元スレ朋也「軽音部? うんたん?」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ★★★×5
351 = 70 :
ともぴょんキマシタワ
352 = 1 :
朋也「だったか?」
春原「もう忘れたのかよっ!? なら、最初からいうなっ!」
朋也「いや、最初のほうは小学二年生だったからわかんなかったんだよ」
春原「ちゃんと第二次性徴むかえてただろっ」
朋也「いきなりすぎて気づかなかったんだ」
春原「なんだよ、おまえの言う通りにしてやったのによ…」
朋也「悪いな。じゃ、次はさ、一発屋芸人のようにやってくれよ」
春原「おまえさ、僕で遊んでない?」
朋也「え? そうだけど?」
春原「さも当たり前のようにいうなっ!」
春原「くそぅ、やっぱ、確信犯かよ…」
朋也「まぁ、結構おもしろかったんだし、いいじゃん」
春原「それ、あんただけだよっ!」
―――――――――――――――――――――
唯「とうとう明日だね、和ちゃん」
353 = 43 :
和「そうね」
律「確か、演説とかするんだよな」
和「ええ」
律「公約とか、理想みたいなのを延々語るんだろ?」
和「ごめんなさいね、退屈で」
律「いや、和が謝ることないけど」
澪「和が生徒会長になってくれたら、学校も今よりよくなるよ」
和「ありがとう」
唯「和ちゃんの公約って、なに?」
和「無難なものよ。女の子受けするように、スカート丈が短くてもよくするとか…」
和「ソックスの種類を学校の純正品以外も可にするとかね」
和「男の子向けだと、夏はシャツをズボンから出してもよくする、とか…」
和「まぁ、先生受けは悪いし、ほとんど守れないんだけどね」
こいつが本気になればどれも軽く実現しそうだった。
律「じゃあさ、春原をこの学校から根絶します、とかだったらいいんじゃね?」
354 = 1 :
律「それなら、先生受けもいいだろうし」
春原「いや、デコの出し過ぎを取り締まったほうがいいよ」
春原「昔、ルーズソックスとかあったじゃん。もう絶滅してるけど」
春原「それと同じで、ルーズデコも、もう世の中が必要としてないと思うんだよね」
律「………」
春原「………」
引きつった笑顔で睨み合う。
澪「また始まった…」
朋也「なら、折衷案しかないな」
春原「折衷案?」
律「折衷案?」
朋也「ああ。間を取って、春原の上半身だけ消滅すればいいんだよ」
春原「僕が一方的に消えてるだろっ!」
律「わははは!」
―――――――――――――――――――――
………。
355 = 43 :
―――――――――――――――――――――
放課後。生徒会室に集まった。
和「じゃあ、今日は…」
こんこん
扉がノックされる。
和「…どうぞ」
真鍋の表情が険しくなる。
警戒しているようだった。
女生徒「失礼する」
ひとりの女生徒が入室してくる。
真鍋が俺に目配せし、廊下の方に小さく顎を振った。
他に誰かいないか、確認するよう指示してきたのだろう。
俺はそのサインを汲み取り、廊下を見渡しに出た。
人影はみあたらない。
女生徒がこちらに背を向けていたので、その場から手でOKサインを送った。
真鍋も目だけをこちらに向けて気取られない程度に頷く。
和「私に用があるのよね?」
女生徒「ああ」
和「でも、どうしてここが?」
356 = 1 :
女生徒「去年あなたと生徒会役員をやっていた生徒が、私の友達になってくれたんだ」
女生徒「それで、挨拶しに行きたいと言ったら、ここにいるはずだと教えてくれた」
和「…なるほどね」
女生徒「ああ、申し遅れたが、私は二年の坂上智代という」
こいつが、例の…。
和「ええ、知ってるわ」
智代「そうか。それは光栄だ」
智代「あなたは、かなりのやり手だと聞く。けど、私も退くわけにはいかない理由がある」
智代「明日は誰が勝っても恨みっこなしだ。お互いがんばろう。それだけ言いにきた」
和「…そう」
智代「他の立候補者にも挨拶に行きたいので、これで失礼する」
出入口のあるこちら側に振り返る。
そこへ、春原がチンピラ歩きで寄っていった。
春原「おい、てめぇ。上級生にたいして口の利き方がなってねぇなぁ、おい」
智代「…なんだ、この黄色い奴は」
春原「金色だっ」
357 = 43 :
智代「うそをつけ。ブレザーと同じ色だぞ」
春原「なにぃっ!?」
智代「真鍋さん、こいつは部外者じゃないのか」
和「いえ…私の手伝いをしてもらっていたの」
智代「そうか…」
残念そうな顔。
朋也「始末したいなら、別にいいぞ」
春原「おい、岡崎っ!?」
智代「…真鍋さん、そっちは」
和「同じく、私のお手伝いよ」
智代「そうか。なら、正式な許可がおりたということだな」
春原「ああ? なに言って…」
ばしぃっ!
