私的良スレ書庫
不明な単語は2ch用語を / 要望・削除依頼は掲示板へ。不適切な画像報告もこちらへどうぞ。 / 管理情報はtwitterでログインするとレス評価できます。 登録ユーザには一部の画像が表示されますので、問題のある画像や記述を含むレスに「禁」ボタンを押してください。
VIP以外のSS書庫はSS+をご利用ください。
元スレ刹那「インフィニット・ストラトス?」
SS スレッド一覧へ / SS とは? / 携帯版 / dat(gz)で取得 / トップメニューみんなの評価 : ★★★×4
レスフィルター : (試験中)
「お前は撤退しろ。後は俺がやる」
鈴音へ向け、通信回線を開く。
戦うことは、刹那のような戦士にこそ相応しい。
年端も行かぬ少女が、自らの命を危険に晒す必要などないのである。
『……誰に言ってんのよ』
鈴音の声は、ブレなかった。
はっきりした芯を保ったまま、彼女は刹那に向け言葉を紡ぐ。
『あたしも付き合う』
「支援は無用だ」
『……だったら、あんたの協力はしない! けど、あたしはここに残る!』
鈴音の目には、恐怖はない。
それは、争いを軽んじているのではない。
今ここで自分が退けば、人が死ぬのだと言うことを、端的に理解しているのだ。
だから、逃げない。
己の身を犠牲にするつもりは毛頭ないが、他者を贄に、自らは背を向けるつもりは全くない。
誰かのために、戦うのだ。
それは、刹那と同じ。守るための戦い。
「……そうか。行くぞ」
『えっ……ええ、任せなさい!』
鈴音は、もっと刹那が渋るものだと思っていたのだろう、一度小さく声を漏らしたが、すぐに戦闘態勢に入った。
刹那の周囲には、戦う人間が多く居た。
世界との戦争を繰り広げたソレスタルビーイングだけではない。
国の民を救うため、努力を続けたマリナ・イスマイール。
少女の優しさを取り戻すため、戦場に身を投じた沙慈・クロスロード。
彼らもまた、刹那とは違った形で戦っていた。
戦いは、悪意を生み出すばかりではない。自らの意思で、あるいは他者の幸福のために、戦うことも出来るのだ。
だから、刹那は鈴音が戦うことを止めなかった。
刹那は左へ、鈴音は右へ。それぞれ、弾かれたように飛び出す。
回避行動を取りながら、刹那はアリーナの壁に視線を滑らせ、カメラが破壊されていることを確認しつつ、ティエリアとの会話を行っていた。
(クアンタムバーストを使う)
≪ダブルオークアンタを出すのか!?≫
(ああ。ISを形態移行させ、ダブルオークアンタの能力を引き出す)
前述の通り、今のELSはISの能力を取り込んでいる。即ち、待機形態を利用してのサイズ縮小が可能なのだ。
刹那のISがエクシアの形を保っているのだから、それを応用すれば、ダブルオークアンタをISにすることも出来るはず。
(いけるか?)
――――肯定。
ELSから返ってきたのは、最高の言葉であった。
(ティエリア、頼む。もし対話を行えれば、あいつが仕掛けてきた意図もわかるはずだ)
≪……了解した。今は戦闘中だ、荒療治になるぞ≫
(覚悟の上だ)
エクシアが、光に包まれる。淡い緑の粒子をまとい、刹那のISが、形を変えていく。
右腕のGNソードと左腕のGNシールドは、クアンタ用のGNソードVとGNシールドへ。
それぞれ二つずつのGNブレイドとGNビームサーベルは、一つとなりGNソードビットへ。
各部装甲も形状を変え、新たな機体を形作っていく。
発行が終わり、生れ落ちたのは――――対話のためのガンダム、ダブルオークアンタ。
(形態移行……!?)
その様を横目にしつつ、鈴音は思わず息を飲んだ。
まさか、今この状況で実行しようとは。
≪刹那、調子はどうだ?≫
(悪くない……いける)
≪ツインドライヴ、同調……不安定だが、許容範囲内か≫
(出来るのか?)
