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    元スレP「伊織か?」伊織「お兄様!?」

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    701 = 1 :

    律子「また先方からお断りのメールが…」

    P「まあそう上手くいくもんじゃないさ」

    律子「プロデューサーはすぐにお仕事取ってきますよね…」

    P「みんなのやりたい仕事となると、いきなりは取ってこれないけどな」

    まずは雑誌のモデルとかから入るだろうか…。

    昨今はモデルさんも多いので、世間の需要と先方の供給に合ったモデルをこちらでも用意しなければいけなくなるのだが…。

    意外と何とかなる。

    特に美希なんかはキュートなものからクールなものまで、様々な印象を与えられる。

    そんな美希も今度、写真集の発売にまで至る。

    フェアリーとしての活動も上々であり、響と貴音、それぞれにも少しづつソロでの仕事が回ってきてる。

    俺はこれから春香、真、真美でユニットを組むことを考えていてそれぞれを売りに出すためオーディションに週一程度で参加してるのだが…。

    これがなかなか、はまってくれない。

    俺もストレスでどうにかなりそうではあった。

    702 = 1 :

    しかし、長い目で見ることが大事だ。まだ3回しか挑戦してない。

    三人とも慣れてきたし、次は次はと奮闘中である。

    律子「外回り行ってきます!」

    律子は直接、宣伝しに行くようだ。

    伊織「私たちもレッスンに行きましょう?」

    あずさ「そうね。律子さんが頑張ってるのに、私たちが何もしないわけにはいかないものね」

    亜美「よっしゃー!律っちゃんのためにも一皮脱いじゃおう!」

    伊織「一肌ね…。使い方も微妙に違うし…」

    亜美「細かいことは気にしなーい!行くよ、いおりん!」

    伊織「まったく…。じゃあお兄様、行ってくるわ。あずさも行きましょう?」

    あずさ「ええ。それでは行ってきますプロデューサーさん」

    P「ああ、行ってらっしゃい」

    そうして送り出す。

    俺もどうにか手を打たなければ…。

    と思っても時間はすぐに過ぎて4回目のオーディションもそれぞれ失敗。

    703 = 1 :

    春香「今回もダメでしたけど初めて最終選考に残りました!」

    P「いや、俺のせいだ。また辛い思いさせてすまなかった…」

    春香「やだなぁ、プロデューサーさん。確かに悔しかったですけど着実に一歩ずつ前に進んでると思います」

    次こそはと意気込む春香に救われる。

    俺には謝ることしかできない…。

    P「本当にすまない。次は絶対に合格させてやる」

    春香「…はい」

    春香は無理に微笑んだ。

    「春香!プロデューサー!ただいま!」

    真美「ただいまー!」

    春香「あ、真美、真、お帰り。どうだった?」

    真美「ううん。ダメだったよー」

    「でも初めて最後まで残ったからね!次はきっと大丈夫だよ!」

    春香「うん!みんなで頑張ろう!」

    真美「おー!」

    実はこの三人他の子に比べるとお仕事が少ないのだ。

    そして、それが今の俺の悩みでもある。

    704 = 1 :

    P「今回こそはと思ったんだが…。みんなすまない、俺のリサーチ不足だ…」

    「もう、またですかプロデューサー…。それやめてくださいよ…」

    真美「そうだよ兄ちゃん…。オークション落っこっちゃったのは真美たちが悪いんだから…」

    春香「真美、オーディションね。…でも真美の言う通りですよ?私たちに何かが足りなかったから審査員に選んでもらえないんですよ…」

    P「それは違う。あいつらは見る目がないんだ…」

    そう言って少し後悔した。

    さっきまで前向きの調子だった三人からすっと表情が消える。

    真美「やめて兄ちゃん…。兄ちゃんが悪口言ってるところ聞きたくない…」

    「ボクも…。プロデューサーって怒るときは怒ってくれるし、褒めてくれるときは褒めてくれる。ふざけるときはふざけるけど…。そうやって人を悪く言うのはあんまり聞いたことないし、嫌です」

    春香「私も嫌です…。プロデューサーさん、口調が悪いこともあるけど人のこと悪く言うのは私も聞いたことないし聞きたくないです…」

    俺はぐっと息を詰まらせた。

    喉がきゅっと絞られる思いをする。

    明確な軽蔑が俺の羞恥をさらに増長させる。

    みんなの顔が見れなかった。

    何も言えずに黙っていると、三人は失礼しますと出ていってしまった。

    P「くそっ…」

    残ったのは自己嫌悪だけだった。

    705 = 1 :

    数日後。

    P「律子、調子はどう?」

    俺はデスクに向かいつつ、同じくデスクに向かう律子に話しかける。

    律子「今は予算をいただいて週に三回くらいのペースでミニライブを行ってます…」

    かなりハイペースだ。

    予算もそれなりにもらってるらしい。

    律子「プロデューサー殿は?」

    P「俺は春香と真と真美を中心にオーディションを受けさせているがさっぱり当たらん。もうどうすればいいのか分からなくなってきている…」

    律子「おや、プロデューサー殿が弱音を吐くなんて珍しいですね」

    P「この前、ちょっとあってな…」

    律子「そうですか…。私は何にもしませんよ?」

    助け船は出さないと牽制をかける律子。

    一見すると薄情なやつに見えるかもしれないが、俺のプライドを傷つけないようにという見方もできる。

    彼女は不器用な子だが、俺にはどういう意図で律子がそう言ったのか分からなかった。

    事務所に一通の電話が入る。

    取ったのは小鳥さんだ。

    706 = 1 :

