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    元スレ妹「温もりがほしい笑いかけてほしい受け入れてほしい。寂しい。」

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    202 = 187 :

    「……大学って、面白い?」

    「え? つまらないですよー」

    「そう」

     つまらないのか。
     なら、なんで通っているんだろう。

    「もうすぐ就活はじまるんすよー……もう最近欝で、欝で……」

     あぁ、そうか。大学に行けば、就職に有利だ。

    「どんな仕事したいの?」

    「えー、まだぜんぜん決めてない、っていうか、うー、大手、っていうか……とりあえず給料高めで楽そうなのっていうか」

    「なるほど、……」

    「……そういえば、兄さんって、私と同い年なんでしたっけ」

    「そうだね」

    203 = 187 :

    「大人っぽい、ですよね。兄さんって」

    「え?」

     大人っぽい? まさか。心外だ。

    「前から思ってたんですけど、……朝晩だと忙しくてなかなか聞けないんで、今聞いちゃいますね」
    「兄さんってなんでフリーターしてるんですか?」

    「生活のため、かな」

    「……」

    「駄目だった?」

    「いえ、あの…………、えっと。兄さん、って彼女さんとか居るんで……す、か?」

    「いないけど」

    「ほんとですかっ?」

    「けど……大切な人なら、いる……かな」

    「……」

    205 = 187 :

     やがて、客足が増えてきて、女さんとの会話はそこで終わった。
     なかなか上手く会話が出来たと思った。
     けれど、会話が終わった時、女さんは少し悲しい目をしていた。
     
    「いらっしゃいませー」

     バイト上がりの直前に、気になる客が一人やってきた。
     妹が通っている学校の制服を着た女の子だ。
     夜もだいぶ遅い。塾帰りだろうか。
     
    店長「もうあがっていいよー。朝から晩までおつかれさん」

    「あ、はい。おつかれさまです」

     ようやく今日の仕事が終わった。
     早く帰って、妹を安心させてやりたい。

    206 :

    久しぶりのちぢれスレ、しかも兄妹スレだwktkと思って読み始めたけど、

    妹と友のつまらん会話ばっかで折れそう

    208 = 187 :

     手早く着替えて、まだ働いているバイト仲間に軽く挨拶をしてコンビニをでた。
     あたりはすっかり暗い。
     駅前の周辺はまだいいが、アパートに近づくにつれ街灯が少なくなっていく。

    「すっかりおそくなったなぁ……」

     途中スーパーで寄って、弊店間際売れ残りタイムセールの半額ヒレカツを買った。
     オーブンで焼きなおせば、十分おいしい。
     たまにはこういうのも……半額だし、いいよな。

     ……い……て
     …た……け……か…

    「……?」

     どこからか、声が聞こえる。

     「……たすけ……だれか……!」

     女性の声だった。

    209 :

    しえんしえん

    210 = 187 :

     だいぶ遠いところから聞こえる。
     声色からすると、切迫した状況かもしれない。

    「だいじょうぶですかー!」

     声が聞こえた方向へ、出来る限り大きな声で叫んだ。
     あたりに工場はあっても民家はほとんどない。遠慮はいらなかった。

     「こっち……こっちです……!」

     今度ははっきり聞こえた。
     声の主を求めて駆け出す。

    「今行くから!!」

    211 = 187 :

     工場と工場の間の細い道をくぐって、裏路地に入る。
     このあたりは街灯すらない。
     月明かりを頼りに、人影をさがる。

    「どこですかー!!?」

     「たすけ……たす……っ」
     「うるせえ!」
     「だまれ!」

     男の声が混ざる。しかも、複数の。
     ……いやな予感がする。

     かなり近い。
     おそらくひとつ先の角を曲がったあたりだろう。

     「いや……いやあっ!!」

    「……っ!」

     嫌な予想は当たってしまったらしい。
     女性一人を男三人がかりで組み伏せているところだった。
     
     暗がりでも十分わかった。
     男は三人が三人とも、できることなら一生関わりたくないような部類の人たちだった。

    212 = 187 :

    「おい! もう警察に通報したからな!」

     あるものを突きつけて、出来る限り去勢を張ってみた。

    「か、……帰れ!」

     叫んでから「何処にだよ」と自分で突っ込みを入れたくなった。
     俺だって人の子だ。勢いで走ってきたはいいものの、強面三人を前にしたら足が震えて立つのがやっとだ。

     「あ゛? てめえなんだ? あ゛?」
     「マッポだ? あ゛? だからん゛だっての?」

    「こ、これが見えねえのかよ! もうずっと前に、け、携帯で警察呼んだんだぞ! も、もう、来るぞ!」
    「このあたりは、ち、痴漢防止厳重見回り区域っ、な、なんだからな! すぐ来るぞ!」

     「……ちっ」
     「んだよ……」

     よかった。 
     このあたりのアウトローな奴らにも、公権力はまだ効果があるみたいだった。
     彼らは腐った声を残してフラフラと消えていった。

    214 = 187 :

