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    元スレ久「須賀君、悩みとかない?」 京太郎「はい?」

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    みんなの評価 : ★★★
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    751 = 1 :



    【幕間 空色デイズ-before】

    752 = 1 :


     中学三年、一月終わり頃の某日。とある日曜日の午後。

     受験する予定である清澄高校の前期試験が、目前まで迫ってきた時期。

     須賀京太郎は自分の部屋で、某スタイリッシュ対戦格闘ゲーム(Ver1.03)をプレイしていた。

     対戦相手は宮永咲だ。

     午前から彼女と一緒に受験勉強をしていたのだが――昼食のあと、休憩として対戦プレイを提案したのである。


     彼女が使用しているのは、やると言ったらやる『スゴ味』があるッ!キャラだ。

     須賀京太郎の隣でアケコン(※アーケードコントローラーの略)で、流れるように操作していた。


     ちなみに、二人の間には接待プレイという概念はない。

     格ゲーするなら常にガチである。

     犬を使われようとも慈悲はない。

     舐めプなんてなかった。


     須賀京太郎は対戦を始めてから、七連続で宮永咲に敗北していた。

     普段あまり使わないキャラを、対戦練習のために選択していたことが一因だろう。

     気配りと大胆な行動力で対処しても、勝てないものは勝てないのだ。

     心の平穏は守れない。

     ついでにキャラ性能も不利だし。

     彼に『凄み』があればなんとか出来たのかもしれない。


     ――そういえば。

     全く関係無いが、原作の『ゴッ』とかは『凄み』なのだろうか。

     改めて色々考えると、IH個人女子の上位三名とかは、ある種の『凄み』をもってそうだ。


     例えば王者――宮永照。

     麻雀の時、殺し屋の目をしている。かわいいは明らか。

     お菓子大好き。絶対殺すマン(麻雀)に進化しそう。闘牌から凄みを感じる。

    753 = 1 :


     次いで荒川憩。

     ナース服は趣味なのだろうか。かわいい。

     細かい描写はないが魔物と称されている。愛嬌のある関西弁とは裏腹に、得体のしれない凄みを感じる。


     更には辻垣内智葉。

     実家が893かもしれない。なにそれこわい。

     ぅゎ姐御っょぃ。でもかわいい。女子高生なのに仁侠映画の主役のような凄みを感じる。


     そして、蛇足かもしれないが――弘世菫。

     目付きが悪い。麻雀/物理で高精度の遠距離攻撃をぶっ放す。

     フィジカル的に強い。接近戦でもロン(物理)。頼りになる我らがSSS。もはや凄みしか感じられない。凄い。

     驚愕の事実だ。

     兄貴系キャラ的な何かも熟せそう。

     確かにヒラコー世界でもやっていけそうである。

     実は那須与一の末裔だとか言われても納得できる。

     世が世なら、蜻蛉切(とんぼきり)持ってる人とかといい勝負が出来るかもしれない。弓っていうのが武士っ娘ぽいし。

     あ、ついでに、何故か残念かわいい場合が多いような。個人的には、白糸台なら菫さんがNo1だと思う。いや本気で。


     これらの例から導かれる答えは――。

     この世界のオカルトといわれる異能は、『凄み』の一種なのではないだろうか。

     凄みで当たり牌回避や和了牌察知。凄みでシャープシュート(物理含む)。

     果ては相手を一向聴地獄に叩き込んだり、配牌五向聴にしたり毎回ダブリーしたり等々。


     きっと凄みは、物理ステとか麻雀ステにそれぞれ振り分けられるのだろう。高いほど凄い。

     ジョジョ立ちをマスターすれば、麻雀が強くなるのかもしれない。

     何もおかしくない気がするのはどうしてだろう。


     ――以上より。

     “この世界の麻雀での異能⊆凄み”である。Q.E.D.証明終了。

    754 = 1 :


