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    元スレ忍「隠し事、しちゃってましたね……」 アリス「……シノ」

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    51 = 47 :



    ――忍の部屋


    カレン「おじゃまシマース!」ガチャッ

    カレン「へぇ、ここがシノの部屋ですカー」ジーッ

    アリス「も、もう、カレン! そんなにジロジロ見ちゃダメだよ!」

    「あはは、いいですよ、アリス」

    「――カレン」プチプチ

    カレン「?」

    カレン「……シノ、どーして服を脱いでるですカ?」

    「――私とカレンが」プチプチ

    カレン「……!」

    「本当の、『お友達』になれるようにする、ためにです」スルッ

    カレン「シ、シノ……! ま、まさか、それは――」


    ストン・・・


    カレン「……」

    「……」

    カレン(きれいな肌、デース)

    カレン(なんというか、人形以上に人形らしいというか……それくらいにきめ細やかな肌デス)

    カレン(――しかシ)

    カレン(……ベッドの横に積まれた『モノ』は、一体)

    アリス「ふぁぁ……」クラッ

    アリス(シノ――相変わらず、綺麗だよぉ)カァァ

    アリス(でも、でも……『女の子』じゃない、なんてぇ……!)ブンブン


    カレン(このアリスの反応)

    カレン(……シノ、やはり)


    「――カレン?」

    カレン「――シノ。おっぱい、ないんデス?」

    「あはは」ニコニコ

    「昔、小学生の頃は、陽子ちゃんと一緒だと思ってたんですよ?」

    「でも陽子ちゃんったら、今はあんなにおっきくなっちゃって――」

    カレン「……そう、なんですカー」

    52 = 47 :

    カレン「なんと! 大宮忍は――『男の子』だった、トハッ!」

    「……ごめんなさい、カレン」

    カレン「な、なんのことですカ?」アセアセ

    「私、さっきカレンに抱きついちゃってもらいました」

    「その時、凄く嬉しかったです。ただ――」

    「……私が、『女の子』じゃないって、知らなかった、ですよね?」

    カレン「そ、それは、マァ」

    カレン「正直、そこらの女の子より『女の子』らしいモン」

    「――だから」

    カレン「あ、謝らなくて大丈夫デス!」

    「……あ」

    カレン「わ、私も、嫌じゃ全然なかったデスッ!」

    カレン「た、ただ……!」

    カレン「――パパ以外の男の人とハグするのなんて、初めてだった、カラ……」カァァ

    「カ、カレン……」


    「カレンー!」ダキッ

    カレン「キャッ!?」ビクッ

    カレン「シ、シノ! わ、私、心の準備というモノ、できてナイ、デスッ!」

    「……嫌、ですか?」

    カレン「そ、そうじゃなくテー……あぁ、モォ」カァァ

    アリス「……」

    アリス(シノが! アリスに! 抱きついた!)アセアセ

    アリス(……ううう)

    アリス(次は、私が……!)ズイッ

    アリス(でも)


    アリス「そういえば、私もパパ以外の男の人とハグしたこと、なかったよぉ……」カァァ



    ――廊下



    「……」

    「――恋敵登場、かしらね?」

    「しかしまぁ、この子たちがフツーのラブコメみたいな展開になるとは、到底思えないけれど」


    「まったく、可愛い子たちなんだから……」クスッ

    53 = 47 :

    今回はここまでです。

    さて、カレンに身バレし、次なるシノたちの進む道は――
    しかし、シノが服を脱ぐシーンは、書いててちょっとクルものがあることを認めざるを得ない……!

    それでは。

    54 :


    細かいけどもカレンに!じゃね?

    55 :

    続きはまだかね

    56 :

    ごめんなさい、遅れてます。
    今夜、投下予定です。
    もし立て込んだりして出来なかったら、申し訳ありません。

    57 = 56 :

    >>54
    ご指摘、ありがとうございます。

    60 = 56 :

     ――ちょっと昔の話をしてみよう。

     そういえば、あの姉妹――おっと――「姉弟」とは、随分と長い付き合いになる。
     小学1年生の頃に初めてその子と会った時、まだ小さかった私は目をパチパチとさせたっけ。

    「陽子ちゃん、よろしくお願いしますね」
    「おう、シノ! よろしくな!」

     でも、その時はまだ「ちょっとした」違和感に気付かなくて。
     だから、シノと触れ合っていく中で――

     まさか、「そういうこと」だとは思わなかったわけで――


     きっかけは、渡り廊下。
     たしか、4月の中頃だったような気がする。
     シノと出会ってから、日がまだまだ浅い頃だ。

    「――あれ、陽子ちゃん?」
    「よう、シノ」
    「どうしたんですか? ここは、お兄さんやお姉さん達のクラスしかありませんよ?」

     つまり、上級生のフロアだと言いたいんだろう。

    「あー、いやまぁ……なんとなく?」

     まあ私は、本当に理由もなくただぶらついていただけ。
     だから、寧ろシノがなんでここにいるのか気になった。

    「そーいうシノは、どうしてここにいるのさー」
    「あ、それは……」


    「シノ!」

     交わされる会話は、突如途切れる。
     シノが、誰かに抱きつかれたせいだ。
     その人は、当時は小学3年生だったはずだけど……もうすでに、どこか上級生っぽくもある人だった。
     何より、凄く綺麗だった。

