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    元スレエルフ「……そ~っ」 男「こらっ!」

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    801 = 759 :

    アカウントは作った
    それで振り込みしようとしてよくわからなくなった
    それと今からバイトなのでコメント返事できなくなります

    802 = 781 :

    振り込みって楽天かどっかだっけ
    コンビニの機械でできるくね?

    803 = 796 :

    http://imepic.jp/20120330/777880

    >>1へのお礼っちゅーことで書いてみたが
    俺には無理だったみたいだ

    805 :

    やっと追いついた
    >>1早く帰って来てくれや…

    806 :

    1よ、マジで乙なんだぜ。今日も仕事疲れが癒されたぜ。

    807 :

    頭の中でのアウアウは
    なんかこんな感じで脳内再生された

    810 :

    >>807

    保存余裕でした。

    811 = 810 :

    保守

    今日は主まだこないんかな。。。

    812 :

    バイト終わった~。これで今日から少しの間休みだ~。
    というわけでまったり書いてきます。
    ちなみにモリタポは解決できてないので
    携帯からでの投稿です。
    イラストとやコメント、保守ありがとう!

    813 = 810 :

    >>812

    主お帰り!!待ってたよ!!

    814 = 812 :

    続き書こうと思ったらアステリズムの体験版でてるw
    姉好きとして作品チェックしてたからやりたい……
    だが、待ってくれた人のために我慢して続き書くよ!ビクン ビクン

    815 = 808 :

    >>814
    悪いな、けど続き頼むぜ!

    816 = 812 :

    ……



    「時間だ。みんな、準備はいい?」チラッ

    騎士「ああ、バッチリだ」ニコッ

    訓練生E・F「……」

    「それじゃあ、事前に説明しておいたように僕が囮になって相手を二人引き付ける。三人はその間に一人ずつ相手を撃破。何度も言うようだけど、必ず二人以上で相手と応戦して。
     その方が早く、確実に相手を仕留めることができるし、多少の力量差ならどうにかなるから……」

    騎士「わかったよ。二人ともそれでいいよな?」

    817 = 812 :

    訓練生E「わかった、わかった。ほら、もう時間だろ。集中しねーとな」ニヤニヤ

    訓練生F「そうそう。男がいれば模擬戦の成績は必然的にトップになるからな」ニヤニヤ

    「……そうだね。それじゃあ、始めようか」

    相手の姿が見えない森、摸擬戦の開始位置に男、騎士を含めた四人が立ち、しばらくすると戦闘開始の角笛の音が辺に響き渡った。

    騎士「……! スタートだっ!」

    「よし! それじゃあ、いくよ皆」タッ

    訓練生E・F「……」タッタッタッ

    男が一人先に進み、それに続くように騎士、訓練生の二人が続く。そこから騎士、訓練生が二手に別れ、男の左右にそれぞれ展開する。
     ジメジメとした空気が肌を撫でる。未だ姿を現さない相手に警戒しながら、四人は先へと進んでいく。
     森に存在する小動物の駆ける音を敵の足音と勘違いして緊張を高め、逆に自分たちが地面に落ちている小枝を踏み潰して相手に位置を悟られてないかと考える。

    818 = 812 :

     模擬戦が開始して半刻ほど経った頃。騎士、訓練生達の前を先行する男が不意に立ち止まり、合図を送る。

    (……見つけた。相手は一人、ほかの三人の姿は見えない。罠……かもしれないな)

    瞬時に次に取るべき行動の判断を脳内で下し、男は他のメンバーに指示を出す。

    (騎士と、僕で相手を撃破する。二人はそのままここで待機。もし、他の相手が出てくるようなら、タイミングを見計らって不意を付いてくれ)

    騎士(……了解)

    819 = 812 :

    (それじゃ、行くよ。三……二……一……今だっ!)ダッ!

