元スレ朋也「軽音部? うんたん?」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ★★★×5
301 = 1 :
春原「廃棄っすか!? 余計嫌だよっ」
朋也「じゃあ、ちゃんと伝わるように今度から英雄風にいえ」
春原「ひでお? 誰だよ」
朋也「えいゆう、だ」
春原「英雄ねぇ…そんなんでほんとに伝わんのかよ」
朋也「ああ、ばっちりだ」
春原「わかったよ、なら、やってやるよ…」
春原「じゃ、もういこうぜ」
朋也「ああ」
立ち上がる。
唯「あ、待ってっ。今日は学食だよね? だったらさ、一緒に食べない?」
春原「またあの時のメンバー?」
唯「うん」
春原「まぁ、別にいいけど…」
唯「岡崎くんは?」
302 = 43 :
朋也「俺も、別に」
唯「よかったぁ」
うれしがるほどのことでもないような気もするが…。
賑やかなのが好きなんだろう、こいつは。
唯「じゃ、みんなに言ってくるね」
朋也「俺たちは先いって席取っとくぞ」
唯「うん、よろしくね。それじゃ、またあとで!」
―――――――――――――――――――――
無事席の確保ができ、平沢たちも合流した。
唯「やっほ」
律「おう、ご苦労さん」
春原「あん? おまえ、なに普通に座ってんだよ」
春原「おまえの席はあっちに確保してるから、移れよ」
春原が指さすゾーン。ダストボックスの目の前だった。
なんとなく不衛生な気がして、みんな避けている場所だ。
実際、そんなことはないのだろうけど、気分の問題だった。
律「あんたが行けよ。背景にしっくりくるだろ」
303 = 1 :
春原「ははっ、おまえの自然に溶け込みそうな感じには負けるさ」
律「おほほ、そんなことないですわよ。あなたなんて背景と判別がつきませんもの」
春原「………」
律「………」
無言でにらみ合う。
唯「あわ…ふ、ふたりとも、やめようよ…」
澪「律…なんでそう、すぐいがみ合おうとするんだ?」
律「えぇっ? 今のはあっちが先だったじゃんっ!」
春原「けっ…」
紬「春原くん…仲良くしましょ?」
春原「ムギちゃんとなら、喜んでするけどね」
律「ムギはいやだってよ」
春原「んなことねぇよっ! ね、ムギちゃん?」
紬「えっと…ごめんなさい、距離感ブレてると思うの」
春原「ただの他人でいたいんすか!?」
律「わははは!」
304 = 70 :
>>290
律「人類みな兄弟だっつの」
さすが俺の嫁
305 = 43 :
久しぶりだが、この流れも変わらないようだった。
―――――――――――――――――――――
唯「そういえばさぁ、選挙っていつだったっけ?」
和「今週の金曜日ね」
唯「じゃ、もうすぐだねっ」
和「そうね」
律「絶対和に投票するからな」
紬「私も」
澪「私だって」
唯「私も~」
和「ありがとう、みんな」
春原「なに? CDでも出してるの?」
和「…どういうこと?」
春原「ほら、CD買ったらさ、その中に投票券が入ってるっていうあれだよ」
和「某アイドルグループの総選挙じゃないんだけど…」
306 = 1 :
律「んなお約束ネタいらねぇって」
春原「ふん、言ってみただけだよ」
和「あ、そうだ。話は変わるんだけど、あなたたち、最近奉仕活動してるんですってね」
朋也「やらされてるんだよ。今までの遅刻を少し大目にみてくれるって話だからな」
和「そういう裏があるってことも、一応聞いてるわ」
唯「和ちゃん、なんか情報いっぱい持ってるよね」
和「そうでもないわよ」
律「この学校の重要機密とか、校長の弱みとかも握ってるんじゃないのか?」
和「何者よ、私は…っていうか、機密なんてそんなドス黒いものあるわけないでしょ」
律「てへっ」
春原「かわいくねぇよ」
律「るせっ」
和「まぁ、それで、昨日もあなたが書類整理してくれたって聞いたの」
春原「ああ、あれね」