     戯言でしかないので閑話休題。


     現在の対戦状況は、須賀京太郎の劣勢だった。

     今まさに、宮永咲が1セット先取したところだ。

     しかも彼女は次セット三ゲージスタート。


     “痛みがゆっくりやってくるッ!”が刺されば、“終わりのないのが『終わり』”も確るので非常にマズイ。

     せめて一矢報いたい。こうなったら――と、須賀京太郎は思い立ち、アケコンを操作しつつ宮永咲へ話し掛けた。


    京太郎「そういや……お前高校は部活入ったりすんの?」

    「……いきなりだね、まだ試験も受けてないのに」


     雑談で集中力を削ぐ作戦。
     
     物理的に妨害しないだけまだマシかもしれないが、ぶっちゃけ卑怯だ。

     お前それでいいのか――と、言われても仕方ない。

     関係ないが、対戦ゲームで物理的妨害は、友情に罅が入る可能性が高いのでやめよう。


    京太郎「咲は成績的に余裕だろ。高校入ってどうするとか、考えてんのかなって」

    「京ちゃんはそんなこと考える前に、受験勉強した方がいいと思う」

    「一緒にゲームしながら言うことじゃないかもしれないけど」

    京太郎「……」

    「……」


     一瞬の沈黙。

     二人のアケコンの操作音と、ゲームのBGMとSEが部屋に響く。


    京太郎「い、いや、別にそこまでギリギリじゃないからな俺!?」

    「それは知ってるけど――余裕ってほどじゃないよね」


     確かに事実ではあるが。

     彼をのことを心配しているのかもしれないが、ちょっと辛辣だ。

    755 = 1 :


    京太郎「まあ、なんとかなるって」

    「もう……いい加減なんだから」

    京太郎「大丈夫、大丈夫――で、どうなんだ?」

    「えっと、部活かぁ……」

    「んー……」


    「うん、帰宅部かな」

    京太郎「運動部はともかくとして、文化部とか入らないのか? ほら、文芸部とか」

    「そこまでしたいこともないし、家の事とかあるしねー。京ちゃんはまたサッカー部?」

    京太郎「あー、どうかな。高校は違うことしたいっていうか……文化部でもいいかもな」

    「うわっ、似合わない……」


    「何にせよ、入学してからだよね――えいっ」

    京太郎「あっ――」


     作戦の甲斐もなく、起き攻めの択を見事に読まれ、コンボを差し込まれた。

     当然HIT確認から、レクイエム化される。詰みというやつだ。

     宮永咲がアケコンのレバーを滑らかに動かし、軽快にボタンを叩く。


    「えいっ、えいっ」

    京太郎「あっ、あっ」

    「えいっ、えいっ、えいっ」

    京太郎「あっ、あっ、あっ――」


     彼女の使うキャラが攻撃するたびに起こる、間の抜けた応酬。

     須賀京太郎の使うキャラが、じりじりと押し込まれていく。

     スタンドパワーが違いすぎる。


    「――これで終わり、っと」


     告げられるK.O.宣言。

     ――八度目の再起不能(リタイヤ)、八連荘だった。

    756 = 1 :


    京太郎「俺の吉良がぁぁぁあぁぁぁぁああっ!!」


     吠えながらアケコンを手放し、諸手を上げて後方のクッションに倒れこんだ。

     やたらとオーバーリアクションである。


    京太郎「あんまりだー……」

    「大袈裟なんだから」


     腹を見せ、服従の意を示す大型犬のような彼の姿に、宮永咲の苦笑が零れた。

     須賀京太郎は仰向けのまま、万歳のポーズで瞑目。

     暫くして、徐ろにぼそっと提案した。


    京太郎「……次、ヴァニラ使ってもいい?」


     意訳すると、お前これから強キャラでボコるわ――という事である。

     正直、かなり悔しかったのだ。


    「えぇー、ヴァニラはちょっと――京ちゃんって結構負けず嫌いだよね」

    京太郎「……そう言うなよ。一回だけでいいから、な?」

    「えー……」

    京太郎「ちょこっとだけ。ほら、ちょこっとだけだから」

    「……じゃあ――私はホルホースを使うよ」

    京太郎「えっ、何、それは」


     須賀京太郎は思った――そのキャラは駄目だろう。

     どうして駄目なのかといえば、ある意味で別ゲーだからだ。

     ヴァニラも大概だが。何故あんなに優遇されてるのか。
      
     ホルホース同士のミラーマッチよりマシとはいえ、その組合せも不毛だろう。

    757 = 1 :


