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    元スレ忍「隠し事、しちゃってましたね……」 アリス「……シノ」

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    551 = 56 :

    カレン「た、たしかに、好きデス。大好きデス」コクコク

    カレン「――でも」

    カレン「これ、ちょっとPriceが……」

    「あっ、たしかに――」

    (5000円超え、ですか……)

    (うーん――これから色々と節約することを決めて、今日は、お二人にプレゼントしようと思っていたのですが)


    店員「ああ、それなら、まけてあげてもいいよ」

    「わっ!? ほ、ホントですか?」ハッ

    店員「うんうん」ニコニコ

    店員「せっかく、お友達同士で来てくれたんだし」

    「おともだ、ち……」

    カレン「? 私たち、やっぱりFriendsなんデスカ?」キョトン

    アリス「ま、まあまあ、カレン」アセアセ

    店員「?」キョトン


    「――それでは、カレン」

    「買いましょう、それ」

    店員(おっ、踏み込むねぇ、この子は……)ニヤッ

    カレン「――いいんデスカ、シノ?」

    店員(結局、この子が買ってくれれば、それはそれで……あれ?)

    店員(「いいんですか」……?)キョトン

    「ええ」

    「――私が、買って差し上げます」ニコッ

    アリス「わっ。シノの顔が……」ビクッ

    カレン「な、何だか――かっこいい、デス」カァァ

    店員(え? え?)アセアセ

    「それでは、店員さん」クルッ

    店員「わっ!? は、はい」ビクッ

    「こちらの花柄のお人形と、こちらのマフラーをお願いします」

    店員「ど、どうもー」


    カレン「――シノ、男らしいデス」ニコニコ

    アリス「う、うん……嬉しいなぁ」ウットリ

    店員「!?」ピッピッ

    店員(お、おと、こ……?)

    「? どうかしましたか?」キョトン

    店員「い、いえいえ……」

    店員(き、聞き間違いよね? そうに決まってるわよね?)アセアセ

    552 = 56 :

    店員「――お、お買い上げ、ありがとうございましたー」

    「はい、どうもありがとうございました」

    カレン「シノ! プレゼント、ありがとうございマス」

    アリス「……好きな人からの、クリスマスプレゼントだぁ」パァァ

    店員(す、好きな人……)

    店員(い、いえ! これはつまり――そう! バレンタインの「友チョコ」みたいなもの、よね?)ブンブン

    「……ふふっ、どういたしまして」ニコッ

    店員(こ、こんな笑い方する子が――おと)

    店員(い、いや! もうやめましょう……)タメイキ




    ――店外



    カレン「……何だか、あの店員さん、様子が変わってマシタ」

    アリス「うん。何かおかしなことしちゃったかな?」モジモジ

    「それはないと思いますけど……」


    「――まあ、ともあれ」コホン

    「お二人とも、お腹は空いていませんか?」ニコッ

    553 = 56 :

    ここまでです。
    気がつけば、もう2期も2話まで終わっていました。
    久世橋先生が可愛くて、本当にたまりませんね……。
    勿論、メインキャラもその他のキャラもみんな可愛くて、観ていて本当に安心できます。

    さて、このSSでは、まだ1期ですが……。
    久世橋先生の登場も、このデート回が終わったら近いと思います。
    もうしばらくはデートの話で、「砂糖を吐く」ようなシチュエーションは、これからどんどん増えていくでしょう。

    それでは。

    554 :

    今でも良い雰囲気なのにこれ以上の砂糖? どんと来い!

    555 :


    砂糖を砂糖で塗り潰す凶悪ssと化してきたな

    556 :

    アニメ堪りませんな~乙です!!
    店員さんの心の声がかわいいww

    557 :




    ――街中


    「――うーん、おかしいですね」

    アリス「どうしたの?」

    「この辺りに……クレープ屋さんのスタンドがあるはずなのですが」

    カレン「クレープ!? 大好きデス!」キラキラ

    「ですが――ちょっと見当たりませんね」

    アリス「そうなんだ……」

    カレン「Uh……ちょっと残念デス」

    「ごめんなさい」ペコリ

    アリス「ううん。シノが謝る必要は、全然ないよ」

    カレン「ハイ! 私たちはシノと一緒にいるダケデ――」ニコニコ

    アリス「ホントに嬉しい……」ニコニコ

    「……あ、ありがとうございます、お二人とも」カァァ


    カレン「何だか、街中がオシャレデス」テクテク

    アリス「クリスマスだね……」トコトコ

    「そうですねぇ……」テクテク

    カレン「あっ――あの人たち、腕を組んでマス」

    アリス「わっ、大胆……」カァァ

    「ふ、二人とも。あまり見ちゃダメですよ?」アセアセ

    カレン「シノ、顔赤いデス」

    アリス「……照れちゃった?」

    「そ、そんなことはっ……」プイッ


    (……一緒にいるのは当然、楽しいですけど)

    (体温が上がりきって風邪でもひかないかどうかは……心配ですね)タメイキ

    カレン「――シノ? ちょっと、シツレイしマス」ズイッ

    「は、はい?」ピクッ

    (カレンが私に近づいてきました)

    (隣では、アリスがキョトンとした表情を――そして)


    カレン「ソレッ!」バッ


    (私の腕が、宙に浮かぶような感覚に――)

    (一瞬の後、私の腕には艶やかで細い腕と一緒に――って!?)


    「カ、カレン……?」アセアセ

    カレン「ごめんなさい、シノ。ちょっとやってみたくなったデス」

    アリス「わ、わ……カレン」

    カレン「シノがイヤなら、すぐにやめマス」ジッ

    「――!」

    カレン「……周りを見てたら」

    カレン「少し、浮足立ってしまったみたいデス……」モジモジ

    558 = 56 :

    「――い、嫌というわけでは、全然」

    「ちょっと……ビックリしてしまいました」

    カレン「それじゃ、このママ?」

    「――は、はい。大丈夫です、よ」カァァ

    アリス(言いながら、シノの顔は真っ赤になる)

    アリス(イルミネーションの光に照らされて、その姿が私の目にはしっかりと映っちゃうから――)


    アリス(シノを心配に思うより先に――)


    アリス「……」ズイッ

    「わっ!?」

    アリス「カレンが右、なら」アセアセ

    アリス「わ、私……左もらっても、いい、かな?」カァァ

    「――アリス」

    カレン「Oh、アリスが意外と大胆デス……」

    アリス「カ、カレンがそんなことするから当てられちゃったの!」モジモジ

    カレン「アリス? ツンデレって、きっとそういうものじゃないと思いマス」

    アリス「べ、別に、私――ツンデレ? じゃ……」カァァ

    「金髪のツンデレ少女――」

    「意外と、というより……鉄板の組み合わせかもしれませんね」

    アリス「え、シノ? なにか?」キョトン

    「あっ……い、いえ」アセアセ


    (――なんて、そんなトリップしている場合ではありません)

    カレン「シノの右腕、気持ちいいデス……」

    アリス「ひ、左腕だって――凄くいいもん」

    (右からはウットリとした声が、左からは何とも可愛らしい声が――)

    (両方の耳から私の頭に響いて、おかしくなってしまいそうです……)アセアセ


    アリス「……でもさ、ちょっと思ったけど」

    カレン「?」

    アリス「カレン――やっぱり変わったよね?」

    「!」ハッ

    カレン「私、デスカ?」

    アリス「うん」

    アリス「――今までなら、シノがこういうことをして」

    アリス「それでカレンが、照れちゃって……」

    「……」

    559 = 56 :

