真美「なんか恥ずかしいよー」
対して恥じらいを見せる真美。
あずさ「あらあら~真美ちゃんとっても可愛いわよ?」
やよい「そうだよ真美!いっぱいファンが増えるかも!」
雪歩「私だったら応援したくなっちゃうな!」
765プロの良心がフォローを入れる。
しかしそれをお世辞と呼ぶにはあまりに無理がある雰囲気だった。
171 = 1 :
真美「ありがと…!」
P「よかったな真美」
真美「うん!兄ちゃんのおかげだよっ!」
まさかね…。これは真美の人柄が為せることだ。
それから、わいわいと時間は過ぎて行って…。
P「んじゃあ各自解散ってことで」
『はーい』
P「俺はやることあるから片付けは任せてくれ」
春香「ええ!?そんなの申し訳ないですっ!私たちも片付けていきますから」
P「そうはいってもなぁ。8時回ってるだろ?もう遅いし、ほら、あの眠そうな子たちを送って行ってやってくれ」
春香「でも…」
あずさ「あらあら~、亜美ちゃん?真美ちゃん?寝たらダメよ?」
P「やよいだって、まいってるみたいだし。美希は…相変わらずだなあれは…。何より律子がああなるとは思わなかった」
指さした先にはソファでぐったりとだらしなく目を閉じてる律子がいた。
172 = 1 :
春香は困った笑いを浮かべて、どうしましょうか、とこちらを向く。
P「残りのみんなで彼女たちのこと頼んだ。それにさっきも言ったが俺はまだやることあるから。あと事務所の片付けくらいやっとく」
千早「春香。ここはプロデューサーを信じて私たちが責任をもって律子たちを家に帰しましょう?」
春香「うーん。じゃあお願いしますね、プロデューサーさん?」
P「ああ、了解」
伊織「あまり無理はしないでよね、お兄様。また倒れたりしたら許さないわ」
P「はい」
わりと低いトーンだったもんでちょっとビビったじゃないか…。
伊織「じゃあ私がやよいを送ってくわ。車も出してもらおうかしら」
もう全員、伊織の家の車でよくない?
そう思ったが、みんなはそれぞれを送ることに乗り気な様子だ。
173 = 1 :
あずさ「じゃあ律子さん行きましょうね」
律子「…ふぁい。…あじゅしゃしゃん…おへあにないあふ………」
あいつ何て言ってんの?眠気がピークだな。ただのうめき声だったし。
P「あずさ、気を付けてな?」
主に道に迷わないように…。
あずさ「はい。任せてくださいー」
律子はもうふらふらしていて、見てて危なっかしかった。酔っ払いかよ…。
それぞれ帰っていく。
疲れたにしても、約半数が帰り際に寝るなんてちょっと異常だが、そういうこともあるだろう。
特に律子は真剣に映像見てたしな。
そういえば将来的には事務の方に就きたいだなんて言ってたような。
それはさておき、全員のスケジュールをチェックしなければ…。
仕事もだんだんと増えてきて把握するのも忙しい。
毎日、誰かしら仕事に出てる。
双海姉妹が他よりも若干、スケジュールが埋まってるな。
174 = 1 :
放送から数日、二人へのオファーが何件か来ている。
当然、引き受けることになってるのだが…。
P「…他の子が、このままじゃ…」
偏りが出始めるのは避けたい。
P「考えても仕方ないな」
夜も更けはじめた頃、とにかくコネを頼りに電話をかけまくった。
翌日。
小鳥「あれ、鍵開いてる!?」
小鳥「もしかして…空き巣?」
小鳥「…おはようございまーす」
小鳥「…ってプロデューサーさん!?」
小鳥「なんでそんな恰好でソファで寝てるんですか!?」
P「んおっ!…びっくりしたぁ。………小鳥さんですか。」
175 = 1 :
小鳥「こんな寒いのに上半身裸ってどういうことですか?」
P「うわぁ、すっげ寒い…」
小鳥「当たり前です!12月ですよ?…それで、なぜそんな恰好で?」
P「着替えようとして、…寝落ち?」
ちょっとだけ、茶目っ気を交えたつもりで、笑って終わると思ったんだけど。
小鳥「…あなたは本当にバカですね」
すごい真顔で言われた…。
P「…はは、本当ですね…」
