元スレエルフ「……そ~っ」 男「こらっ!」
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301 = 299 :
×月○日
旧エルフ「……うぅ。熱い、身体が熱いです……」アセアセ
旧エルフ(熱が出たみたいです。でも、男さんに心配をかけるわけにもいきませんし、起きないと)フラフラ
旧エルフ「……」フラフラ
ギイィィ、パタン
旧エルフ「……」トントン、コトコト
男「ふぁあ。よく寝た」
旧エルフ「……あ、男さん。おはようございます」フラフラ
男「お前……どうかしたのか?」
旧エルフ「え? なんのことですか」
男「いや、なんでもない」
302 = 299 :
旧エルフ「今、料理を出しますからね。もう少し待っていてください」フラフラ
男(あいつ……やっぱり様子がおかしいな。なにかあったのか?)
旧エルフ「……あぅ」ドタッ
男「……! お、おい!」
旧エルフ「……」キュゥゥッ
男「おい、しっかりしろ。ああ、もう! 世話が焼ける!」
303 = 299 :
……
…
旧エルフ(……なんだかひんやりとして気持ちいいです。一体何が……)
男「……」スースー
旧エルフ「あっ……」
旧エルフ(男さん、寝ています。それに、ここは私の自室。今は……もう夜みたいですね。
ああ、思い出しました。私、朝食を作っている最中に倒れて……。
もしかして、男さん一日中私の看病してくださったんでしょうか?)
男「……」スー
旧エルフ(そんなに優しくされると、勘違いしますよ? 私のこと大事にしてもらえているだなんて期待しちゃいますよ?
たとえ冷たくされていても、ずっとあなたの傍に……)ゴソゴソ
ムクリ、テクテク
旧エルフ「男さん……」ソッ
……チュッ
旧エルフ「はむっ、んむっ、はぁ、はぁ……んちゅっ」チュパチュパ
旧エルフ「男さん、男さんっ!」チュッ
旧エルフ「……男さん、ごめんなさい。こんなにいやらしいエルフでごめんなさい。
こんな私ですけれど、あなたをお慕いすることを許してください」ポロポロ
305 = 299 :
……
…
×月×日
昨晩も男さんはお仕事を遅くまでしていました。体調を崩さないか心配です。相変わらず、私と男さんとの距離は縮まりませんが、でも私は満足しています。
毎日、同じ空間で共に生活をして、時折気にかけてもらえて……。男さんの傍にいられるだけで私は幸せです。
できることなら、この瞬間が永遠に続いてくれるといいななんて思います。男さんと、私。この家に二人でずっと、ずっと暮らしていけたら……なんて。
今日は、明日はどんなことをして過ごしましょう。毎日を楽しく過ごせれる。
奴隷だなんて最初は嫌で、嫌でしかたなかったはずなのに、気がついたらそんな身分でも幸せはあるんだと感じます。
願わくば、この幸せな夢が覚めませんように……。
306 = 299 :
旧エルフ「ふう。こんなところでしょうか」カキカキ
旧エルフ「我ながら恥ずかしいことを書いていますね。これはさすがに人に見せられません」テレテレ
旧エルフ「ひとまず、日記を書くのはこの辺で止めておいて朝食の準備に取り掛かりましょう。男さんももうすぐ起きてくるでしょうし」テクテク
旧エルフ「今日も一日頑張りましょう!」
ギイィィ、パタン
男「……」ファァ
旧エルフ「男さん、おはようございます!」
男「……ああ、おはよう」ムスッ
旧エルフ「……!」パァァ
旧エルフ「おはようございます!」
男「……なんだよ、そんな嬉しそうな顔して」
旧エルフ「そんな顔してますか?」ニコニコ
男「まあ、なんでもいいよ」
308 = 299 :
旧エルフ「……あ、すみません。起きていただいたのですけれど、実はまだ朝食の準備が出来ていないんですよ。少し材料が足らなくて……。それで、今から市場にいこうと思うのですけれど、お金をいただけますか?」
男「……ん」チャリン
旧エルフ「ありがとうございます。それじゃ、買出しに行ってきますね」ニコッ
男「……おい」
旧エルフ「……はい?」
男「早く帰ってこいよ。その、僕はお腹減ってるから……さ」
旧エルフ「……はいっ!」
トテトテ、ギィィ、パタン
男「……あ~もう。調子狂うな///」カアァァ
309 = 299 :
旧エルフ(早く帰ってこいって言われちゃいました。えへへっ、嬉しいです。男さん、私のこと必要としてくれているんですね。
そう考えると口元がニヤけるのを止められないです。嬉しいです、嬉しいですっ!)