春原「ぎゃぁぁあああああああああああああっ!!」
内股に強烈なインローが入り、悶絶し始めた。
うずくまり、ぷるぷると震えている。
358 = 1 :
智代「すっきりしたし、これで本当に失礼する」
転がっている春原を跨ぎ、俺がいる方のドアに近づいてくる。
和「…待って」
智代「なんだ」
立ち止まり、真鍋に向き直った。
和「考え直さない?」
智代「というと?」
和「生徒会長よ。あなた、まだ二年だし、副会長からでもいいんじゃない?」
智代「それは…だめだ。言ったはずだ。退けない理由があると」
智代「あなたにもあるだろう。それと同じことだ」
和「…そうね。引き止めて悪かったわ」
智代「いや、これくらいなんでもない。それでは」
会釈し、歩き出す。
そして、俺の脇を抜けて出て行こうとした。
朋也「待てよ」
智代「なんだ? 今度はおまえか?」
359 = 43 :
朋也「ああ。差し支えなかったら、おまえのその、退けない理由ってのを教えてくれないか」
智代「…まぁ、いいだろう」
智代「坂のところに桜並木があるだろ」
朋也「ああ」
智代「私は、あれを守りたいんだ」
朋也「守るって…なにから」
智代「この学校…と言っていいのかな…」
朋也「あん? どういうことだ」
智代「この学校の意向でな、あそこの桜が撤去されることになるらしいんだ」
智代「だから、私は生徒会長になって、直接訴えたいんだ」
智代「あの桜は残して欲しい、とな」
朋也「なんでまた、そんなもんのために…」
智代「それは…」
さっきまでの、固い意志を感じさせる凛とした表情が急に崩れた。
どこか悲しそうにして、目を泳がせている。
朋也「ああ、いいよ、言いたくないなら」
360 = 1 :
智代「うん…助かる」
朋也「でもさ、それっておまえが生徒会長にならなくてもできるんじゃねぇ?」
智代「どうやってだ」
朋也「今の願いを真鍋に聞いてもらえばいいだろ」
智代「でも、これは私が直接したいんだ。誰かが代わりにやったんじゃ、意味がないことなんだ」
朋也「じゃあ、おまえがこのまま選挙で戦ったとして、絶対に勝つことができるのか?」
朋也「真鍋も、そうとう手強いぞ」
智代「それは…」
朋也「もし、負けでもしたら、おまえはただの一般生徒」
朋也「おまえ一人の声なんて、上には届かないよな?」
朋也「だったらさ、副会長として真鍋の下についたほうがよくないか」
智代「でも…」
朋也「ああ、おまえ自身の手でやりたかったんだよな」
朋也「でも、結局おまえが生徒会長の座についても、誰かの手は借りることになるんだぜ」
朋也「桜並木を撤去するなんて、相当大きな力が働いてそう決まったんだろ」
361 = 43 :
朋也「だったら、いくら生徒会長でも、ひとりだけじゃ太刀打ちできないよな」
智代「………」
朋也「な? そうしろよ」
朋也「おまえ、この学校に来てまだ間もないんだろ? 聞いたよ」
朋也「だからさ、真鍋の下について、いろいろ教えてもらえ」
朋也「この学校にはこの学校のルールがあるんだからさ」
本当に、いろいろと。
俺もここで真鍋に使われる前は知らなかった裏がたくさんある。
智代「…今から副会長に変更しても間に合うだろうか」
朋也「どうなんだ、真鍋」
和「ええ…可能よ。前日になって変更なんて、前代未聞だけど」
智代「そうか。どこで手続きを踏めばいい?」
和「選挙管理委員会が使ってる教室が旧校舎の三階にあるから、そこへいけば」
智代「わかった。ありがとう、新生徒会長」
朋也「っと、今まで真鍋が当選するって前提で話しちまってたけど、その限りじゃないからな」
智代「いや…私と真鍋さんの二強だって、なんとなくわかっていたからな」
362 = 1 :
智代「これで、もう真鍋さんがなったも同然だ」
にこっと笑う。その相貌には邪気がない。
自虐的なそれでもなく、純粋な、祝福する時の笑顔だった。
智代「それじゃ、失礼する」
廊下へ出て、戸を閉めた。
足音が遠ざかっていく。
旧校舎へ向かったんだろう。
和「………」
朋也「だとよ、新生徒会長」
和「…岡崎くん、あなたやるわね。あの坂上さんを、ああもスマートに言いくるめるなんて」
朋也「そりゃ、どうも」
和「これからも私の元で働く気はない? 磨けば光るものを持っている気がするんだけど…」
朋也「いや、もうこの遊びもそろそろ飽きたからな。遠慮しとく」
和「おいしい目をみれるわよ? 大学の推薦だって、欲しければ力になってあげられるわ」
