私的良スレ書庫
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元スレ仗助「艦隊これくしょんンンン~~~~?」
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尾を海面に突き立て水への抵抗を増やし、動くまいと力を込めたその身体が、連続する爆発に押し負けた。
その足が離れ――ついに、レ級の抵抗の術はなくなる。
これはつまり――
「射程距離に『入った』ぜ。おめーのその、悪趣味な笑いが……ようやくよォォォー……!」
――三度目の邂逅。
そして――三度目の正直。
既に仗助の身体に被さる形で発現した【クレイジー・ダイヤモンド】は、完了している。
このままレ級の身体をブチ壊し――この困難を殴り抜ける覚悟を。正しい今日に直す覚悟を。
果たして――動く。
ゆらりと、陽炎めいた動作の【クレイジー・ダイヤモンド】。確と握り締められたその拳。
巌がごとき彫刻めいた体躯。
血潮漲る桃色の、筋骨嵩張る武骨な腕に――表面を覆う空色の装甲。
ハートを象り底面とした円筒の頭部甲冑。その仮面の奥には、熱気を無理矢理円に押し込めた眼差し。
今にも溢れ出さんばかりの烈気が収まりきらずについに解き放たれる――――食い縛った歯が開かれる。
そして――。
「ドラララララララララララララララララララララララララララ――――――」
山城と仗助のコンビプレイによって生まれた傷へと、拳を叩き込む【クレイジー・ダイヤモンド】。
合わせて起こる大井の魚雷の爆発が、背後からレ級を突き上げその威力を後押しする。
装甲がどれほど強力だろうが、既に損壊しているなら関係ない。
既に罅割れてしまえばあとは圧力を加えただけ――その分、亀裂が広がっていく。
「ドララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララ」
憤怒の連撃。激情の連打。
容赦のない【クレイジー・ダイヤモンド】が生み出す拳の雨が、深海棲艦を打ち据える。
その部品の最後の一つまでをも掃滅せんばかりの猛打。
次々繰り出される破砕の攻撃。
難攻不落の装甲を撃滅せんと、矢継ぎ早に打ち込まれる【クレイジー・ダイヤモンド】の撃砕の拳。
反動で海面に刻まれる波紋が奇妙な形を生む。恒星の周りを自転する惑星が如く――或いは蓮の花が如く。
「ドラッ! ドラッ! ドラァッ! ド――――――――ラララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララ」
悲鳴を上げるレ級の甲皮と、軋みを上げる【クレイジー・ダイヤモンド】の拳骨。
しかしそれでも叩き付けられ続ける、数多の拳撃。
最早拳の雨を超えた。
これは壁であり、嵐であり、明確な質量を持った一個の破壊の概念。粉砕の渦。
勇気を嘲り、覚悟を笑い、尊厳を踏みにじる悪魔に叩き付けられる――正当なる怒りの拳。
これこそが【クレイジー・ダイヤモンド】であり、そして――これこそが東方仗助。
スタンドという――――その傍に立ち、理不尽へと立ち向かう輝ける意思/黄金の精神。
「ドララァァァァァァァァァァァァァァァア――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――ッ!」
止めの一発。振りかぶり叩き付けた右拳。
強力な破壊力を伴った精神のヴィジョンが、軽く数十メートルの向こうへと深海棲艦を弾き飛ばす。
地面ならば衝撃でクレーターが形成されるだろうパワー。
海面を抉り混むかの如く海水を押し退け、派手な瀑布と共に背中を打ち付け転がるレ級。
そして、
「頭でも冷やすんスね……海水に浸かって、たっぷりよぉ~」
仗助は、殴り飛ばした敵に背を向けた。海面から抱き上げられる、卯月の身体。
天に捧げるかの如く、【クレイジー・ダイヤモンド】の両手が持ち上げた。
深海棲艦戦艦レ級には、まだ息がある。
事実、よろよろと身を起こして、仗助らに主砲を照準した。
それだと言うのに仗助は振り返らない。
ただ、山城本人の傷を直すだけ。
何故なら――――既に、攻撃は完了しているから。
「海水に浸かって頭を冷やせ、つったよなぁ~~~~」
ぐん、と深海棲艦の腕が、上半身がつんのめる。
踏み止まろうとするもその場で横転して、立ち上がろうとしてもまた倒れる。
何が起きたか判らない――そうあたりを見回す彼女の身体に傷一つない。
そう、治っている。何もかもが元通りに、直されている。
ただ一つ違うのは――
「【クレイジー・ダイヤモンド】……二つ纏めて『直した』ぜ」
同時に破壊された大井の放った魚雷までが、その肉体と共に修復されている事。
二つが混ざり合って――『組み立て直されて』いるッ!
