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    元スレ京太郎「もつものと、もたざるもの」

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    51 = 25 :

    弱弱しかったが、痛いほど意思が伝わってきた。
    それは、京太郎からの麻雀に対する、メンバーに対する拒絶の言葉であった。
    それを聞いて、憤っていた優希も、必死になだめようとしていた咲も、動揺していた和も、如何に収めようか気を揉んでいたまこも言葉を失った。

    53 = 25 :

    はい、ここまでです。
    >>44様に恐ろしく速い突っ込みをいただき「やべっ、やっぱり切った位置が悪かった」と認識して慌てて追加分を書きました。
    ちなみにですが>>44様を非難するつもりはさらさらありません。
    むしろああいうわかりやすい仕掛けには即座に突っ込まれるということが勉強になりました。
    流石咲スレ。恐ろしい子!

    それと開業位置や行間はいかがでしたでしょうか?
    こちらについても指摘等ございましたら突っ込みをお願いいたします。

    54 = 43 :

    ここの京太郎に必要だったのは圧倒的にレベルの高い人達の指導より、自分と同レベルで一緒に成長できる初心者だったんだろうな

    55 :


    周りが全国レベルしか居ないのが不幸なんだよな
    初心者仲間とか、間に入れる中級者が居ればまた別だったんだろうなぁ

    56 = 42 :

    おつー
    改行や行間は問題ないよ

    57 :

    >>53
    それは結果論だからどうとでも言えるだろうし気にし過ぎたらアカンで

    あんなん誰もが1p落とすわww

    58 :

    京太郎のツモがわからないから断言出来ないけど、必要以上に手を伸ばして振り込む典型だね

    59 :

    京太郎君!レジェンドとギバ子達が麻雀教室で待ってるぞ!

    60 :



    >>59
    そこにはギバちゃんたちにハコにされる京太郎の姿が!

    61 :

    7巡目でそこまで考えない……よなあ。普通

    62 :

    こんなんに振り込んだらむしろ相手に感心してしまうわ

    京太郎と周りでやってる年期が違うからな、納得できない気持ちも分かるが
    試しにネト麻やらせたらそこそこ勝てるんじゃないか?

    63 = 42 :

    前の局でツモがこなくて染め手にいったのと対比にしてるんだろ
    和ならツモが来てカッコよく逆転ってやつな

    64 :

    >>54
    原作第一話も京太郎は咲を初心者だと思って誘ったわけだからな

    案外自分と同じ初心者が欲しかったのかもしれんぞ
    それだと全く真逆だったわけだからすげー複雑だっただろうけど

    65 :

    これは心が折れるな

    66 = 25 :

    >>1は職場で書くということを覚えた!

    というのも現在職場の環境の問題でろくに仕事ができない状況であるため大変暇なため、合間合間でちょこちょこと書いていました。
    一番頭を悩ましていた部分を職場で書けたので大変順調に創作が進みました。

    予定ですが、23~24時の間ぐらいで投下を開始したいと思います。

    >>41 >>43
    私は即ラスハンコールしました。
    「もうおうちかえゆ」状態!

    >>42
    まさに事実は漫画よりも何とやらですな。

    >>44
    私も当時は振り込んだ悔しさばっかりでしたが冷静に振り返ってみると8筒が通せたな。
    積みじゃなかったな、と後から反省しました。

    >>52
    ご指摘ありがとうございます。やってみました。

    >>54、55
    ちなみに私は絶対トップが取れないメンバーと打てと言われたら1日で根を上げる自信があります。

    >>59、60
    もうやめて! 京太郎の精神安定度はもう0よ!

    67 :

    乙! 面白いけど 少し改行した方が読みやすいかも 続き楽しみにしてるよ~ 頑張って!

    68 = 25 :

    準備が整いました。これより投下します。

    全く関係ない話ですが個人的に、花田煌先輩か加治木ゆみ先輩の下だったらとても充実した部活生活が送れると思います。

    69 :

    実際そうだよなあ
    すばらさんなら間違いなく特訓も京太郎の精神も落ち着いてやれた

    70 = 25 :