朋也「俺、進学する気ないんだけど」
朋也「それに、いくらドロドロしてて面白いってことがわかっても、生徒会だからな」
朋也「俺の肌に合わねぇよ」
363 :
アキレスとカメの気分だ
364 = 43 :
和「そう…残念」
和「でも…これで今夜はゆっくり眠れるわ」
和「不確定要素は、なにも知らない一般のミーハーな無党派層だけだし…」
和「明日はただのデキレースになるでしょうね」
朋也「そっか」
和「今まで本当にありがとう。晴れてあなたたちは自由の身よ」
つまりもう帰っていいということか。
普通にそう言えばいいのに。
朋也「ああ、そうだ、ひとつ教えてくれ」
和「なに?」
朋也「おまえの退けない理由ってなんだ?」
和「え?」
朋也「坂上が退けない理由があるから戦うっていった時、おまえ、折れたじゃん」
朋也「だから、おまえにもあるんだろ。理由がさ」
和「そうね…あるわ。それは…」
がっ、と下にあったものを踏みつけ、片足の位置を上げた。
365 :
見てるよ
366 = 1 :
そして、腕を組む。
和「プライドよ」
あきれるほど自分に正直だった。
坂上の、安易に立ち入れなそうな理由を聞いた後では、ちょっと可笑しくて笑ってしまいそうになる。
朋也「そっか。まぁ、そういう奴も、嫌いじゃないよ」
和「それは、どうも」
春原「…あの、和さん…足、頭からどけてくれませんか…」
―――――――――――――――――――――
367 = 70 :
春原…
368 = 43 :
4/16 金
この日、全校朝会に続き、一時間目を使って選挙が行われた。
春原も珍しく朝から姿を現していた。
なんだかんだ、自分が暗躍したことなので、気になったらしい。
演説が終わると、教室に戻り投票が行われた。
当然、俺は真鍋に一票を投じた。
発表は明日行われるらしい。
―――――――――――――――――――――
昼は、おなじみのメンバーで食べた。
唯「当選してるといいね」
和「ほんと、そうだといいけど…」
律「楽勝だって」
和「そこまで甘くないわよ」
よく言う。
デキレースだと言い切ったのと同じ口から出た言葉だとは思えない。
―――――――――――――――――――――
そして、放課後。
俺はなぜかまた生徒会室に呼び出されていた。
朋也「どうした。もう終わりなんじゃなかったのか」
369 = 1 :
和「忘れてたの。これで本当に最後よ」
朋也「春原は?」
和「呼んでないわ。あなたにやってもらいたいの」
朋也「はぁ…」
―――――――――――――――――――――
依頼内容は、こうだった。
ある生徒を呼び出して、真鍋から渡されたメモ用紙に書いてある内容を読み上げる。
かなり単純だった。
だが、呼び出す、というところに乱暴なニュアンスを感じる。
最後の最後でキナ臭い指令が下ったものだ。
まさか…秘密を知った俺を始末するためにやらせるんじゃないだろうな…。
警察沙汰になって、退学になれば、なにを証言しても、すべて妄言だと取られるだろう。
もしかしたら、春原はもう…。
朋也(まさかな…)
少しビクつきながらもターゲットを探した。
―――――――――――――――――――――
そして、俺はその男を指定された場所につれてくることに成功した。
男子生徒「…なんですか」
朋也「えーっとな…」
370 = 43 :
ポケットから紙を取り出し、読み上げる。
朋也「ゆいは俺の女だ。手出したら殺すぞ…」
朋也(ゆい? 俺の知ってる奴は…平沢くらいだぞ)
男子生徒「あ…うぅ…」
朋也(抵抗した場合、三枚目へ。ひるんだ場合二枚目へ、か)
朋也(ひるんでるよな…二枚目…)
朋也「おら、もういけ」
そう書いてあった。
男子生徒「…はい」
うなだれて、とぼとぼと立ち去っていった。
和「…うん、上出来よ」
木陰から真鍋がひょこっと出てくる。
…いたのかよ。
朋也「これ、なんだったんだ」
和「ん? わからない?」
朋也「ああ、まったく」
371 = 1 :
和「そういうことには鈍感なのね」
朋也「あん?」
和「だから、さっきのあの人、唯に気があったのよ」
朋也「ふぅん…って、それ、なんか生徒会と関係あんのか」
和「いいえ。これはただの私事よ」
朋也「おまえ、あいつになんの恨みがあったんだよ…」
和「恨みはないわ。ただ、唯に悪い虫がつかないようにしただけよ」
朋也「なんでおまえがんなことするんだよ」
和「幼馴染だしね。大事にしてるのよ」
朋也「へぇ、おまえ、幼馴染なんていたの…」
…幼馴染?
