元スレ千歌「決めた…!私、この転校を機にヤンキー辞めて、真面目に生きる!!」
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551 = 511 :
穂乃果「……」ダッ…!!!
千歌「うっ…」
千歌(ま…まだ来る…!!)
ことり「千歌ちゃん…!!」
千歌「う…うん…!!これは逃げた方が良さそうだ…!!」ダッ…!!!
穂乃果「くっ……待てっ…!!」タッタッタッ!!!
千歌「いや、待つのは穂乃果ちゃんの方だよ…!!一旦、話し合おうって…!!!」タッタッタッ!!!
ことり「逃げて…!!遠くまで…!!!絶対、闘っちゃダメだから…!!!」
千歌「わ…分かってるよ…!!!」タッタッタッ!!!
穂乃果「……」タッタッタッ!!!
552 = 511 :
ことり「………」
ことり「穂乃果ちゃん……」
--------------------
穂乃果「昔みたいに戻れるって言ったけど、やっぱり無理かもしれないや……私、もう知っちゃったから……嫌な事も含めていろいろ……」トコトコ…
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ことり「………」ウルウル…
ことり「…っ」
ことり「ダメだ……今は感傷的になってる場合じゃない……穂乃果ちゃんを止めなきゃ……」
ことり「できる……やれる……そう穂乃果ちゃんに教えて貰ったから……」
穂乃果の鞄 ズズズ…
ことり(穂乃果ちゃんの鞄……ここに置いてくわけにもいかないよね……)
553 = 511 :
ことり「よっと……」グイッ…
ことり「ん…?重い……」
ことり「何が…」
拳銃 ポロッ…
ことり「…!!??」
拳銃 ガンッ…ゴロゴロ……
ことり「こ…これって………」
--------------------
554 :
凛、花陽サイド-
花陽「………」ゴクリッ…
海未「……」ズリッ…
凛「…!」
凛(来る……行かなきゃ…!)
凛(後手に回れば、凛に勝ち目は無い…!)
凛(先手を取って、速さで圧倒する…!!)
555 = 554 :
海未「……」ズ…
凛(今にゃ…!!)
凛「にゃあああっ!!!」ダッ!!!
海未「……」ユラリ…
凛「…!」
凛(隙あり…!!チャンス…!!!)
海未「……」
凛(ここだぁっっ!!!) ゴォッッ!!!
ガンッッッ!!!!
花陽「あっ…!」
凛「…がはっ……!」フワリッ…
海未「………」
凛(い…今……何が……)
花陽「カ…カウンター……!!」
556 = 554 :
海未「若いですね……私が、そう簡単に隙を見せるとでも…?」
凛「…!」
凛(そ…そうだった……) クラッ…
--------------------
千歌「例えばだけど、不用意に前に出たり、わざとガードに隙を作って狙わせたり……相手の次の攻撃を誘導するの!」
--------------------
凛(なにも……)
凛(なにも身につけてなんかいなかった……)
凛(ダメだ……もう…頭が…回らない……)
凛(ごめん……ごめん…千歌先輩…曜先輩……) フラフラ…
花陽「り…凛ちゃん…!!!」
557 = 554 :
海未「眠りなさい……」
凛(凛の……) フラッ…
海未「……」
花陽「そんなっ…!」ウルッ…
凛「……」フラァ…
凛(凛の……負…
??「おっと…」ポスッ…
海未「…!!?」
花陽「あ…あぁ……!」
凛「うっ…な…なんにゃ……?」
??「星空…凛さんだったかしら…?ありがとうね、それと、遅くなってごめんなさい…病院抜け出すのは大変で……」
凛「え…?」
海未「っ……」
海未「あ…あなたは……!!」
絵里「さぁーて……ウチの可愛い後輩を傷つけた罪は重いわよ……?園田さん……」
海未「絢瀬…絵里……!!!」
花陽「え…絵里先輩っっ…!!!」ウルッ…!