    男が合図を送ると同時に、騎士と男が敵の一人の元へと駆け出す。騎士は腰に付けられた模造剣を鞘から抜き放ち、男は指で魔法紋を描いていく。

    「……! クソッ!」

     駆け抜けてくる男と騎士の姿を捉えた敵は即座に模造剣を抜き放ち、構える。己一人に対して同時に襲いかかる二人を見て、敵が判断した考えは単純な肉弾戦なら己よりも弱い男を相手にすることだった。

    「くらえっ!」ブンッ

    近づく男に対して模造剣を横一線になぎ払う敵。それに対して男は……。

    「甘いっ!」

    描いていた魔法紋を模造剣が己の体に叩きつけられる直前に完成させる。すると、なぎ払われた剣と男との間に地面を突き上げて石柱が現れ、その剣先を防いだ。

    820 = 812 :

    「――ッ~」ビリビリ

    突然現れた石柱に驚く暇もなく、勢い良く叩きつけた剣は石柱にぶつかった衝撃で敵の腕を痺れさせた。硬直する敵の隙を見逃さず、すかさず掌底を相手の顔面に男は叩きつけた。

    「カハッ!」ドンッ

    男の掌底によって後ろへと吹き飛ばされた敵。それに続くように騎士が追い打ちをかける。

    騎士「くらいやがれ!」ザッ

    模造剣の腹を起き上がった相手の腕に叩きつける。魔法を使う男と違い、騎士や敵は軽装の鎧を身につけているとはいえ、叩きつけられた剣の衝撃は凄まじく、先ほどの男の攻撃とは比べ物にならないほどの鈍い音が辺に響く。

     骨が折れた……とまではいかないものの、衝撃によって飛ばされ、起き上がろうとした敵の腕は力なく垂れ下がっていた。

    「……参った。俺はここでリタイアする」

    821 = 812 :

    敵の降伏宣言を聞くと、男たちは肩の力を抜いた。基本的に、この摸擬戦は相手の交戦の意思がなくなった場合と気絶しているのを確認した場合、リタイアという形になる。
    これを確認する術は本来外部の人間にはないが、己の敗北を素直に認めないでいるものは逆に恥知らずとして周りから責められることになるため、事後報告という形でも模擬戦がなりたっているのだ。

     さらに、万が一リタイアしたものが再び戦闘に参加するなどといった行為が認められた場合は重いペナルティーがチームメンバー全員に課せられるため、そんなことをするものは皆無なのだ。

    822 = 812 :

    今日はここまで! 明日からバイトないからのんびり書いてくよ!

    続きは書けないけど質問やリクエストあれば聞くよ~

    823 :

    今日初めてこのスレ見た人はこのスレタイからこんな熱い展開になるとは思いもしなかっただろうな…
    そして主は夜遅くまでお疲れ様です
    楽しんでるよ!

    824 = 812 :

    >>823
    そうだねw 自分でもこんな展開になるとは思わなかったwww

    楽しんでくれてありがとう!

    825 :

    おつんつん
    術+肉弾戦はいいな
    遠くから撃つだけが魔術師じゃないぜ

    826 = 812 :

    >>825
    魔術師だって肉弾戦するよ……人間だもの
    とまあこんな具合で専門は違うけど格闘も少しはできる男だよ!

    827 = 810 :

    主 乙!早く続きが見たいwww頭ん中が、続きの妄想だらけだぜ。

    828 = 812 :

    >>827
    続きを楽しみにしてくれてありがとう!
    妄想って大事だよね~。
    そんなあなたにさりげなく別の作品宣伝。
    本当はスレ埋まるあたりにで宣伝しようかと思ったけど……。大分進んだからいいよね!
    エルフは出てないけど、雰囲気は似てると思うからよかったら読んでみて!

    http://ncode.syosetu.com/n9695z/

    829 :

    >>804
    いろいろすっとばしてない?ww
    まずは文庫だな。絶対に買うぜ

    830 :

    毎日の楽しみ

    831 :

    本文の面白さも神レベルだけど、本文前の一言の破壊力も異常wwwwww

    832 :

    >>1
    おつんつん

    833 = 807 :

    835 = 812 :

    おはようございます。とりあえず今書いたぶんをあげて少し出かけてきます。

    「よし、まずは一人……」

    男が敵を倒して一息ついた瞬間、背後から叫び声が上がった。

    訓練生E・F「うわああああ~」

    驚き、振り返ると、そこにはわざとらしく地面に倒れ込む訓練生二人の姿があった。そして、その横には敵であり、元は男と模擬戦のメンバーを組んでいたうちの一人、訓練生Cの姿があった。

    「……え?」

    一瞬の出来事に、事態が把握できていなかった男だが、倒れこんだ二人の訓練生が浮かべた表情と彼らが告げた一言を聞いて、何が起こっているのかを理解した。

    訓練生E・F「参った……ギブアップだ」

    たいした怪我もなく、地面に倒れこんだとしか思えない二人が告げた敗北宣言。それに男、それに騎士の両方が驚く。だが、男はすぐに彼らがそんなことを口にした理由を思いついた。

