私的良スレ書庫
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元スレ晴絵「個人戦は見学していくからね」
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咲SS
・阿知賀キャラ+他校キャラ
・短いのをちょこちょこ投下するスタイル
・のんびりゆっくり
よろしくお願いします
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・短いのをちょこちょこ投下するスタイル
・のんびりゆっくり
よろしくお願いします
今日はとってもいい天気
こんな日はカーディガンを羽織って、お気に入りのマフラーを巻いてお散歩をするんだ
宥「ふふふ……あったか~い」
東京は吉野と比べて人も多い
真夏にこんな格好をしているからかな?……多くの人が振り返って見ているのを感じるけど、それももう慣れっこだ
「なぁ、あれって……」
「うん、たぶん……」
……それでも、指を指してヒソヒソ話をされるというのはやっぱりいい気はしないよね
地元では回りの人も見慣れたもので「ああ、あの子か」といった風に挨拶をしてくれたものだけど……
宥「うう……あったかくない……」
「あの、すいません」
宥「ふぇ?」
「もしかして……阿知賀女子の松実さんじゃ……?」
宥「え、あ、は……はいぃ……ま、松実宥ですぅ……」
「やっぱり!インターハイ惜しかったですね!かっこよかったです!」
宥「え、あ……ありがとうございます!」
私たち阿知賀女子学院はインターハイ団体戦三位という結果で終わった
全力で戦った結果にみんなも満足しているように思う
それにしても声をかけられるなんて……自分の格好が特徴的だから覚えてくれていたのだろうか?
もしかしたら、先程から視線を感じたのはインターハイのこともあったのかもしれない
見知らぬ自分達を応援してくれていた人もいたんだな
都会の人は冷たいって聞いていたけど……
宥「ふふふっ……あっかいねぇ~」
ちょっと嬉しくて軽くスキップしてしまう
ぽかぽか陽気で気分がいいな
スキップスキップらんらんらん
なんて、鼻唄混じりに少し歩くと小さな公園を見つけた
子供たちが楽しそうに走り回っているのを見ると私もなんだか楽しくなってくる
宥「ふふふっ」
思わず笑いが溢れてしまう
ベンチもあるし、少し休憩していこうかな?
ポーチから水筒を取りだしてあったか~いお茶を飲んで一息つく
「ひっさつ!びぎにんぐ・おぶ・ざ・こすもす!」
「ごぶれいパンチ!」
なにかアニメの物真似かな?必殺技を叫びながら熱い戦いが繰り広げられているみたいだ
やっぱり子供たちの笑顔はあったかいなぁ
宥「ん……ふぁ……」
和んでいたら少し眠くなってきちゃった……
そういえば、最近は麻雀麻雀でゆっくり休む暇もなかったなぁ
宥「……少しくらい、平気だよね……?」
――――――
「――!――――!」
宥「ん……なぁに~?」
気持ちよく眠っていたのに、肩を揺さぶられて目が覚める
お昼寝ぽかぽか気持ちよかったのに……
宥「あったかくないぃ……」
「えぇ!?その格好で寒いのはマジでヤバいですって!ちょっと、起きれますか!?大丈夫ですか!?」
宥「うぅ……だぁれ?くろちゃ……?」
「嘘っ!?ついこないだ麻雀打った仲やないですか!まさか弱すぎて覚えてないとか……って誰が雑魚やねん!?」
宥「ふぇぇ?……あれ?二条さん?千里山の……?」
泉「覚えとるやないかい!」
宥「ふぁ……どうしたの?こんなところで……」
泉「いやいや!こっちのセリフですって!ベンチで倒れてるから何かあったのかと思って……!」
宥「えぇ?……あ、私はお昼寝してただけだから大丈夫だよ~?」
泉「お昼寝ってこんなところで……!ってそれよりホンマに大丈夫ですか?そんな格好で熱中症とか……」
宥「私はちょっと珍しい体質だから……この格好じゃないとダメなの」
宥「大丈夫だから……ごめんなさい、心配してくれてありがとう」
泉「あ、いや……なんともないならよかったですけど……ってよかないですよ!」
宥「ふぇ!?」
泉「年頃の娘さんがこんなところでのんびりお昼寝って……!なんか事件とかに巻き込まれたらどうするんですか!?」
宥「あ、あぅぅ……ご、ごめんなさいぃ……」
泉「あ……す、すいません!こっちこそ大声だして……」
いきなりでびっくりしちゃったけど……心配して声をかけてくれたんだよね?