朋也「もしかして、この紙にある ゆい って、平沢か?」
和「ええ、そうよ。気づかなかった?」
朋也「気づかなかった? じゃねぇよっ! なんてことさせてくれるんだよっ!」
和「あら? なんで怒るの?」
372 = 43 :
朋也「そりゃそうだろっ。俺、別にあいつの彼氏でもなんでもねぇし」
和「でも、かなり仲良くしてるじゃない。一緒に登校もしてるみたいだし」
朋也「それは、いろいろあって、しょうがなくだよ」
和「ふぅん。両思いなのに、お互い踏み出せないでいるのかと思ってたわ」
朋也「それはないっての。つか、いいのかよ」
和「なにが?」
朋也「俺、思いっきり悪い虫じゃん」
和「まぁ、見かけはね。でも、なかなか見所もあるってわかったし…」
和「あなたならいいかなって思ったのよ。そうじゃなきゃ、こんな役させないわ」
和「まぁ、唯がなついた人だから、悪い人ではないのかなとは思ってたけどね」
朋也「いや、おまえに買われるのも、悪い気はしねぇけどさ…」
和「それで納得しときなさいよ」
朋也「はぁ…」
和「ま、最初は潰しておこうかと思ったんだけどね」
さらりと怖いことをいう。
374 = 1 :
和「でも、ほら、今までのゴタゴタがあって、手が回らなかったのよ」
…俺は坂上に感謝しなければいけないのかもしれない。
和「あの子に近づく変な男って今までたくさんいたのよ」
和「ほら、あの子可愛いじゃない? だから、大変だったわ」
和「それが高校に入って、軽音部に入部してからはもう、それまでの倍は手間取ったわ」
和「生徒会の権力を使ってようやく追いつくくらいだったもの」
そこまでモテていたのか…。
和「あなたも、あんな可愛いのに、彼氏の気配がないのはおかしいと思わなかった?」
朋也「まぁ、普通に彼氏がいても不思議じゃないとは思うけど」
和「私が全て弾いていたからね」
強力すぎるフィルターだった。
和「だから、あの子、今まで男の子と交際したことがないの。大切にしてあげてね」
朋也「いや、だから、そもそも付き合ってないんだけど」
和「あら、そうだったわね。でも、時間の問題な気がするの」
和「女のカンだから、根拠はないけどね」
375 = 43 :
朋也「ああ、そう…」
和「それじゃあね」
言って、背を向ける。
朋也「あ、なぁ」
和「なに?」
振り返る。
朋也「おまえに彼氏がいたことってないのか」
なんとなく気になったので訊いてみた。
和「私? 私は、ないけど」
朋也「そっか。なんか、もったいないな」
376 = 1 :
朋也「おまえも平沢の保護ばっかしてないで、彼氏くらい作ればいいのに」
和「私はいいのよ、別に」
朋也「なんでだよ」
和「特に容姿がいいわけでもないし…作るの大変そうじゃない」
朋也「いや、おまえも普通に可愛いじゃん。男はべらせてうっはうはだろ」
和「っ…馬鹿ね…」
そう小さく言って、踵を返した。
そのまま校舎の方に戻っていく。
………。
初々しい反応も見れたことだし…よしとしておこう。
―――――――――――――――――――――
377 = 43 :
4/17 土
唯「あ、おはよ~」
女の子「おはようございます」
朋也「ん…」
平沢と、その隣にもうひとり。
髪を後ろで束ねた女の子がいた。校章の色は、二年のものだ。
唯「岡崎くん、やったねっ。合格だよっ」
朋也「なにが」
事情が飲み込めない。
唯「前に言ったでしょ? もう少し早く来れば私の妹と一緒にいけるって」
そういえば、言っていたような…。
唯「これが、私の妹でぇす」
女の子「初めまして。平沢憂です」
平沢に大げさな手振りで賑やかされながら、そう名乗った。
朋也「はぁ、どうも…」
見た感じ、妹というだけあって、顔はよく似ていた。
378 = 1 :
雰囲気的には平沢に比べ少し堅い感じがある。
まぁ、それも、見知らぬ上級生に対する、作った像なのかもしれないが。
憂「岡崎さんのことは、お姉ちゃんからよく聞いてます」
朋也「はぁ…」
なにを言われているんだろう。
憂「聞いてた通りの人ですね」
朋也「あん? なにが」
憂「お姉ちゃん、よく岡崎さんのこと…」
唯「あ、憂っ、あそこっ、アイスが壁にめり込んでるっ」
憂「え? どこ?」
唯「あ~、残念、もう蒸発してなくなっちゃった」
憂「えぇ? ほんとにあったの?」
