元スレ京太郎「もつものと、もたざるもの」
SS+覧 / PC版 /みんなの評価 : ★
601 :
乙ー!
もうここまで来たら何も言わん。
後は投下を待つのみよ!
602 :
一旦、乙ー。
京太郎としては納得行かない形だろうけど、最後の闘牌には心震えたよ。
ただ、最後で出てくる部長がすっげぇあざといと思いました(コナミ感)
やっぱり京ちゃんの涙を受け止めてあげるのはわた、幼馴染の咲ちゃんにするべきだよ!!
603 = 599 :
このssが切っ掛けで京太郎鬱ssが流行りそうだわ
ヘルカイザーみたいに
604 :
キャップは先がある下級生が一回でも多く打てるように雑用を一手に引き受けてたのになぁ……
それに引き換えこの部長は…パンツも見せてくれないし、パンツも見せてくれないし
605 :
乙!まさに、[ピーーー]ば助かるのに・・・どうせ死ぬなら強く打って死ぬでした。京太郎も死ぬ事で死中の生を拾った。
アカギは打った理由の説明と的確な助言が出来るので、後輩の指導に向いている気がします。
部長の場合、念願の全国が手に届く位置に来て、後人の指導が頭から吹っ飛んだのは無理もないけど、出来なかったではなく、しなかったじゃ・・・
606 = 596 :
>>603
京欝SSって割と見る気がするが
エタってたりするけど
607 = 599 :
>>606
悪いのがどんどん増えそうだよ
主に清澄メンバーを作者が断罪するような奴・・・
608 :
そうか、京久やったんやな……このスレ
609 :
麻雀に関わった時間とか考えても良く頑張ったなぁ
でもコレってものすごく良い平凡な話で鬱ではないと思う
610 = 597 :
>>603
それほど鬱な作品ではないと思うけどな
ただ京太郎を生贄に捧げることによって面白くなったSS、という酷く捻くれた読み方もできるからなあ
611 :
鬱じゃなくて大多数の一般人は新人戦敗退するし良くある青春の1ページじゃない?
レギュラー落ち・個人戦負け・怪我してマネージャー化とか運動部なら割とある事だしね
612 :
え、俺むしろ京太郎が幸せなSSを書こうという意志が固まったんだけど
613 = 602 :
>>603
そんな不確定な事を一々言わなくて良いと思うよ。
名作であるのは確かだし、影響を受けるスレはあるだろうけれど。
そういう言い方はスレ立てて、ここまで書いてくれたイッチに失礼だと思った(コナミ感)
614 = 599 :
思うにここまで原作の歪みを突っ込んだssは今までなかったよ。
原作からして一部を除いて能力持ち≧能力なしだもの。
615 = 75 :
もう少ししたらエピローグを投下していきます。
(※注意 人によっては気分を害する内容かもしれません)
616 :
乙
すぐオカルトとか異能に逃げるスレより100倍面白いわ
617 :
安易に上がらせるんじゃなくこの展開
上手いとしか言い様がないな
618 :
いやいや、ここから全国武者修行兼各地のおもち(がない)娘とフラグを立てる旅が始まるんだろ?
619 = 605 :
断罪といってもロッカーは若さ故の過ちで悪いわけじゃない。
清澄麻雀部にもう一人、戦力外がいればお互い切磋琢磨出来ただろうけど、京太郎は魔物の中に紛れ込んだ兎かハムスター一匹だし。部を続けるとしたらマネージャーに専念するしかない。
京太郎に部を続けさせる為には麻雀をさせない。麻雀をさせるためには京太郎を退部させる。究極の二択、どっちを選ぶか。
620 = 75 :
ではエピローグに行きますー
621 = 75 :
それからも京太郎はただ麻雀を打ち続けた。
毎日毎日、打ち続けた。
そして、毎日のように麻雀部メンバーに負け続けた。
久が学校から去り、新入生が入ってきたときも打ち続けた。
ほかのメンバーに比べての実力の低さを笑われるときもあったが、それにも負けずに打ち続けた。
その真摯な姿に後輩も感じ入るものがあったのか、不思議と男女問わず信頼を得るようになった。
もともと、人当たりのいい性格と言うこともあり、慕われるようになった。
夏の大会で2回戦負けしたときも打ち続けた。
男子はメンバーが集まらず団体戦には挑めず、個人戦での参加となった。
その時、初めて公式戦で1勝をあげることができた。
結局2回戦負けとなり、清澄は女子だけ、などと揶揄されることもあったが勝利に胸を躍らせた。
夏の大会後、まこから部長職を引き継いだときも打ち続けた。
京太郎は自分の実力も考えて和のほうがいいと強く固辞したが、京太郎以外の一同が京太郎を推薦した。
結局京太郎は部長職を引き受けた。