二条さんは私の隣に座って、なんだかどっと疲れた顔をしている
大きな声を出したからかな?……あ、そうだ!
宥「二条さん、お茶でもいかがですか?」
泉「へ?あ、ありがとうございます……ちょうど喉乾いたなー思ってたんですわ」
宥「はい、どうぞ」
泉「いただきます……熱っ!?」
宥「だ、大丈夫?」
泉「あ、はい!大丈夫です!すいません落としちゃって……ってかなんですかこれ!?」
宥「えぇ?あったか~いお茶だよ?」
泉「いやこれ熱湯やん!」
宥「あぅぅ……」
私にはちょうどいいあったかさなんだけど……
宥「ご、ごめんね?」
泉「え、あ、いや!その……熱々おでんみたいなもんでこれはこれでおいしいですよね!?」
宥「うん!私もおでん大好きだよ~」
泉「いやそういう意味じゃ……」
宥「?」
泉「……なんでもないですわ」
二条さんは頭を抱えているけど……なにか変なこと言っちゃったかなぁ?
でも、おでんっておいしいよね?コンビニでも一年中置いてくれたらいいのになぁ
あつあつの大根、ちくわ、こんにゃく、がんもにはんぺん……
泉「あの、松実さん」
宥「えっ?なぁに?」
泉「聞いてるだけで暑くなってくるんで勘弁してもらえますか……?」
口に出ちゃってたみたい……恥ずかしいなぁ
宥「あ、でも……二条さん」
泉「なんですか?」
宥「二条さんはその制服じゃあ寒くない……?」
泉「いやいや今真夏ですよ!?これでも暑いくらいですって!」
……普通の人はそういうものなのかな?
でも、肩も出てるし……お、おへそも見えちゃってて私はちょっと……せ、せくしー過ぎて着れないかなぁ
宥「それじゃあ、暑いから制服をそういう風にしているの?」
泉「実は……これには深い理由がありまして」
宥「な、何があったの?」
泉「あれは、私が千里山に入学した頃……」
――――――
自分で言うのもなんですが、私はインターミドルでも結構活躍して推薦もらって千里山に入学したんです
しかし、入学当初は中学生と高校生のレベルの違いを感じて少し伸び悩んでいたんですわ……
それでも名門千里山に推薦で入った以上、弱音なんて吐いてられません
千里山は昨年二位……一年に即戦力が期待されてないのはわかってましたが、全国優勝の旗を関西に持ち帰るのが自分の使命やって思ってましたからね
それで、練習時間を少しでも多く確保するために登下校はちょっと近道して……近くの病院の敷地にお邪魔して突っ切ってたんです
ある日、私がいつものように病院の敷地に入ったときのことです
男の子がサッカーボール抱えて泣いてたんですわ
気になって話しかけてみたらどうも事故で足を怪我したらしくて……またサッカーをするには手術しないといけないとか
でも手術に失敗したら二度とサッカーはできなくなる……
手術は怖いけど、それよりもサッカーができなくなる方が怖い言うてまた泣くんですわ
私もその頃、名門千里山の看板のプレッシャーや高校麻雀に対する不安やらでかなり辛い時期でしたから……なんとか元気付けてあげたいって思ったんです
その時たまたまハンカチを持ってなかったんで……制服の袖を千切ってその子の涙を拭き取って、私は言ったんです
『男の子が泣いたらアカン。私は千里山で今年中にレギュラーになるから君も頑張って手術受けるんや!』ってね
関西じゃ千里山の名前を知らん人は居ませんからね……その子も一年生がレギュラーなるんは無理や言うんですわ
せやから、『一年生が千里山でレギュラーとる確率に比べたら手術の成功する確率の方がずっと高い。私は必ずレギュラーになって大会に出るから、君の手術も必ず成功する』って言ったんです
……その男の子もそれで少しは元気が出たみたいで、頑張って手術受けるって言うてくれました
私も自分の言葉には責任とらんといけないと思ってそれまで以上に努力して……夏の予選前にやっとレギュラーの座を手に入れたんです
泉「それから手術は成功して、私も部活はレギュラー、テストは満点、彼氏もできて万々歳……って話ですわ」
宥「…………」
泉「……あれ?松実さん?」
宥「あったか~い話だねぇ……私、感動しちゃったよ」
泉「突っ込めやぁぁぁぁ!!」
宥「ふぇぇぇぇぇ!?」
泉「なんでや……なんで泣いとんねん……天然か!突っ込みどころ満載やろ!」
泉「制服ネタで外したん初めてや……いつもならこれでドッカンドッカン来るのに……」
凄く良い話だと思ったんだけど……間違った反応をしちゃったのかなぁ?