    仕事に集中してる時は、かなり早いのだが、いったん手が止まるとそこから長い我が社の事務員である。

    俺たちの話に入ってこなかったところを見ると、電話のコールでようやく我に返ったようだ。

    小鳥「お電話ありがとうございます。こちら765プロダクションでございます。私、音無が承ります」

    きりっと表情を整え、シャキッと背筋を伸ばし、いかにも出来る女という感じだった。

    小鳥「はい……はい……ええ、少々お待ちください…」

    小鳥さんは受話器を保留にしてから、律子を呼ぶ。

    小鳥「律子さんにお電話です」

    小鳥さんが言うには某テレビ局の関係者だと言う。

    律子「お電話代わりました。…はい、私が竜宮小町のプロデューサーの秋月律子です。…ええ、はい。…はい」

    律子は向こうの電話に相槌をうって受け答えしているだけだったが…。

    律子「え!?本当ですか!?…ぜひ!こちらこそよろしくお願いします!…今度、打ち合わせに…はい、日時は…」

    ウキウキとメモを取る律子。

    これは、仕事の依頼に違いない。

    その後しばらくして電話での会話は終了した。

    707 = 1 :

    小鳥「どうでしたか?」

    律子「今度、歌番組に出てくれないかですって!…歌番組って言ってもドキュメンタリーの要素も含んでる番組なんですけど…そこにゲストとして出演してくれって!」

    小鳥「あー、あのテレビ局だから…」

    とその番組に関して盛り上がり始めた。

    結果的には律子の、ミニライブをたくさんやるという作戦は燃費が悪いながらも早いうちに功を奏した。

    P「おお、やるじゃん!」

    律子「ありがとうございます。早くメンバーに伝えて残りのミニライブも成功させるわ!」

    打ち合わせは三日後ということらしい。

    かなりの過密スケジュールであるが、そんなことはまったく気にしてない様子だった。

    俺は嬉しいはずなのに、律子の顔を見て少しだけ、もやっとした。

    そこで一通の電話が入る。

    今度は俺が取った。

    P「お電話ありがとうございます。こちら765プロダクションでございます。私、Pが承ります」

    伊織『お兄様?』

    708 = 1 :

    P「なんだ、伊織か…」

    伊織『なんだとは、ずいぶんなご挨拶ね?』

    P「ああ、悪い悪い。それでどうしたんだ?」

    伊織『あずさが行方不明なのよ…』

    P「あずさが?…とりあえず律子に代わるぞ」

    律子に代わる。

    律子「あずささんがどこか行ったって…。どうして?」

    伊織『飲み物を買ってくるって出てったきり、帰ってこなくて…さっきからずっと探してるんだけど見つからなくって…』

    律子「困ったわね…亜美はいるのよね?」

    伊織『ええ、亜美は一緒よ』

    律子「近くの飲み物が買える場所はあたってみた?」

    伊織『それでも見つからないからこうして電話してるんじゃない…』

    律子「…どうしよう」

    伊織『あんたプロデューサーでしょ!何とかしてよ!』

    律子「伊織、落ち着きなさい!…とにかくレッスン場に戻ってて。もしかしたら帰ってくるかもしれないわ」

    伊織『……うん。わかった』

    律子「電話はかけられないの?」

    709 = 1 :

    伊織『それが、お財布だけ持ってって、他の持ち物は全部こっちにあるのよ…』

    律子「そう、わかったわ」

    そう言って、伊織と二言三言、言葉を交わした後、律子は電話を切った。

    P「なんて言ってた?」

    律子「携帯も持ってないし、どこにいるかも全く見当つかないみたい…。いっそ警察に…」

    P「30分くらい待って、戻ってこなかったら警察に捜索願を出そう。せっかく仕事が入ってきたのに、万が一があってはダメだからな…」

    律子「私も探してきます…」

    律子はそう言うとすぐに事務所を出てしまった。

    P「おい、待て!…行っちゃったか」

    小鳥「どうしましょう…?」

    P「まあこれは彼女たちの問題ですからね。私は仕事に戻ります」

    小鳥「そんな…」

    そんなはずはない。

    俺にも大いに関係してる問題だ。

    あずさが行方不明なんてどう考えても彼女たちの問題なんてことはない。

    P「じゃあ、俺は外回り行ってきますので…」

    そんなこと言ってる人間が、名刺や財布等の入ってる鞄から携帯と車のキーだけを取り出して、出かけることはないはずだが、俺はあまり頭が回ってなかったらしい。

    小鳥「素直じゃないんだから…」

    事務所を出る際に、そんな呟きが聞こえた。

    710 = 1 :

    車を出して数分。

    行く当ても無くさまよう。

    実際、あずさがどこにいるかなんて分かりはしない。

    とにかく探す。

    しらみつぶしに探す。

    さらに数分、彼女は案外いとも簡単に見つかった。

    P「何やってんのさ」

    あずさ「あ、プロデューサーさん…。どうしてここが?」

    レッスン場からだいぶ離れた公園のベンチで座っていた。

    まあ見つけられたのは奇跡としか言いようがないのだが…。

    P「みんな心配してるぞ。帰ろう」

    あずさは俯いて、いかにもしょんぼりしている。

    あずさ「私、みんなの中で一番お姉さんなのに心配かけて…ダメダメですね」

    えへっ、といったような感じで舌を少し見せて笑うあずさ。

    なんというか、その態度に悲壮を感じた。

    711 = 1 :