    京太郎「あー、わかった、OK、了解。ホルホースはやめてくれ……」

    「そんなに嫌なんだ」

    京太郎「俺はボスを使うからそっちはジョルノのままな」

    「別にいいけど……」


     流石に八連敗のままで終わる気はなかった。

     須賀京太郎は最も使い慣れているキャラを選択。

     五部対決だ。

     キャラ性能は然程離れていない。

     須賀京太郎と宮永咲――二人の過去におけるこのキャラマッチの戦績も五分だ。


     そうして、宮永咲がキャラを選択し、対戦が始まり――。

     二人はアケコンを操作しながら、合間に時々なんでもないような話をしていた。

     受験が終わったらカラオケでも行くか、とか。

     今週の週刊漫画であれが面白かった、とか。

     学校のクラスメイトが謎の奇行に行っていた、とか。

     コマンドーを久々に見たらやっぱり面白かった、等々。

     本当にとりとめのないどうでもいい話だ。


    京太郎「だあああああああ!」


     ――不意に。


    京太郎「駄目だ! 今日は調子が悪い! ってかコントローラーが悪い!」


     使い古された言い訳をして、クッションへ倒れこむ須賀京太郎。

     モニターには宮永咲が使うキャラの勝利が映し出されている。

     キャラを変えても四連敗したのである。

     というか、コントローラーのせいにするのはやめよう。

     オンラインなら、ラグってもないのに回線のせいにするのも格好悪い。

    758 = 1 :


    「……京ちゃん起き攻めの択が単調になってるよ。パターン化してる」


     ――む。

     どうやら人読みの部分で不利になっていたらしい。


    「もうちょっと投げを混ぜた方がいいかも……」

    「あとゲージコントロールもちょっと甘い気がする。バーストあるんだからもうちょっと繊細に」


     ――むむ。

     拗ねた様子を不憫に思ったのか、アドバイスしてくれているようだ。


    「それにコンボ失敗してる時があるし……」

    「練習して精度を上げたほうがいいんじゃないかな?」


     ――むむむ。

     咲の癖に生意気だ。

     須賀京太郎はそう思い、身を起こした。

     そうして、右手をすっと伸ばし、したり顔をしている彼女の頬に右手を添える。


    「――えっ!?」

    京太郎「……」

    「……な、何っ!? そんなっ! いきなり――」


     唐突に焦りだした宮永咲を無視し、頬を摘み軽く引っ張ってみる。

     どうでもいいが、彼女の頬は温かく柔らかかった。


    「……」

    京太郎「……」

    「……ひょっと、きょうひゃん」


     上手く発音出来ていない彼女の文句を黙殺し、摘んだ頬を動かす。

     勿論、跡が残ったり、やたら痛くはないよう加減はしておく。

     たてたてよこよこまるかいてまるかいてもひとつおまけにまるかいてちょん、っと、摘んでいた頬を放した。

     ――ストレス解消完了。

    759 :

    リアルアタックで脇くすぐるやん?
    勢い余って倒れこむやん?
    目と目が合うーで朝チュンよ

    760 :

    あ、キスをされる可能性があるって程度には意識してるのね
    続きお待ちしております

    761 = 1 :