二条さんは頑張りやさんで、とっても優しい人なんだねぇ
……そうだ!
泉「うぅ……自信なくすわ……松実さんみたいなタイプうちには居らへんしどうしたら……」
宥「ねぇねぇ、二条さん二条さん」
泉「……はい?どうかしましたか松実さん?」
宥「その、松実さん……っていうのはやめにしない?」
泉「へ?」
宥「えっとね、だから……ほら、玄ちゃんもいるから、少しややこしいかなって」
宥「だから、名前で呼んでほしいなぁ」
泉「え……それじゃあ、宥さん?でいいですか?」
宥「うんっ!私も……泉ちゃん、って呼んでいいかなぁ?」
泉「あ、はいっ!もちろんです!」
えへへ……やったぁ!お友達が増えちゃった!
宥「ふふふっ……泉ちゃん?」
泉「なんですか?宥さん」
宥「えへへっ……なんでもないよ~」
嬉しいなっ 嬉しいなっ
お友達ができちゃった
わくわく どきどき
いろんなお話がしたいなぁ
麻雀のこととか、好きな食べ物、お飲み物
ほかにもたくさんたくさんお話をして……
泉「あ、宥さん」
宥「なぁに?泉ちゃん」
泉「すいません……そろそろ個人戦に向けてのミーティングがあるんでホテル戻らないといけないんですわ」
宥「……そっかぁ」
せっかくお友達になれたのに残念だなぁ……
もっとお話したかったなぁ……
泉「ちょ……そんな顔しないでくださいよ」
宥「あぅ……ごめんね?遅れたら大変だし、私は大丈夫だから帰ってもいいよ?」
泉「……じゃあすいません、これで失礼します」
泉ちゃんがベンチから立ち上がる
隣のスペースが空いたらやっぱり少し寂しくなっちゃった
泉「宥さん」
宥「……なぁに?」
泉「うっかり忘れるところでしたわ……連絡先交換しときましょ?」
宥「……うんっ!」
泉「阿知賀は個人戦は出てないですよね?」
宥「うん……だけど、見学していくからしばらく東京にはいるよ~?」
泉「それじゃあ予定空いてるときにメールしますわ……私が大会でボロ負けしたのは忘れてませんからね?今度麻雀打ちましょうよ」
宥「うんっ!楽しみだねぇ~」
宥「あっ、阿知賀は個人戦も出てないから対外試合も大丈夫だよ?」
泉「そういやそうですね……それじゃあ監督にも話して許可が出たら練習試合申し込ませてもらいますね」
泉「じゃあ、そろそろ本気で時間もヤバいんで戻りますわ!」
走り出した泉ちゃんの背に大きく手を振る
宥「うん、またね!……あとでメールするね~!」
――――――
宥「ただいま~」
玄「おかえりなさい、お姉ちゃん」
玄「……あれ?お姉ちゃんなんだか嬉しそうだね?」
宥「うんっ!お散歩してたら千里山の二条泉ちゃんに会ってね?お友達になっちゃった~」
玄「おお!それはやりましたね!お姉ちゃん昔からお友達作るの苦手だったもんねぇ」
宥「うん……だから今日はとっても嬉しいの!」
玄「お姉ちゃんが嬉しいと私も嬉しいよ!二条さんはどんな方でしたか?」
宥「とっても優しくて、とっても頑張りやさんのあったか~い人だったよ~」
玄「それはとっても素敵だね!」
宥「玄ちゃんが会いたがってた人には会えたの?」
玄「……それが、今はお出掛け中らしくて会えなかったの」
宥「それは残念だったね……」
玄「うん……でも個人戦が始まる頃には帰ってくると思うし……諦めないよ!」
宥「うん!玄ちゃん頑張って~!」
玄「うん!頑張るよお姉ちゃん!」
宥「今日はみんなはどうしてるのかな?」
玄「うーん……あ!穏乃ちゃんはラーメン食べてくるって言ってお昼前からお出掛けしてるよ!」
宥「穏乃ちゃんは元気いっぱいであったかいねぇ~」
今日も一日おひさまぽかぽかあったかかったな
あったか~いお友達もできたし
やっぱりお天気の良い日はお散歩に限るねっ!