    P「そうだな。これからは携帯くらいは持っていけ」

    あずさ「飲み物を買いに行くだけだし、大丈夫かなーって思ったんです…」

    P「そうか…」

    あずさ「でもいつの間にか知らない場所に来てて、帰ろうと思っても帰れなくて…」

    P「ああ、もう帰れる。…怖かったのか?」

    あずさ「………ちょっとだけ」

    P「道に迷ったらあんまり動かない方がいい。きっと誰かが見つけてくれる」

    あずさは俺を見上げる。少し表情が柔らかくなった。

    P「今日は偶然見つけられたが、はっきり言って奇跡だ。ここまで来るのに車で10分かかったよ…」

    あずさ「それでも見つけてくださってありがとうございます」

    けれども、また視線を落とす。顔は伏せてて、表情は窺えない。

    P「…そうだ。今日、飲みに行かないか?」

    あずさ「…え?」

    パッと顔を上げるあずさ。突然の誘いに驚いているようであった。

    P「いや、こういう時は飲んで忘れよう。携帯を持っていくのは忘れちゃダメだけど…」

    あずさは浮かない顔だ。やはり自分の落ち度を責めているのだろう。

    あずさ「でも、私は…」

    P「俺と行くのは嫌だったか?」

    あずさ「いえ、そんなことは…」

    P「じゃあ行こうよ」

    俺は、なし崩し的にあずさを飲みにつれていく約束をした。

    712 = 1 :

    俺自身、今日は飲みたい気分だった。

    先日からのもやもやを吹き飛ばしたい、忘れたい。

    あずさ「プロデューサーさん…」

    P「何だ?」

    あずさ「私、みんなに合わせる顔がありません…」

    俺はあずさに視線を合わせて、彼女の肩をつかむ。

    P「俺は心配したよ?」

    ピンとこないような一言。

    P「でも、あずさのこと見つけたら安心した。すごくホッとした」

    あずさは黙って聞いているが瞳はうるうると潤沢を帯びている。

    P「だからみんなのことも安心させなきゃね。一応電話も入れておくけど、本人の姿を見ないと本当に安心できないから…」

    あずさは少しだけ手で目もとを拭って正面から俺を見据える。

    あずさ「子供みたいなこと言ってごめんなさい。…帰りましょう」

    P「そうしようか」

    俺はあずさの手を引いて車まで向かう。

    電話を入れてから、事務所に戻った。

    律子「あずささん!心配しましたよ!」

    あずさ「ごめんなさい律子さん…」

    713 = 1 :

    P「とにかく無事でよかったな」

    律子「本当ですよ。ありがとうございますプロデューサー殿、助けていただいて…」

    P「何言ってんの?助けてもないし、何もしてないけど?…あずさはうちのアイドルだから当然のことだろ」

    小鳥「外回り行ってくるとか言ってたくせに…」

    P「小鳥さん、うるさいです」

    によによと小鳥さんが冷やかしを入れる。

    伊織「もう、あずさ!これからは一人で出歩いちゃダメ!」

    あずさ「ごめんなさい伊織ちゃん。亜美ちゃんも心配かけてごめんね…」

    亜美「本当だよっ!」

    あずさに抱き付く亜美。

    亜美「本当に心配したんだからねっ!もう迷子にならないように離さないでやる!」

    ぎゅーっと、てこでも離れなそうに抱きしめる亜美。

    あずさ「あらあら~」

    と言って笑うあずさ。

    今後の対策として、あずさを一人にはしない、というルールが竜宮小町内で設けられた。

    休日とかに一人で出かけた時はどうするんだろうと、野暮なことを考える俺だった。

    その後、律子から仕事の話を聞かされる三人。

    この二週間でミニライブもあと四つ控えている。

    メンバーは意気込み、そのまま解散となった。

    714 = 1 :

    あずさ「プロデューサーさん、私そこで待ってますから…」

    P「ああ、ごめんな。すぐに終わらせるから…」

    俺が20分くらいで業務を終えたとき、あずさはソファーで眠ってしまっていた。

    P「あずさ、起きて…風邪ひくよ」

    今はもう四月の下旬だが、夜は冷える。

    あずさ「うぅん…」

    無防備なあずさはなんだか色っぽくて、ちょっぴり罪悪感が芽生えてしまった。

    何にも悪いことはしてないんだけどね…。

    P「あずさ、終わったよ。疲れてるなら日を改めるけど…」

    あずさ「…終わったんですかぁ?…でしたら、行きましょ~?」

    眠たそうな眼をこすってあずさは、うんと伸びをする。

    P「小鳥さん、律子…。俺はお先に失礼します。お疲れ様です」

    あずさ「お疲れ様です~」

    律子「はい、お疲れ様です。プロデューサー、変なことはしないでくださいよ?」

    715 = 1 :

    律子は俺のことをじとっと睨んで釘を刺す。

    P「しないっつーの…」

    小鳥「お疲れ様です」

    それでは…と、俺はあずさと一緒に事務所から出て、徒歩で駅方面に向かうのだった。

    小鳥「はあ、私も飲みに行きたかった…」

    律子「小鳥さんはプロデューサーに迷惑かけて謹慎中なんですよね?」

    小鳥「そうなんですよね…。とほほ…」

    余談だが、小鳥さんが律儀に禁酒してるのを俺は知らなかった。

    さて、駅前まで着いたのだが、あずさといえばまだ寝ぼけているのか、あっちへふらふら、こっちへふらふら…。

    P「こらこら、どっちに行くんだ?」

    あずさ「プロデューサーさん。私、こっちが近道だと思うんです」

    P「そんなわけないだろ。この道まっすぐ行けば着くんだから、最短ルートはこっちだ」

    あずさ「えー?でも…」

    P「でもじゃなくて…。行くよ!」

    そっち行ったらどこへ行くのか。

    明らかに駅の方とは別方向なのだが…なるほど、彼女がすぐ迷子になるわけだ。

    それにその根拠のない自信は一体どこから出てくるのか…。

    それでも渋るあずさの手を強引に引いていくと、それっきりおとなしくなる。

    716 = 1 :

