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元スレ姫「疲れた、おんぶして」勇者「はいはい」
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< ・・・チュン…チュン…
勇者「……うっ…ん~」ぐぐっ
勇者(朝か、寝た気がしないな)
姫「……zZZ」ぎゅっ
勇者「………」
勇者(おはよ、姫)チュッ
勇者(……~~~ッッ!!)
勇者(恥ずかしいなこれ!! うわぁ……村を少し走って来よう!)
ガチャッ
勇者「……?」
勇者(やけに静かだな、まだ主人はいないのか)スタスタ
勇者「……いない、か……」
勇者「『朝食も俺が作るから部屋に行かなくて良い』っと、書き置きしとくか」サラサラ
勇者(…………)
勇者(静かだ)
―――― ザァァ・・・
勇者(……)
勇者(この雨だと、走るのはやめとくか)スッ
勇者(……)クルッ
勇者(…………)
勇者(…………………)
勇者(人の気配を……村から感じない……)
ガチャッ
勇者「誰か!!」
ガチャッ!
勇者「誰かいないのか!?」
ガチャッ!!
勇者「……」
カチャッ
勇者「………」ギィ
勇者(……いない)
ガチャッ!!
勇者「姫……!」バッ
姫「んぅ、おはよう……」ぎゅっ
勇者「よかった無事か、掴まってろ!」ギュゥッ
勇者(……!)チャキッ
勇者(どこから逃げる!? 窓からルーラか!?)
姫「勇者? どうしたの」
勇者「少し雨に当たるから、目を閉じてろ!」ぎゅっ
姫「??」
―――― ヒュバァッッ!!
姫「ひゃぁ! な、なに勇者!? どうなってるの!」
勇者「事情は後で説明する、今はここを離れる」タンッ
勇者「ッッ!!」グッ
ドヒュッッ―――― !!
姫「きゃぁっ……勇者っ」ぎゅっ
勇者「大丈夫だ姫、大丈夫……っ」
勇者(もし、もしも……)
ドヒュッッ!!
勇者(村の人間を消したのが、『竜王』なら……!)
勇者(とても今の俺じゃ、最初の戦い以上に刃が立たない、勝てない!!)
勇者(逃げないと……! 逃げないと!!)タンッ
ドヒュッッ!!
ダンダンダンッ!!
勇者「頼む!! 開けてくれ! 誰かいるだろう!!」
< 「その声……勇者か、どうしたのだ」
勇者「マイラの村が襲われた! 今の俺じゃ戦えない!」
< 「!? 良かろう、しばし待て」
勇者「……」ぎゅっ
姫「………」
勇者「……すまない、助かった」
「タオルを持って来よう、王女の体に雨は辛かろう」
勇者「頼む」
姫「……私を知ってるの?」
勇者「ああ、両親が死んでから俺に魔法なんかを教えてくれた人だ」
姫「師匠ってこと?」
勇者「それだと二週間で師匠を越えた事になるかな」
賢者「コホン、久しぶりだの勇者よ」
勇者「大体二週間ぶりか」
賢者「うむ、しかし本当に王女が生きておったとは……」
勇者「……」
姫「勇者、怒らないで」なでなで
勇者「……ん、ありがとう」なでなで
賢者(流石は勇者を覚醒させただけはある……お互いに愛し合っているようじゃな)
賢者「ふむ……一晩で勇者に気づかれる事なく、マイラの村を全滅か」
勇者「ああ、生活の跡すら無かった……竜王の仕業なのか」
賢者「1つ聞きたいのだが、勇者の『紋章』に異変は無かったのかの」
勇者「無いな」
姫「……勇者、昨日の夜私達のが一度光ってたよ」
勇者「! まさか……?」
賢者「勇者を『ロトの勇者』と認めているなら、『紋章』はお主を呪いの類から守るだろう」
賢者「……じゃが守れるのは勇者のみ、何故に王女は助かったのか」
姫「……?」
勇者「……」チラッ
姫(勇者の『ロトの印』って、そんなに凄い物なんだ)ジャラッ
勇者「姫の首飾り……か?」
姫「ふぇ?」
姫「私の首飾りが守ってくれた、ってこと?」
勇者「それ位しかないかな」
賢者「ふぅむ? ちょっと見せてくれい」
ジャラッ
賢者「………」ジャラッ
賢者「ありがとう王女よ、ほれ」
姫「っ」ジャラッ
勇者「どうなんだ」
賢者「信じられんが、その首飾りはひょっとすると『紋章』よりも強い力を持っとるかもしれんな」
勇者「……凄いな」
賢者「まあ何より、無事なのは奇跡じゃ……呪いから守られるとはいえ闇からも守られるとは限らん」
勇者「闇って竜王の事か」
