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    元スレ久「須賀君、悩みとかない?」 京太郎「はい?」

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    みんなの評価 : ★★★
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    902 :

    まあちょっと辛辣すぎるわな

    903 = 897 :

    乙乙ー
    菫さんの画像と照の画像はまだですか!

    904 :


    景明さん好きすぎだろ京太郎
    濡れ場とかやってみたかったりするのかやっぱり

    906 :

    辛辣過ぎるというかちょっと常識を疑う処置だね。見知らぬとは言え知人経由で連絡先を取っている相手でしかも冗談じみたやり取りに勝手に頭に血が上って着信拒否とか。狭量ではないという言葉が空転してると思う。

    907 :

    それはなんらかの淡像というか、好感持ってる俺ら視点だからなぁ
    決めポーズとってる点からして、ツッコミ待ちっぽいノリでやってきたメールに返したらキレられたみたいな感じか?
    勝手にメアドやら聞き出してメール送ってきて粘着してくるとかめんどくさいと思わんでもない

    908 :


    文章にオマージュ叩き込みまくるくらいここの>>1はパニキ好きだから淡に辛辣な対応になるのも仕方ないね

    909 :

    ヨーサトーとクリーチャーてやっぱりカンちゃんじゃないか!(確信)

    910 :

    インモッ!インモッ!とかいいだす咲ちゃんは見たくない

    911 :

    白粉先生はカンちゃんが可愛く見えるレベルなんだなぁ…

    912 :

    乙です。楽しませてもらってます。
    プラスマイナス0的な意味では、どちらかというと咲さんが景明さんサイドの気もするんだよなぁ...

    個人的には、京太郎を雪車町として咲さんと戦う方がありえそうだなと思いました。(小並感)

    913 :

    京太郎の新設定はどう使われるのかな?

    914 :

    中学ハンドボール大会決勝進出って普通にすごいと思いました(小並感)
    球技で屈指の競技人口を誇る(世界2位)スポーツだしね!

    915 :

    中学生の範疇でなら182cmあったら誰でも活躍出来る気もする

    日本での競技人口はたいしたことないんだし

    916 :

    中学 ハンドボール 長野
    だと初戦が決勝なんじゃないかなと思ってググったら
    それよりかは少しマシな程度だった

    917 :

    タッパあるのは確かに有利だけど、成長痛でまともに運動できなかったりするで

    918 :

    成長痛とか都市伝説だろ

    919 :

    えっ

    920 :

    成長痛は脳の誤認識からくる痛みだから都市伝説っちゃあ都市伝説だな

    921 :

    京太郎が都市伝説でハンドボールで破ぁ!するって?(難聴)

    922 :

    なんでよそのネタもってくる必要があるんですかねぇ…

    医者が成長痛って判断したんで放置してたら実は骨肉腫だったとかいうケースもあるとか怖い

    923 :


    +++


     ここで少しばかり時間を遡る。


     竹井久は炬燵入ったまま卓上に片頬を付け、何をするでもなく蜜柑の供給を待っていた。

     頬から伝わる暖かさが心地良く、瞼が重く感じる。

     現に、うとうとと微睡みそうだった。


     後輩――須賀京太郎には、だらしない所をあまり見せたくない気はしていたが、今更であろう。

     端なくも手ずから蜜柑を剥かせて、食べさせてもらっている状況なのだから。

     それ位は久自身判っていたし、事実若干の羞恥を覚えている。

     顔や所作には極力出していないつもりであったが、見抜かれるのも癪だったので、窓の外の景色を見遣っていたりもしていた。


     であれば。

     最初に手ずから食べさせるという要求を、しなければ良かっただけの話であったのだが、『そうして欲しかった』のだから致し方ない。

     あの流れなら京太郎が拒絶しない事は、これまでの経験から予想出来た。

     渡りに船というやつだ。要求しない手はないというものだろう。

     女であり、かつ年上なのだから、掌の上で相手を転がす位の器量は持つべきだという、妙な信念があったりした。

     さながら相手の胸中に毒を打ち込む――程でもないが、心理戦とは斯くあるべし、とも考えていた。


     とはいえ。

     あまり無防備な姿を晒し過ぎるのは如何なものかと、思ってしまったわけで。

     思うだけで居住まいを正したりは、特にしなかったが。

     
    (そういえば、適度な距離感は大事みたいな事を、何かの本で書いてたような……)

    (スープの冷めない距離だったかしら……これはちょっと違うか)


