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元スレレッド「――俺はマサラタウンのレッドだッ」
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― 4年前。シオンタウン ―
その深夜、一夜限りの戦火があがっていた。
ポケモンタワーに挑むように、ロケット団の軍勢がいた。
ロケット団が関わった事件では、最大規模の戦力が集結していた。
その深夜、一夜限りの戦火があがっていた。
ポケモンタワーに挑むように、ロケット団の軍勢がいた。
ロケット団が関わった事件では、最大規模の戦力が集結していた。
――ポケモンタワー、前方。
マチスによる、マルマイン60匹による大爆発の音が轟く。
ビル一つ崩壊させるほどの爆発。標的はポケモンタワーだった。
――ドゴォォォォォォオオオオンッ!!!!!
爆炎と煙に包まれながらも、ポケモンタワーの影は健在だった。
その影を見上げて、舌うちをする、一人の男。
マチス「シット! あの野郎、完全に立てこもりやがったッ!」
マチスによる、マルマイン60匹による大爆発の音が轟く。
ビル一つ崩壊させるほどの爆発。標的はポケモンタワーだった。
――ドゴォォォォォォオオオオンッ!!!!!
爆炎と煙に包まれながらも、ポケモンタワーの影は健在だった。
その影を見上げて、舌うちをする、一人の男。
マチス「シット! あの野郎、完全に立てこもりやがったッ!」
――ポケモンタワー南、崖の上。
そこにマルマインの攻撃を見物する一人の影。
団員「キョウ様。ゴルバットたちの超音波による、情報の結果が出ました!」
その報告に、忍びの装束の、気難しい顔の年配男がうなづく。
キョウ「すぐにナツメ嬢の部隊に結果をまわせ。
なお残りの団員は、引き続き調査に当たるべし……」
団員「「「ハッ。承知致しました!!」」」
キョウ「マチス殿の大爆発をモノともしないか。
愛らしい姿とは裏腹。超越的な力をもっているな、あのポケモン……」
そこにマルマインの攻撃を見物する一人の影。
団員「キョウ様。ゴルバットたちの超音波による、情報の結果が出ました!」
その報告に、忍びの装束の、気難しい顔の年配男がうなづく。
キョウ「すぐにナツメ嬢の部隊に結果をまわせ。
なお残りの団員は、引き続き調査に当たるべし……」
団員「「「ハッ。承知致しました!!」」」
キョウ「マチス殿の大爆発をモノともしないか。
愛らしい姿とは裏腹。超越的な力をもっているな、あのポケモン……」
――ズゴゴゴゴォォォォオオンッ!!!
空中部隊のプテラ、カイリュウたちのの攻撃。
29もの破壊光線が、ポケモンタワーを襲った。
が、すべて見えない壁に防がれてしまった。
死霊の塔。
ポケモンの墓場。
シオンに聳える荒廃な聖域。
そのポケモンタワーは、特別な力で守られているようだ。
――部隊の雑用係りたち。
コジロウ「うへー、ATフィールドかよ~!」
ニャース「おみゃーは何をいってるニャ」
ムサシ「アンタたち、遊んでないで手伝いなさいよ!」
空中部隊のプテラ、カイリュウたちのの攻撃。
29もの破壊光線が、ポケモンタワーを襲った。
が、すべて見えない壁に防がれてしまった。
死霊の塔。
ポケモンの墓場。
シオンに聳える荒廃な聖域。
そのポケモンタワーは、特別な力で守られているようだ。
――部隊の雑用係りたち。
コジロウ「うへー、ATフィールドかよ~!」
ニャース「おみゃーは何をいってるニャ」
ムサシ「アンタたち、遊んでないで手伝いなさいよ!」
ロケット団の目的。
それはタワーの破壊ではない。
追いつめた筈のポケモンを炙り出す為だった。
サカキの念願が、塔に逃げて籠城してしまったのだ。
サカキ「――――ッ」
塔を仰ぎ、舌うちをするサカキ。
それはタワーの破壊ではない。
追いつめた筈のポケモンを炙り出す為だった。
サカキの念願が、塔に逃げて籠城してしまったのだ。
サカキ「――――ッ」
塔を仰ぎ、舌うちをするサカキ。
――ポケモンタワー、近く。エスパー部隊。
そこにはまだ幼さが残るナツメがいた。
ナツメ「オジさん。ケーシィが情報つかんだって!」
――バッシッ。
容赦なくサカキが、ナツメの頬を叩いた。
まだ10を超えて間もないナツメ。
涙を浮かべて、サカキを見上げた。
サカキ「年配者への口の聞き方を教えてやろうか?」
そこにはまだ幼さが残るナツメがいた。
ナツメ「オジさん。ケーシィが情報つかんだって!」
――バッシッ。
容赦なくサカキが、ナツメの頬を叩いた。
まだ10を超えて間もないナツメ。
涙を浮かべて、サカキを見上げた。
サカキ「年配者への口の聞き方を教えてやろうか?」
教えてやろうか?