    (なるほど……。つまり最初からあの二人はこうするつもりだったんだね)

    おそらくは、ミーティングの前、それから後に彼らは訓練生C達と密会していたのだろう。そして、その時に模擬戦が開始したあとの予定をそれぞれで立てていたのだろう。
     どうしてこんなことをするかという理由を問われれば、男自身に原因があるのだろう。男がそれまでとってきた態度が、彼らに模擬戦での勝敗以上に重要な“男を潰す”という共通の目的を与えたのだ。

    836 = 812 :


     摸擬戦ならば、多少の無茶をしてもペナルティーも課せられない。しかも、男以外の全員が口裏を合わせればどれだけ痛めつけたところで問題が起こるわけでもない。
     そう思ったからこそ、彼らは今こうして敗北宣言を告げ、ただ男を痛めつけるための摸擬戦を開始しようとしているのだろう。

    「……上等だよ。そんなくだらないことをこの場でしようっていうんなら相手になってやる」
    予想以上に彼らの行動が癪に障ったのか、男は知らず、歯を食いしばり、怒りを顕にしていた。その表情は普段からは想像できないほど険しいものとなっていた。

     さすがに、騎士も今の状況に気づいたが、当事者である男と違い、彼はまだ冷静だった。そして、この状況に呆れていた。

    騎士(くだらねえ……。なんだよ、これ。せっかくの模擬戦だってのに、男をリンチするためにみんな手を組んでんのか? これは俺たちが力をつけて人の役に立つための訓練だろうが。なのに、一人をいたぶるためにこんなことやるなんて、ぜってえおかしいだろ!)

    837 = 812 :

    怒りを胸に秘めながらも、落ち着いて周りを警戒する騎士。よく見れば訓練生Cから少し離れた位置に別の敵の気配を二つ感じた。

    騎士(クソッ! やっぱり罠だったか。ひとまず体制を整えるために一度撤退したいが、普段冷静な男が珍しく頭に血が上ってやがる。このままじゃ、ただいいようにやられちまうだけだ……)

    どうするべきか、騎士が迷っていると、それよりも早く男が動いた。

    「お前たちみたいな奴はな、死ぬほど吐き気がするんだよ!」ザッ

    魔法紋を描きながら訓練生Cの元へと走り出す男。当然、他に敵がいることに気づいた様子はない。そんな、彼をみて訓練生Cは不敵な笑みを浮かべる。

    騎士「……マズイっ! 男!」タッ!

    男を止めようとその背を追う騎士。だが、それよりも先に男が訓練生Cの前に到達する。魔法紋の完成まであと少しとなり、至近距離での魔法を発動させようとする。

    「くらいやがれ!」

    最後の一筆を描いて魔法を発動させようとした瞬間、訓練生Cの背後から不意をつくように別の敵が現れた。

    敵B「馬鹿な奴だな」ハッ

    突き出される棍棒。凄まじい勢いで迫るそれを不意をつかれた男は避けられるはずもなく、吸い込まれるようにしてその先端が男の腹部めがけて伸びていく。

    騎士「男おぉぉぉぉぉぉっ!」ドンッ

    だが、その先端が腹部に直撃する間際、駆け抜けてきた騎士が男を弾き飛ばし代わりにそれを受け止めた。

    騎士「……ぐっ!?」ゴロゴロ

    838 :

    私怨

    840 = 812 :

    帰りました! ただ、夜中に用事があるので今日はそれまでしか書けないです。

    苦悶の表情と共に吹き飛ばされる騎士。それに男、訓練生C、敵Bのそれぞれが驚き一瞬動きを止める。

    訓練生C「な、何出てきてるんだよ騎士。君だってもうこの状況がどんなものだかわかっただろ? それなのに、なんで、男のやつを庇うんだよ」

    「……騎士」タッ

    敵B「……」

    騎士「……っぁ。けほっ、けほっ。なんでかって? そんなのな……お前たちのやり方が気に入らねえからだよ! 確かに、男は周りに対して壁作ってるし、気に入らないところもあるかもしれない」

    訓練生C「そうだよ! 君だってよく分かっているじゃないか! そいつは一度痛い目を見ないと……」

    騎士「だけどな! 少なくともこいつは一度だって訓練に手を抜いたりしていない。他の奴がこいつを気に入らなくて手を抜いたとしても、その分こいつは他のやつの分も頑張ってちゃんと成果を出しているんだよ!