ガタガタガタ
旧エルフ(男さん……今なら私の想いを受け入れてくれますか? 決めました、今日帰ったら男さんに告白しましょう。私の想いを、男さんに伝えましょう)
ガタガタガタ
旧エルフ(男さん、私はあなたの奴隷になれて本当に……)
ガタガタ ヒヒーン
旧エルフ(幸せですっ!)
ドカッ
310 = 299 :
……
…
男(……遅い。いくらなんでも遅すぎる。まさか、また変な店主に捕まっているんじゃないだろうな……)
男(あんまり空腹のまま待たされても困るし、探しに行くとするか。本当に面倒な奴だよ)
ギィィ、パタン
タッタッタッ
男(……ん? 人だかりができてるな。なにかあったのか?)
ヒソヒソ ミテ、エルフガタオレテルワ
ホントウネ、バシャニヒカレタラシイワヨ
デモマア、イイキミネ
ソウネ
ソウネ
男(馬車に引かれた? それに、エルフだって!? まさかっ……!)
男「すいません、どいて、どいてください!」ズイズイ
男「……あっ」ダダッ
311 :
ああああ…
312 = 299 :
男「旧エルフ……」
旧エルフ「男……さん。泣いてますよ?」
男「バカっ……なんで、僕がそんな」
旧エルフ「うれ、しい。おとこさんが、ないてくれたってことは、わたし、すこしはだいじにおもってもらえたんです……ね」
男「そんな、もう死ぬみたいなこと言うな! 大丈夫、すぐに手当すればまだ……」ギュッ
旧エルフ「だめ、ですよ。わたしを、受け入れてくれるところなんてないです。だから、もうこのまま」フルフル
男「やめろ、そんなこというな。僕はまだお前に……」
旧エルフ「……」パタッ
男「あ、ああ。うあああああぁぁぁぁぁ」
313 = 299 :
あの日、エルフは馬車に引かれて死んだ。この時ほど今までの自分の態度を後悔した時はなかった。
彼女に惹かれていたはずなのに、それを言葉にして伝えることもできず、僕はただ一人この家に残されることになった。
シンと静まり返った家。明るく笑ってくれた彼女はもういない。
どれほど涙を流そうとも、彼女がこの家に帰ってくることはもうない。
エルフというだけで差別にあい、墓地に入れられることすら許されなかった彼女。僕はそんな彼女の墓を街から離れた森の入口に作ることにした。
男「……ごめんな。結局最後までお前を拒絶することしか、僕にはできなかった」
男「僕のせいで嫌な思いをいっぱいしたと思う。今になって思えばお前にもっと優しくしておくべきだったなんて思うよ」
男「でも、もうそれも無理なんだな。話しかけても、お前はいつものように笑いながら返事をしてくれない……」
男「僕、決めたよ。もし、次にエルフを家に迎えることがあったらお前の分も優しくするって。お前にできなかったことをそいつには全部してやるって……」
男「ここなら、お前に嫌がらせをしたり、いじめたりする人間もいない」
男「僕も時間をあけてここに来るようにするからさ……」
男「だから、ここで……安心して……眠ってくれ……」ボロボロボロ
314 = 299 :
……
…
男「さようなら……旧エルフ」
エルフ「……そ~っ」男「こらっ!」 before days 旧エルフと男 ――完――
315 = 299 :
ひとまずこれで男と旧エルフの過去編は終わりです。
まだレスが残っているので、リクエストや質問があれば書きます。
もしなければ雑談でもして消費してください。自分も参加します。
316 :
激しく乙!
