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    元スレフレンダ「し、死にたくない……」QB「それが君の願いだね?」

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    スレッド評価: スレッド評価について
    みんなの評価 : ★★
    タグ : - とある魔術の禁書目録 + - アイテム + - フレンダ + - 外野が厨房 + - 魔法少女まどか☆マギカ + - 麦野 + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    1 :

    2 :

    うーん

    3 = 1 :

    もう一回頑張る

    4 = 1 :

     フレンダは逃げ疲れていた。

     壁に背を持たれて座り込み、息を荒く吐き出しているだけ。もう何もできなかった。

     足はもう動かない。逃げて逃げて、逃げ続けて、もう心臓も足も、壊れそうなくらい疲労している。

     どこかで爆音が響く。あのレベル5の、絶対的な力が脳裏を過ぎる。
     そして、その力は、今は自分を殺すために向けられているのだとわかって、さらに体が震える。

     怖い。怖ろしい。殺される。

    フレンダ「嫌だ……嫌だ……死にたくない……」

     絞り出すように、誰へとなんて意識せずに懇願する。また、爆音が響いた。

    フレンダ「誰か……助けて……」

     助けになんて、誰も来るはずがない。わかってる。でも、言わずにはいられない。爆音が響いた。

    フレンダ「助けて……助けて……」

     ただただ、壊れたレコードのように、同じ言葉を繰り返す。意味なんてないのはわかってた。

    「呼んだかい?」

     すると、その場に似合わない、明るい声が横から答えた。

    フレンダ「ひっ……」

     驚いたフレンダは横に転がるようにして、後ずさる。だが、すぐにそれは、フレンダの恐れてるモノではないとわかった。

    5 = 1 :

    「酷いなあ、これでも愛らしい姿をしていると自負しているんだけど」

     それは白かった。真っ赤な目をした、ウサギのような、猫のような、少なくとも、フレンダの見たことのない生物であることは確かだった。

    フレンダ「誰……?」

     恐る恐る、聞いてみる。人語を話してるせいか、思わず、何、ではなく、誰と聞いてしまった。

    QB「僕はキュゥべえ! 君のような素質のある女の子を探していたんだ」

     果たして、それは正解だったらしい。それは、キュゥべえは確かに日本語で返答してきた。

    フレンダ「素質……?」

    QB「そう、素質。魔法少女の素質さ。僕は君たちと契約して魔法少女になってもらいたくて、ずっと素質のある女の子を探してるんだ」

    QB「もちろん、ただで、とは言わないよ? 魔法少女になってくれたら、なんでも願いを一つ、叶えることができるのさ」

    フレンダ「何でも……?」

     思わず、フレンダは復唱した。その言葉は、酷く魅力的だった。

    QB「そう、なんでもさ。大抵のことは可能だよ」

    「フゥゥゥゥレェェェンンンダァァァァ? どぉーこに隠れちゃったのかにゃー?」

    フレンダ「ひぃっ!」

     その時、地獄の底から響くような、悪意と殺意と恐怖を練り固めたような声が響いた。

    6 = 1 :

    フレンダ「し、死にたくない……」

     反射的に、声が出る。

    QB「それが君の願いだね?」

     それに、キュゥべえが答えた。

    フレンダ「死にたくない……死にたくない! 魔法少女でもなんでもいい、私は死にたくないっ!」

     欲望を、感情を、願望を、フレンダは無表情のキュゥべえに向けて一気に吐き出す。

     突拍子もない話なのに、信じたかった。もう藁にも縋る気持ちだった。

    QB「よし、契約成立だ」

     その気持ちにキュゥべえは快活に答えた。

     キュゥべえの耳の辺りから伸びる触手のような器官が、フレンダの胸元へ伸びる。

     すると、フレンダの胸元から光が溢れ、そこに球体が形成されようと――

    フレンダ「えっ?」

     その瞬間、真っ白の閃光がフレンダの視界を焼き尽くした。

    7 = 1 :