だから、意図せずレ級の肉体は推進力を得ていた。自ら海水を掻き分け進もうとする魚雷が混ぜ合わされていたのだ。
そして最後に引かれる、言葉の引き金。
「魚雷になってクルージングでもしてるんだな……ヒトデさんと一緒に、『海の底で仲良く』オリョール海あたりまでよぉ~~~~~ッ!」
その言葉と共に――海中に没した深海棲艦は、抵抗むなしく遥か彼方まで追いやられていった。
もう誰も手出しは出来ない。
深海棲艦そのものの持つ機関と燃料を使って魚雷は推進を続け、やがて彼女の含有する弾薬ほど爆発するだろう。
その時まで、止まる事のない航行を続けるのだ。
レ級は――――正しく、再起不能ッ!
「これで元通りっすね」
仗助の手に重なった【クレイジー・ダイヤモンド】による修復。
まさしく文字通り、新品同然に――破損していた筈の大井の装甲は全て快復した。
山城も勿論、天龍も既にここに至る道中で抜け目なく回復させていた。流石は彼――東方仗助、と言ったところか。
信じられないものを見たようにまじまじと己の手を眺める大井を尻目に、仗助は頬を掻いた。
「なんつーか……言い出しにくいんスけどよぉー」
「……なんですか?」
「そろそろ、引き揚げちゃあくれねーっスか? 正直、傷に海水がズイブン沁みるっつーか……マジに傷口に塩を塗り込むそのものみてーでよぉ~」
「あ、ご、ごめんなさい……気付かなくて」
すっかりと戦艦レ級と海上戦を繰り広げた為に失念していたが……。
東方仗助は、生身である。生身の人間である。
まさか大井らの様に海上を滑り移動する事も出来まい。そして人間の泳ぎで岸に戻りつくのには、距離があり過ぎる。
「……」
「……大井さん? どーしたんスか?」
そして――大井は逡巡。雷巡が逡巡。
珍しく顎に手を当てて、仗助の前で黙り込んだ。彼からの言葉も届かぬほどに。
無視するとか、企み事をするとしても……このように完全に声が聞こえなくなるのは別だ。(ただし北上の事について捲くし立てる事を除く)
近付いて覗き上げて確認すべきか。
いや、構造的に完全に下からスカートの中身を覗き込む動作となってしまう。年頃の婦女子相手には厳禁である。仗助は止まった。
そして何やら考えがまとまったのか――突如として普段通りの明るい笑みで、(それも花が咲き誇るように満開で)、仗助へと詰め寄った。
「提督、私考えました」
「ちょ、大井さん……近すぎるんじゃあねーっすか……? こう、あんまり近いと色々とマズイもんが見えるっつーかぁー……」
「ええ、提督にも傷があるから海水は……駄目ですよね」
「そーっスけど……」
「だからこのまま、岸まで! というか治療施設まで! そしてその看びょ――」
なんたる様だろうか。鬼めいて怖い。
笑顔だというのに。思い切り話しかけているというのに、まるで会話が成り立たないような雰囲気さえ醸し出す。
というか気遣いも省みぬぐらいに接近を試みようとする大井に、仗助は大いに仰け反った。
だがここで、なんたることだろうか。
「提督……?」
執着者のエントリーだ!