和「けっこう大変だったでしょ」
307 = 55 :
時事ネタを……
308 = 43 :
春原「まぁね」
和「あれ、私が選挙管理委員会に提出するものだったのよ」
和「それで、期限が昨日までだったんだけど、整理が終わってなくてね」
和「すぐにやらなきゃいけなかったんだけど、どうしても外せない用事ができちゃって…」
和「でも、先生から、代打であなたにやってもらうから大丈夫だって、そう背を押してもらったの」
和「本当に助かったわ。遅れたけど、この場を借りてお礼を言うわね」
和「ありがとう」
春原「う~ん…言葉だけじゃ足りないねぇ」
朋也「気をつけろ、こいつ、体を要求してくるつもりだぞ」
春原「んなことしねぇよっ!」
唯「………」
紬「………」
澪「………」
和「………」
律「…引くわ」
春原「は…」
春原「岡崎、てめぇ!」
309 = 1 :
―――――――――――――――――――――
………。
―――――――――――――――――――――
放課後。
俺と春原はまたさわ子さんに呼び出され、空き教室にいた。
さわ子「今日からは、真鍋さんの手伝いをしてもらうわ」
春原「誰?」
さわ子「あんたたち、親しいんじゃないの?」
春原「いや、だから、そいつ自体知らないんだけど…」
さわ子「真鍋和さんよ。同じクラスでしょうに」
春原「真鍋和…?」
朋也「昼に一緒に飯食ったあのメガネの奴だろ」
春原「ああ…でも、そんな名前だったっけ?」
朋也「前にフルネーム聞いただろ」
春原「そうだっけ。忘れちゃったよ」
さわ子「向こうからのオファーだったから、てっきり親しいんだと思ってたのに」
310 = 43 :
朋也「そんな親しいってほどでもねぇよ…つーか、オファー?」
それは、俺たちをわざわざ指名してきたということだ。
どういう意図なのか全く読めない。
さわ子「ええ。まぁ、詳しいことは本人から聞いてちょうだい」
―――――――――――――――――――――
さわ子さんに言われ、生徒会室に向かった。
聞けば、通常、役員が決まるまで使われることはないそうだ。
新生徒会が始動して、初めて活用されるらしい。
春原「なんでこんなとこにいるんだろうね」
朋也「さぁな」
がらり
戸を開け、中に入った。
―――――――――――――――――――――
声「遅かったわね」
教室の奥、一番大きい背もたれつきのイスがこちらに背を向けていた。
そこから声がする。
くるり、と回転し、こちらを向いた。
和「さ、掛けて」
311 = 1 :
朋也「あ、ああ…」
春原「………」
異様な気配を感じながらも、近くにあった椅子に腰掛ける。
和「先生から話は聞いてると思うけど、私の手伝いをしてもらうわ」
しん、とした部屋に声が響き、次第に消えていった。
…なんだ、この緊張感。
朋也「…ひとつ訊いていいか」
和「なに?」
朋也「なんで俺たちなんだ」
和「それはね…二つ理由があるわ」
立ち上がり、ゆっくりと歩き出す。
和「ひとつは、私の、一年から地道に作り上げてきた政党から人が離れたこと」
こちらに近づいてくる。
和「ふたつめは…」
ぽん、と俺と春原の肩に手を置く。
和「…あななたちが悪(あく)だからよ」
312 = 55 :
>くるり、と回転し、こちらを向いた。
これいつかやってみたい
313 = 43 :
顔を見合わせる。
大丈夫か、こいつ…と目で訴えあっていた。
和「いい? 政治は綺麗事だけじゃ動かないの」
言いながら、離れて歩き出した。
和「時には汚いことだってしなきゃいけない…理想を貫くとはそういうことよ」
春原「あー…あのさ、そういう遊びがしたいんだったら、友達とやってくんない?」
和「遊び? 私がやっていることが遊びだって言いたいの?」
春原「ああ、なんか、キャラ作って遊びたいんだろ? 僕たち、そんなの…」
和「トイレットペーパー泥棒事件」
びくり、と春原が反応する。