558 = 554 :
凛「絵里…先輩………」
絵里「喋らなくていいわ…ゆっくり休みなさい……後は、私がやるから……」
凛「…!!」
凛「絵里先輩……」ウルッ…
凛「凛……凛…ダメだったにゃ……凛…なにもできなかったにゃ……うぅ……」ポロポロ…
絵里「泣かないのよ…可愛い顔が台無しだわ」ニコッ
絵里「小泉さん…」
花陽「は…はいっ…!!」
絵里「星空さんをお願いできるかしら……あなたといる方が、星空さんも休まるだろうから」
花陽「…!!」
花陽「はいっ…!!」
花陽「り…凛ちゃん…!!」ダッ!
凛「うぅ……かよちん……」ポロポロ…
花陽「凛ちゃん…!かっこよかったよ…!!勝てはしなかったけど、恥じる事なんてないよ…!!凛ちゃんは、最高にかっこよかったよ…!!!」
凛「かよちん……」
凛「うぅ……ありがとう……ありがとう…かよちん……やっぱり、かよちんは最高の親友だにゃ……」
559 = 554 :
海未「………」ゴゴゴゴゴゴゴゴ…
絵里「さて……私の仕事はこっちね……」
海未「………」
海未「…あなたの退院は、たしか明日だったはずです……何故、ここに……」
絵里「ふふっ…知らせてくれたのよ……私の学校の生徒が……」
海未「くっ…余計な事を……」
絵里「水見色の愛すべき生徒が血を流してる……そしたら私が出ないわけには、いかないでしょ?水見色は私の学校なんだから…」
海未「ずいぶんと母校に思い入れがあるようですね……絢瀬絵里……」
絵里「…さっきからフルネームで呼ぶの辞めて貰えないかしら……一応、年上よ…?」
海未「敵に敬語を使う人間はいません……」
絵里「使ってるじゃない……」
海未「っ…ず…ずいぶん余裕ですね……勝てると思ってるのですか…?私に……」
絵里「勝てるわね」
海未「…舐められたものですね……」
560 = 554 :
絵里「私が強すぎるからね、あなたが弱いわけじゃないわよ?」
海未「戯言を……」ズリッ…
凛「…!」
凛(あ…あれは…!!)
凛「絵里先輩!気をつけて!!来ます!!」
絵里「教えてくれてありがとう、星空さん。おかげでカウンターが狙えそうだわ」ニッ
凛「え…!?」
海未「…!!」
海未「敵に次の攻撃を教えるとは……愚かな行動を取りましたね…絢瀬絵里…!」ズリッ…
絵里「あなたじゃ、分かってても防げないからね」
海未「っ…!」
絵里「試してみなさいよ」クイクイ…
海未「なっ…」
絵里「ふふっ…」
海未「怒りましたよ……」ゴゴゴゴゴゴ…
花陽(な…なんで、あんなに相手を挑発するようなマネを……)
561 = 554 :
海未「望み通り、試してあげますよ…!!」ダッ!!
絵里「……」
海未「……」ザッ…!!
凛「…!!」
絵里「……!」キッ…!
海未「はあぁっ…!!」ゴオッッ!!!
スカッ!!
海未「…!!?」
絵里「若いわね……」
海未「はっ…!」
ドカッッッ!!!!