    「むー」


     半目で睨め上げられながら、唸られる。

     須賀京太郎はそんな彼女を横目に、ゲーム機とモニターの電源を切り寝転がった。

     次いで、クッションに顔を埋め、無意味にごろごろしてみる。

     対戦する気分ではなくなったのだ。


    「……ゲームしないなら勉強しないの?」

    京太郎「咲は真面目だなー」

    「もうっ、京ちゃんが不真面目すぎるだけですっ。落ちても知らないからね」

    京太郎「だから大丈夫だって。清澄位、よゆーよゆー」

    「何、その無意味な自信……そういうのは成績的に余裕な人が言わないと意味無いの!」

    京太郎「……高校、か」


     小言を無視し、呟きながら本棚へ匍匐前進。

     そうして、透明なカバーに包まれた本を一冊引き抜き、元の位置に戻った。


    京太郎「……お前、高校ではちゃんと友達作れよ」

    「……いきなりどういう意味?」

    京太郎「だって、三年になって俺とクラス別れてから、お前が同じクラスのやつと一緒に遊んだりしてるの見たことないし」

    「む……まるで私がクラスで浮いてるみたいに言うのはやめてよ。全然そんなんじゃないんだからね」

    京太郎「まあ、清澄に入って俺が同じクラスになるとは限らないし、咲がボッチにならないか心配なのよ」

    「ちょっと! 何それ!」


     テーブルをぺしぺしと叩きながら、全く迫力なく怒っている。

     休み時間に一人黙々と本を読むタイプなので、あながち間違いではないのだが、彼の言い草が気に障ったようだ。


    「京ちゃんは私のことどういう目で見てるのっ!? 人をそんなコミュ障みたいに!」


     ――慣れればわりと普通なんだけどな。

     そこまでのハードルがわりと高いからなー、こいつ――と、須賀京太郎は胸中で呟いた。

     過去の経験から、幼馴染のそういった傾向は理解しているのだ。

    762 :


     不満気に頬を膨らませたままの宮永咲を放っておいて、須賀京太郎は栞の挟まった頁を開いた。

     本のタイトルは『パラサイトムーン<6>』。ラノベである。

     以前、彼女の家へ遊びに行った際にやたらと勧められたので、既刊分の1巻から6巻迄まとめて借りた本だ。


    京太郎「ま、もうちょっとだけ休憩な。勉強する気分じゃない」

    「もうっ、あと少しだけだからね」

    京太郎「へいへい」

     
     気のない返事をしつつ、読書に耽る。

     宮永咲は小さく溜め息を吐き、自身の鞄から文庫サイズの本を取り出していた。


     ぱらり。

     ぱらり、と。

     本の頁を捲る静かな音だけが、暫くの間部屋に満ちた。

     互いに無言であるが、特に気不味いというわけではない。

     昔から、二人一緒に図書館へ行った時などは大抵こんな感じだった。


     そうして。

     読んでいる本が物語の終盤に差し掛かった頃。

     ふと、須賀京太郎は視線を感じた。

     この部屋には彼を除けばあと一人しかいないのだから、宮永咲の視線だろう。


     本から顔を上げ――目と目が合う。

     二人の視線の絡み合った。


    京太郎「……何だ?」

    「な、なんでもない」


     少し慌てた様子で暫し視線を彷徨わせ、手元の本へ目を落とす彼女。

     意味がわからない。

     再び、ぱらぱらと本の頁を捲る音だけが響いていた。

    763 = 1 :


     ――ややあってから。


    京太郎「――終わりっと」


     本を読み終え、そう呟き、ぱたんと本を閉じた。

     宮永咲を見れば先に読み終えていたのか、彼女の手元には文庫本はなかった。

     須賀京太郎が開いていた頁の位置から、もうすぐ読み終わるだろうことを察知して、待っていたのだろう。


    「……えっと、京ちゃん、どうだった?」


     さて、勉強に戻るか――。

     と、考えた矢先、彼女に問い掛けられた。


    京太郎「ん……ああ、借りた本の事か、面白かったぜ。設定とか練りこまれてたし……」

    京太郎「あと異能ものって熱いよな、王道なのがいい」

    「……えへへ、そっか」


     安心したように息を吐き、なんだかもじもじしている。

     貸した手前、つまらなかったら申し訳ないとでも思っていたのだろうか。


    「……あれが面白いなら大丈夫だよね」


     ぼそぼそと呟く彼女。

     鞄から何かを取り出そうとしていた。


    「えっと、その――ちょっと早いけどこれ……」

    京太郎「おっ、もしかして誕生日プレゼントか」

    「うん……えっと本だけど……私の誕生日に貰ったお返しみたいなもの、かな」


     そういえば、今年の彼女の誕生日に栞のセットと、彼女が買おうとしていたハードカバーの本をプレゼントしていた。

     テーブルの上に置かれる、贈答用に包装された書籍。

     大きさから何冊か入っているようだ。

     可愛らしい形の赤色のリボンが角に添えられていた。

     須賀京太郎は恭しく受け取り、戯けて大仰に感謝を述べた。


    京太郎「有り難く頂戴致します」

    「読んで感想とか聞かせてくれると嬉しいかなって――」


     彼女はそう言い、柔和な笑みを溢した――。

    764 = 1 :


