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    元スレ春香「あれ、なんですかこの『弓と矢』?」

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    251 = 237 :

    「でも…確かに、そうだ」

    伊織「!」

    「わかった」

    「ボクは、伊織…キミに協力するよ」

    伊織「真!」

    「ボク一人なら、春香に勝てる要素なんて何一つない」

    「でも、一人じゃなければ…」

    「少しでも勝つ『可能性』があるのなら…ボクはそっちに賭けてみたい」

    伊織「はっ…いい目になってきたじゃない、真。それでこそあんたよ!」

    「へへっ…」

    ドドドドド

    ドドドドドドドドドド

    252 = 237 :

    伊織(春香…)

    伊織(あんたのこと、『アイ・ウォント』で上っ面だけの『仲間』を集めて『団結』しているつもりでいるんでしょうけど…)

    伊織(だったら、私は逆にあんたの『仲間』全員、こっちに引き込んでやる…! 本当の『仲間』として!)

    伊織(あんたに見せてやるわ…本当の『団結』ってやつを!!)

    「ところで伊織…」

    伊織「? 何よ」



    ……

    ………

    ザワ、ザワ…

    「………これさ…」チラ…

    伊織「ええ、思い出した…わかってるわ…」ソーッ

    ズゥゥゥーン…

    「事務所…壊れちゃったなぁ…」

    伊織「嫌だけど…みんなのためにも、パ…」

    伊織「お父様に頭下げるしかないわね…はぁ…」

    To Be Continued...

    253 = 237 :

    スタンド名:『スモーキー・スリル』
    本体:水瀬 伊織
    タイプ:近距離~遠隔操作型・不定形
    破壊力:B~E スピード:B~D 射程距離:D(5m)~B(50m) 能力射程:B(50m)
    持続力:B 精密動作性:B~E 成長性:B
    能力:不定形の煙であることから、高い柔軟性と応用性を持つ、伊織のスタンド。
    一カ所に集めるか、広げるかによって性能が変化し、近距離から遠距離までを使い分ける事ができる。
    煙の状態では「押す」「引く」「掴む」の三つのことができ、密度によってその行動の範囲とパワーやスピードも変わってくる。
    直接何かを殴ることはできないが、掴んだものを「投げ」たり、また「叩きつける」ことは可能。
    「煙」で形成されているため特定の形はないが、兎のような外見にするのが伊織は気に入っているようだ。
    A:超スゴイ B:スゴイ C:人間並 D:ニガテ E:超ニガテ

    255 :


    こうやって見るとジャスティスとウェザーリポートのチートさが分かるな

    256 :

    乙。相変わらずすげー面白い。

    257 :

    成長性Bってのがいいな

    258 :

    セリフが実にジョジョっぽいなぁ

    ところでケガはどうした

    259 :

    最後のはビルの破片で真殴ってダメ貯まったとこを真を直接地面にぶつけたって事?

    260 :

    どうせ建てるなら、事務所でっかくしようぜ?ww
    また壊れたらアレだけど……。

    261 :

    ウサギのイメージってキングカズマみたいな感じでOK?

    262 :

    伊織「ねぇ真、聞きたいことがあるんだけど」

    「何? 後にしてくれないか」

    伊織「そう言わずに…あんま聞かれたくない事だから小声でね」ズイッ

    「おい、あまりくっつくなよ…」

    伊織「真、あんた…私を本気で攻撃してきてたけど…」

    「………」

    伊織「あんたの『ストレイング・マインド』…狙ったのは私の腕とか足だったけど、もし当たってたらどうするつもりだったのよ?」

    伊織「たぶん、一発でブッ飛ばされてたでしょうね…片腕失っちゃ商売上がったりなんだけど」

    「そのことか…」

    263 = 262 :

    「春香の『仲間』には…」

    「どうやら、傷を治すことができる『スタンド使い』がいるらしい」

    伊織(らしい…?)

