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元スレ姫「疲れた、おんぶして」勇者「はいはい」
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勇 者 「 『ライデイン』 」
―――――― 洞窟内に音が鳴る前に、大魔導達は最後の光を見た。
あふぅ、あと三回か四回投下したら終わるみたいなの
おやすみなさい
おやすみなさい
スーパーサイヤ人ならぬスーパー勇者か‥ スーパーロト?
とにかく乙
とにかく乙
―――――― 君はきっと、目を開けた時には僕の事を忘れてしまう。
『悲しいとは思わない』
『寂しいとも思わない』
『怒ったりもしないよ』
『でも……君は怒って良いよ、泣いても良い、寂しいって……僕に叩いて来て良いから』
『全部、全部僕がいけないから……君をこんなにしてしまったのは僕が悪いから』
『ねぇ姫ちゃん、今までごめんね』
『もっと姫ちゃんのしたい事や、食べたい物、見たい物……』
『叶えてあげたら良かったよね』
『だから君は覚えてなくても、僕だけの約束だよ』
『……姫ちゃんの願いは全部叶えるし、病気やお化けからも僕が守ってあげる』
『 僕は、君だけの勇者でいるよ 』
――― 『…ここ、どこ?』
――― 『お目覚めですか、姫様』
――― 『だぁれ? おとーさまはどこ?』
――― 『……姫様、失礼ですが…………あなたは何歳でしょう?』
――― 『えっと、昨日で四歳だよ!』
――― 『………そうでございましたか』
――― 『姫様、今日から貴女には教育係としてお友達が出来ますよ』
――― 『?』
――― 『初めまして姫様、僕は勇者です』
――― 『ゆーしゃ? 何歳?』
――― 『七歳、姫様より3つ年上ですよ』
――― 『私よりお兄ちゃんなんだ!』
――― 『うん、…じゃなくて……はい!』
――― 『私は姫、宜しくね! 髪の毛が金色のお兄ちゃん!』
【明日からの本編】
姫「…………」
「……」
姫「そこに、いるのは誰……?」
「……初めまして、姫様」
姫「…………」
「……」
姫「そこに、いるのは誰……?」
「……初めまして、姫様」
子分が親分差し置いて人質の命に手ぇ出すとか。
そんな統制しかできんアフォ頭領なら、まぁ、すり潰されても抗議できんわなぁ。
そんな統制しかできんアフォ頭領なら、まぁ、すり潰されても抗議できんわなぁ。
主人「ちょ、ちょっとお客さん! その女の子どうしたんだい!?」
「……何でも、ない、 部屋を借りたい……」
主人「あんたもどうしたんだその髪……生まれつきなのかい?」
「…………悪い、が、何も…聞かないでくれ………」
主人「……わ、分かったよ」
「…………」ズル…ズル…
主人(な、なんなんだ? 体中血まみれだし、髪の毛なんかあんな真っ白に……)
主人(あの抱きかかえられていた女の子はどこかで見たような…?)
「……ッ」ズキッ
(……着替え…よう、それからシャワーも浴びて……少し、寝ないと)
(………もう……10日寝て……な…………………い)
ドサッ
(……動け)
(……………こんな姿、見られる訳にはいかない)
(……)
姫「……」パチッ
姫「…っ、あたまいたい……」
姫(って、どこだろう? どこかの建物?)
姫(……不思議、ついさっきまで体が冷たかった気がするのにあったかい)
姫(勇者もいるのかな)
姫「勇者? いるの?」
――― ズキッ!
姫「っ!? ……頭が…………」ズキズキ
姫「~~っ!!」ズキズキ
姫(い、痛い……!!)
姫「ぅ……ぁ…勇者………」ズキズキ
ドサッ
姫「ぃっ……ぐ、ぁぁ…!」ズルズル
姫「ゆっ…………ゆうしゃぁ! ゆうしゃぁあ!!」
姫(痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!)ズキズキ ズキ
「………っ!」ガバッ
「………………」
(姫……? いまのは、姫、なのか…?)
「姫……!」ズルズル
――― ズキッ!