海未「ぐあっ……!」
花陽「き…決まった…!カウンター…!!」
562 = 554 :
海未「くっ……」
花陽「す…すごい……なんて見切りの能力……」
凛「いや…違うにゃ……」
花陽「え…?」
凛「今の海未先輩の攻撃……いつもの海未先輩より、少し大振りで隙があったにゃ……」
花陽「そ…そうなの…!?」
凛「うん……それで、それをさせたのが……」
花陽「あっ…!」
花陽「あ…あの挑発……」
凛「うん……あそこから絵里先輩の攻撃は始まっていたんだにゃ……」
563 = 554 :
絵里「ふふふっ……あなた、格闘技は相当やるみたいだけど、路上はやらないタイプでしょ」
海未「…!」
海未「な…何故それを……」
絵里「そういう所よ、今のがハッタリだったら、相手に喧嘩経験が無い事をバラす事になるわよ?」
海未「…!!」
絵里「路上での喧嘩はね、格闘技とは違うの……単純な暴力の勝負だと思ったら大間違いよ」
海未「くっ……」
花陽「す…すごい……絵里先輩…海未先輩を圧倒してる……」
564 = 554 :
海未「……」タラリッ…
絵里「どうしたの……?来ないなら、こっちから行くわよ?」
海未「っ……」
海未(くっ…まさかアキバ四天王の一人、絢瀬絵里が出てくるとは……迂闊でした……そうと分かっていれば……)
海未(そうと分かっていれば……っ)
ヤンキー「へっへっ…水見色の奴ら、ビビって逃げて行きやがったぜ!」ザッザッ…
ヤンキー「お前が、木刀なんか持ってるからだよ!どっから持ってきたんだよ!」ザッザッ…
海未「…!?」クルッ…!
海未「あっ…!」
565 = 554 :
ヤンキー「あー?剣道部の部室から借りてきたんだよ、いいだろ?」
絵里「……」
絵里(あれは……焔ヶ丘の……)
花陽「う…嘘……敵が……」
凛「ま…まずいにゃ……」
海未「あなた達…!!」
ヤンキー「え…?」
ヤンキー「あっ…!う…海未さん…!!」
ヤンキー「お…お疲れ様です…!!!」バッ!
絵里「くっ……面倒な事になりそうね……」
566 = 554 :
海未「………」
ヤンキー「あっ…!あれ…!?海未さんが闘ってるのって……」
ヤンキー「あ…絢瀬絵里…!?」
ヤンキー「四天王の一人じゃないですか!!加勢しますよ!!」
花陽「…!!」
凛「くっ…こ…こうなったら、凛も……」
花陽「凛ちゃん…!それは……!」
凛「でも…!このままじゃ、絵里先輩が危ないにゃ…!!凛が行かないと……」
海未「…いえ……加勢は必要ありません……」
凛「え…」
絵里「……?」ピクッ…
ヤンキー「え…!?な…なんでですか…!?相手は四天王ですよ!!流石の海未先輩でも……」
海未「大丈夫です……ただし、その木刀……貸していただいてもよろしいでしょうか…?」
ヤンキー「え…?ぼ…木刀を……?」
凛「あっ…!!」
絵里(木刀……)
凛「そ…そうだったにゃ……」
花陽「え…?ど…どうしたの…?凛ちゃん……」
567 = 554 :
凛「う…海未先輩は……」
ヤンキー「ど…どうぞ……」スッ…
海未「………」
海未「…赤樫ですが……良いですね……」ブンッ…ブンッ…
ヤンキー「あ…あかがし……?」
海未「木刀の種類ですよ、まあ、この赤樫は本赤樫では無いようですが……」
ヤンキー「…??」
絵里(今の素振り……そして、木刀への知識……)
絵里(この子……まさか……)
凛「う…海未先輩は……」
花陽「う…海未先輩は……?」ゴクリッ…
凛「け…剣道の…有段者なんだにゃ……!!」
花陽「えぇ…!!?」
568 = 554 :
絵里「くっ……」
絵里(やっぱり……)
海未「さ、あなた達はもう行きなさい……ここは私、一人で十分です」
ヤンキー「…!は…はいっ…!!失礼します…!!」ダッ!!
海未「ふぅ……さて……」
海未「……」ピタッ……
花陽「…!」
花陽(き…綺麗……構えただけなのに……)
絵里「っ……」
海未「行きますよ……?」
凛「や…やばいにゃ……」
絵里「………」
--------------------
569 = 554 :
曜、梨子サイド-
善子「行くわよ…!!」
花丸「ずら!!」
曜「くっ…」
梨子「曜ちゃん…!!逃げて…!!」
善子「堕天究極奥義!!」
曜(来る…!!)
善子「堕天龍堕天DATTEN!!!」バッ!!
袖口 キラッ…
曜「ん…?」
善子「発射…!!」
袖口 ブシャッ!!!