それは虐待的教育のことだった。
ペルシアンに刻まれた腕の傷を思い出し、ナツメが震えた。
ナツメ「……申し訳ありま、せん」
サカキ「超能力のせいで、忌み嫌われたおまえを救ったのは誰だ?」
ナツメ「サカキさまです」
サカキ「何故、おまえは拾われた」
ナツメ「?」
それは虐待的教育のことだった。
ペルシアンに刻まれた腕の傷を思い出し、ナツメが震えた。
ナツメ「……申し訳ありま、せん」
サカキ「超能力のせいで、忌み嫌われたおまえを救ったのは誰だ?」
ナツメ「サカキさまです」
サカキ「何故、おまえは拾われた」
ナツメ「?」
サカキ「おまえの世界への悪意が、
俺の優秀な駒に成りえるからだ。
チェスでいうなら、まだビショップ。
成長すれば、クイーンにもなりえる駒だ」
ナツメ「……」
サカキ「そして俺はキングではない。
キングすら操る、打ち手だ。
その俺を不快にさせる駒など入らん」
ナツメ「――捨てないでください!
あんな醜い世界に戻りたくありません」
泣き言ながらも、キッと強い眼光でサカキを見据えた。
俺の優秀な駒に成りえるからだ。
チェスでいうなら、まだビショップ。
成長すれば、クイーンにもなりえる駒だ」
ナツメ「……」
サカキ「そして俺はキングではない。
キングすら操る、打ち手だ。
その俺を不快にさせる駒など入らん」
ナツメ「――捨てないでください!
あんな醜い世界に戻りたくありません」
泣き言ながらも、キッと強い眼光でサカキを見据えた。
∧_∧
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ヽヽ / / \ | | ,,,,,,,iiiiillllll!!!!!!!lllllliiiii,,,,,,,
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\ ヽ | |
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`ヽ、,,_ノ| |
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/.// ・l|∵ ヽ\ ←サカキ
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エスパー少女。
マスコミのお約束だ。
持ち上げて、手のひら返し。
忌み子、呪われた子。超能力でのイタズラ。
そういった悪評を撒き散らされ、家族崩壊にまでなってしまった。
サカキ「その醜い世界を、俺が壊してやる」
――おまえは俺の背中を見て育てばいい。
戦火を酷薄な顔で観賞するサカキ。
その背中を見つめ、ナツメは拳に力をいれる。
悪。その背中。その背中が、ナツメを強く突き動かす。
ナツメ「ハッ!」
戦火に照らされた少女の顔には、もう幼さは消え失せていた……
マスコミのお約束だ。
持ち上げて、手のひら返し。
忌み子、呪われた子。超能力でのイタズラ。
そういった悪評を撒き散らされ、家族崩壊にまでなってしまった。
サカキ「その醜い世界を、俺が壊してやる」
――おまえは俺の背中を見て育てばいい。
戦火を酷薄な顔で観賞するサカキ。
その背中を見つめ、ナツメは拳に力をいれる。
悪。その背中。その背中が、ナツメを強く突き動かす。
ナツメ「ハッ!」
戦火に照らされた少女の顔には、もう幼さは消え失せていた……
エスパー部隊。キョウの調査部隊。
その報告をまとめ、ナツメが読み上げる。
サカキ「そうか、ヤツはある筈のない8階を形成し引きこもったか」
ナツメ「ハイ。物理攻撃は無駄かと。ATフィールド発動中です」
