私的良スレ書庫
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元スレエルフ「く、鎖をはずしてください」
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男「・・・・・・・・・」
男「・・・くっ」
男「くっくっく。どこまで腑抜ければ気が済むんだ・・・」
男「つくづく私は、駄目な男だ」
男「・・・・・・・・・」
男「・・・なぁ」
男「浮かばれんだろうな。すまん」
男「決意は簡単に揺らいでしまう。私は本当に弱い人間だ」
男「・・・せめて、死ぬことが出来れば、私も」
男「私も、お前に・・・」
―――キィ・・・
男「・・・・・・・・・」
・・・バタン
男「・・・な」
男「・・・何故、だ」
エルフ「・・・・・・・・・」
男「・・・何故、ここに、居る・・・?」
エルフ「・・・・・・・・・」
エルフ「・・・さぁ、何故でしょうか」
男「・・・・・・・・・」
エルフ「・・・良い森ですね。料理に使えそうなハーブも、薬草も豊富です」
エルフ「動物もたくさん居ました。のんびり暮らしています。ここは良い森です」
男「・・・それが、どうした」
エルフ「特に意味はありません」
男「からかっているのか」
エルフ「そうかも、知れません」
エルフ「・・・私の所有者は、あなたなのでしょう?」
男「・・・そうだ」
エルフ「所有者のあなたは、私に向かって、『自由にしろ』といいました」
男「・・・・・・・・・」
エルフ「・・・それだけです」
エルフ「私は、自由にしました」
男「・・・・・・・・・」
男「・・・なるほど」
エルフ「・・・・・・・・・」
男「・・・好きに、しろ。いつでも逃げればいいし、いつでも私を殺すといい」
エルフ「・・・そのつもりで、ナイフを一本頂戴しました」
男「はっ。なかなか大した小娘だな。いいだろう、いつでも刺すといい」
エルフ「言われなくても、そうします」
男「・・・君がここに居る理由は、無いんだぞ」
エルフ「・・・・・・・・・」
男「・・・理由は、自分で探すといい。私は君に、なにも言わない」
エルフ「分かりました」
男「・・・さて、腹が減ったな。君も食べるか?」
エルフ「もう、食べました」
男「・・・・・・・・・」
エルフ「・・・あなたの分もあります」
男「・・・はっ」
エルフ「食べますか?」
男「いただくとしようか」
―――こうして、私を買った人間との生活が始まった。
男「エルフは本を嗜むのか」
エルフ「ええ。文字さえ読めれば」
男「読めない文字があるのか?」
エルフ「人間の文字は、ほとんど読めます」
男「・・・なるほど。なら、読むといい」
エルフ「面白いですか?」
男「はっ。教えるわけがないだろう」
男「自分で確かめなさい」
エルフ「・・・分かりました」
男「書庫の本は好き勝手に読むといい」
エルフ「はい」
男「だが忘れるな、私は綺麗好きなんだ」
エルフ「・・・・・・・・・」
男「エルフは音楽を嗜むのか」
エルフ「音楽、ですか?」
男「知らないのか?どれ・・・、蓄音機だ」
エルフ「・・・歌、ですか」
男「歌は知っているのに、音楽は知らないのか?」
エルフ「こんな代物、ありませんから」
エルフ「しかしエルフは、歌を歌いますよ」
男「なるほど、それは興味深い」
エルフ「聴きたいのですか?」
男「勝手にしろ。私は強要はしない」
エルフ「・・・ならば、あなたは私の歌を聴くことは無いでしょうね」
男「下手なのか?」
エルフ「・・・・・・・・・」
男「下手なのか?」
エルフ「・・・そんなこと、ありません」
男「エルフは酒を嗜むのか」
エルフ「ぶどう酒なら、作ります」
男「君も飲むのか?」
エルフ「多少は」