    カレン「――たしかに、そうデシタ」

    カレン「デモ……私、もう分かっちゃいマシタ」

    カレン「シノが、大好きだって、コト」カァァ

    「――!」

    アリス「そっか、だから……」

    カレン「Yes! もう、ハグでもキスでも、何でもできマス」エヘン

    アリス「カ、カレン……ちょっと声、おっきいよ」

    カレン「――あっ」ハッ

    カレン「キ、キスはまだ……ちょっと照れマスネ」カァァ

    アリス「もう……」カァァ


    「」

    アリス「わっ、シノが固まってる……」

    カレン「Hnn……何だか、ヤッパリ私とシノが入れ替わりになってしまったのでショウカ?」

    「い、いえ……えっと」アセアセ

    アリス「そういえば、前にカレンがシノのお家に泊まった時からだよね?」

    カレン「何だか、ちゃんと聞いたことはなかった気がしマス……」

    アリス「何かあったの?」

    「――う」ピクッ


    「じ、実は、ですね……その」

    「お姉ちゃんの言った通り――アリスやカレンが、ただ『好き』だったって、それだけだったので」

    アリス「……シノ」

    「で、ですけど」

    「文化祭とか色々あって……アリスやカレンが、何だか心配になることが増えて」

    カレン「ママみたいデスネ……」クスッ

    「……だ、だから」


    「私――ボク、が」


    二人「!」ハッ

    「ふ、二人を守らないと、って――そう、思って」

    「『守りたい』って思ってたら、な、何だか……とても、恥ずかしくなってしまって」アセアセ

    「だ、だって……お二人の親御さんに、け、結婚なんて、たとえ冗談としても……」モジモジ

    アリス「シ、シノ、ありがとう。もうわかったよ」

    カレン「これ以上は体調悪くしそうデス……」

    「あ、ありがとうございます……」カァァ

    560 = 56 :

    アリス「――そっかぁ」

    カレン「やっぱり、さっきのお店でも思いマシタガ……」

    カレン「シノ……何だか、『男』らしくなってマス」

    「――わ、私は、やっぱり」

    「『女の子』で、いたかったんですけど……」タメイキ

    アリス「うん。シノは女の子だよ」

    カレン「そして、男の子デス」

    「――な、何だかそれはそれで、照れちゃいますね」カァァ


    カレン「まあ、何にシテモ――」ダキッ

    (み、右腕にカレンの細い腕が……強く)

    アリス「私たちは、ずっとシノと――」 ダキッ

    (左腕にアリスの、カレンより細い腕が――)


    カレン「Be with Us! デス!」ニコッ

    アリス「一緒にいてね、シノ?」モジモジ

    (左右から、大好きな金髪少女が軽く頬を染めながら)

    (カレンは笑顔のまま、アリスは少し照れくさそうに――)

    (――上目遣い、とは何て卑怯なものなのでしょうか)


    「わっ、あの子たちかわいー」「最近の子はダイタンね……」
    「友達かな?」


    「」

    「お、お二人とも……そろそろ、向かいましょうか?」

    「お腹が空いている所、申し訳ないのですが――」

    (ケータイの時刻表示は――6時ちょっと過ぎ)カチカチ

    (今からなら……『予定』通りに見れますね)


    アリス「シノ? これからどこに行くの?」キョトン

    カレン「Where do we go?」キョトン

    「――それは、ですね」



    ――このルートなら、きっとこれがハイライトかな――

    ――お金もかからない割には評判メチャクチャいいみたい――



    (そのアイデア……今、使わせてもらいますね、お二人とも)グッ



    「駅の名前にもあった場所――名所・自然公園です」

    561 = 56 :

    ここまでです。
    胸やけされた方には申し訳ありません。
    それは自分も同じですので……。

    砂糖に砂糖をまぶすような展開が続きます。
    次回はおそらく、そこにハチミツでもかかるんじゃないでしょうか? 漠然と思い浮かべてる段階ですが、もはや……。
    クリスマスはカップルを狂わせるものですね、多分。

    それでは。
    久世橋先生を見ていたら、このSSでも早く出したくなってしまいますね。

    562 :



    羨ましい

    563 :

    おっつー やっぱり外から見たら女3人でイチャついてるようにしか見えないわな
    あと、カレンが既にシノとイチャついてるから、クゼハシ先生とイチャつかせづらそう

    564 :




    ――商店街を抜けて


    カレン「……ちょっと暗くなりマシタ」

    アリス「ライトがなくなっちゃったね……」

    「あの辺りは賑やかでしたから」

    「――移動の間は、少し暗いままかもしれませんね」

    カレン「シノ……ちょっと怖いデス」ギュッ

    アリス「わ、私も……」ギュッ

    「も、もう……二人とも」

    (私も、ある意味怖いです……)


    (両腕の感触が熱すぎて、私の脳がショートしないか、とか……)アセアセ



    カレン「――ところで、シノ?」

    「な、なんですか、カレン?」

    カレン「自然公園、って言ってましたケド……」

    アリス「そ、そこって何かあるのかな、って……」

    「――」

    「それは……ヒミツです」

    カレン「Secret、デスカ?」

    「はい」コクッ

    アリス「ねぇ、シノ……教えてくれない?」

    「アリスの頼みでもダメです」

    (た、たとえ、上目遣いでも……)


    カレン「――私にも、デスカ?」

    「カレンの頼みでも……」

    カレン「教えてくれたら――私」ウワメヅカイ

    「!?」ビクッ

    カレン「シノに……」

    「……」

    アリス「……カレン?」

    カレン「――やっぱり、何でもないデス」

    「――もう、カレン? 私をからかって……」

    カレン「アレ?」

    カレン「シノ、何だと思ったんデスカ?」ニヤニヤ

    「……そ、それは」

    カレン「?」キョトン

    「い、いやらしい、こと、とか……」カァァ

    カレン「……あ」

    カレン「――シ、シノはHデス」プイッ

    「カ、カレンこそ……」

    565 = 56 :

    アリス(いや、どうしてからかったカレンが照れちゃうの……)

    アリス(――私だって、ちょっと焦っちゃったけど)

    カレン「アリスもHデス……」

    アリス「うん、ちょっとビックリしちゃったし――って」ハッ

    アリス「カ、カレン!」カァァ

    カレン「顔、真っ赤デス」カァァ

    アリス「そ、そっちだって……!」


    「……ああ」

    (ここに至って、ようやく私にも分かりました)

    (落ち着かないのでしょう)

    (だから、カレンは照れ隠しで人をからかうし、アリスも明らかに落ち着いてませんし……)


    「……お二人とも」

    カレン「シノ?」

    アリス「どうかした?」

    「――絶対に」

    「離しません、から」

    カレン「……あ」

    アリス「シノ……」

    「で、ですから――」


    「き、緊張したらダメですからね?」モジモジ


    カレン「……」

    アリス「――もう」

    アリス「シノ、声震えちゃってるよ?」

    「そ、それは……」アセアセ

    カレン「デモ」

    カレン「シノの……大切なお相手の頼みなら仕方ありマセン」

    アリス「期待してるよ?」

    「……もう」

    「お二人は――本当に」


    (……可愛すぎます)タメイキ




    ――自然公園・入り口



    「……着きました」

    カレン「ここ、デスカ?」

    アリス「静かだね……」

    「ええ、自然公園ですし」

    「……それでは、中に行きましょうか」

    アリス「う、うん」

    566 = 56 :

    カレン「――シノ? 何だか腕、熱くないデスカ?」

    「そ、そんなことは……」アセアセ

    カレン「照れてマス?」クスッ

    「――カレンはイジワルです」

    アリス「もう、カレン? あまりシノをいじめたら……」

    カレン「? 大好きな人のことを心配するのは当たり前デス?」

    アリス「そ、それは……そうだけど」

    カレン「アリスも、もっと素直になりマショウ?」ニコッ

    アリス「――カレンは素直すぎっ!」プイッ

    (右腕にはカレンの肌が、左腕にはアリスの――)