サカキ「ATフィールド?」
ナツメ「いえ。エスパー学における専門用語です」
サカキ「俺が欲しい報告じゃないな。ヤツを捕獲する手立てはないのか?」
ナツメ「それが……あッ、ア、ぐぁッ」
突然、頭を押さえ、苦しむナツメ。
その脳裏には、未来が足早に映し出されていく。
断片的なそれに、ナツメは吐き気を覚えた。
――これは四年後の、ポケモンタワーの予知だ。
その報告をまとめ、ナツメが読み上げる。
サカキ「そうか、ヤツはある筈のない8階を形成し引きこもったか」
ナツメ「ハイ。物理攻撃は無駄かと。ATフィールド発動中です」
サカキ「ATフィールド?」
ナツメ「いえ。エスパー学における専門用語です」
サカキ「俺が欲しい報告じゃないな。ヤツを捕獲する手立てはないのか?」
ナツメ「それが……あッ、ア、ぐぁッ」
突然、頭を押さえ、苦しむナツメ。
その脳裏には、未来が足早に映し出されていく。
断片的なそれに、ナツメは吐き気を覚えた。
――これは四年後の、ポケモンタワーの予知だ。
いくつかの断片予知。
その一つがナツメにとって衝撃的だった。
――その予知では、ナツメは少年に殺されるのだ。
サカキ「予知がきたか。もちろん、ヤツの捕獲についてのだな?」
そうでなければ使えない。
そんな声色でサカキがナツメを見下ろした。
ナツメ「……はい」
その予知の内容を、ナツメは語った。
その一つがナツメにとって衝撃的だった。
――その予知では、ナツメは少年に殺されるのだ。
サカキ「予知がきたか。もちろん、ヤツの捕獲についてのだな?」
そうでなければ使えない。
そんな声色でサカキがナツメを見下ろした。
ナツメ「……はい」
その予知の内容を、ナツメは語った。
サカキ「きははは、そうか。マサラの少年が餌か」
サカキ「まっさらなマサラが育む精神!
確かに伝承では『純粋な心の持ち主に姿を見せる』だったな」
サカキ「それでは我々がいくら向かった所で意味がない」
ナツメ「どうされますか?」
サカキ「全軍、引け。俺は四年後に備える」
ナツメ「……サカキ様」
サカキ「おまえの犠牲が必要ならば、払え。その命」
サカキ「――醜い世界を壊す礎となれ」
ナツメ「ハッ。ありがたき光栄です」
――私一人の力じゃ世界は壊せない。
でも悪の権化の、このお方ならば……
サカキ「まっさらなマサラが育む精神!
確かに伝承では『純粋な心の持ち主に姿を見せる』だったな」
サカキ「それでは我々がいくら向かった所で意味がない」
ナツメ「どうされますか?」
サカキ「全軍、引け。俺は四年後に備える」
ナツメ「……サカキ様」
サカキ「おまえの犠牲が必要ならば、払え。その命」
サカキ「――醜い世界を壊す礎となれ」
ナツメ「ハッ。ありがたき光栄です」
――私一人の力じゃ世界は壊せない。
でも悪の権化の、このお方ならば……
全軍が引いていく。
サカキが聳えたつタワーを振り返った。
サカキ「――待っていろよ、幻のポケモン、ミュウ。
俺の悪意が、貴様を呑みこんでやる」
きはははははははははははははッ!!
ナツメ「――マサラの少年、か。
私はどんなヤツに殺されるのだろうな」
四年後。ナツメはトキワの森で、その少年と出会った――。
― 四年前/了 ―
サカキが聳えたつタワーを振り返った。
サカキ「――待っていろよ、幻のポケモン、ミュウ。
俺の悪意が、貴様を呑みこんでやる」
きはははははははははははははッ!!
ナツメ「――マサラの少年、か。
私はどんなヤツに殺されるのだろうな」
四年後。ナツメはトキワの森で、その少年と出会った――。
― 四年前/了 ―
――俺がロケット団の首領だ。驚いてもらえたかな?