    「……あれ?」

     つい、見惚れてしまっていた。
     おっと、油断した。
     近くには、そんな美人の顔がある。

    61 = 56 :

    「こ、こんにちは」
    「あら、こんにちは――ねぇ、シノ?」
    「なんですか、『お姉ちゃん』?」

     なるほど、この人はシノのお姉さんだったのか。
     合点した私は、「似てるようで似てない――『姉妹』だなぁ」と心のなかで思う。
     ……うん、この頃までは知らなかったんだな。

    「この子……シノのお友達?」

     そんな、美人さんの問いかけに、


    「はい! 陽子ちゃんは『ボク』のお友達です!」


     世界が、揺れた。
     まだまだ小さかった当時の私も、なんだか急に立っている場所がわからなくなった記憶がある。

     目の前にいるシノは、短めのおかっぱ頭に、大きな目(ただ、お姉さんと違ってタレ目)。
     どこから、どう見ても――


    「な、なぁ、シノ?」
    「――あっ!」
    「あーあ、もしかして……今、バレちゃったの、シノ?」
    「……うう」


     4月の中頃。
     私たちはそうして、後に公然となる秘密の共有者となった――



    「……ってわけなんだ」
    「なんだか、妙に勇さんに対する評価が高いわね……」
    「どうした、綾?」
    「な、なんでもないわよっ!」

     時は移って、現在。
     私と綾は帰り道で、そんな話をしていた。
     今頃、シノの家にはカレンが行って――

    「それで、どうしてこの話を?」
    「いや……たしかまだ、綾に言ってなかったよね、って思って」
    「――まぁ、たしかに初耳かもだけど」

     そう言うと、綾は居住まいを正して、

    「どうして、今?」
    「……分かるだろ、綾?」

     私は一呼吸置いて、

    「アリスに続き、カレンにもシノの『秘密』は明かされるはず」
    「それはもう、確定事項でしょうね」
    「……だったら、尚更」


    「私が、一番信頼する『友達』に、全てを打ち明けときたいって思うじゃん」


    「……は、はぁ!?」

     そんな風に言うと、何故か目の前の綾が爆発しそうな表情をとる。
     爆発しそうな……うん、つまり、とっても赤い顔になる。

    62 = 56 :

    「な、何をいきなり……」
    「いや、たしかにこの話をしても、今更大した変化もないだろうけど」

     私は、そこでしっかりと綾を見つめる。

    「――それでも」
    「まったく、陽子ったら」

     少し赤みが引いた顔を、いたずらっぽく緩めて、言う。


    「今更私が、あなたやシノから離れるとでも?」
    「……まるで、綾に付き合ってきたのが私やシノみたいな言い草だなぁ」
    「むっ……」

     そうそう、そんな感じがいい。
     ちょっと雰囲気が堅くなってきた感じもあったし、少し綾をからかうことで立て直し。
     まぁ、そこが私のダメな所でもあるんだろうけれど……ともあれ。

     明日から、どうなることやら――










     ――翌日・集合場所

    「……おはようございます!」

    陽子「おっす、シノ」

    「お、おはよう、シノ」

    「そ、それで昨日は……」

    アリス「あ、綾! わ、私たち、別に何にもなかったよ!」ブンブン

    「――え? いや、カレンのことなんだけど……」

    アリス「」


    陽子「……アリス、何を早とちりしてそうなったんだ?」

    アリス「き、聞かないでよぉ」カァァ

    「はい。アリスは昨日も今日も可愛いですよ」

    アリス「……シ、シノー」キラキラ

    陽子「――まぁ、この二人はもういいか」

    「というより」

    (アリス……実際、シノの「性」について、どう思ってるのかしら?)

    (――まぁ)


    アリス「シノに会えて良かったよー!」ダキッ

    「アリスー!」ダキッ

    (……なんともなさそう?)

    63 = 56 :

    陽子(いや、よく見ろ綾)

    (な、なによ?)

    陽子(――アリスの、手)

    (……!)

    陽子(シノの腰回りに、ちゃんと付いてない)

    (……あぁ、やっぱりまだ)


    カレン「お、オハヨーゴザイマス……!」ハァハァ

    「あ、カレン」

    陽子「おっす」

    カレン「……」ドキドキ

    陽子「? どした?」


    「カレンー!」

    アリス「シ、シノ!?」ガーン

    カレン「……シ、シノ」ビクッ

    「昨日は、ぐっすり眠れましたか?」

    「日本の生活に、早く慣れるといいですねー」

    アリス「シノ……それ私には、言わなかった台詞」ウルッ

    陽子(うわぁ……あれは)

    (アリス――疲れちゃいそうな性格してるわねぇ)


    カレン「……ア、アノ」

    「さぁ、学校生活二日目です!」

    「カレンのクラスにも、遊びに行きたいですねぇ」

    カレン「シ、シノ……ええと」モジモジ

    「はい?」

    カレン「……」


    カレン「い、一回ダケ」

    カレン「――ギュッと、シテ?」ポッ

    アリス「……!!?」

    陽子(うおおお!?)