和「二年生のとき、あったわよね」
春原「………」
確かにあった。
男子トイレのストック分が丸々なくなっていたとか、そんなセコい事件だった。
和「あれね、現場を見ていた人間がいたの」
和「いや…正確には押さえていた、かしら」
314 = 1 :
窓に寄って行き、外を見る。
和「写真部の子がね、外で撮影していたんですって」
和「それで、校舎が写った写真も何枚かあったの」
和「その中にね…あったのよ」
ごくり、とツバを飲み込む春原。
和「金髪が、トイレットペーパーのようなものを抱えている姿が」
…おまえが犯人だったのか。
和「私はそのネガを買い取って、その子の口封じもしたわ」
春原「な…なんで…」
和「いつかなにかあった時、取引の材料になるんじゃないかと思ってね」
どんぴしゃでなっていた。
春原「う…嘘だろ…」
和「遊びじゃないって、わかってくれたかしら?」
春原「うぐ…は、はい…」
和「でもね、だからこそリスクが高いのよ」
315 = 43 :
和「こんなことをしていると、こっちだって、ひとつミスれば即失脚してしまう」
和「ぎりぎりのところでやっているの」
和「だから、今になって保守派に鞍替えした人間も出てきてしまったのだけどね」
和「そこで、あなたたちの出番というわけよ」
朋也「善人を懐柔するより、最初から悪人を使ったほうが早いってことか」
和「そういうことね。なかなか物分りが早いわね」
和「知ってる? あなたは今日、本来なら奉仕活動は免除されていたの」
朋也「遅刻しなかったから…だろ?」
なんとなく、俺もそれっぽく言っていしまう。
和「ええ。でも、無理いって呼んでおいて正解だったわ」
和「春原くんだけじゃ、少し不安を感じるから」
春原は、その独特の小物臭を嗅ぎ取られていた。
朋也「それで、俺たちはなにをすればいいんだ」
暗殺か、ゆすりか、ライバルのスキャンダルリークか…
内心、ちょっとドキドキし始めていた。
和「まずはこの選挙ポスターを校内の目立つ場所に貼ってきてくれる?」
316 = 1 :
そう言うと、どこからかポスターの束を取り出し、机の上に置いた。
案外普通のことをするようだ。
和「それが終わったら一旦戻ってきてね」
朋也「ああ、了解」
―――――――――――――――――――――
春原「なぁ、岡崎。僕たち、ヤバイのと絡んじゃってるんじゃない?」
朋也「かもな…でも、なんかおもしろそうじゃん」
春原「おまえ、ほんとこわいもの知らずだよね…」
朋也「おまえほどじゃねぇよ、コソ泥」
春原「コソ泥いうなっ!」
朋也「大丈夫だって、事件はもう風化してるんだしさ」
朋也「そのワードからおまえにつながることなんてねぇよ」
春原「そういうの関係なしに嫌なんですけどっ!」
―――――――――――――――――――――
掲示板、壁、下駄箱…はてはトイレにまで貼った。
今は外に出て、校門に貼りつけている。
317 = 55 :
わちゃんパネエ
318 = 43 :
朋也「もういいよな。戻るか」
春原「ちょっとまって。ついでに貼っておきたいとこあるから」
朋也「あん? どこだよ」
春原「おまえもくる?」
朋也「まぁ、一応…」
春原「じゃ、いこうぜ」
―――――――――――――――――――――
やってきたのは、ラグビー部の部室。
今は練習で出払っていて無人だ。
春原は得意満面でその扉に貼り付けていた。
どうやらいやがらせがしたかっただけらしい。
春原「よし、帰ろうぜ」
朋也「いいのか、んなことして」
春原「大丈夫だって」
声「なにが、大丈夫だって?」
春原「ひぃっ」
ラグビー部員「てめぇ…」
319 :
支援
パソコンと携帯のダブルで投下とは凄すぎる
320 = 1 :
振り向くと、ラグビー部員がご立腹な様子で立っていた。
ラグビー部員「春原、おまえ、今部室になに…」
ポスターを見て、止まる。
ラグビー部員「真鍋…和…」
