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元スレ提督「墓場島鎮守府?」
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まあるく収まった感じですな
更新乙でございます
しずま艦ってスケスケ衣装が多いんだけどやまちゃんが濡れたら……(砲撃音)
更新乙でございます
しずま艦ってスケスケ衣装が多いんだけどやまちゃんが濡れたら……(砲撃音)
大和が濡れたら……まあ、ご想像通りでしょうねえ……。
それでもここの提督は意図的に無視すると思います。
続きです。
それでもここの提督は意図的に無視すると思います。
続きです。
* その晩 0250 *
* 提督の寝室 *
提督「」スヤスヤ
――……と……
提督「」スヤスヤ
――て……と……
提督「……んん……?」
――てい……とく……!
提督「なん、だ……?」ムクッ
提督「……」キョロキョロ
提督「誰もいねえ……なんだったんだ?」
ユラッ
提督「!」
ぼんやりした人影『……てい……とく……!』
提督「な……!?」
ぼんやりした人影『……いそ……いで……!』
スゥッ…
提督「消えた……!?」
提督「……急げっつったって、どこへ急げばいいんだよ……」
* 同時刻、客室 *
(別々のベッドで眠っている鳳翔と妙高)
鳳翔「……」
妙高「……」
鳳翔「……妙高さん? まだ起きてらっしゃいますか?」
妙高「……はい」
鳳翔「今回の件……やはり私がN中佐を止めていれば良かったんでしょうか」
妙高「いえ、それを仰るなら私も同じです。あの時は誰もN中佐を説得できなかった……みんな、それを悔やんでいるはずです」
妙高「鳳翔さんがひとり責任を感じることはありません」
鳳翔「……それでもやはり、責任を感じてしまいますね……」
妙高「鳳翔さん……」
鳳翔「……」
妙高「……」
鳳翔「……? 何か聞こえませんか?」
妙高「え……いえ、何も」
……♪ ……♪
妙高「!」ガバッ
鳳翔「聞こえますよね?」ムクッ
妙高「はい、なにか……歌のような……」
鳳翔「……!」ビクッ
火の玉?<ユラッ
鳳翔「み、妙高さん、あ、あれを」
火の玉?<フッ
妙高「え?」
鳳翔「……」
妙高「? なにかあったんですか?」
鳳翔「……」ガタガタガタ
妙高「……鳳翔さん?」
……♪ ……♪
妙高「!」ガバッ
鳳翔「聞こえますよね?」ムクッ
妙高「はい、なにか……歌のような……」
鳳翔「……!」ビクッ
火の玉?<ユラッ
鳳翔「み、妙高さん、あ、あれを」
火の玉?<フッ
妙高「え?」
鳳翔「……」
妙高「? なにかあったんですか?」
鳳翔「……」ガタガタガタ
妙高「……鳳翔さん?」
鳳翔「い、いま、窓の外に、ひ、人魂のようなものが」
妙高「人魂ですか……?」
鳳翔「……」フトンクルマリ ビクビク
妙高「ほ、鳳翔さん……?」
鳳翔「ご、ごめんなさい……わ、私、おばけとか、苦手なんです」ナミダメ
妙高「そうだったんですか……」
鳳翔「は、はい、ですから、その……」モジ…
妙高「?」
鳳翔「す、すみません! 一緒のお布団に入れてください!」ダッ
妙高「は、はい!? 鳳翔さん!?」ズボッ
鳳翔「だ……駄目でしょうか」プルプルガタガタ
妙高「いえ、私は構いませんが……というか、もう返事をする前に入ってきてますよね?」
鳳翔「す、すみません……」シュン…
妙高「ええと、先程も申し上げましたが、私は構いませんから。大丈夫です」
鳳翔「あ、ありがとうございます……!」パァァ
鳳翔「こ、こうやって誰かにくっついていれば、いくらか怖さが紛れますので……!」ギュウ
妙高「そ、そうですか……私で良ければ、いくらでもご一緒しますよ」
鳳翔「ありがとうございます……ああ、妙高型の一番のお姉さんだけあって、安心できます」スリスリ
妙高(可愛い……)
……♪ ……♪
妙高「!!」
鳳翔「ひ……!」ビクッ
妙高「この歌は、いったいどこから……」キョロ
人影?<ユラッ
妙高「え!?」ビクッ
鳳翔「ひぃい!?」ビックゥ
人影?<スゥゥ…
鳳翔「す、す、透け、透けて……」ガタガタガタ
妙高「ほ、鳳翔さん落ち着いてください!」プルプル