    (え、なにこの展開は……!)

    64 = 56 :

    「……」

    「はい、わかりました」

    カレン「……」ドキドキ

    「――カレン」ギュッ

    カレン「!」ビクッ

    「……さらさらの、金髪」

    「綺麗ですねぇ……」

    カレン「……」


    カレン「も、もう、イイ!」バッ

    「え?」

    カレン「……」

    カレン「わ、私! さ、先に行きマス!」

    「ちょ、ちょっとカレン!?」

    アリス「……」

    アリス(カレンが、シノに……ギュッと)

    アリス(シノが、カレンを……ギュッと)

    陽子「……なぁ、私はカレンよりむしろ」

    「アリス――健気な子」

    陽子(健気、というより、なんだかなぁ……)




    ――ちょっと離れて




    カレン「……」ハァハァ

    カレン「――ド、ドキドキ、しまシタ」

    カレン(ま、まさか、異を決してやってみたことがこんなニモ)

    カレン(……シノに、抱かれたダケで)

    カレン(身体が、ギュンと、火照ッテ)

    カレン(――あれで、どうシテ)


    カレン「……『Man』なんですカァ」カァァ

    65 = 56 :

    ここまでです。
    トリップつけました。

    互いに気持ちを結び合う陽子と綾。
    気持ちを結ぼうとして引いたカレン。
    さて、二人の英国少女はいかに和風少女と気持ちを結ぶのか……。

    というまとめっぽいことを書いても、結果的には赤面するカレンちゃんが書きたかっただけかもしれません。
    楽しかったです。

    それでは。

    66 :

    続きはいつ頃?

    67 :

    >>66
    実生活が色々と立て込んできたので……少し、遅れるかもしれません。

    68 :

    この雰囲気、いいね!

    69 :

    続きが早くみたいな

    70 :

     ――4月下旬。

     大宮忍たちが高校に入学して、早1ヶ月が過ぎようとしている。
     この間に、アリス・カータレットが忍に会うためにイギリスから来日したり、九条カレンがそんなアリスを追って忍たちと知り合ったり……
     と、過ぎた時間の短さに比して、非常に濃い日々を送っていた。

     さて、そんな面々の調子はどうだろうか。

     大宮忍は、そんな2人の英国少女に会えたことで、頬を緩めることがとても多く非常に満足な毎日である。
     アリス・カータレットは、そんな忍と会えてとても嬉しく思う一方で……一抹の想いもまた、抱えていた。
     九条カレンは、アリスと同じような想いの感じ方に、彼女よりも敏感であった。

     猪熊陽子は、そんな3人(主に忍だが)を心配しつつ、楽しみながら見守っている。
     小路綾は、陽子と同様ではあるが、心配の比重が多いように見受けられる。


     さて、このようにそれぞれ捉え方は違えど、概ね満足な日常を送っている中で――


    「……なぁ、今のって」
    「うーん……」


     ちょっとした、「予兆」も表れてきていた。

    71 = 56 :

     ――廊下



     子A「……最近は、転校生ブームなのか?」

     子B「なんだ、いきなり。何かの漫画の影響か?」

     子A「何言ってんだ。うちの学校のことに決まってるだろ」

     子B「――あぁ、なるほど」


     子B「うちには、アリス――さん?――がいて」

     子A「別のクラスには、九条さんという人も来たらしい」

     子B「……ああ、時々うちのクラスに来てる」

     子A「そう、あのユニオンジャックのパーカーの――」

     子B「え、あれユニオンジャックとかいうかっこいい名前だったのか?」

     子A「……ほんのちょっとでもいいから、イギリスのことは知っておくべきだろ」

     子B「??」


     子A「でも、こんなにイギリスから転校生が来てると――」

     子B「いいじゃん、外国人と仲良くなれるし」

     子A「単純なヤツだな……まぁ、それでいいんだろうけど――わっ!?」

     忍「ひゃっ!?」



     ドンッ!



     子A「だ、大丈夫か?」

     忍「は、はい。ご、ごめんなさい」アセアセ

     子B「――あぁ、大宮さんか」

     忍「えへへ、慌てちゃってました」

     子A「そか。俺は大丈夫だから」

     忍「良かったです」

     忍「それでは、また」ペコリ

     子B「じゃーなー」

    72 = 56 :

     子A「ああ、ビックリした」

     子B「意外と慌てることもあるんだな、あいつ」

     子A「そう……だ、な」ピクッ

     子B「どうした?」

     子A「――俺達って今」

     子B「トイレに行く途中だろ?」

     子A「……大宮さんは、今」

     子B「え、あいつなら教室に戻る途中だろ?」

     子A「――気付かないのか?」チラッ

     子B「えっ……」チラッ

     子B「あっ!」ハッ



    『男子トイレ』



     二人「」

     子A「ま、まさか、なぁ」

     子B「な、なぁ?」

     二人「……」



     ――教室



     陽子「……と、いうわけで」

     綾「何が、『と、いうわけで』なのよ」

     陽子「わ、分かってるだろ?」

     綾「それは、まぁ」

     忍「え、お二人とも、どうかしたんですか?」

     アリス「ふ、二人とも、ちょっと顔が真剣だよ……」

     陽子「――シノ」

     忍「は、はい」

     綾「中学生の頃のこと、覚えてるわよね?」

     忍「……中学生、ですか」

     忍「あぁ、アリスの所へ行きましたねぇ」キラキラ

     アリス「私が、シノと会った時……!」キラキラ

     陽子「じゃ、なくてだな……」ハァ

    73 = 56 :

