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元スレ京太郎「牌のおねえさんフォーエバー」

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みんなの評価 : ★★★
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201 = 1 :

「いやー、ちょうど良かった。テルーが風邪ひいちゃってさー」

「せっかく予約したのに無駄になっちゃうとこだったんだよねー」

京太郎「お、おう…」

俺の手を引いて淡がやって来た場所は、高級な雰囲気の隠れ家のようなレストランだった。
龍門渕とはまた違った趣で、ドレスコードに厳しいような店ではないが、何の心構えもないと少し緊張してしまう。
一方、淡は大して気にせずに自然体で酒の入ったグラスを口にしていた。

202 = 1 :

「ほれほれ、縮こまってないでさ。折角の機会が台無しだよー?」

じれったく思ったのか、淡が俺のグラスに酒を注ぐ。
俺が止める間もなくグラスの中に並々と透明の液体が注がれた。

京太郎「悪いな」

「ささ、グイっと一杯!」

京太郎「んじゃ、いただきます」

促されるままに酒を呷る。こういう時にコイツの無遠慮さはありがたい。
あまり酒には詳しくない俺でも、この一杯が上等なものであるというのは匂いで理解できた。

「ね。おいしーでしょ」

京太郎「ん、ああ……ちょっと驚いてる」

「穴場なんだよねー、ここ」

京太郎「ふむ……」

203 = 1 :

夜景の綺麗なレストランで告白、というのはベタなシチューエションだがこのような独特の雰囲気のある空間も悪くは無いかもしれない。
はやりはこういう場にも慣れっ子なのかなぁ、と脳内シミュレートを繰り返していると淡が「あっ」と何かを思い出したように小さく口を開けた。

「そういえばさ、きょーたろー」

京太郎「ん?」

「どうだった?」

京太郎「? なにが?」

主語がない質問に首を傾げる。
すると淡は「なにがって」と一口グラスを呷り、間をおいてから

「――ヤッちゃったんでしょ? 牌のおねえさんと」

京太郎「っ!?」

そんな、爆弾発言をかましてくれた。

204 = 1 :

危なかった。酒を口に含んでいたら間違いなく噴出していた。

京太郎「な、んな……?」

「甘いなー、きょーたろーは。私に隠し事だなんて10年は早い」

ちっち、と左右に指を振って不適に笑う淡。
確かに大学時代にコイツと対局をしている時は手玉に取られることが多かったが、私生活でもお見通しされているとは。

「ま、きょーたろーのことだから迫ったのははやりんからなんだろうけどねー。ヘタレだし」

京太郎「おみそれしました」

ぐぅの音も出ないとはまさにこのことである。

……はやりがたまごクラブや結婚雑誌をこれ見よがしに周囲に見せ付けているということを知るのは、まだまだ先のことである。

205 = 1 :

「で、さ」

すっと淡の眼が細められる。

「きょーたろーは、幸せ?」

淡が問いかけてくる。
それは勢いで致してしまった事を後悔していないか、という意味だろうか。
だとするならば、答えは当然

京太郎「もちろん、幸せだよ」

206 = 1 :

旅先でムードに流されてパックンチョ、という始まりで。
牌のおねえさんの飢狼っぷりに驚いて。
妙なテンションに付き進められるようにここまで来たが、後悔はしていない。

俺自身、気づいていなかっただけで彼女への好意は前からあったんだと思う。
だからこそ、あの記者の質問に対して咄嗟に出た答えがアレだったわけだし。

家庭を持つという実感こそまだわかないけども。
出来ればもう少しだけ独身貴族を謳歌したかったという気持ちはあるけども。
毎夜毎夜あの調子で求められたらカラッカラに乾いてしまいそうな気がするけども。
もしも娘が生まれたとしたら娘も☆なのだろうかとか思ったりするけども。
俺も20年経っても牌のおにいさんとかやってたりするんだろうかとか思ったりするけども。

……適当に挙げてみても意外と考えることは多いが、それでも。

京太郎「俺は、はやりのことが好きだから」

207 = 1 :