曜「…!!」
曜「むがっ…!?」バシャッッ!!
梨子(曜ちゃんの顔に謎の液体が…!?)
570 = 554 :
曜「………っ!!」
曜「かっ…」
梨子「え…?」
善子「ふっ…」ニヤリッ…
曜「かっ…辛ああああああああああいっっ!!!辛い!!辛い!!辛い!!辛いいいいっっ!!!」
曜「み…水…!!水!!!り…梨子ちゃ……水を……あっ…あああっ…!!」
梨子「え…!?ええ…!?そ…そんな事言われたって、私、動けないわよ…!?」
善子「今よ!ずら丸!!今度こそ、楽にしてやりなさい!!」
花丸「言われなくても行くずら!!」ダッ!!
曜「ぐ…ぐぅ……痛い……顔全部痛い……梨子ちゃ……助けて……」
梨子「そ…そんな事言ってる場合じゃ無いわよ!!攻撃が来てるわ!!避けて!曜ちゃん!!」
花丸「逃がさないずらああ!!!」ダッダッ!!
曜「む…むぐぅ……梨子ちゃんが全然、心配してくれない……本当に痛いのにぃ……」
571 = 554 :
善子「な…なんで当たるのよ!!まさか、もう眼が見えるように!?」
曜「見えないよ!!痛すぎて開けられるわけないじゃん!!」
花丸「じゃ…じゃあ、なんで……」
曜「あんな大声出して、突っ込んできたら、見えなくても位置ぐらい分かるよ!!」
花丸「はっ…!」
善子「そ…そんな……」
梨子「そ…そう言われればそうね……」
花丸「まさか、そこを突かれるなんて……」
善子「なかなかのキレ者のようね……」
曜「いや、普通に分かるよ!!バカなの!?」
梨子「曜ちゃん……顔が痛すぎるのか何だか知らないけど、口が悪くなってるわよ……」
572 = 554 :
善子「バ…バカ……?今、私達の事をバカだと言ったわね……」ゴゴゴゴゴゴゴ…
花丸「許さないずら……もう、大声出して突っ込むのは辞めるずら……」ゴゴゴゴゴゴゴ…
曜「ぬぐぅ……まだ痛い……なんなのこれ……」
梨子「曜ちゃん、気をつけて!!相手二人とも、怒ってるわよ!!」
曜「私も怒ってるよ…!!」
曜「ぜぇ~ったい許さない!!眼なんか見えなくても、関係ない!!全力でぶっ飛ばす!!!」ザンッ!!
善子「くっくっくっ……眼が見えないのに、どうやって攻撃を当てるつもり…?行きなさい、ずら丸…今度は静かにね……」
花丸「…分かったずら……」コソッ…
梨子「曜ちゃん!来てるわよ!!」
曜「分かってる…!!」
573 = 554 :
曜「ふぅっーー……」
曜「………」
花丸「………」ソロォ~……
曜「………」
--------------------
曜、幼少期-
空手道場-
師匠「違うぞ…曜よ……見るのではない……感じるのじゃ……」
曜「……?」
曜「全然意味が分かんないであります!!ししょー!」
574 = 554 :
師匠「視覚だけに頼っていては、ダメじゃという事じゃ……聴覚、嗅覚、触覚……全ての感覚を用いれば、見えぬ物などないのじゃ……」
曜「………」
曜「わ…分かったであります!!ししょー!」
曜(………)
曜(ぜ…全然意味分かんない……)
--------------------
曜(…今なら、ちょっとだけ言ってる事分かるよ……師匠……)
575 = 554 :
曜(………)
曜(心を落ち着かせて……)
曜(全神経を鋭く集中させる……)
風 サァー……
鳥 チュンチュン…
手錠 カチャ…
花丸 ゴクリッ…
曜(……いた……左側……まだ遠い……)
花丸 スッ…
曜(少しずつ近づいてる……おそらく一歩で詰めれる距離に来て、右ストレートを狙ってる……)
576 = 554 :
花丸 スッ…
梨子「よ…曜ちゃん……」
梨子(な…何なの……この言い知れぬ雰囲気は……)
善子「……」
汗 タラリッ…
善子「くっ……」
善子(眼が見えないっていうのに、何故ここまでの迫力を……)
花丸「……」スッ…
曜「………」
花丸(行ける……この距離なら一歩で……)
曜「………」
花丸(でも……)
曜「………」ゴゴゴゴゴゴゴ…
花丸(な…なんなんずら……この予感は……)
花丸(近づいちゃダメだって言うこの予感は……!)