    あずさ「プロデューサーさん」

    P「どうした?」

    あずさ「私たち、傍から見たらカップルに見えると思います?」

    あずさの方を見る。

    言ってみて恥ずかしくなったのか、視線は正面、ちょっと斜め下向きだ。

    そんなこと言うのも珍しい、と思っていたが俺もやや緊張してくる。

    P「ま、まあ見えないこともないんじゃないか?」

    ひねくれ特有の二重否定で肯定してみる。

    あずさ「こうすれば、もっとそれっぽく見えるでしょうか?」

    そう言って腕に抱き付くあずさ。

    ふんわりとしたいい香りに、女性特有の柔らかな体。

    それらが、俺にあずさのことを女性として意識させる。

    P「ちょっと、近いって…」

    あずさ「今日は甘えたい気分になっちゃいました!」

    ロングの髪から覗かせる表情は、大人びていながらも、あどけない笑顔。

    俺は慌てて正面に視線を戻す。

    P「はは…そ、そっか。まあ、そういう時もあるよな!うん、俺もある!…うん」

    717 = 1 :

    心拍数が高まる。

    律子には変な気は起こさないと言ったが、酒を飲んでしまっては、これはわからん。

    律子との約束を破ることに…。

    いや、それは無い!あずさはアイドル!俺の部下!

    俺のせいでみんなに迷惑かかるから!

    こうやって、アイドルを女性として意識し始めたときによく考えるのが、職場での関係性だったり、ビジネスでのデメリットだったりする。

    いつも通りの素早い思考で心を落ち着かせる。

    P「ほらもう着くよ。あんまりくっつかれると他の男からの視線が痛い…」

    あずさ「えへへ、残念です…」

    あんまり残念じゃなさそうに離れるあずさ。

    ここまで来れば、もう手を離したって、さすがに迷わない。

    駅前からは少し離れたBARに入り、テーブルに案内してもらう。

    お酒お飲むだけならカウンターの方がいいのだが、食事をしたいときは俺は決まってテーブルを選ぶ。

    718 = 1 :

    あずさ「ふわぁ…大人っぽい雰囲気ですね…」

    P「こういうとこは初めて?」

    ええ、と頷くあずさ。

    P「じゃあ、最初は生でいい?」

    あずさ「はい。お願いします…」

    P「じゃあ生中二つ」

    「かしこまりました。お食事はいつものコースでいいですか?」

    P「あ、憶えててくれてたんですか?」

    「はい。よくご来店されてるお客様ですので…」

    P「あはは…。二週に一回くらいなんだけどね。なんだか気恥ずかしいな…」

    「オープン当初から来てくださってるお客様ですし、私たちにもよく気を遣っていただいて、恐縮です」

    P「やだな…そんな畏まらないでください。ここのお料理、本当に美味しくいただいています」

    719 = 1 :

    「ありがとうございます。…えっと、お飲み物は前菜とご一緒ですよね?」

    P「そんなことも憶えてくれてるんですか…?」

    感心したというか、すごく嬉しい。

    常連さんって憧れだったんだよなぁ。

    特に家族ぐるみじゃなくて、こうやって一人で来る場所の…。

    「まあ、はい。…ところで彼女さんもお飲み物は前菜とご一緒でよろしいですか?」

    彼女って…。これにはあずさも、ぽかんとした表情だ。

    あずさ「じゃあ、私もそれでお願いします」

    否定はせずに、スルーか…。

    「彼女さんお綺麗ですね」

    P「あはは…。彼女じゃないんですけどね」

    あずさ「うふふ…」

    俺が言うとあずさは、実はそうなんですよ、といった風に笑った。

    「し、失礼しました…。ではお客様は彼女さんとかいらっしゃらないんですか?」

    P「そうですね。生まれてこの方、そういうのには疎いもので…」

    あずさはさっきとは違うぽかんとした表情になった。

    「そうなんですか!」

    店員さんはニッコリ笑顔で愛想がいい。

    あずさ「あらあら~」

    何かに気づいたようなあずさだったが、俺は特に気に留めない。

    720 = 1 :

    P「ちなみに彼女は駆け出しのアイドルで、今度テレビに出演するんですよ」

    あずさを示すと、店員さんはやっぱり驚いたようだ。

    「お名前、伺ってもよろしいですか?」

    あずさ「三浦あずさです」

    P「竜宮小町っていうグループのメンバーなんですけど、テレビの収録は初めてなんですよ」

    店員さんは感心したように話を聞いてくれて、しばらくした後、キッチンに戻った。

    あずさ「よくお話しされる方なんですか?」

    P「まあここに来るときはいつもお店の方とは会話するけど、憶えてもらえてるとは思わなかったよ」

    あずさ「感じのいい人でしたね」

    P「そうだな。しかもアイドルに向いてそうな容姿でもあるし…」

    そんな店員さんをちらっと目で追う。

    すると、向かいのあずさは身を乗り出して両手で俺の顔はさむと、自分の方に向けた。

    あずさ「今日は私と来たんですから、他の女性は見ちゃダメです」

    P「……ああ、ごめん」

    なんだか今日はペースを掴み損ねてる。

    というより、完全にあずさのペースにハマったようだ。

    721 = 1 :