    (あれ? わ、私……ちゃんと目的地に辿りつけますよね?)カァァ



    ――中心地・噴水前



    カレン「……あ」

    アリス「ちょっと明るくなったね」

    「はい」

    カレン「綺麗、デス……」

    アリス「噴水も、何だか……少し色合いが」

    カレン「あっ……噴水から前に進んだ所ニ」

    アリス「おっきなクリスマスツリー……ここにもあるんだ」

    カレン「なんだか……街灯? みたいなものも、たくさん並んでマス……」


    「――今日だけ特別の演出みたいですよ?」

    アリス「……あ、やっぱり」

    カレン「それも――その『魔法のノート』デスカ?」

    「ええ……」コクッ


    「お二人を幸せにする魔法が、たくさん載ってるノートです」


    アリス「……わぁ」

    カレン「シ、シノ――そういうコトハ」

    「……ごめんなさい、実は私も、ちょっと恥ずかしいです」カァァ

    「でも――」

    「ずっとお二人に抱きつかれていると、感覚も……」

    アリス「シ、シノったら……」

    カレン「シノは照れ屋さんデス」

    アリス「……今のカレンは、それを言っちゃいけないと思うよ」

    カレン「そ、ソレハ……」アセアセ

    567 = 56 :

    「――それでは、座りましょうか」

    アリス(そう言うと、シノは噴水の縁に腰を下ろした)

    アリス(それにつられて、私たちもすぐ隣に座る――)

    「……7時まで、後10分」 チラッ

    カレン「シノ?」

    「お二人とも、お手洗いは大丈夫ですか?」

    アリス「だ、大丈夫だよ?」ピクッ

    カレン「シノ、何かあるデスカ?」ピクッ

    「――言ったでしょう?」


    「お二人に魔法をかける、と」ニコッ


    アリス(そんなことを言うシノの顔は赤かったけど……)

    カレン(なぜだか凄く頼りがいのある笑顔で――私たちを安心させてクレル……)


    「あ、先客がいるね」「マジか……というか、三人?」
    「友達かな? それじゃ、ちょっと遠くに――」


    「……あ、あはは」アセアセ

    アリス(い、一気に笑顔が崩れて……)

    カレン(ある意味、いつも通りのシノに戻りマシタ……)

    「や、やっぱり――ここに来る人も、いますね」

    アリス「……ねぇ、シノ? その魔法って」

    カレン「有名、なんデスカ?」

    「……」



    ――というかこれ、こんなコラム的な書き方でいいのかな……――

    ――気づいた人勝ちだな、これ――



    「――魔法ですからね」

    「誰にでも知られているのは、らしくないでしょう?」

    アリス「……そっか」

    カレン「シノがそこまで言うのナラ……」

    カレン「私たちは、それを楽しみにするだけ、デス」

    アリス「う、うん……そうだね」

    「あ、で、でも……そうかしこまらないでください」

    (さっきから、いちいち格好つけようとするだけで照れてしまいそうなんですから……)カァァ



    ――7:00


    「……時計が」

    アリス「わっ、音楽……」

    カレン「――クリスマス・ソング、デス」

    「……わっ」

    アリス「シノ……あっ」

    カレン「――!」

    568 = 56 :

     ――私たちの目の前で、クリスマスツリーがまず点灯しました。
     そこから伸びるような形で、街灯の灯りが一気に点きます。
     私たちから少し距離を置いた所まで、その光は届きました……。


     一口に光といっても、ただ黄色いものだけではありません。
     赤、青……その他、色々な色合いで、私たちの前方を彩ります。
    「すごーい」という声は、私たちの後ろにいるカップルの方のものでしょう。


     ……私のお相手たちは、というと。


    「……キレイ」
    「音楽も、いい味出してマス」


     その光に照らされる二人の金髪は、本当にキレイでした。
     いや――私は、この子たちが「金髪」というだけで、好きになったわけではありません。


    「――あっ、色が変わったよ」


     左隣のアリスは、どこか恥ずかしそうな、けれど本当に楽しんでくれていそうでした。
     顔に手を当てて「嬉しい」という素振りを見せつける彼女を見ていると、私は愛しさでいっぱいになります。


    「グレートデス! 気持ちいいデス!」


     右隣からはカレンの、本当に明るく、私たちをいつも楽しませてくれる声がします。
     その満面の笑顔は、油断すると照れそうになってしまう私を「楽しい」という気持ちに、一気に引き込んでくれるものでした。




    (……キレイ、です)


     目の前の景色も。
     左隣の、何とも可愛らしい金髪少女も。
     右隣の、明るくて気持ちのいい金髪少女も。


     ――こんなに幸せで、いいんでしょうか?


    「キレイだねー……」
    「もう少し、近く寄ってみるか」
    「賛成!」


     と、私が恍惚としていると、後ろから声がしました。
     私たちと一緒に、その光景を見ているカップルの声――
     その後で、私たちの前を二人の影が過ぎて行きました。





    アリス「……行っちゃった」

    カレン「これで――今、ここにいるノハ」チラッ

    アリス「私たち、だけ……」チラッ

    「二人とも……?」

    (わ、私たちだけ……?)

    569 = 56 :

    アリス「……ねぇ、シノ?」ズイッ

    「は、はい」

    カレン「今、私たち……トテモ」ズイッ

    カレン「――そ、その」

    カレン「コウフンを、デスネ……」カァァ

    「」

    アリス「カ、カレン……もう」

    アリス「――私だって同じなんだから、落ち着いてよぉ」カァァ

    「……あ、あの?」

    カレン「し、仕方ないデス」

    カレン「――こんな所を見せられたら……もう、それダケデ」

    アリス「た、たしかに……仕方ないよね」

    「え、え?」


    カレン「――最初に謝ります、シノ。ゴメンナサイ」ペコリ

    「カ、カレン……?」

    アリス「……いいんだね、カレン?」

    カレン「アリスも謝っておきマショウ!」

    アリス「ご、ごめんね、シノ」ペコリ

    「ア、アリスも……?」


    アリス「――いっせーの」
    カレン「セっ!」ピトッ



     ――瞬間、両頬に甘い感触が広がりました。
     とても柔らかく、気温の低さにも関わらず……何とも温かい感覚。 


     頬が一気に赤らみ、私の表情が音を立てるようにして崩れそうになります。
     以前にも感じた感触は――そういえば今日まで感じませんでしたね、なんて考えながら。
     そうやって冷静さを保とうとしながらも、私の頭に色々な感情が広がっていきます――



    「……」

    カレン「シノのほっぺた、冷たかったケド」

    アリス「温かかったね……」

    カレン「私の口唇、真っ赤デス」クスッ

    アリス「もう、カレン。それは元から――なんて、そうじゃないよね」クスッ

    カレン「アリスの口唇も、真っ赤――」


    「……えいっ!」ダキッ

    カレン「ワッ!?」ビクッ

    アリス「わぁっ!?」ビクッ

    570 = 56 :

    カレン(――シ、シノが)

    アリス(だ、抱きしめ、て……?)

