私的良スレ書庫
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元スレさやか「全てを守れるほど強くなりたい」
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それは剣道部に入部する4年前の出会い。
それは剣道道場に通う1か月前の別れ。
「ああ……やってしまった、私はなんてことを……!」
河原の橋の下で黒い土を握り締めていた、綺麗な後ろ姿の女性。
さやか「どうかしたんですかー?」
今でも、その出来事は鮮明に覚えている。
駆け寄った私の、半分の心配。
駆け寄り、彼女の顔を見た時、もうひとつの興味半分は、跡形もなく凍てつき、砕け散ってしまった。
「ぁあああッ……私はッ!!」
人が心の底からの悲哀に歪めた表情。
美しい女性なのに、悲しみはここまで人を歪ませてしまうのか。
その日は大切な出会いでもあり、私の中で、大きな何かが変わった瞬間でもあった。
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「足りない、これじゃあ足りない……」
さやか「あの……」
「間に合いっこない……」
彼女の肩に手を触れそうになった時、さっと振り向いた形相が私を睨み、鋭い目で動きを射とめた。
そして、一瞬だけ口を大きく開いた後、彼女の喉がコクリと鳴って、次の瞬間には、逆に私の両肩が掴まれていた。
さやか「ぁ……」
怖かった。
それが怒りの形相だったから。教科書で見た仁王の顔のようだった。
それがどうして、私に向けられているのか分からなかったから。
また、何よりも。
「美樹さやか……!」
会ったことがないはずなのに、私を知っていた事が、怖かった。
「期待はしない、けど答えて…あなたは今、何年生?」
さやか「よ、四年生……です」
瞬きしない目が私を逃さない。
「…カナメ、っていう子、知らないわね」
さやか「う、うん…知らない」
「やっぱりまだ越してないか……」
そこで初めて、女性は私から目を逸らした。
女性の目は赤く充血し、涙で濡れ、きらきらと光っていて、場違いな感情だとわかっていても、その時確かに私は、“綺麗だな”と感じた。
さやか「あの、なに……なんですか?あなた、誰ですか?」
「……」
女性は伏目で私を胸辺りを見た後に、また目を見た。
さやか(あ、この人――)
「私のお願い、聞いて貰っても良いかしら」
さやか(悲しまないと、怒らないと、こんなに綺麗な顔をしてるんだ――)
「聞いてる?」
さやか「はっ、はいっ!」
「このお願い、どうか受け止めて生きてほしいの……私が今更、貴女へ偉そうに言える事ではないのだけど」
バカな私にも伝わるよう、滑らかに言葉を紡ぐ女性の努力と反して、噛み砕かれた意味は私の頭に届いてはいなかった。
さやか「あ、あの」
だからまずは聞いておきたかった。
さやか「あなたの名前は……なんていうんですか?」
「……」
半分空いた口が、何文字かの息を吐いた気がした。
思いついたように長い黒髪を後ろで束ねた、その後に言葉は紡がれた。
「私のことは、“煤子(すすこ)”と呼んで、美樹さやか」
私はあの時の事を、今でも思い出せる。
煤子さんとの大切な出会いを。
彼女の語らぬ想いを。
だからこそ今、私はやっと後悔をし始めていた。
さやか「剣道部、やめなきゃ良かったな……」
まどか「ん?」
さやか「あ、もしかして今の、出てた?」
まどか「てぃひひ、ばっちし出てたよ、さやかちゃん……」
さやか「あっちゃあー」
まどか「上条君も、さやかちゃんには頑張ってほしいはずだよ?」
さやか「……うーん」
恭介が入院してから1ヶ月が経つ。
それは不運な事故だった。この国の年間で見れば、よくある事故。
けれど、彼の左腕に与えた影響はあまりにも大きすぎた。
温和に、綺麗に微笑んでいた彼の表情に、深い影を落とすほどに。
さやか「うーん……」
ベッドの上で天井を仰ぐ。
すん、と鼻を鳴らせば、顔の隣の、乾いて嫌な臭いが薄れた竹刀が感じられる。
さやか「顧問になんて言おっかなぁー!」