    「だから、もしも誰かと戦うことになっても…殺しさえしなければ大丈夫だと、春香は言っていた」

    伊織「そうは言っても、春香に引き渡して、そいつに治してもらうまでには時間がかかるでしょ?」

    伊織「腕一本持ってかれたら出血多量で死ぬじゃないの」

    「その点は大丈夫。『ストレイング・マインド』は『液体』でも『硬く』できるからね。シャボン玉を『硬く』したのは見ているだろ?」

    「止血くらいなら、ボクにもできるからね。両手両足を奪って、傷口と吹っ飛ばした手足を固めておけば大丈夫ってわけさ」

    伊織「………」ソーッ…

    「ん? どうしたんだい、伊織?」

    264 = 262 :

    伊織「ま、まぁ、いいわ…それで…」

    伊織「誰なのよ? その、『治療が出来るスタンド使い』ってのは」

    「知らない」

    伊織「は? 知らない…?」

    「春香は…誰が春香側で、誰がそうでないかはボクには教えてはくれなかった」

    伊織「はぁ…? それじゃ、誰が敵で誰が味方かわからないじゃないの」

    「それでいいんだと思う。春香は『最後には、事務所のみんな仲間になるから』って…」

    「『今は誰が敵とか味方とかなんて考えず、いつも通り過ごして』と。そう言っていた」

    伊織「春香に信用されてないのね、あんた…」

    「いや…たぶん、みんな同じ事を言われていると思う。だから、表面上はいつも通りでいられる」

    「誰が敵で、誰が味方か…すべて知っているのは春香だけなんじゃないかな」

    伊織「そう…」

    265 = 262 :

    「そういうことなら後でいくらでも話すからさ…」

    「今はこの備品! 運ぶの手伝ってくれよ!」

    春香「んしょ、んしょ…」

    美希「あふぅ…メンドーなの…」

    雪歩「えっと、これはこっち…あれ、こっちでしたっけ? うううっ、どっちでしたっけ、プロデューサ~っ!」

    配達員「ちわ、お届けものです。765プロさん、印鑑かサインを…」

    小鳥「はいはい! 今行きます!」

    伊織(アイドル総動員で、配達員が持ってきた備品をどんどん部屋に運んでいく)

    伊織「って言うか、こういうのって普通業者に部屋まで運んでもらうもんじゃないの? なんで私達がやんなきゃなんないのよ」

    「みんなが自分達でレイアウト決めた方がいいって…」

    「と…話してる間に…これで全部かな?」

    伊織「はぁ…疲れたわね」

    「伊織は何もやってないだろ!」

    P「みんな悪いな、ごくろうさま」

    266 = 262 :

    やよい「うっうー! ここが新しい事務所になるんですねー!」

    貴音「この場所も以前とはまた違う趣があり…新鮮ですね」

    「なんか落ち着かないぞー。前の方がよかったなー」

    千早「こんな時期に移転なんて…」

    亜美「やー、仕方ないっしょー」

    真美「前の事務所が、あんなことになっちゃったんじゃ…ねぇ」

    伊織「………」

    P「倒壊事故だなんて…なぁ…」

    「………」

    小鳥「社長が亡くなってから嫌なことばかり起こりますね…」

    律子「ま、いい機会です。これで心機一転、気持ちを入れ替えて活動に臨んでいかないと!」

    あずさ「あらあら~、ポジティブなのね、律子さん」

    律子「そうでも思わなきゃやってられないんですよ…」

    「伊織…」

    伊織「…わかってる、わかってるわよ…」

    267 = 262 :



    ……

    ………

    一日前…

    アイドル達「「事務所が移転!?」」

    P「ああ…仕方ないよ、これじゃあ…」

    ゴッチャァ…

    やよい「わ…事務所が…なくなっちゃってます…」

    春香「そんな、ひどい…」

    P「近所の人の話によると、昨日の夜、突然崩れだしたみたいだ」

    P「結構古い建物だったし、老朽化が進んでいたのかもしれない」

    「………」タラァーッ

    伊織「………」ドキドキ

    P「誰もいない時間に崩れたそうだから、奇跡的に怪我人はなかったみたいだけどな…」

    268 = 262 :

    「………」

    律子「真? 大丈夫、顔色が悪いわよ」

    「え、えーと…だ、だって…」

    律子「まぁ、無理もないわね…私だって結構ショックよ…」

    「う、うん…」

    (伊織ィィ~ッ!? 親父さんになんとかしてもらうんじゃなかったのか!?)

