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    元スレ京太郎「牌のおねえさんフォーエバー」

    SS+覧 / PC版 /
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    みんなの評価 : ★★★
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    351 :


    騒がしい感じもいいね

    352 :


    /nox/remoteimages/a2/85/e64ccb89e7a6131d5ac3906878d6.jpegこれがまだ貼られてないねぇ…

    353 :

    ふたばは張り付いてないと保存も難しいから多少はね?

    354 :

    やめなよ持ち出し

    355 = 354 :

    すまんsageてなかった

    356 :

    子どもが出来たら両親以上に構いまくりそうこの人たち

    357 :

    >>356
    はやりんはまだ子ども産めるのかな………?

    358 :

    高翌齢出産は母子共に危険が伴うから万全の状態で臨まなければ

    359 :


    【将来の夢って】


    「ねえ、私さ」

    自分の夢と、女としての幸せ。

    「こんなにも幸せでいいのかなーって、たまに思うんだよねー」

    その二つを掴めた私はきっと、世界の誰よりも幸せだって言い切れる。

    「うん。いつまでたっても好きだよ――のこと。ずっとずっと大好き」

    戸棚には自分の手で勝ち取った金色に輝くトロフィー。
    左手の薬指には彼に貰った銀色に煌く指輪。

    そして隣には、この指輪を送ってくれた、私と同じ髪の色をした――


    360 = 1 :





    361 = 1 :

    将来の夢。大きくなったら何になりたい?
    誰もが一度は小さいうちに作文のテーマとして書かされた内容。

    男の子ならサッカー選手やメジャーリーガー、女の子なら食べ物屋さんやお医者さんが鉄板であり人気が高い。
    テレビに映る大人たちの格好いい姿。夢中になって画面にかじり付き、母親に「早くお風呂に入って寝なさい」と叱られる。そんなことも、誰もが一度は体験している筈だ。

    他にもおまわりさん、お医者さん、先生、アイドル、そして仮面ライダーやウルトラマンなどのヒーローなど、少年少女たちの心を釘付けにする数多くの職業がこの世には存在する。
    もちろんプロ雀士もその中の一つとして高い人気を誇るが――前述したものに比べると、少し複雑な立ち位置にある。

    将来なりたい職業ランキングで長い間トップ10に食い込み続けるプロ雀士。
    しかし同時に、近年では『なりたくない』職業ランキングでも上位に名を連ねているのである。

    362 = 1 :

    麻雀。
    男女の体格差によるハンデがなく、一度卓を囲めば実力がモノをいう競技。
    それだけに競技人口も多く、険しい勝負の世界。才能による絶対的な壁を感じて諦めるものも少なくない。

    だが、壁を乗り越えトップとして活躍し続けるプロたち。
    三尋木咏、瑞原はやり、野依理沙、赤土晴絵、そしてつい最近現役復帰した小鍛治健夜。
    彼女たちの名声は日本に留まらず世界中に轟いている。

    そんな彼女たちの活躍の瞬間を一枚に収めたプロ麻雀煎餅カードは大人にも子どもにも大人気。
    もはや『煎餅の方がおまけ』扱いであり、高いレアリティになると非常に高額でトレードされることもある。
    フルコンプリートしようとすれば余程運が高くない限り余裕で諭吉が吹き飛ぶ。

    栄誉ある職業でありながら、『なりたくない』とも思われているプロ雀士。
    その理由は、プロたちのとある共通点にある。

    363 = 1 :


    小鍛治健夜。
    コンビとして活躍していた女子アナが一足先にゴールインしてからは彼女を「アラフォー」と呼び弄くるものはいない。
    一説では、相方だと思っていた女子アナに先を越された悔しさを発散するために世界ランキングに返り咲いた、とも。
    麻雀の腕と女子力は反比例するとかいう定説を作り出した人。

    三尋木咏。
    どう見ても大人には見えない容姿の合法ロリータ。
    日本代表チームの先鋒としても大活躍、あちらこちらへ引っ張りダコだかそれ故に婚期が遠ざかっているとか何とか。
    本人は「結婚とか人生の墓場だろー?」と全く気にした素振りを見せないが。

    瑞原はやり。
    牌のおねえさん。このプロきつい。エクセレントなおもち持ち。番組放送開始時から全く容姿が変わらない。
    彼女と対局した者は若さを吸い取られるという噂がある。