    しばらくして、前菜とビールが運ばれる。

    あずさ「乾杯しましょ~」

    グラスを合わせて、たった二人の晩餐会だ。

    俺も飲みたい気分なのは確かで、早く嫌なことを忘れたかった。

    グラスの酒をぐいっと一気に飲み干す。

    あずさ「いきなりそんなに大丈夫ですか?」

    P「意外となんとかなりますよ…」

    そんな強がりを言ってみる。

    別に俺は酒に強いわけではない。

    しかし、すぐに追加の注文、食もよく進む。

    食事が終わっても追加で頼む。

    P「はあ…。なあ、あずさ…」

    あずさ「何でしょう?」

    ギョッとした様子のあずさ。多分、俺が気持ち悪いとか言い出すと思ってるのだろう。

    P「自分の思ったような仕事ができない時ってどう思う?」

    あずさ「?…それは、与えられた仕事が上手くこなせないということでしょうか?」

    722 = 1 :

    P「うーん、違うな、そうじゃなくて…自分がやりたい仕事とは別の仕事を入れられた時の話…」

    あずさ「…そうですね。…一度もないです」

    P「は?」

    あずさ「この仕事やりたくないって思ったことは一度もないです」

    俺はゆらゆらとグラスを揺らしている手を止めた。

    あずさ「何か、悩み事でもあるんですか?」

    P「まあ…。ていうか気づいてたろ?」

    あずさ「ふふっ…。ええ、わかってました。プロデューサーさんが飲みに行こうって言った時は大抵、悩み事を抱えてますから…」

    P「よく知ってんな…」

    あずさ「だって結局、酔っ払って自分から話し始めるんですもの…」

    今日は珍しいですけどね、と付け足し、笑うあずさ。

    少し気恥ずかしかったが、そこまでわかっているのなら特に隠して問うこともなかった。

    P「そうだな。先日、俺がオーディションの審査員は見る目がないと言ったんだ」

    さっきとは一転、優しい眼差しで相槌をうって聞いてくれるあずさ。

    ああ、だから俺は彼女をこの場に誘ったんだなと思った。

    723 = 1 :

    P「そうしたら、俺が人の悪口を言ったとみんな機嫌を悪くしてしまってな…。俺は励まそうと思ったんだが裏目に出てしまった…」

    あずさ「…」

    P「俺はこれからどうすればいいかわからない。彼女たちのためにどうやって尽くしていくべきなのか…」

    俺はそう区切ってあずさを見る。

    何かアドバイスをくれればと思っていたが、あずさは可愛いふくれっ面をしてた。

    あずさ「もう!プロデューサーさんはやっぱり他の女の子のことばっかりです!」

    ぷんすか!という擬音が似合いそうな態度でそんなことを言った。

    P「え?悩みを聞いてくれるんじゃないのかよ…」

    あずさ「それとこれとは話が別です…。でも、プロデューサーさんが私を頼ってくれてるのはちょっと嬉しいですから、相談に応えてあげます」

    いたずらっぽく笑うあずさはいつもの雰囲気とは違う魅力があった。

    あずさ「プロデューサーさんは考えすぎです」

    P「考えすぎ?」

    あずさ「はい。その子たちはどんな仕事でも楽しんでますし、オーディションに落ちても次こそはと意気込んでいたはずです」

    P「うん。その通りだ」

    あずさ「そこでプロデューサーさんが審査員さんのせいにしてしまったのがいけなかったんです」

    P「…」

    724 = 1 :

    あずさ「彼女たちは自分たちの結果に納得してました。だから次に向けてさらに頑張ろうと思ってるんです」

    P「確かに、そうなるな…」

    あずさ「だから、プロデューサーさんが審査員さんを悪く言うのは、彼女たちが納得したことも否定することになってるんです…」

    P「!…ああ、そういうことだったのか」

    だからあれ以来めっきり士気が落ちてしまったのか…。

    練習に身が入らないのは迷いが生じてしまったからだ。

    まだ飛躍できる彼女たちに、俺は限界線を勝手に引いてしまったんだ。

    あずさ「あの場にはきっと、もっと魅力のあるアイドルがいたと思います。その子たちから学ぶこともあったから、次はもっと頑張ろうってなれると思います」

    P「うん。そうだよな。俺はあの時、彼女たちのことを思うなら次に向けて背中を押すべきだったんだな」

    素直に謝ろう。

    そう思った。

    あずさ「解決しました?」

    P「ああ、ありがとう。やっぱりあずさを誘って良かった…」

    あずさ「お役に立てたならよかったです」

    俺はグラスに入ってる酒を一気に飲み干す。

    あずさ「あ、あの…」

    P「先に謝っとくわ。ごめん、今から迷惑かける」

    あずさ「あ、あらあら~」

    あずさは苦笑いだったが、任せてくださいと健気なお姉さんっぷりを見せてくれた。

    725 = 1 :

