私的良スレ書庫
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元スレさやか「全てを守れるほど強くなりたい」
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ほむら「……」
先頭を歩くのはほむら。
マミ「……」
すぐ後ろにマミさん。
まどか「今日もまた遅くなるって連絡入れないと……」
さやか「あー、早めの方がいいよ」
まどか「だよね」
そのまた後ろには私たちがいる。
マミさん曰く何をしでかすかわからないほむらを前に置き、それをマミさんが見張りつつも、私とまどかは後方で構える。
普通は剣を持ってる私が前にいるべきなんだけどね…。
まぁでも、一応ほむらの腕にある武器は盾のようだし?最初にほむらが防いで、後ろから私たちが……っていう考え方ができなくもないか。
そんなわけかは知らないけど、マミさんが出した布陣の条件を、ほむらはあっさりと飲んだのである。
四人組とはいえ、我々はかよわい中学生の少女達だ。
夜ともなれば、無防備に映ることだろう。
男達からのナンパは面倒臭いし、警察に歩道されたくもない。
この役柄、なるべく人通りの少ない道を選ぶとはいえ、繁華街も立派なパトロール範囲だ。
長く続けていくなら、世間体も気にする必要はありそうだ。
私たちは歩き出してすぐに魔女の微弱な反応を察知し、標的を探すことになった。
まずは街中を歩こうとマミさんや私は提案して、この流れで街中散策とな……るかと思いきや、ほむらはきっぱり、静かに反対した。
ほむら「工場地帯へ行くわよ」
空気が読めないというか、そうきっぱり反対する意図すらも、私たちにはわからず、少しの間ぽかんと口を開いたままだった。
マミ「あのね暁美さん……」
ほむら「あたりをつけるならどこを探しても同じ、私が先頭を行くのだから、舵取りまで任せてほしいわ」
先頭を歩かされるほむらの、全く正しい主張だ。
こう言われてはマミさんも、渋々と了承するしかなかった。
さやか(仲良くして欲しいのに……まぁdも、ほむらも主導権をマミさんに握らせたくはないんだろうな……)
ほむらの仕返しだと考えていた私だったのだが。
そんな半分彼女を疑うような私の考えは、すぐに間違いであると気付くことになる。
マミ「……反応が」
ソウルジェムが目立った明滅を始めたのだ。
まどか「どんどん近くなってるの?」
さやか「みたいね」
ほむらはソウルジェムを左手に持ってはいるが、その光を見ようともしていない。
最初から魔女の居場所がわかっているかのように、彼女は工場地帯へ歩き続ける。
歩き進むごとに、人気は少なくなる。
反対に、ソウルジェムの輝きは強くなる。
>>338だった
人気のない夕時の工場群は、どこかノスタルジックにさせる情景だった。
こんな時間にこんな場所にまで来たことは無かった。
14歳にもなって初めて見る、親しみきれていなかった新鮮な見滝原の顔だった。
マミ「……近いわね」
ほむら「弱そうな魔女だわ」
マミ「そんなことまでわかるの?」
ほむら「大体ね」
マミ「……」
マミさんの背中を見ればわかる。ちょっと悔しそうな顔をしてるに違いない。
さやか「マミさん、ソウルジェムの光で使い魔か魔女かを判別できるんですか?」
こもった空気を換気しようと訊いてみる。
マミ「そうね、感覚的なことだから言葉じゃ良い難いんだけど、出会ってみれば美樹さんにもわかると思うわよ」
さやか「感覚かー」
感覚で覚えることの多い世界だ。
マミさんのような教えてくれる先輩がいなければ、この魔法少女という仕事、随分最初に辛い思いをしそうである……。
……まどかは特に危なっかしい。私も釘は刺しておこう……。
ほむら「この中よ」
マミ「!」
話している間に、寂しげな工場の前に到着した。
辺りに人はいない。
ほむら「さて……まだ、誘い込まれた人はいないようね」
まどか「ちょ、ちょっとほむらちゃん……」
ほむらは先導らしく、堂々ずかずかと暗い工場の中へ踏み込んでゆく。
広い……整備工場だろうか。工具のような、大きな機械のようなものがある。
そこを通り過ぎ倉庫らしき部屋に踏み込むと、埃臭そうな灰色の壁の上に結界は大人しく発光していた。
結界を背に、ほむらは私たちへ向き返る。
ほむら「さあ、倒すなら今のうち、けど時間に余裕はある……ここでも私が行くべきなのかしら」
制服のポケットに両手を突っ込み、片足に体重をかけ、感情の無い目はマミさんを射止める。
ほむら「さやかの言う共闘ならば私としては本望よ……けど、私だってまだ完全にあなたを信用できないわ、特に巴マミ」
マミ「!」
ほむら「正直に告白すると、私は貴女の銃が怖い……後ろに立たれ、絶えず後頭部に視線を受けるのも不本意、張り付かれる感触は好きではないわ……」
そこで初めて、ほむらが結界を背にする理由がわかった。
さやか「……共闘する以上、疑いっこ無しで、か」