「ふーん」

目を細めたまま頷く淡。

「……ま、いーけどね。私がどーこー言うことじゃないし?」

コイツにしては妙に歯切れが悪い。

京太郎「……」

「……」

なんとなく、お互いに気まずい雰囲気になって黙ったまま食事を続ける。

208 = 1 :

……今思うと、コイツの一言で俺の人生が決まったようなもんなんだよなぁ。
入会時点でのあの一言が無ければプロになるまで麻雀にのめり込むこともなかったわけだし。
所属チームは違うものの、なんだかんだでコイツも一緒にプロになったわけだし。
言うと絶対に調子に乗るから口が裂けても言えないが。

「……」

京太郎「……」

考え事をしていたら、目が合った。
雰囲気が余計に気まずくなった気がする。

京太郎(な、なにか話題を――)

と、俺の情けない要望に応えるように。
ポケットの携帯から、軽快な音楽が聞こえてきた。

209 = 1 :

京太郎「悪い、メールだ」

「ん」

一言断わって携帯の画面を確認する。

件名から内容まで、文章が存在せず全て絵文字のみで構成されたメール。
差出人はさっきまで話題の中心人物だった女性、瑞原はやりだった。
要件は今夜は雪が大分積もりそうなので車で迎えに来てほしいとのこと。

このメールもいつまで経っても変わらないなぁ、と苦笑しながら返信する。

「はやりん?」

京太郎「ああ。雪がアレだから迎えに来てほしいだってさ」

すると、淡は少し驚いた顔をした。

「……きょーたろー、あのメールわかるんだ」

京太郎「ん?」

210 = 1 :

「だってはやりんのメール、ぜんぜんわっかんないんだもん。絵文字ばっかでさー」

京太郎「いやまぁ、最初は俺もそうだったけど」

なんというか、慣れた。
最初は良子さんに翻訳してもらわなければ訳の分からなかった暗号文も、今では一目で判別できる。
伊達に長いこと牌のおにいさんとしてはやりんと一緒にいたわけではないのだ。
今なら☆の具合で、はやりんの気持ちがわかる。

211 = 1 :

「はぁ……なんか、ごちそうさま?」

京太郎「はぁ?」

「ナチュラルに惚けられちゃったし、こんなんじゃデザート食べられないじゃん」

京太郎「いや、知らんし」

「私、帰るね」

京太郎「途中まで送って行くか?」

「いいよ。はやりんに怒られそうだし」

京太郎「……わかった」

212 = 1 :

2人一緒にレストランから出る。
俺は車をとりに自宅へ、淡は駅へ。
それぞれ別の方向に、足を向けた。

「あ、そだ」

京太郎「?」

「浮気したくなったらいつでも呼んでね! 私、きょーたろーならいいよ!」

京太郎「はぁ!?」

「じゃーねー!」

どういうことだ、と問いかける前に。
雪が降り始めた街の中、淡は走り去っていった。

213 :

もしもあの子に飽きたらーすぐに電話して― こーわーれるくらーいにだーきーしめてー♪

214 = 1 :


【大学1万年生】

――その一言に、なにか特別な意味があるわけじゃなかった。

215 = 1 :

高校を卒業したらそのままプロになるつもりだったけど、親には「大学には絶対にいった方がいい」と言われた。

しょーがないから推薦を貰って入った先の麻雀部は確かにみんな強かったけど、なんだかつまらない人ばっかりだった。

それから大学生って言ったらやっぱりサークルだよねーって思って色んなのを見て回って。

あんま期待しないで行ってみた先だったけな、アイツと出会ったのは。

216 = 1 :

『麻雀を始めたのは高校からだけどさ。俺、結構やるんだぜ』


「あの」清澄高校出身で、強気なことを言われたから。

さっさと帰るつもりだったけど、気が変わって打ってみたんだっけ。


『いいの? 私は大学1万回生くらいの実力はあるよー?』

『それ卒業どーすんだよ』

『そーゆー意味じゃないもん!』

そんな軽口から、対局を始めた。

217 = 1 :