    注文に注文を重ね、すぐに酔っ払ってしまう。

    P「うぅぁ…」

    あずさ「プロデューサーさん…プロデューサーさん…大丈夫ですか?」

    明らかに大丈夫ではないのはP自身わかっていた。

    P「無理…」

    「あのぉ…お冷、お持ちしました」

    先ほどオーダーを取った店員さんはとても気が利く。

    あずさ「すみません。わざわざありがとうございます…」

    P「うう、店員さぁん…介抱して…」

    「わわっ…!」

    Pは店員さんにしがみつく。

    酔うと人に甘えたがりになってしまう彼の悪癖だ。

    父親から見放されたこともあってか、愛情は彼の欲しているところでもあったのだろう。

    あずさ「すみません。この人、酔うとこうやってすぐ甘えちゃうんです…」

    「そ、そうなんですか…」

    耳まで真っ赤に染める店員さんは、どうしていいかわからないので、とりあえずPの頭をよしよししていた。

    業務を妨害しながらセクハラまでするという、はた迷惑な客である。

    しかしPに対して満更でもない店員さんにセクハラという表現は正しくなさそうだ。

    726 = 1 :

    「ここまで酔ってるのは初めてです…信頼されてるんですね」

    複雑な表情であずさに話しかける店員さん。

    あずさ「そうなんでしょうか…?」

    そんなあずさも複雑な表情だった。

    そんなこんなであずさはPを店員さんから引っぺがし、水を飲ませるなりして世話を焼く。

    付きっきりになってくれた店員さんは世話焼きなのだろう。

    しばらくすると俺の酔いも冷め始めた。

    P「うげぇ…気持ち悪…」

    あずさ「プロデューサーさん、我慢してください…」

    P「わかってるよ、はしたないもんな…。うぅ…帰ろっか…」

    「まだお休みいただいても構いませんが…」

    P「いや、そんなわけにもいきません…」

    あずさ「そうですね。私が責任もって送り届けます!」

    P「ああ、そういや迷惑かけるっつったけど、あずさに先導されたら間違いなく道に迷うよな…」

    あずさ「失礼ですね、そんなこと言ったら送ってあげませんよ?」

    P「というか、俺が先にあずさのうちに送った方がいいか?」

    あずさ「どうしてそうなるんですか…」

    P「道に迷ったら危ないだろ…」

    727 = 1 :

    あずさ「さすがに我が家には少ししか迷わずに帰れます!」

    少し迷うこともあるのかよ…。

    P「とりあえずお会計はこれで…」

    クレジットカードを店員さんに渡して会計を済ませてもらう。

    「お待たせしました」

    P「今日はありがとうね。憶えててくれて嬉しかったよ。それと、迷惑かけて申し訳ありませんでした…」

    「そんな、よくあることですのでお気になさらず…。私もお喋りに付き合っていただいてありがとうございます」

    P「じゃあ、また。ごちそうさまでした」

    「はい、またいらしてください」

    あずさ「今日はご迷惑おかけしました…。お料理もお酒も美味しかったです」

    店員さんはもう一度お礼を言ってお辞儀した。

    「今日はたくさん喋れて良かったな」

    「店長…!えっと、その…」

    「別にそんなことで怒ったりしないよ。いつも頑張ってるじゃねーか」

    「あ、ありがとうございます…」

    「それにしても確かに彼はいい男だな。あんなに酔っ払ったのは初めて見たが…」

    「はい。意外な一面が見れました…」

    「……いつまでもニヤニヤしてないで、仕事を再開してくれよ?」

    「なっ…!…ニヤニヤしてませんっ!」

    「はっはっはっ…!してたぞアホ面。…ま、若いってのはいいな」

    Pたちが店を出た後、こんなやり取りがあったのを彼らは知る由もない。

    728 = 1 :

    そんなこんなで、俺の家の前だ。

    フラフラする身体を支えてもらいながらやっとここまで着いた。

    店からは歩いて20分くらいだ。

    P「やっと着いた…」

    あずさ「ここまで来ればもう大丈夫ですよね?」

    P「うん。…あずさはこれからどうする?」

    あずさ「もちろん帰りますけど…」

    P「よかったら泊まってけ…さすがに暗くて危ない…」

    あずさ「え、え~!?」

    P「やめて、頭に響く…。安心しろ、こんな状態じゃ襲おうにも襲えないよ…」

    あずさ「そんな問題じゃないと思うんですけど…」

    あれこれ問答してると、ドサッと鞄が落ちる音が聞こえた。

    俺もあずさも鞄を持ってることを確認して、音のした方に視線を向ける。

    少し暗がりで分かりづらかったが、呆然とした表情の女Pさんが立っていた。

    P「あ、女Pさん…?」

    P「Pさん、そちらの綺麗な女性は…?」

    729 = 1 :

    あずさ「初めまして、私、彼の恋人の三浦あずさと申します」

    P「恋っ…!!そんな、Pさんに彼女さんがいたなんて…………ん?三浦あずさ?」

    P「こら、嘘をつくんじゃない…。違いますよ。彼女はうちのアイドルです」

    P「あ、じゃあ、あの三浦あずささんですか!」

    あずさ「あの?」

    P「私ファンです!CD持ってます!」

    女Pさんは落とした鞄を拾って、俺たちに近づくが、寄ってきたところで少し顔をしかめた。

    P「Pさん、お酒の匂いがすごいです…。こんなに飲んでるの見たの初めてです…」

    P「ああ、ごめんなさい。情けない話ですが、ちょっと気持ち悪くて、送ってもらったんです」

    あずさ「それで今プロデューサーさんのうちに泊まっていかないかって言われて…」

    P「だ、ダメダメっ!ダメですっ!」

    あずさ「え、どうしてですか?」

    P「それは…う~…え~と………そうっ!アイドルが男性宅にお泊りなんて危険です!」

    そうっ!とか言っちゃって、今考えたのバレバレなんだけど…。

    730 = 1 :