≪トランザムの準備をしておいたのが功を奏したな。
いざとなったら、僕がサポートする。いけ、刹那!≫
「……ああ!」
二基のGNドライヴが、共鳴を始める。
――――QUANTUM SYSTEM
刹那の瞳が、金色に輝いた。
能力を発揮する際、イノベイターの虹彩は黄金の色を放つのだ。
「クアンタムシステムを作動させる!」
刹那の叫びに応え、GNシールドが背中へとスライド。内部に搭載されたソードビットが、クアンタを囲むように展開する。
クアンタの装甲が、緑の色に染まる。超高濃度のGN粒子が、反応しているのだ。
GN粒子を開放するため、腕部、脚部、胸部の装甲がパージ。
GNコンデンサーを露出させ、粒子散布を開始。
「クアンタムバースト!」
咆哮が、引き金となった。
刹那の意識は溶け合い、脳量子波と合一化される。
(探せ……奴の意思を!)
クアンタムバーストは、言語や種族の壁を越え、対話を成すための装置。
これをもってすれば、皆わかりあうことができるのだ。
「お前は何者だ……!
何を求めてここへ来た……!」
だが。
「答えろぉぉぉぉ!」
返答は、ない。
(何だ……無い!?)
≪意思が見当たらない……あの機体、無人機だとでも言うのか!?≫
(だが、先ほどの敵意は……!)
≪量子空間の範囲内に、奴は入っている! しかし意思が無いとなれば……!≫
(……遠隔操作、あるいは製造者の悪意!)
自ら結論にたどり着いた刹那は、クアンタムバーストを終了させる。
ソードビットをGNシールドに帰還させ、各部GNコンデンサーを収容。
パージした装甲は無理にしろ、出来る限り元の状態を復元する。
「あんた、一体何を……?」
「戦いに集中しろ……来るぞ!」
刹那が言い切るより早く、敵機はその巨大な足で地面を蹴り上げ、空中へと飛ぶ。
巨体に似合わぬ俊敏さだが、しかし、代表候補生である鈴音と、クアンタに形態移行した刹那に追いつける道理は無い。
歪な拳は空を切るも、散開した両者に向け、所属不明機はビームで攻撃。
先の一撃とは違い、殺傷力を弱めての拡散形式。
しかし、これも当たらない。エースパイロットである二人からすれば、この程度、造作も無いことである。
攻撃後の隙を突き、刹那はGNソードVでの射撃を開始。
クアンタムバーストで貯蔵GN粒子を使い切ったためか、本来のクアンタのそれに比べ、火力は随分と大人しくなっている。
それを補うべく、装甲の薄くなる間接部を狙うが、敵機の推進力はISと比較して桁外れだ。
最低限の動きで射撃をいなすと、所属不明機は二人の間に突っ込んでくる。
――――速い。
なかなかの難敵だ。
刹那たちの行く先を示しているかのように、暗雲も立ち込めてきていた。
◆
≪アリーナがロックされた……!?≫
(ティエリア?)
≪第二アリーナ全体がロックされたようだ。これでは避難も救援もままならない……!≫
再びティエリアから凶報を受けて、刹那は俄然表情を渋める。
『何、どうしたの?』
「……アリーナがロックされた。避難に必要な時間を改める必要がある」
『嘘でしょ!? どうしてそんなことがわかる――――』
「待て」
鈴音の言葉に被せ、刹那は手で待ったをかける。
反射的に鈴音は口を閉ざし、それに合わせ、巨人は掃射を再開した。
『……何、今の……こっちが喋り終わるのを待っててくれたってわけ?』
敵弾をかわしつつ、呆然と呟く。
そう、敵機は、こちらが会話を行っているときに限り、攻撃の手を緩めている。
どのような意図があると言うのか。
(こちらの情報を探っている……?
ならば、なぜ大々的に仕掛けて来た? 潜入捜査員を送り込んだ方が、効率と安全性は格段に上のはず……)
≪刹那、考えている時間はない≫
(ティエリア?)