    フレンダ「きゅ、キュゥべえ!?」

     キュゥべえと名乗る最後の希望がその激しすぎる光に飲み込まれたという事実を遅れて認識し、遅れて慌てる。

     だが、どこを見渡しても、キュゥべえの姿はない。

     当然だ。あの光、粒子でも波形でもない曖昧な電子の奔流に飲み込まれて生きてるわけがない。跡形が残ってるわけがない。

     見れば、フレンダが背中を預けていた壁、ビルに大きな穴が空いていた。つまり、ビルごと貫通した光が、キュゥべえを焼き尽くしたということになる。

     こんなことができるのは、当然、一人しかいない。

    「見ぃーつけた」

     その一人が、白い光を纏った悪魔が、穴から顔を出した。

    「ったく、手間かけさせやがって。さっさと殺されてろっての」

    フレンダ「え……あ……」

     もう逃げられない。腰が抜けて、立ち上がることすらできない。必死に、手だけで這って逃げようとするが、一歩で追いつかれた。

    「でも、この私からここまで逃げたってことは評価してやろうかしらね。よし、提案。その小憎たらしい顔と、フレンダご自慢の脚線美の、どっちを吹き飛ばしてほしいか、選ばせてあげる」

     悪魔がにこりと笑う。フレンダはそれだけで限界だった。

    8 :

    フレンダスレとは俺得

    9 = 1 :

    「あーん? なんだなんだ、フレンダったら濡れ濡れじゃない。それじゃ決定ね。
     そのビッチな下半身に『原子崩し』をプレゼントだ」

     悪魔が手をかざす。意思一つで軍隊に匹敵する力を持った手をかざす。

    フレンダ「ゆ、許して……」

    「は……? アハハハハハハハハ!」

    フレンダ「む、麦野……?」

     突然笑い出した、仲間に、フレンダは少し安堵を覚えた。なんだかんだで、仲間なのだ。きっと、精一杯謝れば以前みたいに……

    麦野「絶対に、許さない」

     そんな淡い希望は一瞬で打ち砕かれた。

     フレンダの記憶は、そこまでだった。

    11 = 1 :

    ――
    フレンダ「……あれ?」

     フレンダが目を覚ますと、そこは天井があった。つまり、屋内だった。

    フレンダ「ここは……」

     辺りを見渡す。現状確認をすると、自分はベッドに寝かされていたようだった。

     真っ白なシーツに真っ白なベッド。そして、真っ白なカーテン。病院のようだった。

    フレンダ「あれ……私ってば、どうしたんだっけ……」

     記憶を掘り返す。フレンダは、垣根帝督に追い詰められて保身のために、仲間の、『アイテム』の情報を売った。

     その場は逃がしてもらったのはよかったが、それが『アイテム』のリーダー、麦野にバレて、粛正を受けるところを逃げて。

     そして、殺されたはずだった。

     しかし、フレンダは、生きてる実感があった。

    フレンダ「まさかここが天国ってわけ……?」

    「いや、ここは僕の戦場であり、休息所だよ?」

     ふと、呟くと、どこからともなく、答えが返ってきた。

    「おはよう、気がついたようだね?」

    12 = 1 :

     それは、医者だった。初老の男性で、白衣を着てるのだから、やはり医者だろう。

    フレンダ「ゲコ太……」

     思わず口走ってしまうくらいの、強烈な印象は、それだった。カエルのような顔をした医者だった。

    「ん?」

    フレンダ「な、なんでもないわけよ」

     しかも聞こえていたらしい。失礼そうなので、フレンダは慌てて取り繕った。

    「そうかい? しかし、驚いたよ? 君は腰から下がまるまる無くなっていたというのに、肉体的に生きてたんだ。しかも徐々に再生していってね?
     君は『肉体再生』の能力者か何かかい?」

    フレンダ「えっ……」

     そんなはずはない。フレンダは、正真正銘の、正常の人間のはずだった。

    「お陰で処置は簡単だったよ? ほとんど手を加える必要もなかったね?」

    「それでも、体は回復しても、精神的なダメージが深刻なようでね……この一ヶ月、眠り続けていたんだよ?
     まあ、あれでも生きてたってことは、下半身を生きたまま焼かれたということになるから当然だろうけどね?」

    フレンダ「ひぅ……」

     記憶が呼び覚まされる。あの電子に焼かれる悪夢のような記憶が。

    「ああ、すまないね、辛いことを思い出させてしまったね?
     でも大丈夫、目を覚ましたのなら、もう検査だけで、退院できると思うよ?」

    13 = 1 :