     炬燵の温もりがもたらす睡魔に抗い、もぞもぞと座り直して景色を見遣りながら、ぼんやりと思索を巡らした。

     ――例えば、別な後輩、宮永咲が自分と同じ状況に置かれたとして、どうするのだろう。

     端なさを恥じて居住まいを正すのだろうか、はたまた遠慮なく思う存分甘えてみせるのだろうか、と。

     そもそも自分と前提が異なり、『望んだ展開』に誘導するなどと、小賢しくも予防線を張りながら立ち回らないかもしれない、とも浮かんでくる。


     彼女とは半年以上先輩後輩、部活の仲間として接してきたが、それだけではどうにも判断が付かない事柄だった。

     あの娘ならば、それ位はやってみせそうな気がするし、やらないような気もした。


    (意外にそういう事に関して計算高そうな気もするし、普段通りかもしれない気もする)

    (…………)

    (以前からの付き合いもあるだろうし……そこは純粋にうらや――――)


     そこまで推し量り。

     一体何について考え及んでいたかを悟って、思わず息を呑んだ。

     炬燵の温もりによるものでない熱が、徐々に頬へ集まる事を自覚する。

     どうしようなく身悶えしそうになるのを、必死で耐えた。

    924 = 1 :


    (らしくない……)


     落ち着くために、ゆっくりと深呼吸。

     全くもって自分のキャラじゃない、と思う。

     もっとあれだ……飄々としていないと駄目だ、先輩キャラとはそういうものなのだ、とも思う。

     単なる見栄であったのだが、性分なのだから仕方ないだろう。


    (大体、自分がどうしたい、どうなりたいか定まってないのよね)


     僅かばかり眉根を寄せ、暫くの間、自己の内面を探るように思索。

     過去何度か行った自問を改めて試みた。


    (……、……)


     そうして――返って来た答えは、やはり以前と変わらなかった。

     気の置けない先輩後輩の関係で、満足出来る気がする。

     卒業すれば接点が今より減るとはいえ、自分は地元の大学へ進学予定だ。

     少なくとも京太郎の卒業迄は、会う機会をいくらでも作れるだろう。

     清澄高校の麻雀部へOGとして顔を出しても良いし、電話等で連絡をとっても良い。

     この考えが、自分の臆病さに起因するものだとしても……ぬるま湯のような状況を続ける選択は、然程悪くない。

     冷静にそう分析する自分がいる。


     一方で――踏み込んでみたい、まだ見ぬ世界を知りたいと願う自分もいる。

     たとえ、関係が崩れるというリスクが伴うとしても。


     曖昧だ。

     何とも煮え切らない。

     理性と感情の間でぐらついている。

     自身と彼に対する境界線を、はっきりと定められていないのだろう。

     今胸にある好意がどういう類のものか、正確に判断がつかない。


     客観的に自己を省みれば、この原因は想いの突端が、はっきりしていない点にある筈だと思う。

     一目惚れや、劇的な出来事があった訳ではない。

     いつの間にか、ただ何となく、良いな――と、思うようになっていた。

     実際、京太郎と駄弁ったり馬鹿をしたりするのは、快く楽しい。


    (そう――楽しいの大事だわ)


     久自身にとって、そこは非常に重要な点だろう。

     快楽主義者とまではいかないものの、久のモットーであった。

     時に巻き込まれた側の迷惑になるかもしれないと理解しつつも、改められそうにもない気質だ。

    925 = 1 :


    (あと、我慢する事にも慣れてるしね)


     強がりという訳ではなく、これも単なる自己分析の結果だ。

     もしかしたらこれは、久自身の家庭環境に起因するものなのかもしれない。

     何にせよ、理想と現実が合致していない状況は、決して嫌いではなかった。

     それすら、未来への期待に変えていける自信が今はある。

     可能性が拓けた時の喜びが、増すというものだろう。


     事実、麻雀――IH出場においてはそうだった。

     勿論、これは自分一人で成し得た事ではない。

     切欠となった後輩達がいる。

     偶然かそれとも必然か、そんな事は判らないけれど、皆との出会いは自分にとって、間違いなく転機であった。

     それもすこぶる良い意味での――そう理解している。


    (我慢するのに慣れてるとは言っても……独りぼっちは、寂しいものね)


     改めて考えずとも、須賀京太郎、宮永咲、片岡優希、原村和に対して、感謝の念を抱かざるを得ない。

     当然部の中で、もっとも長い付き合いである染谷まこにも、だ。


    (まあ、どちらにしても)