     陽子「その――シノの、あの」

     綾「身体のこと、でしょ?」

     忍「え、私、健康ですよ?」キョトン

     アリス「シノ……綾が言いたいのは、そういうことじゃないと思うよ?」

     忍「――冗談です」


     忍「ええ、覚えてますよ」

     陽子「……」

     忍「でも、皆さんとても優しかったですし」

     忍「いい人たちでしたねぇ……」

     綾「シノ……」


     陽子「――傍から聞くに」

     陽子「シノは、『どっち』なんだと」

     綾「そう、言われてることもあるらしいのよ」

     忍「そうですかー」

     綾「って、随分と軽いのね……」

     忍「ええ、だって……」

     忍「安心してますから」ニコッ

     陽子「安心……?」

     アリス「シノ……?」



    ガラッ



     子AB「――あ」

     忍「あっ!」ガタッ

     忍「お二人とも、先程はごめんなさいでした」ペコリ

     子A「い、いや、別になんともなかったし」

     子B「む、むしろ……いや、なんでもない」

     忍「それは良かったです!」

     子A「――大宮、さん」

     忍「はい?」キョトン

     子B「――応援、するよ」

     忍「……!」

     忍「ありがとうございます!」ニコッ

    74 = 56 :

    陽子「……おお」

     綾「よ、よくあんな普通に男子と話せるわね」

     陽子「いや、そこじゃないよ!」

     アリス「シ、シノが……男の子と……」アワワ

     陽子「いや、そっちでもないよ!」

     忍「ただいまです」

     陽子「なんというか」

     綾「心配、するまでもなかった、ってことかしら?」

     アリス「わ、私は心配だよぉ」ウルッ

     陽子「アリス、それは違うんだよ」


     陽子「ともあれ、シノ」

     陽子「――さっき、トイレに行くと席を立った時、あの二人とすれ違ったんだな?」

     忍「はい」

     忍「私、慌ててたのでぶつかってしまって……」

     陽子「そうか……それで、あの二人は」

     綾「『察した』のかしら」

     アリス「シノが――その――」

     アリス「……私たちと『同じ』じゃない、ことに?」

     陽子「――かもな」


     忍「それでも」

     忍「あのお二人は、分かってくれたようですし」

     忍「――大丈夫ですよ、アリス!」ニコニコ

     アリス「シ、シノぉ……」ウルウル

    75 = 56 :


     綾「……ま、大丈夫みたいね」

     陽子「まぁ、なんだかんだで中学の時も――」



    『いやまぁ、なんというか……面白いこともあるよね』

    『いいじゃん、そういうのも!』

    『大宮さん、それなのに髪サラサラなんだ……羨ましー』



     陽子「――私たちはホント、周りの人に恵まれてるなぁ」

     綾「感謝しないとね」

     忍「はいっ!」

     アリス「……」

     アリス(そうだよね――シノは、『違う』んだよね)

     アリス(最初、私がシノに会いたかった理由は……)

     アリス(今と、なっては――)キュッ




     子A「――あれで、あの容姿で……」

     子B「あの可愛さで、か――凄いな」

     子A「……だよな、うん」

    76 = 56 :

    ここまでです。

    今回はカレンちゃん登場なしでした。次回、出る予定です。

    きんモザの世界観なら、優しさで解決することも多いんだろうなー、と。
    実際、原先生が最初期案で描いたらどうなっていたのか、非常に気になります。

    次回は、赤面率が上昇する……かも。
    それでは。

    77 :

    この男子…素質があるな…

    79 :

     ――最近、うちの高校にも「ブーム」が来ているらしい。

     さっき、廊下ですれ違った二人の男子も、そんなことを言っていた。
     なるほど、彼らのクラスにもまた、イギリスからの転校生がいるらしい。
     そして……

    「ハァ……」

     さっきから、私の近くで溜息を漏らす子も、イギリスからの転校生。
     そんな彼女は、どうも朝から様子がおかしい。

    「あ、あの……?」
    「――」

     ムクリ。
     あ、身体を起こした。
     しかし、こうして改めて見ると、やっぱり日本人とは違う。
     サラサラの金髪も、パーカーの着こなし方も……といっても、ハーフらしいけれど。

    「お尋ねしても、よろしいデスカ……?」
    「はい?」
    「May I ask you a question……?」
    「うわ、やっぱり英語上手いね」

     さて、そんな彼女の「お尋ねしたいこと」とは何なのだろう。
     これまでの様子を勘案して、思い浮かぶことといえば――

    「……まさか、とは思うんだけど」
    「ハイ」
    「――『恋煩い』じゃあないよね?」
    「!」

     まぁ、冗談のつもり。
     フツーに考えれば、転校して間もないこの時期に誰かに一目惚れって――どんな漫画やアニメなんだか。
     ……冗談、だよ?