カン!
泉「すいません!今戻りました!」
セーラ「お、泉ギリギリやで?なにやってたん?」
泉「あ、外で阿知賀の松実宥さんに会いまして……ちょっとお話しして仲良くなったんですわ」
浩子「へぇ、阿知賀の……」
泉「個人戦は見学してくからしばらく東京にいるそうです。許可が出れば練習試合もできそうって話ですわ」
浩子「よくやった泉!それじゃあおばちゃん……もとい、監督に話してくるわ」
セーラ「にしてもどうやって仲良くなったん?松実姉ってちょっと人見知りっぽかったやん」
泉「いやぁ、寒がってたから袖を千切って肩に掛けてあげたんですわ」
セーラ「はっは!……なんや!それで制服の袖無くなってもうたんか!っふふふ」
セーラ「くくく……つか俺袖ある時見たことないで?」
泉「そりゃ生えるたびに千切っては必要な人にあげてますんで」
セーラ「お前の制服何製やねん!とかげの尻尾か!ふふふっ」
泉(……やっぱりいけるやん!)
もいっこカン!
投下します
適当に一周したら落とそうかと思ってましたがキャラ名も幾つかあげていただけましたし、予定分の消化後に書けたらいいな
適当に一周したら落とそうかと思ってましたがキャラ名も幾つかあげていただけましたし、予定分の消化後に書けたらいいな
ここは、戦場だ
隣を見れば、今日一日図らずも戦い続けることになった相手がいる
私は今まで使うことの無かったその呪文を唱えた
――――――
負けた……完全なる敗北だ
あれは本当にラーメンだったのだろうか?
というか、この人は私と一緒に昼前からずっとラーメンを食べ続けていたはずなのにどうして涼しい顔をしていられるのだろうか?
「――ひとつ、教えてあげマショウ」
何を言われるのだろう?
マナーを間違えちゃったのかな?
ギルティされてしまうのだろうか?
「バトルとかロットとか、ネットの中だけのネタでスヨ」
穏乃「そうなんですか!?」
「むしろどうして信じたんでスカ……」
穏乃「いや、なんかそういう話がいっぱいあったからそういうものなのかなって!」
「タカカモさんは純粋なんでスネ……」
穏乃「そうですか?あ、私は穏乃で良いですよ!ダヴァンさん!」
ダヴァン「そうでスカ?では私のこともどうかメグと呼んでくだサイ、シズノ」
穏乃「はい!メグさん!」
穏乃「ところで、ガセだったってことは、呪文の練習してこなくても平気だったんですか?」
ダヴァン「問題ないと思いマス……できた方が楽しそうでスシ、いろいろスムーズに進むと思いまスガ」
ダヴァン「それにしても日本はよくわからない呪文が多すぎマス……」
ダヴァン「コーヒーを飲むときは、ベンティアドショットヘーゼルナッツバニラアーモンドキャラメルエキストラホイップキャラメルソースモカソースランバチップチョコレートクリームフラペチーノ、と唱えることができないと恥をかくそうでスネ」
穏乃「そうだったんですか!?私はコーヒー苦くて飲めないから知りませんでした!」
ダヴァン「モンケッソクカゲキカゲムシャキザンキザンキザンシエンシハンと唱えると相手は死ぬそうデス」
穏乃「何言ってるのか全然わからないけど強そうですね!」
ダヴァン「おそらくニンジャの術でショウ……あとは特定の条件を満たして、タッカラップトポッポルンガプピリットパロと唱えると願いが叶うトカ……」
穏乃「あ!それは知ってます!」
打ち解けた私たちはいろんなことを話した
醤油ラーメンのこと
塩ラーメンのこと
味噌ラーメンのこと
豚骨ラーメンのこと
他にもチャーシューやスープなど……話題が途切れることはなかった
――日本のラーメンはまさにムゲン
素晴らしい言葉だ
そう!醤油と塩のどっちが偉いとか、そういうことじゃない!