     と、柄にもなくしんみりとした方向へ逸れかけた思考を、元の道筋に引っ張り戻す。

     そして……踏み込む踏み込まぬ、どちらを選択するとしても、今はやるべき事はいつもと取り立てて変わらないだろうと、心中で結論付けた。


     踏み込む場合、セオリーからすれば、卒業迄に思い切って掻っ攫う方向へ進んだ方が良いのではないかと、考えなくもないのだが。

     むしろその方が、普段の久本人のやり方としては、ズレていない筈だ。


     それでも。

     そう、それでも尚。

     そうしない方が良いと、結論付けたのである。


     理由の内半分は、後輩への遠慮があった。

     肝心要のあのニブチンは意識してない、気付いていないようであったが。


     そして残り半分は、単なる直感だった。

     定石だろうとも性急に事を運ぶのはよろしくないと、頭の片隅で警鐘が鳴っていた。


    (これも“悪待ち”の一種なのかしら)


     胸中で嘯いてみる。

     或いは単に、天邪鬼なだけかもしれないが。

    926 = 1 :


     いずれにせよ……その内答えは出るだろう。

     この選択が正しいか、それとも間違っているか、結果は出る迄分からない。

     麻雀と同じだ。

     そうであるからこそ、先を考えた時に胸が踊るのだろう。

     加えて、負ける事を今は考えない。

     否、たとえ負けたとしても、明るく笑って――――泣けばいい。

     いざその事態に直面した時、今のように楽観出来るかどうかはさておき、そう確かに思う。


    (悩んでも仕方ないものね……)


     悩む側ではなく、悩み相談を受ける立場である事だし。

     と、思考を打ち切った。


    (というか、蜜柑がいつの間にか、来なくなってるんだけど!)


     ここでやっと――供給されていた蜜柑が止まっている事に、久は気付いた。

     思索に耽っていたせいだろう。


     どうした事かと京太郎をちらりと見やると、手に持ったスマホの画面を凝視している。

     蜜柑の事は脇に置いておくとして――あまり腹が膨れても計画に支障をきたす――珍しい事もあるものだ。

     スマホを凝視している事ではなく、彼の表情についてである。
     

     しかめられた眉間には、深く刻まれた皺が。

     締められた口は、への字に寄っている。

     何より――普段は明るさと脳天気さを感じさせる眼差しに、隠しようのない険が見て取れる。


     つまり簡潔に言えば、物凄く不機嫌そうだった。

     ここまで明らかに不機嫌そうな京太郎を、久は見た事がなかった。

     真面目な表情や、呆れたような僅かに不貞腐れた感じなら知っているのだが。

     後者に関しては、からかうと良くしている表情だ。

     それはともかく――故に、久にとっては珍しい事だった。

     京太郎の内心を正確に知る術はないが、ざっくばらんに状況から推測すると、何か気に障る事でもあったのだろう。


     あまり見ていて愉快なものではないが、これはこれでプラン的には悪くはない。

     切り出す切欠としては十分だ。

     そうこう考え、瞬時にこれからの流れを頭の中で組み立て、しかめっ面の京太郎を正面に居住まいを正した。


     そうして――――――。

    927 = 1 :