賢者「うむ」
賢者「近々、竜王の城から強大な波動を感じたのだ……」
賢者「以前に比べると、パワーも増しておるのやもしれぬ」
勇者「以前よりか」
< きゅっ
勇者「?」
姫「勇者なら勝てるよ、きっと」にこっ
勇者「……」
賢者「……やれやれ年寄りには暑苦しいの、しばらくは2人ともここに留まりなさい」
勇者「ああ、そうさせて貰うよ」
―――― 【おぉ・・・!!】
―――― 【これが我の新しき力か!! これぞ竜族の覇者に相応しい!!】
―――― 【クックック・・・勇者よ、貴様が我に挑んで来るのを楽しみに待っているぞ!】
勇者「……っ!」ガバッ
姫「勇者、大丈夫!?」
勇者「……寝て、たのか」
姫「部屋に来て少ししたら一緒に寝たんだよ?」
勇者「っ、頭が痛い……水あるか」
姫「今持って来てあげる!」スッ
勇者「……ありがとう」コトッ
姫「大丈夫? うなされてたよ」
勇者「はは、俺としたことが……」
姫「怖い夢見たの?」なでなで
勇者「かなり怖い夢だよ」
姫「……竜王と関係ある?」
勇者「…………」
勇者「一応さ、まともに俺を殺したのは竜王1人だけなんだ」
勇者「だから……そのアイツが以前より強くなったって聞いたら……ちょっとな」
姫「怖いの?」
勇者「えっ」
姫「怖いんだよね」
勇者「……怖い」
姫「私だけじゃなくて、勇者自身も守れないもんね」
勇者「……姫は必ず守るよ」
姫「駄目、私を守ろうとしたら負けちゃうよ? ……勇者に私からアドバイスしてあげる」
ガバッ
勇者「うわっ!」
姫「チュッ……ん…」
勇者「………」
姫「……っは、『攻撃こそ最大の防御』ってね♪」
姫「ふふん、どう?」
勇者「……愛してます」
姫「な、なんで敬語…?」
―――― ギュンッッ!!
勇者「おぉぉおおおおああああああああああ!!」
―――― シャッッ!!
ヒュィンッ!! ズバッ!!
勇者「はぁはぁ……だぁッ!!」ブンッ
ゴバァンッッ!!
姫「勇者……凄い」
賢者(明らかに姫のおかげでやる気を出してるな、溺愛にも程があるわい)
賢者(……あの2人が来て、半月かの)
賢者(早いもんじゃが……あの2人にとっては随分長い時間に感じたじゃろう)
カツンッ
賢者(………『雨の祠』という名前とは言え皮肉なもんじゃの……)
賢者(もうあの2人が来た日以来、雨が止んでおらぬ)
賢者(……………これではまるで、)
―――――― 「 勇者の両親が死ぬ前と同じではないか・・・ 」
勇者「……」スッ
勇者「……」ヒュッ
勇者「……」ヒュッ
勇者「……」スチャッ
勇者(もう重さは感じないな、これなら充分に……)
< 「ご飯だよー!」
勇者(……)くすっ
姫「ほらほらっ、できたよー!」
勇者「おー、美味そうだ」
姫「スープの隠し味が効いてるんだよ♪」
賢者「ほぉ、スープを作ったのか……どれ」ぺろっ
賢者「 」
勇者(【やっぱり】 死んだか )
姫「お爺さん!?」
勇者「あー、多分ちょっとしょっぱかったんだな」
姫「そうなの?」
勇者「このスープは俺が飲むから、姫は後でレシピ教えてあげるよ」
姫「スープちょっと味見していい?」
ゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクッッ!!!!
勇者「……ごちそうさま」
姫「もう、また1人で飲んで……///」
勇者(……半月前の弱ってた俺なら死んでるな)
・・・
姫「勇者、お風呂入ろー」ぎゅっ
勇者「ん? 少し早くないか」
姫「最近の勇者、汗臭いんだもん」
勇者「あ……そうだよな、ずっと鍛錬してるからあんまり臭いとか気にしなかったよ」
姫「毎日洗ってもすぐ汗かいたりするからだよ」
姫「……ね、隅々まで洗ってあげるから」きゅっ
勇者「……~~~、はいはい」がしっ
姫「抱っこ♪」
勇者「はいはい」なでなで
< 「っと、いつまでもデレデレしてると思うなよ!?」
< 「ひゃぁぁ!? くすぐ、ぁ……ふぁぅ」
賢者(静かに出来んのか……まったく)
賢者(……)スッ
賢者(どれ、ちょいとアレの様子でも見るかの)
ガチャッ
賢者(……ワシでは持つ事すら叶わぬが、見る事なら出来る)
賢者(なんと神々しい……)
< ……キンッ
賢者(『レプリカ』とは思えぬ、まるで本物の【 王者の剣 】だ……!)