    「……まったく、お二人は」

    「そうやって――私を困らせるんですから」カァァ

    カレン「だ、だから、さっき……謝ッテ」

    「謝ってもダメです!」ビシッ

    アリス「……シノ」


    「――ですから」アセアセ

    「こ、これは……お仕置きです。バツです」ギュッ

    アリス「バツ……」

    カレン「おしお、き……」

    「そうです――」


    「ハ、ハグの刑、です……」カァァ


    カレン(――今度、照れるノハ)

    アリス(私たちの番、みたいだった)

    カレン(シノの息遣い、肌の感触が私の中いっぱいに広がって……)

    アリス(照れくさくなりそうになりながらも、何だか――愛しさでいっぱいで)


    「――今度やったら、もっと凄い刑になりますからねっ!」


    カレン(……モット)

    アリス(凄い、刑――)



    「だ、抱きつくだけじゃなくて……えっと、えっと――)アセアセ


    二人(シノは、ちょっと可愛すぎ(デス)……)カァァ

    571 = 56 :

    ここまでです。
    「誰かどうにかしてくれ」と助けを求めながら、つらつらと書いていました。
    しかし、これでも周りからは友人同士のスキンシップとすら思われそうな辺りが……。

    久世橋先生を早く出したい、と書きながら、次回辺りじゃないとクリスマス回は、きっちり終われなさそうですね。
    ……ということは次回も砂糖が。

    それでは。

    573 :




    ――ファミリーレストラン


    子A「このチキン、美味いな……」パクパク

    子B「そうだな――美味い」パクパク

    陽子「それじゃ私たち、このサラダ食べるよ」

    「……い、いい、ですか?」モジモジ

    子A「あ、ああ。いいよ、全然」

    子B「いやー、二人のお陰で……ケーキが半額に」

    陽子「――何だか、妙に引っかかるけどなぁ」

    「よ、陽子。ほら、私たちも半額だし」

    陽子「ん、そっか……このチーズケーキも、か」

    「そ、そうよ。私のショートだって」


    子A「……まさか、猪熊たちが来るとは思わなかった」

    陽子「こっちだって、まさか二人がいるなんて思ってなかったよ」タメイキ

    子B「いやいや、猪熊たちには感謝してるって」

    陽子「――財布がピンチだった、とかだろ?」ジトッ

    子A「いや、それだけじゃなくて」

    陽子「否定はしないんだな……」タメイキ

    子B「事実だからなぁ」

    子A「おかげで、男女割引セールに潜り込めたわけだし」

    陽子「なんだかなー……」


    「――あ、あの」

    「ふ、二人は……ど、どうして、ここに?」

    子A「そりゃ――寂しいクリスマスを、せめて誰かと、って」

    子B「……やっぱり今年も、お前に相手は見つからなかったんだな」

    子A「そっちだってそうだろ」


    陽子「そっかぁ……『そういう』仲だったんだなぁ」ニヤッ

    子A「おい、猪熊が明らかにからかってる」

    子B「気にすんな。きっと大宮さんたちがアレだから寂しくなって、ってことだろうから」

    子A「だよなぁ」

    陽子「……!」プルプル

    「よ、陽子。落ち着いて……」アセアセ


    陽子「ああ、そうだよ」

    陽子「シノたちがいないから、綾と一緒に……」

    「わ、私は楽しいわよ?」チラッ

    陽子「私だって楽しいよ」マガオ

    「……も、もう、陽子ったら!」

    574 = 56 :

    陽子(そうさ、綾と二人だけっていうのも……そりゃ楽しいよ、勿論)

    (――まったく、陽子ったら)

    (前までの私ならとにかく……今の私が、あなたの微妙な違いに気づかないと思ったの?)

    子A「……何か、ヤブ蛇だったかな?」ヒソヒソ

    子B「ま、まぁ……何か楽しそうだし、いいんじゃないか?」ヒソヒソ


    陽子「まったく……」

    陽子「元々、二人とも――シノに、何を話したの?」

    子A「それは……ん?」

    子B「あ、こっちも……」

    子A「悪い、猪熊。ちょっと――」カチカチ

    子B「……そっか」カチカチ


    陽子「――な、何かあったのか?」キョトン

    子A「いやいや」

    子B「……よかったな、ホント」

    子A「俺たちのダメージは、どんどんデカくなってる気もするけどな……」

    陽子「??」


    「――もし、かして」

    「シ、シノ絡み、です、か?」モジモジ

    子A「小路さん……ま、まぁ」

    子B「ちょっと、いい知らせが――」



    ――少し遡って・喫茶店


    カレン「……このケーキ、美味しいデス!」パクパク

    アリス「うん。本当に……美味しいよ、シノ」パァァ

    「そうですか。それは良かったです」

    「――ちょっと、ビックリするような隠し味のお店も思いついたのですが」

    アリス「わ、私は、そういうお店より……こういう方が」アセアセ

    カレン「――か、辛子入りのケーキは、チョット」アセアセ

    「……私、どういう風に見られてるんでしょうか」ズーン


    「――ともあれ」

    「喜んでもらえたようで何よりです」ニコッ

    「……大好きなお二人に、できるだけ楽しいクリスマスを過ごせるように、と思ってましたから」

    アリス「……も、もう、シノったら」カァァ

    カレン「ホ、ホントに……ピンポイントで私たちを困らせマスね……」カァァ

    「え? そう、でしょうか……」

    「ただ――お二人が大好きってだけ、で」

    アリス「……そ、そういう所がっ!」

    カレン「シノ……あ、あまり人目がある所では、そういうコトは、デスね……」アセアセ

    「ええ……?」

    575 = 56 :

    店員1「あ、あの、先輩……あそこのテーブル席の方たちって」

    店員2「――可愛いわね。きっと、女子高生だと思うわ」

    店員1「女子高生、かぁ……それじゃ、私より、ちょっと年下なのかな」

    店員2「女子大生からしたら、もう『若い子』っていう感じね」アハハ

    店員1「せ、先輩……目が笑ってません」ビクッ


    店員1「それはともかく――」

    店員1「あの三人って……ホントに女子高生、なんですよね?」

    店員2「それはそうでしょう。最近の若い子は仲良しだから、ああいうことくらい――」



    カレン「シノッ! アーン、デス!」

    アリス「……わ、私も。ア、アーン?」

    「……あ、あはは」

    「まったく、モテちゃって困りますね……」カァァ


    店員2「――あ、ああいうこと、くらい」ワナワナ

    店員1「も、もしかして……あれは」



    「……えいっ!」パクッ

    アリス「わ、一緒に食べちゃった」

    カレン「私とアリスの出したフォークが……一緒ニッ!」

    「えへへ……」

    店員2(――ちょ、ちょっとだけ、混ざっても)サッ

    店員2「お、お客様? お飲み物のお代わりは、いかが――」


    「――お二人のお気持ちは、一緒に頂かないと、ですから」

    「それこそ……い、一応、婚約者、ですし」モジモジ

    アリス「」

    カレン「」


    店員2「」

    店員1「……え? な、なんて?」

    店員2「な、なんでもなかった。うん!」

    店員1「そ、そうですか……それにしても、あのテーブル席、凄い雰囲気が……」

    店員2(そう、なんでもなかった、何も聞こえなかった……)ブツブツ

    店員1(せ、先輩……?)ビクッ


    アリス「……も、もう、シノったら」カァァ

    カレン「さ、さすがに――私たちも、おかしくなりそうデス」カァァ

    「え、そう、なんですか……?」

    「私、お二人の親御さんが仰ったから――ほんの少し、覚悟を」

    アリス「シノは極端すぎっ!」ビシッ

    カレン「さっきまであんなに照れてたのに……張り切るときは張り切りすぎデスッ!」

    「……うーん、自信なくしちゃいますねー」

    576 = 56 :

    アリス「大好きだよ、シノ」キュッ

    カレン「愛してマス、シノ」キュッ

    「――あ」

    (お、お二人の腕が……私の腕に、絡まって……)カァァ

    アリス(あ、やっぱり照れちゃった……)

    カレン(良かったデス――何だか危なくなってきましたケド……しばらくは私とアリスがリードできそうデス)