    野依理沙。
    いつもプンスコなツリ目さん。
    彼女のチャームポイントでもあるが、同時に恋人が出来ない理由でもあるとか。

    赤土晴絵。
    阿智賀女子をインターハイまで引っ張り上げた阿智賀のレジェンド。
    人も良く、上の4人に比べればコレと言った欠点もないが何故かいつも「いい人止まり」で終わってしまうらしい。


    そう、彼女たちは独身なのだ。独り身なのだ。
    世界で活躍し子どもたちに夢を与えているのが彼女たちなら、才能という壁を越えるには婚期をリリースする必要があるという定説を生み出したのもまた、彼女たちなのだ。

    364 = 1 :

    「お嫁さん」も女子たちの立派な将来の夢の一つである。
    プロ雀士として活躍するか、女子としての夢を優先するか、苦渋の選択を迫られる女子は多い。


    京太郎「――ま、こいつには無縁な悩みだろうがなぁ」

    「すぴゃー……くかー……すぴー……ZZZ……」


    何ともいえない珍妙な寝息を立てながら、人の膝を勝手に枕にして寝ている女。
    「甘えているんじゃない。甘えてやっているんだ、この私が」という尊大な態度の大学1万年生。
    こいつの腕前なら間違いなく卒業後はプロ入りだろうし、何だかんだで相手を見つけそうな気はす――


    京太郎「ってヨダレ垂れてんじゃねーかテメェっ!」

    「ふあっ!?」

    365 = 1 :

    淡を跳ね除け、慌ててハンカチで膝を拭う。妙に膝が湿っぽいと思ったら……!
    買ったばかりのジーンズなのに、これ以上汚されたらたまったものではない。


    「え、え? あれれぇ……? トロフィーは……? あれ……?」


    一方淡は寝ぼけ眼。
    意識が覚醒しきっておらず、わけのわからないことばかり口走っている。


    京太郎「ほら、起きろっつーの」

    「わっ」


    軽くデコピンをかましてやる。
    少し強めに力を込めてやれば、眠気だってさっさと吹っ飛ぶだろう。


    「え、あ……あ?」


    瞼をパチクリしている淡。
    ぼんやりしていた瞳が段々とハッキリしてくる。


    「あー……」

    京太郎「目、覚めたかー?」

    「……」

    「――っ!!」ガバッ

    366 = 1 :

    「あーっ! あー! ふわーっ!!」

    京太郎「いてっ!? おま、なにすん、てぇっ!?」

    「わぁああああああああ! ああああああああ! ふわあああああああ!!」

    京太郎「落ち着けよ!」

    目を覚ましたかと思うと、顔を真っ赤にして凄まじい勢いで叩いて来る淡。
    本っ当に気ままな女だ……!


    ・・・・・


    京太郎「……落ち着いたか?」

    「……ん」


    コクリと頷く。
    視線はこちらを向いておらず頬も赤いままだが、とりあえずは鎮まったらしい。


    京太郎「夢見て暴れるとか、ガキじゃねーんだから」

    「うるさい。きょーたろーくせに」

    京太郎「意味わかんねーっつーの」

    367 = 1 :

    ヘソを曲げてそっぽを向く淡。
    放って置いてもいいが、このままサークルのみんなが来ると面倒なので機嫌をとっておかねば。


    京太郎「ほら、コレでも食って元気出せって」

    「は? 何コレ?」

    京太郎「タコスだよ。結構自信あるんだぜ」

    「きょーたろーが作ったの?」

    京太郎「おう。みんなに配るつもりで作ってきた。タコス馬鹿のお墨付きだ」

    「ふーん……あ、美味しい」

    京太郎「な?」

    「きょ-たろーのクセに。なんか悔しい」

    京太郎「うっせ」


    どこまでも生意気なヤツである。

    368 = 1 :

    「……」モグモグ

    「あ、そだ」

    京太郎「ん?」

    「明後日みんなでカラオケいこーよ。クーポン貰ったんだ」

    京太郎「あー、明後日か……あ、悪い。予定入ってるわ」

    「えー? じゃその予定キャンセルしてよー」

    京太郎「無理言うなって」

    「この淡ちゃんの誘いを断わるっていうの?」

    京太郎「何様のつもりだよ。ほら、これに行くから」


    と、携帯の画面を見せる。


    「んー?」

    「牌の、おにいさん募集……?」

    369 = 1 :

