私的良スレ書庫
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元スレ晴絵「個人戦は見学していくからね」
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フナQでなんか書きたくなって愛宕家ハートフルストーリー書こうとしたらスタート地点が異常に暗くなって挫折しました
めげるわ…
とにかく投下します
めげるわ…
とにかく投下します
灼「……で?」
憧「いや、なんというか……あまり変な道に入り込ませないでほしいと言うか……」
灼「私が率先して引き込んでるわけじゃないし……むしろ、それとなく諭したんだけど」
憧「で、でも……」
灼「穏乃がああいう服が好きなら、私は止めれない……憧が私になにも言わないのと同じ」
憧「うぅ……」
それを言われると弱い
似合う服、似合わない服だけじゃなく好きな服、嫌いな服っていうのはあると思うし……
でも、しずにはやっぱり普通にお洒落させて、そういう話題も共有したいのだ
憧「……それじゃあ岩館さん!」
揺杏「なにー?」
憧「いや、なにじゃなくてですね……」
というか、最近普通に灼さんの部屋に入り浸ってるなこの人
憧「なんというか……ああいう服を作るのは」
揺杏「あ!そうだそうだ……憧ちゃんにワンピース作ってきたんだけど」
憧「へ? うわっ! すごい! かわいい!」
揺杏「いやー昨日急にピーンときてさぁ……憧ちゃんかわいいからつい気合入っちゃったよー」
憧「わぁ……ありがとうございます!」
うわー岩館さん本当に手先器用なんだなー
センスも普通に良いし……なんであんな変な服作って……
憧「って! 誤魔化されるとこだった!」
揺杏「ちっ」
憧「変な服作ってしずを煽るのやめてくださいよ!」
揺杏「そんなこと言われても頼まれたから作ってるだけだしなぁー」
揺杏「つーかさ、今日憧ちゃんに服作ってきたじゃん? で、これがその時に余った布なんだけど……」
憧「それがどうかしたんですか?」
揺杏「これをこう……適当に縫い合わせてみると……あら不思議! 普段ーが身に付けてる服のようななにかに!」
憧「はぁ!?」
揺杏「リサイクルで地球にもやさしいし、私も楽しいし、一たちは嬉しいし誰も損しなーい」
憧「いや、私が……」
揺杏「あーそろそろ腹減ったァ」
灼「食べ行こっか……憧はどうする?」
憧「え、ちょ……私はまだいいや」
灼「そ……じゃあ、ちょっと出てくるから」
揺杏「あ、ひとついい?」
憧「……なんですか?」
揺杏「私らに言うよりさー……一や初美さん、それか穏乃本人に言った方がいいんじゃね? マジで」
憧「ぐぬっ……でも、しずに言っても聞いてくれないし……」
揺杏「一番付き合い長い憧ちゃんが言っても聞かないなら私らがどうこうしたとこで変わんなくね?」
憧「むむむ……」
灼「……揺杏」
揺杏「あいよー。 じゃ、またねー」
わかってる……わかってるんだけど……
……とにかく、まだ諦めたくない……手は尽くす!
憧「――というわけで、助けてください!」
胡桃『まかせて!』
――――――
胡桃「こんにちはー」
憧「胡桃さん!」
胡桃「今日は頼もしい助っ人を連れてきたよ!」
エイスリン「Aislinn Wishartデス! ヨロシク!」
憧「新子憧です! よろしくお願いします、エイスリンさん!」
胡桃「……ね、憧ちゃん……今この部屋来るときに高鴨さん見たんだけどさ」
憧「またジャージでしたよね? ほんと……聞く耳持たずって感じで」
胡桃「いや、一緒にいた子がさ、なんか凄い格好してて……ほっぺに星のシール貼った」
憧「……それが龍門渕の国広さんですね」
胡桃「あまりのことに開いた口が塞がらなかったよ……」
エイスリン「ンン……エット、ショウキノサタジャナイネ!」
憧「難しい言葉知ってますね……で、まぁしずがあそこまでいかないうちに何とかしたいんですけど……」
胡桃「聞いたところ、もはや高鴨さんは服を試着すらしてくれない……そこでエイちゃんの出番なわけです! 先生、お願いします!」
エイスリン「ウム、セッシャニマカセルデゴザル!」
……時代劇でも見たのかな?