* 廊下 *
コツコツ
提督「ったく、意味深なこと言うだけ言って消えるなよな……面倒くせえ」
タタタタッ
提督「ん?」
潮「は、はひ……ひいいっ!?」ビクッ
提督「なんだ!? 潮……なにやってんだ、こんな時間に」
潮「て、て、提督ですか!? た、大変なんです! 朧ちゃんが!」ヒシッ
* 廊下 客室前 *
提督「朧が眠ったままこっちに歩いてきたって?」
潮「は、はい。いくら呼びかけても反応しなくて……!」
提督「こういうのなんて言うんだっけか。夢遊病ってやつか……ん?」
(客室のそばの廊下で倒れている朧)
提督「朧!」タッ
潮「朧ちゃん!」タッ
朧「……」
提督「……死んではいねえな。眠ってるだけか」
潮「朧ちゃん……いったいなにが……」ウルッ
提督「さっき潮が走ってたのは、朧を助けて欲しかったからか?」
潮「い、いえ、実は……その……わ、笑わないでくださいね?」
提督「? ああ」
潮「実は……ゆ、幽霊を見たんです……!」
提督「なんだ、そんなことか」
潮「そんなこと、って……!」
提督「だって俺も見たからなあ。笑ったりしねえよ」
潮「見た……ん、ですか!?」アオザメ
提督「お前も幽霊を見て、様子のおかしい朧が倒れてたとなりゃあ、怪しいのはまさにこの辺り……ん?」
潮「ど、どうしたんですか!?」ヒシッ
提督「ちょっと静かにしろ……なんか聞こえねえか?」
潮「なにか……っ!?」ビクッ
提督「……これ、歌か?」
潮「た、たぶん……!」ゾワワッ
提督「あの部屋から聞こえるな。N中佐と大鳳がいる部屋か」
提督「潮、ちょっとここで待ってろ。様子を見てくる」
潮「い、行くんですか!?」ガタガタガタ
提督「ああ。悪いが、手を放してくれるか」
潮「ひ、一人にしないでください!」ヒシッ
提督「……わかったよ。後ろに隠れてろ」
提督「さてと……」
< ♪ ~♪ ~♪
提督(確かに、妙に寒気っつうか悪寒がするな……)ゾク
提督「仕方ねえ……突入するか」
扉<チャッ
提督「!! なんだこりゃ……」
潮「……ど、どうしたんですか……ひっ!?」ビクーッ
(部屋の中にぼんやりと浮かび上がる、無数の幽霊と人魂)
提督「異常な寒気の正体はこれかよ……!」
潮「ーーーーーーっ!?」ヘタッ
提督「なんでこの部屋がこんなことになってやがるんだ……!?」
♪ねえ~んね~ん、ころ~り~よ~……♪ ォォォ
提督「あれは……!」
大鳳「♪おこぉろ~り~よ~……♪」ォォォ
幽霊たち『』ウットリ
提督「……なんだこりゃ」
潮「……」
N中佐「」ガクガク
提督「……おい、大鳳」
大鳳「♪ぼ~うや……? は、はい、どうかなさいましたか」
提督「お前、何してた?」
大鳳「え? 何と申しましても……子守唄を歌っていたんですが」
提督「歌ってただけか?」
大鳳「はい。お聞かせしましょうか?」
提督「……お前、もしかして、歌うの好きか」
大鳳「はい!」ニコー
N中佐「」ピクピク
提督「……」
大鳳「あの、提督准尉?」
提督「あー、ちょっと歌うのやめてくれ。N中佐は寝てるみたいだし……」
幽霊たち『』ジーッ
提督「……どうせ歌うんなら、外で歌ったほうがいい。うん、そうしてくれ」
大鳳「あの、N中佐は寝てらっしゃるんですか? どこからかアンコールって声が聞こえるんですが……」
提督「……」チラッ
幽霊たち『』コクコク
提督「……」
大鳳「あの……」
提督「いいから外に行ったほうがいい。そこの通用口から南に少し歩くと、海が見える場所に出る」
提督「雨も上がったし月も出てる。寝てる相手より、月を相手に歌うほうがムードもあるだろ」
大鳳「……そう、ですか」
提督「ここは俺が見てるよ。よかったら外で気分転換してきな」
大鳳「……はい! お言葉に甘えさせていただきます!」パァッ
提督「おう……」
大鳳「失礼します! ~♪」スキップスキップ
ヒュオオォォォォ…
提督「……」
潮「……」プルプル
提督「今の冷気、幽霊たちも移動したってことだよな」
潮「……た、たぶん」コクコク
提督「あいつらも娯楽に飢えてるってことなのかねえ……潮、大丈夫か?」
潮「……」クビヲプルプル
提督「……だよなあ、俺ですら鳥肌立ったし」ナデ
潮「!」ギュウウウ