    静まり返る部室。優希が何か言いたげにするが結局何も言えずに視線を落とした。

    「……今日はここまでにしよう。3人は先に帰っとれ」

    まこが搾り出すように言った。苦渋の色が強く現れており、苦しげな声であった。

    「わしは少し京太郎と話をしてから帰る」

    「だ、だったら私も」

    いてもたってもいられない、といった様相で咲がまこに食いつく。
    だが、まこは頭を振り、3人に近づいて小さく言った。

    「今後の……今後の、話じゃけん。3人がいると話にくかろう」

    「!」

    つまり、彼が今後、どうするのか。
    辞めるのか、辞めないのか、そういった話になるまこはそう言っていた。

    「京太郎、お前、麻雀部を……」

    普段からは想像もつかない様な非常に寂しげな優希の声は最後まで紡がれることはなかった。
    そして、それにも反応を示さず、京太郎は俯き続けた。

    「……ゆーき、咲さん。行きましょう?」

    「の、和ちゃん」

    咲は何か言いたげに京太郎と和に視線をさまよせるが、後ろ髪引かれながらも部室を後にした。
    優希もそれに続く。ぱたん、と扉が閉まる音が響いて部室には京太郎とまこが残された。

    71 = 25 :

    「……何か飲むか?」

    しばしの沈黙の後に、まこは京太郎に声をかけるがそれに対して無言で首を振る。
    ほうか、と呟いて京太郎の前に椅子を引き、座った。

    「すまんかった。皆つい熱が入りすぎたようじゃ。あそこまで負けが込めば……嫌にもなろう」

    そう言いながらまこは京太郎に頭を下げる。再び沈黙の時が流れる。
    その間もまこは京太郎に頭を下げたままだった。そんな中、沈黙を破ったのは京太郎だった。

    「すみません、気を使わせて。俺が悪いんです。俺が、耐えられないってだけで」

    拳を強く握り締める。そんな京太郎の声を聞き、まこも顔を上げた。

    「わかってるんです。皆、俺のためを思ってやってくれてる。俺のために言ってくれてる。だけど……だけど……」

    京太郎の体が震える。今にも泣き出しそうな声で目の前にまこに言葉をぶつける。

    「それがつらいんです。皆に、追いつける気がしなくて。自分がまるで強くなってる気がしなくて」

    「確かに、ネト麻ならたまに勝つこともできます」

    「この前、先輩の店に行って打たせてもらったときも、まぐれでしょうが1回トップを取ることができました」

    何かを思い返すように天井を見上げる。その目頭は緩んでいた。

    「でも、駄目なんです。このメンバーと打っているとお前の成長なんて大したもんじゃない。お前の実力なんて大したものじゃない。お前はいくらやっても絶対に勝てない。お前のやっていることは無駄だ」

    「そう言われているみたいで……残酷な事実を突きつけられてるみたいで」

    再び俯く京太郎。そして、こらえきれないように、涙がこぼれた。

    「つらいんです。麻雀を打っていても嫌な苦しくて辛い気持ちばかりで……。だから」

    若干の沈黙が入る。
    まこは次に続く言葉をある程度想像できていたが、その想像が外れていることを強く願った。

    72 = 25 :

    「もう、麻雀部を辞めます」

    無論、そのようなことはなかったが。

    73 = 25 :

    静まり返る部室。すっかり蝉の声も聞こえなくなった長野の夜は、静かな羽虫の声が聞こえていた。
    京太郎は、何も言わない。俯いたまま時折鼻をすすっていた。
    まこは京太郎のその姿を見て、自分の無力さ、愚かさに叫びだしたい気持ちであった。
    唇をかみ締める。

    (……アホか。そんなことしても、何の解決にもならんわ)

    頭を振る。無理やりに頭を落ち着かせて立ち上がり、京太郎の傍らに立つと丸まった背中をそっと撫でた。

    「すまんかった、すまんかったのう。こんなに追い詰めてしまっていたとは。部長として、先輩として気づいてやるべきだった」

    びくり、と体を震わせる京太郎。

    「京太郎の気持ちに気付いてやるべきだったな」

    少し間をおいてありったけの気持ちを込めて言った。

    「本当に、すまんかった」

    京太郎の体が再び震えだす。泣くのを必死にこらえているようだった。
    それをみて軽く微笑んで語りかける。

    「泣きたかったらないてもええんじゃぞ?」

    「……大丈夫です」

    「ほうか」

    まこは、それ以上何も言わずに京太郎の背中をさすり続けた。

    74 = 25 :