     ■□■


     ――ぱちり、と。

     須賀京太郎は目を覚ました。

     窓の辺り、外を見遣ると、まだ日は昇っていない。

     早朝の筋トレ――最近回数を倍にした――が習慣になっている為、早い時間に起きてしまったようだ。


     去年の夢か――ぼんやり思いながら身を起こし、頭を掻き背伸びを一つ。

     夢の内容は、珍しくはっきりと憶えていた。


    京太郎「昨日寝る前に、これ読んだからかな……」


     ちらりと枕元を見て、そう独り言ちた。

     視線の先には、去年の誕生日に、宮永咲から贈られた本があった。

     タイトルは『シャドウテイカー』だ。奈良への旅行での暇潰しにと、全五巻を持ち出していた。


     ――余談であるが、去年の誕生日以降。

     宮永咲に定期的にラノベを借り、読んだりしていた。

     彼女が彼に勧め、貸した本は、『西の善き魔女』、『アリソン』、『陰陽ノ京』

     『輪環の魔導師』、『Dクラッカーズ』、『東京レイブン』等々――。


     須賀京太郎は枕元に置いてあった本を片付け。

     折角起きたのだから筋トレするか――と、考え、着替えを始めた。


     ちなみに、ランニングの際。

     須賀京太郎は高鴨穏乃と遭遇するのだが、それはまた別の話。



                                                     ――了

    765 = 1 :

    くすぐりは視野に入れはしたんですが、飲料摂取した設定の女の子にさせた場合、京太郎に特殊性癖付与することになりそうなのでやめました
    寝ますー

    766 :

    やはり京咲は良いものだ……

    767 :

    なんだ、幼馴染み物ばっかか
    咲からピンクのオーラが見えますかね

    769 :

    パラサイトムーンとか、熱いステマだな。
    アレ全六って嘘だろと思っていたら続編ぽい新シリーズ出たなそういや。
    絵が変わったので買ってないけど。
    あとパラサイトムーン1と2で主人公(というか主格視点?)が急に変わったので驚いた記憶が。
    今にして思えば群像劇だったんだろうけど。

    770 :


    こんなにまともに対戦が出来るジョジョオールスターバトルはどこの世界に行ったら手に入りますか?(迫真)

    771 :

    アップデートすればすぐにでも

    772 :

    馴染み大勝利の作品ばかりすすめる咲ちゃんマジ乙女!

    773 :

    めっちゃ誤字脱字とか見返すと意味不明に間違ってるとこがある死にたい
    どうしても我慢できないとこを訂正
    >>764
    ×『東京レイブン』
    『東京レイヴンズ』

    774 :

    アリソンシリーズはラノベ入門としてこれ以上ない作品だと思う

    775 :

    Dクラってかあざこーの文は何度読み返しても面白い
    ねこのおとはどうしてああなった…

    776 :

    Dクラッカーズと東京レイブンズが上がってBBBが上がらないのが不満です

    777 :

    bbbはほら、幼馴染み物じゃなくて兄弟物だから

    778 :

    そーいや明らかに苦手分野なんだけど、どうするべきか

    人任せの安価置き
    【安価】バレンタインSSとかそーいうの
    1 四の五のぬかさず書けや
    2 書かなくてもええんやで

    ↓1

    779 :

    書かなくてもいいけど、京咲か京久が読みたい所存

    780 :

    バレンタインの代わりに京太郎と咲ちゃんの節分の日の様子を書いてみるのはどうだろう

    781 :

    >>779
    ダチョウ倶楽部……?
    把握、帰宅出来たらっすけど

    【安価】
    1 咲
    2 久

    ↓1

    782 :

    ヒッサ

    783 :

    まったくバレンタインとは関係ない妄想なのだが、
    穏乃と京太郎でネイチャージモンのネタをやるという電波が来た

    784 :