唯「絶対間違いないよっ、多分っ」
憂「どっちなの…」
朋也(にしても…うい、ねぇ…う~む…)
俺は、その響きに引っかかりを覚えていた。
379 = 43 :
どこかでその名を聞いた気がする。
朋也(どこだったかな…)
記憶をたどる。
そう…あれは確か、軽音部の新勧ライブの日だったはずだ。
薄暗い講堂の中、会話が聞えてきた。
そこで、お姉ちゃん、と言っていたのが、その うい という子だった。
とすると…あの時、あの場に居たのはこの子だったのだ。
憂「あの…どうかしましたか?」
はっとする。
俺は考え込んでいる間、ずっとこの子を凝視してしまっていた。
さすがにそんなことをしていれば、不審に思われても仕方ない。
ただでさえ、俺は生来の不機嫌そうな顔を持っているのだ。
よく人に、怒っているのかと聞かれるくらいに。
朋也「いや、なんでも」
精一杯の作り笑顔でそう答えた。
不自然さを気取られて、さらに引かれていないだろうか…。
それだけが心配だった。
唯「私たち、ちょうどさっき来たばっかりなんだよ」
朋也「そうなのか」
唯「うん。でね、なんか、予感してたんだ」
380 = 1 :
朋也「予感?」
唯「うん。そろそろ岡崎くんが来るんじゃないかってね」
朋也「そら、すげぇ第六感だな。大当たりだ」
唯「違うよぉ。そんなのじゃないって」
唯「岡崎くん、日に日に来るの早くなってたでしょ。それでだよ」
今週はずっと朝から登校してたからな…。
そろそろ体が慣れてきたのかもしれない。
といっても、相変わらず眠りにつくのは深夜だったから、今も眠気はたっぷりあるが。
どうせまた、授業中は寝て過ごすことになるだろう。
唯「ずっとがんばり続けてたから、今日はこんなボーナスがつきました」
妹を景品のようにして、俺の前面にすっと差し出した。
朋也「じゃあ、さらに早くきたらどうなるんだ」
唯「え? えーっとね…」
しばし考える。
唯「どんどん憂の数が増えていきますっ」
憂「お、お姉ちゃん…」
朋也「そっか。なら、あと三人くらい増やそうかな」
382 = 43 :
憂「ええ!? お姉ちゃんの話に乗っちゃった!?」
憂「っていうか、私は一人しかいませんよぅ」
唯「そうなの?」
憂「常識的に考えてそうだよぉ、もう…」
唯「憂なら細胞分裂で増えるくらいできるかなぁと思って」
憂「それ、もはや人じゃないよね…」
妹のほうは姉と違って普通の感性をしているんだろうか。
突拍子も無いボケに、冷静な突っ込みを入れていた。
唯「じゃ、そろそろいこっか」
憂「うん」
ふたりが歩き出し、俺もそれに続いた。
―――――――――――――――――――――
唯「あーあ、とうとう全部散っちゃったね、桜」
憂「そうだね」
平沢姉妹と共に坂を上っていく。
これを、両手に花、というんだろうか…。
意識した途端、なんとも気恥ずかしくなる。
383 = 1 :
朋也(ホストじゃあるまいし…)
俺はワンテンポ遅れて、後ろを歩いた。
憂「岡崎さん、どうしたんですか?」
その変化に気づいたのか、後ろにいる俺に振り返った。
朋也「いや、別に」
唯「ああっ、わかった! 憂、気をつけないとっ」
憂「え? なに?」
唯「岡崎くん、坂で角度つけて私たちのスカートの中覗こうとしてるんだよっ」
憂「え? えぇ?」
その、覗く、という単語に反応してか、周りの目が一瞬俺に集まった。
朋也(あのバカ…)
朋也「んなわけねぇだろっ」
俺は一気にペースを上げ、ふたりを抜き去っていった。
唯「あ、冗談だよぉ。待ってぇ~」
憂「岡崎さん、早いですっ」
384 = 43 :
ぱたぱたと追ってくる元気な足音が後ろからふたつ聞こえていた。
―――――――――――――――――――――
唯「もう許してよぉ…ね?」
下駄箱までずっと無視してやってくる。
平沢はさっきから俺の周囲をうろちょろとして回っていた。
朋也「………」
憂「あれは、お姉ちゃんが悪いよ、やっぱり」
唯「うぅ、憂まで…」
朋也「よくわかってるな」
俺は妹の頭に手を乗せ、ぽんぽんと軽くなでた。
憂「あ…」
唯「………」
それを見ていた平沢は、片手で髪を後ろでまとめ…
唯「私が憂だよっ。憂はこっちだよっ」
微妙な裏声でそういった。
朋也(アホか…)
385 = 1 :
だが、同時に毒気も抜かれてしまった。
朋也「似てるけど、あんま似てない」