周りからは一番実力が無い者が部長はどうなのかと懸念の声もあったが、それでも周りが京太郎を盛り立てた。
秋の新人戦で後輩たちが活躍したときも打ち続けた。
数少ない男子メンバーの一人が全国への切符を手にした。
もともと中学から打ち込んでおり、京太郎が教えられることはあまり無かったが、
それでも京太郎は後輩をかわいがり、公開も京太郎を先輩として敬意を持って接した。
その後輩が全国への切符を手にしたときは自分のことのように喜び、泣き、称えた。
胴上げをした際に危うく落としかけ、まこと和に酷く叱られたこともあったが。
622 = 75 :
そして、まこが卒業を控え最後に1卓囲んだときも京太郎は全力で打った。
「あっという間の3年間じゃったな。もう打つことが無いと考えると寂しくなるのぅ」
まこは麻雀中そんなことをぽつりと言った。
京太郎はそれを聞いて、何を言ってるんですか、と前置きした後に言った。
「みんな卒業してからでも、それこそ就職してからでも、打ちましょうよ。だって」
京太郎はにっと笑いながら残りの4人に笑いかけた。
「俺、まだ皆に勝ってないんですよ? 勝ち逃げは許さないです」
そういうと、全員がとても嬉しそうに、可笑しそうに笑った。
「そうじゃな……。うん、そうじゃったな」
「えぇ、時間を見つけて、また皆で打ちましょう」
「京太郎もたまにはいいこというじぇ!」
「ゆ、優希ちゃん。それはちょっとひどいよ」
「そうね、私も大賛成よっ!」
「どわっ! 竹井先輩、どっから出てきたんですか!」
そしてその局も勝てなかった。
それでも、打ち続けた。
辛いことがあっても、苦しいことがあっても、敗北に心が折れそうになっても、ただ、ひたすらに打ち続けた。
623 = 75 :
――――――――――――――――――――
―――――――――――
――――――
「ツモ。嶺上、混一色、ドラ3。3,000-6,00です!」
「ふぅ、最後の親が終わってしまいました……」
咲の発声に和が呻いた。ここまで焼き鳥だった咲の改心のアガリで点棒状況は大きく変動した。
『オーラス開始時』
京太郎 22,300
咲 26,600
和 13,300
優希 37,800(親)
「満直跳ツモで逆転か……」
あごに手を触れ、ざらざらとした感触を感じつつ京太郎は点棒を確認した。
「さて、京太郎。私をまくれるかな?」
オーラス、トップで親を迎えた優希がどこか不遜な態度でそう言った。
それに対して京太郎は口元に笑みを浮かべた。
「言ってろ。今日こそまくってやる」
そう言いながら京太郎は配牌を取った。
全員が、トップを取るために真剣な眼差しだった。
『京太郎配牌』
24m35779s34p東西北北 ドラ北
ドラヘッド。この状態から何かしらの手役を作れば跳満が見える。
配牌を見て、こういった状況で逆転の種が来てくれたことに感謝する。
「……(今日こそ、決めるんだ)」
624 = 75 :
場は進んでいく。優希を除く3人はごく普通の捨て牌だが和は捨て牌から国士無双であることが伺えた。
【8巡目】
『京太郎手牌』
45m57799s344p北北北 ツモ6s ドラ北
(いける、か?)
手ごたえを感じるカンチャン引き。7索を切り出す。だが、まだ手役が足りない。
ドラは6巡目に暗刻らせることはできた。だが、手役は見えずツモっても裏ドラ期待の手となってしまっている。
(咲なら、ここで北を引いてくるんだろうな)
そう思いながらツモに手を伸ばす。
【9巡目】
『京太郎手牌』
45m56799s344p北北北 ツモ9m ドラ北
(4枚目……)
場に3枚見えている9萬。
和の捨て牌が露骨に国士無双を訴えかけていた。
この9萬を止めることは出来るが、それだとほぼアガリを逃すことになる。
――国士無双。32,000です――
いつかの記憶を振り払うように、大きく息を吸ってから、切り出す。
和がちらりと京太郎のほうを見るが、発声は、かからなかった。
京太郎は胸をなでおろす。
そして、和のツモ番になった。
【和手牌】
1m19s19p東東南南西白発中 ツモ北
(一手間に合わず、ですか)
自分はここまでだ、和はそう思いながら心の中でため息をつき、場切れの白を切り出していく。
(後は、3人にお任せしましょう)
625 = 75 :
そして、10巡目。
(裏期待じゃ、駄目なんだ)
そんなことを思いながら京太郎は山に手を伸ばした。
裏ドラも確率である。乗る人間、乗らない人間と言うのもオカルトな話だ。
だが、京太郎は今までの経験上、こういう状況で裏ドラ期待の手を売って乗った試しがなかった。
ただ、聴牌したらリーチを打たざるを得ない。
(だから、俺に、あれを……くれ!)