    京太郎「おう、これでもインハイ出てるからな。応募資格はあった」

    「京太郎が牌のおにいさんって……ぷぷっ」

    京太郎「笑うなよ」

    「だって、京太郎が瑞原プロの隣で「はっやりーん☆」とかやるんでしょー?」

    「おかしくって腹痛いわー」ケラケラ

    京太郎「悪かったな。でもこんな機会滅多にないんだよ。瑞原プロと打てて指導までして貰えるかもしれないんだぜ?」

    「えー? 打つなら私でいーじゃん」

    京太郎「はぁ? お前が?」

    「なにさー」

    京太郎「いや、だって」


    ……足りていない。圧倒的に。色んなところが。

    370 = 1 :

    「むっ」


    グリッ


    京太郎「って!?」


    目の前のコイツと瑞原プロの悲しいまでの戦力差を比較していると、思いっきり足を踏まれた。


    京太郎「なにすんださっきから!」


    グリッ グリッ


    「うるさい。ばかばか。きょーたろーのばーか」

    京太郎「意味わからんわ!」

    371 = 1 :

    京太郎「てめ、このヤロ!」

    「わっ!? 髪がー!!」

    京太郎「ふははは! 恐れ入ったか!!」

    「きょーたろーのクセに!!」

    京太郎「まだ言うかー!!」


    ……そんな風にじゃれ合いながら、他のサークルメンバーを待つ。
    俺が雀荘に行かない時は、大体いつもこんな感じで大学生活を過ごしている。


    「あの二人、またやってるし」

    「夫婦喧嘩はヨソでやれー」


    そして後からやってきたメンバーに茶化される。
    ここまでが1セットとなっている。

    372 = 1 :


    本当に、本当に毎日が騒がしい。


    京太郎「ばーかって言う方がばかなんだよばーか!」

    「それじゃきょーたろーは私の3倍ばかじゃんばーか!!」

    京太郎「あー言えばこう言う……! こうなったら卓でケリ着けるぞ!」

    「望むところだー!」


    でも、こんな日々も悪くないと、そう思っている自分がいた。

    373 = 1 :

    お久しぶりです

    というわけで淡ルート大学生編プロローグでした。ifルートなので>>1の前提がちょっと崩れます
    それでは、今回はここで中断します

    377 :


    あわいい

    378 :

    ベクターのセリフが脳内で自動再生されてしまった

    379 :


    【ばかやろー】


    『決まったー! 誰もが注目したタイトル戦! 見事激闘を制し、国内無敗伝説を打ち破ったのは……』


    『期待の新星こと、大星淡!!  予想を覆し、見事に栄光の勝利を勝ち取ったああああああああああああ!!!』

    380 = 1 :

    湧き上がる会場内。

    席を立った私を無数のフラッシュが照らす。

    その光を左手の指輪が反射して、二重の意味で私を祝福しているみたいに思えた。

    悔しそうな対局相手のコメント、賞賛するチームメイトの声、インタビューのために呼びかける記者たち。

    だけど私の足は止まらない。そんなものよりも、もっと大事なことがあるから。

    前人未到だとか、かつてのライバルへのリベンジだとか、試合前は心の中を占めていたことも、今はどうでもいい。

    381 = 1 :

    今は何よりも優先して会いたい人がいる。

    その人のことを考えると自然と足取りが速くなる。

    誰よりも先に伝えたくて、誰よりも先に褒めてもらいたいたくて、誰よりも先に抱きしめてほしい人。

    きっとこの扉の先にその人が待っていると、期待に胸に膨らませてドアノブに手をかけた。

    382 = 1 :




    「ピピピ! ピピピ! ピピピピ! ピピピ!!」


    383 = 1 :


    ピッ!