提督「あの様子だと、大鳳には幽霊が見えてねえ、ってことなのか? 見える基準がわかんねえや……」
提督「あ、そうだ。おい、N中佐。生きてるか?」
N中佐「……か……」プルプル
提督「か?」
N中佐「金縛り、に……遭った……!」ゼェゼェ
提督「……」
N中佐「上に……何人も、乗っかられてた、気がする……息が、できなかった……!」
N中佐「提督が、来てくれて……助かっ、た……よ……」ガクッ
潮「ひっ!?」
提督「おい!? ……眠っただけか。びっくりさせやがる」フー…
提督「外で倒れてる朧は……多分、誘われたんだろうな。あいつらに」
潮「誘われ……!」ガタガタ
提督「俺の部屋にも幽霊が出たんだが、多分そいつは、そういう仲間の暴走を止めたくて出てきたんじゃねえかな?」
提督「あいつらが朧を誘いたい気持ちもわかるが、あんまりそっちに近づきすぎるのも考え物だ」
提督「目立ちすぎると手を打たざるを得なくなる。はしゃぐのは、できれば今夜限りにして欲しいもんだ」
潮「……」
提督「と、まあ、死んだ連中にこんな都合のいいこと言って、どのくらい譲歩してもらえるかわかんねえけどな」
提督「ただ、まあ……こんな形であいつらと意思疎通できるなんて、思いもしなかったぜ」
潮「……みんな、さみしかったんでしょうか……」
提督「……さみしい、か。そう言われればそうかもな」
提督「俺も日に一回見回りする程度だしなぁ……なんかあいつらの気晴らしになるようなもの、考えなきゃな」
提督「さぁて。潮、部屋まで送るぞ。朧も布団で寝かせてやらねえとな」オボロセオイ
潮「は、はい……!」
< ♪トーォリャンセ トーリャンセ…♪
提督「……」
潮「……」
提督「しかし……あいつの歌声、行ったら戻ってこられなくなりそうな歌声だな……」
潮「……はい……」ゾワゾワッ
* 一方その頃、隣の客室 *
鳳翔「」チーン
妙高「鳳翔さん……真っ先に気絶して回避するなんてずるいです……!」プルプル
今回はここまで。
個人的に、大鳳さんの声帯の妖精さんの歌声はかなりツボです。
個人的に、大鳳さんの声帯の妖精さんの歌声はかなりツボです。
乙
大鳳の声帯の妖精さんは、自分が歌った童謡を聞いて怖いと言ったくらいだしなあ・・・
あの声は好きだけど
大鳳の声帯の妖精さんは、自分が歌った童謡を聞いて怖いと言ったくらいだしなあ・・・
あの声は好きだけど
更新お疲れ様です
絶海の孤島で美女、美少女達と集団生活
業務内容、肉体労働
たまにハプニング有り
こう書くとかなり条件のいい職場に見えるけど、実際は……
うむ
絶海の孤島で美女、美少女達と集団生活
業務内容、肉体労働
たまにハプニング有り
こう書くとかなり条件のいい職場に見えるけど、実際は……
うむ
* 翌朝 執務室 *
提督「ふあ……」
由良「提督さん、寝不足ですか?」
提督「だな。結局大鳳も歌い疲れて4時前に寝たし。その時間にはN中佐も寝てたから、見張りも必要なかったかもな」
提督「それと、朝餉が済んだら、ちょっと日曜大工してくる」
由良「何か作るんですか?」
提督「墓が並んでる丘の上に、祠でも立ててやろうかと思ってな」
提督「そもそも、お供え物が野晒しってのもアレだ。眠ってる奴らが退屈しないようなものを入れてやりたい」
由良「ふぅん……いいんじゃない?」ニコ
扉<コンコン
士官O「おはようございます」
由良「あ、士官さんですね。どうぞ」
士官O「失礼いたします」チャッ
提督「あんたも礼儀正しいよなあ……昨夜はまともに眠れたか?」
士官O「ええ。このごろは船の中で寝ておりますので、久々に揺れない寝床を堪能しました」
提督「そうか、ならいいんだ。大鳳やN中佐のところでちょっとした騒ぎがあったもんでな」
提督「二人の体調を考慮して、こちらの出発は遅れると本営に伝えた。1100をめどに準備してほしい」
提督「それまで食堂でしばらく暇をつぶしててくれ。そろそろ朝餉の準備もできてるはずだ」
士官O「了解いたしました」
提督「そういや、鳳翔が手伝いに行ってるんだっけか?」
由良「はい、比叡さんがどんな風に料理しているか、見に行きたいと言っていました。きょう一日、厨房でお勉強だそうです」
提督(……鳳翔は、幽霊は平気なのか?)