男「なるほど。・・・ならば、飲んでみるか」
エルフ「・・・・・・・・・」
男「どうした、飲まないのか?飲めないのか?」
エルフ「・・・奴隷と、酒を飲むのはどうなのですか」
男「どうでもない。ただの余興だと思えば良い」
エルフ「・・・・・・・・・」
男「君は、そんなに奴隷扱いして欲しいのか?」
エルフ「あなたの性格を疑っているだけです」
男「はっ。ならば、疑うだけ無駄だと言っておこう。・・・どうした、飲まないのか?」
エルフ「・・・頂きます」
男「エルフは煙草を嗜むのか」
エルフ「そういう仲間も居ます」
男「君は」
エルフ「私は嫌いです」
男「なるほど。奇遇だな、私も嫌いだ」
エルフ「そうですか」
男「煙管も、葉巻も、嫌いだ。旨いとは思えん」
エルフ「・・・私が、煙草を吸いたいと言ったら、どうしたのですか?」
男「どうもしないさ。吸うといい」
エルフ「・・・・・・・・・」
男「私の居ないところでな」
エルフ「・・・・・・・・・」
―――なんてことは無い、ただの会話だ。
食べて、寝て、本を読んで、そして会話をする。それしかやることが無い。
それだけの日々が、しばらく続いた。
私は一度も、ナイフを握らなかった。
―――2週間後
男「・・・君は」
エルフ「なんですか」
男「ナイフは、持って居ないのか」
エルフ「・・・持っていますが」
男「一度も使おうとしないんだな」
エルフ「いつ使おうが、私の勝手です」
男「・・・なるほど」
エルフ「使って欲しいのですか」
男「ああ、そうだな。使って欲しいのかもしれない」
エルフ「・・・・・・・・・」
男「・・・なに、一応聞いただけだ」
男「今までどおり、いつでも刺しに来るといい」
エルフ「・・・そうします」
男「はっ。本当に肝の座った小娘だ・・・」
男「・・・君は」
エルフ「なんですか」
男「ナイフは、持って居ないのか」
エルフ「・・・持っていますが」
男「一度も使おうとしないんだな」
エルフ「いつ使おうが、私の勝手です」
男「・・・なるほど」
エルフ「使って欲しいのですか」
男「ああ、そうだな。使って欲しいのかもしれない」
エルフ「・・・・・・・・・」
男「・・・なに、一応聞いただけだ」
男「今までどおり、いつでも刺しに来るといい」
エルフ「・・・そうします」
男「はっ。本当に肝の座った小娘だ・・・」
エルフ「・・・食事ですが」
男「そうだったな。いただくとしよう・・・、ごほっ」
エルフ「・・・?」
男「・・・ごほっ、ごほごほ、ごほッ・・・」
エルフ「・・・背中、さすりますか」スッ
男「・・・必要、ない・・・。喉の調子が、悪い、だけ・・・」ゼェゼェ
エルフ「しかし・・・」
男「・・・・・・・・・」ツー・・・
エルフ「・・・っ。血が・・・!」
男「・・・なる、ほど。そろそろ、か」
エルフ「どういう・・・」
男「・・・部屋に戻る、君は食事を・・・っと」ガクン
エルフ「・・・!」ダキッ
男「・・・すまない、肩を貸してくれないか。無理にとは、言わないが」
エルフ「・・・分かりました」
―――部屋
男「・・・・・・・・・」ゼェゼェ
エルフ「・・・ご気分は」
男「最悪に、決まっている・・・」
エルフ「・・・・・・・・・」
男「・・・もう、下がって、いいぞ・・・」
エルフ「そういうわけには・・・」
男「いいんだ・・・、決まっていることだ・・・ごほっ」ゼェゼェ
男「・・・私は、あまり、体の丈夫なほうでは、ない・・・」
エルフ「・・・・・・・・・」
男「・・・そうだな。もう、死ぬ、だろう・・・」
エルフ「・・・っ」
男「・・・どう、した。喜べ。君の嫌いな、人間が、死ぬぞ」
エルフ「・・・・・・・・・」
男「嬉しい、だろう・・・?」
エルフ「・・・・・・・・・」