少し腰が引けていた。
ラグビー部員「おまえら、あの人の使いか…?」
朋也「ああ、そうだけど…」
ラグビー部員「そ、そうか、がんばれよ…」
それだけを言い残し、運動場の方に引き返していった。
春原「…ほんと、なに者だよ、あの子」
朋也「…さぁな」
―――――――――――――――――――――
春原「ただいま帰りましたぁ…」
中に入ると、真鍋は携帯を片手に、誰かと話し込んでいた。
和「…ええ、そうね。いや、あの件はもう処理したわ。ええ、じゃ、あとはよろしく」
321 = 43 :
ぴっ、と電源を切り、こちらを向く。
和「ご苦労様」
春原「いえいえ…和さんもお疲れさまっす」
完全に媚びまくっていた。
和「今日のところはこれだけでいいわ」
春原「そっすか。じゃ、お疲れさまっした」
足早に去っていこうとする。
和「まって、まだ伝えておきたいことがあるから」
春原「…なんでしょう?」
和「ここでのことは絶対に口外しないこと」
和「指示はここで出すから、この場以外でその内容を口に出さないこと。質問、意見も一切禁止」
和「私たちは普段どおりに接すること」
和「以上のことを守ってほしいの」
春原「わかりましたっ! 死守するっす!」
必死すぎだった。
322 = 1 :
和「それから、岡崎くん。あなた、配布係だったわよね」
朋也「ああ」
和「じゃ、明日、これをそれとなく配ってほしいんだけど」
俺に三枚の封筒を渡してきた。
それぞれに名前が書いてある。
朋也「これは…?」
和「それは、うちのクラスの各派閥の中心人物に宛てたものよ」
和「そこにある内容を飲ませれば、今度の選挙で結構な規模の組織票が得られるわ」
和「直接交渉は危険だからね…そういう形にしたの。頼んだわよ、岡崎くん」
323 :
324 = 323 :
>>284
kwsk
325 = 43 :
朋也「でも、形として残ったほうが危険なんじゃないのか」
和「大丈夫。私が書いたものだってわからないから」
朋也「それなのに、おまえに入るのか」
和「ええ。いろんな利権が複雑に絡んでいるからね。結果的に私に入るわ」
そんな勢力図がうちのクラスにうずまいていたとは…。
…というか、ドロドロとしすぎてないか?
和「これが可能になったのは、岡崎くんが配布係であったことと、私との接点が薄いことが決め手ね」
和「感謝してるわ」
いい手駒が手に入って…と続くんだろうな、きっと。
―――――――――
326 = 1 :
4/14 水
朋也「…おはよ」
唯「おはよ~」
落ち合って、並んで歩き出す。
朋也「…ふぁ」
大きくあくび。
唯「今日も眠そうだね」
朋也「ああ、まぁな」
唯「やっぱり、授業中寝ちゃうの?」
朋也「そうなるだろうな」
唯「じゃ、またこっちむいて寝てね」
朋也「いやだ」
唯「いいじゃん、けち」
朋也「じゃあ、呼吸が苦しくなって、息継ぎするときに一瞬だけな」
唯「そんな極限状態の苦しそうな顔むけないでよ…」
328 = 43 :
―――――――――――――――――――――
坂を上る。周りには俺たちと同じように、喋りながら登校する生徒の姿がまばらにあった。
その中に混じって歩くのは、まだ少し慣れない。
いつか、この違和感がなくなる日が来るんだろうか…こいつと一緒にいるうちに。
唯「ねぇ、今日も一緒にお昼食べない?」
朋也「いいけど」
唯「っていうかさ、もう、ずっとそうしようよっ」
朋也「ずっとはな…気が向いた時だけだよ」
唯「ぶぅ、ずっとだよっ」
朋也「ああ、じゃ、がんばれよ」
唯「流さないでよっ、もう…」
唯「あ…」
坂を上りきり、校門までやってくる。
唯「和ちゃんのポスターだ」
昨日俺たちが貼った物だった。
唯「もう、明後日だもんね。和ちゃん、当選するといいなぁ」
329 = 43 :
あいつの政治力なら容易そうだった。
にしても…