    関係ないですけど色々と触発されました、ポイーは流石にリアルだと数える程しか見たことないですけど
    あ、ついでに殺し愛も純愛だと思います……というわけで久はちょい後回し

    785 = 1 :



    【幕間 過去に於ける男子中学生の日常、或いはバレンタインアンダーグラウンド】

    786 = 1 :


     少年達は激怒した。

     必ず、かの邪智暴虐のリア充どもを除かなければならぬと決意した。

     非モテ勢には本命チョコが手に入らぬ。

     むしろ義理チョコすら怪しい。母親や親類はノーカンだ。

     彼らは、とある中学校の生徒である。

     男友達と遊び、部活や勉学をして過ごして来た。

     けれども邪悪(※彼ら主観)の匂いに対しては人一倍に敏感であった。


     ――リア充爆発しろ。リア充爆発しろ。リア充爆発しろ。リア充爆発しろ。玲音くんも爆発しろ。鉄さんは許す。

     ――チョコを贈ってはならない、チョコを受け取ってはならない、チョコを食べてはならない。

     そんな意気込みと共に、きょう放課後彼らは学校を出発し、野を越え山越え、十里はなれた此この商店街にやって来た。
     

     バレンタインデーは地球環境を破壊します。人々を不幸にします。

     だからこそ今、バレンタインデーは中止が求められているのです!

     さあバレンタインデーを撲滅しましょう! チョコレートを贈る習慣を廃止にしましょう!!

     こんな感じの、生産性が欠片もない、負の感情に満ち溢れたプラカードを持参しながら。


     鳴り響け、僕のメロス!

     邪悪(※しつこいが彼ら主観)断つべし。

     悪・即・斬。


     それらこそ彼らの共有した真の正義だったのだ。

    787 = 1 :



     ――そう、これは。

     リア充撲滅、バレンタイン廃止を誓った中学生の少年達、“革命的非モテ同盟”、略して“革非同”の物語――

     (バレンタイン廃止キャンペーンソング:『死ね!バレンタイン・デー』)

     (ついでにキャッチフレーズ:『たとえ明日世界が滅ぼうとも、今日僕らはリア充と闘う』)

    788 :

    なんとも醜い、しかし誇り高い

    789 = 1 :


     ――というわけではない。

     全く意味がないので忘れてもらって結構。


     ちなみに。

     余談であるが、同中学二年生である須賀京太郎も、その頭の悪い秘密結社に入団していた。

     一年の時、サッカー部の先輩によって勧誘されたからだ。

     というか、最初は興味がなかったので、やんわりと拒否しようとしたのだが――

     「あ”? お前裏切り者か? 裏切り者は首置いてけ、なあ! リア充だろう!? なあリア充だろお前!!」

     ――こんな感じの飛躍した理論で威嚇され、強制的に加入させられていた。

     踏み絵みたいなものなのだろうか。

     『彼女もいないしリア充でない筈なのに決め付けは酷い』とか思っていたが、敢えて言葉にすることはなかった。

     先輩の目が血走り、飢えた野犬の様で大層恐ろしかったのだ。

     どーでもいいだろうが、“革非同”はクリスマスにも似たような活動をしていた。アホなのだろう。


     それはともかく、バレンタイン・デー前夜。

     宮永咲は自宅でバレンタイン用のチョコを作ろうとしていた。


    「まずは……出来るだけ細かく、大きさを揃えて、っと」


     下準備を終えた折に、そう独り言ちた。

     そして、まな板(胸部的な意味ではない)の上に、市販のクーベルチュールチョコレートを配置してカットする。

     細かく刻むのは、熱が通るまでに時間が掛かり、風味が飛んでしまうのを防ぐ為。

     また、大きさを揃えるのは、湯煎の時ダマにならないようとの配慮だ。

    790 = 1 :


    (……これ位でいいよね)


     刻んだチョコレートをボウルに移し、予め用意しておいたお湯で湯煎。

     温度管理はしっかりと行う。

     何故なら、温度管理が雑だと、ここでも風味を損なってしまうからだ。

     勿論、湯気や水蒸気が入らないよう注意は怠らずに。


    (これでよしっ――)