今更なんて言えばいいんだろう。
ものすごい適当な良い訳をつけて退部して、先輩にも迷惑をかけたのに。今更どんな顔で戻ればいいのか。
けれど、私が剣道部をやめるきっかけとなった恭介は、気にせず続けてほしいと言うし……。
でもまた入部すると、恭介のお見舞いにいけなくなるし……。
ああ、見舞いにいかないとしても、顧問になんと言えば……。
さやか「……」
私はベッドの脇を竹刀でばしばし当たった少し後で、ぐっすり寝た。
まどか「おっはよ~」
まどかがやってきた。
仁美「おはようございます」
まどか「えへへ、おはよー」
私はその次にやってきた。
さやか「はぁっ、はぁっ!ごめーん!」
まどか「さやかちゃん、おそーい」
駆け足でようやく二人に追いついた。
昨日、毛布の中で悶々とし過ぎていたのだ。起こしてくれたお母さんには感謝をしなくちゃいけない。
さやか「お?なんか可愛いリボンつけてるねぇ、まどかぁ」
まどか「そ、そうかな?派手過ぎない?」
仁美「とても素敵ですわ」
鮮やかな赤色のリボン。
まどかには良く似合っている気がした。
さやか「女の子は、もっと派手だって良いくらいだよ、まどか!」
まどか「え、えー……そうかなぁ……」
まどかのツインテールをぱしぱしはたきながら、私達は学校へ歩き始めた。
うん、とても良い日和。
まぁ、とりあえず期待
魚が剣道経験有りで強くなってるifじゃないの?
魚が剣道経験有りで強くなってるifじゃないの?
まどか「でね、ラブレターでなく直に告白できるようでなきゃダメだって」
さやか「うんうん、さすがは詢子さん!カッコいいなあ、美人だし」
仁美「そんな風にキッパリ割り切れたらいいんだけど…はぁ」
さやか「仁美は優しすぎるんだよー」
私のように、狭く汚い靴箱に託された手紙をその場で破き捨てるくらいでなくちゃ。
まぁ、封をしてない果たし状みたいな手紙なら、開いてやらなくもないけど!
まどか「いいなぁ、私も一通ぐらいもらってみたいなぁ…ラブレター」
さやか「ほーう?まどかも仁美みたいなモテモテな美少女に変身したいと?そこでまずはリボンからイメチェンですかな?」
まどか「ちがうよぉ、これはママが」
さやか「さては、詢子さんからモテる秘訣を教わったな?けしからぁあん!そんな破廉恥な子は~、こうだぁっ!」
頭を掻いたり、脇を責めたり、胸を揉んでみたり。
それにしても、なんて成長しない胸だ!けしからない!
まどか「や…ちょっと!やめて…やめっ」
さやか「慎ましいやつめ!でも男子にモテようなんて許さんぞー!まどかは私の嫁になるのだー!」
仁美「ごほんっ」
さ。学校はもう、すぐそこだ。
早く入ろう。
和子「今日はみなさんに大事なお話があります、心して聞くように」
さやか「ん?」
半分眠りかけた耳に、聞きなれないもったいぶった言葉が飛び込んだ。
和子「目玉焼きとは、固焼きですか!?それとも半熟ですか!?はい、中沢君!」
「えっ!?」
個人的には半熟の方が吸収が良くて助かるかなぁ、ってぼんやり思った。
「ど、どっちでもいいんじゃないかと」
和子「その通り!どっちでもよろしい!」
そっかぁ……。
和子「たかが卵の焼き加減なんかで、女の魅力が決まると思ったら大間違いです!」
和子「女子のみなさんは、くれぐれも半熟じゃなきゃ食べられないとか抜かす男とは交際しないように!」
なるほど、そういえば先生、付き合ってたっけ……。
機嫌が悪いのはつまりはそういうことか。
さやか「ダメだったか」
まどか「ダメだったんだね…」
何度目かなぁ、これ。
和子「そして、男子の皆さんは、絶対に卵の焼き加減にケチをつけるような大人にならないこと!」
先生、次は良い男の人に恵まれますように…と、ひっそり願ってみる。
和子「はい、あとそれから、今日はみなさんに転校生を紹介します」
さやか「そっちが後回しかぁい!」
つい声に出てしまった。
和子「じゃ、暁美さん、いらっしゃい」
ガラス戸が開いたそこからは、ガラス越しで見るよりも艶やかな黒髪を湛えた美少女が入ってきた。
さやか「うおっ……」
とんでもない美人がそこにいた、ってやつ?