とにかく、エイスリンさんが手に持ったボードにさらさらとイラストを描き始める
エイスリン「コノモンドコロガメニハイラヌカ!」
バッと掲げたボードには、阿知賀の制服を着たしずのイラストが……
憧「ってすごっ! 速い上に上手い!」
エイスリン「カタジケノウゴザル」
胡桃「エイちゃんがいれば試着要らずだからね! これで視覚から高鴨さんのイメージを膨らませて、こういう服もいいかも、って思わせればこっちの勝ちだよ!」
エイスリン「『勝訴』」
憧「エイスリンさんさっきからなんか違いますよ!?」
エイスリン「ンン……マチガエタ?」
胡桃「エイちゃんはかわいいからオッケーだよ!」
灼「ただいま」
揺杏「ちーす」
純「国広くん来てるかー?」
憧「おかえりー……って井上さん!? 」
揺杏「イケメンお持ち帰りだぜ!」
胡桃「あれ? 鷺森さんと、たしか北海道の……そっちの男の人は知り合い?」
純「オレは女だ!」
エイスリン「オジャマシテマス!」
揺杏「うぉ……コニチハー……あー、ワタシノ、ナマエハ……」
灼「なんで揺杏が片言に……」
純「日本語喋ってんだろ?」
憧「簡単な挨拶ぐらい英語でできるでしょ……」
揺杏「……ついだよ! 恥ずかしいからあんま突っ込むなよなー」
憧「きょ、今日はどうしたんですか?」
純「ちょっと国広くんと連絡つかなくてさー……高鴨のとこ行くって言ってたからさ」
灼「ちょうど下で会った」
揺杏「モデル体型のイケメンが現れたから服作って着せ替え人形にしてやろうかと……で、憧ちゃんはお友だち集めて作戦会議?」
憧「……まぁ、そうですけど」
純「作戦会議? なんの?」
憧「実は……」
――――――
純「あー……なんか、すまんな」
憧「いや、井上さんのせいでは……」
胡桃「とりあえず、すまないと思うなら協力する!」
純「まぁ、暇だしな……よーしまかせろ!」
揺杏「つーかエイちゃんさんマジで絵上手ですねー……純に作る服の案出すからいくつか書き起こしてくれません?」
エイスリン「オッケーデス!」
灼「……穏乃、国広さんと薄墨さんとしばらく買い物してから帰ってくるって」
憧「一、二時間ぐらいは余裕あるかな? それまでにいくつか仕上げてもらってなんとかしましょう!」
胡桃「エイちゃん、高鴨穏乃ちゃんってわかる?」
エイスリン「ワカルヨ! ンン……オヤマノタイショウ!」
胡桃「……山の好きな阿知賀の大将さんだからだいたい合ってるね!」
憧「……まぁ、はい……だいたい合ってますね」
純「描けた! どうだ!」
エイスリン「Oh! ジュン、ハヤイネ!」
憧「……えっ、と」
揺杏「……お、おう」
灼「……味のあるイラスト」
うん、まぁ……かろうじてしずに見えなくもない
あーその、うん、井上さんもちょっとかわいいとこあるじゃない
胡桃「下手くそだね!」
純「うっせーチビ! わかってるよ! これでも頑張ったんだよ!」
胡桃「うるさいそこ! チビって言わない!」
エイスリン「ユアン! ジュン、デキタヨ!」
揺杏「おー……純の後だから余計に上手く見える」
純「いちいち要らんこと言うなよ!」
純「あー……もういいよ!」
バタン!
勢いよく扉が閉まり……井上さんはクローゼットの中に引っ込んでしまった
……拗ねちゃった?
くそっ! イケメンのくせにかわいいな……ギャップ萌えってやつ?