    「ふ、……ぁ……っ」

     脱力。
     女性を襲っていた奴らがが見えなくなった瞬間、俺はその場に倒れこんだ。

    「死ぬかと、思った」

     これまでカツアゲだってされたことがないのに、いきなりあんな……今思えば人殺しもしてそうな奴らはレベルが高すぎる。
     まぁ、でも……これでめでたし、めでたし……

     「あの」

    「え……」

    「あの、ありがとう……ござい、ます」

     乱れた服を抑えながら、襲われていた女性が俺の傍までやってきた。
     普通は男の方が駆け寄って『お怪我はありませんか』だろうに。
     どこまで俺はヘタレなんだろう。

    215 = 187 :

    「けが……ないです、か?」

    「だいじょうぶ、……で、す……」

     言い終わる前に、目の前の女性の足が崩れた。

    「……っ、と」

     残る力を振り絞って、なんとか抱えて受け止めた。
     やはりこの娘もひどく怖かったのだろう。

    「あ……す、すいま……せん」

    「ほんとに平気か? 病院、行くか?」

    「あの……面倒な、事は、避けたく、て」
    「警察も、その……」

    「……分けあり、なのかな」

    「……」

    216 = 187 :

    「まぁ、答えたくないならいいよ。少しおちつくまでここに居よう」

    「え……でも、警察を呼んだ、って……」

    「あぁ、あれね」

     俺はさっき奴らに突きつけたものを取り出した。

    「え、これ……」

    「さっき買ったヒレカツ。俺、携帯電話とか持ってないからさ」
    「だから警察とか言ったのは、いわゆるでまかせ、ってやつ」
    「うあ……直に握ったから手が油っぽい」

    「……」

    217 :

    新参でもこの人が良い書き手って事が分かるわ。 エロ無しでこんなに引き込まれる文章ってそうそう無い。

    218 = 187 :

    「あれ、その制服……」

     水色のセーラー服。
     暗がりで、しかも服が乱れてるものだから今まで気づかなかった。

    「うちの学校、知ってるんですか?」

    「ん? あぁ、まぁね。家族が通ってて」

    「家族……」

    「あ、もしかして、さっきうちのコンビニ来てた?」
    「駅前なんだけど」

    「えぇ、っと……あ、はい。あそこの駅前でしたら」

     やっぱり。
     この時間に、この制服でうろついてる娘なんて、あまり居ないからな。

    「遅くまでなにしてるんだ。親は心配してるんじゃないのか?」

    「……どうでしょう」

     俺の質問を彼女ははぐらかした。
     まぁいい。あれこれ詮索するのも、無粋ってやつだろう。

    219 = 187 :

    「俺はお説教できるような立場じゃないからな……はは」

    「そんな。でも、本当に、ありがとうございました」

     うん。
     そんじょそこらのやさぐれた生意気娘には、とても見えない。
     むしろ、しっかりしたお嬢様って感じだ。

     とすると、益々こんな時間にうろついてることが疑問だが、それは心の片隅に置いておく事にした。

    「ま、帰るか。お嬢さんの家はどのあたり?」

    「えっと……あっちの方です」

     彼女はずっと向こうの丘の上を指差した。

    「あの丘の上か。学校も、あそこにあるよね」

    「はい。私の家、学校から歩いてすぐなんです」

    220 = 187 :

    もう少し小間切れに投稿した方がいいのかもしれないと
    思いつつもついつい30行近く使っちゃう困った


    また明日、残っていたら続きを書かせてください。
    昼くらいに書き始められたらと思います。

    223 :

    230 :

    231 = 187 :

    「何かの縁だ。送るよ。またさっきみたいな奴らに襲われるかもしれない」
    「このあたり、治安悪いんだ」

    「そうだったんですか」

     少し、妹の事が気がかりだった。
     彼女は妹と同じ学校に通ってるみたいだし、もしかしたら知り合いかもしれない。
     彼女の身にこれ以上危険が及んだら、彼女だけではなく、妹も悲しむかもしれない。

     まぁ、日が変わる前に帰ってくれば、きっと妹は許してくれる。

    「あ……でも、あの、……」

    「送り狼を心配してる? 大丈夫、襲うなら今襲ってる」

    「い、いやそういう訳では。えっと、なら途中までお願いしてもいいですか?」

    「もちろん」

    232 = 197 :

    しえん

    233 = 187 :

    「あのコンビニで働いてらっしゃったんですか?」

    「そう。いわゆるアルバイト。フリーター」

     まだ彼女に信用されてなさそうなので、簡単に自己紹介を済ませた。
     彼女もまだ足に力が入りきらないのか、それとも俺に合わせてくれているのか。
     お互い歩くペースは遅めだ。 

    「私、時々あのコンビニ行きます」

    「ほんと? んー、今日以外に見たことあったような、無いような」

    「夕方に行くことが多いんですけど」

    「俺いつも朝番なんだ。3時くらいに帰っちゃう」

    235 = 187 :

    「そうですか……なら、今度は朝行ってみようかな」

    「学校があるだろ?」

    「あ、そうでした」

     彼女はあはは、と静かに笑った。

    「……」

    「……」

     会話が途切れた。
     二人の足音と、遠くから聞こえる自動車の低音だけがあたりに響いている。

     自分がこのあたりに住んでいる事や、コンビニで働いていることなんかは、もう話した。
     あとはこういう時、何を話せばいいんだろう。
     あんまりプライバシーに関わるような事以外で……んぅ……

    236 :

    姉と妹がでてくるやつはどうなったんですか?