由良「ただ、妙高さんの顔色が悪くて……あまり眠れなかったって言ってましたよ」
提督「そうか……あとで声をかけとくか。朧の様子はわかるか?」
由良「うーん、変な夢を見た、って言ってたかな……顔色は悪くなかったと思います」
提督「夢、ね……わかった。よし、俺たちも食堂に行くか」
鳳翔「昨晩ですか? 普通に眠ってましたよ?」ハイライトオフ
提督「……」
鳳翔「眠ッテマシタヨ……?」ガクガク
提督(これ以上訊くのはやめたほうが良さそうだ)タラリ
* 1100 墓場島鎮守府 埠頭 *
士官O「ではN中佐。参りましょう」
N中佐「ああ。提督准尉、すまなかった。鳳翔、妙高、ここでお別れだ」
提督「……」
妙高「N中佐……」
N中佐「私の鎮守府のみんなに伝えてくれ。今までありがとう、利用するようなことをしてすまなかった、と」
鳳翔「N中佐……どうか、お体にお気をつけて……!」グス
N中佐「……ありがとう」
大鳳「では、行きましょうか。提督准尉、お世話になりました。ご武運を!」
提督「おう」
由良「お気をつけて」
ザァァァァ…
由良「行っちゃいましたね……」
提督「そういや不知火、お前たちは行かなくて良かったのか?」
不知火「はい。今回の一連の報告は大鳳さんが行うことになっておりました」
不知火「不知火が不用意にでしゃばって少佐の機嫌を損ねるのも得策ではないと思います」
提督「そういやそうだった、大鳳もあれの部下だったんだっけ。赤城みたいな毒気がねえから、すっかり忘れてた」
不知火「あとは、大和さんがこれ以上司令と離れていると何をするかわかりませんので……」トオイメ
提督「……なにがあったんだよ」ハァ
妙高「ところで、私たちはどうなるんでしょう?」
提督「それなら向こうの大淀から連絡があってな。N中佐の鎮守府から迎えが来るそうだ」
提督「ついでにちょっとしたお土産も持ってくるらしい」ノビーッ
不知火「……だいぶお疲れのようですが」
提督「昨夜まともに寝てねえからな……祠の図面も描けてねえし」
不知火「図面? ……もしや、今朝描いていたロケットの落書きがそうなんですか?」
由良「……ぷーっ!」クチオサエ
提督「……くっそ! どうせ俺に絵心なんてもんはねえよ!」ナミダメ
不知火「それを絵心と言うのは違うと思います……」
島妖精「そういうことこそ私たちに任せればいいのに」
島妖精「ねー」
* 執務室へ戻って *
提督「ル級が来てる?」
由良「ええ。せっかくだし、お昼を一緒にと思ってるんですけど」
明石「提督ー! お弁当、作ってもらいました!」
提督「弁当? ……って、お前も行くのか?」
明石「はい! ちょっと案内したいところがありまして!」
提督「?」
* 島の北部 岩礁地帯 *
提督「この辺、岩だらけなんだよな。歩きづらいったらねえ……つうか、なんでこんなとこ通るんだ?」
伊8「提督。こっち」
提督「おう……なんだこりゃ? 良く見つけたな、こんな洞穴」
明石「そりゃそうですよ、この壁の穴、最初は開いてませんでしたから」
提督「は?」
明石「私が撃って開けたんです」
提督「……崩れてきたりしねえだろうな?」
明石「大丈夫ですよ、岩盤が薄いのここだけですし」
由良「意外と中は広いのね……」
明石「向こうへ行くと、海に出られますよ」
提督「外から見るとただのでかい岩場だったんだが、こうやって潜んでいられるとなると、何かに使えそうだな」
明石「ここ全部、伊8さんが見つけたんですよ!」
提督「なるほど。こんな場所まで調べてくれて、ありがとな」
伊8「……」コク
由良「使う、ってどうする気なの?」
提督「まあ、緊急の避難場所ってとこか? 隠れるにはもってこいの場所だしな」
提督「あとはここにル級が潜んでいることもできるだろうし」
明石「そう思いますよね!!」