その発言後、レッドとサカキの戦闘が始まった。
スピアーとサイドン。
圧倒的に力負けのするスピアー。
速さと毒で翻弄されるサイドン。
両者の角と針が火花を散らす姿は、
さながら主君の名誉をかけた騎士の殺しあいだ。
が、その勝負を打ち切ったのは、やはりサカキだった。
その発言後、レッドとサカキの戦闘が始まった。
スピアーとサイドン。
圧倒的に力負けのするスピアー。
速さと毒で翻弄されるサイドン。
両者の角と針が火花を散らす姿は、
さながら主君の名誉をかけた騎士の殺しあいだ。
が、その勝負を打ち切ったのは、やはりサカキだった。
リザードンの背にのるサカキ。
レッドを見つめるリザードン。
レッド「……」
サカキ「ふん、これ程ナラしたリザードンすら、おまえに好意を抱くか。
――だからこそ、おまえが必要なのだレッド」
カスミ「ちょっとアンタ、タダで帰るつもりじゃないでしょうねェッ!」
エリカ「あら、お茶の席を用意致しますのに。
きっちり絞り上げて、証言をお聞きしたいですわ」
ふたりはモンスターボールをかまえた。
サカキ「残念だが、遊びは終わりなんだよ」
すっとサカキが手をあげると、リザードンが炎を吐いた。
レッドを見つめるリザードン。
レッド「……」
サカキ「ふん、これ程ナラしたリザードンすら、おまえに好意を抱くか。
――だからこそ、おまえが必要なのだレッド」
カスミ「ちょっとアンタ、タダで帰るつもりじゃないでしょうねェッ!」
エリカ「あら、お茶の席を用意致しますのに。
きっちり絞り上げて、証言をお聞きしたいですわ」
ふたりはモンスターボールをかまえた。
サカキ「残念だが、遊びは終わりなんだよ」
すっとサカキが手をあげると、リザードンが炎を吐いた。
サカキとレッドたちのまえに、炎の境界線が引かれた。
バッサッ、バッサッ、と飛び始めるリザードン。
サカキ「レッドよ」
レッド「……」
サカキ「どんな苦難を与えても、貴様は悪に染まらなかった。
そこの正義ったらしい娘たちを仲間と思うくらいだ。
もう、俺が歩んだ道に、踏み外すことはないだろう」
――喜ばしいが、本心としては残念だ。
バッサッ、バッサッ、バッサッ――。
レッド「…………」
サカキ「シオンタウン。ポケモンタワー。
そこの最上階を、決着の舞台としようじゃないか」
サカキ「待っているぞ。レッド――ッ」
シュッバッ―――。
サカキをのせたリザードンが、遥か上空に飛び去っていった。
バッサッ、バッサッ、と飛び始めるリザードン。
サカキ「レッドよ」
レッド「……」
サカキ「どんな苦難を与えても、貴様は悪に染まらなかった。
そこの正義ったらしい娘たちを仲間と思うくらいだ。
もう、俺が歩んだ道に、踏み外すことはないだろう」
――喜ばしいが、本心としては残念だ。
バッサッ、バッサッ、バッサッ――。
レッド「…………」
サカキ「シオンタウン。ポケモンタワー。
そこの最上階を、決着の舞台としようじゃないか」
サカキ「待っているぞ。レッド――ッ」
シュッバッ―――。
サカキをのせたリザードンが、遥か上空に飛び去っていった。
――数時間後、タマムシ郊外。
レッドは巨大なイーブイの背にのった。
向かうはシオンタウン。ロケット団の頭を叩く。
――たぶん、そこにナツメも、と一人の女を想うレッド。
カスミ「こら、レッド! もう行くつもり?」
エリカ「あらあら。カスミさんも寂しがり屋さんですわね」
カスミ「エッ、エリカさんだって、そうじゃないですかぁッ!」
振り返ると、朋輩と呼んでくれた少女たちがいた。
エリカ「レッドさん。私はジムの件でお伴できません――これを」
そういってエリカはたくさんのバッチを手渡した。
レッド「……」
エリカ「これは全てのジムバッチの真贋です。
ジム戦でもらえるバッチは、すべてこれのレプリカなのです。
バッチはリーダーを束ねる、このエリカの管轄ですので、
――かるく本部から拝借してきましたわ」
ふふふ、と笑うエリカ。
エリカ「きっと貴方の才とポケモンの力を、バッチが大いに強化してくれますわ」
レッドは巨大なイーブイの背にのった。