朋也(清く正しく、ねぇ…)
ポスターに書かれた文字を見て、なにかもやもやとしたものを感じた。
学校は社会の縮図、とはよくいったものだが…なにもここまでリアルじゃなくてもいいのでは…。
―――――――――――――――――――――
………。
―――――――――――――――――――――
昼。
春原「がははは! 岡崎、昼飯にするぞ」
いきなり春原が腰に手を当て、ふんぞり返りながら現れた。
朋也「…はぁ?」
春原「春原アターーーーーーーーーーーーック!」
びし
朋也「ってぇな、こらっ!」
春原「はぁ? ではない! 飯だと言っているだろ! バカなのか?」
330 = 1 :
バカにバカっていわれた…。
春原「がはははは! 世界中の美女は俺様のもの!」
完全に自分を見失っていた。
朋也「…春原、もうわかった。もういいんだ。休め」
春原「あん?」
朋也「なにがあったかは知らないけど、もういいんだ」
朋也「がんばらなくていい…休め…」
春原「なんで哀れんでんだよっ!」
朋也「春だからか。季節柄、そんな奴になっちまったのか…」
春原「お、おい、ちょっと待て、おまえが昨日、英雄風に言えって言ったんだろ!?」
朋也「え?」
春原「え? じゃねぇよっ! 思い出せっ!」
そういえば、そんなことを言った気もする。
朋也「じゃ、なにか、今のが英雄?」
春原「そうだよっ。ラ○スだよっ」
331 = 43 :
朋也「ああ、ラン○ね。まぁ、確かに英雄だけど」
春原「だろ?」
朋也「でも、おまえの器じゃないからな、あの人は」
朋也「再現できずに、ただのかわいそうな人になってたぞ」
春原「再現度は関係ないだろっ!」
春原「くそぅ、おまえの言った通りにしてやったのに…」
朋也「悪かったな。じゃ、次は中学二年生のように誘ってくれ」
春原「ほんっとうにそれで伝わるんだろうなっ」
朋也「ああ、ばっちりだ」
春原「わかったよ、やってやるよ…」
朋也「それと、今日も平沢たち、学食来るんだってさ」
春原「そっすか…別になんでもいいよ…」
―――――――――――――――――――――
7人でテーブルの一角を占め、食事を始める。
春原「ムギちゃんの弁当ってさ、気品あるよね」
332 = 1 :
紬「そうかな?」
春原「うん。やっぱ、召使いの料理人が作ってたりするの?」
紬「そんなんじゃないよ。自分で作ってるの」
春原「マジ? すげぇなぁ、ムギちゃんは」
紬「ふふ、ありがとう」
唯「澪ちゃんのお弁当は、可愛い系だよね」
澪「そ、そうか?」
唯「うん。ご飯に海苔でクマ描いてあるし」
律「りんごは絶対うさぎにしてあるしな」
紬「澪ちゃんらしくて可愛いわぁ」
澪「あ、ありがとう…そ、そうだ、唯のは、憂ちゃん作なんだよな」
唯「うん、そうだよ」
澪「なんか、愛情こもってる感じだよな、いつも」
唯「たっぷりこもってるよ~。それで、すっごくおいしいんだぁ」
澪「でも、姉なんだから、たまには妹に作ってあげるくらいしてあげればいいのに」
333 = 259 :
唯のキャラに違和感を禁じえなくなっできた。
334 = 284 :
>>324
http://2chnull.info/r/news4vip/1267182762/1-1001
335 = 43 :
唯「えへっ、無理っ」
澪「唯はこれだからな…憂ちゃんの苦労が目に浮かぶよ…」
律「和のは、なんか、全て計算ずくって感じだよなぁ」
和「そう?」
律「ああ。カロリー計算とかしてそうな。ここの区画はこれ、こっちはあれ、って感じでさぁ」
唯「仕切りがすごく多いよね」
春原「さすが、和さん」
唯「和さん?」
律「和さん?」
春原「あ、いや…」
春原に注目が集まる。
和「………」
真鍋の強烈な視線が春原に突き刺さっている。
普段通りに接すること…その鉄則を破っているからだ。
春原「ひぃっ」
春原「…真鍋も、やるじゃん」
336 = 1 :