     次にテンパリングを開始する。

     温度を計りながら、空気を含ませないよう丁寧に混ぜ合わせていく。


    「♪――」


     機嫌良く歌を口ずさみながら。

     ちなみに、曲は『ヒメムラサキ』だった。

     特に意味は無いが、ヒメムラサキはワスレナグサの別名だ。


    「♪――、♪――」


     歌いつつテンパリングを終え、チョコレートを型へ慎重に流し込む。

     余ったチョコレートも味見用件自分用として別な型へ。


    (あとは冷蔵庫で固めて……)

    (ホワイトチョコでデコレーションしてラッピングすれば――)


     ――完成だ。
     
     箱と包装用紙、飾りの白い薔薇を模したリボンは既に用意していた。


    「さて、と……」


     そう呟き、固まる迄の時間を潰す為、バレンタイン特集が掲載されたティーンズ雑誌を手に取った。


    (……)

    (参考にだけどね……)

    (うん、単に、あくまで、参考までに、読んでおかないと――)

    791 = 1 :


     椅子に腰掛け、ぱらぱらと頁を捲り、目当ての特集を探す宮永咲。

     参考までと考えていた割には、真剣な眼差しだった。


    (ん……あった、あった)

    (男性がグッとくるチョコの渡し方ランキング――)


     《1位、恥ずかしそうにもじもじしながら》

     《2位、顔を赤らめながら「義理チョコじゃないからっ」と言われながら》

     《3位、顔を赤らめながら上目使いで》

     《4位、――――――――――――


     ――総じて、羞恥心を顕すのが重要らしい。

     振る舞いが大事なのだろう。

     関係ないが、ツンデレぽいのはランクインしてなかった。

     やっぱりツンデレは駄目だ。特に他意はない。


    (……)

    (……)

    (……なるほどー、なるほどー)


     感心しながら、テーブルの上の湯呑みに手を伸ばした。

     お茶で喉を潤し、頁を捲る。


    (次は――《ホワイトデーのお返しについて》)


     目を通すと、雑誌には――。

     《ホワイトデーのお返しいらない。代わりにデートしてほしい》と、お願いするとか書いてあった。

     意中の彼をゲットするのが目的だったら、これ位した方が良いとの事。

     《彼ものんびり考えるよりドキドキ度が増すのでは?》とかも書かれている。

    792 = 1 :


    (でーと)

    (……)

    (いや、いや、いや、いや)

    (……)

    (でも……)

    (……)

    (いや……やっぱりこれはないかなぁ……そーいう目的じゃないしね……)

    (……)

    (大体、意中の彼とかそーいうのじゃないし、うん)


     混乱しかけた思考を仕切りなおす為に、首を左右に振った。

     更にぺらぺらと読み進めていき――

     ――ふと目につく、《チョコには気持ちを込めるもの》との文字。


    (気持ち、かぁ)

    (……気持ち)

    (…………気持ち)


    (……、……、……、……)


    (そうだ――)

    (チョコに自分の血を混ぜ――――)

    (――――――るわけがないよっ! そもそも作り直しになるし!)


     内心で一人ノリツッコミを入れ、血液混入とかいう案を打ち消した。

     頭が沸いているのだろうか。

     というか、血って何だ。かなり怖い。

     それは呪術や黒魔術、魔女の儀式染みた類のものの筈だ。

     例えば反動で不幸になったり、人を呪わば穴二つ的な摂取した相手を操る系のサムシング。

    793 = 1 :


     ――――――

     ――――

     ――


     そうして、雑誌を読み進め、それなりに時間が経った頃。


    (あっ、そろそろかな)


     冷却していたチョコを冷蔵庫から取り出した。

     確認をしてみれば十分に固まっているようだ。


    (さて、仕上げに、っと……)


     柔らかめのホワイトチョコが入ったコルネを絞り、文字を書いていく。

     “Dear”――

     ――と、そこまで書いて手が止まった。

     文字を食い入る様に見つめる彼女。


    (……)

    (Dear……)

    (ディアー……)

    (でぃあー……)

    (いみは、あい――)