寒い。俺は冷めた視線を冷え切った肌で感じながらそそくさと着替えた。
幸い風邪はひきませんでした。
176 = 1 :
数日後。
今日は真についていくことになった。
スポーツ系のカタログのモデルということで、こちらからスポーツ系女子に真を推薦したところ、見事に採用された。
真「今日はかわいいユニフォームが着れるんですかね?」
ちょっと期待のこもった様子。
残念ながらその線は薄そうだ。
P「どうだろうな。そうだといいんだが…」
嘘は言ってない。
真「ま、今回もどうせ着れないんだろうけど」
と言ってさっきまでの期待感はなくなってしまった。
P「…すまんな。こいつは俺の努力不足だ」
真「いいんですよ!プロデューサーのおかげでこうやって仕事ができるんですから!」
P「…」
真「でも、どうせなら可愛い服も着たいなぁ…」
ぼそっとつぶやいた真の言葉には幾分かの悲壮感が漂っていた。
177 = 1 :
P「本日はよろしくお願いします」
到着してすぐさま挨拶にまわる。
スタッフ「こちらこそ!それにしても菊地さん、とってもいいですね。爽やかな雰囲気が今回のコンセプトにピッタリだと先方も言ってましたよ!」
P「大変恐縮です。誠心誠意、努めさせていただきます」
爽やかね、深読みすればボーイッシュってことでしょ?
それにしても、周りの女性陣だ。真に視線が釘付けというか。
真が男から嫉妬されるんじゃなかろうか。…男のジェラシーは醜いぜ。
しかし彼女はそんなことは望んでいない。むしろ男性からは愛されたいはずだ。
少女漫画のヒロインのように。
真「やっぱり…」
P「どうかしたのか?」
真「いやぁ、いつも通りだなと思いまして…。いや、別に嫌なわけじゃないんですよ?ちっとも期待してませんでしたから」
その発言、ちょっと期待してたってことじゃん。
178 = 1 :
P「俺は真の仕事ぶりに期待してるよ」
真「任せてください!」
元気よく撮影に入る真。しかしこれは彼女の本当の姿ではない。
俺は知っている。
菊地真は誰よりも女らしくありたいのに、容姿が、環境がそうはさせてくれない。
そのかりそめの姿を俺はただ見守っていた。
撮影は終了し、スタッフにも褒められ、仕事は成功と言えるだろう。
これで次回も採用してもらえそうだな。よかった。
P「おう真、お疲れさん」
真「はい!お疲れ様でした!」
P「これから時間あるか?」
真「…?…まあ、ありますけど…。どうかしたんですか?」
P「実はちょうど俺も暇だ。これから遊びに行かないか?」
真「え!?いいんですか!?」
P「俺は誘ってる側だから、もちろんいいんだけど…」
真「じゃあ行きましょう!」
179 = 1 :
P「おお、ノリノリじゃないか」
真「だって、男の人に遊びに誘われるってあまりないですから…プロデューサーと言えど嬉しいです!」
P「お前はいっつも一言多いな…」
真「え?…ごめんなさい。なんか気に障るようなこと言いました?」
それ無自覚だったのね…。
P「いや気にすんな。とりあえず移動しようか」
真「なんだか楽しみになってきました!」
俺たちは大きなショッピングモールに行くことにした。
真「うわぁ!この服、可愛くないですか!?」
P「そうだな」
真「…わかってますよ」
P「なにがだ?」
真「可愛い服はボクには似合わないってことですよ」
P「そうか?別に似合わなくもないと思うが…」
真「いいですよ、そんなお世辞はむしろ惨めになりますから」
結構、思いつめてんのな。
180 = 1 :
P「まあ、そんなフリッフリなのは確かにどうかと思うけど」
真「ほら、そうですよね」
P「そんなのが似合うやつの方が少ないと思うけどな。似合うとしたら、例えば、まだ年端もいかない幼い子とかだろうさ」
真「でも、雪歩とか春香は似合いそうじゃないですか?」
P「む。確かに…」
真「そうでしょ?」
P「でも、千早がそれ着てるの想像できるか?」
真「………できませんね」
P「そうだろ?人それぞれってのはあるもんだよ。真には真らしさがあるのさ」