平沢の頭にぽん、と触れる。
唯「あ、やっと喋ってくれたっ」
憂「よかったね、お姉ちゃん」
唯「うん。えへへ」
ふたりして、喜びを分かち合う。
仲のいい姉妹だった。
梓「…おはようございます」
いつの間にか、軽音部二年の中野が近くに立っていた。
こいつも、今登校してきたんだろう。
唯「あっ、あずにゃん。おはよう」
憂「おはよう、梓ちゃん」
梓「うん、おはよう憂」
梓「………」
じろっと俺を睨む。
そして、平沢の手を引いて俺から離した。
386 = 43 :
唯「あ、あずにゃん?」
そして、俺の方に寄ってくる。
梓「…やっぱり、仲いいんですね。頭なでたりなんかして…」
ぼそっ、と不機嫌そうにささやいた。
梓「しかも、憂にまで…」
朋也「いや、ふざけてただけだって…」
梓「へぇ、そうですか。先輩はふざけて女の子の頭なでるんですか」
梓「やっぱり違いますね、女の子慣れしてる人は」
朋也「そういうわけじゃ…」
言い終わる前、平沢のところに戻っていった。
梓「先輩、今日も練習がんばりましょうねっ」
言って、腕に絡みつく。
唯「うんっ…って、あずにゃんから私にきてくれたっ!?」
梓「なに言ってるんですか、いつものことじゃないですか」
梓「私たち、すごく仲がいいですからね。もう知り合って一年も経ちますし」
387 = 1 :
梓「その間にかなり絆は深まってますよ。部外者がそうやすやすと立ち入れないほどに」
ちらり、と俺を見る。
唯「う…うれしいよ、あずにゃんっ」
がばっと勢いよく正面から抱きしめた。
梓「もう、唯先輩は…」
中野もそれに応え、腕を回していた。
しばしそのままの状態が続く。
梓「ほら、もう離してください」
回していた手で、とんとん、と背中を軽く叩く。
梓「続きは部活のときにでも」
唯「続いていいんだねっ!?」
梓「ええ、どうぞ」
唯「やったぁ!」
ぱっ、と離れる。
梓「憂、いこ」
憂「うん」
388 = 43 :
二年の下駄箱がある方に連れてだって歩いていく。
朋也(俺、あいつに嫌われてんのかな…)
―――――――――――――――――――――
教室に到着し、ふたりとも自分の席についた。
まだ人もそんなに多くない。
かなり余裕のある時間。俺にとっては未知の世界。
そんなに耳障りな声もなく、眠るには都合がよかった。
唯「岡崎くん」
今まさに机に突っ伏そうとしたその時、声をかけられた。
朋也「なんだ」
唯「岡崎くんたちがやってるお仕事のことなんだけどね…」
朋也「ああ」
唯「あれって、遅刻とか、サボったりしなかったら、やらなくていいんだよね?」
多分こいつはまた、さわ子さんにでも話を聞いたのだろう。
あの人は軽音部の顧問を務めているらしいし…
会話の中で、その事について触れる機会は十分すぎるほどある。
朋也「みたいだな」
唯「じゃあ、最近ずっと遅刻してない岡崎くんは、放課後自由なんだよね?」
389 = 1 :
朋也「ああ、まぁな」
唯「だったらさ…何度もしつこいようだけど…遊びにおいでよ。軽音部に」
朋也「前にも言っただろ。遠慮しとくって」
唯「でも、お昼だって私たちと一緒に食べて、盛り上がってたでしょ?」
唯「あんな感じでいいんだよ?」
朋也「それでもだよ」
唯「…そっか」
しゅんとする。
唯「やっぱりさ…」
でも、すぐに口を開いた。
唯「部活動が嫌いって言ってたこと…関係あるのかな」
朋也「………」
あの時春原が放った不用意な発言が、今になって負債となり、重くのしかかってきた。
きっかけさえ作らなければ、話題にのぼることさえなかったはずなのに。
そもそも、自ら進んで人にするような話でもない。
だが、もし、仮に…
こいつとこれからも親しくなっていくようであれば…
そうなれば、いつかは訊かれることになっていたかもしれないが。
390 = 43 :
こいつは、そういうことを気にしてしまうだろうから。
………。
俺は頬杖をついて、一度視線を窓の外に移した。
そして、気を落ち着けると、また平沢に戻す。
朋也「…中学のころは、バスケ部だったんだ」
朋也「レギュラーだったんだけど、三年最後の試合の直前に親父と大喧嘩してさ…」
朋也「怪我して、試合には出れなくなってさ…」
朋也「それっきりやめちまった」
………。
こんな身の上話、こいつにして、俺はどうしたかったのだろう。