ほむら「ええ、いつまでもこんなことを続けていたくはない……それは貴方達だってそうでしょう?」
さやか「まあね」
ほむら「一つどうかしら、私は……魔女を探す能力に長けている、そこを買って、私を平等な仲間として扱って欲しいのだけれど……」
この結界の先から、より一歩踏み込んだ共闘を結ぼうということだ。
ほとんどマミさんだけに向けられたほむらの言葉、当のマミさん自身は、ちらりとキュゥべえを見て少し悩む素振りを見せた。
ほむら「駄目?」
さやか(ぶっ)
毅然とした態度、そしてキメの一言なんだけど、言い方は不覚にもちょっと可愛かった。
乙
ネウロの「駄目か?」を連想してしまった。
あそこまでの可愛いキャラ作ったわけじゃないんだろうけどww
ネウロの「駄目か?」を連想してしまった。
あそこまでの可愛いキャラ作ったわけじゃないんだろうけどww
まぜると危険って、水虫治療薬のバケツか。
あれって製造中止に伴って製造元がなくなったんだよな。
あれって製造中止に伴って製造元がなくなったんだよな。
マミ「……確かに、ここに来るまでのあなたの歩みには無駄も迷いもなかったわ……」
可愛げのある言い方も、マミさんには伝わっていないらしい。
神妙な顔つきで、差し出された条件を吟味しているようだ。
結局、ほむらの言い方にツボっていたのは私だけで、そう考えると途端に冷静になれた。
マミ「いいわ、飲んであげる……けどこれは、貴女のことを“魔女退治で使えるから”という理由で引き入れるわけじゃない……」
マミ「自分の能力のひとつの私たちに見せた、その真摯さを汲み取ってのことだから、気を悪くしないで」
大人の微笑を向けると、ほむらも口元をわずかに釣り上げた。
ほむら「気にしないわ……まだ私にも隠し事はある、その上で付き合ってもらえるなら」
マミ「少しは大目に見ましょう」
二人は握手した。
すると、マミさんの微笑みは“ぱあっ”と花のように咲いて、身にまとう緊張感すらも解けた。
マミ「ふふ、いつまでもピリピリするの、私も好きじゃないから」
さやか「へへ」
私が考えているよりも、マミさんはずっとずっと、大人だった。
私は彼女のことを心のどこかで、融通の利かない人だと思い込んでいたんだろう。まずはそれを恥じて、心の中で詫びよう。
やっぱり上級生は違うや。
さやか「さ!それじゃあ早速、結界の中に入ろう!まどかは私の後ろに……」
ほむら「私が守るわ、後ろについていなさい」
まどか「えっ?あ、はいっ」
さやか「……よーし、さやかちゃん先陣切っちゃうぞぉ~」
私たち魔法少女は、ほぼ横一列に結界へ飛び込んでいった。
結界の中は薄い青の空間で、いつも見慣れた雑多なものとは違い、ある程度整えられたものであることを伺わせる。
というよりもそれは錯覚で、整っていると感じたのは単に結界の中が広い一つの空間でしかなかったためであった。
まどか「わ、わ、」
ほむら「大丈夫よ、私に掴まっていなさい」
まどか「……うんっ」
身体はゆっくりと落下するように、結界を降りてゆく。
重力が弱い結界なのだろう。
マミ「二人とも、あまり身を任せすぎるのも得じゃないみたいよ」
が、マミさんは空間を縦横無尽に飛んでいた。
プールの中より滑らかで、空中よりも機敏に。
マミ「この結界の空中は、足に魔力を込めれば簡単に移動ができるみたい」
ふわふわとスカートの裾を踊らせると、満足したように私たちと同じ高さを維持した。
何度もパンツが見えてありがたかった。
さやか「おっ……おおーっ、ほんとだ、動けますねこれ」
私の身体も、空中の見えない壁を蹴るようにして宙を飛び回ることができるようだった。
さやか「……」
まどか「……?」
その感覚がどうも癖になり、ついついアクロバティックな動きをしてしまいたくなる。
だん、だん、だんと宙を蹴る連続三角飛びだ。
さやか「見てまどか!裏蓮華!」
まどか「ぶ、ぶつかるよ!危ないよさやかちゃん!」
しばらく遊んでいたら、マミさんのリボンで強制的にひっぱられるハメになりました。
裏蓮華ってしたら体がぶっ壊れるんじゃ
……って魔法で治せる魔法少女には関係ないっすね
……って魔法で治せる魔法少女には関係ないっすね
ほむら「……」
まどか「何もない……?」
結界の床に降り立つと、そこは何も無かった。
使い魔の姿もなければ、魔女の姿も無い。
ただ強い魔女反応がソウルジェムに存在するだけ。
マミ「何も無いということは有り得ないわ、魔女はどこかに姿を隠しているはず」
ほむら「巴マミの言う通り……目で見えるものだけが全てじゃない、音も匂いもソウルジェムの反応も、全てを利用して敵の居場所を探るのよ」
さやか「なるほど……」
全てを利用して居場所を探る……煤子さんも似たようなことを教えてくれた。
――“何故”と考えることは大切よ
――“何故”という問いかけが、全ての謎を解くのだから
さやか(何故……魔女も使い魔もいないのか)
普通は結界に入れば、それを察知した魔女が現れて殺しにくるはず。
何故そうしない?どうして何もせずに、ここに隠れている?