    フレンダ「生きてる……んだよね」

     右手を見つめて、握って、開いて、握って。

     結局、検査が終わった後、フレンダは退院した。今はとりあえず昼食を取ろうと、ファーストフード店に来ていたところだ。

     学園都市はどうも慌ただしい。店内の会話に耳を傾ければ、何やら第三次世界大戦が終わったとかなんとか、そんな話を誰もがしていた。

     どうやら眠っていた一ヶ月の間に色んなことがあったらしい。情報を入手する手段を持たないフレンダには、まるで異郷の地へと放り出されたような感覚だった。

     護身のために一応武器は調達したが、暗部の方には連絡する気はない。生きてると麦野に知られれば、また粛正されようとするのは目に見えている。

    フレンダ「はぁ……結局、これからどうすればいいってわけよ」

    QB「魔法少女として戦うしかないんじゃないかな」

     溜息を吐きながらフライドポテトを食べていると、不意に声を掛けられた。

    QB「やぁフレンダ、目が覚めたんだね」

    フレンダ「きゅ、キュゥべえ! 生きてたんだ!」

     見ると、テーブルの上に、フレンダに取引を持ちかけた、あの白い生物キュゥべえがいるではないか。
     フレンダにとって、これは僥倖だった。仲間も、知り合いからも断絶されたフレンダの、唯一の顔見知りとも言える相手だったからだ。

    QB「く、苦しいよフレンダ」

    フレンダ「あ、ごめん」

     感激のあまり、思わずキュゥべえを抱きしめていたフレンダだったが、言われて解放する。

    14 = 1 :

    QB「ふぅ、わけがわからないよ」

     解放されたキュゥべえは毛繕いをするように前足で自分の顔を撫でる。

    フレンダ「それで……結局、魔法少女ってどういうわけなのよ?」

    QB「あの時は切羽詰まっていたみたいだからね、説明は省略したけども……君は生き残りたいと願って、その願いは叶った。その代償として君は魔法少女として魔女と戦う義務が課せられたんだ」

    フレンダ「ちょ、ちょっと待って。願いってなんだったわけよ、魔女ってなによ」

    QB「君は生き残りたいと願ったのだろう? だから本来は死ぬはずのあの怪我でも、生き残ることができたんだ。つまり、願いが叶ったってことだね」

    QB「魔女は、人に呪いと災いをもたらす存在さ。そして、魔法少女が退治するべき敵でもある」

    フレンダ「そんなファンタジックな……」

     信じられない、そんなような口調で呟いて、フレンダはストローを咥える。

    フレンダ「いや、私が今ここで生きてること自体がファンタジックか……」

     しかし、すぐに思い直す。そう、思い返せば、あの状況から生き残れるわけがないのだ。

    フレンダ「魔法、か……この科学の街でそんなものがあるなんてね」

    QB「わかってもらえたなら助かるよ」

     キュゥべえは毛繕いが終わったらしい。ポテトを勝手に食べ始めていた。

    15 = 1 :

    フレンダ「それで、結局魔女と戦うってどうすればいいわけ?」

     ファーストフード店で食事を終えた一人と一匹は、秋空の街を歩く。

    QB「基本的に、ソウルジェムを使って探すって方針かな?」

    フレンダ「ソウルジェム?」

    QB「ほら、君の左手についてる指輪があるだろう?」

    フレンダ「いつの間に……」

     言われて気がついたが、よく見れば左手の中指にいつの間にか身に覚えのない指輪が嵌められていた。

    QB「そこからソウルジェムを出すんだ。感覚としてわかってるはずだよ」

    フレンダ「むむむ……こうかな?」

     フレンダが軽く念じると、左手の中に何かが生まれた。

     それは、卵のような形をした宝石らしきもの中心に埋め込まれ、その周囲を骨組みで囲われ、下を台座で支えられ、頂きにアクセントを添えられた外見をしていた。
     宝石のように見える部分は仄かに黄色の光を放っている。

    QB「それがソウルジェムさ」

    フレンダ「へぇ……綺麗ね」

    QB「大事にしておくれよ? それは君たちの分身と言っても過言じゃないくらい大切なものだからね」

    16 = 1 :

    QB「さあ次はそれの光に注目するんだ」

    QB「ほら、歩く度に光が強くなっているのがわかるだろう? ちょうどこの先に魔女がいるみたいだ。
      魔女のような、魔力の強い存在がいると、それに反応してソウルジェムが光るのさ」