    伊織(結局、お父様には言えなかったわ…事務所のこと…)

    伊織(いくら水瀬財閥とは言え、私のワガママでビル一つなんて建てられないっての! 時間もかかるし…費用だって、ヘリ飛ばしたりとはわけが違うものッ!)

    (ま、まぁ…それは確かに…)

    伊織(第一、どう説明する気!? スタンドを使って戦闘を行ってたら崩れたとでも言うの? 医者呼ばれるわ!)

    (わかったから…落ち着いて、伊織…)

    ………

    ……

    269 = 262 :

    伊織(そういうわけで、結局765プロ事務所は『移転』という形になった)

    伊織(話によると、うちは前々から移転しようとしてたみたいで、こうして目を付けていたというこの物件に来たというわけだ)

    伊織(それにしたって、昨日の今日…異様に手際が良くて少し不気味だけど…)

    伊織(大事な書類とかはちゃんと律子達が管理している。備品を失ったこと以外のダメージは少ないけど…)

    伊織(前のビルのオーナーや…『たるき屋』とか、同じビルの人達のことを考えると心が痛まないでもないわ…)

    伊織(あーもうっ…それもこれも全部…)

    伊織(『春香のせい』よッ! 許さないわ、春香…!!)

    ドドドド

    千早「………」

    ドドドドドド

    ペッタァァーン

    如月千早 B72
    アイドル

    千早(水瀬さん…)

    千早(なんだか雰囲気が変わったわね)

    千早(前も芯は強い感じだったけど…なんだか今はより明確な…確固たる意志を持っているような…)

    270 = 262 :

    千早(…雰囲気が変わったと言えば…)

    春香「ふー…大変だったね、千早ちゃん」

    千早「春香…ええ。この忙しい時期に…仕方のないことだけれど」

    春香「でも、こういうみんなで一緒に何かするっていうのはいいよね」

    千早(春香…)

    千早(今の春香は…正直、あまり好きではない)

    千早(前は周りにも元気をくれるような子だったのに、今は少し不気味で…何か『ドス黒い』ものを感じる…)

    春香「………」

    春香「千早ちゃん、ちょっと話したいことがあるんだけど…今日の夜、事務所に残ってもらっていいかな?」

    千早「? それは、電話で話すわけにはいかないのかしら。今日はあまり遅くまで残るのは、ちょっと…」

    春香「えーと…」

    271 = 262 :

    律子「春香、そろそろ出るわよ。外で車準備して待ってるから」

    春香「あ…」

    春香「わかりました。すぐ準備します!」

    千早(仕事かしら? 本当、最近の春香はすごいわね…)

    春香「千早ちゃん、ごめんなさい。話はまた今度ね…」

    千早「? ええ…」

    千早(春香の話したいこと…何かしら…)

    千早(直接話したいこともあるのだろうけど…用件くらいは言ってくれてもいいのに)

    272 = 262 :

    バタン!

    春香「真が動いたのかぁ…ああやってビルをブッ壊せるのは真の『ストレイング・マインド』くらい」

    春香「そして、あの様子…真は負け…そして、伊織の方に寝返ったんだね…」

    春香「負けるのは別にいい…でも裏切るってのはどういうことだァ~ッ!?」

    春香「やはり伊織は『団結』を乱す者…! 新しい765プロに、そんなのはいらない」

    春香「『仲間』を集めて伊織を倒す! それが私に課せられた『使命』…」

    春香「さてと、まず真は引き戻すとして…『ストレイング・マインド』、敵に回すと結構厄介」

    春香「やっぱり…千早ちゃんは引き込みたいところだよねぇ~っ、色んな意味で」

    春香「だけど先に『スタンド能力』に目覚めさせてからでは伊織やあの2人の時みたいに、また逃げられるかもしれない…」

    春香「だからまずは確保が最優先…事情を話して仲間になってもらうのが先決…」

    春香「千早ちゃんに『弓と矢』でスタンド使いになってもらうのは…」

    ゴゴゴゴゴゴゴ

    春香「その後でいい」

    ゴゴゴゴゴゴゴゴ

    春香「でも、千早ちゃんとはスケジュールが合わないんだよねぇ…」

    春香「事務所の雰囲気に気づいてても、伊織みたいに行動に移すタイプじゃあないし…」

    春香「はー、どうしたものか」

    273 = 262 :