    「……」
    「恋煩い……」
    「Love sickness……?」
    (聞いたことのない英語だ……)


     私がこう言うと目の前の彼女は、先ほどとはまた違った意味でおかしくなった。
     さっきまでが「静」な不調といえば、今は「動」の不調。
     いきなり顔を赤らめて、オロオロするばかりなのだった。


    「……あー、なんというか、藪蛇?」

     この場合、使い方が正しいのか知らないけど。

    「そ、そんなことありまセン!」

     あ、いきなりムキになった。

    「と、とにかく! た、確かめに行ってきマス!」

     と同時に、バタバタと教室を出て行ってしまう始末。
     廊下に消えゆく彼女を見て、私も溜息を一つ。

    「……ありゃ、重症ね」

    80 = 56 :

     

    ――教室


    「はぁ……陽に照らされる金髪少女も素敵です」ウットリ

    アリス「シ、シノ? 目がちょっと怖いよ?」ビクッ

    「いえいえー」

    アリス「……もぅ」クスッ


    陽子「――相変わらずの光景だなぁ」

    「もう慣れたものね……今までシノは雑誌の女の子に対して呟いてたけど」

    陽子「もう直接の対象が近くにいるからな……道理で、蕩け度が増してるわけだ……」



    ガラッ



    カレン「……」

    陽子「あ、カレンだ」

    「な、何だか、ちょっと様子がおかしいわね」

    陽子「……言われてみれば」

    カレン「――ヘイ、ヨーコ、アヤヤ!」ニコッ

    陽子「あ、笑った」

    「だから、私は『アヤ』なのに……」


    陽子「どうしたんだ?」

    カレン「What? なんデスカ?」キョトン

    陽子「いや、その――」

    「さっき、ちょっと表情が硬かったように見えて……」

    カレン「心配いりマセン! ダイジョブデス!」エヘヘ

    「そ、そう?」

    陽子「……そ、そっか」

    カレン「――ところで」チラッ


    「この髪も、サラサラですねぇ……」ナデナデ

    アリス「く、くすぐったいよぉ……」

    「アリスは、本当に可愛いです……」

    アリス「――シノは、ズルいよ」カァァ


    カレン「……」

    陽子(あ、表情が)

    (少しずつ、さっきみたいに……)

    81 = 56 :

    カレン「ヘイ、二人とも」

    「あ、カレン!」

    アリス「カレン、どうしたの?」

    カレン「――その」

    カレン「私も、髪には自身あるデス」エヘン

    アリス「……!」


    カレン「シノ、触ってもいいデスよ?」チラチラ

    アリス「だ、ダm」

    「はい! ありがとうございます!」ナデナデ

    アリス「」


    「いやー」

    「カレンの髪も、サラサラで綺麗ですねぇ……」ウットリ

    カレン「……」

    カレン(うん、大丈夫デス)

    カレン(顔が赤くなってる感じもなく、胸が高鳴ってるわけでもナイ)

    カレン(――やっぱり、LoveSicknessなんてありえまセン!)

    カレン(そ、そもそも、シノは……私たちとは、ちがッテ)


    「……んー」ポフッ

    カレン「!?」

    アリス「!!?」

    カレン「……シノ、なにしてるデスカ?」

    「カレンの髪……香りもいいですねぇ」

    アリス「シ、シノが……!」

    陽子「髪に顔を埋めて――!」

    「……」



    陽子『綾の髪、なっがいなー、サラサラしてる』

    『あ、もう、陽子ったら!』



    「……」ジーッ

    陽子「――なにか?」

    「な、なんでもないわよ!」プイッ

    陽子(慣れたとはいえ、時々綾が怖いよ……)

    82 = 56 :

    カレン「シ、シノ……あの、デスね」

    「……」

    カレン「く、くすぐったい、デスし、そ、それに……」

    カレン「――うう」

    アリス(カレン……顔が真っ赤だ)

    アリス(――シノもシノで、いつまでカレンの髪に顔を)

    アリス(むぅ……)


    「――ふぅ、満足です」

    「ありがとうございます、カレン」

    カレン「よ、You are welcome……どういたしまして、デス」

    「わ、カレン……英語、上手ですねぇ」ニコニコ

    カレン「……そ、そんな、コトは」アセアセ

    陽子(慣れないことされたせいか、カレンの反応が敏感だな……)

    (そして、それを見るアリスの健気でいじましい瞳ときたら……)


    カレン「……」

    カレン「シノ」

    「はい?」

    カレン「――」

    カレン「やっぱり、なんでもないデス」

    「そうですか」

    「いつでもなんでも、言ってくださいね」

    カレン「……」

    カレン「そういうとこ、ズルいと思いマス」カァァ

    「??」

    アリス(――カレン)

    アリス(まさか……まさか、だよね?)