きりっとした表情。まっすぐな姿勢。長い黒髪は育ちが良さそうというよりも、ミステリアスさを前面に感じた。
和子「はい、それじゃあ自己紹介、いってみよう」
彼女は緊張のかけらも見せず、ただ凛と流すように口を開いた。
ほむら「暁美ほむらです、よろしくお願いします」
そして、その目はじっと睨んでいた。
まどか「えっ……ぇえ…?」
さやか「?」
ほむら「……」
まどかを睨んでいた。
† 8月3日
運命の出会いの日。
煤子さんは涙をぬぐった後、それはもう、その涙など無かったことにしたかのような強い顔立ちになると、地面にこぼれた黒い砂をかき集めはじめた。
土が混ざってもお構いなし。
とにかく一粒残さず集めようと、地面ごとかき集めては、どこかにあった分厚い袋に詰め込んでゆく。
煤子「いい、手伝わなくても」
手を貸そうとした私に、煤子さんは強く言った。
けれどすぐに“あ”というような顔になって。
煤子「ごめんなさい」
控えめに謝った。
自分でやりたいの、と後付けして、砂を集め終わってから、彼女は立ち上がった。
さやか(あ……)
自分よりもずっと大人に見えた煤子さんの背が、そう高いわけでもなかった事に私は驚いた。
けれど、膝のストッキングについた土を払う仕草は無骨ではない。
不思議な人、と見入るばかり。
煤子「私はね、美樹さやか」
さやか「は、はい」
ちょっとだけ高めの目線が私を見下ろす。
煤子「とても悪い病気に罹ってしまっているの」
さやか「え?」
突然の告白だった。真剣な目を見ては、“そうですか”だけを返すことができなかった。
さやか「どんな病気なの?……です、か?」
煤子「良いわ、硬い喋り方でなくても」
さやか「あ、はぁ……」
煤子「……今まで、無茶なことばかりをやってきたから、そのツケがきたのね」
さやか「つけ……?」
煤子「借金をして、お金が返せなくなって…ボン、もう、どうしようもない」
ふふ、とそれはもう、上品に嗤う人だった。
煤子「道理に背いて、横道それようとした結果よ……予定ではあと一年は生きていけるはずだったけど…」
さやか「え!?」
煤子「今の調子だと……もう、もって数ヶ月、といったところかしらね」
さやか「そんな……」
手元の砂がざぁざぁ鳴る。
煤子「だから私のお願いを聞いて、美樹さやか」
さやか「う、うん!煤子さんのために何か、私にできることがあるなら!」
知らない人でも、不思議と嘘をついているようには見えなかった。
そんな目をしていた。
煤子「……時間がないの、だけど私の今まで生きて、培ってきたことを、出来るだけ貴女に伝えたい」
さやか「……ど、どうすれば」
煤子「聞いてほしい、覚えてほしい、口で言うだけなら、それだけよ」
膝を曲げた煤子さんの目線が私と並ぶ。
煤子「これは貴女の人生の、これからのためでもある……そのつもりで、聞いてくれる?」
さやか「……うん!」
煤子「……ありがとう、さやか」
人が安堵し、柔らかく崩れる顔。
私はその笑顔に応えようと、子供ながらに決心したのだった。
† それは8月3日の出来事だった
――さんって、前はどこの――
――京の、ミッション系――
――とかやってた?運動系?文化――
さやか「ん……」
机に突っ伏した顔を上げる。朝からの眠気は、季節の適温と良く混ざったらしい。
ほむら「やって無かったわ」
「すっごいきれいな髪だよね、シャンプーは何使ってるの?」
顔を前へ向ければ、どうやら転校生の子が質問攻めにあっているらしかった。
コミュニティを作るのが好きな女子数人が、グループにでも入れようかと集っているようだ。
仁美「不思議な雰囲気の人ですよね、暁美さん」
さやか「ねえ、まどかぁ、あの子知り合い?」