    伊織「それで…真」

    伊織「例の『2人』はどうしてるのよ? あんた、何か知ってる?」

    「『2人』って、矢を壊そうとしてるっていう?」

    伊織「そうよ。あんたはその『2人』と戦ったことはない?」

    「ボクの能力は、相手を無力化するのには向いてるけど…捕らえるには向いてないからね」

    伊織「ま…あんたみたいなド派手なスタンドを送り込めば、何かしら騒ぎにはなるか」

    「でも、誰かしら刺客を送り込んでいることは確かだと思う」

    伊織「春香が自分だけで動いて、直接手を下してるってのはないのね?」

    「春香は忙しいからね…それに、その『2人』は『アイ・ウォント』から逃れられるスタンド使いだ。しかも、春香を警戒している」

    伊織「ま、『アイ・ウォント』でどうにかなるなら最初から敵に回さないわね」

    「スタンドには相性がある。相性のいいスタンド使いを一人送り込むだけなら騒ぎにもなりにくいし…」

    「捕まえるなら、それで充分だろう」

    「ボクは矢を壊そうとしている『2人』が誰なのかは知らないし…伊織が春香と敵対したことだって、伊織から聞くまでは知らなかった」

    「だけど、その『2人』のことを知っているスタンド使いはいるはず」

    伊織「そう…」

    274 = 262 :

    伊織「結局、あんたが味方で春香が敵ってこと以外…何一つわかりはしないのね」

    「いや、そうでもないよ。春香の『仲間』…少しは見当がつく」

    伊織「え…本当、それ?」

    「ボクの考えでは、『律子』と『あずささん』…この二人はまず間違いないと思う」

    伊織「へぇ? それはまた、なんでよ」

    「まず単純に、『律子』は春香と接する機会が多い」

    伊織「そうかしら? 言われてみればそんな気もしないこともないけど…」

    「今、春香の送り迎えは大体律子がやってるだろ? 律子が忙しい時にはタクシーを使ってるけど、今まではプロデューサーがやってたのに」

    伊織「あいつは今社長代理だから、忙しいんでしょ」

    「だったら小鳥さんでもいいじゃないか。ボクは小鳥さんが春香を送っていったのを見たことがない」

    「キミの所属している『竜宮小町』を専任してた頃に比べ、明らかに春香の面倒ばかり見ている」

    「普通なら、自分の立ち上げた方を優先したいのが人情だろ?」

    伊織「律子はそういうことはしないと思うけど…でも、だとしたら春香の相手ばかりするのは尚更不自然よね」

    伊織「それに…律子は私が事務所で春香とやりあってる時、隣の部屋にいたのに気づかない様子だった。あの時には、もう春香の方に付いていたのかも…」

    「そうか…まぁ、断定はできないけどね」

    275 = 262 :

    伊織「だけど、『あずさ』はどういうわけよ? 春香が話してるところなんて見たことないわ」

    伊織「そりゃ挨拶だとか世間話だとかはするけど、だったらあずさよりも春香と話している奴はいっぱいいるわよ」

    「…伊織が律子を疑っているのと似た理由かな。あずささんが、春香に協力していると思ったからだ」

    伊織「なんですって?」

    「あの日、ボクがレッスンから帰ってきた時、事務所には春香とあずささんだけがいてね…」

    「しばらくくつろいでいると、突然目の前が真っ暗になったんだ」

    「気がついたら、あずささんの姿はなくて…ボクは『弓と矢』で、春香に『スタンド使い』にさせられていた」

    「『矢』による傷はすぐになくなって、ボクの体には傷一つなかったから…多分、スタンドの能力で気絶させられたんだと思う」

    伊織「あずさのスタンド…相手を傷つけることなく気絶させられる能力か…」

    「実のところ、『いきなり気絶させられた』ということ以外は何もわからないんだけどね。その時、ボクはスタンドなんて見えなかったし…」

    「もしかしたら、春香の『アイ・ウォント』にやられたのかもしれないが…」

    「でも、あのいきなり意識が落ちる感覚は『五感支配』とは違うような気がする」

    伊織「『律子』、『あずさ』…」

    伊織「じゃあ『亜美』もそうかしらね?」

    「知らないけど…性格からして、『弓と矢』を破壊しようだなんて考えるタイプじゃあないよね。むしろ、スタンドを『遊び道具』か何かだと考えるタイプだ」

    伊織「アンタが春香側にいたことを考えると、確信は出来ないけどね」

    「ボクを引き合いに出すのはやめてくれないかな…まぁ、可能性は高いんじゃないか?」

    伊織(となると、『竜宮小町』は私以外ほぼ黒ってわけ…やれやれだわ)