提督「……お、おう」
明石「そう思って呼んできてるんです! ル級さーん!」
ル級「……」スッ
提督「よう、久しぶりだな」
ル級「……」
由良「な、なんだか雰囲気が重たくない?」
明石「……あの、なにかありました?」
伊8「?」クビカシゲ
提督「なにかあったのか?」
ル級「……提督」
ル級「……悪イケド、私ハコノ鎮守府ニ居続ケル気ニハ、ナレナイワ」
明石「え!?」
ル級「シバラク、アナタタチヲ見テキタケレド、他ノ人間ガ多ク出入リシテイル」
ル級「私ガ居座ッテハ、アナタタチニモ、ワタシニモ、火ノ粉ガ降リカカルノハ目ニ見エテイル」
由良「そんな!」
ル級「ダカラ、オ別レダ」
提督「ん、そうか」
明石由良「「ちょっ!?」」
提督「な、なんだ? なんで驚いてんだ?」
明石「そりゃ驚きますよ! そんなにあっさり、そうか、なんて言われたら!」
由良「そうです! 引き留めるとかしないんですか!?」
提督「いや、いたくなきゃいなくていいだろ!? それこそ気が向いた時に来ればいいだけだろが!」
明石「!」
由良「!」
ル級「……!」
提督「なんだ? 俺、なんか変なこと言ってるか?」
提督「俺はル級に遊びに来いとは言ったが、ここで暮らせなんて一言も言ってねえぞ」
提督「そもそもル級と俺たちじゃ価値観も生活観も違うだろうし、一緒に暮らして海軍に目をつけられたら庇いきれるかわかんねえぞ」
提督「んな面倒事押し付けたくもねえし、俺としちゃあ、来るときに連絡をもらえればそれでいい、って考えてたんだが……」
明石「……」
由良「……」
伊8「……」
提督「お前らそこでどうして揃いも揃って変な顔してんだよ……」
明石「提督のせいでしょー!?」グワッ
由良「最初から誤解を生まないように言ってください!」グワッ
提督「ああ!? 勘違いしたのはお前らじゃねーのかよ!?」
伊8「……」ポカーン
ル級「……フフ、フフフ。アハハハハ!」
全員「「!」」
ル級「提督ノ言ウ通リダ。別ニ、今生ノ別レニシナクテモ良カッタ」
提督「そういうこった。楽に構えてくれよ、俺も気を張ってるの好きじゃねえし」
ル級「ヤレヤレ、変ナ人間ダ」クスクス
明石「全面的に同意します」ハァ
提督「とりあえずだ、どうしても気に入らないことがあるなら言ってくれ、できる範囲で対応しとく」
提督「ただ、今言ったみたいに、他の海軍の連中を押さえつけられるようなことはできねえから、島に近づくときも警戒はしておいてくれ」
提督「俺の権限もそこまで強くない。無理なことも多いから、そこは目を瞑って欲しい」
由良「そうね。今回みたいなことは二度と起こって欲しくありませんけど」
提督「それなら大丈夫だろ。幽霊騒ぎもあったし、それを上に報告すりゃあ、まともな奴はますます島に近寄ってこないはずだ」
由良「……本当、どうしてこんなことが次々起こるのかしら……」アタマカカエ
ル級「本当ニ退屈シナイワネ、コノ島ハ」クスクス
提督「ところで、ル級はこれからどうするんだ?」
ル級「ココカラ北ヘ進ムト海底火山ガアッテ、ソバニ小サナ無人島ガアル。私ハ、ソノ周辺ニ落チ着コウト思ウ」
ル級「私ニ用ガアルナラ、ソノ無人島ヲ訪ネテ欲シイ」
提督「わかった。なにかあったら連絡する。由良、あとで場所を確認しといてくれ、くれぐれも本営の連中に感づかれないよう、内密にな?」
由良「はい、わかりました」
明石「さ、お昼にしましょう! 待ちに待ったお弁当タイムです!」
* *
提督「明石てめえ! そのメンチ俺のだぞ!!」
明石「そんなの関係ないですよ! つばが飛ぶから怒鳴らないでください!」ヒョイ
由良「あ、それ、由良が狙ってたからあげ……!」
提督「……明石、お前最近食いすぎじゃねえか?」
明石「なっ! そんなことないですー! ちょっとおいしくて箸が進んでるだけですー!」