「がッ……!? っ、体が……!」
(ま、まずい……体の限界を越えて痛みが今になって……)
「……ひ、め…」ズルズル
姫(………ッ、ッ、ッ!!)ズキズキ
姫「………いた…ぃっっ!!」
姫「勇者っ……ぁ……ゆうしゃぁ! ゆーしゃぁぁ…」
――― ぎゅっ
「…………ひめ、だ……ぃじょ………ぶ……」
姫「…………」
「……………」
――― ドサッ
――― 【こんな形であなた方と再会するとは】
――― 【お久しぶりですね、勇者様、そして……名も知らぬ少女よ】
――― 【目覚めなさい、私のかわいい勇者……そして少女】
ルビス「……こんにちは、お二人とも」
勇者「……!」
姫「?」
姫「どうなってるの……って、勇者?」
勇者「姫! 俺が分かるのか」
ルビス「……勇者様、私が誰かは分かりますね?」
勇者「!……【精霊神ルビス】、だよな」
ルビス「覚えていてくれましたね、では何故私が再びあなた方を呼んだか分かりますか」
勇者「…さあな」
姫「えと……勇者、この人は誰?」
ルビス「少女、貴女が『姫』ですね」
ルビス「私は【精霊神ルビス】、かつてロトの勇者と共にこの世界を守っていた精霊です」
姫「……あ、えっ?」
姫「知ってます! おとぎ話によく出て来た精霊ですよね!」
ルビス「……確か私は教会のシンボルにもなっていたのでは」
勇者「世間知らずなんだ、すまない」
姫「?」
ルビス「こほんっ、……それでですね勇者様」
ルビス「今回あなたが使用した【メガザル】、あれが最後になってしまいました」
勇者「!!」
ルビス「もはや時間が無いという以前に、場合によってはあなた方2人が同時に死ぬかもしれません」
勇者「どういう……事だ、今までそんな事は一度も!」
ルビス「……しかし事態は『竜王』の出現で最悪の一途を辿りつつあるのです」
ルビス「姫様? 貴女が『竜王』に『慈愛の心』を理解させたせいです」
姫「ぇ…」
勇者「悪いがルビス、いくらアンタでも言い過ぎだ!!」バッ
ルビス「勇者様、私は今回限りなく怒りを感じているのです」
ルビス「特に勇者様はご自身の命をまるで薬草のように思い、そして平気で捨てている……」
ルビス「………もう一度言わせて貰います、姫様が何もしなければここまでの危機は迎えなかったのです」
姫「……私が悪い、の? 勇者、何を言ってるの」
勇者「何も姫は気にしなくていい、これは夢なんだ! 幻だ!!」
ルビス「……勇者様、もうごまかすのも隠すのもやめにしましょう」
姫「…………」
ルビス「姫様、これから話す事は何もかもが真実です」
ルビス「……そして貴女は幾つか信じられない事もあるかもしれません、記憶に無いかもしれません」
ルビス「しかしこれは全てが、貴女への最後の『試練』なのです」
姫「……」
勇者「姫、耳を貸すな……!」
姫「……」
姫「話して、精霊さん」
勇者「……っ」
ルビス「……」
ルビス「姫様の体は生まれた時より弱かったそうですね」
姫「? はい」
ルビス「そして本来ならばその年まで生きられるのは不可能とも誰もが言っていたのではありませんか」
勇者「……待てルビス、何を遠回しに言ってるんだ?」
姫「……はい」
ルビス「そうでしょう、貴女は幼少の間に死ぬ運命だと決まっていたのですから」
勇者「…は、」
ルビス「初代ロトの勇者が大魔王を討ち倒したその後、彼と私は大魔王が予言した事への対策を始めたのです」
ルビス「『ゾーマ亡き後、再びロトの勇者がいない世界に強大な魔王が再来する』……この予言を我々は恐れました」
ルビス「『大魔王ゾーマ』に匹敵する何者かが、ロトの勇者様が亡き時代に現れると言われてもどうしようも出来なかったのです」
勇者「………それが、姫の運命とどう関係がある?」
ルビス「姫様の運命は『偶然』なのです」
姫「勇者」
勇者「ッ……分かった、続きを頼む」
ルビス「そこで……私と当時の勇者様、2人の魂と魔力を注いだ『光のオーブ』を予言の時まで保管する事にしたのです」
姫「光のオーブって……もしかして」
ルビス「竜王が貴女の目の前で手にした『光の玉』の事です」
勇者「目の前で? まさか竜王の城に保管してたのか」
姫「ううん、私の前で手を翳したら出て来たのよ」
勇者「そうか……ん? ……!!」