     それなのに、お前たちは自分が助けられていることも考えないで、一方的にこいつのことを悪者扱いしてよ。一人じゃ勝てないからって人数使ってきやがって……。俺はそういうやり方は気に入らねえんだよ!」

    訓練生C「そう……。君は男の味方なんだね。ならいいよ。たとえ教官に今回の件を告げられようと、僕たちがすることは変わらないから……」スッ
    騎士「! 男、逃げるぞ!」タッ

    「……わかった」
    タッタッタッ

    訓練生C「逃げられると思うのかい?」

    「逃げてみせるさ!」

    再び描き出した魔法紋はそれまでよりも早く完成し、敵の周りにいくつもの石柱を作り出す。行く手を阻まれた訓練生Cたちはどうにかその場から抜け出そうとする。

    騎士「……すげえ」

    「感心している暇はないよ。今のうちに早くっ!」ザッ

    騎士「お、おう!」タッタッ

    ……



    訓練生C「逃がした……か。まあ、いいや。時間はまだたっぷりある。せいぜい逃げ回って僕たちに狩られるのを待つんだな」クックックッ


    841 = 812 :

    ……



    「はぁ……はぁっ。どうにか、逃げ切ったか?」ゼーゼー

    騎士「……だな。にしてもこんなことになるなんてな……。たく、あいつらもひでえな」

    「……仕方ないさ。こんなことになっても仕方ないような態度を僕は日頃からとってきたんだから。それよりも騎士」

    騎士「ん? なんだ」

    「その……巻き込んでごめん。僕のせいでこんなことに。でも、今騎士が摸擬戦を投げ出せば、被害に遭うのは僕だけだから……。だから……」

    ポカッ

    「痛っ! ちょ、なんで急に殴るんだよ!」

    騎士「バカいってんじゃねえよ! なんで、俺がそんなことしなくちゃいけねーんだよ。そんなことしたら俺まであいつらと同類になるじゃねえか。さっきも言ったろ、俺はあいつらみたいに根性ねじ曲がってねえんだよ。じゃなきゃお前のことかばったりしねえよ!」

    「でも……」

    騎士「それに、お前俺に言ったろ? 命を賭けれるかって? それに俺はどう答えた? 命を賭けるって言ったろ。お前も俺に命を預けるって言ってくれただろ。こうなりゃ一蓮托生だ。力を合わせてこの状況を乗り切るしかねえよ」

    「騎士……」

    騎士「とにかく今はこの状況を打開する術を考えようぜ。ただでさえ相手は俺たちより人数が多いんだ。追われてる側じゃ不意をつくなんてこともできやしない」

    「ああ、わかった……」

    騎士「それじゃあ、作戦会議と行こうぜ!」

    842 = 812 :

    ……



    騎士「よし、これで行こう」

    「本当にいいの? はっきり言って半分賭けだよ。僕も発動させる成功率は半分くらいだ」

    騎士「そんだけありゃ、十分だ! あいつらの鼻を明かしてやろうぜ」

    「……騎士」

    騎士「まあ、俺も正直いえばビビってる。失敗すれば痛い目見るのは俺たちだからな。だけど、このままあいつらにやられっぱなしってのも癪に障るんだよ! だから、俺はお前を信じて動くし、お前も俺を信じてくれ」

    「……ああ、わかった。なあ、騎士ひとつ話したいことがあるんだけどいいか?」

    騎士「どうした?」

    「僕がさ、ここに来てからずっと人を避けてた理由。騎士になら話してもいいと思ってさ……」

    騎士「そりゃ、聞けるなら聞いてみたいな。いったいなんで、お前はかたくなに人を拒むのさ」

    「僕がこの育成所に入る前に戦場に何度か出てたって話は騎士も知ってるよね?」

    騎士「ああ、確か教官がそんなこと言ってたな。それが原因でお前とも口喧嘩したな」

    「その件については悪かったよ。僕も反省してる。それでさ、戦場に出てたって言っても僕は別段戦いに参加してたわけじゃないんだ」

    騎士「え? そうなのか」

    「うん、軍のある分隊の従者って形で一緒に行動させてもらってたんだ。魔法もその時にある人から少しだけ教わっていたんだ。だから、僕は人よりも少しだけ魔法がうまく使えるんだ」

    騎士「そうだったのか……。それで、それがどうして人との関わりを拒む理由になるんだ?」

    「僕もさ、騎士と同じように家族をエルフに殺されてるんだ。それで、復讐のため力を付けたくて軍に入ろうとした。でも、今よりもまだ幼くて、なんの取り柄もない僕を軍が入れるわけもなくてさ。毎日、毎日軍部の門の前で追い返されたんだ」