577 = 554 :
曜「………」
花丸「ぐっ…」タジッ…
曜「…!」
曜(今の気配……引いた…!?チャンス…!!)
曜「…」ギュルンッ…!
花丸「…!」
曜「ハアァッ…!!」ブンッ!!
バシィィンッッ!!!
花丸「いっ……!?」
花丸「ぐ…ぐあああっっ…!!」
善子「ず…ずら丸…!!」
578 = 554 :
花丸「う…ぐ……くぅ……」
花丸(ロ…ローキック……足の感覚が……)
曜「見つけたよ……ずら丸ちゃん……」
花丸「…!」
曜「正確な位置は分からなかったからね……ローで足、止めさせて貰ったよ…動けないでしょ…?」
花丸「っぐ……」
善子「ずら丸…!!何やってるのよ!!早く逃げなさい…!!」
花丸「わ…分かってるずら……!!」
花丸(分かってる…分かってるけど……!)
花丸(足が、まだシビれてるずら…!今は立ってるのがやっとで……)
579 = 554 :
曜「位置さえ分かれば、後はこっちのもの……」
曜「行くよ……」スッ…
花丸「っ…!」
花丸(どうせ、動けないなら……)
花丸(こっちから攻撃に出てやるずら……!!)バッ!!
梨子「…!曜ちゃん、危ない…!!」
曜「……」
スカッ…!
花丸「…!?」
花丸(な…なんで……見えてないのに……)
580 = 554 :
曜「……」バッ…!
善子「…!ずら丸!前!!」
花丸「え…
ガンッッッ!!!
花丸「…!!」グラッ…
花丸(こ…こめかみに……見えてないのに……)
曜「……」ザッ…!
ズンッッッ!!!
花丸「~~っ!!」
花丸(み…みぞおち……!?)
曜「はっ…!!」
ガツンッッッ!!!!
花丸「ぶはっ…!?」
梨子「…!?」
善子「あ…顎を……蹴り上げた……」
581 = 554 :
花丸「うぅ……」フラッ…
花丸「……」ドサッ…!!!
曜「セイッ!!!」
スカッ!!!
曜「あ…あれ…!?」
花丸「う…うぅ………」ゴロンッ…
善子「ずら丸…!!」ダッ…!!
曜「え…?」
善子「ずら丸…!!ちょっと!!しっかりしなさい…!!ずら丸…!!ずら丸!!!」ユサユサ…!!
花丸「う…う~ん……」ユサユサ…!!
曜「あ…あぁ……倒れたのか……」
梨子「…!?」
梨子「よ…曜ちゃん、まだ目開けられてなかったの…!?」
582 = 554 :
曜「え…?う…うん……顔すごい痛いし……」
梨子「う…嘘……じゃあ、さっきの攻撃は……」
曜「あー…あれは……何というか…その…なんとなく気配でローキック打ったら、当たって……それで…位置が分かってからは、まあ練習通りに……」
善子「…!」
善子「な…なによ!それ!!意味分からないわよ!!そんな理由で、ずら丸がやられたって言うの!?本当は眼開いてたんでしょ!!」
曜「いやいや…違うって、実際、熟練の人なら気配を読むような人もいるし…その後は、私が何千何万と繰り返してきた動きだもん……眼が見えなくても、関係ないよ」
善子「…!!」
善子「な…何千何万……」
善子(今まで、空手やってた不良なんて沢山いた……でも、たいてい喧嘩目的だし、不良だから長続きしなかったような奴ばっかりで、大して強くも無かった……)
善子(だけど、この人は違う……本物だ……本物の空手家だ……)
583 = 554 :
曜「………」ス…スゥ……
曜「いたっ…!」ギュッ…!!