ルビス「今勇者様が考えた通りです、私達は『1人の人間に』オーブを保管する事にしたのですよ」
ルビス「初めは大盗賊のカンダタ、彼は『光のオーブ』が放つ凄まじい魔力を生涯耐えきりました」
ルビス「そうして彼が亡くなると同時に、今度は『光のオーブ』は選んだ人間の中に移動する……」
ルビス「……常人ではとても『光のオーブ』の魔力を受け止めきれず、10年程で死んでしまいました」
勇者「………今までに何人死んだ……!」
ルビス「140人、でしょうね」
ルビス「…そして永き時を経て現在のオーブに選ばれたのが、姫様です」
姫「……」
勇者「ふざけやがって!! アンタ達はおかしいんじゃないのか!?」
ルビス「しかし現に今まで無事にオーブは守られて来ましたが?」
勇者「当たり前だ!! 竜王が出るまで平和だったからだろうが!!」
勇者「ロトの勇者とルビスが込めた魔力? そんなもん……要らなかったじゃねえか奪われたじゃねえか意味がないじゃねえかッッ!!」
ルビス「意味が無い? 本当にそう思ってるならば聞かせて下さい、オーブが無ければ勇者様は生き返る事は出来ないのですよ」
ルビス「ならばどうやって姫様を助けに行きましたか、どうやってあの夜生き返るつもりでしたか」
ルビス「今のあなた方がここにいられるのはオーブの魔力が助けているからなのですよ?」
勇者「……」
ルビス「…しかし今となっては勇者様が正しいのですが」
ルビス「話に戻ります、偶然オーブに選ばれた姫様は当然ながら幼い体では魔力の波動に耐えきれず『七歳』で死ぬ運命でした」
ルビス「ですがそこで貴女は奇跡的な『偶然』に救われた……ロトの子孫である勇者様にね」
姫「……七歳? 勇者に救われたの?」
ルビス「貴女は何歳の時に勇者様と出会ったのですか」
姫「四歳の誕生日……次の日」
ルビス「……本当は貴女が生まれた時から勇者様と一緒にいたのですよ」
ルビス「しかし貴女は記憶を一時的に失うしかなかった、そうするしか勇者様は貴女に【メガザル】を使えなかったのです」
姫「……勇者、メガザルってなに」
勇者「ルビス、ここからは俺が話していいか」
ルビス「包み隠さずお願いします」
勇者「姫は今ルビスが言った通り、七歳の時に一度『死んだ』んだ……」
姫「…でも生きてるよ」
勇者「生き返らせた……俺の命と姫の『思い出』を代償にしたんだ」
姫「思い出って、勇者との?」
勇者「………あの頃は俺としか過ごしてなかったから、まるで俺との記憶だけ忘れたように感じてるんだ」
勇者「……俺、本当は元々金髪だったんだよ? 覚えてるか」
姫「……ううん」
勇者「金髪だったんだ、でもそこからまた7年して姫が倒れた」
姫「うん」
勇者「二度目の『発作』だったから、姫が死ぬより先に俺がメガザルを使ったんだ……それでまた一時的に姫の体は元に回復した」
姫「勇者」
勇者「……なんだ」
姫「その時も、そのメガザルで死んだの? 私を治すために?」
勇者「………あぁ」
姫「わかった、続きを聞かせて」
勇者「……? わかった」
ルビス「ちなみにその当時は勇者様の魔力が充分だったので『思い出』を代償にせずに済んだのですよ」
勇者「ああ、そうだったな」
勇者「……それからまた半年位して、覚えてるか姫」
姫「? 半年…………あ」
勇者「姫が突然倒れた時、その時もメガザルを使った」
ルビス「私は止めました」
姫「…私を……起こすために? 直ぐ目を覚ましたかもしれないのに?」
勇者「ああ」
姫「……えへへ」
勇者「えっ?」
姫「私が変なのかな……深刻な話なのに、なんだか嬉しくて」
ルビス(……この2人は何故いままで結婚してないのでしょうね)
勇者「嬉しいって……何度も死にかけてたんだぞ?」
姫「勇者は何度も死んでるんでしょ?」
勇者「そうだけど、それは……」
姫「どうしてそんなに私を助けてくれるの?」
勇者「どうしてって、…………」
姫「……だから嬉しいの、言葉で伝えられない位の理由があるから私を助けてくれるから」
勇者「……」
ルビス「どうやら姫様にとってはそこまで思い悩む事ではないみたいですね」
勇者「……俺の12年間って一体……」
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