    騎士「……」

    843 = 812 :

    「そんなある日一人の女性が毎日門の前にいる僕を見て声をかけてくれたんだ。その人が分隊の隊長でさ、どうして毎日ここにいるのかって尋ねられて事情を説明したんだ。そうしたら、上に掛け合ってくれて僕をその分隊の従者として連れてくれることになったんだ」

    騎士「なるほどな。それで、そこからどうしたんだよ?」

    「それから僕はその人たちと幾つかの戦場を巡ったよ。エルフとも対峙した。もっとも僕はビビってなんにもできなかったんだけどね……」

    騎士「そうだったのか……。でも、その人たちと一緒にいたのならどうしたお前はここにいるんだよ?」

    「最初はさ、復讐のために力をつけたかったんだ。でも、あの人たちと一緒に行動しているうちにみんなの役に立ちたい! って思ったんだ。だから、魔法の勉強や特訓も一生懸命やった。楽しかった、魔法を覚えたことを報告するとよろこんでくれたみんながいたから……」

    騎士「……」

    「でも、そんな楽しい日々も長くは続かなかった。ある戦場に出たとき僕達の隊の倍はいる敵に囲まれたんだ。絶体絶命ってやつだね。でも、隊のなかでただ一人、僕だけが戦うには力不足だった。それどころか、自分の身を守るほどの力もなかったんだ。

     結局、みんなは僕を守るために戦って、ただ一人僕だけが生き延びることになった……」

    騎士「もしかして、それでお前ずっと自分の身を守る力が欲しいって……」

    844 :

    鳥肌立った

    845 = 812 :

    「そうだよ。自分の身を守る力もないのにでしゃばった結果がこれだ。大切だった人の命を奪うことしかできなかったんだよ、僕は。だから、力をつけたかったんだ。
     力もないのに、人と関わってその命が消えてくのを見るのはもう嫌だったから……。だから、僕は周りのみんなを拒み続けたんだ」

    騎士(なるほど、な。こいつの過去にそんなことがあっただなんて……。家族を殺されたってことは一緒でもそのあと親類に引き取られて穏やかに過ごしていた俺とは大違いだ……)


    「でも、それも間違いだったのかもしれない。そんなことをしても結局僕の周りにしか敵は生まれなかった。僕はまた、失敗したんだ……」

    ポカッ

    「なっ! なんでまた殴るんだよ!」

    騎士「お前が一人で勝手に納得してるからだよ! 何が敵しか生まれなかっただ! いるだろ、ここに。たとえ一人でもお前の味方がよ! ったく、さっき言ったこともう忘れたのかよ」

    「……ごめん」

    騎士「いいよ、もう。その代わり、この模擬戦終わったら一緒に飯くいに行こうぜ! この話の続きはそれからだ」

    「……ああ、そうだね」

    846 = 812 :

    ……



    訓練生C「さて、そろそろ探すのも飽きてきたな。いい加減この辺で幕引きといきたいんだけど、そろそろ姿を現してくれないかな!」

    敵B・C「……」

    「そうだね、僕もこんなくだらない争いはこの辺で終わりにしたい!」ザッ

    訓練生C「ふうん、ようやく逃げ回ることを諦めてくれたんだね。いい判断だと思うよ。もっとも、騎士の姿が見えないところから反抗する意思は残っているようだけどね」

    「反抗もなにも僕が負ける理由はどこにもないからね。卑怯なてしか使えないお前たちには一度灸を据えてやらないとと思ってさ」

    訓練生C「へ、減らず口を……。いいよ、そこまで言うのなら相手になってあげるよ。三体一でどこまで勝負になるか見ものだけどね」

    「かかってきなよ。君たちがいくら束になろうと僕は負けるつもりはないよ」

    訓練生C「……そうか。なら、お望み通りにねっ!」ザッ

    挑発する男に向かって一斉に駆け出す三人。訓練生Cは模造剣を抜刀し、敵Bは棍棒を構え、先ほど姿の見えなかった最後の敵Cは魔法紋を描きはじめる。迫り来る彼らに男は少しも臆することなく、彼らに対抗するために魔法紋を描いていく。