≪避難が終わるのを待つより、奴を仕留めた方が早い≫
確かに、ティエリアの言葉にも一理有った。
相手は無人機だ、遠慮も何もなく、問答無用で叩き潰せる。
GNバスターライフルで遮断シールドをブチ抜き、増援を呼び込む方法もあったが、救援に駆けつけた連中を巻き込みかねない。
であるならば、殲滅戦に移行した方が安全かつ合理的だ。
「……奴を破壊する」
『えっ……殺すの?』
「あれに人は乗っていない」
『はあ? 人が乗らなきゃISは動かな――――』
途中ではっとして、鈴音は記憶を振り返る。
アリーナをロックし、
学園の情報をもってしても所属不明扱い、
会話をしていれば、何故か攻撃の手が止まり。
奇妙な点が多すぎるのだ。
説明がつかない以上は、そこにどのような結果が待ち受けているかはわからない。
『……ううん、でも無人機なんてありえない。
ISは人が乗らないと絶対に動かない……そういうものだもの』
「だが、間違いではないはずだ」
クアンタムバーストは、そこに生命がある限り作用する。
それに反応しないのであれば、それ即ち無人であることに他ならない。
頑なに自身の意見を譲らない刹那に、鈴音はため息を一つこぼして、
『……じゃあ、そんなことありえないけど。
あれが無人機だと仮定して攻めましょうか』
割り切ったのか、双天牙月を構えなおす。
割り切れなければ死ぬ。そうわかっているのだ。ならば、グダグダ抜かしている暇はない。
「俺が敵の足を止める。その間に撃て」
『またアバウトな……でもいいわ、やってやろうじゃない』
気合充分と言った様子の鈴音から視線を滑らせて、刹那は巨人を見やる。
話は終わったか、とでも言いたげな様子で、所属不明機は腕をこちらに向けた。
腕部にしかけられた銃口から、ビームが放たれる。
死角へ回りながら、刹那はソードビットを展開。
ゴーレムの間接部に張り付かせ、駆動系を狙う。
遠方からの直線的なビームは回避できても、その巨体では、小回りの利くビットからは逃れられない。
運動系に支障が出たのか、所属不明機は一時的な硬直を晒す。
このチャンスを、鈴音は見逃さない。
刹那の指示通り溜めておいた衝撃砲のエネルギーを、開放。
目には見えなくとも、風の流れでその威力が知れる一撃を、敵手へ撃ち出した。
巨体が、揺れる。
激突した重圧に耐えられなくなったか、真正面から直撃した衝撃砲に、巨人はたじろぎ、仰向けに倒れこんだ。
追い討ちとばかりに、刹那はソードビットを回収、伏した巨人に接近し、GNソードVで右腕を切断する。
人口の血液が、切断面から噴出した。
このまま行動不能まで追い込む。
その意気で右腕へ移行した刹那は、しかし、突然横殴りに吹き飛ばされた。
「がぁっ……!?」
≪刹那!≫
(損傷は軽微……ミッションの続行は可能……!?)
冷静に機体状況を分析し、刹那はISを起こそうとして、巨人の右腕に、握られていることに気づいた。
万力にも近しいその豪腕で、所属不明機は刹那をISごと握りつぶさんとしている。
≪クアンタムバーストでGN粒子を使いすぎた……量子化は出来ないぞ!≫
鈴音も、先の衝撃砲で消耗している。
そう簡単には救援に来られないだろう。
だが。
>>68
まだひとつだ、間に合うぞ少年!
まだひとつだ、間に合うぞ少年!