    276 = 262 :

    伊織「ま、いいわ…」

    伊織「だけど、春香は何故『仲間』に『スタンド使い』の情報を教えないの?」

    伊織「騒ぎになりやすいとかそういうのを抜きにしても、誰が『敵』なのかははっきりさせといた方がいいと思うんだけど」

    「もしさ、ボクが『敵』だとわかってて…」

    「伊織はこうして話しにくるのか?」

    伊織「…なるほどね」

    伊織「もし、私が『敵』だとはっきりしてれば…当然、春香の『仲間』は私を避けてくるはず…」

    伊織「そうなると、私には誰が『敵』で誰が『味方』かなんて丸わかりだわ」

    「今の状況…誰が『敵』かも『味方』かもわからない。表面上はいつも通りだけど、孤立している」

    「そうなると…人は弱い。誰かを疑わなければならないそんな状況に、いずれ耐えられなくなり…」

    伊織「最終的に、春香に下ると。本当、いい趣味してるわねあいつは」

    「だから、逆に言うと…こうしていつも同じ二人でまとまっているのは、周りから見れば『敵』だというわかりやすいサインになるわけだけど?」

    伊織「好都合ね。襲って来るというなら…」

    伊織「返り討ちにしてこっちに引き込むだけよ」

    「伊織ならそう言うと思ったよ」

    277 = 262 :

    「さて…話すことはそれくらいかな」

    伊織「そうね。喋ってばかりじゃしょうがないわ」

    「ボクは…そろそろレッスンに行かなきゃかな」

    伊織「ええ、この後から? みんなぐったりしてるわよ」

    「うん。春香にもそうだし…伊織にだって、負けてられないからね」

    伊織(『アイドルとしても上』と言ったこと…気にしてるのかしら)

    「伊織も一緒に来る?」

    伊織「いえ…私は、今日の夜には収録があるから…」

    「そっか。じゃあね伊織」

    バタン…

    伊織(さて、と…)

    伊織(今は春香がいない…あずさあたりに探りを入れてみようかしら)

    278 = 262 :

    伊織「あずさ、ちょっといいかしら」

    あずさ「伊織ちゃん? どうしたの?」

    伊織「話があるわ。来てくれないかしら?」

    あずさ「ごめんなさい、今ちょっと千早ちゃんを探してて…」

    伊織「へぇ、同じ『竜宮小町』のメンバーの伊織ちゃんよりも、千早の方が大事ってわけ?」

    あずさ「伊織ちゃんのいじわる~…」

    伊織「…冗談よ。千早ならあそこにいるけど?」

    千早「………」

    あずさ「あ、本当…」

    あずさ「千早ちゃ~ん」フリフリ

    千早「………」スタスタ

    あずさ「あ…行っちゃうわ…」

    伊織「はぁ…」

    スーッ…

    伊織「千早! ちょっとこっち来なさい!!」

    千早「…!?」クル…

    あずさ「あら~、伊織ちゃんが呼ぶと気がつくのね」

    伊織「あんた、呼ぶ時の声が小さすぎんのよ。あれじゃ気づいてもらえるわけないでしょ」

    279 = 262 :

    伊織「じゃ千早との話が終わったら、後で…」

    あずさ「あ、ちょっと動かないで…」ス…

    伊織「え?」

    サワ…

    伊織「っ!!」クルッ

    ゴゴゴゴゴゴ

    あずさ「髪の毛に…ついてたわよ、テープが」

    伊織「そ…」

    ゴゴゴゴゴゴゴ

    伊織「そういう時は口で言ってくれないかしら…自分で取るわ」

    あずさ「あら…ごめんなさい伊織ちゃん…」

    伊織(ぬかった…真の言う通りなら、あずさは春香の『仲間』である可能性が非常に高い…)