まどか「え?うーん……」
目を擦りながら聞くと、どうもぱっとしない答えが返ってきた。
さやか「思いっきりガン飛ばされてたじゃん?」
まどか「いや、えっと…そうなのかな…私が見すぎてたのかも…」
さやか「まさかのまどかがメンチ切ってた説?」
睨むまどかなんて想像もできない。
想像してみたら、ちょっと凛々しくなったまどかが居て、可愛かった。
ぶふっと噴き出すと、まどかがこれまた可愛らしく私に怒った。
質問に答えないのかここの>>1は最悪だな
ほむら「ごめんなさい……何だか緊張しすぎたみたいで、ちょっと気分が……保健室に行かせて貰えるかしら」
「え?あ、じゃあたしが案内してあげる」
「あたしも……」
ほむら「いえ、おかまいなく……係の人にお願いしますから」
靴音が近づく。
まどか「ん……?」
まどかに影が差した。
ぬう、っと近づいたのは、謎の美少女転校生。
さやか「……」
まどかのすぐ近く。
その距離は殴り合いが起こるか、親友同士の会話が始まるか、恋人同士が愛を囁くか。
いずれにせよ、極端なシチュエーションしか浮かばないような距離だった。
ほむら「鹿目まどかさん、貴女がこのクラスの保健係よね」
さやか「へ?」
まどか「え?えっと…あの…」
ほむら「連れてって貰える?保健室」
まどか「あの、私……」
ほむら「今でないと――」
さやか「保険係は私だけど」
ほむら「……え?」
何故面食らったような顔をするのか、この美少女は……。
ほむら「……そうなの?」
さやか「うん、私が保険係……で、兼、清掃係と、風紀係もやってる!」
ほむら「……」
さやか「まどかは生物係だからねぇ」
まどか「うん」
先生に保険係が誰かを教えてもらったけど、間違えたんだろう、きっと。
さやか「ほいじゃ、ちょちょいとさやかちゃんが保健室まで連れていっちゃいますよー」
ほむら「ちょ、ちょっと」
さやか「行ってくるね」
まどか「うん」
席を立ち、転校生の手を引て教室を出る。
凛々しい美少女の白い手は細く、まどかのそれよりも繊細そうだった。
無闇に馴れ合うより淡々と投下してくれた方が好感が持てるがな、俺は
ただいつ終わったのか分かんないから投下終了宣言くらいはほしいけど
とりあえず期待してる、乙
ただいつ終わったのか分かんないから投下終了宣言くらいはほしいけど
とりあえず期待してる、乙
最初のさわりは通常プロローグや序章って言い表わされるな
物語の全容が見えてくる終盤に再度描写されることが多々ある
なんでもかんでも先走って知ろうとする野暮な質問は控えろってこったい
物語の全容が見えてくる終盤に再度描写されることが多々ある
なんでもかんでも先走って知ろうとする野暮な質問は控えろってこったい
さやか「さっきの子達、色んなことずかずか聞いてくるけど、嫌な子ってわけじゃないから、誤解しないであげてね」
ただ寂しがりというか、人と一緒にいたい気質というか、そんな面が強いだけなのだ。
鬱陶しく感じられるところもあるかもしれないけど、彼女達の愛情表現の大事なひとつを、誤解してほしくはなかった。
ほむら「あの……」
さやか「ああ!」
ほむら「え……」
そうだ、そういえば名乗るのを忘れていた。
さやか「私の名前は、美樹さやか!よろしくね、転校生!」
ほむら「し、知ってるわよ……」
さやか「え!?なんで!?」
ほむら「……さっき自分のこと“さやか”って言ってたわよ」
さやか「あ!!そっか、言ってたわ」
ほむら「……美樹」
さやか「さやかって呼んでいいよ、転校生」
ほむら「! そう、さやか…」
さやか「んー?」
ほむら「貴女は自分の人生が、貴いと思う?」
さやか「うん」