『つまんない』

最初に感じたことはそれだった。

確かにそこそこ強かったけど、物足りない。

オーソドックスなデジタル打ち。

東場での爆発力も嶺上開花も見れなかった。

結局、私が1位でソイツが2位。

予定調和。面白くない。

インターハイみたいなドキドキを期待しただけに、余計ガッカリした。

218 = 1 :

『清澄っても案外大したことないんだね』

ガッカリして、口に出た言葉がそれ。

授業もなかったから荷物をまとめて帰った。

大学から出た時にはアイツのことなんて頭に残ってなかった。

219 = 1 :

『待ってたぜ大星っ!』

なんとなく気まぐれでまた来たサークル。

そこにはメラメラと燃えるソイツ。

正直、暑苦しくてキモイと思った。

『ま、どーせまた私が1位なんだけど』

『果たしてそう上手くいくかな?』

フフン。謎の自信とドヤ顔。

本気を出す気にはならなかったけどさっさと終わらせようと思った。

220 = 1 :


――結局、順位は前回と同じ。

『うごごご……』

燃え尽きて卓に突っ伏すソイツ。

違ったのは打ち方。

途中までは前回と同じオーソドックスなデジタル。

だけど私がつまらなく感じて溜息を吐いた瞬間から、雰囲気が変わった。

どこで身に着けてきたのかは知らないけど、一言で言うなら「死にたがり」な打ち方。

……ヘンテコな打ち方で、まさか振り込まされるとは思わなかった。

ま、そんな付け焼刃にやられるような淡ちゃんではなかったけどね。

221 = 1 :

『大口叩いてそれー?』

『うるせー……もうなんとでもいえー……』

『なにそれ』

くすりとわらった。

この大学に来てから、はじめて麻雀の中で楽しいと思ったかもしれない。

『それじゃ、またね……きょーたろー』

『ん? おお、またな』

少なくとも、このサークルに通ってやってもいいと思えるくらいには、楽しい対局だった。

222 :

それからきょーたろーと何度も打つようになった。一緒に遊びに出かけることもあった。

私が白糸台の元大将だからか、私に遠慮する人も多かったけど、きょーたろーはその逆。

遠慮がないどころか、グシグシと頭をなでてきたりもした。

……ちょっとだけ、気持ちいいと思った。くやしい。

223 = 1 :



だけどきょーたろーが牌のおにいさんになってからはその機会も減って、アラフォーのオバサンたちの話ばかり聞くようになった。

――なんとなく、さびしいと思った。

224 = 1 :

「……私が先に告白してたら、はやりんに勝ててたのかなぁ」

私だって乙女だし、やっぱり告白は男の方からしてほしい。

そんなことを考えてたら、先を越された。

大星淡に踏み出せなかった一歩を、瑞原はやりは踏み出した。

「私だってアプローチはしてたんだけど……ほんと、オバサンに負けるとは思わなかったなぁ」

225 = 1 :


雪が頬にあたって、雫となって伝う。

「もー! 今夜はヤケ酒だー!!」

雪の勢いはまだそんなに強くなかったけど、いくら拭っても、私の頬が乾くことはなかった。

226 = 1 :

というわけで同期のヤツ小話でした。
今回はここで中断します。次回本編完結予定。

>>191
本編完結後に別ルートか、小ネタか、番外編として書いていきたいですね

227 :


淡ルート期待してよかですか?

228 :

おつおつ
本編も気になるがそれも大いに気になるな

229 :

乙乙
なんということだここは京淡スレでもあったのか

230 :

ふんふむ、現在京はやをメインに京照、京淡フラグが立っているわけか…
他に誰のフラグが立ってるかちょっと楽しみww

231 :

おお、次回完結かあ。京太郎もなんだかんだではやりんにべた惚れみたいだし心が洗われそうだ
>>1の書く照や淡も魅力的だし番外編も期待しております

232 :

冒頭のセリフはここに繋がるわけか
いい伏線や...(恍惚)

233 :

乙乙

京ちゃん飲酒運転になるでぇ…

234 :

>>233
て、手押し車かもしれないだろ・・・(震え声)

235 :

なんてことだ……苦悩しつつのラブラブ話かと思いきや失恋オムニバスだったなんて……

236 = 1 :

