元スレ八幡「は?材木座が不登校?」
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151 = 149 :
八幡「一番の違いは挿絵の量だな。大体一冊につき、多くて10ページくらい挿絵がある」
なんならイラストが本編で、文章が挿入されていると言ってもいい。
八幡「つっても、メディアワークスなんかは挿絵なかったりするし、その辺はまた定義が難しいな」
結衣「ん?メディアワークス?」
八幡「出版しているレーベルの名前だ。まあ、一般的にはラノベのレーベルから出ている書籍をライトノベルと呼ぶらしい」
結衣「レーベル?」
八幡「文庫、って意味だ」
結衣「へー。あ、このガガガ文庫ってやつとか?変な名前だねー」
おい、変とかいうな。良作の宝庫だぞ、ガガガ。今一番波に乗ってるレーベルだ。名前はたしかに変かもしれない。
152 = 149 :
八幡「挿絵が多いし、普通の小説と比べてキャラクターの描写や、ストーリーの描写が分かりやすいのが特徴だな」
結衣「へー。あたしでも読めるかな?」
八幡「本来は中高生向けのもんだからな。雪ノ下が読んでるようなやつよりかは読みやすいんじゃねえの?」
だが最近は対象年齢が上がってきているのも事実だ。作品内でスクライドのパロディとかされても、中高生ぽかーんだろ。
結衣「ふーん……。あたしもなんか読んでみよっかなー。なんか、部室で二人とも本読んでてハブられてる感じするし」
本来は複数人でいる場で本読んでる方がおかしいんですけどね……。
雪ノ下に至っては、初日に二人っきりになった瞬間、本開いたからね。
結衣「ヒッキー、なんかお薦め教えてよ」
八幡「あー、お薦め……。お薦めか……」
結衣「えー、嫌なの?」
八幡「別に嫌ってわけじゃないんだが……」
153 = 149 :
これ、ラノベに限った話じゃないと思うんだが、人に本を薦めるって難しいんだよな。
文章ってのはどうしても好き嫌いがわかれるものだし、そもそも文字を読む作業に好き嫌いが出る。
由比ヶ浜なんて典型的に読書が苦手なタイプだし、そういうやつに本をお薦めするのはかなり危険だ。本好き同士であっても、人から薦められた本ってのは積ん読しやすいというのに、普段読書の習慣がない相手となればいわんやである。
しかも、それがラノベともなると、ある種、自分の性癖をさらけ出すようなものだ。女子相手にそれはちょっとね……。
ん?あれ、なんか俺のトラウマがまた開く音がするなあ。
八幡「これは俺の友達の弟の話なんだがな……」
結衣「うわ、またヒッキーのトラウマ話が始まった……。友達の弟とか、もうぼかす気ないじゃん……」
155 = 149 :
八幡「いいから聞け。そいつは中学生のころ、女子に手痛く振られてな。もうああいうタイプの女子には近づくまいと誓ったそうだ。そこで、そいつが目をつけたのが図書委員のおとなしい女子だった。いつも自分の席で本を読んでるその子に、親近感を覚えたんだな。ある日の放課後、図書室で当番をしているその子のところに行って、お薦めのラノベを差し出したんだ。面白いから読んでみてくれってな。俺は共通の本の話ができることが楽しみでしょうがなく、毎日その子の元に行っては、もう読んだかと聞き続けたんだ」
昨日はちょっとおばあちゃんの家に行ってて……とか色々用事が忙しい子で、なかなか読む時間がとれないみたいだった。
お使いに行ってて読めなかった、とか何時間かかるお使いだよ。何買いに行ってたのか今でも気になるわ。伝説のコンビニでも探しに行ってたのかな?