    カレン「――そろそろ、戻りマス」

    「あ、そうですか。それではまた後で会いましょう!」

    カレン「……ハイ」



    ガラッ



    アリス「……」

    アリス(カレンが――カレンが)

    アリス(おかしいよぉ……!)ガーン


    陽子「――ありゃ、かなり」

    「ええ、何だかすごかったわね」

    83 = 56 :


     
    ――あ、帰ってきた。

     教室に脚を踏み入れた彼女は、なるほどどこか様子がおかしい。
     具体的には、さっきよりも顔の赤みは増し、足取りもおぼつかなく、なにより――


    「お帰り……ところで、どうしたのその髪?」

     彼女の自慢であろう髪の形が、崩れていた。
     何故だろう、手入れを欠かすことなどなかっただろうに。

    「――このままで、いいデス」
    「そう?」

     やっぱりよくわからない。


     ただ、言えることはありそう。

    「どう、九条さん?」
    「――何が、デス?」


    「Love sickness」
    「!」
    「実際には、どうだったのかなー、って」
    「……」

     彼女が教室を去ってから電子辞書で調べた言葉。
     それを投げたら、彼女は押し黙ってしまった。

     下を見る彼女は、何を思っているんだろう。
     私は、追及しないことに決めた。


     しかし、まぁ。

    (最近の、イギリス人は進んでるのかなぁ……?)


     日本では『草食系』なんてのも現れてるのに、彼女ときたら――


    (……そういうのじゃ、ありまセン)

    (私が、シノに感じてるのは――もっと、そう、もっと別ノ)

    (……何か、なんデスが)

    84 = 56 :

    ここまでです。

    予告通り、赤面率高めでした。
    果たして、カレンがシノに思う所はなんなのでしょうか……自分で書いていても、どう表現すればいいのやら。

    読んでくださる方、ありがとうございます。
    それでは。


    あ、ちなみに、カレンと話している女子生徒は、ほのかちゃん(?)とは別と考えていただいて構いません。

    87 :

    つらつらと書いていたら、とても長くなってしまいました。
    ゆっくりと投下していきます。





     ――人の想いに関わらず、時は過ぎゆく。

     いつしかカラッとした陽気はどこかへ行ってしまい、蒸し暑い時期がやって来た。
     湿気は多く、紫陽花こそ綺麗であるものの、人々の気分は一様に重くなる――梅雨の到来だ。
     とりわけ、梅雨の時期の6月というものは、例外なく学生が最も気落ちする月でもある。

     すなわち――


    「……あれ、おかしいな。何度見ても、カレンダーに『赤』がないぞ?」
    「陽子――いくら見ても『赤』は浮かんでこないわよ……」


     こんな時期。



    ――朝・大宮家



    「それじゃ、行ってきます!」ガチャッ

    アリス「いってきまーす!」

    「はいはい、行ってらっしゃい」



    バタン・・・



    「……」

    「二ヶ月、か――」

    「どうしたの、遠い目しちゃって?」

    「勇……」


    「ううん、ちょっと考えただけ」

    「あの子――忍は、高校生活を充実させられてるのね、って」

    「それは、まぁ」

    「――この前、クラスの男の子と何かあったみたいだけど」

    「……え?」ピクッ

    「もしかして、ね……」

    「……」

    88 = 56 :

    「――勇。あの子は、おとk」

    「ああ、そういえばね。アメリカで同性婚が出来るようになったとか」

    「今朝、ニュースでやってたよ」

    「……」

    「――ああ」フラッ

    「それは……あの子も幸せになれるのね」

    「ごめん、ちょっと冗談が過ぎたかも」


    「え?」

    「ホントは、ただ男の子に……その」

    「まぁ、そりゃそうなるよね……」

    「――感付かれた、とか?」

    「という話を、この前シノが楽しそうにしてくれたわ」

    「そう……」ハァ


    「――あの子は、そうね」

    「心配することなんて、ないのね……」

    「そうそう」

    「……ところで、勇?」

    「なぁに?」

    「あなた、学校は?」

    「……」


    「私、今日は撮影だったような、そんな気がするんだ……」エヘヘ

    「さぁ、早く制服に着替えなさい」



    ――通学路



    「……今日も、凄い雨ですねぇ」トコトコ

    アリス「そうだねー」トコトコ

    アリス「こういう天気だと、髪のお手入れが大変だよ」

    「アリスはいつも鏡とにらめっこしてますからね」

    アリス「……」

    アリス(そういえば、シノがそういうことしてるの見たことないような……)

    アリス(――あれ? それなのに、シノってこんなに綺麗な髪なの?)

    アリス(それに――なにより、シノは)


    「? どうしたんですか、アリス?」

    アリス「……女であることに、自信を無くしちゃいそうだよ」ズーン

    「??」キョトン

    89 = 56 :




