元スレ春香「いつからだろう」
SS+覧 / PC版 /みんなの評価 : ★
701 = 699 :
パンツ
702 = 699 :
パンツ
703 = 699 :
パンツ
704 = 699 :
パンツ
705 = 699 :
パンツ
706 :
完
707 :
やよい「あの…」
律子「あなた達には私から話すわ」
律子さんは私達に顔を向けると
真面目な表情になる
律子「寧ろ…今呼び出したのは、あなた達2人なのよ」
律子「さっきの練習の時、とにかく合ってなかったわ」
春香「…はい」
律子「他にもミスしたり遅れたりした子もいたけど」
律子「春香とやよいが特に目立ってたわね」
春香「……」
自覚はある
実際最初にミスをしたのは私
それ以降も私はミスが多かった
いくら2日も間を空けたとはいっても
見逃していいことではない
708 = 707 :
今日までにダンスを完璧に踊れるようにならないと
皆に迷惑がかかるし
それに、もうダンスを合わせられるかどうかを
争っている場合じゃない
時間がない
午後の練習だけで間に合うだろうか
709 = 707 :
律子「でも、春香の動きは良くなってきているわ」
律子「このままやれば問題ないと思うのよ」
春香「はい」
律子さんは私にそう言ってくれる
私自身そう思っていたことだし
少しだけ、自信がついた
春香「がんばります」
元気出たかな
でも
私の不安が和らいだところで
また、別の不安が押し寄せてくる
710 = 707 :
さっきから気になっていたこと
それは
律子「問題は、やよいね」
やよいのことだった
律子「もう今日中に踊れるようにならないと、本気でまずいのよ」
やよい「……」
律子「逆に言えば、今日踊れるようになったら」
律子「後2日はもう、練習を重ねるだけなの」
律子「ライブを締めくくる最後のステージがどうなるかは」
律子「やよいにかかってるのよ」
やよい「うぅ」
プレッシャーからか、やよいは心細そうな顔をする
711 = 707 :
そう、
ライブへの意気込みは十分
でも技術はまた別問題だ
私と違ってやよいは何倍もの練習を積んできた
……貴音さんを探す時も
私が1人街を彷徨っていた時も
やよいは、プロデューサーさんと2人で
いつもダンスの練習をしていた
昨日の夜だって、練習したよね
712 = 707 :
ただの練習ならまだしも
プロデューサーさんとマンツーマンでの指導
1度私も指導を受けたことはある
だから、どんなに辛いか私にはよく分かる
…だからこそ
ブランクを埋めるだけの私と違って
ずっと練習しても踊れるようにならないやよいの方が
踊れるようになることが何倍も難しい
713 = 707 :
思いは強くても、技術が足らなかったら
全て台無し
やよいは皆のライブに対する思いを背負っている
プレッシャーは凄いものだと思う
それに…
このまま練習して踊れるようになる保証はない
なら、どうするか
………………………
決まってるよ
春香「がんばろうね、やよい!」
714 = 707 :
やよい「え?」
春香「やよいなら大丈夫だよ」
春香「ずっと…練習してきたんだよ」
春香「だからきっと…ね、やよい」
春香「踊れるようになるよ」
律子「そうよやよい、暗い顔する必要はないわ」
律子「ミスなんか恐れずに思いっきりやりなさい」
やよい「……」
やよい「はい」
私もがんばるから
やよいも、がんばろうよ
715 = 707 :
律子「さ、午後に向けて準備をしなさい」
律子さんは私達2人の背中を押す
律子「身体はちゃんと休めておくのよ?」
春香「……」
春香「はい」
背中を押されるがままに私は歩いた
午後に向けて、準備をしよう
私も気を引き締めないと
ダンスが完成するか
私とやよいにかかっている
717 = 707 :
ここまで来て、絶対無駄になんかしない
春香「よし」
私、やるよ
ライブを待っているファンの人達のためにも
これからの私達のためにも
……………………
次の練習でものにしてみせる
律子「そろそろ時間よ、集まりなさい」
私は皆が集まる元へ歩く
いろいろなものを背負った
ライブの練習が始まった
719 :
>>698
なるほど、考えてみます
見てる方、ありがとうございます
720 = 719 :
律子「よし、じゃあ最初は全部通してみるわ」
律子「最後まで通すから、本番のつもりでやりなさい」
春香「はい」
よし、やるよ
前にはペンライトを振るファンの人達がいると思って
……………………
いざ、本番だと思うと緊張するね
私は深呼吸して、そろそろ始まる曲に耳をすませた
721 = 719 :
♪~~~~~~~~
やがて、静かな曲が流れ始めた
静かでゆっくりした動きだからこそ、小さなミスが目立つ
ゆっくりだからこそ、完璧に踊るのが難しい
春香「…うわっ」
イントロの部分だけでも、リズムがずれるそうになる
でも大丈夫…体は慣れてきた、リズムはちゃんと取れている
歌い出しはすんなり入れた
722 = 719 :
人差し指を前に出し、目の前に広げる
……………………
このままいけばいいな
これからまた難しくなるんだけど
両手を胸にあてる
その手を広げて一回転…
春香「よし」
ずれることなくできた
723 = 719 :
次はサビに入るところ
曲が一番盛り上がる部分、その入り出しは重要だね
春香「……」
そろそろだね、両手を前に出して
ここで…!