冷や汗をかきながら、必死に取り繕っていた。
春原「あそ、そうだ、部長、おまえのはどんなんだよ」
律「私? 私のは…」
春原「ああ、ノリ弁ね」
律「まだなにも言ってないだろっ」
春原「言わなくてもわかるよ。おまえ、歯に海苔つけたまま、がははって笑いそうだし」
律「なんだと、こらっ! そんなことしねぇっつの!」
律「おまえなんか、弁当で例えると、あの緑色の食べられない草のくせにっ!」
朋也「それは言いすぎだ」
春原「岡崎、おまえ…」
律「な、なんだよ、男同士かばいあっちゃって…」
朋也「フタの裏についてて、開けたらこぼれてくる水滴ぐらいはあるだろ」
春原「追い討ちかけやがったよ、こいつっ!」
律「わははは!」
―――――――――――――――――――――
337 = 43 :
………。
―――――――――――――――――――――
放課後。無人の生徒会室へ。
周囲を警戒して、真鍋とは別ルートで向かった。
そして、席につき、会議が始まる。
和「岡崎くん、ちゃんと渡してくれた?」
朋也「ああ」
和「そう。ご苦労様」
渡した時、なにも不審がられなかったのが逆に不気味だった。
みな、手馴れた様子でさっと机の中に隠していた。
こういうことが日常的に起きているんだろうか…。
和「今日は届けものをして欲しいんだけど」
机の上には、封筒から小包まで、大小様々な包みが並べられていた。
和「それぞれにクラス、氏名…この時間いるであろう場所、等が書いてあるから」
朋也「わかった。どれからいってもいいのか」
和「ええ、どうぞ」
とりあえず、軽めのものからかき集めていく。
なぜか春原は小包を見て、そわそわし始めていた。
338 = 1 :
和「それから、中は絶対に見ないでね」
下手な好奇心は身を滅ぼす、と今の一言に集約されていた。
春原「う、は、はいっ」
歯切れの悪い返事。
こいつは中身を覗いてみるつもりだったに違いない。
―――――――――――――――――――――
春原「なぁ、岡崎…これって、俗に言う運び屋なんじゃ…」
朋也「だろうな」
男子生徒1「ファッキューメーン!」
男子生徒2「イェーマザファカッ!」
いきなりニット帽をかぶった二人組が俺たちの前に立ちはだかった。
春原「なに、こいつら」
男子生徒1「おまえら、真鍋和の兵隊だろ、オーケー?」
男子生徒2「そのブツ、ヒアにおいてけ、ヨーメーン?」
中途半端すぎる英語だった。
春原「ああ? うっぜぇよっ、やんのか、らぁっ!」
339 = 43 :
男子生徒1「…怖いメーン。帰りたいYO」
男子生徒2「俺もだYO」
男子生徒1「じゃ、帰ろっか」
男子生徒2「うん」
最後は素に戻り、立ち去っていった。
春原「マジでなんなの」
朋也「さぁ…」
―――――――――――――――――――――
朋也「えーと…二年B組か」
封筒を確認し、教室を覗く。
適当な奴を捕まえて、記載された名前の人物を呼んでもらった。
男子生徒「なんすか」
いかにもな、チャラい男だった。
朋也「これ」
封筒を渡す。
男子生徒「あい?」
340 = 1 :
受け取ると、少し開けて中を確認した。
男子生徒「ああ…そういうこと」
次に俺たちを見て、何かを納得したようだった。
男子生徒「30…いや、50はかたいって伝えてといてください」
朋也「わかった」
男子生徒「それじゃ」
一度片手を上げ、たむろしていた連中の輪の中に戻っていった。
春原「なにが入ってたんだろうね…」
朋也「俺たちの知らなくていいことなんだろうな」
きっと、高度な政治的駆け引きが行われたのだ…。
―――――――――――――――――――――
女子生徒「あの…なんでしょう」
やってきたのは図書室。
カウンターの女の子へ届けることになっていた。
春原「ほら、これ。配達にきたんだよ」
小包を渡す。
341 = 43 :
女子生徒「はぁ…」
よくわかっていない様子だ。