揺杏「よーし……純のはだいたい揃ったから次はどうする? エイちゃんさん? 鹿倉さん?」
胡桃「……いいの?」
揺杏「いいよいいよー! 私個人戦無いからしばらく暇だし」
胡桃「……えっと」
憧「いいじゃないですか! 私が今着てるのも岩館さんに作ってもらったやつで……」
灼「せっかくだしいいんじゃないですか?」
エイスリン「クルミカラ! ニアウフク、カイチャウヨ!」
胡桃「エイちゃん……ありがとう! よろしくね!」
――――――
穏乃「ただいまー」
一「おじゃましまーす」
初美「おや? エイちゃんと胡桃ちゃんがいますよー?」
エイスリン「ハッチャン! オヒサシブリデス! 」
ガチャ
純「国広くんやっと来たかー……誰も相手してくんないから寂しくって……」
一「なんでクローゼットから!? そりゃそんなとこいたら相手されないって!」
純「みんな夢中で……まさか一時間近く放置されるとは……」
一「どうして一時間もそこにいたのさ!?」
純「なんか、自分から出てったら負けな気がして……」
一「なにと戦ってるの!?」
憧「く、胡桃さん……」
胡桃「うん……忘れてたね、高鴨さん……」
揺杏「まぁ忘れてたもんは仕方ないっしょー」
灼「ドンマイ」
つい夢中になってしまった……
っていうか岩館さんわざとやってない?
私をからかって楽しんでる気がするんだけど……
胡桃「うー……とりあえず私たちの絵になっちゃうけど、いくつか抜き出して見てもらおうか」
胡桃「ほら、最悪気に入らなくてもエイちゃんになんか描いてもらおうかなー?とか、そういう気分になるかもだし……」
憧「そうですね……なにもしないよりは……」
一「ところで、夢中になって……純くん放置してみんなはなにしてたの?」
純「んー? ほら、エイスリンに絵を描いてもらって、それを元に揺杏が服を作るんだってよ」
エイスリン「カキマス! ……エイッ! ドウ? シズノデス!」
穏乃「わぁ……すごーい! 」
初美「やっぱりエイちゃんは絵が上手ですねー」
一「かわいいなぁ」
エイスリン「……ソウ?」
穏乃「すごいですっ! これ、もらっていいですか?」
エイスリン「ドウゾ!」
初美「ただ、服のデザインは改良の余地がありますねー」
一「もう少し描いてもらってもいいですか?」
エイスリン「オマカセアレ!」
胡桃「……よし! 候補はこんなところじゃない?」
憧「それじゃあこれをしずに……」
純「新子……すまん! オレには止めることができなかった……」
憧「へ?」
純「ほら……アレ」
井上さんがそう言って指した先には……
穏乃「もうね、刀や王冠に勝つにはこれしかないと思うんですよね……ズバリ! 羽を付けましょう!」
一「その発想力……高鴨さん、やはり天才……!」
エイスリン「wings? アー……コンナ、カンジ?」
初美「おおー! 布削れば本当に飛べちゃうんじゃないですかー?」
穏乃「鳥人間コンテストとか出れますか!?」
揺杏「いや、飛ぶのはさすがに……羽ばたくギミックぐらいは仕込めるかも……」
エイスリン「You can fly! シンジレバソラモトベルヨ!」
胡桃「エイちゃん……目を離した隙に壁の向こう側に……」
憧「」
カン!
エイちゃん…といつもの人たち
次はたぶん…やえさん?華菜ちゃんかも
次はたぶん…やえさん?華菜ちゃんかも
アコチャーが報われる日は来るのか・・・
咲がスランプ脱却するほうが早そう
咲がスランプ脱却するほうが早そう
ゆうたんイェイ~
なにも準備してませんごめんなさい…明日明後日ぐらいには投下に来たい
>>573咲照は個人戦でおそらく和解できるでしょうが…その頃にはきっと穏乃もはじめちゃんやはっちゃんともっと仲良くなってるでしょうね…
なにも準備してませんごめんなさい…明日明後日ぐらいには投下に来たい
>>573咲照は個人戦でおそらく和解できるでしょうが…その頃にはきっと穏乃もはじめちゃんやはっちゃんともっと仲良くなってるでしょうね…
憧「うぅ……やっぱり私たちだけじゃ限界があるんですかね? 他に頼りになる人とかいませんか?」
胡桃「うーん……シロはダルいって協力してくれないだろうし、豊音は純粋すぎて取り込まれそうだし……塞は常識あるけどお団子パッツンにモノクルと、かなり個性的で素養あるようにも見えるよね……」