曜「う…うぅ……やっぱりダメだ……痛すぎて開けられない……」
善子「……」
曜(まだ、後一人倒さないといけないっていうのに……!!)
善子「………」ゴソゴソ…
曜「…!」
曜(バックを探る音…!何か来る…!!) ザッ…!
584 = 554 :
善子「………」ゴソゴソ…
善子「……」
善子「……」バッ…!
曜「…!」
梨子「…!?」
バシャッッ…!
曜「わ…ぶっ…!?」
梨子「え…!?な…なに…!?」
善子「水よ……顔洗いなさい」
曜「え…!?あ…あぁ……本当だ……」
梨子「水…!?なんで!?どういう事!?」
善子「私達の負けって事よ……鍵も置いておくわ……」ポイッ…
鍵 カランッカラン…
梨子「あ…!」
585 = 554 :
曜「………」ゴシゴシ…
善子「ほら、行くわよ…ずら丸……」グイッ…
曜「………」スゥ……
梨子「あ…!曜ちゃん!!目、開けられたのね!!」
曜「………」
善子「………」
梨子「え…」
曜「………」
善子「ふっ……なに?その顔は……勝って嬉しくないの…?」
曜「………」
586 = 554 :
善子「こんな形だから不満…?言っとくけど、もう無理よ、私達は二人で一人……片方がやられたんなら、それで終わりよ……それに……」
善子「あなたみたいな本物に出会えた……私も不良だからね…ただ純粋に、あなたのその強さを尊敬しちゃったの……その時点で、もう私の負けだわ……」
曜「………」
梨子「………」
梨子(こ…この子……バカな子だと思ってたけど……意外なところあるのね……)
善子「それじゃあ、私はずら丸を病院に連れてくわね……会えて良かったわよ、渡辺曜……」クルッ…
曜「……」
曜「……」ガシッ…
善子「え…?」クルッ…
曜「なにいい感じに帰ろうとしてんの?私は、あんたにムカついてんだけど…?」ニコニコ
善子「へ…?」
梨子「え…」
587 = 554 :
曜「千歌ちゃんに何度もナメた口聞いた罪…償って貰わないとね…?」ニコッ!
善子「う…嘘……」
梨子「いや…千歌ちゃんって……」
曜「せー…のっ…!」
善子「い…いやいやいやいや…!!ちょっと待って!?え!?ええ!?今、いい感じに帰れる流れじゃなかっ…
曜「ごちゃごちゃうるさいよ」ニコッ!
善子「え…
ゴンッッッ!!!
梨子「あぁ……もう……」
善子「あ…あひゅー……」バタンッ…!
花丸「うっ……」バタンッ…!
曜「はー!スッキリした…!!大満足!!」ニッコリ!
588 = 554 :
曜「これで、千歌ちゃんの威厳は守ったぞー!!私、最強ー!!!」
梨子「あ…あぁ……」
梨子(や…やっぱりダメだ……この人……千歌ちゃん以上にバカかも……)
曜「さーて…!じゃあ、囚われの梨子ちゃんを解放してあげようかな!」タッタッ…!
梨子「はぁ……私の手錠解いたら、そこの二人連れて病院行くのよ…?」
曜「えぇ…!?なんで私が……」
梨子「やったの曜ちゃんでしょ……責任持ちなさい」
曜「えー……面倒くさい……」
梨子「ダメよ、行くの…!ことりちゃんとの約束破ったんだから、これぐらい我慢しなさい…!」
曜「ぶー……分かったよー……」スッ…
梨子「当たり前よ……」
589 = 554 :
曜「もー…梨子ちゃん、真面目すぎ……」カチャカチャ…
手錠 カチャッ…!