    +++


    「えいっ」


     と、突然。

     京太郎は眉間に何かを、押し付けられた。

     状況を正確に把握出来ていなかったが、押し付けられたのは久の人差し指だった。

     続いて、ぐりぐりと指一本で眉間を揉みほぐされる。


    京太郎「……」


     ここで漸く状況を把握して――訝しげな目を彼女に向けてみるものの、揉みほぐすのをやめてくれない。

     仕方なく素直に疑問を口にする。


    京太郎「……いきなり何すか?」

    「須賀君が怖い顔してたから、笑顔になる魔法――――これで良しっ」


     あっけらかんと告げられ、眉間から離れる人差し指。

     そんなに怖い顔をしていたのだろうかと、京太郎はつるりと自分の頬を一度撫でた。


    「で、しかめっ面してたけど、何かあったのかしら?」


     卓上に頬杖を付き、手の甲に顎を乗せた彼女に問い掛けられた。

     しかも心なしか流し目付き。


     それを見て、京太郎は背筋に凍りつくような感覚を覚えた。

     所謂虫の知らせ、嫌な予感というやつだ。

     これは恐らく弄る気満々な筈。

     間違いない。

     特に理由もなく、そう確信する。


    京太郎「えっと、何と言うか……」

    「何? また青少年的な悩み? ヒサ姉に相談する?」

    京太郎「いや、そういう訳ではなく……単にイラついてただけっす。ハイ」


     ヒサ姉悲惨ねえ――じゃなくて、相手の軽口を流しつつ、無難にボカして答えた。

     うん、嘘は言っていない。

     まさか直球で『メールで、しかも女の子相手に腹を立ててしまい、めっちゃイラついてました』とは、言い辛い訳で。

     格好悪すぎるだろう。

     わりと理不尽だと、京太郎本人に自覚があるのだから尚更だ。


    「……何か隠してる気がするわね。何だかバツが悪そうだし」


     大層鋭い洞察力であった。

     京太郎が分かり易いだけかもしれなかったけれど。

    928 :


    京太郎「あー、原因は自分にあるというか……虫の居所が悪かったというか」

    「ふむ……まあ、何があったかは訊かないけど、反省すべき点があるなら、ちゃんと鑑みておきなさい」

    京太郎「うっす」


     すこぶる真面目な感じ、かつ正論であったので、素直に頷いた。

     嫌な予感は外れたようだと、密かに安堵する。

     加えて、メールの件に関しては後で解除しておこうと、考え直しておく。


    「あとは――――」


     急にごそごそと、炬燵の近くに置いてた大きめの鞄を漁っている彼女。


     ――えっ、今回も何か小道具付きなの? 用意周到すぎない?

     そんな感じで困惑しつつ戦々恐々としていると、ドンっと炬燵の上に風呂敷に包まれた四角い物体が置かれた。

     続いて、はらりと広げられる風呂敷。


    京太郎「……重箱?」

    「お腹が減るとイライラするって言うじゃない? ちょっと早いけどそろそろお昼時だし……お弁当、というわけ」


     中身は漆塗りの重箱二段だった。

     大きさから察するに、二人前以上は軽く入っているだろう。


    京太郎「ってか、わざわざ用意して来たんですか?」

    「あっ、その…………」

    「須賀君に今日手伝ってもらう事はわかってたし……」


     急にしどろもどろになる彼女。


    「えっと……そ、の……お、お礼、みたいな?」


     魔法瓶を鞄から取り出して、小首を傾げつつ、そう言われた。

     何で疑問形と、京太郎も首を傾げ――瞬間、電撃に打たれたような衝撃が走る。

     ある重大な事実に、思い至ったからだ。

     何にかと言えば、目の前の先輩が――マヨネーズ教の狂信者である事に、である。


     脳内の危険信号が激しく明滅中だ。 

     まさか……マヨネーズ弁当とかいうとち狂った物体は出て来ないだろうと、胸の内で否定してみるも、彼女の前科がそれ邪魔をしてくる。

     そのまさかがあり得るから怖いのだ。


     それに、マヨ狂信者弁当竹井スペシャルでないにしても……以前のタコス食品サンプル事件(※ドラマCD参照)もある。

     決して料理が得意ではなかった筈。

     少なくとも、京太郎が知りうる限りではそうだった。

     嫌な予感はこれかと、戦慄してしまう。

     ついでに何故か『ACE COMBAT ZERO』のオープニングムービーが、頭の中で流れたりもしていた。

    929 = 1 :