ムゲンのラーメンがあるからこそ全てのラーメンを等しく愛さないといけないんだ!
穏乃「うう……そのラーメンへの愛!感動しました!弟子にしてください!」
ダヴァン「弟子でスカ!?アー……そういうわけにはいきまセン……私は日本に来てまだ数年でスシ……食に対してもまだまだ不勉強ないわばニワカですカラ」
ダヴァン「むしろ、私が弟子入りしたいくらいデス!シズノの食べっぷりには惚れ惚れしまシタ!」
穏乃「そんな!私なんてまだまだですよ!最後の方は虫の息でしたし!」
穏乃「それにニワカだなんて……今日私が行ったラーメン店全部で会ったじゃないですか!」
ダヴァン「シズノが回っていたのは有名店ばかりでしたカラ……私も行ったことのない有名店を回っていたから出会ったのは必然だったのデス」
穏乃「行ったことが無かったんですか?これほどラーメンを愛しているのに……」
ダヴァン「私は麻雀留学生でしたカラ……一日のほとんどを練習に費やしていたので普段はもっぱら近所のラーメン屋とカップ麺デス」
穏乃「そうなんですか……でも、じゃあなんで今日は?」
ダヴァン「……時間ができてしまいましたカラ」
穏乃「ああ!個人戦まで少しありますからね」
ダヴァン「……そうではありまセン。私はもうお払い箱になってしまいましたカラ、麻雀を打たなくてもよくなってしまったのデス」
穏乃「え……」
ダヴァン「いわゆる助っ人外人ですカラ……三年生で結果の出せなかった私にはもう居場所が無いのデス」
穏乃「そんな……そんなのおかしいじゃないですか!?メグさんすっごく強かったのに!」
ダヴァン「仕方ないのデス……去年はリューモンブチさんへの対応が評価されて残ることが出来ましたタガ、臨海女子は結局二年連続で優勝を逃していマス」
ダヴァン「監督や仲間たちは庇ってくれましタガ……結局、お金を出しているスポンサーの意向には逆らえまセン」
ダヴァン「もっと結果を出せていればプロチームや実業団に拾ってもらうこともできたのでしょウガ……今大会の成績では不可能でショウ」
微妙な成績の外人を取るより、宮永照や愛宕洋榎を取った方が話題になるでショウ?
メグさんはそう言って力なく笑った
穏乃「でも……そんなの、酷いですよ!メグさんだって頑張ったのに!」
ダヴァン「ありがとうございマス……シズノは優しいでスネ」
ダヴァン「しかし、どうしようもないのデス……我々のような麻雀留学生にはとてもお金がかかりますカラ」
ダヴァン「結果が出せなければ捨てらレル……覚悟して日本に来まシタ、私が至らなかったのデス」
穏乃「学生の大会なのに、結果が全てなんて……!」
ダヴァン「シズノはそれでいいでスガ、私はそうもいきまセン……立場の違いでスネ。私にとってインターハイは結果が全ての世界デス。勝負事の話ですから特ニネ」
穏乃「でも……そんな」
ダヴァン「……いいんでスヨ、シズノ。泣かないでくだサイ……私も国に帰るまでの間自由時間を楽しみマス」
ダヴァン「観光はほとんどできませんでしたカラ……私、京都・奈良行ってみたいデス!大仏があって、芸者やニンジャにサムライがいると聞いてマス」
……メグさんの方が辛いのに笑っているんだから、私が泣いてちゃダメだ
ジャージの袖でゴシゴシと目元を拭う
穏乃「それじゃあ、私に任せてください!京都も奈良も案内しますよ!私の庭みたいなものですから!」
ちゃんと、笑えてるよね?