とっくのとうに傷を治されていた山城が、そこに割り込んだのだ。
丁度大井と山城で、仗助を挟み撃ちする形になるではないか。
「山城さん? 傷は……治したっすけど、大丈夫ッスか?」
「ええ。……本当に言った通り、私の事を治してくれるなんて」
伏し目がちに――されど、幸福そうに。
己の肌を撫でて、柔らかな笑みを浮かべる山城。そこだけ見れば――非常に絵になるだろう。
十人いれば、十三人ほど振り向く美しさである。(三人がどこから来たのか。きっと野次馬だろう)
「本当に、感謝しても足りないくらい……」
「別に気にするほどの物でもねーとは思うっスけどね。しょーじき、山城さんの装甲がなければどーなってたかだよなぁ~~」
「なので」
「ん?」
「ここから向こうまでは……その、私が提督を連れて……」
またしても近い。顔が近い。
正確に言うなら、体が近くなるというか……要するによろしくない。多分下から色々見える。
「げ」と顔を歪める仗助の背後で、巻き起こる水音。
「あ、いけない……装備を落としちゃいました~♪」
無論、大井である。
彼女の手から偶然――おそらく――滑り落ちた甲標的が、水面で回転する。
哀れ潜行の用意をしていなかった妖精は大慌てである。何たる惨状か。
必死に溺れぬよう、甲標的を這い上がろうとするが、プールに浮かべたスイカのビーチボールめいて回転する。
ハムスターが回し車でそうするように、ただただ動く甲標的と妖精。
尤も必死こいてる分、何とも哀れすぎる光景だが……。
大井は、笑顔。
山城は、明らかに眉間に皺を寄せて。
仗助の頭部を挟んだその両極で……視線を交わし合う。
「提督なら、私が連れて行くから大丈夫ですよ? ほら、私の方が早いから……」
「提督は傷を負ってるの……早いと提督の傷に障るんじゃないの……?」
「でも……なら、なおさら早く手当しないといけないんじゃないですかー?」
笑顔。渋面。
どちらも声色が穏やかな分――――だからこそ余計に、背筋が凍る響き。
「私の方が戦艦で出力が上だから……連れて行くなら、私よ……多分その方が向いてますから……」
「……あら、休んでいてください。私を庇って撃たれたんだから……ね?」
「その傷なら、最初に提督に治して貰ったわ。『最初に』。だから大丈夫……」
「……」
「……」
ちなみに、順番的に一番初めなのはもっとも近場であった天龍であると言っておこう。
静かに白熱する議論を余所に――と言うか。
白熱するからこそ、彼女たちは気付かない。
仗助がさっさと泳いで、二人の間から抜け出してしまっている事に。
「おい、卯月……さっさと向こう岸に連れてってくんねーか? これでもグラウンドで転げるサッカー選手より大怪我って奴でよぉ~」
「……」
「卯月……?」
返答が、ない。
仗助の首筋から、一気に血の気が引いた。背筋が凍り付き、怖気が這い上がる。
彼は確かに傷は治した。治した、その筈だ。
だが――いくら外傷を治したとしても。たとえ【クレイジー・ダイヤモンド】の力で修復したとしても。
もし、それよりも前に完全に息絶えてしまっていたなら。
(う、嘘だろ~~~~~~? 嘘だよなぁ――……だってコイツ、物を言うぐらいの元気はあった筈だぜッ)
手を伸ばし、卯月の腹に触れる。
動いて――――いない。
それはつまり、息をしていないという事を――――。
「――――なーんて、うっそぴょん!」
「どわああああああああああああああああああああああああああ――――!?」
「えへへ、やりぃ! しれーかん、まんまと引っ掻かってまっす!」
しゅたっと、海上に飛び起きて。
二足で直立。そのまま満面の笑みで、敬礼を一つ――完全回復した卯月。
「へへへ、今までのお返しだっぴょん! しれーかんには随分とうーちゃん怖がらせられちゃったしー」
「……お」
「かわいいうーちゃんが無事だったから、これぐらいは許して欲しいでっす!」
「おめーよぉぉぉぉぉ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!」
それから、天龍を連れて仗助の元に向かう加賀が目撃したのは。
花のような満面の笑みと、瘴気が零れるほどの鬱屈とした顔で冷戦を続ける大井と山城。
拳を握った仗助の周囲を、艦娘と言うアドバンテージに許して回りながら挑発する卯月。
何とも――先ほどまでの戦闘はどこへやら、という光景で。
「……やれやれね」
静かに顔を綻ばせて、そう嘆息した。
←To be continued...