     ――これはあれか、もしかして罰ゲームか何かだったりするのだろうか。

     ある意味でのフードファイトなのだろうか。

     出来ればまともな食べ物と戦いたい。

     まあ、マヨネーズかメシマズか、どちらにせよ、残すという不義理はしない前提を崩さないとして……きっと厳しい戦いになる。

     さあ、ショータイムだ、とはいかないだろう。多分。

     さながら帯刀(タテワキ)の儀を交わし、戦場に赴く武者の如き意思を固めなければならない。

     獅子には肉を、狗には骨を、龍には無垢なる魂を、今宵の虎徹は血に飢えている、って感じで――。


     動揺を面に出さないように気を使いながら、そう腹を括った。

     件のタコス食品サンプル事件の時、ゲテ物を優希に食べさせた京太郎も、人の事を言えた義理ではないのだが。


    「須賀君……今私に対して、すっごい、失礼な事考えてない?」

    京太郎「え゛っ!?」

    「…………」

    京太郎「え、いや……まさか……ははっ、楽しみだなー! 久さんの弁当!」


     剣呑な目で睨め上げられ、努めて明るく誤魔化す。

     ああ悲しきかな上下関係。条件反射してしまう辺り、体育会系の性だった。


    「そう? ……なら、いいけど」


     蓋を開けられようとする重箱。

     南無三――と京太郎は祈った。


    京太郎「…………あれ?」

    「……何?」

    京太郎「いや……普通っすね」

    「何が出てくると思ってたのかしら? やっぱり失礼な事考えてない?」


     敷き詰められた俵むすび。

     もう一段のおかずは、タレが薄くかかった牛肉の牛蒡巻き……アスパラ巻きもある。

     更に細葱を巻いたタイプも。

     玉子焼きも……特に問題なさそうだ。

     焦げているとかもない。

     その他――エトセトラエトセトラ。

     見たところ、いわゆる一般的なお弁当だろう。奇を衒った感じもない。


    「はい、お箸とお茶」

    京太郎「あっ、はい。ありがとうございます」


     差し出された箸と茶を受け取り、色とりどりの料理が詰まった弁当を前に正座。

     狐につままれたような気分は抜けぬまま、先に合掌した彼女につられて手を合わす。


    「「いただきます」」


     同時に二人分の声が響いた――――。

    930 = 1 :


     ――と、まあ、そんな感じで。

     須賀京太郎は部室で竹井久お手製の弁当を食べる事になった。

     ある休日、大して意味もないだろう、部室での一幕だ。

     尚、弁当は味に関しても全く問題なかった、とだけ。


     また蛇足であるが、大星淡さんに関しては、その日の夜、京太郎へ電話が掛かってきた。

     直接話してみると、アホっぽいが意外に良いやつで、意気投合したりしたとか。

     脳天気同士、波長があったのだろう。

     で、結局、メールしたり、たまに電話がかかってきたりな友人関係になるのだが――それについては、もし機会があればまた。


                                                         【How do you do -after】 ――了

    932 = 1 :

    超久々にちょっと安価置いときます
    【安価】お悩み相談をする人二名
    鶴賀学園
    無効の場合↓に1個ズレ

    ↓1 ↓2

    933 = 931 :

    むっきー

    934 :

    かおりん

    935 :

    ゆみ

    936 = 1 :

    やったむっきーじゃん、一度書いてみたかった
    安価置いて本日ここまで

    【安価】津山睦月の悩み
    ↓1

    【安価】妹尾香織の悩み
    ↓2

    ※極端なエロ、グロ。著しく道徳に反する悩み
    要するに流石にこれは洒落にならないと判断したものは再安価

    937 = 931 :

    京太郎の方をチラチラ見ながら最近気になる異性ができて、好みが知りたい

    938 :

    みっつずつが上がれなくなった
    よっつずつになった

    939 :

    つ、ついにスーカンツまで…

    940 :

    かおりんヤベェ
    咲さんを越えかねないじゃないか……

    941 :

    手元に4つ集まるようになったのか……

    942 :

    あらあら~♪ 今日も豚がぶひぶひと~♪ 今日豚京豚 蔓延る世界~♪
    砕けろ壊れろ京豚~♪ 失せろ消えろよ京豚は~♪

    944 :