由比ヶ浜はすでに目の端に光るものを浮かべながら俺を見ていた。
156 = 149 :
八幡「そんなこんなで数日経ったある朝、学校へ行くと教卓の上に、俺があの子に薦めた例の本が置かれていた。本の前に《ヒキノート》と書かれていて、その下に説明書きで《このノートを拾うと、毎日ヒキ神から、『もう読んだ?』と聞かれます》とあった」
そこまで聞くと、由比ヶ浜が溜めていた涙をぶわっと決壊させた。
八幡「それ以来、俺は人にラノベを薦めるのはやめようと心に決めたんだ」
結衣「しないよ!!あたしはそんな酷いことしないよ!」
ちなみに、あのとき薦めた本は『ロウきゅーぶ』。バスケに情熱をかける、スポーツローリングコメディだ。今では反省している。
157 = 149 :
八幡「お薦めって言われてもな。なんか好みのジャンルとかあんのか?」
結衣「んー、れ、恋愛ものとか……」
そんな顔赤くして言われてもな……。というかラノベにおいて恋愛要素がない物はゼロと言っていいくらいだし……。
結衣「あと絵がキモくないやつ!」
そんな生ゴミを見るような目で言われてもな……。ラノベにおいて絵がキモくないやつなんて(以下略)。
とりあえずいくつか候補を見繕って棚を横歩きする。やっぱ初心者に易しいのは電撃か?
まずは千葉県民として『俺妹』は抑えとくべきだよな。MF文庫の名作、『お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよね』も外せないところだ。それから、『この中に1人、妹がいる』これも忘れちゃいけない。そしてラノベ界のパイオニア、スニーカー文庫からは『僕の彼女は飼主様、妹はご主人様』。
まあ、大体この辺かなとあたりをつけてみたが、これらを薦めると決定的な何かを踏み越えてしまいそうなので、やめておいた。もし小町が合格していても、同じ高校に通えなくなってしまう気がする。
158 = 149 :
結衣「あ、これとかヒッキーにぴったりじゃん!」
由比ヶ浜が緑色の背表紙の本を棚から抜き出し、俺の方へ表紙を向けてくる。
『僕は友達が少ない』。言わずとしれた名作である。
八幡「おい、由比ヶ浜!すぐにそれを棚に戻せ!それはマジでヤバイ!それは……この世界の禁則事項に関わる……!」
いや、本当、可愛い妹がいたり、ぼっちだったり、ツンデレ黒髪ヒロインがいたり、ビッチな見た目の巨乳なアホの子がいたり、女の子にしか見えない男の子な女の子がいたり、ファルシのルシがパージでコクーンしてたりで世界がヤバイ。
由比ヶ浜はよくわからなさそうな顔をしながらも、俺の剣幕に押されて本を棚に戻した。
159 = 149 :
八幡「絵がキモくないっていうと、俺は竹岡美穂がお薦めだな。『文学少女』読んどけ」
ファミ通文庫の名作を取りだし、由比ヶ浜に差し出す。
『文学少女』ならば、それほど萌え萌えした描写もないし、作者が女性なのもあるし、由比ヶ浜でも読みやすいだろう。
結衣「あ、これは絵綺麗だ」
八幡「作中で、実在の名作文学を扱ってるから、雪ノ下と話合わせやすくなるぞ」
実際俺も、『嵐が丘』や『狭き門』なんかは文学少女から知って読んだクチだ。
結衣「へー。じゃあ部活のときに読んでみるね!ありがとヒッキー」
八幡「別にいいって。ほれ、会計行こうぜ」
160 = 149 :
ちなみに俺が本日購入するのは、『憂鬱なヴィランズ』の新刊。ガガガ文庫の若き鬼才、カミツキレイニー先生によるホラーファンタジックサスペンスシリーズだ。
先生を知らない人は、同じくガガガ文庫から出ている『こうして彼は屋上を燃やすことにした』を読んでみよう!小学館ラノベ大賞ガガガ大賞を受賞した、先生の衝撃のデビュー作だ!