魔法少女がここに3人もいて、気付かないわけが……。
さやか「……そうか」
ほむら「?」
そう、魔法少女が3人、一般人が1人。
4人もの人間が結界に侵入して、気付かない魔女なんかいるはずない。
さっきまで騒がしく浮かれていたのだ。空間は見たところ、この大部屋1つのみ。
魔女は隠れている……私達、3人の魔法少女に怯えている!
さやか「魔女は周りの景色に溶け込んで、隠れているはず!みんな辺りを警戒して!」
マミ「!」
姿が見えない魔女だとしたら厄介なことこの上ないが、だとしたら攻撃を仕掛けない理由が無い。
敵は“姿が見えて”しかも“周りに隠れている”魔女!
ほむら「居たわ、こっち!」
張り詰めた声に誘われて私は真後ろを、マミさんは真横へ振り向く。
ほむらが指で示した先には、揺れ動き続ける風景の中にひとつだけ存在する、翼の生えた奇妙なモニターが見えた。
魔女「……!」
一同の視線に気付き、流れるような動きを止めてしまったのが奴の敗因となるだろう。
◆ハコの魔女・キルステン◆
乙
ここのさやかちゃんはなかなか優秀で安心できる
ミチルが生きていればプレイアデスのに誘われていただろうし、織莉子達からも警戒されていただろう
ここのさやかちゃんはなかなか優秀で安心できる
ミチルが生きていればプレイアデスのに誘われていただろうし、織莉子達からも警戒されていただろう
魔女は翼を広げ、画面をこちらに向けてノイズを響かせた。
モニターが奇妙な映像を見せると共に、結界内の様相も掌を返すように一変した。
ほむら「まどか、気をつけて」
まどか「う、うん!」
風景のメリーゴーランドが加速する。
紛れるモニターの魔女の画面からは無数の何者かが飛び出し、それらは結界の上からゆるやかに降りてくる。
マミ「周りを遊覧しながら使い魔を撒き散らすなんてね……!」
さやか「魔女を狙いましょう!」
マミ「そうね、使い魔ばかりでは埒もあかないわ」
私は剣でマミさんは銃だ。
近づいてくる使い魔をどちらで倒し、魔女を倒すか。
ほむら「まどかは私が守る、二人は使い魔と魔女を」
さやか「!」
どうしたものか悩んでいたところに、戦力の計算に悩んでいたほむらから直々の提案。
守らなくてはならないまどかと一緒にいてくれるのであれば、心強い。
マミ「任せていいのね?」
ほむら「あなた達が使い魔を全て討ち損じて、そいつらがこっちへ押し寄せてきたとしても何ら問題ないわ」
挑戦的な言葉を真顔で言うものだから、マミさんは“やってやるわよ”という勢いで、その重要な役割をほむらに任せた。
つまり。
マミ「いくわよ!美樹さん!」
さやか「はい!」
私とマミさんでの、ペアによる戦いだ。
まどかの表情に明らかな不安が無いことを確認する。後はほむらに任せよう。
さやか(よし……!)