    QB「基本的に、それを目印にして魔女を捜し出し、退治するっていうのが方針かな?」

    フレンダ「……なんか、意外と地味」

    QB「現実というのは往々にしてそんなものだよ、フレンダ」

    フレンダ「魔法なんて言ってる時点で現実も糞もないと思うんだけどなあ」

    QB「魔法も、魔術も、現実には確固として存在するものだよ」

    フレンダ「まあ、だから結局私も生きてるってわけなんだけどね」

     ふと、フレンダが立ち止まる。

    QB「どうしたんだい?」

    フレンダ「私ってば、本当は死んでたわけよね?」

    QB「そうだね。あそこで僕と契約しなければ君は間違いなく、肉体的な死を迎えていただろうね」

    フレンダ「つまり、これは私の第二の人生というわけね」

    QB「うーん、ずっと生きてるから第一も第二もないと思うのだけど、君たちがそう思うならそうなんだろうね。君たち人間の考えることはよくわからないや」

    フレンダ「……よし、決めた!」

    17 = 1 :

    フレンダ「人に災いと呪いをもたらす魔女? そんなブッソーなもんはこのフレンダちゃんがぶっ倒してやるってわけよ!」

    フレンダ「暗部で働いてたのも今は昔! 心を入れ替えて、正義の魔法少女として頑張っちゃうわけよ!」

    フレンダ「誰もが小さい頃から憧れる魔法少女……それが私ならやらない理由はないっしょ!」

     おー、とフレンダはソウルジェムを握った右手を強く天に突き出す。

    QB「……一応補足しておくけど、僕は普通の人には見えないから、今のフレンダはとても奇妙な人として注目されてるんじゃないかな?」

    フレンダ「えっ」

    18 = 1 :

    ――
    フレンダ「ここが魔女の根城ってわけね……」

     スキルアウトが闊歩していそうな、裏路地を進むこと十数分、フレンダは一際ソウルジェムが反応する場所に辿り着いた。

     そこは人気のない倉庫だった。窓は割れて荒れ放題、壁には恐らくスキルアウトがしたであろう落書きで満載。

     明らかに使われていない、廃倉庫のようであった。

    フレンダ「さて、突入と」

    QB「その前に変身しておいた方がいいんじゃないかな?」

    フレンダ「へ、変身?」

    QB「魔法少女としての戦闘モードに切り替えることだよ。そのまま戦うのは些か面倒だからね」

    フレンダ「変身まであるなんて……いよいよ魔法少女ってわけね……!」

     フレンダがソウルジェムを握って、変身後の自分をイメージする。誰に教えられたわけでもないが、変身の方法はなぜか理解していた。

    フレンダ「おおっ! 本当に変身できた!」

     変身した自分の全身を確認して、興奮するフレンダ。

    フレンダ「すごいすごい! 本当に魔法少女ってわけよ!」

    QB「喜ぶのはいいけど、まずは魔女退治が先決じゃないかな?」

    フレンダ「わかってるってわけよ。それじゃ、とつにゅー!」

    19 = 1 :

     倉庫へ入ると、そこは異世界のような空間が広がっていた。

     倉庫に入ったはずなのに、そこは倉庫ではまるでなく、奥に扉の鎮座する、子供の部屋のよう。

     そして中空を舞う人形、人形。そして人形。しかもそれらはだまし絵のような形をして、現実では絶対にあり得ない形をしていた。

     フレンダが入ったことに人形たちは気付く。動かないはずの顔が動き、全員が全員、笑ったような顔になる。

    フレンダ「うぇっ……なんだこれ」

     あまりの壮絶な非現実感に、フレンダは苦い顔をした。

    QB「これは使い魔だね。魔女の手下さ。本体の魔女はこの奥にいるんじゃないかな」

    フレンダ「そういう意味じゃないんだけどね……よっしゃ、じゃあいっそやりますか!」

    QB「じゃあまずは魔法少女としての武器を――」

     キュゥべえの言葉を最後まで聞かずに、フレンダは使い魔の群れへと突っ込む。

    QB「ああ、もう」

     説明を聞かずに飛び出したフレンダに、キュゥべえは溜息を吐いた。

     当然だ。さすがに魔法少女として身体能力は強化されていても、それだけでは魔法少女になったばかりの少女が使い魔には勝てるわけがなかったのだ。

     だが、キュゥべえの予想は外れる。

    20 = 1 :