レジの前には、すでに買い物を終えた雪ノ下が立っていて、文庫本を持ってレジに並ぶ由比ヶ浜を驚愕の眼差しで見つめていた。
雪乃「由比ヶ浜さん、それは確かに表紙にデフォルメされた絵が書いてあるけれど、中身は漫画ではなくて、小説よ」
結衣「え、わかってるよ?」
雪乃「比企谷君、説明を……」
161 = 149 :
こいつがこんなに混乱した顔を見せるのは珍しいな。確かに由比ヶ浜の行動は、普段の彼女を知るものからすれば驚愕に値するものだ。
八幡「落ち着け、雪ノ下。気持ちはわかるが、落ち着け。他人が新しい趣味を探そうとするのをどうこう言うもんじゃない」
雪乃「趣味……由比ヶ浜さんが……読書を……?」
まだ信じられないといった様子の雪ノ下ではあったが、由比ヶ浜が新たな一歩を踏み出したこと自体は歓迎するようだった。
結衣「あ、あはは……。読書とかやっぱあたしのイメージと違うよねー……」
八幡「そんなことねえぞ。読書は誰にでも許される、省スペース・省エネ・省会話を兼ね揃えた、いわば完成された趣味だ」
本当、本読んでるときの話しかけられない率は異常。あ、僕の場合は本読んでないときもそうでした!
162 = 149 :
雪乃「彼の言う通り、読書は誰にでも許されたものよ。別に崇高な趣味でもないし、本を読むから偉いというわけでもないわ。現に、比企谷君もよく本を読んでいるでしょう?」
雪ノ下は優しく諭すように、由比ヶ浜に語りかける。語調は優しげなのにどうして僕のハートは傷ついてるんですかね……。
雪乃「それで、なんの本を選んだのかしら?その表紙からするとライトノベル?」
ライトノベル、と発音するときの顔が若干歪んでいたのは、材木座大先生のおかげだろう。
か、勘違いしないでよね!あんなのラノベなんて言うのもおこがましい、ただの落書きなんだからね!
163 = 149 :
結衣「なんか、ヒッキーがお薦めしてくれたやつ!『文学少女』?ってやつだよ」
雪乃「『文学少女と死にたがりの道化』……。死にたがりの道化なんて、ずいぶん自虐的な本を薦めるのね」
由比ヶ浜の持つ本の表紙をしげしげと眺めながら、雪ノ下が俺に毒を飛ばす。
いや、別に俺は死にたいと思ったことは……けっこうあるな。不意に過去の自分を思い出しちゃったときとかな。なんなら常に思い出して死にたくなってるまである。
八幡「シリーズものの一巻だよ。ジャンルは一応ミステリーになるかな。名作文学のあらすじに沿って起こる事件を、文芸部の二人が解決していく話だ」
5年くらい前に流行ったんだけどな、知らないよね。アニメ化することなく、『このライトノベルがすごい!』で1位とったりと、とにかくラノベ好きの中で評価されたシリーズだ。
そう、アニメ化はなかった……。なかったんだ……。
164 = 149 :
八幡「ヒロインが小説を食べたりとか、とんでも設定もあるが、それさえ気にしなけりゃ普通に楽しめるぞ」
あと、主人公がやたらハイスペックなへたれで、すげーイライラしたりする。
八幡「一巻の題材になってんのは太宰の『人間失格』だ。元ネタ知ってればより楽しめるし、読んでなくても問題ない。むしろ、これから読んでみようって気にさせてくれる」
雪乃「なかなか面白そうな本ね。せっかくだから私も一冊買ってくるわ」
結衣「え?ゆきのん、読みたかったら、あたしが読み終わった後に貸したげるよ?」
雪乃「ありがとう。けど、自分で読む本は新品を買って読みたいのよ」
165 = 149 :
あー、その気持ちちょっとわかるわ。どんなクソだと思った本でも、手元に置いておきたいという気持ちは俺にもある。人と本の貸し借りをする機会がなかっただけ、という説もある。
八幡「由比ヶ浜が読み終わるの待ってたら、いつまでかかるかわからんしな」