どれだけ、自分が不幸な奴か平沢に教えたかったのだろうか。
また、慰めて欲しかったのだろうか。
唯「そうだったんだ…」
今だけは自分の行為が自虐的に思えた。
その古傷には触れて欲しくなかったはずなのに。
唯「………」
平沢は、じっと顔を伏せた。
唯「私…もう一度、岡崎くんにバスケ始めて欲しい」
そのままの状態で言った。
391 = 1 :
そして、今度は俺に向き直る。
唯「それで、みんなから不良だなんて呼ばれなくなって…」
唯「本当の岡崎くんでいられるようになってほしい」
本当の俺とはなんだろう。
こいつには、俺が自分を偽っているように見えるのだろうか。
そんなこと、意識したことさえないのに。
唯「みんなにも、岡崎くんが優しい人だって、わかってほしいよ」
ああ、そういえば…
こいつの中では、俺はいい人ということになっていたんだったか…。
だが、それも無理な相談だった。
朋也「…無理だよ」
唯「え? あ、三年生だからってこと…」
朋也「違う。そうじゃない」
もっと、根本的な、どうしようもないところで。
朋也「俺さ…右腕が肩より上に上がらないんだよ」
朋也「怪我して以来、ずっと…」
…三年前。
俺はバスケ部のキャプテンとして順風満帆な学生生活を送っていた。
392 = 43 :
スポーツ推薦により、希望通りの高校に進み、そしてバスケを続けるはずだった。
しかし、その道は唐突に閉ざされた。
親父との喧嘩が原因だった。
発端は、身だしなみがどうとか、くつの並べ方がどうとか…そんなくだらないこと。
取っ組み合うような喧嘩になって…
壁に右肩をぶつけて…
どれだけ痛みが激しくなっても、意地を張って、そのままにして部屋に閉じこもって…
そして医者に行った時はもう手遅れで…
肩より上に上がらない腕になってしまったのだ。
唯「あ…ご、ごめん…軽はずみで言っちゃって…」
朋也「いや…」
………。
静寂が訪れる…痛いくらいに。
朋也「…春原もさ、俺と同じだよ」
先にその沈黙を破ったのは俺だった。
朋也「一年の頃は、あいつも部活でサッカーやってたんだ」
朋也「でも、他校の生徒と喧嘩やらかして、停学食らってさ…」
朋也「レギュラーから落ちて、居場所も無くなって、退部しちまったんだ」
唯「そう…だったんだ…」
唯「でも…春原くんは、もう一度、サッカーできるんじゃないかな」
393 = 1 :
朋也「再入部するってことか」
唯「うん」
朋也「それは…無理だろうな。あいつ、連中からめちゃくちゃ嫌われてるんだよ」
朋也「あいつの喧嘩のせいで、今の三年は新人戦に出られなかったらしいからな」
朋也「第一、あいつ自身、絶対納得しないだろうし」
唯「でも…やっぱり、夢中になれることができないって、つらいよ」
唯「なんとかできないかな…」
朋也「なんでおまえがそんなに必死なんだよ…」
唯「だって、私も今、もうギター弾いちゃだめだって…バンドしちゃだめだって言われたら、すごく悲しいもん」
唯「きっと、それと同じことだと思うんだ」
唯「私は、岡崎くんや春原くんみたいに、運動部でレギュラーになれるほどすごくないけど…」
唯「でも、高校に入る前は、ただぼーっとしてただけの私が、軽音部に入って、みんなに出会って…」
唯「それからは、すごく楽しかったんだ。ライブしたり、お茶したり、合宿にいったり…」
唯「それが途中で終わっちゃうなんて絶対いやだもん」
唯「もっとみんなで演奏したいし、お話もしたいし、お菓子も食べたいし…ずっと一緒に居たいよ」
395 = 43 :
唯「だから、なんとかできるなら、してあげたいんだ」
唯「それじゃ、だめかな」
こいつは、自分に置き換えて考えていたらしい。
よほど軽音部が気に入っているんだろう。
その熱意が、言葉や口ぶりの節々から窺えた。
つたなくても、伝えようとしてくれるその意思も。
朋也(いや…それだけじゃないよな、きっと)
いつだってそうだった。
俺が親父を拒否して彷徨い歩いていた時も、ずっと後ろからついてきた。
朝だって、ずっと待っていた。自分の遅刻も顧みずに。
朋也「…おまえ、すげぇおせっかいな奴な」
唯「う…そ、そうかな…迷惑かな、やっぱり…」
朋也「いや…いいよ、それで」
唯「え?」
肯定されるとは思っていなかったんだろう。
それが、表情にわかりやすく現れていた。