    しばらく経ち、京太郎が落ち着いてきた時を見計らってまこは口を開いた。

    「京太郎の言いたことはわかった。じゃが……」

    ぽん、と軽く頭を叩き、そのまましゃがみこんで京太郎の顔を覗き込む。

    「もう少し、考えてみてくれんか? 1週間でいい。時間を置いて、それでも辞めたいというのなら……もう止めはせん」

    「1週間……ですか」

    「うむ。今の京太郎は心身ともに疲れきっとる。決断を咎めるつもりはないが、少し麻雀から離れてみてその上で結論を出しても遅くはなかろう?」

    「でも、俺」

    「お願いじゃ」

    有無を言わせぬ、と言った体でまこが京太郎の顔をじっと見つめる。
    その視線になにかいたたまれなさ、後ろめたさを感じた京太郎は思わずうなずいた。

    「わかりました。少し、麻雀から離れて考えて見ます」

    「ありがとうな。ともかく1週間、ゆっくり休んでくれ。部活漬けで疲れたじゃろ?」

    「……うっす」

    うなずきつつ、まこは時計を見た。すでに7時を過ぎており、外は真っ暗であった。

    「さて、そろそろ帰るか。わしはちょっとやることがあるけぇ、先に帰るといい」

    「……わかりました。それじゃあ、失礼します」

    何か言いたげな京太郎だったが、結局立ち上がり、頭を下げて部室を扉を開けた。

    「染谷先輩」

    「ん? なんじゃ?」

    扉に手をかけた京太郎は振り返らずに言った。

    「たぶん、考えは変わらないと思います。わざわざ毎日辛い思いをしに来るのはもう、嫌です」

    75 :

    そう言い残して京太郎は扉を閉めて去っていった。
    まこはしばしの間京太郎が出て行った後の扉を見つめていたが、徐々に体が震えだすのを止められなかった。

    「わしは……わしはいったい何をやっているんじゃ」

    麻雀卓に寄りかかるように座り込む。

    「これから、これからだというのに、こんな、こんな……」

    清澄高校麻雀部は名声は手に入れた。
    来年になればきっとたくさんの部員が入ってくるだろう。
    その時、京太郎が後輩に舐められぬよう、京太郎には地力をつけてほしかった。

    沢山部に尽くしてくれた分、彼にも名声を手に入れてほしかった。
    高望みかもしれないが、次の個人戦で活躍してほしかった。
    そうすれば周りから揶揄されたり批判されることもないだろう。
    彼自身が負い目を感じることもないだろう。
    そうなってくれることを心から望んでいた

    (だが、全部、これでは全部、台無しではないか!)

    それからしばらくまこは一人、悔い続けていた。

    76 = 75 :

    次の日、京太郎は暗い顔で通学路を歩いていた。周りに人影は少ない。
    もう朝練に出る必要はないのだが、染み付いた習慣は抜けず、結局先日と同じ時間に家を出ることとなった。

    (どうするかな。授業が始まるまで予習でもするか? らしくねー)

    そう自嘲気味に笑って歩みを進める。
    学校まであと少し、と言ったところで曲がり角を曲がるとそこには見覚えのある姿があった。
    特徴のあるくせっ毛、小柄な体系、小動物系な顔立ち。
    どう見ても全国の猛者と渡り合った人間には見えない。

    「咲……」

    「おはよ、京ちゃん」

    「……何してんだ。こんなとこで」

    訝しげに尋ねると、少し弱弱しく咲は笑いながら言った。

    「京ちゃんを待ってたの」

    「お前……俺がこの時間に家を出なかったらどうするつもりだったんだよ」

    「でも、来てくれたよね。京ちゃん」

    早朝の澄んだ空気の中、二人はしばらく立ち尽くした。

    77 = 75 :

    京太郎は何を言うか迷っていたが、先に口を開いたのは咲だった。
    怯えと、期待が半々の表情で咲は京太郎に問いかける。

    「朝練、一緒に行こう?」

    「いや、俺は休む」

    「そっか」

    「……意外と冷静だな」

    「うん、染谷先輩からメールで京ちゃんは1週間ぐらい麻雀から離れるって聞いてたから」

    「知ってたのにわざわざ聞いたのか?」

    「だって、もしかしたら、って、思って……」

    顔を伏せる。その姿に京太郎は若干心が痛んだがそれを振り払うように歩き出した。

    「じゃあ、俺は先に……」

    「待って!」

    京太郎は歩みを止める。だが振り返らなかった。
    拒絶の意思が見えるようで、咲の心はチクチクと痛んだが、言葉を続けた。

    「ちょっと、1週間だけ、お休みするだけだよね」

    むしろそれは問いかけというより願望だったのだろう。言葉の端々が震えていた。

    「麻雀部、辞めちゃわないよね?」

    78 = 75 :