     ふと、そんな思考が脳裏に過ぎった。

     冷静さを取り戻したつもりだったが、先程の微妙に茹だった思考が残っていたらしい。

     次第に血が顔に昇っていくのを自覚し、頬が熱を帯びる。

     彼女の脳内劇場は色々と酷いことになっていた。

     文字に起こすのは個人情報の視点から却下。

    794 = 1 :


    (――ち、ちがうの。そういうのじゃなくて)

    (ほら、なんていうか、もっと、べつの――)


     妄想を打ち消す為に、震えるように首を横に振った。

     更に、誰にともなく内心で言い訳を漏らす。
     

    (……ほら、あれ)

    (……何ていうか、その)

    (……何か他にある筈)

    (……そう……たとえば義理、とか)


    (――それがあった!)


    (ナイス私……それ以外の意味なんてきっとない)

    (毎年のことだし……ないったらない)


     一応、チョコを渡す事自体は、小学生高学年以来からの恒例行事ではあった。


    (それに、なんだかんだとお世話になってるし)

    (……)

    (あ、でも勉強を見てあげてたりするから、こっちからも世話をしているのかもしれない)

    (……)

    (じゃなくって――)

    (お世話になっている人にチョコをあげるのは、何も可笑しくはない筈)

    (その証拠にお父さんと、京ちゃんのおじさんの分も用意してある。ちゃんと市販の別のやつを)


     精神集中するかの様に目を閉じ、むむむっと眉根を寄せ、自分にそう言い聞かせる。

     頭を冷やし――ホワイトチョコで“Dear”の後に、幼馴染の名前を書いた。

     僅かに手が震えた気がしたが、錯覚だろう。

    795 :


    (これでよしっ、我ながら上手く書けた――)


     綺麗に書き上げた手際を自画自賛。

     ほっと小さく息を吐いた。


    (後はラッピングだけど……)


     《チョコには気持ちを込めるもの》

     そのフレーズが頭の片隅に引っかかっていた。
     
     静かに両の瞼を落とし、思索を巡らす。


    (……)

    (……、……)

    (……、……、……)
     

     不意に。

     ぴこんと宮永咲の角っぽい何かが上を向いた。

     何か良い案が思い浮かんだようだ。


     チョコレートを見つめ、深呼吸を一つ。

     次に、彼女は唇を指で確かめるように一度撫で――理論武装を開始した。


     ――雑誌に書いてあるなら仕方ない。

     それが作法というものなのだ。

     しない方が常識的でないのだ。

     常識外のことをするのはいけないのだ。

     礼儀作法はちゃんと守りましょうって、しょうがくせいのときどうとくでならったのだ。

     だからしかたない。

     これはしないといけないことなのだ。きっと。

     なにもまちがってなんかない。かんぺきだ――


     当方に迎撃の用意あり。覚悟完了。


     意を決し。

     心を定め。


     宮永咲は、甘いチョコレートへ、やや上気した顔を、そっと寄せ――――

    796 = 1 :


     ■□■


     そんなこんなで後日。

     バレンタイン・デー当日の放課後、一緒に下校している際。


    「……京ちゃん……こ、これ……バレンタインチョコ――――義理だけどっ」

    「お、マジか。今年もくれるのな」

    「ん……優しい幼馴染に感謝するよーに! あと、こっちはおじさんに渡してあげてね」

    「さっすが、咲様仏様……謹んで受け取らせていただきます」


     そんな雑誌の特集を、全く活かせれていない会話があり。

     ある意味で、いつも通りの二人がいたとかいなかったとか。


     尚、更に後日。

     チョコを受け取った事がどこからか“革非同”に漏洩し、須賀京太郎は裏切り者として粛清されかけた。

     必死に義理だと釈明したが、当然聞き入れてもらえず、追い掛け回されるハメになった。

     もし次があれば、人目のある所で貰うのはやめよう――と、誓ったとか誓わなかったとか。


                                                     ――了

    797 = 1 :

    うまるの海老名ちゃんがかわいかったのが悪い
    本日分終わり

    798 :


    自分宛のチョコか

    799 :

    チョコにキスして贈るとか萌え死ぬし、正直その発想はなかった!かわいいヤッター
    やっぱり京咲はナンバーワン!


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