真「ボクらしさ、か…。じゃあボクは理想の女性にはなれないってことなんでしょうか?それじゃ、あまりにも、今アイドルを頑張ってることがバカバカしく思えてきます」
P「まさか。今やってることは決して間違ったことなんかじゃない。そんなものは真次第だ」
真「ボク次第?プロデューサーの言ってることがよくわからないです」
P「ちょっとこっち来い」
真「え?何ですか急に?」
P「とりあえず更衣室に入って待ってろ」
真「はあ…」
真はわけもわからないといった風で、でも俺の言うことにとりあえず従っていた。
俺は店内をうろつき服を何点か見繕って、真のもとへ戻る。
181 = 1 :
P「ほら、これ着ろ」
真「…」
P「いいから着てみろって」
真「わかりました。ちょっと待っててください」
そう言って更衣室のカーテンを閉める真。
しばらくしてカーテンが再び開く。
真「…どうですか?」
P「さすがは俺の選んだ服だな。コーディネートばっちりじゃねぇか」
真「へへ、自画自賛ですか?」
P「まあな。よく似合ってるよ」
ややふんわりしたレースの服に、その上から深い青のセーター、さらに少し大人びた黒のコート、下はチェック柄のミニスカートと黒のストッキング、茶色のロングブーツ。
真は鏡に向き直り、嬉しそうにその姿を眺める。
真「…かわいい」
P「お、自画自賛か?」
真「違います!服がです!服が!」
顔を赤くして抗議する真。いや、十分に可愛いと思うけど。
彼女の理想の女性とは程遠いと思うけど俺の理想はこういう可愛さだ。
ちょっと押しつけがましいかな。
182 = 1 :
P「真次第って言ったのは真がどう思うか、自分の理想と現実を織り交ぜてどこまで妥協できるかだと思う」
真「妥協ですか…」
P「ああ、お前にはお前に合った可愛さがあるってこと。それを自分自身で、なんだ、正しく認識すれば自信が持てるだろ?」
真「プロデューサー…。うん、プロデューサーのおかげでボクちょっと自信ついた気がします」
P「その意気だ。大丈夫、真はちゃんと可愛いよ。いずれわかってくれる人がいるはずだ」
真「うん」
紅潮した真の頬、嬉しさとちょっぴり恥ずかしさが滲んだ顔はそれでも笑顔であふれていた。
真「ありがと、プロデューサー」
数日後。
小鳥「最近、真ちゃんの調子がいいみたいですね」
P「そうですね、いい傾向じゃないでしょうか?」
真「あ、プロデューサー!ねぇ、聞いてくださいよ!最近の美希が本当にすごくて…」
P「そうか、なら真もダンス負けないように頑張れよ」
真「はい!それとこの前プロデューサーから買っていただいた服、みんなの評判も良かった
です!」
P「当然だ。俺が選んだんだからな」
真「その自信、相変わらずですね」
小鳥「服をプレゼントしていたの…?」
しばらくして真が俺から服をプレゼントされたことが広まってた。
183 = 1 :
後日。
伊織「お兄様」
P「なんだよ伊織」
伊織「真に服買ってあげたんだって?」
P「はあ?何で知ってんだよ?」
伊織「みんな知ってるわよ」
P「あ、そう。まあいいんだけどさ」
伊織「私のは?」
P「ねーよ」
伊織「私もお兄様に服買ってほしい!」
P「えー?」
お前そんなキャラだったっけ?
184 = 1 :
P「伊織はご家族の方が買ってくれるだろ…」
伊織「じゃあお兄様が買ってよ」
P「俺とお前は家族じゃ…」
伊織「家族よ!」
その先は絶対に言わせまいと鋭い眼差しで伊織は言った。
伊織「血のつながった、家族よ…」
あちゃー、これは俺のデリカシーが皆無でしたね。
P「冗談だ。悪かったって」
伊織「その冗談嫌いよぉ…」
伊織は声を震わせていた。目尻に涙が溜まってた。
P「ごめんごめん!」
185 = 1 :
俺は伊織を抱き寄せ、頭を撫でる。しばらくすると落ち着いたようだ。
伊織「…ぐすっ…お兄様の膝貸しなさい」
P「え?」
俺が疑問に思うも束の間、伊織は俺の膝の上にちょこんと座った。
膝というか太もも?