ほむら「……家族や友達を、大切にしてる?」
さやか「もちろん」
ほむら「即答、するのね」
さやか「当たり前だよ、みんな、何もかも尊いよ」
先行く私は向き直り、歩みを止める。
さやか「逆に、転校生はどう思ってる?」
ガラス張りの渡り廊下。
横から入る陽が、転校生の顔に影を作っている。
ほむら「…私のことも、転校生ではなく“ほむら”って呼んでもらいたいわね」
さやか「ん!了解、ほむら!」
ほむら「……そうね、私はどうかしら…家族や友達は、とても大切よ」
ほむら「けれどそれを守るためなら、天秤にかける自分は遥かに軽い……そんなところかしらね」
さやか「ほぁあ……」
無感情に応えたほむらは、私を追い抜いて先を歩いて行くのだった。
さやか「場所、わかんないでしょっ」
私は黒髪を追った。
不思議だなぁとは思ったけど。
先生「うおぉ……」
ほむら「……」
淀みなくボードを走る電子チョーク。
容姿端麗に頭脳明晰がくるわけか。
不思議女子中学生に拍車がかかるのなんの……。
まどか「すごいね……」
さやか「なんかもう、ずるいね!何教科得意なのよ!」
まどか「何教科だろうね……」
正直、ひしひしと伝ってくる全教科得意の予感に、はやる嫉妬を抑えられない。
それでも、それでもあの体の細さだ…体育だけは、きっと…。
ふわぁ、と細い体は、美麗なフォームで宙を舞うのでござった…。
「け、県内記録じゃないの?これ……」
神童なんて話には聞くけど、現物は初めて見たよ。
というかほむらの体のどこに、高く飛ぶバネが仕込まれているというんだろう。
さやか「…負けてられないね!」
まどか「さ、さやかちゃん?」
さやか「私も県内記録を出す!」
まどか「えー」
まどがの弱気パワーの煽りを貰う前に、さっと一度飛んだバーを正面に据える。
「あら?どうしたの?美樹さん」
さやか「もう一度、飛ぶ!」
「もうやったんじゃ……」
さやか「ほむらのほっそい体で飛べて、私に飛べないはずがない!」
それは私の高らかな宣戦布告である。
周囲で体育座りにかまける軟弱なクラスメイトたちは“また美樹さんだよ”とかなんとか言ってるが、気にしない。
ほむらも少々眼球運動だけが挙動不審だが、本当に驚かせるのはここからだ。
さやか「見てなさい!インターハイに出てやるくらいの記録を出してやるんだからぁああ!」
風を切って駆ける。
学年最速の助走で、一気にバーまで。
ほむら「……インターハイは高校よ、さやか」
バーを蹴っ飛ばしたとき、何かむっとする一言が聞こえたきがした。
ほむら「…今度こそと意気込んでいたのに、何かしら、今回の美樹さやかは」
ほむら「まどかが保健係をやっているはずだったのに、おかしいわね」
ほむら「今まではこんな事は起こらなかったのだけど……」
ほむら「……些細なことに気を取られちゃいけないわ」
ほむら「キュゥべえとの接触を阻止しないと」
ファストフード店内にて。
さやか「わけわからぁん…」
まどか「わけわかんないよね…」
世の中にあんな完璧な人間が実在してるとは思わなかった……いや、むしろ今でも信じたくない…。
頭脳明晰ではなくて、まさか文武両道だったとは。なんとなく嫌な予感はしていたけどさ。
さやか「文武両道で才色兼備……かと思いきや、実はサイコな電波さん」
まどか「本当にそんなこと聞かれたの?」
さやか「ん。まぁ、良い質問だったけどね」
どこか胸の奥にズン、とくる問答だった気がする。
生き方の核心に触れるような、そんな。
さやか「しっかしどこまでキャラ立てすりゃあ気が済むんだ?あの転校生は……萌えか?そこが萌えなのかあ!?」
モテるんだろうなぁほむら。
けど文武両道容姿端麗て、それもはや、狙うとかあざといとかゆーレベルじゃないよな。