結衣「う……、それは反論できないかも……」
八幡「小説は読みたいと思ったときが買い時だ。持ってきてやるから、ここで並んどけ」
普段ラノベを読まない雪ノ下に、あのラノベコーナーから一冊を探させるのはさすがに無謀だろう。
しかしあの雪ノ下がラノベね……。材木座のあれを抜きにしても、これまで雪ノ下がラノベに興味を示すことはなかった。さんざんお互いに、部室で本を読みふけっていたにも関わらず、一度たりとて俺たちは互いが読んでいる本の話をしたことがなかったように思う。
やはり、由比ヶ浜と共通の趣味を共有したいという思いがあるのだろう。
本好きなら、誰もが一度は考えることだ。特に、自分の大好きな作品なんかだとな。誰かと感想を共有したくなるものだ。ネットにそれを求めると、ズタボロに叩かれてたりするから注意な。
俺にもその気持ちはわかる。痛いほどわかる。本当、冗談抜きに胸がズキズキ痛くなってきた。あ、痛たたた……。心の古傷が痛むわー。
166 :
女の子にロウきゅーぶ読ませようとするなんて、自分から嫌われにいってんじゃなければ正気を疑うぜ……
167 :
友達からすすめられてもドン引きなのに腐った人間からすすめられちゃったらなー………ちかたないねー
168 :
やけに描写が具体的ですがまさか…
169 :
残す買い物は俺のプレゼントと明日の食料となったわけだが、時間も押していることなので、二人には別行動を願い出た。
夏から続けている小金の錬金術と、先日ちょっとしたバイトをしたことで懐には余裕があり、潤沢な予算の中から比較的スムーズにプレゼントを選ぶことができた。資産って大事。
今さら食料品売り場に行って、雪ノ下と由比ヶ浜のゆりゆららららゆるゆり空間に合流するのも億劫なので、適当にブラブラ歩いて暇を潰していると、天使が舞い降りてきた。
あぁ、俺は召されるんだな……。小町、お前を残して逝く兄を許してくれ……。だらしない兄ですまん……。それと、この間の鍋のとき、お前が楽しみに残していた鱈を食べちゃったのは、オヤジじゃなくお兄ちゃんです……。
170 = 149 :
俺の前で立ち止まると、ニコニコ天使スマイル全開で見上げてくる戸塚。休日に偶然会えるなんて、もう運命だと思った。ありがとう、運命さん。
平塚「おや、そこにいるのは比企谷と戸塚か?」
戸塚「あれ?平塚先生!こんなところで偶然ですね!」
平塚「君らも買い物かね?こんなところで偶然出会うなんて、運命じみたものを感じるな、比企谷」
力が欲しい……。運命を切り捨てる力が……。
八幡「俺と戸塚も今ここで偶然会ったんですけどね。それじゃ、俺たちはこの辺で。先生、また明日!ほら、戸塚、行こうぜ」
さりげなく戸塚の腰に手を回してエスコートする俺マジ紳士。
クルっと反転し、平塚先生に背を向けて歩き出した瞬間、頭をガシっと掴まれた。
171 = 149 :
平塚「まあ待て、比企谷。せっかく会ったんだ、そう急ぐこともあるまい」
あれ、これはもしかして俺の潜在パワーを引き出すイベントかな?ナメック星の最長老的に考えて。
と思っていたが、万力の如く力がこめられていく痛みを頭に感じ、違うなと気づきました。これはあれだ、瀕死の天さんを人質にとってるときのピッコロ大魔王的なやつだ。
八幡「いや、本当急いでるんで。人と待ち合わせしてるんすよ」
平塚「ほう、そうだったのか。それはすまなかったな」
思っていたよりあっさり信じてくれた平塚先生は、俺の頭から手を離すとポケットから携帯を取りだし、どこぞへ電話をかけ始めた。
172 = 149 :
八幡「じゃあ、そういうことで。失礼しまーす」
戸塚「え、いいの、八幡?」
八幡「大丈夫だろ、行くぞ」
好機と見た俺は即座にとんずらコマンドを選択。に、逃げるんじゃねーからな!次に会ったら……叩きのめす!