エイスリン「……カケタヨ! アコチャンデス!」
揺杏「じゃ、次の新作はこれでー」
憧「うわ……(普通に)かわいい! ありがとうございます! それにしてもエイスリンさん、この前はなんであんな……」
エイスリン「?」
胡桃「……この前エイちゃんがはっちゃん達の絵描いたでしょ?」
エイスリン「ウン! ハッチャンモ、ハジメモ、シズノチャンモホメテクレタシ……ミンナヨロコンデタヨ?」
憧「そうなんですけど……最初の目的でいうとアレじゃあ、その、逆効果と言いますか……」
エイちゃん「Why? ……アコチャントクルミ、シズノチャンノエヲカイテッテイッテタ……マチガエタ?」
胡桃「……間違ってないよ! エイちゃんは頑張ったから! ありがとう!」
エイスリン「……ウン! コレカラモガンバルヨ!シズノチャンノエ、イッパイカクヨ!」
憧「……胡桃さん」
胡桃「……エイちゃんはほら、ちょっと趣旨を履き違えてただけだから……」
なんというか、エイちゃん補足…たぶんよくわからないで頑張って絵を描いただけ
もう日付跨いだしゆうたんイェイ~はスルー(あったかくない)
シノハユと日和楽しみです。今晩か明日になにかしら投下したい
もう日付跨いだしゆうたんイェイ~はスルー(あったかくない)
シノハユと日和楽しみです。今晩か明日になにかしら投下したい
話の構成的には本編よりシノハユの方が好きかもしれません
閑無→リチャのちょっと背伸びした初恋とか書いてみたい
投下しときます
閑無→リチャのちょっと背伸びした初恋とか書いてみたい
投下しときます
私には力があった……いや、あると思っていた
仲間の信頼、周囲の期待、多くのものを背負って戦い……最後には勝つ自信があった
きっと、この子も私と同じだったと思う
多少立場は違えど、そこで自分の戦いが終わるなんて思いもしなかっただろう
昔のこともあるし……正直、恨まれてすらいるんじゃないかと思っていた
やえ「赤土さん、こんにちは……団体戦、おめでとうございます」
晴絵「小走さん、ありがとう……東京に出てきたんだね」
やえ「そろそろ個人戦も始まりますから……今日は、たまたま近くまで来たので挨拶しておこうかと」
晴絵「そっか、わざわざごめんね? 今日はみんな出ててさ」
やえ「べ、別にわざわざ来たわけじゃないですし……たまたまですから、たまたま!」
頬を染めてそっぽを向く小走さん……結構分かりやすい子だ
これは、今流行りのツンデレってやつだよな?
やえ「……といいますか、今回はむしろ……その、どちらかというと、赤土さんにお会いしたかったので」
晴絵「私に?」
これはただの照れ隠しか? 灼と仲いいみたいだし、そっちだと思ったんだけど
小走さんからの用事って特に思い当たらないけど……まさか……
晴絵「……十年前と、団体戦のお礼参り?」
やえ「どうしてそんな発想がでてくるのよ!? 違うっつーの!」
やえ「っと……すいません、つい」
晴絵「あはは……こっちこそごめんね? 冗談だよ、一応」
やえ「一応って……まぁたしかに、また赤土晴絵にやられたって上の方は悔しがってましたけどね」
晴絵「ま、だろうね……晩成の歴史中二つの傷……その両方に私が関わっていることになるからな……」
晩成高校は40年間で39回の県大会優勝というとてつもない記録を打ち立てている
私の代で負かされるまでインターハイ30年連続出場……一度は記録が途切れたものの、その後もまた勝ち続けて9年連続出場をしていた
北大阪の千里山女子が過去35回出場、現在11連続出場……東東京の臨海女子が現在16年連続出場と、名門校と呼ばれる中でも別格の記録だ
晴絵「……実際のところ、晩成のエースで部長の小走さんとしては私に対して思うところもあるんじゃないのか?」
やえ「えっと、その……」
晴絵「……ごめん、ちょっと意地悪だったな……私も、インハイに関してはちょっとね」
……みんなの手でインターハイに連れてきてもらって、やっと一歩前に踏み出すことができたとは思う
それでも、やっぱり私にとってインターハイは特別なものだ
多少は気持ちも落ち着いたけど……まだ、冷静にはなりきれていないところもあるみたいだ