朋也「ずっとそういう奴でいてくれ」
そんな真っ直ぐさに救われる奴もいるのだから。
396 = 1 :
…少なくとも、ここにひとり。
唯「あ…」
一瞬、固まったあと…
唯「うん、がんばるよっ」
そう、はっきりと答えた。
朋也「俺、寝るからさ。さわ子さん来たら起こしてくれ」
唯「え、ずるい! 私も寝る!」
朋也「目覚ましが贅沢言うなよ」
唯「もう、目覚まし扱いしないでよっ」
朋也「じゃ、どうやって起きればいいんだよ」
唯「自力で起きるしかないよね」
朋也「無理だな」
唯「それじゃ、私に腕枕してくれたら、起こしてあげるよ」
朋也「おやすみ」
唯「あ、ひどいっ!」
397 = 43 :
視界が暗くなる。目を閉じたからだ。
それでも、窓の方に顔を向けると、まぶたの上からでも光が眩しく感じられた。
頭を動かし、心地いい位置を模索する。
腕の隙間から半分顔を出すと、しっくりきた。
そのまま、じっとする。
次第に意識が薄れていく。
室内の静けさ、春の陽気も手伝って、すぐに眠りに落ちていった。
―――――――――――――――――――――
………。
―――――――――――――――――――――
SHRが終わり、放課となる。
朋也(ふぁ…)
昼になり、ようやく体も目覚めてくる。
一度伸びをして、血の巡りを促す。
頭にもわっとした圧迫がかかった後、脱力し、心地よく弛緩した。
唯「岡崎くん、聞いて聞いてっ」
朋也「…ん。なんだ」
唯「あのね、あした、みんなでサッカーしない?」
朋也「はぁ?」
398 = 1 :
唯「ほら、あしたって日曜日でしょ。だから、学校に集まって、やろうよ」
朋也「それは、やっぱ…」
春原のことで、なにか意図するところがあるんだろうか。
唯「…うん。なんの助けにもならないかもしれないけど…」
唯「春原くんが、少しでも夢中になれた時のこと思い出してくれたらいいなって」
やっぱり、そうだった。
朋也「俺も行かなきゃだめなのか」
唯「もちろんだよ。岡崎くんは、春原くんとすっごく仲いいからね」
朋也「いや、別によくはないけど」
唯「照れちゃってぇ~。いつも楽しそうにしてるじゃん」
朋也「それは偽装だ。フェイクだ。欺くための演技なんだ」
朋也「実際は、おたがい寝首を掻かれまいと、常に牽制し合ってるんだ」
唯「もう、変な設定捏造しないでいいよ。岡崎くんは来てくれるよね」
朋也「暇だったらな」
唯「うん、待ってるね」
399 = 43 :
まぁ、どうせ、あいつが断れば、その計画も流れてしまうのだ。
伸るか反るかで言えば、反る方の可能性が高いだろう。
春原「おーい、岡崎。飯いこうぜ」
考えていると、ちょうど春原が前方からチンタラやってきた。
唯「あ、春原くん。あのさ、あしたみんなでサッカーしない?」
春原「あん? サッカー?」
唯「うん。学校に集まってさ、やろうよ」
春原「やだよ。なんで休みの日に、わざわざんなことしなくちゃなんないだよ」
唯「練習じゃないんだよ? 遊びだよ?」
春原「わかってるよ、そのくらい。試合に出るわけでもないのに練習なんかするわけないしね」
唯「岡崎くんも来るんだよ?」
春原「え? マジ?」
驚きの表情を俺に向ける。
朋也「…まぁ、暇だったら行くってことだよ」
春原「ふぅん、珍しいこともあるもんだ」
唯「どう? 春原くんも。いつも一緒に遊んでるでしょ?」
400 = 1 :
春原「そうだけど、こいつが行くとこに、必ず僕もついていくってわけじゃないからね」
唯「ムギちゃんなら、きっとお菓子も紅茶も用意してくれると思うよ?」
春原「え、ムギちゃんもくんの?」
唯「まだ誘ってないけど、言えばきてくれると思うな」
春原「ふぅん、そっか…」
顔つきが変わる。
春原「ま、そういうことなら…行くよ」
なにかしらの下心があるんだろう。
じゃなきゃ、こいつがわざわざ休日を使ってまで動くはずがない。
唯「ほんとに? よかったぁ」
唯「それじゃあ、時間は何時ごろがいいかな」
春原「昼からなら、起きられるけど」
唯「う~ん、なら、1時くらいからでどう?」
春原「いいけど」
唯「決まりだね。集合場所は校門前でいいよね」
春原「ああ、いいよ」
みんなの評価 : ★★★×5
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