平塚「あー、雪ノ下かね。比企谷は捕まえた。約束通り少しの間比企谷を借りるぞ。うむ、例の場所にいるから、君たちも買い物が終わり次第来るといい」
だが、敵に回り込まれてしまった!ていうか味方に裏切られていた。
173 = 149 :
八幡「……どういうことっすか」
平塚「さっき下で雪ノ下と由比ヶ浜に会ってな。君らの事情を聞いたので、せっかくだから比企谷にも会っておこうと思ったのだよ」
なるほど、エンカウントしたときから詰んでいたわけだ。
平塚「戸塚も時間があれば一緒にどうかね?飲み物くらいはご馳走するぞ」
戸塚「時間なら大丈夫ですよ!ね、八幡も行こ?」
く、さすが平塚先生。戸塚を人質にするとはやり方が汚い!
しかも、戸塚にこんな可愛くお願いされちゃったら断るなんて不可能に決まってる。
俺はツカツカと歩き出した平塚先生の後ろを、戸塚と並んでついていくのだった。
174 = 149 :
エスカレーターを何度か上り、最上階にあるカフェに入った俺と戸塚は、平塚先生の奢りで買ったコーヒーを飲みつつ、タバコを吸いに行った先生を待っていた。
これといって会話もなく、手持ち無沙汰な時間が過ぎていったが、戸塚の一挙手一投足が可愛かったので、見ているだけで時間が飛ぶように過ぎていく。
だが男だ。
ストローを啜る戸塚の唇がやたらと蠱惑的で、ついドギマギしてしまう。
だが男だ。
組み替えようとした足が、向かいに座る戸塚の足をかすってしまい、心臓が気持ち悪い揺れかたをした。
だが……いや、もう男でもいいんじゃないのこれ?ていうか男だからこそいいんじゃない?(海老名さん並の感想)
175 = 149 :
これ以上二人きりでいると俺の中の染色体が異常をきたしそうだったが、危ういところで平塚先生が戻ってきた。
平塚「待たせてすまんな」
八幡「いえ、別に」
平塚先生は片手に持った紙袋入りのストローでテーブルを軽く突き、はみ出したストローをタバコの要領で口にくわえて引っ張り出し、コーヒーにさしてブラックでゴクゴク飲み出した。相変わらず仕草が男らしい。
戸塚「あの、先生」
平塚「ん、なんだね?」
戸塚「最近、材木座君を学校で見かけないんですけど、なにか知ってますか?」
176 = 149 :
おぉ、さすが戸塚。十六面観音でさえ取りこぼすと言われる俺や材木座の動向を気にするなんて、さすが大天使。
平塚「うむ、その事は昨日奉仕部に持ち込んだんたがな、ここ最近、学校に来ていない」
戸塚「八幡は何かわかる?」
八幡「いや、まったく。連絡もつかねーし、今のところお手上げ状態だ」
お手上げしすぎて肘が伸びきってるレベル。それはバンザイだな。
戸塚「そっか、八幡でもわからないんだ……。何があったんだろ。心配だね」
177 :
文学少女はスイーツ(笑)過ぎてラノベ読むのをやめるいいきっかけになったな
178 :
地の文や会話が面白くて読んでた俺も材木座の事をすっかり忘れてた
179 :
本筋をシリアスに、しかも謎解きっぽく事件の少しずつ輪郭を表していく。
一方でキャラの性格を掴みながらの日常コメディに妥協がない。
冗談抜きで市販レベルなんだが何者だよ
180 :
なんかこのSSどこかで読んだことある気がする。気のせいかな?取り敢えずエタらないで完結することを願います。頑張ってください。
181 :
やっと材木座の名前が出て来たな
てっきり忘れてるのかと思った
182 :
はっきり言って原作より完成度高い
183 :
ここから材木座が引きこもった理由を探すミステリー編に突入かな
184 :
文学少女のアニメ化ってそんなにダメだったっけ?
185 :
大失敗の部類に入るんじゃないかなあ
俺ガイル二期目より酷い
186 :
>>185
カオへより酷いレベルじゃね?