    伊織(警戒を怠ってはいけなかったのに…)

    ゴゴゴゴゴ

    280 = 262 :

    千早「水瀬さん、何かしら?」

    タタタ…

    伊織(千早…そうだ、あずさは千早に用がある…私にじゃあない)

    伊織(それに、向こうは私が春香と敵対していることは知らないはず)

    伊織(触られてしまったけど、体はなんともない。大丈夫…よね)

    伊織「千早。あずさがあんたに用があるそうよ」

    千早「あずささんが?」

    あずさ「ありがとうね、伊織ちゃん」

    伊織「ええ。私は行くわ」

    伊織(こっそりと監視するか…あずさが怪しい動きを見せたら、その時は…)スタ…

    千早(…あら?)

    千早(水瀬さんの頭…)

    ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

    『77』

    カチ! カチ!

    『76』『75』

    千早(何かしら、あれ…)

    281 = 262 :

    あずさ「どうしたの、千早ちゃん?」

    千早「あ、いえ…」

    千早「なんだか、新しい事務所というのは落ち着かないものですね」

    あずさ「そうね~。だけど住めば都、すぐに慣れると思うわ」

    あずさ「それに、前の事務所よりも広いし、新鮮じゃない?」

    千早「まあ、なんでも、いいですけれど」

    千早「なるべく早く、ここにもなじめれば、と思います」

    千早「それより…私に用というのは?」

    あずさ「あ、用…そうよね…」

    あずさ「えーっと…」

    千早「…あずささん?」

    あずさ「…忘れちゃったわ」

    千早(…?)

    千早(この顔、『用なんて元々考えてない』みたいな顔だわ…)

    千早(なんなのかしら…)

    282 = 262 :

    あずさ「思い出すまでに時間がかかるかもしれないわ…ごめんなさいね?」

    千早「え、ええ…」

    千早(春香といい…あずささんといい…様子がおかしい)

    ズ…

    千早(最近忙しくなったし、移転もあって疲れているのかしら…)

    ズズ…

    ゴゴゴゴゴゴゴ

    あずさ(『ミスメイカー』…)

    ゴゴゴゴゴゴゴゴ

    あずさ(このまま、千早ちゃんの頭に触れ…)

    ス…

    ・ ・ ・ ・

    千早「!」バッ!

    ピシ!

    あずさ「!?」

    283 = 262 :

    千早「……?」キョロッ

    あずさ「…どうしたのかしら、千早ちゃん?」

    千早「あ、すみません…何か気配を感じて…」

    あずさ「そう」

    千早(何だったの、今のは…?)チラ…

    千早(あれ、右手に何かくっついてる)

    千早(これは何かしら…数字? 『72』…『71』…)

    千早「は!? 65…64…63…な、何なの…これは!?(数字が減っていくッ)」

    あずさ「え…?」

    千早「あ、あずささん! 見て、私の腕に…」

    あずさ「………」

    あずさ「そう…『見える』のね、千早ちゃん…」

    千早「…!?」

    あずさ「春香ちゃんの話ではまだ『矢』に貫かれてはいないということだったけど…」

    あずさ「『スタンド使い』でなければ私のスタンド、近づけば触れるのは容易だと思ったのに…」

    千早「あ…あずさ…さん…?」

    あずさ「スタンドがなくても素質がある人には見えるのかしら? それとも…千早ちゃん、あなた…」

    千早「な、何の話を…」

    284 = 262 :

    あずさ「その数字…それは私のスタンド『ミスメイカー』によるものよ」

    千早「は? みすめ…すた…んど…?」

    あずさ「見える? この実体のあるヴィジョン…これが、『スタンド』よ千早ちゃん」

    千早「それは…一体…」

    あずさ「私の『ミスメイカー』に触れられたものは、今の千早ちゃんの腕のように数字が浮かぶ」

    あずさ「そして、その数字が『ゼロ』になった時…」

    千早(『ゼロ』って…もうすぐだわ…3…2…1…)

    千早「!」ガクン

    千早(ひ…右腕が…)

    グイ!