「今だ……狙い撃て、セシリア!」
『ええ……照準は完璧』
通信機越しに響く、少女の声。
専用機を駆る、狙撃手の声。
『狙い撃ちます!』
ビットの援護を受け、スターライトmkⅢが閃光を放つ。
一直線に進んだ弾丸は、巨人の胸部を寸分違わぬ狙いで射抜いた。
遅れて、爆発。
派手に火の粉があがり、刹那を拘束する力が緩む。
≪まだだ! 止めを刺せ、刹那!≫
開放された刹那は、GNソードVの切っ先を所属不明機に向ける。
それに続いて、刀身にソードビットが装着。ブルー・ティアーズのそれに劣らぬ巨大な銃――――GNバスターライフルを作り出す。
「この俺が、破壊する!」
GNソードVの切っ先、ライフルの銃口から、太さ十メートルはあろうかと言うビームが出現した。
その力は所属不明機を巻き込み、地面に穴を穿つ。
一際大きく輝いた後には、どうにか原形をとどめている所属不明機と、クレーターが残されているのみだった。
箒ポジションでハム先生(♀)を出そうかどうかすごい迷ったけどやめた
余談ではあるが、
本来のGNバスターライフルはこれを大きく上回る破壊力を秘めているものの、
クアンタムバーストでGN粒子を使い切っていたこと、ISで扱えるようサイズダウンがはかられていたことから、この程度の損害で済んだのである。
単機でELSを壊滅せしめるMS、ダブルオークアンタ。その力は、未だ未知数であった。
◆
IS学園、地下施設。
病院の診療台を思わせるベッドには、確かに、ヒトガタのものが眠っていた。
それは、中身がからっぽの、ISと呼べるかどうかすらわからない代物だが。
天井からは機械の溶接などに使うだろう機器が吊るされていて、どうやら、ISの解体作業に従事しているようだった。
「やはり、無人機ですね。登録されていないコアでした」
分厚い壁を隔てた隣の部屋でキーボードを叩きながら、真耶は千冬に研究成果を告げた。
「そうか……」
対する千冬は、吐息混じりに返答するばかりである。
それを気にしているのかいないのか、真耶は報告を再開した。
「ISのコアは、世界に467しかありません。
でもこのISには、そのどれでもないコアが使用されていました。
……一体」
「…………」
二人は、不可解な疑問を抱えたまま黙り込んだ。
答えに到達するには、まだまだ時間がかかりそうである。
◆
病院の診療台を思わせるベッドには、確かに、ヒトガタのものが眠っていた。
それは、中身がからっぽの、ISと呼べるかどうかすらわからない代物だが。
天井からは機械の溶接などに使うだろう機器が吊るされていて、どうやら、ISの解体作業に従事しているようだった。
「やはり、無人機ですね。登録されていないコアでした」
分厚い壁を隔てた隣の部屋でキーボードを叩きながら、真耶は千冬に研究成果を告げた。
「そうか……」
対する千冬は、吐息混じりに返答するばかりである。
それを気にしているのかいないのか、真耶は報告を再開した。
「ISのコアは、世界に467しかありません。
でもこのISには、そのどれでもないコアが使用されていました。
……一体」
「…………」
二人は、不可解な疑問を抱えたまま黙り込んだ。
答えに到達するには、まだまだ時間がかかりそうである。
◆
「刹那・F・セイエイ……苦戦してしまったようだね。
これでは期待外れだよ」
「…………」
「少しは僕を楽しませてくれなきゃ……それほどの事を、君はしたんだからね」
◆
「今日はなんと、転校生を紹介します!」
二度目になる真耶のセリフを聞きながら、刹那は眉をひそめた。
昨日あんな事件が起きたと言うのに、すぐに転入生とは、切り替えの早い学校だと関心すべきか。
あるいは……
(想定の内だったと言うのか……?)
クラス対抗戦に乱入してきた、あの巨大なIS。
アリーナを破壊し、更には学園のネットワークにまで進入、データを改ざんした形跡が残っている。
あれがもし、学園が用意した差し金だとしたら。
しかし、下手を打てば世界で唯一の男性操縦者と中国の代表候補生を失うかもしれなかったのだ。
その確率は低いだろうが、まあ、頭の隅にとどめて置いてもいいかもしれない。
例の所属不明機によりアリーナも半壊、クラス対抗戦も延期の運びとなったのだ。
あまり気を張り詰めすぎては、疲れてしまうだろう。
刹那が物思いにふけっていることなど知る由もなく、転校生の紹介はさくさくと進行していく。
>>69
まだ一つかどっかにまとめてないかな
まだ一つかどっかにまとめてないかな
>>75
自分が乙女座であったことをこれほど嬉しく思ったことはない
自分が乙女座であったことをこれほど嬉しく思ったことはない
扉が開き、着任者を迎え入れる。
転入生は、揺ぎ無い足取りで教室に足を踏み入れた。
「シャルル・デュノアです、フランスから来ました。
皆さん、よろしくお願いします」
束ねられた金髪、西洋人らしい碧眼、そして柔らかい物腰と声。
まるで少女なのではと錯覚するような少年が、そこに立っていた。
静まり返る教室。
何拍かの間を置いて、女子生徒の一人が呆然と質問を投げかける。
「お……男?」
「はい! こちらに、僕と同じ境遇の方がいると聞いて、本国より転入を――――」
途端、黄色い声の大合唱。
「えっ?」
「男子! 二人目の男子!」
「しかもうちのクラス!」
「美形! 守ってあげたくなる系の!」
教室中を埋め尽くす大歓声に、刹那も意識を現実へ引き戻す。
>>73
ハム「もう…少年のえっち///」
ハム「もう…少年のえっち///」
(転入生……男性か?)