    「絡みとれ!」ブンッ

    素早く魔法紋を完成させた男が腕を払うと、近くにあった樹木の根がまるで生き物のように敵に襲いかかった。

    訓練生C「なるほど、これが奥の手ってわけか……。だけど!」ザッ

    襲いかかる木の根に対し、訓練生Cは即座に対応した。勢い良く剣を振り抜き、根を弾き、一直線に男の元へと走り抜ける。

    「くっ! やっぱりこれだけじゃ……」

    847 = 812 :

    焦る男を見て訓練生Cの表情が愉悦に染まっていく。勝利を確信し、男の腕めがけて全力で剣を振り抜く。

    訓練生C「これで……終わりだっ!」ブンッ

    迫る凶刃。それを防ぐ術もなく男は……。

    訓練生C「……なっ!」

    剣が直撃すると思っていた訓練生Cだったが、なんの見間違いか、彼の持っている剣は男の体をすり抜け宙を切り裂くのみだった。驚き、動揺する彼に“遠く”から男の声が聞こえる。

    「驚いた? 幻惑魔法の一つだよ。自分の姿を遠く離れた位置に映し出すっていうね。
     いや~見事に引っかかってくれて助かったよ。成功率も半分くらいしかなかったし、正直この魔法を使うのは賭けだったんだけど、うまくいったみたいだ」

    訓練生C「そん……な。いや、確かに引っかかったけどこっちにはまだ二人仲間がいる!」

    「それって後ろで気絶してる二人のこと? 悪いけど木の根で動きを封じた後に騎士に倒してもらったよ」

    訓練生C「なっ!?」

    男の言葉を聞いて慌てて訓練生Cが振り返ると、そこには彼の言うとおり木の根に身体を巻かれて気絶している二人の仲間の姿があった。

    訓練生C「こんな……嘘だ!」

    「残念ながら、嘘でも何でもないよ。君の負けだ。僕と騎士二人を相手にしてまだ勝てるって言うんなら続けてもいいよ」

    見ればいつの間にか訓練生Cの視線の先に男が現れていた。そして、背後からも剣を持った騎士の姿がある。

    訓練生C「ちく……しょう」

    敗北を悟ったのか、持っていた剣を落とし、その場に力なくうなだれる訓練生C。そして、悔しさを滲ませながら彼は負けを認める言葉をつぶやいた。

    訓練生C「僕の……負けだ」

    こうして、男と騎士が初めて力を合わせて戦った模擬戦は終わりを告げたのだった。

    848 = 812 :

    ……



    「と、まあ。こんな具合に僕と騎士は仲悪かったんだけどその摸擬戦を経て交流を深めるようになったんだ。僕の昔についてはまあ、語ったとおりさ」

    騎士「そうだったのか。お前にそんな過去があったなんてな……」グスッ

    「あ、あれ? 女騎士、もしかして泣いてる?」

    騎士「な、泣いてなんかない! これは、そう。ちょっと垂れただけだ!」グスグス

    騎士「まあ、そういうことにしておいてやろうぜ、男」

    「僕は何でもいいけどさ……」

    魔法使い「……」

    「それで、女魔法使い。どうだった、聞いてみた感想としては?」

    魔法使い「……ぇい」

    「うん?」

    魔法使い「先生、私感動しました! そんな過去があったのに、今こうしてたくましく生きている先生は立派です。一生ついていきます!」グイグイ

    「ちょ、あんまり近寄らないでって。あ~もう、こんな風になるなら話さなければよかったよ」

    騎士「いいじゃねえか。それだけ、お前のことを慕ってくれてるんだからさ」

    「まあ、悪い気はしないんだけどさ。女魔法使いにはもう少し他のことに目を向けてもらいたいんだよね……」

    騎士「大変だな、お前も」

    「まあね。でも、悪くない気分だよ。もう、昔と違うからね」

    騎士「だったら戻ってこいよここに。戦争が終わってからはお前も思うところがあって一人になったかもしれないけれどさ、今もお前のことを待っている仲間はここにいるんだぜ」

    「……そうだね。でも、今の僕には帰るべき場所があるから」

    騎士「そう……か。まあ、気が変わったらいつでも戻ってこい。俺たちはずっとお前を待ってる」

    「ああ」

     かけがえのない仲間たち。たとえ長い間離れ離れになっていても、彼らの育んだ絆は消えない。

    エルフ「……そ~っ」男「こらっ!」 before days 男と騎士の始まり ――完――

    849 :

    乙!
    訓練生Cはその後きちんと反省したのだろうか

    850 = 812 :

    >>849
    反省したよ! 内心どう思ってるかは別としてね! あいつらには手を出さないでおこうとは思ったんじゃないかなw


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