    けたたましく響く携帯のアラームを、反射的に動いた手が止める。

    時刻は8時30分。まだ間に合うけど、そろそろ準備しなきゃ必修の授業に間に合わなくなる。そんな時間。

    「……またー?」

    思わず出る溜息は、これから出る授業に向けたものじゃなくて、夢の中身に対するもの。

    近頃、こんな夢ばかり見てる気がする。

    384 = 1 :

    私が成功している未来。
    キラキラしてて、とってもいい気分で、宇宙一の幸せものになっている。

    何でかわからないけど、最近見る夢はそんなのばかり。

    「むーむむむ……」

    イヤなわけじゃない。むしろ調子はイイ感じ。
    私がいつか世界ランキング1位になるのは当然のことだし、成功を手に掴むのも当たり前のこと。
    だけど不思議なのは、夢の最後はほぼ必ず、アイツが出てきて終わること。

    だってそれじゃあ、まるで私が……

    「……ふぁ」

    ……ま、いっか。
    起きたばかりじゃ、何を考えてもあくびが出るばかりだし。別にイヤなわけじゃないんだし。
    どこかスッキリしないモヤモヤはいったん忘れることにして、私は身支度を始めた。

    385 = 1 :



    ――そうして時間は過ぎて、本日の講義を全て消化した放課後。


    ……思いっきり、恥をかいた。

    アイツのせいだ、絶対にアイツのせいだ。

    今朝のことを考えてたら、ついボーっとしちゃって、講師に指名されたことに気付かなかった。

    おかげで教室のみんなに笑われちゃったし、私だけ課題を増やされた。

    しかも「大星さんって案外普通なんだね」なんて、今まで喋ったこともなかった女の子に言われて、そのまま意気投合してメアド交換とLINE登録までしちゃった。

    それもこれも全部、毎晩毎晩私の夢に侵入してくるアイツのせいだ。

    一回、ガツンと言ってやらないと気がすまない。

    「うん!」

    思い立ったら決断は素早い。サークルへ向かう足取りも自然と速くなる。
    この時間帯なら絶対にアイツはいるハズ。きっと今日は雀荘にも行っていない。私の直感が告げている。

    386 = 1 :

    「たのもーっ!!」

    ドアノブに手をかけて、勢い良く開く。

    その先には、無駄に背の高いアイツが、いつものように卓の準備をして

    京太郎「はぁ……」ドンヨリ

    ……いなかった。
    いや、いつでも対局が始められる用意はしてあったけど、目が死んでる。

    387 = 1 :

    京太郎「……ん?」

    のっそりとした仕草でこっちを見るきょーたろー。
    無駄にでっかいからデクノボーみたい。

    京太郎「ああ、淡か……」

    おつかれー、なんて言いながら力なく手を振ってくる。
    その声も今にも死にそうな感じで、腐ったような目と合わさって、陸上に打ち上げられてから暫くたった魚みたいだった。
    たしか、アレはたまたま付けたテレビでやってた……じゃなくて、

    「えーっと……どうしたの?」

    京太郎「あー、いや、なんでもないんだけどな……」

    ハハ、と乾いた笑い。
    ……いや、明らかにおかしいでしょ。

    388 = 1 :

    「あー、それなー。なんでも、前受けたバイトの試験が上手くいかなかったとかで」

    「あ、いたんですか先輩」

    「あんたなぁ」


    ハァ、と溜息を吐かれても、わりとどうでもいいことだし。
    今はそんなことよりも。

    「バイトって……あの、牌のおにいさんとかいうヤツ?」

    「ああ、ソレやソレ」

    389 = 1 :

    この前、私の誘いを断わってまで行ったやつ。
    とっても楽しそうに話していたけど、結局ダメだったんだ。

    京太郎「……あぁ……」

    まるで、魂が抜けたかのようにポケーっとした顔。
    どうしても欲しかったものを、取りこぼしてしまった姿。
    あんなに活き活きしてたのに、こんな風になっちゃうなんて、よっぽどショックだったんだろうなぁ。

    そんなきょーたろーを見て、私は……

    「情緒不安定過ぎてキモい」

    京太郎「うるせぇ」

    あ、起きた。

    390 = 1 :

    京太郎「面子揃ったし三麻やるぞ三麻。ほら、さっさと席つけ」

    「あ、ちょと」

    グイっと強引に手を引かれる。
    ……悪い気はしないけどさ、別に。
    こうして手を掴まれると、以外と逞しいなぁ、とか。強引なのも悪くないかも、とか。
    別に、そんなことは思わないし?