P「伊織、仕事できない」
伊織「お兄様の仕事は私を可愛がることよ!」
面倒なことになったなーと思いつつ頭を撫でたり、ぎゅっと抱きしめてみたり…。
時折、伊織の顔を覗き込んでみると満面の笑み。
伊織はそれに気づくと俺を睨んで恥ずかしそうに顔を赤らめる。
それでもニヤケ顔が抜けてないぞ。
俺もなんだかんだで伊織を可愛がるのが好きみたいだ。
いちゃいちゃいちゃいちゃ…。
小鳥「ぴよぉ…これはいけないわ!でもなんだか漲って…!」
この二日後、また噂が広まり大騒動になるのだった。
186 = 1 :
本日はおちまいです。
以下反省等。
服に関しては浅はかな知識しか持っておらずとかなりあやふやです。
おかしいだろうと思ったら指摘してください。
また服に関する質問も答えられないと思います。すいません。
以上を踏まえたうえでご意見ご質問批判ダメ出し仰って下さると助かります。
次回は1週間後に投下予定。
187 :
いいですね
188 :
乙、いいデレだ
189 :
小鳥さん口が軽過ぎない?
190 :
>>189
小鳥さんはあれこれ妄想してるうちに、どうやらうっかり口を滑らせてしまったそうです。
皆さんレスありがとうございます。
191 :
いおりんデレッデレやなwwwwww
192 :
小鳥さん婚期遅くない?
193 :
>>192
ちょっ!お前いっていいこと悪いことあるだろ!一応2x歳なんだぞ!あれでも!
194 = 1 :
こんばんは
1週間後と1日後って紙一重ですよね。
というわけで投下します。
195 = 1 :
とある休日の昼下がり。
P「今日は羽を伸ばすぞー!」
俺が来ていたのは近くのショッピングモール。
目的はCD。今週発売した765プロの各アイドルのデビューシングルが同時発売された。
これは買わざるを得ないなと思ったわけである。
実はただでもらえるけど…、ほら俺もファンだし、第一号だし、もはや義務だし?
先月はマジでかつかつだったが今月は豪勢に使えるほど給料をもらった。
さらにCDがもっと売れれば…。おっと、笑いと涎が止まらん。
なんてのは冗談だ。
金なんて俺みたいなそんなに使わないやつが持ってたって仕方ないもんな。
お金は使えるからこそ価値があるものだし。
お金のありがたみが社会人になってからわかるようになったしな。
いつまでも親からもらってるやつは成長しないんだなぁ、と思ったり…。
そう考えると、今まで親のすねかじって何の生産性もなく過ごしてた俺を踏み潰してやりたいね。
というか、親の恩を仇で返してたしな。
196 = 1 :
このことを思うといつも後悔する。俺なんて生まれなきゃ…なんてよく考えたものだ。
あんな良家に出来損ないなんて、親の顔に泥を塗って、自分すら肩身狭い思いをしてた。
兄貴は何でもできて優秀だったし、伊織も周囲の期待に応えられる器量の持ち主だ。
P「なんで今こんなこと思い出すんだろうな」
お金繋がりだな。考えるのはよそう。金なんてある程度蓄えて、あとは使っちまえばいい。
P「それでいい。…ん?」
思考を振り切るためにCDに視線を集中させると、そこで目に留まったのは同じく発売のCD。しかし、765プロではなく961プロの…。
P「へぇ、ジュピターか…。黒井さん、発売日を合わせてきたな?」
勝てばいいと言いつつ正々堂々、勝負してくるあたり黒井さんらしい。
P「…いいよな?」
他事務所のアイドルのCDを買うのはちょっと躊躇するが、これも買わざるを得ない。
特に理由はないが…なんとなくだ。
P「ジャケットもかっこいい…」
手を伸ばすと、もう一つの手とぶつかる。
197 = 1 :
P「あ、ごめんなさい」
「…こちらこそ、すみません」
パッと手を引きお互いに謝る。何この少女漫画みたいな出会いは…。
少女漫画読んだことないけど。勝手なイメージで。
P「あれ?あなたはジュピターの?」
女P「あら?そちらは765プロの…」
認識して会釈をする。