     
     とある土曜日の正午過ぎ。

     授業が終わった放課後。

     須賀京太郎は旧校舎の階段を一段飛ばしで駆け上がっていた。


    京太郎「よっと」


     最後に大きく三段飛ばしで着地して、最上階に到着。

     そのまま部室へ向かう。


    京太郎「ちわー」


     三河屋でーすってな感じで続きそうな挨拶をしつつ、部室の扉を開けると誰もいない。

     本日一番乗りのようだ。

     それもその筈、染谷まこからは本日実家の手伝いで部活を休む旨を先日聞いているし、竹井久に関しては三年生の為午後からも二限ほど授業がある。

     更に一年生ズ――宮永咲、原村和、片岡優希については、昼食をとってから部室へ向かうと聞いている。

     その際の昼食同伴の誘いを断ってまで即部室へ向かったのだから、一番乗りとなるのは当たり前であった。


    京太郎「さて、と」


     独り言ちながら炬燵の上に手荷物を置き、昼食の誘いを断った原因――つまり、目当ての物を探す。

     確かここら辺りに……と、本棚を物色。


    京太郎「お、あったあった」


     発見して本棚から抜き取った物は、誰の私物か分からない『仮面ライダー1971-1973』著:和智正喜だった。

     往年からのライダーファンならばおそらく知っているだろう名作で、ストーリー描写面共に定評がある小説だ。

     その内容を端的に説明すると、原作IFの元、“仮面ライダー本郷猛”と“秘密結社ショッカー”の戦いを描いた物語である。

     物語上で原作IFというのがキモなのだ。

     一方描写においては私見になるが、変身の瞬間が特に素晴らしい。

     勿論、その他も十二分に見どころがあるのだが。

     また著者曰く、「誰にも知られず、誰の応援も得られない」という事を、この小説版における仮面ライダーの定義とし、石ノ森氏の作品世界を基盤に――

     ――――私情が入り混じって明らかに長くなるので割愛。話を戻そう。


     何故京太郎が『仮面ライダー1971-1973』を探していたかといえば、それは前日既刊分読破した本に理由があった。

     具体的には『エスケヱプ・スピヰド』というラノベである。

     いわゆるバトル物で、ベクトルは違うものの同じくバトル物である『軋む楽園の葬花少女』共に、宮永咲より勧められ最近借りた本だ。

     まあ、簡潔にいえば熱血バトル物を読み終えて、それに触発され、熱さをもった名作を再び読みたくなったというだけの話であった。

     購買で買ったパンを食べながら部活が始まる迄、部室で一人静かに読もうと思った次第だ。

    945 :

    すげえの眠ってるなおい

    946 :

    おお……九曜好きやねん>エスケヱプ・スピヰド

    947 :

    和智正喜なら「カラーズ」好きだったな。

    948 :

     
     そういえば特に関係ない余談だが。

     変身物やロボ(兵器含む)物を視聴したり読んだりすると、何故か連鎖して、ついつい他も読み返したりしたくなるのってなんなのだろうか。

     また、オススメで挙げられていた本を書店で手に取ってまとめ買いしてしまったり。

     特に変身物に関しては、連鎖が著しいような。

     無限ループしかねない勢いだ。気付けば、そのループで時間が潰されているのは良くある事。

     やはり変身や搭乗というのが、心の中の何かをこれでもかって位に刺激してくるのだろう。

     戦隊物や仮面を被るのも良いし、三位一体になるのも良い。

     無論、「虚淵より危険」「大丈夫?奈良原だよ?」「鬱&グロ注意ついでにゲロも」とか言われようが、心鋼一致するのもありだし、パンツを被るのすらありかも。

     最後に関しては変身するというか、むしろ名前の通り変態すると表現した方が良いかもしれない。

     つまり人為変態だ。

     人が変態に為るって意味で――まあ、それはさておき。


    京太郎「変身……か」


     白糸台の某黒髪ロングな方や某金髪さんがしていたポーズを思い返しながら、『仮面ライダー1971-1973』をぱらぱらと捲る。

     そうして炬燵の上に本を置き――暫くは部室で一人だろうし、ちょっとやってみるかと思い立ち、精神集中するかのように瞑目した。

     周りの雑音すら耳に入らない程内面に埋没して記憶を探り、映像を思い浮かべる。

     ややあって開かれる眸。

     窓の外を見遣り――いや、むしろ睨む。

     至って真剣な眼差しだった。


     ちなみにこの時、部室の扉が静かに開けられたりしていたのだが、京太郎はその事実には一切気付かなかった。

     見る方向さえ違えば、異なる結果になっただろうに。


    京太郎「――――」


     だらりと降ろされていた京太郎の左腕が、徐ろに流れた。

     隠すように、さながら仮面を被るように、左掌で顔を覆う。

     そのまま無言で数秒程佇み、構えた左腕を伸ばし翳す。

     間髪入れず、左手がまるで何かを掴み取るかのように宙を掻き毟り、握り締められる拳。


     何というか……某装甲ノ構の動作だった。

     鬼に逢うては鬼を斬る、仏に逢うては仏を斬る、ツルギの理ここに在り、というやつだ。

     本来は動作と共に誓句を宣誓するのだが、今回は胸中で呟くに留めていた。


    咲・和・優希「「「…………」」」

    京太郎「もうちょっと陰鬱な感じな方がいいな……」


     記憶と照合して改善点を探りながら、さて次はと思索を巡らす。

     そうして僅かな逡巡の末、オーソドックスにライダーでいこうと決めた。

     しかもスカイライダー。

     先輩ライダー達と修行して(ボコられて)、99の必殺技を会得した仮面のヒーローである。

     それにしても、99はちょっと多過ぎな気がする。


    咲・和・優希「「「…………」」」

    949 :

    特撮見ると変身ポーズしたくなるのってなんなんだろうな

    950 :

    いぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁっっっっっっ!!?心の中の黒歴史が刺激されるぅぅぅぅぅぅぅ!!?


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