曜「お…開いた……」
梨子「ん…んん~…!!」ノビィー……
梨子「やっと、解放された…!!もう、手が痛いわ……」
曜「あはは……結構長い間、手錠されてたもんね……」
梨子「そうね……曜ちゃんが、喧嘩しだすから」
曜「え…!?いやいやいや、私が喧嘩しなきゃ、ずっと手錠されてたよ!梨子ちゃん!!」
梨子「話し合えば、すぐ渡してくれたかもしれないわ」
曜「い…いや……だから、不良に話し合いとか通じないって……」
梨子「不良である前に人間よ…?言葉が通じるなら、やりようがあるはずだわ、すぐに暴力に訴えるのは良くないわよ」
曜「う…うーむ……」
曜「そ…それは……そうかもしれないけど……」
590 = 554 :
善子「う…うーん……」ゴロンッ…
曜「あれ…?起きた…?」
善子「ん…」パチッ…
善子「あ……あれ…?空……?」
曜「おーい」ヌッ…
善子「…!?」
善子「ぎゃ…ぎゃあああっ!!あ…悪魔!!や…やめて!!来ないで!!!」ズザザザザッッ!!
曜「あはは…もう、何もしないって……」
善子「え……ほ…本当に……?」
曜「ほんと、ほんと、後ろから私より怖い人に睨まれてるから」
梨子「………」ジィーーー…
善子「え…」
善子(嘘…!あの人、そんなに強かったの!?)
591 = 554 :
花丸「う…うぅ……」
曜「あ、ずら丸ちゃんも起きた?」
花丸「う…こ…ここは……」ムクリッ
善子「なに寝ぼけてんのよ……やられたのよ、私達二人とも……この渡辺曜に……」
花丸「あっ……」
花丸「そっか……」ゴロンッ…
花丸「まる達、負けたずらか……」
善子「そうね……完敗だったわ……」
曜「いやいや、結構苦戦したよ?私だって、ずら丸ちゃんのタックルで相当ダメージあるし……」
善子「………」
花丸「…花丸ずら……」
曜「え…?」
592 = 554 :
花丸「花丸ずら…!!ずら丸は、善子ちゃんが勝手に呼んでるだけずら!!本名じゃないずら!!!」
善子「あはは…ずら丸、ごめん……」
花丸「…!!」
花丸「ずら丸って呼ぶなずら!!」ポカッ…
善子「いてっ…!」
花丸「まるには、花丸っていう、ちゃんとした名前があるずら…!善子ちゃんにも、そう呼んで欲しいずら……!」
善子「え~……でも、今更だし……それに、あんただって、私の事ヨハネって呼んでくれないわけだし……」
花丸「ヨハネは本名じゃないずら…!」
善子「…!?」
善子「ほ…本名よ…!!」
593 = 554 :
花丸「なに言ってるずら…!!じゃあ、なんでクラスの名簿に津島善子って書いてあるずら!?津島ヨハネだって、先生に言いに行けばいいずら!」
善子「うぐっ……そ…それは……その…善子は仮の名前で……その…ヨハネは……知られてはいけない名前というか……下界では善子として活動しているというか……」
梨子「はいはい……何言ってんのか分かんないけど、くだらない事で言い争っちゃダメよ…?二人とも……」
善子「…!」
花丸「なっ…!く…くだらない事じゃな…もがっ…!?」
善子「ず…ずら丸…!!」グググッ…
花丸(よ…善子ちゃん…!?く…苦しいずら…!!)