私とマミさんは地面を蹴り、一段上の空を蹴り、そしてどんどん結界を昇ってゆく。
使い魔が近づくにつれて私たちは二手に別れ、結界の側面に潜む魔女を探し始めた。
同時に、群がりやってくる使い魔を迎え撃つ。
使い魔「きひひひ」
さやか「うわ!可愛くない!」
不気味な笑顔を向ける使い魔が目の前に3匹。
横一列をなぞる様に、剣で一閃。
使い魔「きヒィ……」
特に手応えもなく使い魔は消滅する。
マミ「はあっ!」
マミさんの銃弾も狂い無く命中し、私たちから離れた位置にいる使い魔も撃墜されてゆく。
――ドォン
さやか「!」
マミ「!?」
マスケット銃ではない、もっと粗野な轟音が結界に響いた。
音は同時に、私の司会の隅に浮いていた使い魔の胴体をガラスのように砕き千切っている。
さやか「今のって……」
まどか「わ、わぁ……」
ほむら「少し耳を塞いでいた方がいいかもしれないわよ、まどか」
結界の地上では、ほむらがスナイパーライフルをこちらに向けて、銃口から白煙を垂れていた。
随分と物理的というか、現代的な武器に、私の顔はちょっとだけ引きつった。
魔法少女ってホント、なんでもありなのかい……。
さやか(攻撃方法に対するツッコミはともかくとして……)
下からは取りこぼしや見逃しをほむらが撃ってくれる。ということになれば、私たちは大まかに使い魔を蹴散らしながら魔女を探すのみだ。
マミ「ふふ、ずっと逃げてもいられなくしましょうか?」
さやか「何か作戦が?」
マミ「見てて?」
首もとのリボンがするりと抜ける。
リボンは宙で上向きに振られると、ごく自然に、靡くようにして天へと伸びた。
さやか(おおー……)
リボンはどこまでも伸びてゆく。
それはしゅるしゅる上がる花火の光のようでもあった。
そして次の瞬間、それは本当に花火となった。
結界高くまで昇ったリボンの柱は黄色い輝きを放って弾け、枝分かれした無数の黄色の帯が結界内を縦横無尽に駆け巡る。
使い魔「きひ」
使い魔「きひひっ?」
空間を埋めるほどのリボンに、ゆるやかな弧を描きながら飛んでいた使い魔の天使たちは動きを封じられていた。
機動力は格段に落ちたに違いない。
さやか「ナイスですマミさん!これで相手は時間稼ぎもできない!」
マミ「本体を探しましょう!」
さやかちゃん+冷静さ+適正な判断力=無敵淑女じゃないか惚れる
空間の壁際を走り、螺旋階段のように駆け上る。
結界の端にいる使い魔をすれ違い際に斬り捨て、じわじわと魔女を追い詰めるためだ。
魔女を倒せば結界は消える。その時に使い魔が残っていたら、使い魔はどうなるか?
ボスを倒して雑魚敵が消えるシステムだったらうれしいけれど、そんな都合の良いシステムである予感は、なんとなくしないのだ。
油断はできない。だから私は使い魔も可能な限り倒すことにした。
さやか「――」
使い魔「き」
人形の微笑がこちらに振り向く頃には、既に私のサーベルのガードは、使い魔の首もとに触れている。
ガードは滑り、剣の根元が人形の細い首に僅かに食い込む。
使い魔「ヒャ」
私は使い魔の真横を駆け抜け、次なる標的のもとへ再び駆け出す。
その勢いだけで、人形の首を“ぱら”と削ぎ落とすには十分だった。
魔女「……!」
さやか「おっ、出たなモニター」
結界の端で、ようやく本体の魔女を見つけ出した。
なるほど天使の使い魔は、奴の画面から飛び出しているらしかった。
敵を構成するものは腕っぽい翼、モニターっぽい箱。
そのくらいだった。他に何かついていることはない。
が、その正面にあるモニターこそ、私には厄介に感じた。
そこからは使い魔が飛び出し、こちらに襲い掛かってくるのだ。
画面から飛び出るのは使い魔だけとは限らない。もっと恐ろしいものを出してくる可能性だってある。
さやか(モニターを最大限に警戒して、まずは両腕を斬り落とす)
私は魔女の画面を正面に見据えないように空中を左右に飛び、魔女に接近する。
幸い魔女は素早くないようで、その背後を取ることは使い魔を相手にするように容易かった。
さやか「はぁ!」
魔女「ぴぎっ!」
袈裟を真っ二つにするような大振りで腕の一本を刎ねると、到底液晶漏れとは思えないほど真っ赤な液体が噴出し、魔女はノイズをあげて呻いた。
さやか(もう一度機会をうかがうまでもない、そのままもう片方もイける!)
これは油断でも慢心でもなかった。
私にはその自信があったし、いざとなればどんな反撃からも身を守ることはできた。
だから私は、半回転してこちらに砂嵐を向ける魔女のもう一本の腕を標的に、もう一度強く柄を握ろうとしたのだ。
魔女「――…!」
そして魔女は反撃に出た。
砂嵐から一本の刃が、とんでもない速さで私を狙い、まっすぐ飛んできたのだ。
気前良く振るうはずのサーベルのガードで、私に飛び込んでくる刃の軌道を逸らす。
金色のハンドガードが魔力の火花を散らしながら、刃を受け流していく。
さやか「甘いっての!」
攻撃を受け流した私のサーベルは、そのまま魔女のモニターの半分を切り裂いた。
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