    再び沈黙。咲は神に祈るかの表情で、京太郎の言葉を待った。
    京太郎には咲の顔を見えていないがどれほど不安な顔をしているのか、なんとなく想像ができた。

    「いや、辞める」

    「……えっ?」

    「辞めるよ、麻雀部。1週間後、退部届を持っていくつもりだ」

    「嘘……」

    「嘘じゃない」

    「嘘だよね?」

    「嘘じゃない」

    「京ちゃん、また私のことからかってるとか、そういうことだよね」

    奥歯をぎゅっと噛みしめる。今にも泣きだしそうな咲の声に心がざわめく。
    京太郎は大きく息を吐いて、振り向いた。
    京太郎の想定通り、やはり咲は今にも泣きそうな顔をしていた。

    「嘘じゃない。からかってもいない。もう麻雀が嫌になった。だから、もう、辞める」

    再びの沈黙。咲の悲しそうな顔を見て思わず京太郎は視線を逸らした。

    「京ちゃんは、私たちと打つの、嫌なの? みんな嫌いになっちゃったの?」

    京太郎は何も答えない。正直、京太郎はそれに対して何と答えればいいのかわからなかった。
    咲は何も答えない京太郎を見てさらに言葉を続けた。

    「私は、京ちゃんと一緒に打てて楽しいよ」

    泣きそうな顔で、それでも無理やり微笑んで言った。

    79 = 75 :

    その言葉が、京太郎の何か、心の暗い部分に触れた。触れてしまった。
    その感情を必死で抑えつけてた蓋が弾け飛び、もう自省は効かなかった。
    体温が上がり、なにか、得体のしれない感情が体を支配していく。
    それらを吐き出すように、京太郎は口を開いた。

    「そりゃお前は楽しいだろうな、咲」

    「……京ちゃん?」

    京太郎の雰囲気が変わったことを感じる咲。
    これまで向けられたことがないような視線を感じ、体を震わせた。

    「あんな風に上がれて、欲しい牌がツモれてそりゃ楽しいだろうさ」

    拳を強く握りすぎているせいか、京太郎の手が震えていた。

    「長野大会の時の数え役満みたいなこと、できたら楽しいだろうな。うん、絶対楽しいよな」

    ははは、と乾いた笑いが響いた。京太郎の態度に動揺が隠せず、咲は言葉が出ない。
    その様子を見て京太郎は更に言葉をぶつける。

    「でもよ、咲。お前、俺の立場に立った時、胸張って楽しいって言えるか?」

    「逆転の手が欲しいときに手が入らない」

    「軽い手が欲しいときに手が入らない」

    「たまのラッキーパンチはそれ以上 パンチで叩き潰されて」

    「1か月間、どれだけ打ってもトップが取れない……」

    京太郎の頭の中で、そんなことを咲に言っても仕方ない。やめろ、傷つけるだけだ。そう訴えかけている。
    だが、止まらない。京太郎の心の中にヘドロのように堆積した感情は止まらなかった。

    「お前はさ、咲」

    「お前は……」

    「お前はそんな状況でも楽しいって言えるのかよ!」

    人気のない、早朝の道に京太郎の叫び声が響いた。

    80 = 75 :

    咲は言葉を失っていた。
    京太郎とは中学生のころの付き合いだがこのように怒鳴られるのは初めてだった。
    そもそも、京太郎がこのような悪意、敵意といった負の感情を露わにしているのを見るのが初めてだった。

    軽い口げんか程度はすることはあった。
    だが、京太郎はいつも笑って、くだらないことを言って咲をからかっていた。
    そのあまりのギャップに咲は現実を認識できないでいた。

    「どうした? 答えろよ」

    乱暴に急かされ、咲は我に返る。
    そして京太郎の問いかけに対して思考を及ぼされるが、考えても考えても結論が出なかった。

    「だよな。答えられないよな?」

    咲は待って、と声を出したかった。だが、いくら考えても答えが出せずにいた。
    いや、そもそも出せるはずがないのだ。当たり前の話であった。

    「だってお前、そんな状況になったこと、ないもんな」

    そう、彼女は考えうる限り、何もできない、といった状況になったことが殆どなかった。
    ましてやそれほど長時間打ち続けて全くトップが取れないなど、全く記憶がなかった。

    「当たり前だよな。お前は何かをもっていて、俺はもっていない」

    京太郎の脳は必死に自分の感情を押しとどめようとする。
    取り返しのつかない一言を言ってしまう前に。

    「そんなお前が、俺みたいなやつに対して、楽しいか、だって?」

    (やめろ)

    「嫌みか? 馬鹿にしてるのか?」

    (咲を見ろ。もう泣いてるだろ)

    「そんなわけないだろ。麻雀はやっぱり、勝たなきゃ楽しくないんだよ」

    (口を閉じて、謝るんだ。辞めるにしても咲を傷つける必要がある?)