春香「あっ」
サビに入るタイミングが取り辛い場面で、私は思いっきりタイミングがずれた
724 = 719 :
律子さんの表情が少し険しくなる
その顔で、一瞬私をにらんだ
春香「……」
もう少しだった
体が慣れてきて、いけると思った
動きも決して悪くない、寧ろ順調だったはず…
何で
私は悔しさと疑問を抱えながらダンスを踊り続け、その後曲は最後まで続いた
725 = 719 :
春香「ふぅ」
踊り終わって一息ついた私は、近くにいた真美に話しかけた
春香「やっぱり難しいね」
真美「そうですね…」
2人して軽く笑う
でも、すぐに表情は曇る
笑ってる場合じゃない
正直ミスだらけで、私は上手く踊れなかった
…大丈夫かな
726 = 719 :
静まった練習場の中で、律子さんは黙って皆を見ていた
下を向いて考え込む
険しい顔をしたり、たまにニヤッとしたり
手を組んで黙り込むその表情からは、決していいものを感じない
やがて、律子さんは口を開いた
律子「そうね……正直酷いわ」
予想通りの感想だった
727 = 719 :
律子「とてもライブで見せられるようなものじゃないわね」
律子「特に…1番盛り上がらないといけない所での、あの動きは何かしら?」
律子「盛り上がるところで全部ダメにしてるわね、春香」
春香「……」
律子さんは私の目を確実に捉える
さっきまでの律子さんと違うとても厳しい表情に、私は少し狼狽えた
律子「あなたはずれ過ぎなのよ!」
春香「…はい」
728 = 719 :
最初に崩したのは、明らかに私だ
その後やよいが終始ずれっぱなしで、皆にも私のミスが影響した
私が1番踊れなかったかもしれない
春香「うぅ…」
やるって決めたのに、できなかった
さっきまで優しかった律子さんも、今は私に苛立っているように見える
ちょっと悲しいかな……
律子「それと…」
私は顔を上げる
律子さんはまだ、私を見ていた
話は終わっていない
729 = 719 :
何を言うんだろう
私は率直な疑問を浮かべる
他にもミスはあったし、その事について怒られるのだろうか
さっきはやるよ、なんて思ってたけど
正直、最後までミスなく踊り切ることは無理だと、私は思っていた
律子さんは口を開く
律子「確実に良くなってるわ、その調子で頑張りなさい」
春香「よく…なってる」
律子「ほら、どんどんいくわよ」
律子「次からは細かくいくから、皆自分の踊りに集中しなさい」
730 = 719 :
皆、何事もなかったかのように準備を始める
私のミスなんか気にもしない様子で
真美も、私に両手でガッツポーズを見せてくれた
真美「春香さん、がんばりましょう」
春香「……」
そうだ、よくなっている
ミスなんか恐れるなって、さっき律子さんが言ったばかりだよ
またこれから頑張ればいいよ
春香「うん」
私は深く息を吸って吐き出す
勿論、気を入れ直すために
私はその後も練習に励んだ
731 = 719 :
律子さんの指導に、プロデューサーさんも偶に加わる
とても指導は厳しい
でもそれは八つ当たりでも、私に対する苛立ちでもない
春香「あっ」
ミスする度に指導を受けては、リズムがずれて曲が止まる
手拍子での指導も入った
でも、私はやめない
732 = 719 :
私は少しずつ、動きが良くなっていく
リズムもずれなくなっていく
律子「もうちょっと!」
練習は続き、皆がダンスを踊るなか
律子さんは私に鼓舞を入れる
律子「タイミングが重要なのよ?」
律子「分かってるわね!」
律子さんの声に応えるように、私は気力を振り絞る
律子「そこ!」
そして…
733 = 719 :
春香「…できた」
私は終始、ミスすることなく
リズムもずれることもなく、完璧に踊りきった
春香「あっはは」
あまりの嬉しさに、私は声を漏らした
一緒に踊っていた皆も私に微笑む
いいね…この一体感
とても久しぶりな気がする
騒動が起きて練習が中断したころに比べたら
今はとてもまとまってるよ
734 = 719 :
律子「できたじゃない」
春香「はい!」
よし、これでライブを迎えられる
やったよやよい!