≪ああ、そのようだ……≫
真面目に話を聞いていたらしいティエリアが、刹那に答える。
何かが引っかかっているのか、いまいち歯切れの悪い答え方だったが。
しかし、男性か。これにより、刹那の価値は相対的に減少したと言える。
喪失したのはよくて半減、最悪七、八割程度か。
この学園における刹那の存在意義は、世界で唯一の男性IS操縦者と言う一点であった。
ところが、彼――――シャルルの出現により、刹那は世界に二人いるうちの片割れと言う扱いになってしまうのである。
加えて、彼は異世界人だ。男性IS操縦者としてのサンプルは、シャルルの方が適任であろう。
(しかし……デュノア。ISメーカーのデュノアか?)
参考書で目にした、その名前。
第二世代でありながら第三世代ISにも引けを取らぬ能力を持ち、
量産型ISの配備数では第三位を記録している名機、ラファール・ディヴァイヴを作り出した一流メーカーの一つである。
そんな大手メーカーの子息が転入してきたと言うのは重大事だが、ティエリアの不審な態度を疑問に思ったらしい刹那は、再び問いかけた。
(ティエリア?)
≪……いや、何でもない≫
何でもないと言うのなら、触れぬほうがいいだろう。
いくらイノベイドとは言え彼も人間。悩みの一つや二つはあって当然である。
そして、刹那もそれを無理に聞き出そうとは思わなかった。
人と話すことで解決できる類のものならよいが、他人に知られたくない悩みと言う場合もあるのだ。
刹那がこうしてティエリアと会話している間、常に鳴り響いていた高い声に、千冬が喝を入れた。
「騒ぐな、静かにしろ」
怒気自体は強くないのだが、千冬と言う人間の言葉には不思議な圧力感がある。
気圧されたのか、騒いでいた連中は皆一様に口を閉ざし、教室にはしんと静寂が訪れる。
「……今日は二組と合同でIS実習を行う。
各人はすぐに着替えて第二グラウンドに集合。
……それから、セイエイ」
話の途中で名前を呼ばれて、刹那は千冬に目を向ける。
「デュノアの面倒を見てやれ。同じ男子同士だ。
……解散!」
千冬の声を皮切りに、女子がトレーニングウェアを取り出しに向かう。
席から動かない連中も、結構な数がいるようだが。
それを尻目に、シャルルは刹那の席に歩み寄り、
「君がセイエイ君? 始めまして、僕はシャルル・デュノア。よろしくね」
「ああ、よろしく頼む」
挨拶を交わしながら刹那は立ち上がり、ドアへ歩きながらシャルルへと手招きをした。
「まずは教室から出る」
女子が着替え始めるからな、と刹那が口にする前に、シャルルは後を追っている。
なかなかどうして、物分りがいいらしい。
◆
「俺たちは、アリーナの更衣室で着替える。
実習の度に移動しなければならない、覚えておいたほうがいい」
「うん、わかったよ」
廊下を歩きながら、刹那とシャルルは言葉を交わす。
落ち着きがあり、素直な性格のシャルルは、刹那の記憶の中、誰かのことを思い出させた。
(似ている……アレルヤ・ハプティズムと)
尖ったところがなく、温和で人当たりのいい彼と、シャルルはどこか同じ空気を感じさせる。
付け加えて言えば、アレルヤ・ハプティズムやマリナ・イスマイールのような柔らかい雰囲気をもった人間は、刹那にとって非常に好ましい部類に入る。
刹那がそんな回想に浸っていると、
「あ、噂の転校生発見!」
「しかもセイエイ君も一緒!」
「な、何……?」
「聞いた!? こっちよ!」
「者ども出会え出会え~!」
「見てみて、二人仲よさそう!」
「セイエイ君の黒髪もいいけど、金髪もいいわね!」
一人が声を上げると、それが連なって大所帯となる。
仲間意識というか連帯感と言うか、そう言ったよくわからない協調性を、二人の前で壁を作っている女生徒たちは発揮していた。
GNソードフルセイバー装備のクアンタならELSを一週間で戦滅できる
ってばぁちゃんがいってた
て言うか、クアンタカッコよすぎ濡れる///
スサノオ出してくらはい
ってばぁちゃんがいってた
て言うか、クアンタカッコよすぎ濡れる///
スサノオ出してくらはい
>>89
愛の力でIS適応者になるグラハムさんいいな
愛の力でIS適応者になるグラハムさんいいな
まずい書き溜めが尽きる……こんなに進むとは思わなかった
あとそう言われるとハム先生がマジで出て来ることになります
それを避けたい諸君は「(設定崩壊など)興が乗らん!」とレスをしたまえ! 乙女座は気分屋だ!