京太郎は、強く念じながら力強く牌をツモった。
【10巡目】
『京太郎手牌』
45m56799s344p北北北 ツモ【5】p ドラ北
(! お前を待ってたぞ!)
待望の赤5筒引き。これで4役。リーチをかけてツモれば文句なしの跳満である。
「リーチ!」
力強く発声して、場に千点棒を出した。
626 = 75 :
(来たね、京ちゃん)
【10巡目】
『咲手牌』
333【5】5578m45567p ツモ7p ドラ北
その同じ巡目で咲も聴牌を入れる。
ツモれば2000-3,900でトップに届く。
(私だって、負けないよ)
先も5筒を切り出し追いかける。
それを見受て、優希は自分の手を睨みつけた。
(2軒リーチか)
もとより、優希は配牌がガタガタであり、ツモも噛み合わなかったためいまだ2向聴である。
(こりゃ、流局期待だな)
即オリを選択する優希。奇しくも、咲と京太郎の勝負と相成った。
11巡目、12巡目、13巡目……。
重苦しい場が進行していく。京太郎も咲も強く、強く念じながら牌を取っていく。
よもやの流局か、と和が思った、15巡目。
勝負はその巡目に付いた。
628 = 75 :
京太郎がそう宣言した後も沈黙が包まれた。
そんな中、咲が嶺上牌に手を伸ばした。なんとなく咲はわかっていたが、そこにあったのは9萬。
京太郎の引いた3萬を自分が引けばカンして嶺上ツモアガリであった。
咲はそれを見てくすりと笑って、言った。
「京ちゃん、トップだよ。おめでとう」
最初京太郎は呆然と我を失っていたようだったが、見る見る顔が血色ばんできて、喜びを爆発させてた。
「よっっっっっっっっしゃあああああああああああああああああ!」
あまりの声の大きさに周りの卓に座っていた者たちが何事かと京太郎の達を見た。
席から立ち上がり大きくガッツポーズをする京太郎。
雄たけび、と言っても過言ではないような勝利の咆哮であった。
世界中で今一番幸せなのは自分だ、そういいきれそうな満面の笑みだった。
「す、須賀君、声が大きいです」
和は京太郎の大声に思わずたしなめた。
「あ、あぁ、す、すまん」
京太郎はあわてて周りの人間にすみませんと頭を下げた。
「まぁ、でも、無理もないなー。長かったな、京太郎?」
優希はそんな京太郎の様子を嬉しそうに、本当に嬉しそうに見ながら言った。
「あぁ、ほんと」
京太郎はその言葉に頷きつつ、天井を見上げて言った。
「ここまでくるのに、15年もかかっちまった」
629 = 75 :
最上級生になり、それぞれの進路に向けて歩き出し、別々の道を進んでも京太郎たちはこうやって集まり時たま麻雀を打っていた。
それぞれが働き始め、仕事や居住地の都合もあり学生時代とくらべれば頻度は下がった。全員集まらないことも増えてきた。
それでも、その機会が途絶えることはなかった。
そして、15年目の今日、京太郎はようやく大願を成就した。
「まったく。もうみんなそろって三十路になっちゃったじぇ」
優希はみんなといると時々こうやって昔の口調に戻るときもがあった。
本人は気づいていないようだがあえてだれも指摘しなかった。
「だな。俺らも老けたな」
そう言いながら、京太郎は伸びてきた顎髭を撫でた。
「……やめてください。現実に戻さないでください」
「和は最近、年齢の話になるとそんなんだな……」
「女にはいろいろあるんです」
ぷいっと顔を背ける和。優希はそれを見て和をからかう。
そして咲は感慨深げな顔をしながら微笑み、誰にともなく言った。
「でも、とうとう、負けちゃったね、私たち」
「えぇ。今の須賀君の実力と確率を考えれば遅すぎるぐらいですが」
「まったくだじぇ」
3人娘――今もこの表現が正しいかは疑問だが――は笑いあった。
それを見て京太郎は笑いながらも少し真剣味を取り戻して言った。