317 :
>>315
良かった!すごい良かった!!
318 = 304 :
乙ですお!
319 :
ええわぁ
乙っす!!
321 = 299 :
みなさんも乙! 長い時間あけてしまったけど、読んでくれてありがとう!
322 :
微妙に乗り遅れたけど乙!
323 :
旧エルフ後のエルフが来るまで
の話が気になる
324 = 299 :
ふむ。ちょっと考えます。ただ、少し疲れたので書くのは翌日でもいいでしょうか?
今はちょっと雑談していたい気分。
325 = 323 :
ご自身のペースで構いませぬ
326 = 316 :
なにーまだ続くだと!
そいつぁおめー
マジッ!乙過ぎるぜぇ
327 = 299 :
正直書き溜めなしでゼロから書いてたから結構行き当たりばったり。
うまいこと話を合わせるのに大変だったw
328 = 304 :
これで書き溜め無しとか凄いなwww
329 = 319 :
書き溜めなしでこのクオリティかよ
信じられんなぁ
凄っ
330 = 299 :
一応書き始める前に考えていた設定
ss
エルフ奴隷と青年の話。
青年はエルフによって家族と妹を殺される。戦争中
戦争後、負けたエルフたちは奴隷になる。
家族を失った復讐のため、エルフの娘を一人買い、奴隷にしていびる。
しかし、共に過ごしていくうちに愛情が湧いて互いに愛し合う。
だが、そんなある日町の住人の一人がエルフを襲い、死なせてしまう。
青年はそれまでの行為を悔いて自分の本心を素直に明かせなかったことを後悔する。
その後しばらく一人で過ごした後、売られているエルフ娘を見て、今度は間違えないようにすると決める。←始まりココ。
これで書き出した。
331 :
め
334 :
乙!
素晴らしかった
335 :
>>1乙
面白くてハマってます
339 = 299 :
おはようございます。
続きを書きたいのですが、出かける用事が出来てしまいまして、続きを書くのは夕方か夜になってしまいました。
なるべく早く書けるようにしたいので、残っていれば頑張ります。
340 :
>>339
いてらー
341 :
ありがとう、楽しく読ませてもらっています。
騎士と男の過去編とか希望
342 :
エルフがヤキモチ妬く話を希望します
343 :
予定よりも早く帰りました。
いくつかリクエストがあるので書いていこうと思います。
個人的考えから順番は
1 旧エルフ後のエルフが来るまで
2 エルフがヤキモチを妬く話
3 男と騎士の過去編
の順に行きます。全部書き終えるのは少し時間がかかりますが、またお付き合いくださいませ。
344 = 343 :
旧エルフがいなくなって、もう一年の月日が経とうとしていた。自分以外の人の温もりのなくなった家で、男は毎日を過ごしていた……。
男「……」モグモグ
あの日以来、なんとなく物事に対するやる気もなくなってしまい、外に出ることもめっきり減った。
一度家に引き篭もってしまうと人との関わりがこれほどまでに希薄で無意味なものだったのかとどこかで納得もしていた。
外に出かけることなんて食材の調達と旧エルフの墓参り。それから戦時中の時のように酒場で浴びるように酒を飲むことくらい。
それ以外は部屋にある魔法関連の書物を読み漁り、時折来る仕事をこなすことで毎日時間を消費していた。
自分で思っていた以上に旧エルフの死は男に影響を与えていた。瞳に映る世界は灰色に染まり、空虚なものとなった。
人も物資も栄えている都市部とは違い、辺境の一角にあるこの街では、新しいエルフなど来るはずもなく、旧エルフの墓前で誓った約束は、一年がたった今もまだ叶えられずにいた。
男「今日は、何をして過ごそうか……。旧エルフの墓参りでも行こうかな……」ブツブツ
つい先月に行ったばかりの墓参り。いっそのこと日課にしてしまおうかと思うほど、男は頻繁に彼女の元へと通っていた。
男「いい、天気だな……」ジーッ