    店員2「――私、何だか色々と投げ出したくなってきちゃった」ズーン

    店員1「せ、先輩……。私も同じだから言わないでくださいって」

    店員2「さすがに……あれは見ててキツい」

    店員1「ええ。私も、店長から頂けると言われていたケーキのおすそ分けを断っちゃいそうです」

    店員2「――それくらいには」


    「……う、上目遣いは、禁止です」

    アリス「あっ……そっか。シノの弱点は、まだ」

    カレン「アリス? シノより小さくて良かったデスね?」

    アリス「カ、カレンだって――シノより5センチくらいは低いでしょ?」ジトッ

    カレン「アリスは15センチ以上低いデス。だから……上目遣いも、凄い効果が」

    アリス「カレン……もぉ」プイッ

    「お、お二人ともやめて下さい……」カァァ


    店員2「――私、ケーキいらないわ」ハァ

    店員1「私もです、先輩。今、気持ちが固まりました……」ハァ



    ――それから


    カレン「……何だか、店員さんたちの様子がおかしかった気がしマス」

    アリス「もう、カレン? お店の人たちを悪く言うのは駄目なんだよ?」

    カレン「アリス、わかってマス……でも、そうじゃナクテ」

    「……」


    (何となく、分かっちゃうこともあります)

    (最初の雑貨屋の時は漠然としてましたが……結局、『そういうこと』なのだと)

    (私たちが揃ってると、やっぱり……女子高生3人組、として映ってしまうんじゃないか、と)

    「……」チラッ

    カレン「何だか……おかしいのかな、とか気にナッテ」

    カレン「って、イヤ! な、何でもないデス、シノ!」アセアセ

    アリス「もう、カレンったら――わ、私も、ちょっと」

    アリス「い、いや! そうじゃないよ、シノ!」アセアセ

    (おもむろに私に顔を近づけてくる、二人の金髪少女……)

    (やっぱり――何かしら、思う所があったのかもしれません)

    (――ここは)

    577 = 56 :

    「……あ、あのっ!」

    OL「は、はい?」ビクッ

    「……こ、この、ケータイで」

    「――私たちを、撮って頂けないでしょうか?」

    アリス「シ、シノ!?」

    カレン「……シノ」

    OL「――ええ、いいわよ」


    「二人とも? 私の両側に……いいですか?」

    アリス「い、いいけど……シノ? 大丈夫なの?」

    カレン「さっきまで、すっごく恥ずかしそうデシタ……」

    「――いいんです、私の恥ずかしさなんて問題ないです」

    「……それより」ジッ


    「お二人が寂しい顔をしていることの方が、ずっとイヤです」


    アリス「……あ」

    カレン「……シノ」


    OL「それじゃ、三人とも? いい?」

    「あっ、よろしくお願いします、お姉さん」

    OL「お、お姉さん……嬉しいわね、まったく」ニコニコ

    OL「それじゃ――」

    アリス(……さっきの、シノの顔)

    カレン(普段からずっと思ってる可愛さと……そ、ソレと)

    アリス(――カッコ良かった)カァァ

    カレン(……これがシノ、デシタね)カァァ


    「お願いします」ペコリ


    アリス(――ああ、何だか)

    カレン(自然と……頬が緩ンデ……)

    アリス(隣にいるシノの、あまりの愛しさに)

    カレン(隣にいるシノが、本当に頼りになって)


    OL「――ピース!」

    アリス(このまま……)

    カレン(この時間が、終わらなければ……いい、ノニ)

    578 = 56 :

    ――ファミリーレストラン


    子A「……三人とも、いい顔してるよな」

    子B「そうだな……あと、何というか」カァァ

    子A「――二人の顔が、凄く、その」カァァ

    陽子「さっきから二人で何話してんの?」

    「ちょ、よ、陽子!」

    子A「ああ、それは……その」

    子B「――ほら。これが三人の」


    陽子「へぇ……ああ。シノとアリスとカレン、の……」ピクッ

    「よ、陽子? 私も、ちょっと――い、い」ピクッ

    子A(言葉が途切れた……)

    子B(画面を凝視してるな……)

    子A(あ、顔が赤くなってきた、二人とも)

    子B(――きっと、俺たちもそう、なんだろうな)


    陽子「――な」

    陽子「何というか、えっと……」

    「アレよね、そう……アレ」

    陽子「ア、アレってなんだよ、綾?」

    「そ、それは――」


    「――もう」カァァ

    陽子「普通の、カ、カップル、みたい、な……」カァァ

    二人「……」モジモジ


    子A(――どうしよう。二人のおかげで)

    子B(むしろ、俺たちの方が……反応に困る感じに、なってきたぞ)




    ――その頃・電車内



    「……」

    アリス「……」

    カレン「……」

    (両手に花、ならぬ、両肩に金髪少女)

    (お疲れなのか、座席に腰を下ろすとすぐに寝入ってしまいました)

    (……すぐ近くに、お二人の顔があります)

    (気のせいではないでしょうが、とてもいい香りがします――)


    アリス「……シノ」

    カレン「ん……シノ」

    579 = 56 :

    (――何故でしょう?)

    (前までなら絶対に赤面したシチュエーションなのに、今はどこか冷静です)

    (さっきの撮影の時に感じた……守らないと、という感覚)

    (――まったく、この二人と一緒にいると、楽しさと愛しさでいっぱいになって困ってしまいますね)




    ――そうか……結婚、するつもりはないか――



    「」

    アリス「シノー……」

    カレン「シノー……」

    「あ、あわわ……」カァァ

    (カ、カレンのお父さん! なんてタイミングで……!)

    (ああ、いけません――油断してました)

    (け、け、結婚……この、お二人と……ああ)モジモジ


    「やっぱり私、まだまだですね……」タメイキ

    580 = 56 :

    ここまでです。
    これにてクリスマス・イブの話は終了の予定です。
    次回は、もしかしたら年明けになるかもしれませんし、それを飛ばして始業式辺りになるかもしれません。

    油断大敵というお話でした。
    ちょっと油断すると、すぐに赤面材料がやってくるというもので……結局、この三人で誰がリード出来るかというのもないのかもしれません。

    それでは。
    砂糖成分は次回で薄まるか、はたまた……

    581 :

    男子が普通に馴染んでる

    582 :

    男子が普通に馴染んでる

    584 :


    4人組もイブを楽しめてるようで何よりだぜ

    585 :




    ――年明け・神社


    「……遅いわね」

    陽子「おっす、綾」

    「……まったく、いつも通り遅刻ね」タメイキ

    陽子「ほ、他の三人の方が……」アセアセ

    「――それは、そうだけど」

    「ほら。あの三人は、ちょっと……」

    陽子「――そりゃまぁ、そうだけどさ」

    陽子「はぁ……まさか、シノがハーレムとは」

    「そ、そういう誤解を招きそうなこと言わないのっ」アセアセ


    「……というか」チラッ

    陽子「ん? どうかした?」キョトン

    「まさか――晴れ着とは思わなかったわ」

    陽子「あ、綾……私、そこまでオシャレに縁がないと思ってたのか?」

    「いや……ちょっと意外で」

    「見とれちゃった」

    陽子「え?」キョトン

    「――あ」ハッ


    (な、何を言ってるの、私……!)アセアセ

    (今までなら、こんなこと絶対に言わなかったのに……)カァァ

    (去年一年で色々と変わったとは思ったけど……まさか、こんな所まで)

    陽子「綾も似合ってるよ」ニコッ

    「……!」

    陽子「綾らしい晴れ着だなぁ、って」

    「あ、ありがとう」カァァ

    「……それを言うなら、陽子も陽子らしくて、いいと思うわよ」

    陽子「――やっぱり、変わったね。綾は」クスッ

    「そ、そんなことは!」

    陽子「うん、よかった」

    陽子「……私一人じゃ、きっとシノたちを支えてあげられないからさ」

    「……あ」

    「そう、よね……」

    586 = 56 :