向かうはシオンタウン。ロケット団の頭を叩く。
――たぶん、そこにナツメも、と一人の女を想うレッド。
カスミ「こら、レッド! もう行くつもり?」
エリカ「あらあら。カスミさんも寂しがり屋さんですわね」
カスミ「エッ、エリカさんだって、そうじゃないですかぁッ!」
振り返ると、朋輩と呼んでくれた少女たちがいた。
エリカ「レッドさん。私はジムの件でお伴できません――これを」
そういってエリカはたくさんのバッチを手渡した。
レッド「……」
エリカ「これは全てのジムバッチの真贋です。
ジム戦でもらえるバッチは、すべてこれのレプリカなのです。
バッチはリーダーを束ねる、このエリカの管轄ですので、
――かるく本部から拝借してきましたわ」
ふふふ、と笑うエリカ。
エリカ「きっと貴方の才とポケモンの力を、バッチが大いに強化してくれますわ」
カスミ「さっきのバトルを見て、私は足でまといだって分かった。
でもだからって、逃げるつもりはないわ。私はエリカさんを手伝う。
だから、私は、こんなことしかできないけど――」
民族衣装のカスミが、静かに踊り始めた。
そのゆったりなリズム。幻想的な姿。歌声。
まるで大海を見守る、人魚を彷彿させられる。
見えない力に、守られているような気分だった……
ジャン、タッタタ、ランッ――
最後のステップを決め、カスミが頭を下げる。
でもだからって、逃げるつもりはないわ。私はエリカさんを手伝う。
だから、私は、こんなことしかできないけど――」
民族衣装のカスミが、静かに踊り始めた。
そのゆったりなリズム。幻想的な姿。歌声。
まるで大海を見守る、人魚を彷彿させられる。
見えない力に、守られているような気分だった……
ジャン、タッタタ、ランッ――
最後のステップを決め、カスミが頭を下げる。
カスミ「これ、ある神秘の水島に伝わる、伝統的な踊りなの。
眉つばなんだけど、旅人に加護を与えるんだって!」
レッド「――――」
カスミ「で、どうよ? 御利益ありそう?」
顔を真っ赤にしたカスミが、上目遣いでレッドを見つめた。
レッド「……」こくり。
眉つばなんだけど、旅人に加護を与えるんだって!」
レッド「――――」
カスミ「で、どうよ? 御利益ありそう?」
顔を真っ赤にしたカスミが、上目遣いでレッドを見つめた。
レッド「……」こくり。
胸のまえで両手をあわせて、カスミが満面の笑みをみせた。
カスミ「そう、よかった! レッド、いってらっしゃい!」
エリカ「あなたの帰りをお待ちしていますわ」
レッドは別れを告げ、イーブイにのり駆けだした。
向かうは、シオンタウンの、ポケモンタワーだ。
カスミ「そう、よかった! レッド、いってらっしゃい!」
エリカ「あなたの帰りをお待ちしていますわ」
レッドは別れを告げ、イーブイにのり駆けだした。
向かうは、シオンタウンの、ポケモンタワーだ。
流れていく花々や木岐の景色。
近代的な建物すら、とても柔らかい色をしている。
虹色のようなタマムシの風景を、レッドは跡にする。
カスミとエリカ。彼女たちが託したモノ。
それは眼にはみえないものだ。
しかしレッドは想う。
――それはタマムシシティのような、鮮やかな色のような気がした。
――なかま、か。
イーブイの背で、レッドは強く拳を握りしめた。
― タマムシ にじいろ ゆめのいろ ―
■■ 朋輩の質量/了 ■■■
もうすぐ完結ですが、しばらく落ちます。
保守、支援してくれてる方、ありがとうございます。
>>733
ヒマな時間の書き散らしなので、時間は分かりません。
いま計算したら4日で4万文字でした。一日1万文字の速度でした。
保守、支援してくれてる方、ありがとうございます。
>>733
ヒマな時間の書き散らしなので、時間は分かりません。
いま計算したら4日で4万文字でした。一日1万文字の速度でした。
>>1「4万字も書いた」キリッ
>>1乙
でかいイーブイってなかなかシュールだな
でかいイーブイってなかなかシュールだな
■■ ミュウ ■■
◇ 桜咲くカフェテリア ◇
――ポケモンタワー、入口の洞窟前。