    フレンダ「ひゃっほう!」

     銃声が何発も響き、人形たちの体が砕かれていく。

     フレンダの両手には拳銃が握られていた。そこから吐き出される銃弾は寸分違わず、全て人形に命中している。

     とても人間業ではなかった。

    フレンダ「体軽っ! これが魔法少女パワーってわけ!? すごい!」

     銃の反動など、存在しないように玩具の人形を撃ち抜くその銃こそ、玩具のように見えるほど。

     弾倉が空になると、フレンダはマガジンを捨て、服の中からさらにマガジンを取り出し、弾を補充する。

     さらに撃ち抜かれること数体、小さな人形では歯が立たないことを使い魔たちが理解したのか、十数体の人形が一つに集まる。

     するとそれらはまるで粘土のように混ざり合い、一つの巨大な人形へと変貌する。

     しかしフレンダは焦ることはない。銃を躊躇いもなく捨て、服の中から、手品のように新たな武器を取り出す。小型ミサイルだ。

     発射されたそれは巨大な人形という巨大な的に見事、命中し、爆発。

     二分も掛からない内に、夥しい量の人形たちは全て撃墜され、跡形もなく消え去っていた。

    QB「僕の話をもう少しゆっくり聞いてくれると嬉しいんだけどな」

    フレンダ「結局、使い慣れた武器が一番ってわけよ」

    フレンダ「さてと、次行くわけよ」

    21 :

    15分目を離したすきに落ちてた
    これが3連休の恐ろしさよ

    22 = 1 :

     その後もフレンダの快進撃は続いた。

     扉を開けると同じような子供部屋がその奥に続いており、さらに人形が同じように存在する。

     しかしフレンダの相手にはならなかった。

     その人形たち、つまりは使い魔たちは全て近代兵器の前にひれ伏し、誰もフレンダを止めることはできなかった。

     かと、思われた。

    フレンダ「はぁはぁ……どこまで続いてるわけよこれ……」

     もうどれだけ進んだだろうか。どんなに進んでも、一向に目的の魔女にはたどり着けない。

     フレンダの装備はもちろん有限で、もう拳銃のマガジン一つしか残っていなかった。

    フレンダ「やばっ……弾切れ……」

     そして、それも尽きる。

     人形が、三日月のように裂けた口を大きく開けて、武器の尽きたフレンダを食らわんと肉薄する。

     それに反応してフレンダは靴の踵からナイフを出す。そのまま踵落としを食らわせ、人形は沈黙。塵になる。

    QB「フレンダ!」

     その時、キュゥべえが叫んだ。

     見上げるとそこには、天井に蜘蛛の巣を張り、その中央に座した巨大な蜘蛛の怪物のようなモノがいた。

    23 :

    面白支援

    24 = 1 :

    QB「あれが魔女だ!」

    フレンダ「くっ……!」

     キュゥべえが二言目を叫ぶと同時に、その蜘蛛は極太の糸を吐き出す。間一髪、フレンダはそれを避ける。

    フレンダ「なるほどね、獲物が弱るのを待ってたってわけ……!」

     二撃目、三撃目と続いて、極太の糸が吐き出される。フレンダは必死に避ける。

     だが、すぐにフレンダは気がついた。避けて避けて、避ける先には子供部屋の角があることに。

     つまり、誘導されていたのだ。

     そしてそれに気がついて、気がついたからこそ、動揺し、反応が遅れる。

     今度の糸は、避けられなかった。

    フレンダ「あうっ!」

     その糸はやはりというか、粘着性を持っているらしく、思わず左腕で防いだはいいが、そのまま一本釣りのように引っ張られる。

    フレンダ(結局、私はこうなる運命ってわけ……!?)

    25 = 1 :

     その時、フレンダの脳裏にキュゥべえの言葉が過ぎる。

    フレンダ「そうだ、武器、武器!」

     思い出して、イメージ。右手に何かが生まれた感触があった。

     見ると、それはナイフだ。しかもただのナイフではなく、サバイバルナイフだ。

    フレンダ「なるほど、生き残るだけにサバイバルナイフねー、ってこれでどうやって戦えっていうわけよー!」

     そんなことをしてる間にも、さらに引っ張られる。物理的に考えれば、フレンダの体重からすればもう体が浮き始めているほどの力だったが、魔法パワーか、フレンダはまだ踏ん張ることができた。

    フレンダ「こなくそっ!」

     とりあえず、この糸を切らなければ状況は変わらない。

     手にしたサバイバルナイフを思い切り糸に振り下ろすと、ブチブチという、まるで血管を人間の筋をまとめて切り裂くような、気持ち悪い手応えがあった。

     糸は綺麗に切れたらしく、フレンダは自由を取り戻す。

    フレンダ「切れ味はいいみたいだけど……こんなのじゃ攻撃できないってわけうわっと」

     再び、糸による攻撃。今度は避ける。

    フレンダ「……いや、もしかして」

    26 = 1 :