    陽子「――結局」

    陽子「私たちのケータイにも画像が送られてから、シノとは話せなかったな」

    「し、仕方ないわよ、陽子。普通は冬休みに、毎日のように会えっこないんだから」

    陽子「それはそうだけど……シノたちは、ちょっと違うだろ?」

    「……そうね」

    「早ければ――もしかしたら、今年の4月には、もう」

    陽子「こ、怖いこと言うなってば……」

    「よ、陽子だって、同じこと考えてるんでしょう?」

    陽子「そ、それは、まぁ……」

    「――シノが、イギリスに行っちゃってるかも」タメイキ

    陽子「さすがに考えるなぁ……そうなっちゃうんだとしたら」タメイキ


    カレン「アヤヤ、ヨウコ! アケオメデース!」

    陽子「カ、カレン!?」

    「あ、あけましておめでとう……」

    カレン「ハイ! 嬉しいデス!」

    カレン「――冬休みから、お二人には会えませんでしたカラ」

    「……風のうわさで」

    「カレンとアリスが――ご実家に連絡をしてると聞いてたから」

    カレン「……やっぱり、知ってたデスね」

    陽子「まぁ――さすがに、込み入った話だからな」

    陽子「私も、カレンたちには連絡しづらかったんだよ」

    カレン「そうデシタか……」


    アリス「アヤー、ヨウコー! あけましておめでとー!」

    「お二人とも、あけましておめでとうございます」

    陽子「お、おう、二人とも……」

    「あけましておめでとう……」

    アリス「? 二人とも、どうかした?」

    「どうかしましたか?」

    陽子(アリスの晴れ着も、シノの晴れ着も可愛いのはいいとして)

    (そもそもシノの場合、袴じゃなくて私たちと同じなのに……ちょっと自信をなくしちゃうのもいいとして)


    「――お二人とも、ちょっと」ズイッ

    陽子「シ、シノ?」

    「ど、どうかした?」

    「……私」

    「高校までは、お二人と一緒ですよ?」

    陽子「……あ」

    587 = 56 :

    「――クリスマスから今まで」

    「このことで、私も色々と大変でした」

    「なるべく早く、お二人と一緒にイギリスに行ったほうが――とも考えましたけど」

    「それでも、高校まではここにいたいって思いました」

    「……シノ」

    「ごめんなさい。連絡は、ここでしようって決めてたので……ご心配をおかけしてしまいました」

    陽子「いやいや、別に大丈夫だって……」

    「大丈夫よ、シノ。あなたがどんな道に進んでも……」

    「私たちはずっと、あなたのお友達、だから」

    「陽子ちゃん、綾ちゃん……本当に嬉しいです」ニコッ


    カレン「そうデス、みなサン!」

    アリス「私たち、少なくとも高校までは一緒だよ?」

    陽子「……二人とも」

    「何だか、安心しちゃうわね、こういうの……」

    「よかったですっ」ニコッ



    ――境内


    「――とはいえ」

    アリス「ひ、人、多いよぉ……」

    カレン「凄い人波デス……」

    陽子「いやぁ、まぁ……元旦だし、な」

    「仕方ないわよね」

    「――お二人とも、落ち着いてますね」

    陽子「ま、まぁ、それは……」

    「さっきのシノたちの話を聞いて……ちょっと、力抜けちゃって」

    陽子「あ、でも! 私、みんなが結婚するなら、おうえ――」

    「よ、陽子!? 声、声!」アセアセ

    陽子「……ご、ごめん」ハッ

    「可愛いですよ、陽子ちゃん」クスッ

    陽子「シ、シノ!」カァァ


    アリス「……三人とも、仲良しさんだね」ニコッ

    カレン「――三人は親友デスから」ニコッ




    ――お参り後



    陽子「……ふぅ、疲れた」

    「何をお願いしたの、陽子?」

    陽子「いや、それは……」

    陽子「家族が、幸せに、って――」

    「……そう」

    588 = 56 :

    「私は、『シノたちが幸せに暮らせるように』って」

    陽子「……そ、そっか」

    「それじゃ、改めて。陽子は?」

    陽子「――わ、私も同じだよ!」

    陽子「『シノとアリスとかレンが、幸せに過ごせるように』って!」カァァ

    「はい、ありがとね」クスッ

    陽子「……わ、私をいじめて、楽しいか?」

    「いや、むしろ嬉しいわ」

    「――陽子もちゃんと、シノたちを見守ってくれるのなら、私も心強いから」

    陽子「あ、綾……」タメイキ


    カレン「――なんというか」

    カレン「アヤがヨウコを赤くしてマス……」

    アリス「うーん……何だか新鮮だね」

    「ふふっ。綾ちゃんも陽子ちゃんも、お互いのことが大好きですから」

    アリス「――シノは、何てお願いしたの?」

    カレン「何をお願いしたデス?」

    「……そ、それは」アセアセ

    「お二人と同じ、ですよ?」

    カレン「はぐらかされマシタ……」

    アリス「シノも『私たちがずっと一緒にいられますように』って?」

    「は、恥ずかしいです……」カァァ



    ――絵馬書き



    「せっかくですし、書きませんか?」

    陽子「そうだなぁ……へぇ、色々書かれてる――」

    陽子「あっ」

    「あら?」



    『自分の知り合いの人たちがみんな幸せになってほしい』

    『たしかに彼女は欲しいけど、それよりも↑と同じ』



    陽子(名前……これってやっぱり)

    「あの二人よね、きっと……」

    「――わ、ほんとです」


    陽子「……まったく」ハァ

    「シノたちには幸せになってもらわないとね」

    「……そうですね」

    アリス「――ちょっと照れちゃうね、これ」

    カレン「へ? このお二人、知り合いなんデスカ?」

    陽子「ん。まぁ、ちょっと、ね……」

    589 = 56 :




    ――帰り道


    陽子(結局……)

    (図らずもみんなが「シノたちが幸せになれますように』なんてことを書いて)

    陽子(私は照れるばっかりだ、まったく……)


    「ね、陽子ちゃん、綾ちゃん?」

    陽子「ど、どうかした、シノ?」

    「シノ?」

    「その――ですね」

    「今日の晴れ着、似合ってました?」

    陽子「――あれ? 言ってなかったっけ?」

    「てっきり、言ったものだと……」

    「もう、お二人とも? 言ってませんでした」プクーッ

    「私、ちょっと気にしてたんですよ?」チラッ


    「で、でも……」

    「シノにはもう、アリスたちが――」

    「綾ちゃん? あの二人と綾ちゃんたちは違います」

    陽子「……シノ」

    「陽子ちゃん、どう思います?」

    陽子「――すごく、似合ってるよ。特にえーと……そのかんざしとか」

    「ああ。特に、この帯がいいわね。いつものシノっぽいけど、ちょっとばかり派手というか」

    「……ありがとうございます、お二人とも」ニコッ

    590 = 56 :

    「――陽子ちゃんたち、ちょっといいですか?」ズイッ

    陽子「ど、どうかした?」

    「な、なぁに、シノ?」

    「お二人とも」


    「私に遠慮、しないでくださいね?」


    陽子「!」ハッ

    「!」ハッ

    「たしかに私は、あのお二人とずっと一緒にいますけど」

    「……それでもお二人は、私の『親友』です」

    「それは、決して変わりません」

    「……シノったら」

    陽子「はぁ――まったく」

    陽子「何だかんだで、いつも引っ張られてばっかりだなぁ……」

    「わ、私は、そんな……」カァァ

    陽子(嘘つけ……)

    (シノは本当に――底が知れないんだから。もう)