    あずさ「でも、プロデューサーさんが夜遅いし、アイドルを一人で帰らせるわけにもいかないって言うんです」

    P「…確かに。………あっ、なら私のうちに泊まってください!」

    P「いいんですか?」

    P「はい、一人ならスペースも余裕ありますし、暗い中こんな美人さんを帰すわけにはいきませんよね?」

    P「それなら助かりますけど…あずさは?」

    あずさ「それじゃあお言葉に甘えて…」

    P「はい!是非、あがってください」

    あずさ「プロデューサーさんは大丈夫ですか?」

    P「ああ、俺はもういいよ。また明日な…。女Pさん、うちのアイドルをよろしくお願いします…」

    P「任せてください。そういえばお食事は?」

    あずさ「済ませています」

    P「でしたら、お風呂先に沸かしますか」

    なんだかすでに楽しそうな雰囲気で、邪魔するのも悪い。

    P「それでは、俺はもう戻ります。また明日」

    P「はい。また明日…」

    そう言って手を振ってくれる女Pさんに俺も手を振り返して家に帰る。

    731 = 1 :

    このあと戻した。

    やがて落ち着くと、コース料理がもったいないなぁ、と思いながら、口をゆすいで歯を磨く。

    シャワーを浴びて、パジャマに着替えて水を飲む。

    照明を落とすと、そのままベッドに倒れ、眠りについた。

    …何事も無く朝だ。

    俺は普通に朝の支度をしていつも通りスーツを着る。

    昨日は適当にしまったもんだから、しわがちょっと気になる。

    かなり早めに家を出たのだが、お隣さんの様子を見なければなと思った次第である。

    インターホンを鳴らすが反応がない。

    ドアを叩くがやはり反応がない。

    ドアノブを回すと扉が開いた。

    物騒だな、と思いつつ万が一を想定しながら部屋の奥へと歩を進めた。

    P「お邪魔しまーす…」

    そこにはだらしない格好の女Pさんとあずさが布団もかけずに倒れていた。

    傍らにはチューハイの空き缶が転がっていた。

    P「また飲んだのか…」

    俺はもう当分飲みたくない。

    とりあえず、あずさのだらしない格好を整える。

    彼女を抱き上げ、ソファーに移動させる。

    女Pさんもあずさと同じように、だらしない格好をしている。

    俺は目のやり場に困ってしまい、あまり見ないように努めて、服装を整える。

    彼女はベッドに寝かせた。

    ごみをあらかた片付け、書置きを残して家を出る。

    鍵は仕方ないので開けっ放しにして置いた。

    P「俺は先に行きますよ…」

    ぽつりとそんなことを言って出勤するのだった。

    732 = 1 :

    今日の分はおちまい!
    やっぱ書き溜めても消費するときは早いですね…。
    Pのフラグ乱立ですね!
    イチャイチャは書いてて楽しいですwww

    ご感想やご質問等あればぜひ。

    それと春香、真、真美でユニットを組みたいのですが、
    ユニット名を命名していただけると助かります。

    今まで書いた分が18万字を超えて自分自身いつ終わるんだという感じです。
    次スレ行くことになってもいいでしょうか…?

    733 :


    イッチの書く女性モブが魅力的すぎる
    そしてまたフラグww

    734 = 696 :

    おつ

    735 :

    店員さんまで…
    これは天然クソジゴロですわ、おつ

    736 :

    次スレになろうか、わたしは一向にかまわんッッ

    737 = 697 :

    最終的には何人の女性がPの魔の手に…次スレいってもいいのよ?

    春香と真美と真か……
    この三人だと春の太陽みたいなイメージなんだよね
    SpringSunとか?まんますぎるか

    SpringTrueBeauty
    春の(まこと)の美しさ
    それぞれの名前をうまく合わせた感じの名前とかどうかな?

    738 :

    一つ言えるのは君が臭いってこと

    739 :

    皆さんレスありがとうございます!
    完結させようと思えるのは毎度のレスのおかげです…。

    >>737
    考えてくださってありがとうございます。
    参考にします。
    ユニット名についてのレスがなかったらナムコエンジェルにしようかと思ってました。

    自分で考えたのはシャイニーとかファミリアとか、特に深い意味はないです…。
    こちらはダサいのでボツにしようと思います。

    740 :

    この世界観だと雪月花も普通にアイドルしてそうだな、漫画版では……

    741 :

    太陽イメージからなら「サンサンシャイン」とかどうかな

    「三人」と「燦々」と「サンシャイン」で掛けてみた

    742 :

    >>741
    これでいいと思う

    743 :

    >>1
    いいか良く聞けっ!
    貴重な765内成人アイドル枠のあずさとのコミュは
    慎重に扱うべきだったぞ!

    マンネリ化を避けるのは良いとして
    他の女性を枷にしてしまう展開は誰も得をしない!

    救済があるのならそこらへんを考慮して
    まだ他の女性とはしていない事をさせて、描いてやれ!いいな!!

    744 :

    皆さんレスありがとうございます。
    じゃあユニット名>>741でいいですか?