187 :
原作未読で映画見たけど良かったと思ったんだけどなぁ
188 :
>>186
文学少女見てないからなんとも言えないけど、カオヘより酷いとか正直ありえないと思う
189 :
>>169と>>170の間、文章がいくつか抜けてました。
俺が最期を悟って、小町への別れと懺悔を胸中で呟いていると、件の天使が笑顔で手を振りながら駆け寄ってくるところだった。ていうか天使じゃなく、戸塚がエスカレーターを下りてくるところだった。っぶねー、降臨かと思ったわー。マジ女神降臨だわー。光ヴァルガチャ限じゃなかったわー。最初に言ってよね……。
戸塚「はちまーん!」
八幡「よっ、どーしたんだこんなとこで」
戸塚「えへへ、よっ!休みだから、ちょっと買い物に来たんだ」
191 = 149 :
戸塚の顔を見ると、本当に心配しているように顔を歪ませていた。材木座のことをこんなに心配してやるなんて、戸塚ってば本当優しい。バファリンの半分は戸塚でできているって話は本当かもしれない。
平塚「戸塚から見て、何か材木座におかしなところはなかったかね?」
先生ー。材木座君は普段からおかしいところだらけだと思いまーす。
平塚先生の問いかけにしばし黙考していた戸塚だったが、思い至ることがあるのか、心なし険しい表情で話始めた。
俺は戸塚の考えこんでいる姿を見ながら、真剣に渋谷区への移住を検討していた。愛する故郷、千葉を捨てることに躊躇はあるが、それを補って余りあるほど、渋谷区の新条例には夢がある。ニューカマーランドという名の夢が。
これでさらに、近親婚を容認する条例でも出来た日には躊躇すら棄てて渋谷区に引っ越すだろう。
192 = 149 :
戸塚「僕が最後に材木座君に会ったとき、少し様子がおかしかったんです」
八幡「いつも以上におかしいってことか?よく通報しなかったな、戸塚」
平塚「比企谷、混ぜっ返すな」
平塚先生の調教が身に染みている俺は、握りしめられた拳を見るだけでおとなしくなる。
戸塚「部活に行く前に、学校から出ていく材木座君に会ったんですけど、すごく元気がなく見えて。声をかけても聞こえてないみたいでした」
天使のさえずり、もとい戸塚の声が耳に入らないなんて、俺ならばあり得ない事態だ。
戸塚「そのときは結局話ができなくて、次の日にでも聞こうと思ってたんですけど、それ以来、材木座君と学校で会わないんです」
193 = 149 :
八幡「それ、いつのことか覚えてるか?」
戸塚「先々週の火曜日だったと思うよ。部活の後にテニスのスクールに行ったから」
先々週の火曜。頭の中のカレンダーを捲ると、やはり二月十六日だった。昨日、材木座に何かがあったのではないかと推測された、まさにその日である。
平塚先生に目線を向けると、先生も日付に行き着いたらしく目が合って頷かれた。その日がXデーで間違いなさそうだ。
戸塚が見たのは落ち込んだ様子で帰る材木座の姿。となると放課後までに何かが起こり、その帰り道だったのだろう。
194 = 149 :
雪乃「平塚先生、お待たせしました」
結衣「あれ?さいちゃんがいる?」
と、そこへ買い物を終えた雪ノ下と由比ヶ浜が現れ、話が中断される。
平塚「ちょうどいいところにきた。今、昨日話した材木座君について、戸塚に知っていることがないか聞いていたところだ」
戸塚「こんにちは、雪ノ下さん、由比ヶ浜さん。さっきたまたま八幡と会って、一緒させてもらってるんだ」
雪乃「こんにちは、戸塚君」
結衣「へー、そっかそっか」
平塚「せっかくの土曜日に悪いが、こうして全員集まったことだ。奉仕部の休日活動といこうか」
先生、嬉しそうですね。ひょっとして、なんの予定もなくて暇だったのかな?