開封していく。
女子生徒「………」
みるみる顔が青ざめていく。
そして、俺たちに謝罪の言葉を伝えて欲しいと、そう言って、そのまま意気消沈してしまった。
―――――――――――――――――――――
春原「…中身、みなくてよかったのかな、やっぱ」
やはりなにが入っているか気になっていたようだ。
朋也「だろうな」
もし見ていれば、次はこいつのもとに小包が届くことになっていたのだろう。
―――――――――――――――――――――
手持ちも全てなくなり、一度生徒会室に戻ってくる。
春原「和さん、なんか、途中変な奴らに絡まれたんすけど。僕たちが和さんの兵隊だとかいって」
和「それで、どうしたの」
春原「蹴散らしてやりましたよっ」
342 = 43 :
和「それでいいわ。よくやってくれたわね」
春原「へへ、楽勝っす」
和「その人たちは私の政敵が雇った刺客ね」
朋也「刺客?」
和「ええ。私と似たようなことをしている輩もいるのよ」
和「でも、ま、雇えたとしても、その働きには期待できないでしょうけどね」
和「正規運動部を雇うのは、あとあと面倒だろうし…」
和「一般生徒や、途中で部を辞めてしまった生徒じゃ力不足になるわ」
和「なぜなら…」
すっ、とメガネを上げる。
和「スポーツ推薦でこの学校に入ってこられるほどの身体ポテンシャルを持ち…」
和「なおかつ、喧嘩慣れしたあなたたちには、到底適わないでしょうから」
こいつ…俺たちのプロフィールも事前にしっかり調べていたのか…。
春原「ふ…そうっすよ。僕たち、この学校最強のコンビっすからっ」
いつもラグビー部に好き放題ボコられている男の言っていいセリフじゃなかった。
343 = 1 :
和「頼もしいわ。その調子で残りもお願いね」
春原「まかせてくださいよっ」
朋也(すぐ調子に乗りやがる…)
―――――――――――――――――――――
その後も俺たちは似たようなやり取りを繰り返した。
そして、最後の配達を追え、また戻ってくる。
―――――――――――――――――――――
春原「全部終わりましたっ」
和「ええ、そうね。ご苦労様」
春原「いえいえ」
春原「あ、そうだ。メガネの奴が、今までの3割増しなら60、って言ってました」
和「そう…わかったわ。ありがとう」
伝言もことあるごとに頼まれていた。
その都度、こうして真鍋に報告を入れていた。
和「ふぅ…」
ひとつ深く息をつき、生徒会長の椅子に座る。
344 = 43 :
和「本当に…あと少しなのね」
声色に覇気がなかい。
朋也「まだなにか不安があるのか」
和「まぁね」
朋也「これだけやれば、もうおまえが勝ったも同然な気がするけどな」
春原「そっすよ」
和「…あなたたち、二年生の坂上智代って子、知ってる?」
聞いたことがなかった。
春原「いや、知らないっす」
朋也「有名な奴なのか」
和「ええ。それも、この春編入してきたばかりだというのによ」
なら、まだこの学校に来て二週間も経っていないことになる。
それで有名なら、よっぽどな奴なんだろう。
和「純粋な子なんでしょうね…それを、周囲の人間が感じ取ってる」
朋也「そいつとおまえと、どう関係あるんだ」
和「立候補してるのよ。生徒会長に」
345 = 1 :
朋也「そら、すげぇな」
そんな型破りな奴なら、有名になるのも頷ける。
和「ええ。求心力も抜群でね…私の党から離れて、坂上さんサイドに移った人間もいるわ」
和「いえ…それが大多数かしら」
ぎっと音を立て、椅子から立ち上がった。
和「汚いことをしているとね…綺麗なもの、純粋なものが一層美しく映るの」
和「みんな心の底ではそんなものに憧憬の念を抱いていたわ」
和「そこへ、一点の曇りもない、指導者と成り得るだけの器を持った人物が現れた」
和「それは私にとって由々しき事態だったわ」
和「私は一年の頃からこちら側に芯までつかっていた」