    237 = 187 :

    「あの……」

    「ん?」

    「何か、はなし……ません、か」

     か細い声。
     言葉の節々が震えていた。

     きっと、会話でもしていないと、さっきの事を思い出してしまうんだろう。

    「あ、ぁ……すまない。えっと……あ、そ、そうだ。お嬢さんと同じ学校にね、妹が通ってるんだ」

    「へ、……ぇ」

    239 = 187 :

    「お嬢さんは何年生?」

    「2年です」

    「じゃあ、同じ学年だ。俺の妹のこと、知ってるかもしれない」

    「……」

    「名前、妹って言うんだけど」

    「……」

    「どう?」

    「妹さんの、……お兄、さん……?」

    240 = 187 :

    ちょい飯

    242 = 187 :

    「うん。そうだけど。妹の、……友達?」

    「あ……」

     彼女は少し困った顔をした。
     無理も無い。
     妹は内弁慶だし、学校の友達の話なんかほとんどしない。
     彼女とは友達と言える関係でもないのかもしれない。

    「クラスメイトとか」

    「そ、そうですね。クラスで、一緒です」

    243 = 187 :

    う、ぅ。すいません
    ちょっと取り込んでます。

    246 = 187 :

    「そっか」

    「はい……」

    「……」

    「……」

    「あの……」

    「はい」

    「……その、妹は学校でうまくやれて、……ますか?」

     親心、いや兄心がつい出てしまった。
     妹にしたら、きっと妹のクラスメイトにこんなことを聞くのは余計なお世話なんだろう。
     でも聞かずには居られない。
     妹のクラスメイトと話したことなんて、これまで一度だってなかったのだから。

    「……」

    「そ、そんな無理に答えなくていいんだ。話せることがあったらで、いいから」

    247 = 187 :

    「……妹さんは」

    「……うん」

    「妹さんは、妹さんなりに、うまくやっているんだと、思います」
    「静かで、誰かと話すことなんて滅多にないですけど……でも、無視されるとか、そういうのは、無いですし」

    「……」

    「お兄さんは、安心していいと……わ、私がこういう事言うのは勿論差し出がましいって分かってるんですけど」
    「大丈夫だと、思うんです」

    「ありがとう」

    「え……」

    「妹のこと、ちゃんと見てくれてるんだね」

    248 = 187 :

    「妹はいつもどうってこと無いって顔してるけど」
    「すごい寂しがりやなんだ」

    「寂し、がりや……」

    「家では俺がいるけど、学校ではどうしてるか分からなかったから」
    「お嬢さんみたいな娘がクラスに居てくれて良かった」

    「私は、ただ」
    「ただ……」
    「……」

     言葉を濁らせて、彼女は黙ってしまった。
     何か気に障る事を言ってしまっただろうか。

    249 = 187 :

    「……もう、このあたりで大丈夫です」

     丘へとのぼる坂道の手前で、彼女は言った。

    「大丈夫? まだ危ないんじゃ。家の前まで送るよ」

    「このあたりはもう明るいですし。歩き慣れてますから」
    「それに、男の人と歩いてるところを見られたら、両親に何か勘違いされそうで」

    「……できる事なら、今日あったことは警察にちゃんと言ったほうがいい」
    「俺の名前を出してくれても構わないから」

    「まだ、分からないですけど」
    「ありがとうございます。……お兄さん」

    「そうだ。一応、名前だけでも教えてくれないか?」

    250 = 187 :

    「……もちろん、いいですけど」
    「ひとつ、約束してくれませんか?」

    「約束?」

    「妹さんに、私の事を言わないで欲しいんです」

    「もちろんかまわないけど……まぁ、いい。約束するよ」

    「私、友って、言います」
    「本当に、ありがとうございます。……お兄さんは、妹さんと似て、とても優しい方ですね」

    「俺と比べたら妹がかわいそうだ」

    「ふふっ。そんなこと、ないですよ」
    「それでは、おやすみなさいです」

    「あぁ、おやすみ」

     友と名乗った彼女は、ペコリと挨拶をすると、静かに坂を上って行った。
     しばらくその背中をじっと見送った後、俺も家路につく。

     友さんって言ったか。
     なにか、どこかで……


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