    「俺は」

    (せっかく咲は麻雀を楽しく打てるようになったんだぞ!)

    「俺は!」

    (やめろ!)

    81 = 75 :





    「俺はお前らと打っても楽しくもなんともない!」



    82 :

    まあ理解できるうちの実力者が部にいれば、どうにかなっただろうな
    咲、タコス、ロッカーはオカルト系、和やまこもデジタル染みたオカルトっぽいし

    かじゅあたりならなんとかなった

    83 :

    高校から始めて咲にチャンカン入れられるほどになった人だからな、かじゅは

    84 = 75 :

    言い切った後で京太郎は我に返った。完全な拒絶の言葉を口にしてしまったことに驚く。

    「京……ちゃん」

    ぽろぽろと、涙をこぼす咲。
    京太郎は激しく後悔する。決して咲を泣かせたいわけではなかった。
    そう、別に咲が憎いわけではなかった。

    「ごめん、ごめんね、京ちゃん。ごめんね、私、京ちゃんを苦しめていたんだね」

    故に、目の前で泣きじゃくる咲を見て京太郎の心は引き裂かれたような痛みを感じた。

    「ごめんね、私のせいで……ごめんね」

    次々と咲の目から涙が零れ落ちる。京太郎は何か言おうとするが言葉にならなかった。

    「わ、私、きょ、京ちゃんの気持ち、何も、何も考えて、なくて、ご、ごめんなさい」

    しゃくりあげながら言葉を震わせながらも京太郎に謝罪の言葉を吐く。
    零れ落ちる涙をポケットから取り出したハンカチでぬぐい、咲は顔を伏せた。

    「ごめんなさい、ごめんなさい……」

    咲が謝るたびに京太郎は自分の心が切り裂かれていくのを感じた。
    何かを言わなければ、謝るか何か、言わなければと思って必死に口を開いた。

    「……すまん、言い過ぎた」

    そう、口にするのが精いっぱいだった。

    咲はそれを聞いて最後に一言謝ると、そのまま京太郎のわきを通りぬけてまっすぐ学校に向けて駆け出して行った。
    京太郎はその背中を追いかけることも言葉をかけることもできずに呆然と立ち尽くした。

    85 = 75 :

    早朝の清澄高校部室。
    麻雀卓には和、優希、まこがすでに席に着いていた。

    「京太郎、やっぱり来ないのかな」

    優希はそう言いつつ、卓のふちに顎を乗せながら牌を手で弄る。
    それを聞いて和は顔を伏せながら呟いた。

    「……どうでしょう。いえ、多分、来ないと思います。来てほしいとは思いますが」

    昨日の振り絞るような京太郎の声を聴いて和の思考はどうしても悲観的な方向に流れていく。

    「どうじゃろうな……」

    まこはそう相槌を打ちながら、昨日の去り際のセリフを思い出していた。

    ――わざわざ毎日辛い思いをしに来るのは――

    部を預かる身として突き刺さる言葉であった。

    「昨日ののどちゃんの国士、強烈だったからなー」

    「……私もできすぎだとは思います。でも、あがらないのはそれはそれで、須賀君に対する冒涜です」

    「そうだけどさー」

    和と優希の間でそのような会話をしていると部室の扉が開いた。
    3人が一斉に扉を開けるがそこにいたのは京太郎ではなく咲であった。

    「おーう、咲ちゃん。おは……よ、う?」

    優希がいつものように明るく挨拶しようとしたが、言葉を失った。
    咲はハンカチを片手にボロボロと泣きながら部室に入ってきたからだ。

    「咲さん、いったいどうしたんですか!?」

    和が慌てて咲に駆け寄る。優希とまこもそれに続いた。

    「和ちゃん……私、私」

    「咲さん?」

    「私、私、京ちゃんに酷いこと、酷いこと言っちゃった」

    「咲、京太郎と、会ったのか!?」

    まこが驚きの声を漏らす。
    それからも何かを言おうとするが言葉にならない咲。その背中をさする和。
    優希とまこもそれを心配そうに見つめた。

    86 :