>>233-234
京ちゃんが帰宅してから迎えに行くまでの時間に酒気は抜けているということで
ほら、グラス1杯だけですし、自宅に帰ってから迎えに出るまでも時間ありますし、その……堪忍してつかぁさい


これだけだとなんなのでちょっとした1レス番外小ネタを
次は本編投稿します


【シロとフラグを立てていた場合】

シロ「……むぅ」

京太郎「どうしました?」

今日の仕事の相方だったシロさんに「ダルいからおんぶして」とせがまれた帰り道。
「この人も変わらないなぁ」と苦笑しておんぶすると、シロさんが対局中に長考をする時のような雰囲気になった。

シロ「いや……なんでもない」

そう言って肩に顔を埋めてくる。
この人の行動は本当にいつまでたっても読めない。


シロ(……誰の、匂いだろう)

シロ(まぁいいや……上書きしとこ)ググッ

背中からの感触がより強く押し付けられる。回された腕の力が強くなる。
よくわからないが、役得である。

京太郎(おぅふ、ナイスおもち)


ダラしなく顔を緩めさせているとシロさんの住むマンションの玄関へと到着。

シロ「ここまででいい」

京太郎「わかりました……っとそれじゃあ、また次の機会に」

シロ「京太郎」

帰ろうとしたところで呼びかけられ振り向く。
シロさんは、じっと俺のことを見つめている。

京太郎「はい?」

シロ「ファブリーズ、ちゃんと使ったほうがいい」

京太郎「げ、臭いましたか? 俺」クンクン

シロ「……」

シロ(――ダルい、なぁ)


この日から、何故か俺は道に迷うことが多くなり、シロさんと会うことが増えた。
しかもそれは、はやりとのデート中に起きることが多い。偶然だろうか。
未だによくわからないが、とにかく、確実なことは

はやり「京くんから離れてくれないかな☆」

シロ「ヤダ」

……絶賛、修羅場中であるということだけだ。
両サイドから腕を引っ張れられる大岡裁き状態。
そろそろ腕の感覚がマヒしてきたが両者互いに譲り合う気はない。

はやり「京くんは! はやりの!!」

シロ「年増より若い方がいい」


――だめ、私が裂けちゃう。
いやな予感を振り払うように、現実逃避をしていた。

237 :


【牌のおねえさんと】

はやり「きょーくーんっ!!」

京太郎「おわっ」

降りしきる雪の中、車のドアを開けてはやりを迎えたら吹雪と共に突っ込まれた。

238 = 1 :

柔らかいおもちのダイレクトアタックは何度受けてもすばらしい感触だが、今回は状況が辛かった。
放置していると車内に吹雪いて来るので名残惜しいがはやりを引き剥がし、急いでドアを閉めさせる。

はやり「京くんちょっと冷たい!」

京太郎「この天気ですから」

アヒルのように口を尖らせるはやりのほっぺをムニムニしてなだめる。
それだけで不機嫌そうな顔がとろけるような笑顔になってしまうのだから、現金な牌のおねえさんである。

239 = 1 :

段々と勢いが強くなる雪の中、ゆっくりと車を走らせる。
はやりは湿った窓ガラスに指でハートだか☆だかよくわからない絵を描いていた。
落ち着きのない3×歳である。今ではそういうところも可愛いと思えてしまうのだが。
窓ガラスの半分を記号だか生き物だかよくわからないモノで埋めると、はやりは指を離して満足げに頷いた。

はやり「こっちが京くんで、こっちがはやりね」

京太郎「なんと」

なにやらこの名状し難き絵のような何かの正体は俺たちを描いたものだったらしい。
この牌のおにいさんの目をもってしても見抜けなかった。正直スプーが並んでいるようにしか見えないのだが。

240 = 1 :