男「・・・君を、捕ま、え、虐げてきた、人間の一人が、死ぬ、ぞ」
エルフ「・・・・・・・・・」
男「君を金で、買った人間が、死ぬ、ぞ・・・。ごほっ」
エルフ「・・・・・・・・・」
男「・・・それとも、なにか」
男「君は、人間が、嫌いでは、ないのか・・・?」
エルフ「・・・・・・・・・」
男「・・・・・・・・・」ゼェゼェ
エルフ「・・・私の家族は、人間に殺されました」
エルフ「村は焼かれ、私はこうして、売られました」
男「・・・・・・・・・」ゼェゼェ
エルフ「・・・私は、人間が、嫌いです」
男「・・・だろう、な」
エルフ「それは、変わりません」
男「・・・なるほど」
エルフ「・・・・・・・・・」
男「・・・君が、自分の話を、したなら」
男「私も、自分の話を、しようか・・・。ごほっ・・・」
エルフ「・・・え?」
男「・・・私は、エルフが嫌い、なのだ・・・」
男「君たち、エルフが、な・・・」ゼェゼェ
エルフ「・・・・・・・・・」
男「・・・私の、妹は・・・」
男「・・・君たちエルフに、殺された」
エルフ「・・・っ」
男「エルフと人間の、間で、大きな戦争があった」ゼェゼェ
エルフ「・・・知っています」
男「・・・確かに、人間は、勝った」
男「だが、私の妹は、私の家族は殺されたのだ・・・」
エルフ「・・・・・・・・・」
男「・・・私には、この屋敷と、両親が残した、大金だけが残った・・・」
男「・・・それだけの、話だ。君よりもずっと、幸せな、話・・・」
エルフ「・・・・・・・・・」
男「・・・それでも」
男「・・・それでも、私は、エルフが憎かった・・・。ごほっ」ゼェゼェ
男「何年も、何年も・・・、廃人のように、暮らし・・・」
男「そして・・・、君を・・・、買った・・・」
男「・・・家族を殺され、自分すら、売られた君から、すれば・・・」
男「・・・なにを、馬鹿な話をと、思うだろう・・・」
エルフ「・・・・・・・・・」
男「だが、残念なことに、私には・・・、金があった」ゼェゼェ
男「・・・だから、エルフを・・・、殺したく、なったのだ」
エルフ「・・・私を」
男「そうだ。妹を、殺された、私は・・・」
男「君を、殺さねば、気が狂いそう、だった・・・」ゼェゼェ
エルフ「・・・・・・・・・」
エルフ(あの絵も、この、服も・・・)
エルフ(すべて、あなたの・・・)
男「・・・手首は」
エルフ「え・・・?」
男「手首は、治った、のか・・・?」ゼェゼェ
エルフ「・・・ええ。もう、動かせます」
男「・・・そう、か」
エルフ「・・・・・・・・・」
男「・・・妹は、な。髪を自分で、乾かすのが、苦手だった」
エルフ「・・・あ」
男「私が、よく、拭いてやったものだ・・・。歳も、離れていた、からな・・・」
エルフ「・・・あなたは・・・」
男「・・・君を、風呂に入れなければ、良かったと、後悔、したよ・・・」ゼェゼェ
男「・・・お陰で私は、エルフを・・・。君を」
エルフ「・・・っ」
男「・・・君を、殺せなく、なってしまったではないか・・・」
男「・・・ああ。私は、なんて愚か、なんだ」
男「妹の、復讐も、できず・・・」
男「こうして、君と、話して、いる・・・」
エルフ「・・・・・・・・・」
男「・・・せめて、君が私を殺してくれれば、救われると、思っていた」
男「だが君は、そこまで、甘くは無かったのだ、な」
エルフ「・・・・・・・・・」
男「・・・それでも」
男「・・・それでも、これで、死ねる・・・」
エルフ「・・・・・・・・・」
男「・・・部屋から、出て行っては、くれない、だろうか」
男「エルフに、見取られたくは、ない、のだ・・・」ゼェゼェ
エルフ「・・・・・・・・・」
男「・・・悪かった、な。最後まで・・・」
エルフ「・・・いえ」