提督「いやいや、いくら比叡と鳳翔の合作だからって、なあ?」
由良「ええ……」
明石「そういう提督こそ遠慮してくださいよ! この前、比叡さんと如月ちゃんにお弁当作ってもらったんでしょう!?」
提督「生憎と食ったのは黒豆だけだ。卯月と望月にすっげー勢いで食われたからな」
提督「そうでなくても、医者に食うなと止められたし……」
明石「それはご愁傷様です」ヒョイ
由良「あ、また由良が狙ってたタコさんウインナー……!」
提督「やっぱ食いすぎだろ。太るぞ」ハァ
明石「なっ! そんなことありませんー!!」
ル級「コラ。オ行儀悪イワヨ」ビシッ
明石由良「「ご、ごめんなさい」」
提督「……わりぃ」
伊8(いちばんまともなのがル級さんってのはどうなんだろう)ポテトモグモグ
* その日の午後 埠頭 *
卯月「やったあぁ、来たっぴょぉおおん!」
L大尉「久しぶりだね、墓場島の諸君!」
妙高「卯月さん!?」
提督「……」ウヘァ
霞「……ちょっと、このしまりのない組み合わせはいったいなんなのよ」
朝雲「L中尉!? ど、どうしてあなたがここに!?」
L大尉「おお、朝雲じゃないか! 聞いてくれ、昨日付で僕は大尉になったんだ!」
朝雲「……香取さんに迷惑かけてないでしょうね?」ジトメ
L大尉「せっかくの再会なのに一言目から厳しすぎないか!? 僕だって日々成長しているんだぞ! なあ香取!」
香取「ええ、L大尉はとても教え甲斐のある生徒さんですよ、ふふふ」
朝雲「……ほんっと、手がかかる人でごめんなさい」
L大尉「待ってくれ本当にどういう意味だ朝雲ぉ!?」
霞「わかってないの!?」
提督「霞、自覚のない奴には何を言っても無駄だぞ……」
古鷹「あっ! L中尉じゃありませんか! お久しぶりです!」
L大尉「お、おお、古鷹! 聞いてくれ、昨日付で僕は大尉になったんだ!」
古鷹「本当ですか! おめでとうございます!」
L大尉「うん、ありがとう! そうだよ、こういう言葉を聞きたかったんだ!」
古鷹「L大尉も成長なさったんですね……!」
L大尉「ああ! 自転車も乗れるようになったんだ!」
古鷹「本当ですか!」
提督「!?」
霞「!?」
古鷹「じゃあ、ウォシュレットも一人で使えるようになりました!?」
L大尉「もちろん大丈夫だ!」
提督「」
霞「」
古鷹「それじゃ、お風呂に水鉄砲を持っていくのも……」
L大尉「ああ、アヒルちゃんと一緒に卒業したとも!!」
古鷹「さすがです!!」
提督「」シロメ
霞「」シロメ
朝雲「提督と霞が死んでる!?」
卯月「しっかりするぴょん!?」
香取(お気持ちはよくわかります)シロメ
提督「……おい香取。なんでこいつ海軍にスカウトされたんだ」
香取「え、ええ、なんでも妖精さんがしっかり見えるというのと、何に対しても物怖じしない度胸と強引さを買われたらしく……」
提督「見えるのか。だからってそこまで人材不足なのかよ、海軍は……」
香取「残念ながら、艦娘を率いる指揮官の3割は、何かしらの問題を起こして処分を受けたり解雇されたりしているくらいですから」
提督「こういう問題のある奴を指揮官に当てたら、元の木阿弥どころか悪化するだろうがよ……」
香取「ま、まあ、L大尉の場合は余計なことをしたがる悪癖さえなければ、本営にとって使いづらいわけではありませんので……」
提督「あー、そういうことか。なまじっか中身がいい奴スカウトしたら、出世されて自分の地位が危うくなるもんな」
提督「こういう手合いには、古鷹みたいな苦労を苦労と思わないお人好しか……」
提督「あんたみたいなしっかりした教育者に押しつけるのが妥当だしなあ。とんだ貧乏籤ひかされたもんだ、察するぜ」
香取「い、いえ、そのようなことはありませんよ?」