    アリス「ねぇ、カレン? 私たち卒業しちゃったら、ホントに」

    カレン「場合によっては、イギリスに帰らないといけないかもデス」

    アリス「そ、そっか……」

    カレン「きっと――シノも嫌がらないと思いマスし」

    アリス「だよね、きっと――」

    カレン「……大丈夫デス、あの三人は」

    カレン「『無敵』デス、きっと――」ニコッ

    アリス「だよね、カレン……」ニコッ

    591 = 56 :

    ここまでです。

    シノにとってはみんな大切で、もしも遠く離れることになってもその気持ちは変わらない、みたいな話でした。
    このSSの帰着点は決まっていませんし、どうなるかは自分自身も分かりませんが……。
    クリスマスの後、元旦のお話でした。
    次回は新学期で、もしかしたら脇役たちが目立つ話になるかもしれません。
    久世橋先生も登場予定です。

    それでは。
    気づけば二期も半分って……怖いですね。

    592 :




    ――中庭


    カレン「……シノの膝って、何だか柔らかいデス」スリスリ

    「そ、そうですか、カレン?」モジモジ

    アリス「カレン! そろそろ私の番――」

    カレン「アリス、もう少し延長お願いしマス」

    アリス「延長、三回目!」プンスカ


    陽子「……なぁ、綾?」

    「なに、陽子?」

    陽子「なんていうか、さ――」

    陽子「三人がこうなってくれて良かったって、それはホントに思うんだけど……」チラッ

    「――まあ複雑、よね」

    陽子「分かってくれるか……」

    「もちろん……」

    「シノたちのお友達でしょう? 私たちは」ニコッ

    陽子「――ちょっと前から、綾がどんどん私より先に行っちゃった気がするよ」ハァ

    「そ、それは言い過ぎ」アセアセ




    ――中庭から少し離れて・渡り廊下



    子A「……なぁ」

    子B「なんだ?」

    子A「やっぱり……『噂』っていうのも、理由があるんだな」

    子B「……俺たちには『噂』ってよりも」

    子A「ま、まぁ……」

    委員長「噂、ね。私も聞いてるけど……」

    子A「あ、委員長」


    委員長「まあ」

    委員長「あれを見る限り、火のないところに煙は立たない、ってことでしょうね」タメイキ

    子B「――知ってるのか?」

    委員長「いや、何となくよ」

    委員長「……それより」


    「――あ、あれが」

    「だ、男子生徒……なのよね?」


    委員長「私には、向こうの方が気になるわ」

    子A「……ああ」ハァ

    子B「――なんだかなぁ」ハァ

    593 = 56 :

    委員長「――こんにちは、久世橋先生」

    久世橋「!?」ビクッ

    子A「こんちは、クッシーちゃん」

    子B「……大宮さんが気になる?」

    久世橋「あ、あなたたち……」

    久世橋「そ、そうじゃなくて――えっと」

    久世橋「……場所を、移しましょう」コホン




    ――生徒指導室



    久世橋「……どうぞ」ガラッ

    委員長「お邪魔します」ペコリ

    子AB「お邪魔しまーす」ペコリ


    子A「……何だか妙に懐かしいな」

    子B「いや――そんなに前でもないだろ」

    委員長「そうよ。初めて私たちが久世橋先生に呼ばれてから……」

    久世橋「あ、あまり、そういう話をしないで」モジモジ

    久世橋「……実は、ちょっと恥ずかしいんだから」カァァ

    子A「――でも」

    子B「クッシーちゃんって意外と近づきやすいってことが分かって、ちょっと嬉しかった」

    久世橋「――!」ハッ

    委員長「……まったく、あなたたちは」プイッ


    委員長「ところで、久世橋先生? どうして、またここに?」

    久世橋「……え、えっと、それは」

    久世橋「大宮忍、さんのことで、ちょっと」モジモジ

    子A「――学祭の後も、だったっけ」

    子B「クッシーちゃんって、心配性なんだな」

    久世橋「も、もしも私が、かの――『彼』の担任になったら、と思うと」

    委員長「……まだ、大宮さんと直接に会われてないんですか?」

    久世橋「……ま、まぁ」


    久世橋「私、九条さんたちのクラスの家庭科担当だから」

    久世橋「ちょっと――『噂』が聞こえてきたりしちゃうから」

    子A「……噂」

    子B「やっぱり――あれ、だよな」

    久世橋「……それで」

    久世橋「私もちょっと、気になってたんだけど」

    久世橋「私の担当するクラスの子の中でも、色々と不安定そうな子がいて」

    子A「……不安定」

    子B「それって、クッシーちゃん? 噂が……」

    委員長「噂が関係してるんですか?」

    久世橋「――ま、まぁ、そうかもしれないわ」

    594 = 56 :

    久世橋「だから……今日、ここに連れてきた理由は」

    久世橋「あなたたちに、そういう子たちを助けて欲しくて……」

    久世橋「このままだと、私もちょっとやりにくいし――何より、その子たちが可哀想だから」

    子A「……そ、それは、いいけど」

    子B「知り合いじゃなかったら、なぁ……」

    委員長「それは同感ね。なかなか難しいかも……」

    久世橋「そ、そうよね」

    久世橋「念のため……名前は」




    ――生徒指導室前・廊下



    三人「失礼しました」ペコリ

    久世橋「ありがとうね」

    久世橋「……出来れば、お願いね?」チラッ

    子A「は、はい」

    子B「――まあ何となく、アイツかもなぁ、とは思ってたけど」

    委員長「ピンポイントでしたから、少し行ってみますね」

    久世橋「ありがとう」ニコッ

    子A「――クッシーちゃん」

    子B「来年、俺たちの担任になってくれたらいいなって……」

    久世橋「……そ、それは」アセアセ

    委員長「それでは失礼します、久世橋先生」ペコリ


    久世橋「――ああ」タメイキ

    久世橋(学園祭の後で初めてあの子たちに会った時に)

    久世橋(もう少し、威厳を保てれば……)

    久世橋(いや、もしかしたらこっちの方が――)アセアセ




    ――再び・中庭前の廊下



    「……」ジーッ



    カレン「シノ? アリスと私、どっちが気持ちいいデス?」

    アリス「カレン!?」ビクッ

    「……どっちも、ですよ」ニコッ

    「ですから――二人とも、膝に頭を乗せても……」

    アリス「カレンっ、私、左膝!」

    カレン「それじゃ私は、ちょっとズレて右膝を――」

    アリス「――シノの膝、気持ちいい」

    カレン「右膝もいいデスよ、アリス」

    「……」ニコニコ

    595 = 56 :

    (促して何ですけど……)

    (――私、本当に、大丈夫なのでしょうか?)カァァ


    陽子「……シノも大変そうだなぁ」ハァ

    「陽子の方が色々と大変そうだけど?」チラッ

    陽子「――綾」

    「冗談よ」



    「……はぁ」

    「カレンちゃん――やっぱり、噂は」


    子A「松原」

    穂乃花「わっ!?」ビクッ

    子B「やっぱり、か」

    委員長「思った通り、だったわね」

    穂乃花「さ、三人とも……」アセアセ


    子A「前から」

    子B「九条さんたちのこと気にしてたよな、たしか」

    穂乃花「そ、それは……」カァァ

    委員長「学園祭が終わってから、気落ちしてることが多かったし」

    穂乃花「――い、委員長」

    委員長「もう? 中学の頃とは違うでしょう?」

    穂乃花「そ、それは――」


    「あ。また穂乃花をいじめてる!」スタスタ


    委員長「……ああ、日暮さん。こんにちは」

    穂乃花「か、香奈ちゃん……!」

    香奈「もう……いつも、穂乃花を困らせて」ジトッ

    子A「いや、違うって日暮。むしろ……」

    子B「困らせてるのは俺たちじゃなくて……」

    香奈「――いいよ。言いたいことは分かるから」

    香奈「ね、穂乃花?」ニコッ

    穂乃花「……ま、まぁ」

    香奈「私、穂乃花のことなら、いろんなこと知ってるし」ダキッ

    穂乃花「か、香奈ちゃん……!」カァァ


    香奈「――たしかに」

    香奈「噂では、うちのクラスの九条さんと……大宮さん、が。その」 モジモジ

    穂乃花「……わ、私も」

    委員長「噂は他クラスにまで広まってる……いえ。むしろ、九条さんのクラスだから」フムフム

    香奈「ねぇ、委員長? 委員長はもっと色々知ってるんじゃないの」

    委員長「わ、私はもう、日暮さんの委員長でも――まあ、それはいいわ」コホン

    委員長「たしかに、松原さんと日暮さんよりは知ってるかもしれないけど……それより」

    596 = 56 :