「……後れを取るな。行くぞ」
「えっ?」
人の波が生まれているのは、後方と正面。前門の虎、後門の狼と言うやつだが、道はそれだけではない。
刹那が選択した道は、右方。鍛え上げられた健脚と、無尽蔵に等しい体力でもって、刹那は廊下を駆け抜ける。
「あ~逃げた~!」
「追いかけるのよ!」
「待って~! せめて、写真を一枚~!」
聞き覚えのある声を背にしながら、刹那はただただ道を行く。
◆
「何で、みんな騒いでるの?」
両足を動かしながら、シャルルが刹那に問う。
息切れ一つしていないのは、IS操縦者として鍛えている証だろうか。
「今のところ、ISを操縦できる男性は俺たちだけ……そこに珍しさを覚えているのだろう」
「あっ……ああうん、そうだね」
不自然な間を作りつつも、シャルルは応答した。
シャルル自身、IS学園転入初日なのだ。慣れていないからこうなっているのだろう。
「進路を変更したことで、タイムリミットが迫っている……
このままアリーナまで走るぞ。いけるか?」
シャルルは頷いて、速度を引き上げた。
◆
まさか賛成案が出るとは……私は聞いていないぞ!
「……振り切ったようだな」
到着した更衣室で、二人は小休憩を取っていた。
シャルルの体力が思った以上に長続きしたことで、刹那の予想を上回るタイムを出せたのだ。
「ごっ、ごめんね……いきなり迷惑かけちゃって」
息を弾ませながら、シャルルは謝罪の意を述べた。
刹那からすれば、この程度どうと言うことはないのだが。
そもそも、刹那の体は完全に金属である。
それ故、刹那の呼吸器官は、常人のそれとは比べものにならないほど強靭なのだ。
その上、自己再生能力により、基本的に磨耗することがない。
そんな事情もあって、刹那はこれと言って迷惑していなかった。
「気にするな。俺は気にしない」
「でも……」
「遅れたが、俺は刹那・F・セイエイ。よろしく頼む」
でも、だって、でうじうじと始まりそうな罪悪感の吐露を断ち切るべく、刹那は強引に話題を切り替えた。
昔のアレルヤにも、こう言うナーバスと言うか、過敏なところがあったものだ。
戦士として成長し、自身の中に眠るもう一つの人格と折り合いをつけた今では、立派な男になったものだが。
類似してるかもしれないスレッド
- P「アイマス・オブ・ザ・デッド?」 (785) - [60%] - 2012/7/14 4:30 ★★★×4
- 岡部「リーディングシュタイナー?」 (319) - [58%] - 2011/9/29 7:15 ★★
- 刹那「テレフォンショッキング」 (143) - [57%] - 2011/12/11 8:30 ★
- 岡部「アキバにストリーキングだと?」 (229) - [57%] - 2011/10/21 19:30 ★
- 岡部「アキバにストリーキングだと?」 (657) - [57%] - 2011/10/23 7:15 ★
- 京子「ゆるゆり・オブ・ザ・デッド!」 (115) - [57%] - 2011/10/22 6:30 ☆
- 士郎「カレンを選ぶ」セイバー「え?」 (222) - [57%] - 2012/7/19 7:30 ★
- 刹那「ポケットモンスター 赤・緑?」 (112) - [56%] - 2012/5/27 2:45 ☆
- ハルヒ「ソリッド・スネーク?」 (285) - [55%] - 2009/9/7 10:17 ★★★
トップメニューへ / →のくす牧場書庫について