次 回 予 告
「デートってヤツっスかぁ~~~~~~~? これはいわゆる……」
「……酸素魚雷、撃ってもいいですか? 撃ってもいいですよね?」
「……甲板吹き飛ばすのに必要な炸薬は、どれぐらいでしたっけ? ねえ、ねーさまぁ……」
「その……ちょっと色々、聞いておきたいかな……って」
「……五航戦。許せません」
「なんスか、あんた一体――――」
【五航戦とデートしよう その1】
乙
ジョジョでデートとか聞くとなんかこう、何故か血を見るような展開を想像してしまう不思議
ジョジョでデートとか聞くとなんかこう、何故か血を見るような展開を想像してしまう不思議
元々、承太郎戦→レ級戦で繋げて一本でしたが予想以上に長くなった
戦闘の起伏が激しくて読んでて疲れたかと思います
次からはまた左に戻りますのでごあんしんください
戦闘の起伏が激しくて読んでて疲れたかと思います
次からはまた左に戻りますのでごあんしんください
おつおつ
確かに長かったけど読みごたえがあった
ほのぼのにも期待
確かに長かったけど読みごたえがあった
ほのぼのにも期待
別に不思議はない
乗った飛行機がほぼ墜落見舞われる人が存在するという例もあるし
乗った飛行機がほぼ墜落見舞われる人が存在するという例もあるし
そういえばどっちもヤンデレ気味なんだよな。
なんかこう真っ当にやってる承太郎と比べて差がwwwwww
なんかこう真っ当にやってる承太郎と比べて差がwwwwww
ベネ!ディモールト・ベネ!!
思わず目頭熱くなっちまったぜ!!
思わず目頭熱くなっちまったぜ!!
おつー
よりによってはこの二人同時にデレとかアカンやつやwww
うーちゃん可愛いようーちゃん
よりによってはこの二人同時にデレとかアカンやつやwww
うーちゃん可愛いようーちゃん
流石に主要キャラ脱落なんてないよねとは思いつつも安心できないレ級の恐ろしさよ
次回はずいずい回かな
次回はずいずい回かな
個別のスペック単体で見るならもっと硬くて強いキチガイじみた奴がいる
レ級は単艦で全ての攻撃フェイズ(航空戦・先制雷撃・砲撃戦×2順・雷撃戦・夜戦)をこなす上に
それぞれの戦闘能力が決してお飾りではなく"平均的に強い"からこそ鬱陶しいんだよなあ
レ級は単艦で全ての攻撃フェイズ(航空戦・先制雷撃・砲撃戦×2順・雷撃戦・夜戦)をこなす上に
それぞれの戦闘能力が決してお飾りではなく"平均的に強い"からこそ鬱陶しいんだよなあ
>>734
圧倒的じゃないか、敵軍は……
圧倒的じゃないか、敵軍は……
一人くらいアヴドゥルさんのようにあっという間にやられるんじゃないかとはらはらしたよ
左に戻るの意味がわからないのもきっと五航戦のせいなんだな!
左に戻るの意味がわからないのもきっと五航戦のせいなんだな!
まさに"甲子園優勝チームにバットも持ったことがない茶道部か何かが挑戦するようなもの"だったわけですね
コワイ!
コワイ!
乙
時に、ただの再起不能より恐ろしい絶望を叩きつけるスタンド
それがクレイジー・ダイヤモンド
時に、ただの再起不能より恐ろしい絶望を叩きつけるスタンド
それがクレイジー・ダイヤモンド
ディアボロはどんな些細な事でも[ピーーー]るから、一所には留まらないんじゃないだろうか
エピタフはかなり有用だけどキンクリはあんま役に立たなそうやな艦これ的に
羅針盤が回るという過程はフッ飛ばし、望みのルートに進んだという結果のみが残る!
現実:羅針盤が回ったという過程をフッ飛ばしてハズレのルートに進む結果だけが残る
外れルートに行ったら飛ばしてバケツ節約
疲労したら飛ばして時間短縮
めっちゃおやくだちやん!
疲労したら飛ばして時間短縮
めっちゃおやくだちやん!
>>748
キンクリって時間を吹っ飛ばす(※ただし使用者は吹っ飛ばした時間を認識して活動ができる)って能力だから意味ないんじゃ…
キンクリって時間を吹っ飛ばす(※ただし使用者は吹っ飛ばした時間を認識して活動ができる)って能力だから意味ないんじゃ…
しかもディアボロ自身が干渉できないからな
最強の不意打ちができる能力だよ
最強の不意打ちができる能力だよ
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