    香奈「――この二人の方が知ってる、ってこと?」

    子A「……噂については、本当だよ」

    香奈「……ホント?」ジッ

    子B「ホント」

    香奈「……そっか」タメイキ

    穂乃花「や、やっぱり、そうだったんだ……」タメイキ


    香奈「いや、まぁ」

    香奈「ほら。学祭で九条さんの相手の様子から、何となく思ってたんだ」

    香奈「ああ。やっぱりあの二人……いや。あの三人は、ってさ」

    穂乃花「そっか。カレンちゃん……あの二人と」

    子A「……松原」

    子B(やっぱり、何か寂しそうだな……)

    委員長(一学期の頃とか「転校生の子がね、可愛いの!」なんて言ってたから……)


    香奈「……大丈夫だよ、穂乃花」ギュッ

    穂乃花「か、香奈ちゃん?」ビクッ

    香奈「穂乃花のことなら、全部……じゃなくて」

    香奈「色んなことはわかってるつもりだから、ね?」

    穂乃花「……三学期に入ってから」

    穂乃花「もうすぐ――香奈ちゃんやカレンちゃんたちと別々になっちゃうかも、って……」

    香奈「クラスが違ったって、私たちは一緒だから。部活だって同じだし……」

    香奈「……それって、むしろ」チラッ

    穂乃花「う、うん……」

    香奈「――そっか」

    香奈「九条さんと離れちゃうの、キツい?」

    穂乃花「……そ、そう、かも」

    香奈「そっかぁ……ああ」タメイキ


    子A(――松原だけじゃなくて)

    子B(日暮も複雑そうだな……)

    委員長(中学の頃から親友だったもんね……二人とも)

    香奈「――なに、三人とも?」ジトッ

    子A「い、いや」

    子B「なんでも」

    委員長「……日暮さん、大丈夫よ」

    香奈「はぁ……信じていいのかな」ハァ

    穂乃花「だ、大丈夫だよ、香奈ちゃん」アセアセ

    597 = 56 :

    穂乃花「……ね?」

    子A「ん?」

    穂乃花「カレンちゃんは、つまり……」

    穂乃花「その――あ、あの『男の子』と、もう一人の金髪の子と」

    穂乃花「一緒、ってこと、だよね?」

    子B「……ああ。クリスマスのデートも、、ちょっとだけ手伝ったから」

    穂乃花「そっか……」


    穂乃花「――って! ク、クリスマスデート!?」カァァ

    香奈「デ、デート……って。聞いてないけど」アセアセ

    子A「そりゃ、俺たちが話してないし」

    委員長「私も年明けになってから伝えられたから、無理もないわね……」

    香奈「あんたたちホントに、えっと……大宮さんが気に入ってるんだね」アキレ

    子A「……そりゃ、な」

    子B「同性だから」

    委員長「――ということにしておいてくれる、日暮さん?」

    香奈「……息、合ってるね」ニヤッ

    委員長「それはないわね」

    子B「そうじゃないな」

    子A「それは違う」

    穂乃花「わっ、ホントに息が合ってる……」


    子A「……松原」

    穂乃花「な、なに?」ピクッ

    子B「クッシーちゃん……久世橋先生が、心配してたから」

    穂乃花「く、久世橋先生が?」アセアセ

    香奈「――クッシーちゃんって」

    委員長「日暮さんはまだ、本当の久世橋先生を知らないのね……」

    香奈「……委員長は知ってるの?」

    委員長「まあ、ね……」

    委員長(生徒の私から見てもとても可愛い先生って――)

    子A「九条さんは、松原と一緒で嬉しいと思うし」

    子B「そりゃまあ……付き合ってるのは、あの二人、だけど」

    子B「松原が遠慮する必要はないと思う」

    穂乃花「……ホント、かな?」

    子A「それは、えっと……九条さん? と直接会ってみてから、だと思う」

    子B「大丈夫だよ、きっと」

    穂乃花「――そうだったら、嬉しいな」

    香奈「そうそう。穂乃花は心配しすぎなんだって」

    香奈「大丈夫、私は最後まで一緒だから」ギュッ

    穂乃花「か、香奈ちゃん……ありがと」ニコッ

    子A(――日暮)

    子B(そっか、コイツは……)

    委員長(何というか、思ったより色々と大変になりそうね。2年からは)

    598 = 56 :




    ――数分後・中庭前廊下


    香奈「――何だか、あの三人が気になっちゃった」

    穂乃花「香奈ちゃん?」

    香奈「――全部、わかってるんだから、みたいな」

    香奈「ああ、何だか……ちょっとムカッと」


    「二人とも、先生が呼んでたよ」


    香奈「……あ」ピクッ

    穂乃花「あ」

    「? どうかした?」キョトン

    香奈「――ねぇ?」

    「な、何だ?」

    穂乃花「そ、その……噂、知ってる?」モジモジ

    「噂……あ」

    「九条さんたち、か……」


    「うん。知ってる」

    「……あの三人のこと?」

    香奈「そう、だね……」

    穂乃花「知ってるんだ、やっぱり……」


    香奈「どう思うかなって」

    「……うーん」

    「そりゃまぁ――俺は九条さんに告白したわけだし」

    「色々あるけど……それでも、幸せになってほしいかなって」

    穂乃花「そ、そっか……」

    香奈「本気?」

    「……日暮は怖いな」タメイキ

    「いや、でも――それは本気だよ」ニコッ

    「だって……三人でいる時の九条さん、凄く楽しそうだから」

    香奈「――それは」

    穂乃花「ホントに、ね……」

    599 = 56 :




    ――教室


    子A「……大宮さん」

    「あ……」ピクッ

    子B「噂、知って――いや。最近、どう?」

    「――最近、ですか」

    委員長「ええ。順調かな、って……」


    「――ありがとうございます、皆さん」ペコリ

    「私は、えっと……皆さんのおかげで、あの二人と、その」

    「このような関係に、なれましたから」

    子A「そ、そっか……」カァァ

    子B「そりゃよかった――うわ、何か照れくさい」カァァ

    委員長「あ、あなたね……」カァァ

    子A「委員長も顔、ちょっと赤くないか?」

    委員長「――そっちだって」

    子A「うわ、そっか……」


    「……ふふ」クスッ

    「ありがとうございます、本当に――」ニコニコ

    600 = 56 :

    ここまでになります。
    思ってたよりも随分長くなってしまいました。

    補足すると、香奈と穂乃花と委員長たち三人は中学時代の同級生です。
    穂乃花がカレンを気にしているのは原作通りかもしれませんが、その他の設定はこちらで付け加えさせて頂きました。

    次回の予定は、ホワイトデーです。
    それで、1年次のイベントはおしまいとなる予定です。
    ……オチが不明のまま進んでいくことに不安を覚えますが、何とかなると思いたいですね。

    それでは。


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