信号が赤に変わったので車を停めてより深くはやりが描いたモノを観察する。
……うん、やっぱりどう見ても人には見えないなコレ。

はやり「じーっ」

はやりは期待の眼差しで見つめてくる。
ええと、どう答えれば満足するのだろうか。この画伯は。

京太郎「その、なんといいますか……その……ええ、ピカソも生前は大して評価されなかったと言いますし?」

はやり「なにそれ!」

正直な感想を告げるとプンスコほっぺを膨らませるはやり。
これまた指でつつきたくなる膨らみ具合だった。

京太郎「まぁ、番組内でおえかきする時は俺に任せてくださいよ」

はやり「もー……」

信号が赤から緑に切り替わる。
走行を再開すると、会話が途絶えた。

241 = 1 :

ふぅ、とはやりが溜息を吐いて袖で窓のラクガキを消した。
交通量はそれほど多くはなかったが雪の影響で車の進行は遅い。
静かに進む車の中ではやりは何を考えているのか、じーっと窓の外を見ている。

はやり「ねえ、京くん」

京太郎「はい?」

再びの赤信号で車が止まった時、はやりが話しかけてきた。
声のトーンが、さっきよりも低いように感じた。

242 = 1 :

はやり「はやりはね、今すっごく幸せ」


赤くなった指先に息をかけながら、はやりは微笑んだ。


はやり「ずっと好きだった京くんといっしょになれて、こうして2人一緒に帰って」


でも、その微笑みは。


はやり「本当、夢みたい☆」


どこか陰っているように見えた。

243 = 1 :

「もちろん、はやりはこの幸せも、京くんのことも、手放すつもりはないけど」


「でもね……さっき、思っちゃったんだ。ほかの女の子のこと」


「はやりの幸せは、京くんがいるから」


「でも、はやりと同じくらい京くんのことが好きな子もいたら」


「はやりはその子の幸せをとっちゃったんじゃないかって」

244 = 1 :

京太郎「……」


不安そうな顔のはやり。
その表情を見て、何故か脳裏に照さんと淡の顔が浮かぶ。


はやり「もしかしたら……その……京くんも、はやりより、若い子の方が、いいんじゃないかって……」

京太郎「……」

はやり「あはは……ごめんね、変なコト言っちゃって」

245 = 1 :

信号が緑に切り替わり、走行が再開される。
俺はハンドルを操作して、車を停めても迷惑にならない道の脇に停止させた。

はやり「……? 京くん……?」

頭上に疑問符を浮かべるはやり。
帰り道とは違う方向に車が停められたから不思議に思ったのかもしれない。

そんな不思議な顔をしているはやりの手をとって、じっと瞳を見つめる。

246 = 1 :

京太郎「俺は、好きです。あなたのことが」

はやり「……ぁ」

はやりの頬が、掴んだ指先が、さっきとは違う理由で赤くなる。
思えば、彼女から求めてくることは多いが、こうして俺のほうから言葉で想いをぶつけることは初めてかもしれない。

247 = 1 :

京太郎「子どもたちと触れ合ってる時や俺に麻雀を教えてくれる時の優しい顔も」

京太郎「咏さんや健夜さんたちと打っているときの真剣な顔も」

京太郎「俺と一緒にいる時の甘えてくれている時の顔も」

はやり「はやややゃ……」

はやりの顔が茹でダコのように赤くなる。
だけど手は離してやらないし、目をそらしてもやらない。

248 = 1 :

京太郎「……他に俺のことを好きな女の子がいたとしても」

京太郎「俺は、あなたと一緒にいたい。可愛い笑顔のあなたと一緒にいたい」

京太郎「だから、そんな悲しい顔をしないでください」


片手を離し、ポケットの内側に手を入れる。
はやりの指先がもの寂しそうに震えたが、今だけはこの手を添えられない。

だってそうしなきゃ、これが取り出せないから。

249 = 1 :

はやり「――ッ!!」

ポケットから取り出した小さな箱を見て、はやりの目が大きく開かれる。
さっきまで不安で震えていた瞳が、期待の色に輝いた。
その期待に応えるように、はやりの手のひらに箱を乗せた。

250 = 1 :


緊張で震える指先で箱を開く。
ダイヤモンド付きの銀のリング。宝石の意味は『永遠の絆』

京太郎「瑞原、はやりさん」

多分、今までの人生中で一番緊張してる。
健夜さんと打つ時だって、こんなに怖くなかった。

はやり「はい」


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