仁美「さやかさん、本当に暁美さんとは初対面ですの?」
さやか「あー…そりゃあ」
そりゃあ……ないはず、なんだけど。
さやか「懐かしいような感じはしなくもないなぁ」
仁美「ふふ、なんですか、それ」
グリーンソースフィレオをもりもり齧りながら思い起こしてみる。
会ったっけ、暁美ほむら。いや、ないよな、そりゃあ。
そんな名前の子、知り合ってたら覚えてるもの。
まどか「あのね…?あんまり馬鹿にしないで、聞いて欲しいんだけど……」
さやか「ん?」
仁美「どうされました?」
おずおずと、普段主張のないまどかが控えめな挙手をした。
まどか「昨夜あの子と夢の中で、会った…ような…」
一同爆笑、ってやつですわ。
さやか「時雨蒼燕流は完全無欠最強無敵だよ!」
スマン。なんとなく。このさやかちゃんの魔法少女の武器は日本刀ぽいけどなぁ。
スマン。なんとなく。このさやかちゃんの魔法少女の武器は日本刀ぽいけどなぁ。
まどかに電波属性があったことを最大の収穫に店を出て、仁美と別れた。
正統派文武両道のお嬢様は大変なのだ。
……ほむらも何かやってるのかな。古武術とか得意そう。
痴漢に襲われても次の一瞬では手首捻られた痴漢が宙に舞ってホームに叩きつけられてるね。
なんてことを考えている間に、CDショップについたわけです。
さやか(クラシックはこっち)
まどかはまどかで、自分の興味のあるカテゴリのほうに足を向けた。
私は、なんだかんだで聞きかじっているクラシックの試聴だ。
恭介のために持っていってやりたいというのが一つ。
もうひとつは、まあ、単純に私自身もクラシックの沼にはまりつつあるということだろうか。
さやか(ふんふんふうーん)
こうして心を落ち着ける音楽は、剣道部にいた頃も好んで聞いていた。
不思議とクラシックの整った曲調は、剣の動きや呼吸にも活かされている気がしてならない。
私の場合、まあ、型はダメダメだったんだけど……。
『助けて……』
さやか(……ん?)
「助けて……まどか……!」
さやか「まどか?」
ヘッドフォンを外しても、まどかに助けを求める幼げな声は続いた。
さやか(……あ)
辺りを見回して声を主を探していると、同じようにふらりと歩き回るまどかの姿が見えた。
さやか(何だろ)
誰がなにを、何故まどかに助けて、なのか。
良くわからないことに、まどかを巻き込ませたくはなかった。
さやか「聞こえた?まどか」
まどか「さやかちゃん、うん……」
まどかに追いつくと、どうやら本人にも聞こえていたみたいだ。
周りにいるお客さんや店員さんは無反応だけど…。
まどか「どこ?どこにいるの?」
さやか「どうしたー、出てこーい」
声がするらしき方角は、不思議と伝わってくる。
それを頼りに階段を登り、人気のない工事中のフロアへと上がる。
すると突然、真上から激しい物音と共に。
まどか「きゃ!」
埃かぶった何かが落下してきた。
QB「助けて……」
まどか「あなたなの…!?」
さやか「え、なにこれ、猫?じゃない……」
薄汚れた床の上に落ちてきたのは、白猫らしき不思議生物だった。
耳からは謎の肢体が伸び、そこに輪がついていたり、ファンシーな見た目だった。
さやか(いや、というか、なんでこれしゃべるの……!?)
驚きはそれだけに留まらなかった。
じゃらり、じゃらりと、天井から鎖が落ち、
天蓋のパネルが壊され、破片が床に散らばるとそこには、もっと不思議な装いの人間がいたのだ。
ほむら「そいつから離れて」
私は>>3の時点で気づいてたけどね・・・ッ!
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