……………………
春香「やよい?」
何かを忘れていた気がする
735 = 719 :
……………………
自分のダンスに集中していて
周りなんか見ていなかった
やよいはどこ?
私を見ている皆を見回すが、やよいは見つからない
何処にいるの?
必死に辺りを見回す
その時、そっぽを向いてる伊織が目に映った
伊織は私を見ているんじゃない、やよいを見てるんだよね
伊織が見ている先にやよいは居た
736 = 719 :
春香「やよい」
足が勝手に動いて、やよいの元へ向かう
やよい「う……うぅ」
やよいの顔は暗い
春香「やよい…」
名前を呼ぶ以外に、言葉が出てこない
こういう時って何言えばいいんだろう
まさか、いやその通り
やよいは全く踊れるようになっていなかった
737 = 719 :
私だけ踊れるようになって、私だけ喜んで
私よりも練習してきたやよいは踊れなくて
やよいは自分より遥かに練習をしていない人に、先を越された
P「皆後ろに下がるんだ、やよい1人で練習をする」
春香「待ってください」
春香「私も一緒に」
律子「何言ってるの、春香は休みなさい」
やよい「春香さん」
やよいは黙って私を見る
心配しないでください
そう言ってるように見えた
私は自分1人、浮かれていた私を少し嫌いに思った
738 = 719 :
文体が最初の頃と変わっていたことに気づきました
実際どれが見やすいのでしょうか?
739 :
よくあることだから気にするな
740 :
書きやすい方でいいんじゃないかな
741 :
どれも読みやすいけど一番は作者が書きやすい方だね
742 :
なるほど、とりあえず今の文体で書いてみます
743 :
私は皆がいる所へ歩いていく
春「……」
やよい、ごめん
それとがんばって
私にできることは祈ることくらい
大丈夫、やよいなら踊れるようになるよ
いや、ならないとダメだよ
一番がんばってきたんだから
「やよい!」
誰かがやよいを呼んだ
744 = 743 :
やよい「伊織さん?」
伊織「がんばりなさい」
私の横で1人立ち、腕を組んでやよいを見据えている
やよい「はい」
少し、やよいは元気が出たようだった
P「始めるぞ」
プロデューサーさんは合図をかけ、曲がなりだす
……………………
私がどんどん踊れるようになって
あと少し、あと少しって
自分に言い聞かせてた時も
やよいは1人俯いていたのかな
すぐにストップがかかる
745 = 743 :
P「もうちょっと早く動き出すんだ」
やよい「はい」
もう一度曲が流れ、
やよいは音楽に耳を澄ませる
そして、やよいは動き出す
P「ストップ」
P「…もう少し、早くていい」
やよい「はい」
もう一度、最初から
746 = 743 :
P「焦らなくていい」
プロデューサーさんに頷いて、やよいはダンスに集中する
曲が流れ、それに合わせてやよいは動き出す
が、曲はすぐに止まった
P「おい、動き出すタイミングが分からないのか?」
やよい「……」
やよい「分からないです」
P「なに?」
747 = 743 :
分からないというやよいに
そう言うやよいに、プロデューサーさんだけでなく私達も驚いた
P「今までそんな状態でやってたのか?」
やよい「……」
P「何度も教えただろ……ったく」
少し苛立ちを見せるプロデューサーさん
でも、怒鳴ることはなく
1から丁寧にやよいに指導をし始める
748 = 743 :
P「ここまでは分かったか?」
やよい「はい」
P「よし、やってみろ」
すごいと思う
私は踊れるようになっているという自覚があったから、何度だめでも踊り続けることができた
やよいは…
何度やっても上手く踊れるようにならないのに、全然上達しないのに
がんばり続けられるのは、すごいね
P「今のは良かったぞ」
やよい「はい」
749 = 743 :
P「もう1回やってみろ」
プロデューサーさんは付きっきりでやよいに指導する
やよいもそれに応えるように、ダンスに集中して踊って見せる
でも、なかなか上手くいかない
P「また、ずれたな」
やよい「……」
1回できては、できなくなり
また踊れるようになったかと思えば
…また踊れなくなる
……………………
そんな気が遠くなるような練習が続く
何度も何度もやり直して、
何とかイントロの部分の動きができるようになったものの
…それだけでも、1時間かかった
750 = 743 :
P「ちょっと、休憩するか?」
やよい「いいです」
P「そうか…じゃあ、次にいくぞ?」
やよい「はい」
休むことなく、練習は続く
少しくらい休んでもいいのに
…私はそう心の中でつぶやいた
P「そうだな…最初の動きを簡単に言ってみろ」
やよい「8カウント立ち止まったままで」
P「……」
やよい「9カウント目に動き出して、8カウントかけて前へ出ます」
P「まぁ、そんなところだ」
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