和「そう…全ては生徒会長の椅子を手に入れるために」
和「それなのに…会長を務めていた先輩も卒業して、ようやく私がそのポストにつけると思っていたのに…」
和「なんのしがらみも持たず、何にも囚われない最強の敵が現れた!」
和「私は焦った。どんどん人が離れていく。中核を成していた実働部隊もいなくなった」
和「残ったのは少数の部下だけ…」
346 = 43 :
和「悩んだわ…たったこれだけの戦力じゃ、どうあっても勝てっこない…」
和「途方にくれていた時…あなたたちが奉仕活動をしていることを知ったの」
和「そして思いついた…なにも知らない、一不良を使った『封神計画』を!」
朋也「なんか、ずれてないか」
和「冗談よ」
朋也「あ、そ」
和「まぁ、それであなたたちに働いてもらったってわけね」
そっと椅子に手を触れる。
和「ようやく、互角…まだ戦えるわ」
和「そして、この椅子を手に入れるのは…」
じっと、俺たちを見据えて…
和「私よ」
そう言い放った。
―――――――――――――――――――――
347 = 1 :
4/15 木
唯「おはよぉ」
朋也「ああ、おはよ」
今日も角を曲がったところで、変わらず待っていた。
そのほがらかな姿を見ると、僅かに心が躍った。
そんな想いを胸中に秘めながら、隣に立ち、並んで歩き始めた。
唯「…はぁ」
隣でため息。
朋也「………」
唯「…はぁっ」
今度はさっきより大きかった。
朋也「………」
唯「…もうっ! どうしたの? って訊いてよっ」
朋也「どうしたの」
唯「…まぁ、いいよ」
唯「えっとね、先週新勧ライブあったでしょ」
348 = 1 :
朋也「ああ」
唯「あれから今日で一週間経つんだけど、まだ新入部員ちゃんが来てくれないんだよ…」
朋也「ふぅん…」
唯「やっぱり、私の歌がヘタだったから、失望されちゃったのかな…」
朋也「そうかもなっ」
唯「って、こんな時だけはきはき答えないでよっ」
朋也「悪い。眠さの波があるんだ」
唯「意地悪だよ、岡崎くん…」
―――――――――――――――――――――
………。
―――――――――――――――――――――
4時間目が終わる。
唯「今日も、一緒でいい?」
朋也「ああ、別に」
唯「やたっ!」
349 = 1 :
唯「じゃ、またあとでねっ」
高らかにそう告げると、席を立ち、ぱたぱたと駆けていった。
いつものメンツを集め、その旨を伝えているようだった。
春原「とーもーやーくん」
そこへ、いやに馴れ馴れしさのこもった呼び声を発しながら、春原がやって来た。
朋也「…あ?」
春原「がくしょくいーこーお」
春原「いや、でもさ、その前に…河原いかね?」
朋也「…なんでだよ」
その前に覚えた違和感はとりあえず置いておき、訊いてみる。
春原「なんでって…おまえ、言わせんなよ…」
耳打ちするように手を口に添えた。
結局言うつもりらしい。
春原「…エロ本…だよ…」
げしっ!
春原「てぇなっ! あにすんだよ!」
350 = 43 :
朋也「おまえが真っ昼間からサカってるからだろうがっ!」
朋也「なにがエロ本だっ! 性欲が食欲に勝ってんじゃねぇよっ!」
生徒1「春原やっべ、エロ本とか…」
生徒2「あいつ絶対グラビアのページ開きグセついてるよな」
生徒1「ははっ、だろーな」
春原「うっせぇよ!」
生徒1「やべ、気づかれた」
生徒2「エロい目で気づかれた」
春原「ぶっ飛ばすぞ、こらっ!」
生徒1「逃げれっ」
生徒2「待てって」
二人のクラスメイトたちは、わいわいと騒ぎながら教室を出て行った。
春原「岡崎、てめぇ、声でかいんだよっ」
朋也「おまえがエロ本とかほざくからだろ」
春原「おまえが中学二年生みたいにって要求したんだろっ!」
みんなの評価 : ★★★×5
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