岩壁に寄りかかっているナツメがいた。
ナツメ「――よく来たな坊や」
レッド「…………」
ナツメ「ここでおまえと我々ロケット団。
どちらかが潰れることになるだろう」
ナツメ「まぁ、万が一にもサカキ様が負けるなどありえないがな」
と、ナツメはシニカルな笑みを浮かべた。
◇ 桜咲くカフェテリア ◇
――ポケモンタワー、入口の洞窟前。
岩壁に寄りかかっているナツメがいた。
ナツメ「――よく来たな坊や」
レッド「…………」
ナツメ「ここでおまえと我々ロケット団。
どちらかが潰れることになるだろう」
ナツメ「まぁ、万が一にもサカキ様が負けるなどありえないがな」
と、ナツメはシニカルな笑みを浮かべた。
レッド「――」
ナツメ「久しぶりにあったと思ったら、ずいぶん嫌な顔になった」
レッド「……」
ナツメ「なんだ、その緩みきった顔は。
以前のおまえは、もっとギラついていたぞ?」
レッド「――」
ナツメ「故郷は、社会は、家族は、同郷のグリーンは……
みなお前を怨み、恐れ、遠ざけているというのに――!」
ナツメ「だというのに、たいそう善人な顔をする。
まるで『決闘者』だ。復讐者のそれではない。
――なぜ、なぜ、そんな顔ができる……」
苛立ちげに、ナツメが睨む。
それを真っ当から受け止めるレッド。
ナツメ「久しぶりにあったと思ったら、ずいぶん嫌な顔になった」
レッド「……」
ナツメ「なんだ、その緩みきった顔は。
以前のおまえは、もっとギラついていたぞ?」
レッド「――」
ナツメ「故郷は、社会は、家族は、同郷のグリーンは……
みなお前を怨み、恐れ、遠ざけているというのに――!」
ナツメ「だというのに、たいそう善人な顔をする。
まるで『決闘者』だ。復讐者のそれではない。
――なぜ、なぜ、そんな顔ができる……」
苛立ちげに、ナツメが睨む。
それを真っ当から受け止めるレッド。
レッド「――――」
ナツメ「ただ坊やに会いたくなっただけさ」
レッド「……」
ナツメ「私は心理学者じゃないんだ。会いたくなった理由なんて知るか。
――まあ、これが最後だからだろうさ」
そっぽを向いて、ナツメがいった。
ナツメ「おまえはこの塔の8階で、サカキ様と戦う。
そして何故か、私はここでお前に殺される……」
レッド「……」
ナツメ「それが私が見た、予知の断片だ。
ちなみに私は、予知を外したことはない」
ナツメ「――いや、一度だけ、あったな」
レッド「?」
ふっと儚げに自嘲するナツメ。
ナツメ「ただ坊やに会いたくなっただけさ」
レッド「……」
ナツメ「私は心理学者じゃないんだ。会いたくなった理由なんて知るか。
――まあ、これが最後だからだろうさ」
そっぽを向いて、ナツメがいった。
ナツメ「おまえはこの塔の8階で、サカキ様と戦う。
そして何故か、私はここでお前に殺される……」
レッド「……」
ナツメ「それが私が見た、予知の断片だ。
ちなみに私は、予知を外したことはない」
ナツメ「――いや、一度だけ、あったな」
レッド「?」
ふっと儚げに自嘲するナツメ。
ナツメ「だれかと。――そう。だれかと一緒にいるんだ。
どこかのカフェだった。硝子を隔てた向こうには、桜が散っていた。
そこで私は楽しげにだれかを、からかいながらコーヒーを啜っていた……」
――アレはだれだったんだろうな。
一瞬、温かい顔をのぞかせたナツメ。
それもすぐに、いつものクールな顔に切り替わる。
ナツメ「結局、そんな未来は訪れなかった。
――いまの私からしたら、キモち悪いほど幸福な予知だったよ」
レッド「……」
どこかのカフェだった。硝子を隔てた向こうには、桜が散っていた。
そこで私は楽しげにだれかを、からかいながらコーヒーを啜っていた……」
――アレはだれだったんだろうな。
一瞬、温かい顔をのぞかせたナツメ。
それもすぐに、いつものクールな顔に切り替わる。
ナツメ「結局、そんな未来は訪れなかった。
――いまの私からしたら、キモち悪いほど幸福な予知だったよ」
レッド「……」
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