私服だったのでわかりづらかった。
もちろん俺も私服で、相手も一瞬、誰?ってなってた。
P「奇遇ですね、あなたはジュピターのCDを買いに?」
そう質問すると女Pさんはみるみる顔を赤くして、明らかに動揺した様子だった。
女P「あの、いえ、その、じゃなくて…えっと…」
P「どうかしました?」
ひととおりあたふたした後、彼女はうつむきがちに頷いた。
女P「………はい、実はそうなんです。あはは、変ですよね…自分のプロデュースしたアイドルのCDを買うなんて…」
まあ、タダでもらえるのにちょっとおかしいよな。
198 = 1 :
P「やっぱそう思いますよね」
女Pさんはさらにしゅんとしてしまった。失言でした。
P「…実は俺もね、うちのアイドルのCD買いに来たんですよ」
女P「…え?」
P「これ」
俺はカゴを前に出して見せた。10枚のCDはすべてうちのアイドルのものだ。
女P「あなたもだったんですね…ちょっと安心しました」
P「当たり前です。俺は彼女たちの一番最初のファンなんですから!」
女P「ふふっ…!仰る通りですね。そう考えたら私も気兼ねなく購入できます」
P「そうですよ。開き直ってしまいましょう」
怪しい宗教の勧誘みたいになってた。
女P「しかも、Pさんジュピターのも買ってくださってありがとうございます!」
P「いえ、興味あったのは確かですし、先日も共演していただいたので…」
女P「じゃあ私も亜美ちゃんと真美ちゃんのと美希ちゃんのと千早ちゃんのとあずさちゃんのやつ気になってたんで…」
P「そんな、別に気を遣わなくても…」
女P「いえ!気になってたのは本当です!買わせてください!」
おお、なんか勢いがすごいな。
P「も、もちろんです。…ありがとうございます」
少しの間沈黙してしまう。
199 = 1 :
女P「…あ」
沈黙を破ったのは彼女の声。
P「どうかしました?」
女P「これ、新幹少女のニューシングルですよ!」
P「新幹少女って今話題のアイドルグループですよね?」
女P「そうです!へぇ、ここはアイドルコーナーになってたんですね」
P「本当だ。うちの子のCDを見つけるのに集中して気づきませんでした」
女P「こっちは魔王エンジェルに、サイネリアも!」
P「いろいろあるんですね…」
女P「こんなグループたちとジュピターのCDが同じコーナーにあるなんて…!感激です!」
おお、今の女Pさん輝いてる。
それにしても、他の店でもこのグループは見たよな。
P「…うちのはこんなにわかりづらいところなのになぁ」
女P「いいえ、まだまだこれからですよ!」
P「ジュピターのはもう目立ってるじゃないですか」
そう、ジュピターのCDはジャケットが見えるようにして置かれている。
200 = 1 :
女P「えへへ、ということは私たちが一歩リードですね!」
悔しー。でもなんか、女Pさんのすごい嬉しそうな顔見たらこっちまで嬉しくなってきた。
P「そうですね。でもすぐに追いついてみせますよ」
女P「…そうは言っても、私たちもまだまだです。さっき行ったお店には置いてませんでしたから…」
P「…え?意外ですね、私たちのが置いてないのはわかるんですが…」
女P「このお店でたまたまプッシュしてくださってるだけですよ」
P「店によるものなんですね」
女P「そうです。さらに言うとお店の店長さんによります」
じゃあここの店長は女性だな。
話もそこそこに俺たちはCDを購入した。
女P「…あの、この後お暇ですか?」
P「ええ、今日は休みでこれを買いに来ただけですから…」
女P「でしたら、どこかでお話しませんか?Pさんの話、いろいろお聞かせください!」
P「へ?」
それって俺に気があるってこと?…ははは、まいったなぁ。
女P「Pさんのプロデュース、とても興味があります!」
ああ、そっちね…。うん、知ってたよ。
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