630 = 75 :
「でも、皆には感謝してるよ」
「……どうしたの、京ちゃん?」
「15年間、たくさんたくさん打った。たくさん負けて、いろいろあって喧嘩したり、気まずくなったこともあったよな」
その言葉に3人は何かを思い返すような顔をしながら、京太郎の言葉の続きを待った。
「で、やっぱり仲直りして、またぶつかったりしたりしたけど」
「麻雀に関しては一度だって、手を抜かなかった。俺のことを1人前の雀士として扱ってくれて、いつだって全力だった」
「卒業後もそれぞれがそれぞれの形で麻雀に携わり続けて」
「皆、ずっと強いままで居てくれて」
「それが、なんていうか、すごく、うれしかった」
ありがとう、そう言って京太郎は3人に頭を下げた。
それを見て和があわてた様に言った。
「やめてください須賀君……どんなときでも、相手に対して全力を尽くすのは礼儀です。当たり前のことですよ」
「そうだよ、京ちゃん。そりゃ確かに京ちゃんにも勝ってほしい、って思うことはあったけど……手を抜いて京ちゃんが勝っても、それは京ちゃんを傷つけるだけだもん」
「そうそう、ライオンはウサギを狩るのにもなんとやら、ってやつ」
「ほざけ、タコス娘」
最後の優希の発言につっこみを入れつつ京太郎は笑った。
それに対して優希も笑うが、少し寂しそうな顔をして、京太郎に尋ねた。
631 = 75 :
「なぁ、京太郎?」
「なんだ?」
「京太郎は、これで満足か? 私たちに勝てて、もう、満足か?」
優希は恐れていた。
京太郎が自分たちに勝ったことにより、満足してこうやって皆で集まる機会は失われてしまうのではないか、と。
だからここ最近、優希は京太郎の勝利を願いつつも、心の底では勝ってほしくない、そんな複雑な感情を抱え、後ろめたい気持ちだった。
だが、優希のそんな発言を京太郎は軽く笑い飛ばした。
「なーに言ってんだよ! たったの1勝だぜ? 俺がお前らに何敗してると思ってるんだよ?」
尋ねた後、数えるのも面倒なぐらいだ、自分で答えて軽く笑った。
「これから俺の逆襲劇が始まる! 勝って勝って勝ちまくって、今までの負けを取り返してやる!」
そういうと京太郎はふっと落ち着き、何か訴えかけるように、ゆっくりと語った。
「だから、さ。これからも打とうぜ。もっともっとおじさんおばさんになっても、爺ちゃん婆ちゃんになっても」
一旦言葉を切り、その先を万感の思いを込めて、言った。
「俺は、このメンバーで麻雀が打ちたいって、そう思うんだ」
632 = 75 :
優希はその言葉を聴いて涙がこぼれるのを我慢できなかった。
自分だけではなった。もっともっと打っていたい、と言うその気持ちを持っているのは自分だけではなかった。
そう思うだけで、とても嬉しくて涙が出た。
「ま、まったく、犬の癖に、な、泣かせやがって」
「ゆーき……」
和は優希にハンカチを差し出し、優希はそれを受け取って目頭を拭った。
「あー、年取ると涙もろくなっていかんじぇ」
そう言って優希がぼやくとそのタイミングで和の携帯がなった。
「あっ、染谷先輩。竹井先輩と合流できました? はい、はい……はい、わかりました。じゃあ、今行きますね」
和は携帯を切ると脇においてあった車のキーを手に取り立ち上がった。
「染谷先輩と竹井先輩が合流して駅まで来てるそうです。ちょっと迎えに行ってきますね」
「おっ、そうか。今日は久しぶりにあのメンバーが揃うから楽しみだなぁ」
「おっと、のどちゃん、私もいく!」
「和ちゃん、気をつけてね」
「はい、それじゃあちょっと行ってきます」
そう言って和と優希は店を出て行き、京太郎と咲が残された。
633 = 75 :
「さーて、ちょっと休憩だな」
京太郎は手元のウーロン茶をすすり、肩を軽く回した。
「うん……」
(今なら……聞けるかな?)