善子「ダメよ……逆らっちゃ……さっき知ったけど、この人は、渡辺曜より強いのよ…!!逆らったら、なにされるか……」コソコソ…
花丸「…!?」
花丸「こ…この人が……?」
梨子「…?」
花丸(ぜ…全然強そうに見えないのに……)
花丸(まさに、能ある鷹は爪を隠すずらね……)
花丸「…敵わないずら……」ガックシ…
梨子「え…?」
594 = 554 :
善子「今はまだね……」スクッ…
花丸「そうずらね……」スクッ…
曜「あ…あれ……?二人とも、もう行くの?」
善子「いつまでも、敵と仲良く話してるのも、おかしいでしょ?私達は帰るわ」クルッ…
花丸「次会った時は覚えとくずらよ!!絶対、二人ともやっつけてやるずら!!」ザッ…
梨子「え…!?わ…私も…!?」
曜「あはは…なんでだろ……ドンマイ、梨子ちゃん」
梨子「ド…ドンマイじゃないわよ……私なにもしてないのに……」
595 = 554 :
曜「あはは…あ、いてて…」ズキッ…
梨子「…!」
梨子「曜ちゃん!大丈夫!?」
曜「う…うーん……ちょっとマズイかも……梨子ちゃん、助けて…」
梨子「えぇ…!?マズイの!?じゃ…じゃあ、病院…!病院行かないと…!!」
曜「運んで~」
梨子「は…運ぶの…!?できるかしら……」
曜「できる、できる、人間一人くらい訳ないって」
梨子「そ…そう…?じゃあ……」
梨子「ふぬぬ……」グググッ…
曜「………」
梨子「ぬぬ~……っ!」グググッ…!
曜「………」
梨子「っはぁ……!む…無理……曜ちゃん、重すぎ……」ハァ…ハァ…
曜「いや、梨子ちゃんが力無いんだよ……私、別に太ってないし……」
596 = 554 :
曜「はぁ……仕方ない…歩くか……」スクッ…
梨子「ごめんなさい……力無くて……」
車 ブーン…
曜「あ、すごい車だ…!乗せてもらおうかな?」
梨子「はぁ…?な…なに言って……」
曜「すいませーん!病院までー!!」ブンッ!ブンッ!
梨子「ちょ…」
車 ブオオオオンッッッ!!!
曜「…!?」
597 = 554 :
梨子「あぁ……通り過ぎちゃった……」
曜「………」
梨子「…内浦じゃどうだったか知らないけど、東京じゃ、知らない人を車に乗せてくれる人なんていないわよ…?」
曜「い…今の……」
梨子「…?」
梨子「曜ちゃん……?」
曜「……綺羅…ツバサ………」
梨子「え…?」
曜「綺羅ツバサだった……今、車に乗ってたの……」
梨子「えぇ…!?き…綺羅ツバサ…!?」
梨子「それって、たしか…A-RISEの……」
曜「う…うん……」
598 = 554 :
曜「………っ」
曜「あいつ……本当にいたんだ……ここに……っ」
梨子「よ…曜ちゃ……」
曜「ぐっ……」
拳 グググッ…
梨子「…!」
梨子「…………」
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曜「でも、私の口からは言えないよ、千歌ちゃんの問題だから…」
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梨子「っ……」
梨子「よ…曜ちゃん…!!」
599 = 554 :
梨子「そ…その……!やっぱり、教えてもらえないかしら…!千歌ちゃんと曜ちゃんが昔、何があったのか…!!」
曜「………」
梨子「もう前とは違って、私は二人が不良だって事知ってるし……それに、なにより…私だけ、仲間外れは嫌よ…!!」
梨子「二人が何か悩んでるなら、助けになりたい……!何もできないかもしれないけど……それでも、何もしないでいるなんて、できない…!!」
曜「……梨子ちゃん………」
梨子「友達だから……大切な……」
曜「………」
梨子「………」ジッ…
曜「…はぁ……」
梨子「曜ちゃん……」
曜「後で、千歌ちゃんに怒られても知らないからね……?」
梨子「…!」
梨子「う…うん…!」
600 = 554 :
曜「………」
曜「先に言っとくけど、聞いてて気持ちがいい話じゃないからね……私も、できれば思い出したくないし……」
梨子「わ…分かったわ……ごめんなさいね……」
曜「いいよ……思い出したくないけど、私も梨子ちゃんには知ってて貰いたい……」
梨子「…曜ちゃん……」
曜「……あれは…」
曜「…私達が、ここに転校して来る前の八月…夏休み……」
梨子「………」ゴクリッ…
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