    「やれやれ……」

    ハァ、と先輩が溜息を吐いて席に着く。
    ……そう言えば何ていったっけ、この人の名前。

    391 = 1 :

    そして始まった対局。

    京太郎「じゃあ、コレで」

    危険牌を切りながらも、ギリギリのところで回避してくる。
    攻めも強くなっているような、防御での安定感も増えているような、不思議な感じ。
    上手くいえないけど、何だか強くなってる気がする。

    京太郎「ふむ……」

    対面に座ってじっと手牌を見つめるきょーたろー。
    こうして真剣な顔してると、フツーにイケメンなんだけどなー。


    「次、あんたの番やで」

    「え?」

    「見惚れてないで、はよしいやー」

    「……別に、そんなんじゃないし」

    そうやって否定するように、牌を切った。

    392 = 1 :

    そんなやり取りが何回かあって進む対局。
    基本的に私が1位のまま、きょーたろーと先輩が2位になったり3位になったりを繰り返している。

    京太郎「……」

    今日一番で真剣な顔。この局の結果次第できょーたろーの最終順位が決まる。
    一点を見つめる視線。顎に手を当てて考え込む姿は中々決まってるんじゃないかなって思う。
    どうしてこう、いつもこんな風になれないんだろうなー。

    なーんて、そんなことを考えてると


    ――全て壊すんだ!


    京太郎「あっ」

    「え?」

    「む?」

    きょーたろーのポケットから、着メロが聞こえてきた。

    393 = 1 :

    「マナーモードにしときや」

    京太郎「すみません、ちょっと失礼しま……あ、ハイっ!」

    注意する先輩と、申し訳なさそうに携帯を開いて、それからビックリした顔で電話に出るきょーたろー。
    ハイ! ハイ!って勢い良く何度も頷いて、嬉しそうに電話に答えてる。

    「むぅ」

    その姿は、完全に今の対局のことは頭に入ってないみたいで。
    ……なんだか、面白くない。

    394 = 1 :

    京太郎「ハイ! 来週の日曜ですね! ハイ! それじゃあ、よろしくお願いします! ハイ、ありがとうございました!!」

    電話が終わって、携帯を閉じて、ふうと一息ついてる。
    それから、いったん目を閉じたかと思うと

    京太郎「い……よぉっしゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!」

    急に携帯片手に立ち上がって、叫び出した。

    さっきまで、あんなに凹んでたのに。

    395 = 1 :

    「きょーたろーが壊れちゃった……」

    京太郎「うるせー! 仕方ないだろ!」

    「いったん落ち着き。何があったんや」

    京太郎「受かってたんですよ!! 俺、出来てました!!」

    「んん?」

    「だから落ち着きが足らんわ。主語が抜けとるで」

    京太郎「なれたんですよ! 俺、牌のおにいさんに!!」

    「あ!」

    「あー、アレなー」

    396 = 1 :

    京太郎「来週から一緒に仕事が出来るんですよ、あの瑞原プロと!」

    いやー、楽しみだなぁって、だらしない顔。
    あの顔は、きっとロクでもないことを妄想してる顔だ。

    「……ムゥ」

    私のことなんて眼中にもないって感じ。
    ムカつく。腹立たしい。

    「……ふむ」

    そりゃ、確かに。今の私と瑞原プロを比べたら、すこーしだけ、ほんの少しだけ、足りない部分はあるかもしれないけどさ。
    だけど、目の前にいる私をそっちのけにして、もうそーの中の瑞原プロに夢中になるだなんて。


    「……どうでもいいから、早くしてよ」


    そんなこと、あっていいハズがない。

    397 = 1 :


    本当にムカついたから、その後の対局ではちょっとだけ本気を出して、何度も何度もきょーたろーを飛ばした。

    点数を削られていく度に身もだえする姿はある意味面白かったけど、結局その日はずっとムカついてた。

    398 = 1 :


    その日の晩は、夢を見なかったけど。

    「……バカ」

    朝の気分は、サイアクだった。

    399 = 1 :


    というわけで淡ルート2話目でした。
    咲ちゃんの小話はすみません、ちょっとお待ちください。

    ところで、プロ設定の京太郎ならアナウンサールートもいけるのかな? とかふと考えました。
    照ルートとか小ネタとか書いた後で、書いてみてもいいですかね?

    400 :

    いいですとも!


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