提督「それを否定するあんたもまじめだなあ……」
卯月「そういえば、提督准尉はどんな理由でこの島に着任したぴょん?」
提督「俺か? 妖精と話ができると困るやつがいるから、と言えばだいたいわかるだろ」
香取「……そういうことですか」
卯月「? どういうことだっぴょん?」
香取「今の海軍が深海棲艦と戦争するには、艦娘と妖精さんの力が不可欠である、ということは知っていますね?」
香取「ところが、その妖精さんを見ることのできる人間が、開戦当時の海軍にはごく僅かしかいませんでした」
香取「そこで海軍が、妖精さんの存在を確認できる人材を募ったのが、今の海軍で艦娘を率いている方々と言われています」
香取「ただ、それでやりづらくなったのは古参の海軍将校。先程も准尉が仰ったように……」
香取「艦娘とのつながりを深く持てない彼らは、新参者の指揮官たちに地位をとって代わられることを恐れたんです」
提督「ようは俺たちの存在が邪魔なんだ。艦娘の力を借りずに深海勢力を打ち倒せる方法を必死に考えてた奴らもいたしな」
提督「艦娘に権力を与えてないのもそれが理由だろうな。艦娘はまだ海軍の備品扱いだろう? 都合が悪けりゃ簡単に始末できる」
提督「これが俺たちみたいに艦隊を任された『人間』で、しかも民間人出身者が多いとなると、そうそう安易に消すわけにはいかねえ」
卯月「消すぴょん!?」
香取「一部の海軍将校のなかには、忌むべき邪道な方法で戦おうとする方々もいますし……」
香取「妖精さんに対してすら、知られてはいけない秘密を持った方もいるかもしれません」
提督「生かさず殺さず、封殺するのが目的なら、こういう辺鄙な島に追いやってしまえば安泰……ってなるよな?」
卯月「……准尉の長い話はいつも重たいぴょん」ムー
望月「ったくもー、なんだって准尉は、そーゆー話を毎回他人事みたいにしれっと喋れるのさー?」
弥生「……こんにちは」
提督「おう、お前らも来てたのか、お疲れさん。それよりお前ら、どうしてL大尉の船に乗せられてきたんだ?」
弥生「L大尉が、提督准尉の顔が見たい、って……」
提督「はぁ……?」
香取「お恥ずかしながら、L大尉と本営から戻るときに大和さんがいるという話を聞いて、一目見に行こうと……」
香取「その大和さんが提督准尉の部下だと知って、それならなおのこと准尉にご挨拶に、と言う話になったんです」
望月「早い話が、野次馬?」
香取「……そういうことになってしまいますね」
卯月「でも、うーちゃんたちの鎮守府に来てくれたおかげで、思ってたよりこの島に早く着いたから結果オーライっぴょん!」
香取「そう言っていただけると救われます」
弥生「准尉、これ、お土産……」ダンボールサシダシ
提督「! これは……俺が言ってた雑誌か?」
弥生「私たちが読まなくなった、古い本、だけど……良かったら、暇つぶしになるかと思って」
朝雲「へー、ファッション誌とかもあるんだ」
妙高「それは私が買っていた雑誌ですね。昨シーズンの本ですから、捨ててしまうつもりでした」
提督「小説もあんのか。レイモンド・チャンドラーとかエラリー・クイーンとか、なかなか渋い趣味してんな」
望月「あー、あとこれも差し入れ。オセロとか将棋とか黒ひげとか、リサイクルショップで物色してきた」
提督「わざわざ買ってきたのか?」
望月「うん、まー、安かったし。離島なんだし、電源不要のおもちゃじゃないと遊べないじゃん?」
卯月「弥生も、気分転換にお買いものに行きたいって言ってたぴょん!」
弥生「う、卯月……それは内緒にして、って……!」オロオロ
卯月「望月も実は、どうせ行っても遊ぶものないしー、とか言って全然乗り気じゃなかったぴょん」
望月「……いや、だって、あたしがここに来て何ができんのさ……」ポリポリ