旧エルフ『男さん、今日はいい天気ですよ! そんなに部屋に篭ってばっかりいないで外に出かけたらどうですか?』ニコッ
聞こえるはずのない声を想像し、男は自虐的な笑みを浮かべた。
男「……出かけよう」テクテク
347 = 343 :
……
…
ザワザワ ガヤガヤ
酒場の主「おう、兄ちゃん。なんだい、今日も昼間から飲みに来てるのか?」ニヤッ
男「……」グビッ
酒場の主「相変わらず、愛想が悪いねぇ。まあ、こっちとしては金を使ってもらえるから、愛想がよかろうが、悪かろうがあんまり関係ないんだがね」
男「……」グビグビッ
酒場の主「そういや、兄ちゃん知ってるか? 戦時中の数々の逸話。たとえば、一個小隊でエルフたちの中隊を打ち破っただとかって話があるんだぜ。
兄ちゃんくらいの年なら志願兵として採用されていたかもしれないが、そんな貧弱な身体つきじゃ前線には出ていないか……」
男「……その話だけど」チラッ
酒場の主「お!? なんだ、興味があるのか? まあ、やっぱり男なら誰しもそういう経験をしてみたいよな。憧れるよな!」キラキラ
348 = 343 :
男「おい、ちょっとは人の話を聞いてくれ。その話だけどさ、正確には一個小隊じゃなくて分隊だよ」ボソッ
酒場の主「何言ってんだよ。どこでそんな話を聞いたのか知らないけれど、こっちは戦争に出た人間から聞いたんだ。大体分隊と中隊なら人数比が十倍も違うじゃないか。さすがにそれは話を盛りすぎだ……」
ソウダゼ、ソウダゼ ギャハハハ
男「……」スッ
酒場の主「おっ……?」
男「帰る……勘定を頼むよ」チャリンチャリン
酒場の主「なんだい、もう帰るのか。もっとゆっくりしていってもいいのに」
男「あいにく、今日は長居する気分でもないんだ。また来させてもらうよ」テクテク
酒場の主「あいよ。またよろしく頼むよ!」
349 = 343 :
……
…
男(酒場を出たものの、特にすることもないな。どうしようか、やっぱり旧エルフの元にでも行こうか……)
男(情けないな、僕は。こんなに引きずるくらいなら、最初から素直に自分の思いを伝えるんだったよ)
男(といっても、それも今となっては後の祭りか。後悔したところで旧エルフが帰ってくるわけない……)
テクテクテク
男(そういえば、僕あいつのこと何にも知らないんだな。好きなもの、嫌いなもの。何が楽しかったとか……)
男(あの部屋もあの日からずっと閉じたままだし。もし、開けたら彼女がいないことを改めて実感してしまうからってずっと開けないで……。未練たらたらじゃないか)
男(あの部屋を開けたら、また昔みたいに笑顔で彼女が迎えてくれるかもなんて夢見て、現実から逃げて)
男(旧エルフ……会いたいよ)
テクテク、テクテク
350 = 343 :
……
…
男(結局、ここに来ちゃったか……)
男「ごめん、また来ちゃったよ。こう何度も頻繁に来られちゃ迷惑かもしれないな」
男「でも、今の僕にはここが一番落ち着くんだ。街の中は騒がしくて、ちょっと……息苦しい」
男「戦争中にさ、家族が殺されて。それで復讐0ために軍に入って戦った。その時に仲間もできた、旧エルフも一度会ったことあると思うけれど、騎士がその一人だ。
他にもたくさんの仲間がいたけれど、大半は戦時中に死んだよ。軍を辞めて仲間と別れて、一人でこの街に来た。でも僕は心の奥底で一人ぼっちになるのが嫌で、色々な建前を並べて君を買い取った……。
だけど、結局僕はこうしてまた一人ぼっちになったよ。罰が下ったのかもしれないな。
正直……堪えるよ」
男「なんだか、愚痴ばっかりになっちゃったな。ほんとはもっと楽しい話を持ってくるはずだったんだけど……。ごめんな、こんな話ばっかりで。これじゃあ、余計心配かけるよね。
今日はそろそろ帰るとするよ……。それじゃあ、また)テクテク
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