今となっては、期待を受けながら敗北した……晩成側の気持ちもわかってしまうだけに、どちらかというと私が小走さんに対して思うところがあるのかもな……
やえ「……そりゃ、なんとも思ってないわけじゃありませんけど、少なくとも恨んだりはしてませんよ」
晴絵「……そうかい?」
やえ「恨んでたら、壮行試合なんて組みませんよ」
晴絵「それもそうだね……ありがとう、あの時は本当に助かったよ」
やえ「いえ、こちらとしても……負けたのは悔しかったですし、単純にもう一度打ちたかったのもありましたから」
やえ「インターハイ……今年こそは、という気持ちもありましたし……団体でやられた分、個人戦で雪辱するつもりだったんですけどね」
晴絵「うちは個人戦登録してなかったからなぁ」
やえ「私としては、インターハイ前にその分打たせてもらったって思ってます……負けっぱなしで、悔いを残してインターハイに挑みたくはなかったので」
晴絵「そっか……私さ、小走さんと晩成には本当に驚いたよ」
晴絵「正直、団体戦でも玄相手に一万点以上プラスを維持されるとは思わなかったし……チーム全体でもあそこまで巻き返されるとは思ってなかったからね……壮行試合の時はかなりの勢いでうちの子たちやられてたしね」
みんなには晩成に勝つのは厳しい、なんて言っていたけど……実際、うちは特殊な打ち手を抱えているし情報アドバンテージを加味して大会では8-2有利ぐらいに考えていたが……想定以上に地力のあるチームだった
もし、県決勝で当たるようなことになっていたら本格的に危なかったかもしれない
やえ「……私は、今年のメンバーは私のいた三年間で一番だったと思ってますよ」
晴絵「うん……小走さん自身も去年よりレベルアップしているのがよくわかったし……巽さんは特によかったね、二年生で晩成の大将を任されるだけはある」
晴絵「……個人戦、応援してるよ……敵の私に言われても複雑かもしれないけどさ」
やえ「……いえ、素直に嬉しいです……その、この間のラジオも聞きました」
晴絵「うぇ……恥ずかしいな……結構酷かったろ?私」
やえ「詳しい情報を発信できない中で、各選手の考察なんかもしっかりしてたと思いますよ……酷かったのは福与アナでしょう」
晴絵「あはは……はしゃぎにはしゃいでたね、こーこちゃんは」
やえ「ちょっとキャラ強すぎじゃないですか? 小鍛治プロと相性いいみたいですしなにかやらかさなきゃ干されはしないと思いますけど」
やえ「って、その話は今はいいんですよ! その……赤土さんに期待しているって言われたこと……本当に嬉しかったんです、例えテレビ的なことだったとしても」
晴絵「……期待してるってのは本当だよ。 小走さんは実力もあるし、世話にもなった……それに、私も奈良の人間だしね……同郷の子に頑張ってほしいさ」
やえ「ふふ……私も、阿知賀の応援してましたよ。 県人未踏の決勝戦……私の手で果たしたかったんですけどね」
やえ「……その、阿知賀のみんなほどではないと思いますけど、私にとっても赤土晴絵は特別な雀士なんです」
晴絵「……私が?」
やえ「はい……私だけでなく、奈良の雀士にとっては多かれ少なかれ特別な雀士だと思いますよ、赤土晴絵は」
晴絵「…………」
やえ「県大会前、コンビニの前で一度見かけましたけど……夜中だったのに後輩の車井はすぐにわかったみたいですし、岡橋も名前を聞いてピンと来たみたいですし……」
やえ「それに、インハイの時期になると王者晩成! ってすぐに騒がれますけど、晩成の話題になれば赤土晴絵の名前も大概出てきますしね……」
晴絵「……そう言われてみると、たしかに奈良では知名度がある方なのかもな」
やえ「赤土さんが晩成を破った十年前のインターハイ……私はその頃には麻雀牌を握っていて、マメもできないほど練習に打ち込んでました」
やえ「大きくなったら晩成高校に入ってインターハイに出て、プロ雀士になるんだ! ってその頃からの夢でしたよ」
晴絵「ま、私もそんな感じだったよ。 偏差値70の壁があったから晩成は諦めたけどね……」
やえ「その頃から私は麻雀以外の時間は勉強してましたけどね」
晴絵「私は勉強嫌いだったんだよ……」
やえ「ふふ……ま、晩成高校は県内の幼年雀士の憧れで……衝撃的でしたよ」
やえ「晩成高校の敗北と……赤土晴絵の登場は」
晴絵「……すぐに消えちゃったけどね」