195 = 149 :
雪乃「そうなると、火曜日の放課後に何かがあったと考えるのが自然ですね」
八幡「放課後とは限らんだろ。授業中や昼休みの可能性もある」
雪乃「もちろん、断定はできないけれど、ほぼ放課後に限定してしまって構わないでしょう」
なんで?と視線で告げる俺、由比ヶ浜、戸塚を順に見やり、雪ノ下が続ける。
雪乃「10日以上不登校になるほどの事件が起きたあと、おとなしく授業やホームルームに出席するとは思えないわ。事件後、そのまま帰宅したと考える方が自然でしょうね」
なるほど、道理である。
しかし、『事件』とは物騒な物言いだな。
196 = 149 :
雪乃「確かその日、比企谷君と由比ヶ浜さんは一緒に部室にきたわね。となると、比企谷君にはアリバイができてしまうのね……」
あの、雪ノ下さん。うつむいて独り言風に言ってますけど、声のボリューム全然変わってないっすよ。超聞こえてます。
あと、なんで2週間も前のことそんな鮮明に覚えてんのこいつ。俺と由比ヶ浜が部室に行く際、連れだって行くか別々に行くかはそのときの状況次第で、規則性があるわけじゃないし、当事者の俺だって明確に思い出せねーよ。
平塚「十六日の放課後かぁ……。私は何してたっけなあ。ちょっと思い出せん」
ほら、これが普通の反応よ。
197 = 149 :
八幡「これで晴れて俺にかけられてた容疑はなくなったな」
雪乃「ええ、残念ながら。証拠不十分で釈放ね。司法の限界を感じるわ」
おい、今残念ながらっつったぞ、この女。
八幡「だが、これで新たな容疑者が浮上したな。雪ノ下、材木座殺しの犯人はお前だ!」
雪ノ下を除く全員が、「な、なんやて工藤?!」と言いたげな目で俺を見る。ふ、今から名探偵比企谷の推理ショーの始まりだ。
一方、犯人扱いされた雪ノ下はすーっと目を細め、常以上に殺気に満ちた視線で先を促す。
さんざん俺を犯人扱いして、いざ自分がされるとこの怒り様。ちょっと理不尽じゃないですかね。気のせいか雪ノ下の周囲に青い冷気のオーラが見える。
198 = 149 :
雪乃「……とりあえずあなたの推理を聞いてあげるわ」
八幡「お前はいつも俺たちより先に部室に来ているな」
雪乃「それがなにか?」
八幡「つまり、俺たちが部室に来るまで、お前にはアリバイがないということだ」
雪乃「アリバイの証明ならば、クラスの子たちがいくらでもしてくれるわ」
八幡「犯人はみんなそう言うんだよ」
いや、そんなことはないかな?
というか雪ノ下の視線が怖すぎて、もう逃げ出したい。そんな睨むなよぅ。冗談じゃないかよぅ。
199 = 149 :
結衣「ヒッキー、その辺でやめといた方がいいよ……。ゆきのん、めっちゃ怖いよ」
見かねた由比ヶ浜が耳打ちしてくる。
雪乃「止めないでくれるかしら、由比ヶ浜さん。とても興味深い戯言を、そこの道化が話しているところだから。やはり、死にたがりの道化というのは比企谷君自身のことだったのね」
八幡「ひぎっ……。さ、しゃらに決定的なのがその毒舌だ」
思わず噛んだ。失礼、噛みました。
雪ノ下の方は噛みま死ねと言いたげな目を向けてくる。マジ雪ノ下さんツンドラヒロイン。
200 = 149 :
八幡「凶器はお前のその毒舌だ。ガラスのハートの材木座が、その毒舌に真正面から晒されれば、死んでもおかしくない」
雪乃「それは証拠にはならないわね。私は他の人に、辛辣な物言いをすることはあっても、毒を吐いたりはしないわ。毒を吐くのは比企谷君だけですもの」
お、おう。一瞬ドキッとしたが、よくよく言われたことを思い返してみると、ときめく要素ゼロだった。そんな特別扱い嬉しくねえんだが。
結衣「むー……」
戸塚「やっぱり雪ノ下さんと八幡は仲良しだね」
雪乃「戸塚君、あなたのその毒舌で傷つく人がいることを忘れないでちょうだい」
雪ノ下は心底嫌そうな顔でため息をつく。君もその毒舌で傷つく俺がいることを忘れないでちょうだい。
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