男「・・・償いのつもり、ではないが・・・」
男「ここにあるもの、すべてを、譲ろう・・・」
エルフ「・・・・・・・・・」
男「・・・自由に、生きると、いい」
男「・・・このくらい、で、償える、とは、思えないが・・・」ゼェゼェ
男「・・・それでも、使ってくれる、と、嬉しい」
エルフ「・・・分かり、ました」
男「・・・すまない・・・、ごほっ」ゼェゼェ
エルフ「・・・失礼します」
・・・バタン
男「―――ごほっ、ごほごほ」
男「っはぁ。はぁ、はぁ」
男(・・・これでやっと、死ねるのか)
男(果たすことも果たせずに、死ぬなんて)
男(・・・なんて謝ればいいのか・・・)
男「・・・ごほっ」
男(・・・彼女にも、申し訳ないことをした)
男(・・・せめて、最後は)
男(せめて最後は、目一杯、苦しむから・・・)
男(君の嫌いな人間は、苦しんで、死ぬから・・・)
男「ごほ、ごほごほッ!」
男(・・・それで、許しては貰えないだろうか)
男「ごほごほごほッ!ごほッ!!ごっ・・・」
男(・・・許しては、貰えないだ、ろう、か・・・)
・・・キィ
バタン。
男「・・・?」
エルフ「・・・私が、嫌いな人間の言うことを聞くと、思っているのですか」
男「・・・!・・・」ゼェゼェ
エルフ「・・・もう、口も利けないのですか」
男「・・・・・・・・・」ゼェゼェ
エルフ「随分、苦しんでらっしゃるようですが」
男「・・・・・・・・・」ゼェゼェ
エルフ「・・・・・・・・・」
男「・・・・・・・・・」ゼェゼェ
エルフ「・・・あなたは私に、『殺して欲しい』といいました」
男「・・・・・・・・・」ゼェゼェ
エルフ「・・・あなたを殺すのは、私だと思うのです」
男「・・・?」ゼェゼェ
男(なにを、言っている・・・?)
エルフ「・・・私は」
エルフ「私は、人間が嫌いです」
男「・・・・・・・・・」ゼェゼェ
エルフ「私の両親は人間に殺され・・・」
エルフ「私の村は人間に焼かれ・・・」
エルフ「私は人間に連れ去られて・・・」
エルフ「私は人間に、買われました」
男「・・・・・・・・・」ゼェゼェ
エルフ「・・・私は、人間が嫌いです」
エルフ「・・・なのに」
男「・・・・・・・・・」
エルフ「・・・なのに、なぜあなたのことを、とても愛しく思うのでしょう・・・?」ポロポロ
男「・・・・・・・・・」ゼェ、ゼェ
エルフ「・・・あなたがどう思おうが、知りません」ポロポロ
男「・・・・・・・・・」
エルフ「私は人間が嫌いなのです。どう思われようと、知ったことではない」グスッ
男「・・・・・・・・・」ゼェ、ゼェ
エルフ「・・・毒を、持ってきました」スッ
エルフ「これを飲めば、苦しまずに、死ねるでしょう」
男「・・・!」ゼェ、ゼェ
エルフ「・・・どうせ、苦しんで死にたいとでも、思っているのでしょう・・・?」
男「・・・・・・・・・」ゼェ、ゼェ
エルフ「させませんよ。あなたのしたいことなど、何一つ、させない」
エルフ「・・・口を開けてください」
エルフ「もう、自力で何かを飲むことも出来ないのでしょう?」
男「・・・・・・・・・」ゼェ、ゼェ
男(・・・これが、君の復讐だとでも言うのか)
男(私を苦しませないことが、復讐だとでも)
エルフ「・・・口を」
男「・・・・・・・・・」
エルフ「・・・ん」クイッ
男「・・・!」
・・・チュ
エルフ「・・・んふ・・・」トロッ
男「・・・ん・・・ぐ」ゴク、ゴク
エルフ「・・・・・・・・・」
男「・・・・・・・・・」ゴク、ゴクゴク・・・
エルフ「・・・ふは。・・・飲めましたね」
男「・・・・・・・・・」
男(・・・君は、本当に、馬鹿な―――)
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