    ――集合場所



    「おはよう、シノ、アリス」

    「あっ、綾ちゃん! おはようございます!」

    アリス「……おはよう」ズーン

    陽子「……おう、おはよー」ズーン

    「――アリス、随分とブルーね」

    「陽子ちゃんもです……」


    「ははぁ、髪の手入れ、と」

    アリス「うう……」ハァ

    「それは、まぁ」

    「はい?」

    「――いい、アリス? シノはね、色々と『特別』なの」

    「いちいち比べると、かなり胸がズシッとなっちゃうわよ……はぁ」タメイキ

    アリス「……綾、ありがとう」

    「私、『特別』なんかじゃないですよー」


    「でも、まぁ……」

    陽子「……な、なんだよ?」

    「アリスの落ち込みの理由に比べて、陽子ったら子供っぽいのね」クスッ

    陽子「う、うっさいなぁ! 私みたいに思ってる、全国の高校生に謝れ!」

    「開き直り方もまた、なんというか……」

    陽子「うう……」

    陽子「ど、どうせ、私は手入れなんて殆どしてないよ!」

    「……」



    ――もう、陽子ったら、ドライヤーかけて寝ないとダメでしょ?――

    ――いいって、だって毎朝こうして綾がセットしてくれるし――



    「――アリね」グッ

    陽子「多分、ナシだ」アキレ



    「そういえば、カレンはまだ――」

    カレン「ここにいるデス!」ダキッ

    「わっ!?」

    カレン「シノ、グッドモーニング!」

    「ぬ、濡れちゃいます……カレン」

    アリス「――む」

    90 = 56 :

    「……アリスも気が気じゃないわね」

    陽子「はぁ――こんな雨じゃジョギングも出来ない……そして、毎日学校……」ズーン

    「別の意味で、気もそぞろね……」

    陽子「――しかし、カレンも慣れたよなぁ」

    「? あぁ、シノのこと?」


    カレン「シノは本当に髪が綺麗デス……」ナデナデ

    「さ、触ったらくすぐったいです……」

    アリス「もう、カレン! シノの髪が崩れちゃうでしょ!」


    陽子「ほら、もう――普通の付き合いだ」

    「『女子』同士の?」

    陽子「……そ、そこは、まぁ」

    陽子「ほ、ほら。10人に訊いたら10人が『女の子』って応えると思うぞ?」

    「……それは、そうだけど」

    「本当に、慣れたのかしら?」

    陽子「? どうして?」

    「いや、なんとなく……だけど」




    ――高校付近の道




    カレン「ところで、アリス? 髪のセットには何分ホド?」

    アリス「カ、カレンこそ」

    カレン「――ノーコメントデス」

    アリス「ち、ちなみに、シノは今朝は0分だったよ!」

    カレン「……Really?」ピクッ

    アリス「ホントにホント」

    「ああ――雨の中に、二人の金髪少女が……」エヘヘ


    陽子「なぜ、シノを出して張り合うんだアリス……」

    「まぁ、言いたくないこともあるわよねー……って」

    「危ない、みんな!」

    全員「!?」



    キキーッ

    バシャッ!



    「……あぁ」

    陽子「な、なんとか、避けられたな……」

    カレン「スピード、出しすぎデス!」

    アリス「もう、こんな雨の日なのに……」

    91 = 56 :

    アリス「シノは大丈……夫……」

    アリス「」

    陽子「あっ」

    「あら……」

    カレン「……Oh」


    「――ちょっと、遅かったみたいですね」ポタポタ

    「あぁ、反射神経が足りませんでした……」ハァ

    アリス「シ、シノが……」

    陽子「うひゃー、こりゃずぶ濡れだ」

    「……だ、大丈夫、シノ?」

    「はい、ちょっと寒いだけです」

    「でも、服は随分と濡れちゃいましたね……」

    アリス「……あ」

    アリス(シ、シノ……なんだか)

    陽子「色々と、マズい格好だな……」

    「特に、『女子』にとっては、その」

    「――透けるっていうことは、なかなかの」

    陽子「ああ……薄着の時期ってのが、災いしたな」


    アリス(――ま、まともにシノを見れないよぉ)アセアセ

    「アリスは、大丈夫でしたか?」

    アリス「ひゃっ!?」ビクッ

    アリス「わ、私は大丈夫だから! シ、シノ、今はダメ!」カァァ

    「……?」


    陽子「――そういえば」

    「カレンは、どこに……?」

    カレン「」

    陽子「あ、固まってる」

    「道理で、さっきから声がなかったわけね……」

    カレン「――シ、シノが」

    カレン「うう……」カァァ

    陽子(さ、さっきまでの積極的なカレンはどこに……?)

    (ほら、やっぱり慣れたわけじゃなさそう……)



    ――教室



    「おはようございます」

    「あぁ、おはよ……う……」

    「」

    92 = 56 :

    陽子「シ、シノ! 呑気に教室に入ってる場合じゃないって!」

    「と、とにかく! その濡れたのを何とかしないと……」

    「――あ」

    「すみません、ちょっとボーッとしちゃってました」ペコッ

    陽子「シノ、大丈夫なのか……?」

    (まさか、さっきので風邪になったんじゃないでしょうね……)


    アリス「あ、いた! 先生!」

    カレン「……」

    アリス「カレン! 固まってないで!」

    カレン「――やっぱり、恥ずかしいデス」カァァ

    アリス「もう!」


    烏丸「あら、どうしたんですか……って!」

    烏丸「大変! 大宮さん、その格好は……?」

    「あ、先生。おはよう、ございます」

    烏丸「――しかも、体調まで」

    陽子「ああ、カラスちゃん。実は、さっきね……」

    烏丸「そう、だったの――」

    烏丸「いずれにしてもその格好じゃ危ないわ……とりあえず、更衣室、に」

    「……?」キョトン

    烏丸「――わ、私が見張っておくから、『女性用』の教員の更衣室を使って」


    陽子(さすがカラスちゃん、話が分かる)グッ

    (――けれど)