    今日あたりに投下できればと思っております。

    >>743
    つまりあずささんのエンディングも書けということですか?
    わかりません。

    745 = 1 :

    数日後…。

    俺はまだ以前の雰囲気を取り戻せないでいた。

    春香と真、真美と会う機会がない。

    この日の午前中、俺は外回りに営業へ出かけた。

    帰ってくると何やら話し声が聞こえる。

    件の彼女たちだ。

    ここのところあまり練習にも身が入っていなかったと聞いている。

    俺は謝ろうと思って彼女たちのもとへ近づこうと思ったのだが…。

    春香「私たち、何のためにオーディション受けてるんだっけ…」

    その言葉に足が止まった。

    「そりゃ、テレビに出たりして活動するためでしょ?」

    春香「そうしたらどうなるの?」

    「そうしたら…有名になれるかな?」

    春香「本当に?」

    真美「ちょっと、はるるんどうしちゃったの?」

    「そうだよ春香、大丈夫?」

    746 = 1 :

    春香「ごめん…。でも私何のために頑張ってるんだろうって思っちゃって…」

    真美「なんか不満なことでもあるの?」

    春香「不満ってことはないけど…」

    「春香、聞かせてよ…」

    その後しばらく沈黙したが、春香はぽつりぽつりと話し始めた。

    春香「…私、アイドルになれたらもっとみんなを笑顔にさせられるものだと思ってた」

    声から少し悲痛な響きが伝わる。

    春香「でも私、一番身近な人を笑顔にできてない!…プロデューサーさん、私がオーディションに落選した時、いっつも辛そうな顔して、謝るんだよ!」

    真美「はるるん…」

    春香「私が笑顔で戻っても、ごめん、悪い、すまないって、そればっかり!…なんだか日に日に疲れたような顔になっていって、あれじゃ私、ただ迷惑になってるだけだよ…」

    「春香…ボクも同じだよ…。また次に挑戦しようって気持ちから、次は合格しなくちゃって…プレッシャーの方が強くなっちゃってさ…」

    真美「はるるんもまこちんも一緒だったんだ…」

    747 = 1 :

    春香「真美も…?」

    真美「うん。だってはるるんの言った通りだよ…。兄ちゃん、悲しそうな顔するの見たくないから…真美も次は上手くやらなきゃダメだって…。でもそう思うと余計にできなくて…」

    もうわからない…、と真美は最後に呟いた。

    再び静まり返る三人。

    やがて春香が口を開く。

    春香「私、アイドル向いてないのかも…」

    俺はそう聞いてぎゅっと胸を締め付けられる。

    そうしてようやく動かないといけないんだと思った。

    春香「アイドル辞めようかな…」

    P「ダメだっ!」

    三人は驚いて、一斉に振り向く。

    P「あ、いや、ご…」

    謝ろうとしたが言葉を飲み込む。

    開口一番で、謝ってしまうのはダメなんだと直感的に思った。

    748 = 1 :

    P「アイドル辞められると、一番悲しい…」

    思ってることを素直に告げた。

    P「あと、そのことで謝ろうと思ってた」

    春香「これ以上、何に対して謝るんですか…」

    P「お前たちの背中を押してやれなかったこと…」

    ぐっと息をのむのがわかった。

    P「俺は…お前たちが有名になって、たくさん出演のオファーを受けて、そうなったら幸せだと思った」

    喉の奥で何かが引っ掛かる。

    声を出すのが辛くなってきた。

    P「でも、それは俺の勘違いだった。…お前たちが頑張ってるの知ってたのに、頑張りを否定するようなことを言ってすまなかった」

    三人は俯きがちだが、話をちゃんと聞いてくれる。

    P「あの時ちゃんと背中を押してやることができたら、今みたいに悩む必要なんてなかったんだ。プレッシャーをかけるような真似をしてごめん…」

    春香「私もプロデューサーさんは、わざとそんなことをする人じゃないってわかってます…」

    けれど、そう感じてしまったんだ。

    749 = 1 :

    P「アイドル辞められると、一番悲しい…」

    思ってることを素直に告げた。

    P「あと、そのことで謝ろうと思ってた」

    春香「これ以上、何に対して謝るんですか…」

    P「お前たちの背中を押してやれなかったこと…」

    ぐっと息をのむのがわかった。

    P「俺は…お前たちが有名になって、たくさん出演のオファーを受けて、そうなったら幸せだと思った」

    喉の奥で何かが引っ掛かる。

    声を出すのが辛くなってきた。

    P「でも、それは俺の勘違いだった。…お前たちが頑張ってるの知ってたのに、頑張りを否定するようなことを言ってすまなかった」

    三人は俯きがちだが、話をちゃんと聞いてくれる。

    P「あの時ちゃんと背中を押してやることができたら、今みたいに悩む必要なんてなかったんだ。プレッシャーをかけるような真似をしてごめん…」

    春香「私もプロデューサーさんは、わざとそんなことをする人じゃないってわかってます…」

    けれど、そう感じてしまったんだ。

    750 = 1 :

    小鳥「ただいま戻りましたー」

    昼休憩の合間に外に出ていた小鳥が戻ってくる。

    小鳥「春香ちゃん、真美ちゃん、真ちゃん、お菓子買ってきましたよー」

    三人が深刻な表情だったので席を外し、お菓子で少しでも嫌なことを忘れないかと考えたのだ。

    小鳥「…あ」

    小鳥が見たのは件の三人の少女とPが目もとを少し腫らして、ソファーで仲良く寝てる光景だった。

    小鳥「ふふふっ…!よかったわね…」

    …俺は目を開けたとき、寝てしまったのか…、とすぐわかった。

    視線をさまよわせると、春香、真、真美が両脇で寝ている。

    目の前のテーブルにはお菓子の袋。

    その上に書置きがある。

    『為せば成る。ファイト!』

    と綺麗な字で書かれていた。


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