やえ「それでも、県民にとって……私にとって王者晩成は絶対的な強さの象徴でしたから」
やえ「……強い、ってのは子どもが憧れるのに十分な要素ですよ」
晴絵「…………」
やえ「赤土さんが当時の小鍛治健夜や瑞原はやり、野依理沙と打って……敗北したとはいえ、その対局は多くの人の心に残ってます」
晴絵「……酷い負け方したからね」
やえ「敗北のイメージが強かったら根強い人気はないと思いますよ」
やえ「……灼だって、赤土さんが帰ってきたのを出迎えたんでしょう?」
『はるちゃんお帰りなさい! 』
『インターハイカッコよかったです! 』
『これからも応援してます!』
晴絵「…………」
なんか、結構覚えてるもんだな……
ちんまい灼が木の陰からパッと出てきてさ……
……ヤバい、なんか泣きそ
最近涙腺ゆるみっぱなしだ
やえ「結果的には敗戦も……対局相手は現在のトッププロ三人です」
やえ「赤土さんの実力は日本リーグでの活躍でも証明されてると思いますし……」
やえ「私も……憧れの、目標の雀士である赤土晴絵に……期待していると、そう言われて……本当に嬉しかったんですよ」
やえ「だから、その、なんというか……今日はまぁ、感謝といいますか……」
晴絵「あはは……サインでもしよっか?」
やえ「……い、いただけるなら」
晴絵「マジでかー」
やえ「……壮行試合の時とか結構緊張してました」
晴絵「……インターハイで、地元以外にファンがついてるとは思わなかったよ」
やえ「赤土さんも、もっと自分に自信を持ってくださいよ」
やえ「結果も出てますし……いつまでも自分を卑下しているようじゃ、灼や阿知賀のみんなもかわいそうです」
晴絵「……そうだな」
……高校生に説教されてるよ、私
カッコ悪いなぁ……
晴絵「あのさ、灼たちはもう知ってるけど……私、プロになろうと思ってる」
やえ「……!」
晴絵「あ、これ内緒だぞ? まだいろいろ白紙だし」
晴絵「なんか……踏ん切りつけたつもりだったんだけどなぁ」
……まぁ、あの頃のことは忘れられることじゃないか
精々引きずらないように、しっかり抱えて行くとしよう
やえ「……陰ながら応援してます」
晴絵「ありがと……もしかしたら私より先に小走さんがプロ入りするかもしれないけどね」
憧「あれ? ハルエと……小走さん?」
灼「来てたんだ?」
やえ「……ついさっきね」
晴絵「おかえりー」
玄「ただいま帰りました!」
穏乃「こんにちは!」
やえ「どーも……団体戦おめでとね」
宥「ありがとうございます~」
やえ「どうだった? 全国の雀士は?」
穏乃「すっごく強くて、すっごく楽しかったです!」
憧「大会外でも去年二位の荒川さんとかいろんな人と打たせてもらってるんですよー」
玄「チャンピオンが強くて……」
やえ「そりゃ弱かったらチャンピオンじゃないでしょ」
宥「玄ちゃんが一番大変だったから……」
灼「……個人戦も始まるし、次はそっちの番だね」
やえ「ええ……個人戦、始まるわね」
やっぱり……なんだかんだ仲良くやってるなぁ、この子ら
晴絵「……どうだい? 勝算のほどは」
宥「小走さんもとっても巧いけど、全国の雀士はやっぱりレベル高かったよ?」
玄「チャンピオンに勝つのは大変だと思いますけど……」
やえ「……まぁ心配しなさんな」
灼「私はあまり心配してないけどね」
憧「ふふ……全国にニワカ雀士はいませんよ?」
穏乃「やっぱりなにか作戦があるんですね!?」
……小走さんは私に似た雀士かもしれない
やえ「私は私の麻雀を打つだけよ」
県大会以降の取り組みを見ていても、玄を中心にうちの選手の少ない牌譜からよく研究をされていた
やえ「団体戦はあんたたちにやられちゃったけどね……」
思考は止めず……基本に忠実に、時に大胆に打ち回す……彼女が私と違うところと言えば
やえ「私たちは個人戦の奈良代表としてまだ残ってる……全国の舞台で、存分に戦えるわ」
彼女が、晩成の人間だということだ
眠いです…矛盾点とかあったらさーせん
気づいたら打ちきり少年漫画みたいになってた
実際、他校と晩成の記録を見比べるととんでもないし、その晩成を倒したハルちゃんは奈良県内では相当の評価がされてるとおも…
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