賢者(儀礼用に初代ロトが何者かに作らせたらしいが、この美しい風格は完全に聖剣の域)
賢者(毎日見てはいるが、この剣が本物かと疑える程だ)
スッ・・・
賢者(だがやはり『レプリカ』……歴代の勇者一族でもこれをまともに操れたのは初代ロトと勇者のみ)
賢者(それも、勇者に至っては成長して怪力を身につけたからこその芸当だ)
スタスタ
賢者(……初代ロトは知らぬが、あのような重い剣…一体誰が作ったのやら)
賢者(さて、そろそろ寝るかの……王女の体を気遣っている勇者なら長風呂はせぬだろうしな)
賢者(……)
姫「…///……////」ビクビク
勇者「だからやめとけって言ったのに……」
姫「………////」
勇者「大丈夫か?」
姫「……にゃぁ///」カプッ
勇者「ぅあ! 落とすからやめろっ」
姫「好き……////」
勇者「分かったから、少し落ち着けって……」
勇者(……やっぱり『こういう』のは程ほどにする必要があるな、人間を駄目にする)
姫「……///」じっ
勇者「どした」なでなで
姫「……みゅ…///」ぎゅっ
勇者「まだ落ち着いてないのか?」くすっ
姫「ぉ……思ったより、その……~~」ぎゅっ
勇者(まあ……こんな姫をたまに見れるなら良いか、うん)なでなで
ガチャッ
勇者「到着ですよ姫様っと」スッ
姫「……ふぁっ」ぺたん
勇者「って、姫?」
姫「~~/// 立てないっ……////」
勇者「世話のしがいがあるなぁ、んっと」がしっ
姫「……////」ぎゅっ
姫「……」もぞっ
勇者「(かわいい) 俺はちょっと素振りしてくるよ」
姫「だめっ」ぐい
勇者「なんで」
姫「もう少し一緒にいて……、まだここのドキドキが止まらないの……」きゅっ
勇者「……仕方ないなぁ」なでなで
姫「~♪」
姫「ん……ちゅ、カプッ 」
勇者「いひゃい」
姫「えへへ……ちゅー」チュッ
勇者「………」なでなで
姫「胸にぎゅってして……勇者」
勇者「ん」ぎゅっ
姫「んぁっ……じゃなくて、勇者の胸に抱き寄せてぎゅうってしてほしかったの!!」////
勇者(……ついやっちゃった)
勇者「はいはい」ぎゅーっ
姫「……////」
勇者「……」チラッ
< キィィィンッ!!(明らかに爆発しそうなくらいの光)
勇者(絶対あの首飾りって姫の心とリンクしてるよなぁ)
姫「撫でて撫でて……」くいくい
勇者(首飾りの光が弱くなるとこれだし)なでなで
勇者(……)なでなで
姫「……♪」すりすり
勇者「明日こそ晴れたらいいな」
姫「? ……そうだね」
勇者「姫の体に悪いからな、太陽に当たらないと」
姫「心配?」
勇者「凄く」
姫「////」きゅ
勇者(……正確には心配じゃなくて、怖いんだけどさ)なでなで
● ● ●
賢者「がッ! ……はァ……ッ!!」ドサッ
{ ズ ズ ず ズ ズ っず ズ
賢者「っっ・・・!! ま、さか……竜王めッ………」
賢者「『聖域』すら……闇に飲まれると、は………ぐぉ」ずズギュッ
賢者(……あの2人は、無事なのか………?)
賢者(~~!!?)
< ズォムィュッッ
賢者「…は、はは……『光のオーブ』が闇に染まる事は、こういう事なのか? これではマイラのむら…っぁが!?」
{ ズ ず ズ ズ ズズッ ッッ
賢者「ゆッ……勇者、どうか世界を………!!」
{ トプンッ
● ● ●
< キィィィンッ!! キィィィンッ!!
< キィィィンッ!! キィィィンッ!!
勇者「……じいさん、どこだ」
勇者(………マイラの村の時と、同じ……?)
勇者「……じいさん……!」ガッ
< ビシッ! ズドォォッ!!
勇者「竜王か? アイツの仕業なのか……!!」
< 「今の、なに!?」
姫「ー! 勇者、壁が……」
勇者「じいさんが消えた」
姫「……」
勇者「マイラの時と同じだ、俺が生まれる前からこの祠を出ないじいさんが外に出るわけないのにここにはいないッッ!!」
姫「…っ」びくっ
勇者「……ごめん」ぎゅっ
勇者「………ごめん」
姫「………」
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