     ふと、フレンダは思いついたように、意識を集中させる。そしてイメージする。
     思い描くのは、大量の、ナイフ。
     手応えは、確かにあった。

     見れば両手にナイフが四本ずつ、計八本、指の間に出現していた。

    フレンダ「なるほど、こういう使い方ってわけね!」

     合点がいったように、フレンダはそれを投げる。

     勢いは、人間のものではなかった。魔法によって強化された筋肉が、強力な投擲を可能にしていた。

     ナイフは全て蜘蛛の魔女に命中した。蜘蛛の魔女がつんざくような悲鳴をあげる。

    フレンダ「まだまだ、終わらないってわけよ!」

     フレンダは構わず、ナイフをさらに手中に出現させると投げる。そしてさらに投げる。
     目にも止まらぬスピードで大量のナイフを投げ続け、まるで機関銃のような威力を発揮した。

     ほどなくして、魔女の体は崩壊する。異世界のような空間だった倉庫が、元の廃倉庫の景色へと戻る。

     黒い何かが地面に落ち、コーンという、小気味の良い音を立てた。

    フレンダ「た、倒した……?」

    QB「危なかったね、冷や冷やしたよ」

    フレンダ「ま、天才美少女魔法戦士フレンダちゃんにかかればこんなもんよ」

    QB「魔法戦士じゃなくて魔法少女だけどね」

    27 = 1 :

    ――
     シャクシャクと、気味の良い音がする。林檎を囓る音だ。

    QB「まさか君が来てくれるとはね。学園都市と言うだけで、ほとんどの魔法少女は近寄ろうとしないのに」

     少女が、キュゥべえの隣で林檎を囓っていた。もう片手には、袋に一杯の林檎が詰め込まれている。

    「当然じゃん? グリーフシードがたんまり手に入るって聞いて、来ないわけないっしょ」

     その少女は芯だけ残すと、その芯をポイと投げ捨て、袋から新たに林檎を取り出す。

    「ま、それに学園都市にはちょっと野暮用があるしね……」

     言いながら、少女は手元にある林檎へと視線を落とした。

    QB「野暮用?」

    「アンタには関係ないことさ。

     ――食うかい?」

     そう言って、少女はキュゥべえに林檎を差し出す。

    QB「一つだけいただくよ、佐倉杏子」

    28 = 1 :

    ――
    フレンダ「これで、とどめ!」

     フレンダがナイフを投げる。するとそれは足の付いた蛇のようなモノ、魔女に直撃。

     魔女はほどなくして姿を維持できなくなり、崩壊した。

    フレンダ「ふぅ……」

     結界も崩壊し、通常の風景、病院に戻ってフレンダは安堵の息を吐く。

    QB「大分手慣れてきたね。あのクラスの魔女も簡単に倒せるなんて、凄い成長スピードだよ」

     どこからともなく現れたキュゥべえがフレンダの肩に乗る。

    フレンダ「何をっ! 私は最初から強いってわけよ」

    QB「最初は危なっかしくて見てられなかったけどね」

    フレンダ「結局、最初は慣れてなかっただけってわけよ」

    QB「だからそう言ってるじゃないか」

    フレンダ「むぅ……」

     言い返せなくなって、フレンダは視線を落とす。

     すると、ソウルジェムが反応を示していることに気がついた。

    QB「どうやら、また魔女が出現したようだね」

    30 = 1 :

    QB「これは、割と遠いね」

     すたっと地面に降りて、ソウルジェムの点滅を見上げて、キュゥべえが言う。

    フレンダ「でも、魔女がいるなら行くしかないってわけよ。それが私の使命っ!」

    QB「いや多分、そっちの方面は大じょ……ああ、行っちゃった」

     すぐさま魔法少女に変身したフレンダは、強化された身体能力でキュゥべえの言葉を聞かずに飛び出していく。

     キュゥべえは軽く溜息を吐くと、ゆっくりと、そのフレンダの後を追っていった。



    「あれは……フレンダなのか……?」

     それを、物陰から見ている人間がいたことには、二人とも、気がつかなかった。

    31 :

    さっきの落ちたのか
    >>92から先見損ねた

    32 = 1 :