ダヴァン「それはありがたいデス!忘れていまシタ、阿知賀は奈良代表でしタネ」
穏乃「なんなら私の家に泊まってくださいよ!うち、お土産とか和菓子とか置いてるんです!」
穏乃「あ、もちろんちゃんとした宿が良ければ紹介しますけど!玄さんと宥さんの実家が旅館やってますから!」
ダヴァン「私、あまりお金を持っていないので泊めてもらえればとてもありがたいでスガ……本当に良いのでスカ?話したのも今日が初めてでスシ……」
穏乃「そんな、十食以上のラーメンを一緒に食べた仲じゃないですか!きっと波長があってるんですよ!もはや親友ですよ親友!」
ダヴァン「魂の共鳴というやつでスネ!ふふ……シズノは本当に優しいでスネ」
ダヴァン「シズノだけじゃないデス……日本の人はみんな優しくしてくれまシタ」
ダヴァン「通っていたラーメン屋のオヤジは毎日替え玉サービスしてくれましタシ、サトハにもたくさんお世話になりまシタ……」
ダヴァン「日本はご飯もおいしいでスシ、共に過ごした仲間もいますカラ……」
……帰りたくないデス
穏乃「……メグさん」
ダヴァン「あ!すいまセン!なんでもないデス!……楽しい話をしまショウ?今日はシズノと出会えた素晴らしい日ですカラ!」
穏乃「メグさん!」
思わず体当たりのような勢いでメグさんに飛びつく
ダヴァン「シ、シズノ?」
メグさんはどれだけ辛いんだろう?
私は和が転校した時も、赤土先生が実業団に行った時も……憧と中学が別れた時でさえすっごく寂しくて、泣いてしまったのに
海を隔てた距離まで離れて……しかも、メグさんの仲間もそれぞれの国に帰ってしまうかもしれない
そうなったら、日本に来たらみんなと会えるって話でも無くなっちゃうんだよね?
ダヴァン「シズノ?大丈夫でスカ?どこか痛いんでスカ?」
穏乃「うぅ……ごめんなさい……私……私……!」
ダヴァン「シズノ……」
穏乃「ごめんなさい……!でも……!」
『寂しくって』
その言葉は何とか飲み込んだけど、結局溢れる涙は止めることができなかった
昔から今までずっと元気なのが取り柄だけど、泣き虫なのも変わらないなぁ
ダヴァン「……シズノ」
それから、メグさんと抱き合ったまましばらく二人で大声で泣いた
――――――
穏乃「……ごめんなさい、メグさん」
ダヴァン「いいんでスヨ、シズノ……むしろ思いっきり泣いたらスッキリしまシタ!」
ダヴァン「国に帰るのは寂しいでスガ……二度と会えないわけではありまセン」
ダヴァン「当然麻雀も続けますかラネ!……あちらで活躍すれば日本のチームに移籍する話も出るかもしれませンシ、国際交流戦の代表になれればみんなとも会えるでしょうカラ」
……やっぱりメグさんは凄い
私は国際戦の代表になるなんて軽々しく口に出したりできないし……臨海女子のメンバーが選ばれたエリートであることを思い出させ、そして仲間の強さを信頼していることが解る言葉だ
穏乃「……そうですね!辻垣内さんなら余裕で日本代表候補でしょうし、他の方もメダリストだったり凄い強いですもんね!」
ダヴァン「……シズノもでスヨ?」
穏乃「え……?私ですか?そんな!無理ですよ……私なんかまだまだで……」
ダヴァン「そんなことありまセン……インターハイの打牌、素晴らしかったデス」
ダヴァン「自信を持ってくだサイ……あなたは素晴らしい雀士でスヨ」
……親友にこんなこと言われたら、その気持ちを裏切れないよね?
それに、実力のある人に認めてもらえたことが凄く嬉しい
穏乃「……私はまだ、代表になるとか言えるほど自信ないですけど」
穏乃「それでも!必ず今よりもっと強くなって!いつか世界で戦える雀士になってみせます!」
ダヴァン「その意気デス、シズノ!」
穏乃「よぉしっ!燃えてきたぁぁぁ!!」
穏乃「気合入れたら何だかお腹減ってきちゃいました!ラーメン食べに行きませんか?」
ダヴァン「それはいいでスネ!私もちょうどお腹が空いてきたところデス!」
穏乃「そうだ!帰国する前に臨海と阿知賀のみんなでラーメン食べに行きましょうよ!それで麻雀も打ったりして!送別会です!」
ダヴァン「ありがとうございマス!素晴らしい考えデス!……しかしラーメン屋では全員入れないのではないでスカ?」
穏乃「それじゃあ……えっと、焼き肉とか!」
ダヴァン「焼き肉!私呪文知ってマス!」
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