咲の心には1本の棘が刺さっていった。
15年前の京太郎とのあの1件で心に刺さった棘であった。
あれから京太郎の中は修復され、ずっと仲のいいまま過ごし続け、傷は塞がったが、その棘だけは残り続けた。
その棘は京太郎と話しているとき、麻雀を打っているときに時々ちくりと痛んだ。
「ねぇ、京ちゃん」
その棘が刺さる原因となったあの一言、今だったらもう一度聞ける気がする。
咲はそう考え、京太郎に呼びかける。
「ん、どうした、咲?」
京太郎は咲のそんな決意を知らずいつもの笑みを浮かべながら咲に向き直った。
口を開こうとするが、直前になってまた迷い始めた。
634 = 75 :
(怖い、怖いよ。また、またあんなことになったらどうしよう)
(やだよ。あんな、あんな苦しいの、もう……)
あのときの絶望感は今思い出すだけで心が引き裂かれそうだった。
それを味わうぐらいだったら、棘の痛みぐらいには耐えるべきなのか。
(……でも)
咲は一瞬そう考えたが、自分の考えを否定した。
(でも、でも、私、私はやっぱり)
(聞きたいよ)
(京ちゃんの、あの言葉が聞きたい!)
決意して、咲は口を開いた。
声が震えないように大きく息を吸い込み、ゆっくりと噛みしめるように言った。
「京ちゃん。京ちゃんは……」
635 = 75 :
「私たちと麻雀を打って、楽しい?」
636 = 75 :
その一言を聞いて京太郎はぽかんとした顔をする。
言ってしまった、もう後戻りはできない。
そう考えて咲は叱られる寸前の子供のような顔で京太郎の言葉を待った。
最初はぽかんとしていた京太郎は――満面の笑みを浮かべていった。
「何言ってんだよ咲。馬鹿だなお前、当たり前だろ」
「すっげー楽しいよ、お前らと打つ麻雀!」
637 = 75 :
(!)
それは15年前に咲が聞きたかった言葉であった。
15年間咲が聞きたいと願っていた言葉であった。
(聞け、た)
それが今日、ようやく叶った。
咲の心に刺さった小さな棘、それがようやく抜けた。
(よかった、本当に、よかった)
咲の目から涙が一粒零れた。
「さ、咲?」
びっくりしたように京太郎が咲に声をかけた。
一粒零れたらあとはもう止めようがなかった。
ぼろぼろと涙をこぼし始める咲。
(よかった……よかったよ……)
自分でも泣きすぎだと咲は自覚していた。だが、涙が止まらなかった。
堪えようとも止めようともしているのだが、まったく止まる気配はなかった。
「咲、どうしたんだよ突然、だ、大丈夫か?」
京太郎がおろおろとしながら咲に声をかける。
咲はそんな京太郎の姿を見て涙を拭いながら考えた。
(ほら、京ちゃんが心配してる。私も言わなくちゃあの一言)
「京、ちゃん……」
「お、おう。どうした?」
京太郎が動揺しながらも返事を返す。
咲は涙を流しながらも笑顔を咲かせて言った。
638 = 75 :
「私も、京ちゃんと麻雀打てて、すっごく楽しいよ!」
639 = 75 :
カン!
一度使ってみたかった、この結び。
640 = 599 :
乙でした・・・・
641 = 598 :
おつー
すばらでした!
さすがに15年後って言われた時は噴いたけどww
642 :
完結乙
面白かった
が、正直15年はギャグにしかならんて
644 = 75 :
弱者の闘牌が書きたかった。
聴牌入れるのも苦労して、焼き鳥だって嘆いて、デカい手打ち込んで凹んで、形式聴牌を取るのにヒーコラする。
そんなのが書きたかった。
咲本編に不足気味の青春物語が描きたかった。
友情があって、努力があって、挫折があって、涙があって、絆があって。
そんなのが書きたかった。
後悔はしていない
645 = 602 :
乙ー!
ここの京ちゃんには本当、不撓不屈と言う言葉が良く似合うと思う。
本当にたった一回の勝利の為に何百回と敗北を繰り返してきたんだなぁ…。
それで最後まで皆で打つ麻雀が好きと言える京太郎が凄いと思いました。
小学生並みの感想だけれど、本当にこれしか思い浮かばなくて申し訳ない…。
京太郎もイッチも本当にお疲れ様でした!
646 = 75 :
ちなみに好きな言葉は1流のバッドエンドより3流のハッピーエンド。
っていうかバッドエンドにできなかった意志薄弱な>>1
647 = 597 :
乙
時間が経たないと解決しない、変わらないことってあるなあと思います
だが15年は予想外すぎて戸惑った、っていうか望んでいたものとは違った
あくまで個人的にそう思っただけだけど、>>1の苦悩を感じた、何にせよ乙でした
648 = 75 :
ちなみに私は友人に格ゲーで15年負け続け比較的最近ようやく1勝を挙げました。
649 :
すばらすばらアンドすばらです
お疲れさまでした
650 = 599 :
>>643
一言多いな
まぁ全部投げっぱなしエンドでも完結するだけ他より遥かにましだけどさ
もやもやはどうしても否めないわ・・・
みんなの評価 : ★
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