    グ…

    千早「う…動かない! 人形の糸が切れてしまったようにッ!!」プラン

    あずさ「その部分は『眠る』わ。今、千早ちゃんの右腕は『眠った』の。解除するまで起きることはない」

    285 = 262 :

    あずさ「最初はもっと時間がかかったんだけどね。なんとか91秒にまで縮めることに成功したのよ~」

    千早「くっ」

    千早「どうして…こんなことをするんですか…!?」

    あずさ「春香ちゃ…ある子から頼まれてるの。千早ちゃんを傷つけずに捕まえてって」

    千早「春香が…? こんなことまでして、私に何の用が…」

    あずさ「えっ…千早ちゃん、どうして春香ちゃんだって…」

    千早「あなたが言ったのよッ!!」

    あずさ「あら…そうだったかしら~」

    あずさ「とにかく、千早ちゃん…一度春香ちゃんと話してくれないかしら。悪いようにはしないから」

    千早「嫌…です」

    あずさ「あら?」

    千早「春香が話したいことがある? それなら、直接話せばいいのに…」

    千早「『眠らせて』…だなんて…どうしてこんなことをする必要があるのか、私には理解できないわ…!」

    千早「悪いようにはしない…そんな言葉、信じられるものですかッ!!」

    あずさ「『信じる』にしても『信じない』にしても…あなたに拒否権はないわよ~」

    千早「くっ…」

    あずさ「『ミスメイカー』…大人しくしていれば、怪我することはない…大丈夫よ、千早ちゃん」

    286 = 262 :

    千早「大人しく…」

    千早「悪いですけど、それは聞けませんね…」ス…

    ダッ!!

    あずさ「あら」

    千早(新しい事務所…場所はまだよくわからないけれど、隣の部屋にみんないるはず)ガチャ

    ダダダ

    あずさ「あらあら、千早ちゃん…どこに行くの?」スト

    千早(プロデューサー…)

    千早(プロデューサーなら、助けてくれるわ…!)

    千早「?」チラ…

    ゴゴゴゴゴ

    伊織「………」

    ゴゴゴ

    千早(水瀬さん…? どうしてそんなところで倒れているのかしら…)

    千早(いえ、今はそれどころではない…! 早く行かなくては…)

    287 = 262 :

    バタン!

    千早「プロデューサー!」

    P「………」

    千早「プロデューサー、助けてください! あずささんが…!」ガシッ

    P「………」グラ…

    バタン!

    千早「え…」

    シィーン

    千早「プロ…デューサー…?」

    P「………」ダラン

    千早「はっ!!」

    ドドドドド

    「………」

    小鳥「………」

    雪歩「………」

    亜美「………」

    千早「こ…これは…! 事務所にいるみんなが…!」

    ドドドドドドドドド

    288 = 262 :

    あずさ「みんなには…」

    あずさ「片っ端から『眠って』もらったわ…悪いけど…」

    千早(そういえば…水瀬さんの頭についていたあの数字…)

    千早(あの時には、もう…)

    あずさ「千早ちゃんも同じように『眠らせて』…」

    あずさ「春香ちゃんの元に連れて行く」

    ドドドドドドドドドド

    千早(『重い』…右腕を封じられたこともあるけれど)

    千早(体に重圧がかかってくる…! なんて『威圧感』なの…?)

    ズ…

    あずさ「…?」

    あずさ(千早…ちゃん?)

    ズズ…

    ………

    P「………」ピク…

    289 :


    いつも楽しく読ませてもらってます!

    “支援する”と心の中で思ったならッ!その時スデに行動は終わっているんだッ!

    290 :

    なんでや!
    なんでちーちゃんのカウント
    72から始まってしまったん?

    292 :

    乙ペッタァァーン
    小鳥さんも眠らせてください!

    293 :

    乙!

    ちーちゃんには是非伊織側についてほしい

    『Mythmaker』っていうくらいだからきっと壮大なスタンドだろうね

    294 :

    おぉ、熱いな乙

    295 :

    >>293
    読み直すんだ、『ミスメイカー』はあずささんのスタンドだぜ?

    296 :

    千早は矢とは関係なしに生来のスタンド使いの素質があったのかな? それとも何か原因があんのかな?

    297 :

    普通に考えたら前者やろ

    298 = 293 :

    >>295

    だから時限爆弾的な能力だけにはとどまらないだろうなぁと思って

    299 :

    ミスメイカーからミュートスノートを思い出す


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