    杏子「鬱陶しい!」

     佐倉杏子が槍を大きく振るう。すると蛾のように杏子の周りに集まっていた蝶の姿をした使い魔が蜘蛛の子を散らすように、散開した。

     魔女は目前。繭に籠もった姿をした魔女で、どうやらあれが本体らしい。

     近づくと先ほどの蝶の使い魔が大量に押し寄せて、近づけない。

     杏子の武器は槍であるため、戦いづらいことこの上ない。

     恐らく、魔女側も、それを見抜いてこその作戦なのだろう。

    杏子「だけど、甘いんだよな」

     にやりと杏子は笑う。

     槍を握る手に力を籠める。

     イメージする、槍の変形する姿を。多節棍としての槍を。

     そして、それを振るおうと、その時になって、

    フレンダ「せいやっ!」

     数えるのも億劫なほどの大量のナイフが繭の魔女に降り注いだ。

    33 :

    俺が保守しなかったばっかりに…
    >>1ガンガレ

    34 :

    いや曜日だとか時間帯はほとんど関係ないから

    魅力あって興味引けるssなら丸2日放置でもギャラリーが保守するし
    魅力なくて興味引けないssならクロスでも安価出してもdat落ちするし
    建て直してやり直すとかねーよ
    そのままPCの中で永久に寝かせとけ

    35 :

    えっ・・・●買ったのにバーボンなるのかよ・・・

    36 = 31 :

    SS速報行けば?
    あっちならのんびりやれるぞ

    38 :

    はーい
    素敵なss書き1名様ごあんなーい

    SS速報VIP
    http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/

    39 :

    てすと

    40 = 39 :

    書けた。続き貼る

    >>36,38
    すまん、SS速報は好きじゃないんだ

    42 = 39 :

    杏子「……は?」

     魔女は悲鳴をあげる暇すらなく、崩壊する。結界も次いで崩壊する。

    フレンダ「いやー、私ってばやっぱり才能あるじゃないかな。大丈夫?」

     呑気な声と共に、闖入者が姿を現した。フレンダだ。

    杏子「何しやがんだおい」

     剣呑な空気を漂わせて、睨み、杏子は言う。

    フレンダ「えっ……なんかちょうどいい位置にいたからやっちゃおうかなっと」

     怒られたのが意外な風にフレンダは答えた。

    杏子「そういうことじゃねえよ。あたしが戦ってるのが見えなかったのか?」

     カシャリと、杏子は槍を持ち上げて、穂先をフレンダへと突き付ける。

    フレンダ「そ、そんなに怒らなくてもっ……どうせ魔女を倒すならお互い倒せる時に倒した方がいいってわけよ。
          それで助かる人は変わらないんだからさ」

     慌てて、フレンダは弁解する。

    43 = 31 :

    >>41
    俺がちょうど見損ねたところで切れてるな

    44 = 39 :

    >>41
    一応貼り始めちゃったし、最後まで貼るよ
    外部サイトだと対応してない専ブラだと見づらいだろうし

    45 = 39 :

    杏子「何を寝ぼけたことを言ってやがる。
       ……いや、なるほど。あんた新人か」

     杏子の声が若干、穏やかになるのをフレンダは感じた。

    フレンダ「新人は新人でも、期待の天才新人ってわけよ」

     空気が落ち着いたところで、ふふんと自慢げにない胸を反らすフレンダ。

    杏子「何か勘違いしてるようだけどな……」

     呆れた風に言いながら、杏子は槍を下ろす。

    杏子「魔法少女ってのは慈善事業じゃあないんだ。生きるために必要なグリーフシードを集めるために戦ってるに過ぎないんだよ。
       そこで、実力もないくせに変なお節介なんて焼いてると後悔するのはあんただよ」

    フレンダ「何をぅ……」

    杏子「人助けのために魔女を倒す? 努力目標としては結構結構。だけどな、そんな甘ったれた気持ちで、子供の夢物語みたいなことやってたら――
       いつか死ぬぞ?」

    杏子「食物連鎖って知ってるか? 学校で、小学生でも習う簡単な自然の摂理さ。
       弱い人間を魔女が、使い魔が食う。成長した使い魔や、魔女を食べて、あたしたちがいる。ただそれだけのことさ」

    46 = 39 :

    フレンダ「まさか……アンタ、グリーフシードのためだけに戦って、グリーフシードのためにならないことはするなって言いたいわけ?
          例えば、使い魔に人が襲われても、見殺しにするとか、そういうわけ?」