    変な補正なかったら麻雀覚えたての雑魚で、他の面子が強くても
    テンパイ即リーしてるだけで、10回やれば1回くらいはトップとれるしな

    87 :

    そもそも初期だけど咲相手に2位になったりしてるんだぜ京太郎
    そらこんなオカルトで引き離されたらへこむよ

    88 :

    言ってもうたー……

    もうこれ咲が麻雀嫌いが再発するか
    逆に覇王ルートにいっちゃいそうだ

    89 = 75 :

    しばらくして、まだ泣いてはいるが咲から何かあったかを聞いた3人はそれぞれ言葉を失った。
    京太郎がそれほど感情を露わにしたこと、それほど鬱屈した思いを抱えていた、そして

    「楽しくない、か」

    ぽつりと優希が呟いた。
    3人それぞれ、この1か月京太郎の力になろうとしていた。
    だが、それが京太郎を苦しめるだけに終わったという事実に打ちのめされていた。
    昨日の様子を見て和も優希もなんとなく悟っていたことであったが、それでも心に響く。

    (なぜこうなることを予期しておかなかった!)

    そしてまこは一人悔いていた。
    京太郎は今不安定だからそっとしておいてやろう、その一言を連絡しなかった昨日の自分を悔いた。

    (恐らく、京太郎が一番複雑な思いを抱えているのは咲だろう)

    (一番長い付き合いで、あいつが連れてきたんだからな)

    (それぐらい、わかっていたことじゃろうが!)

    まこの目の前では咲がまだ泣いている。優希がそれに釣られて涙をこぼしていた。
    和は二人を必死になだめようとしているが、その本人も目に涙を浮かべていた。

    (部長を引き継いで、たった1か月。それなのにもう部の崩壊の危機)

    京太郎は部を去ろうとしている。咲はとても麻雀が打てる精神状態ではないだろう。
    優希にも和にも心にしこりを残したはずだ。

    (わしは、何をやっているんじゃ。本当に)

    悔しくて、無念で、口惜しくて、必死にこぼれそうになる涙をまこは必死に堪えていた。

    90 = 75 :

    その時、唐突に部室の扉が開いた。

    「おっはよー。元部長が久しぶりに様子を見に来たわよー……って、どうしたの、これ」

    そこには8月をもって部を引退した元部長、竹井久が立っていた。

    91 = 75 :

    というわけで本日の投下は以上です。

    恐らくこのペースであれば早ければ明後日ぐらいには完結できるかと思います。
    ……スレ全然使いきれていない!?

    92 :


    終わりが近いのか

    93 :

    おつー
    意外と短いんやな。

    94 :


    ロッカーか、ロッカーなのか

    95 :


    気持ちは分かるが咲も迂闊だったよな
    心折れた人間に向かってあの言葉は悪意ゼロでも不味いわな

    96 = 75 :

    手元のプロット上だとどう考えても後投下2回。多くても3回ぐらいで収まっちゃいそうな予感。
    文章に起こしてみると意外と短くまとまりすぎていることに愕然とすることしばし。

    もうちょっと肉付けできないかどうかプロットとにらめっこしてみよう

    97 = 83 :



    咲は子供の頃から勝ったら怒られるって理由で接待プレイしてたくらい強かったわけだからなー、そりゃ何も言えないよな
    まあネト麻ではボコボコにやられてはいたけど

    98 = 93 :

    短くまとめるのも才能やからな。
    終わったら他にも書いてほしいくらいにおもろいわ。

    99 = 88 :

    乙ー
    皆京太郎の事を良かれと思ってやっていただけに辛いな
    完結が見えているなら楽しみにしてるのぜ

    これで京太郎が戻ってこなかったら咲も麻雀やりたいとは思わないだろうしタコスも止めてしまいそうだ
    京ちゃん一人で麻雀部がヤバイ

    100 = 75 :

    もともと、もう1~2作ぐらいは書こうと思っていました。
    そもそもスレ立てた経緯が。

    安価スレ楽しい! 自分もやりたい

    まぁ、待て。ここ最近SSなんて書いてない。咲SSは書いてない。そんな状況で長丁場になる安価スレができるのか?

    よし! じゃあまず自分がちゃんと書き続けられる人間なのかを確かめるために、何作かSSを書こう! 

    そういった流れゆえ。


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