望月「っていうか、どうせ遊びに行くなら遊び道具があったほうがいいぴょーん、とか言ってたの卯月じゃん」
卯月「その通りぴょん! うーちゃんはこの島のみんなと遊ぶために来たぴょん!」
妙高「卯月さん!?」
提督「いや、いい。卯月の好きにさせてやってくれ」
妙高「い、いいのですか?」
提督「そういうのが、この鎮守府に欠けていたんだ。残念だが、俺には駆逐艦の目線で何が楽しいのかがわかってない」
提督「俺が何気なく愚痴をこぼしただけなのに、ここまで気遣ってくれたんだ。礼を言わせてもらいたい」
弥生「!」
望月「お……!」
卯月「准尉、そういう笑い方もできるぴょん!?」
提督「? なんだ?」
望月「准尉ってば、今まで悪人みたいな笑顔しか見せてこなかったからねえ」
弥生「優しい、顔してた」
提督「? そうなのか?」
霞「まあ、滅多に見せない顔してたわね」
L大尉「古鷹、提督は普段から笑っていないのか?」
古鷹「最近はそうでもないですけど……少ないですね」
朝雲「私も初めて見たかも」
提督「……なんか、すげー恥ずかしいぞ」
妙高「照れている准尉も新鮮ですね」クスクス
香取「ええ」クスクス
* 使われていない会議室 *
提督「よし、荷物は全部ここにおいてくれ」ドサ
霞「わかったわ」ドサ
妙高「おもちゃも全部ここでいいんですか?」
提督「ああ。食堂に近いから飲み物も持ってきやすいし、艦娘たちの私室にも近いから、ここを休憩室にしてしまおうと思ってな」
提督「棚も多いから雑誌の収納にも困らねえ。騒がしくなりそうなのは……黒ひげくらいか?」
妙高「トランプもエキサイトするかもしれませんね」
望月「あー、そういえばここに来るまでの間、船の中でババ抜きしてたんだけど……L大尉、めっちゃ弱かったねえ」
霞「確かに弱そうね……」
提督「ところで卯月はどこに行ったんだ?」
提督「古鷹と朝雲は、L大尉や香取と一緒に資材の荷下ろし中だけど、そっちには行ってねえだろ?」
弥生「……そういえば」
妙高「さっきまでいたと思うんですが……」
まさかのL大尉再登場。
次回は卯月の出番だっぴょん!
今回はここまで。
次回は卯月の出番だっぴょん!
今回はここまで。
お疲れ様です
スレが伸びてたからまさかと覗いたら更新来てた
筆がはっやーい(島風)
卯月の活躍楽しみに待ってます
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筆がはっやーい(島風)
卯月の活躍楽しみに待ってます
* 執務室 *
卯月「卯月でぇーーっす! うーちゃん、って呼ばれてむぁ~す!」クルリーン
如月「私と同じ睦月型の、四番艦よ。執務室に用があるっていうから、案内したの」
卯月「お姉ちゃんに案内してもらえるなんて、卯月感激っぴょん!」
大淀「あなたもイヤホンを付けさせられていたんですか?」
卯月「うーちゃんは残念ながらN中佐に声をかけられなかったぴょん……全然出番がなかったぴょん」
卯月「でも、そのおかげでこの通り元気だし、倒れるまで働かされるよりマシかもしれないと思うと、ちょーっと複雑ぴょん?」
神通「極端な勤務体系だったんですね」
大淀「それで、卯月さんは執務室にどんな御用ですか?」
卯月「提督准尉に個別にお土産を持ってきたぴょん!」
神通「お土産?」
卯月「鎮守府のみんなに頼んで、不要になった雑誌を持ってきたぴょん。こっちは提督准尉向けっぴょん!」ダンボールドサリ
如月「司令官向け?」
卯月「おっと、荷物はまーだまだあるぴょん! うーちゃんはみんなを手伝ってくるっぴょーん!! ぷっぷくぷぅー!」ピャッ
神通「……なにを企んでいるんでしょう、あの子」
大淀「企む?」
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