    杏子「理解が早いじゃないか。当然っしょ。誰でも得にならないことはしないしない」

    フレンダ「……どうやら私とアンタは気が合わないみたいね」

     フレンダの手の中で、金属音がした。ナイフを生み出す音だ。

    杏子「お、やるってのかい?」

     それに敏感に反応した杏子が再び穂先を上げる。

     フレンダはそれを鋭く睨むと、即座に行動できるよう、重心を落とした。

    杏子「やるってんなら、いいぜ。
       ――その代わし、あたしは強いよ?」

     杏子も両手で槍を握り、臨戦態勢を整える。

    フレンダ「上等!」

     答えと共に、フレンダは手の中に生まれたナイフを投げつけた。


    QB「ああもう、困ったな……」

     その二人を眺めていたキュゥべえが、独りごちる。

    QB「こんなことをしてる場合じゃないってのに……仕方ない、彼女を呼んでこよう」

    47 = 39 :

     フレンダが投げつけたナイフが目視するのが難しいほどの速度で杏子に迫る。

     これに対し杏子は正確に、かつ迅速に、全てのナイフを難なく槍で叩き落とす。

     さらに間を開けずに、矢のような速度でフレンダに接近。槍を思い切り叩き付ける。

     ゴバッという凄まじい音が響いた。

     しかし、手応えはなかった。

    杏子「避けたか」

     まるで爆撃があったかのように大穴が空いたコンクリートにフレンダの姿はなかった。

     自分の威力を誇ることもなく、即座に杏子は槍を振るいながら、半回転。

     ナイフが、背後に迫っていたが、全て叩き落とされる。

    フレンダ「うへっ……背中に目でもついてんの!?」

     見ればフレンダは壁にナイフを突き刺し、足場にしながら高い位置に立っていた。

    杏子「新人がやろうとすることくらいわかってるさ」

     杏子はその場で槍を振るう。同時に、槍はただの槍から多節棍へと変化し、フレンダの位置まで伸びた。

    フレンダ「げっ!」

     慌てて飛んで、フレンダは避ける。
     壁は大きく抉れ、コンクリート片が辺りに撒き散らされた。

    48 = 39 :

    杏子「新人は、魔法少女になる前の感覚が残ってるんだよな。
        だから、攻撃も、一般人に有効なものばかりやりたがる」

     空中に逃げたフレンダを目で追いながら、杏子は言う。

    フレンダ「食らえっ!」

     そんな余裕綽々の杏子にフレンダはナイフを投げつけるが、やはりそれは軽々と弾かれる。

    杏子「ダメなんだよ、それじゃ。魔法少女相手に、そんな常識的な戦い方をしちゃダメだ」

     杏子が獲物を狙うような目で、フレンダを睨み付ける。

     フレンダはぎょっとして、さらにナイフを投げつけるが、やはり弾かれる。

    杏子「そして、急に超人的な身体能力を手に入れたから、新人はそうやってすぐに空を飛びたがる」

     再び、杏子は両手で槍を握る。

    杏子「煙となんとやらは高いところが好きってな。空中は逃げ場がないってのは、バトル漫画の定石っしょ」

     そうして、多節棍となり、伸びた槍がフレンダに叩き付けられた。

     当然、杏子の言う通り、フレンダに避ける術はなかった。

     フレンダもただ受けるだけではない。かろうじて、ナイフを両手に生み出し、それを盾にすることはできた。

     だが、もちろん、空中で踏ん張りが効くはずもない。

     鈍い音が響いて、フレンダはコンクリートの地面に激しく叩き付けられた。

    49 = 39 :

    杏子「ま、こんなもんか」

     ふぅ、と軽く息を吐いて、杏子は槍を背負う。

     だがすぐに杏子は軽く首を傾ける。杏子の顔があった場所をナイフが勢いよく通り抜けた。

    杏子「おっかしいな、今のが直撃してたら全治半年は堅いはずだったのに」

     見れば、フレンダはまだ健在だった。

     両足でしっかり地面を掴み、両手にナイフを持って直立していた。

    杏子「回復系の魔法か、面倒だ」

     杏子はそれを見て笑う。

    フレンダ「終わったと勘違いするのは、まだ早いってわけよ!」

     言葉と同時、フレンダは大量のナイフを投げつける。

     数えるのは到底間に合わない。機関銃のようなナイフの連射だった。

    杏子「今度は数ってか!」

     だが、杏子が多節棍モードの槍を大きく振るうと、それらは全て叩き落とされる。

     どんなに投げても、結局、杏子に一本も届かないどころか、傷一つ付けられなかった。

    50 :

    俺の浜面は出ますか?


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