    (今更ながら、シノって本当に『女の子』ね……透け具合といい、見えてるものまで)

    カレン「あ、あぁ……もう見れまセン!」ブンブン

    アリス「カ、カレン! 恥ずかしいのは私も一緒だよ!」アセアセ

    (――あの二人が慌てるわけね)

    陽子(付き合いが長い分、こういうことにも「慣れ」てしまったような気がするのがちょっと怖い……)ハァ



    ――その頃、教室



    子A「大宮さん、大丈夫かな……」

    子B「相当酷く濡れてたよね……」

    子A「――恥ずかしいだろうな」

    子B「――まったく」

    子A「……それは」

    子B「うーん……どう、なんだろうな?」

    93 = 56 :

    子A「? 何いってんの、二人とも?」

    子B「『女の子』は複雑なんだよ?」ジトッ

    子A「わ、悪い。なんでもない」

    子B「……ただ、大宮さんは」

    子AB「……」

    子AB「??」



    ――保健室



    陽子(こうして、なんとかシノの着替えも終わり)

    陽子(念の為に熱を測ったら、案の定……)

    「――シノ、大丈夫?」

    「うう……いきなりの風邪は、ちょっとキツいかもしれません」ケホケホ

    アリス「シ、シノが……」


    養護教諭「みんな、もう少しでHRよ?」

    陽子「あ、そ、そういえば……そっか」



    カレン「――わ、私、残るデス」

    「カレン?」

    陽子「おいおい、授業始まるんだぞ?」

    アリス「じゅ、授業には出ないとだよ!」

    カレン「……さっき、チラッと教室を覗いタラ」

    カレン「一時間目は自習、って黒板二」

    陽子「そ、そうなのか」

    「それなら……」

    アリス「……」

    アリス「わ、私もっ!」

    陽子「アリス、残念だけど私たちは授業!」

    「それに、今日の宿題、アリス当てられてるでしょ?」

    アリス「……うう、そうだったよ」


    カレン「先生!」

    養護教諭「……しょうがないわねぇ」

    養護教諭「でも、我慢して?」

    カレン「……!」

    94 = 56 :

    養護教諭「いい? 大宮さんは風邪なの」

    養護教諭「だから、うつっちゃう可能性だってあるのよ?」

    カレン「で、でモ……!」

    養護教諭「――大宮さん、もしも誰かにうつしたら、悲しむんじゃない?」

    カレン「!」

    養護教諭「――さ、教室に戻りなさい」

    養護教諭「ごめんなさい、なんとかしてあげられたらとは思うのだけど……」

    カレン「わかり、マシタ」


    アリス「うう、シノー……」

    陽子「さ、行くぞアリス」

    カレン「……」

    「失礼します」ペコリ

    養護教諭「はい、またね」



    ――廊下



    アリス「……シノ、心配だよぉ」

    陽子「大丈夫だって、アリス」

    「そうよ。シノ、ああ見えて頑丈なんだから」

    カレン「……」

    陽子「――カレン」

    カレン「ハイ?」キョトン

    陽子「どうして、残りたいって言ったんだ?」

    カレン「……」


    カレン「――シノが、心配だったからデス」

    「……そうよね」

    陽子「そう、だよね」

    アリス「――カレン」

    カレン「さ、帰って自習しないとデス!」

    カレン「それでは、お先二!」ダッ

    陽子「お、おい!?」


    陽子「……一体、なんでいきなり」

    「――もしかして、ね」

    (なんとなく、カレンの横顔に理由はあるような気はする)

    (恥ずかしさの中に、優しさがあるような――うん、まるで)


    (……まさか、ね)



    アリス「……シノ」キュッ

    95 = 56 :

    ここまでになります。

    冒頭に書いたように、とても長くなってしまい、冗長だったかもしれません……。
    楽しんでいただけたら幸いです。
    カレンの想いは、果たして……?

    それでは。
    暑かったり寒かったり安定しませんが、体調にお気をつけて。

    96 :

    おつ!
    こういう雰囲気のきんモザもいい感じ

    97 :

    待ってました

    98 :

    続き楽しみにしてます

    100 :

    今回はちょっと短めで。
    アリスとシノのお話です。



    ――二ヶ月。

     この期間を長いとみるか短いとみるかは、人それぞれだろう。
     しかし今、ここで眠る英国少女にしてみたら、それは長いものだった。

     慣れない異国での生活は、本人の考える以上に心理的な負担がかかるものだ。
     幸い彼女の場合は、近くに頼れる和風少女が居るから、そうした負担も軽減されているが……。



     果たして、彼女が目を覚ます――











    ――大宮家・忍の部屋


    アリス「……ふぁぁ」

    アリス(朝、かぁ)

    アリス(さ、顔を洗いに――あっ、そうそう)ピタッ

    アリス(シノはちゃんと起きてるかなー、っと……)チラッ


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